(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116672
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】中和器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20240821BHJP
【FI】
F24H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022407
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】近藤 稔広
(72)【発明者】
【氏名】野田 亮司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 こずえ
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA12
3L036AA14
(57)【要約】
【課題】ケースの内部に気体が流れ込むことを抑制する中和器を提供すること。
【解決手段】中和器20は、導入口31から導入されて内部に溜まった液体により導入口31から導入された気体を遮ることが可能な管30を備える。管30は、流れ方向が鉛直上方である上昇部40を有している。液体が気体を遮るための最低限の水位を下限水位Lとすると、上昇部40は、下限水位Lよりも下流側にバルブ機構23を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を導入可能な導入口と、前記導入口から導入された前記液体を外部に排出可能な排出口と、を有し、前記導入口から導入されて内部に溜まった前記液体により前記導入口から導入された気体を遮ることが可能な管と、
前記液体を中和可能な中和剤と、を備え、
前記管は、流れ方向が鉛直上方である上昇部を有し、
前記液体が前記気体を遮るための最低限の水位を下限水位とすると、
前記上昇部は、前記下限水位よりも下流側に、前記上昇部に溜まった前記液体の水位が高まることにより開くバルブ機構を有している、中和器。
【請求項2】
前記バルブ機構は、前記液体の水面に浮くことが可能なフロートを備えたフロートバルブ機構であり、
前記上昇部は、前記フロートの外径よりも内径が大きくフロートを収納している収納部と、前記収納部の上流側に位置し前記フロートの外径よりも内径が小さい小径部と、を有している請求項1に記載の中和器。
【請求項3】
前記収納部と、前記小径部とは、下流側へ向かうに連れて内径が大きくなるテーパ拡径部により接続されている、請求項2に記載の中和器。
【請求項4】
前記上昇部は、前記フロートよりも下流側に、上流側と下流側とを仕切る仕切り板を備え、
前記仕切り板は、前記フロートが通過できず液体が通過可能な通過孔を有している、請求項2又は請求項3に記載の中和器。
【請求項5】
前記上昇部は、前記収納部よりも下流側に、下流側へ向かうに連れて内径が小さくなるテーパ縮径部を有し、
前記テーパ縮径部の内周面は、凹凸状に形成されており、
前記液体に浮かんだ前記フロートが凸部に接触したときに、凹部と前記フロートとの隙間は、前記液体が流れることが可能な流路となる、請求項2又は請求項3に記載の中和器。
【請求項6】
前記収納部の内周面は、その周方向に亘り凹凸状に形成されており、
前記液体に浮かんだ前記フロートが凸部に接触したときに、凹部と前記フロートとの隙間は、前記液体が流れることが可能な流路となる、請求項2又は請求項3に記載の中和器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体により気体の流れを遮ることが可能な中和器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼ガス(気体)と水との熱交換により温水を得る給湯器がある。給湯器に関する従来技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された給湯器は、熱交換の際に生成される凝縮水(液体)を中和可能な中和器を備えている。中和器は、凝縮水を中和可能な中和剤と、中和剤を収納しているケースと、を備えている。ケースは、凝縮水をケースの内部へ導入可能な導入口と、中和された液体をケースの外部へ排出可能な排出口と、を備えている。
【0004】
給湯器の使用が開始されると、熱交換器の内部で燃焼ガス及び凝縮水が発生する。凝縮水は、ケースの導入口に流れ込む。ケースに流れ込んだ凝縮水は、ケースの底部に溜まる。
【0005】
燃焼ガスは、給湯器のガス排気口から排出される。ただし、一部の燃焼ガスは、ケースの導入口からケースの内部に流れ込む。ケースの底部に溜まった凝縮水がケース内の流路を塞いでいる場合、凝縮水は、燃焼ガスの流れを遮ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
凝縮水の水位が所定の水位に達せず、凝縮水が流路を塞いでいない場合、ケースの内部に流れ込んだ燃焼ガスは、ケース内部を通過し、排出口から外部へ排出されてしまう。中和器のケースは樹脂製のものも多く、高温の燃焼ガスがケースの内部を吹き抜けることは好ましくない。例えば、ケースの内部に予め水を溜めておくことも考えられるが、製品の輸送時の水漏れが懸念される。燃焼ガスの吹き抜けについて改善が望まれる。
【0008】
本発明は、ケースの内部に気体が流れ込むことを抑制できる中和器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1に、液体を導入可能な導入口と、前記導入口から導入された前記液体を外部に排出可能な排出口と、を有し、前記導入口から導入されて内部に溜まった前記液体により前記導入口から導入された気体を遮ることが可能な管と、
前記液体を中和可能な中和剤と、を備え、
前記管は、流れ方向が鉛直上方である上昇部を有し、
前記液体が前記気体を遮るための最低限の水位を下限水位とすると、
前記上昇部は、前記下限水位よりも下流側に、前記上昇部に溜まった前記液体の水位が高まることにより開くバルブ機構を有している、中和器が提供される。
【0010】
第2に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、前記バルブ機構は、前記液体の水面に浮くことが可能なフロートを備えたフロートバルブ機構であり、
前記上昇部は、前記フロートの外径よりも内径が大きくフロートを収納している収納部と、前記収納部の上流側に位置し前記フロートの外径よりも内径が小さい小径部と、を有している。
【0011】
第3に、好ましくは、第2に記載の中和器であって、前記収納部と、前記小径部とは、下流側へ向かうに連れて内径が大きくなるテーパ拡径部により接続されている。
【0012】
第4に、好ましくは、第2又は第3に記載の中和器であって、前記上昇部は、前記フロートよりも下流側に、上流側と下流側とを仕切る仕切り板を備え、
前記仕切り板は、前記フロートが通過できず液体が通過可能な通過孔を有している。
【0013】
第5に、好ましくは、第2又は第3に記載の中和器であって、前記上昇部は、前記収納部よりも下流側に、下流側へ向かうに連れて内径が小さくなるテーパ縮径部を有し、
前記テーパ縮径部の内周面は、凹凸状に形成されており、
前記液体に浮かんだ前記フロートが凸部に接触したときに、凹部と前記フロートとの隙間は、前記液体が流れることが可能な流路となる。
【0014】
第6に、好ましくは、第2又は第3に記載の中和器であって、前記収納部の内周面は、その周方向に亘り凹凸状に形成されており、
前記液体に浮かんだ前記フロートが凸部に接触したときに、凹部と前記フロートとの隙間は、前記液体が流れることが可能な流路となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ケースの内部に燃焼ガスが流れ込むことを抑制できる中和器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1による中和器を備えた給湯器の模式図である。
【
図3】
図2に示された中和器のなかの上昇部の断面図である。
【
図4】
図4Aは、給湯器の使用開始前の中和器を説明する図である。
図4Bは、液体の水位が下限水位に達する前の中和器を説明する図である。
【
図5】
図5Aは、液体の水位が下限水位を超えた後の中和器を説明する図である。
図5Bは、液体が排出口から排出された状態の中和器を説明する図である。
【
図12】
図12Aは、フロートの変形例1を説明する図である。
図12Bは、フロートの変形例2を説明する図である。
図12Cは、フロートの変形例3を説明する図である。
【
図13】スイング式バルブ機構を模式的に説明する図である。
【
図14】実施例5による中和器を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図に基づいて実施例を説明する。なお、Upは上、Dnは下を示している。
【0018】
<実施例1>
図1には、燃焼ガスの熱により水を温めることが可能な給湯器10が示されている。給湯器10は、燃焼ガスを発生させるバーナ11と、バーナ11の直上に置かれ燃焼ガス(気体)と水との熱交換を行う熱交換器12を内部に有する本体部13と、を備えている。
【0019】
本体部13は、熱交換器12に水を導入可能な水導入部14と、温水を供給可能な出湯部15と、熱交換により燃焼ガスから生成された凝縮水(液体)が排出される凝縮水排出部16と、燃焼ガスを本体部13から排出するガス排気部17と、を有している。凝縮水排出部16には、凝縮水を中和可能な中和器20が接続されている。
【0020】
[管20]
図2を参照する。中和器20は、凝縮水を中和する中和剤21を内部に配された金属製の管30を備えている。管30は、その断面が円状であり、鉛直上方を向いており凝縮水を導入可能な導入口31と、水平方向を向いており中和された凝縮水を排出可能な排出口32と、を備えている。
【0021】
[上昇部40]
管30は、導入口31を有すると共に流れ方向(導入口31から排出口32へ向かう方向)が鉛直下方(斜め下方でもよい)である下降部33と、下降部33の隣に位置し流れ方向が鉛直上方(斜め上方でもよい)である上昇部40と、下降部33の下流端33aと上昇部40の上流端40aとを接続している略U字状の折り返し部34と、上流端が上昇部40の下流端40bと接続し下流端が排出口32となる接続部35と、を備えている。中和剤21は、主に折り返し部34の内部に充填されている。
【0022】
図2では、下降部33~接続部35を一体のものとして描いているが、下降部33~接続部35同士の境界は、適宜変更できる。即ち、管30は必ずしも4つの部品から構成されるわけでない。例えば、下降部33及び折り返し部34を一体化させたものと、上昇部40と、接続部35と、からなる管を構成してもよい。
【0023】
[下限水位L]
中和器20は、管30に溜まった凝縮水により、導入口31から導入された燃焼ガス(気体)の流れを遮ることが可能である。凝縮水の水位が折り返し部34の上端に達すると、折り返し部34が凝縮水により満たされる。凝縮水は、下降部33と上昇部40とを連通不能とする。
【0024】
凝縮水の水位が折り返し部34の上端に達することにより、凝縮水が燃焼ガスを遮るための最低限の水位を下限水位Lとする。なお、凝縮水により燃焼ガスを遮るための管30の構造は、実施例1に示したものに限られず、周知の構造を採用できる。
【0025】
[フロート22、フロートバルブ機構23]
図3を参照する。上昇部40の流路は、例えば、凝縮水の水面に浮くことが可能な球体状のフロート22を弁体とするフロートバルブ機構23(バルブ機構)により開閉可能である。フロート22は、例えば、樹脂製であるが、中空状の金属製であってもよい。
【0026】
[収納部41、上流側小径部42]
上昇部40は、フロート22の外径よりも内径が大きくフロート22を収納している収納部41と、収納部41の上流側に位置しフロートの外径よりも内径が小さい上流側小径部42と、を有している。
【0027】
[テーパ拡径部]
収納部41と上流側小径部42とは、下流側へ向かうに連れて内径が大きくなるテーパ拡径部43により接続されている。テーパ拡径部43の内周面44は、フロートバルブ機構23の弁座に相当する。即ち、フロート22が内周面44に接触しているときに上昇部40は閉じた状態となる。テーパ拡径部43と上流側小径部42との境界は例えば、R形状となっているが、角であってもよい。
【0028】
[テーパ縮径部46]
上昇部40は、さらに、収納部41の下流側に位置しフロート22の外径よりも内径が小さい下流側小径部45と、収納部41と下流側小径部45とを接続していると共に下流側へ向かうに連れて内径が小さくなるテーパ縮径部46と、を有している。なお、上昇部40のうち、以下に説明する仕切り板36の下流側の部位の内径は問わない。
【0029】
[仕切り板]
収納部41は、収納部41の流路と、テーパ縮径部46の流路とを仕切る板状の仕切り板36を備えている。仕切り板36は、収納部41の流路の下流端に位置している。仕切り板36は、フロート22の外径よりも小さく凝縮水が通過可能な複数の通過孔37を有している。中央の通過孔37は、他の通過孔37よりも大きい。通過孔37の位置・数・大きさは適宜変更できる。なお、フロート22が通過孔37に嵌まり、通過孔37が塞がった状態とならない限り、通過孔37は単一であってもよい。例えば、収納部41の内周面の近くに単一の通過孔37を設けても良い。
【0030】
[実施例1の効果]
図4Aには、給湯器10(
図1参照)の使用開始前の中和器20が示されている。説明の便宜上、中和剤21は省略されて描かれている。給湯器10の使用開始前は中和器20の管30の内部に凝縮水は溜まっていない。
【0031】
図4Bには、給湯器10の使用開始後の中和器20が示されている。給湯器10の使用が開始されると、熱交換器12の内部で燃焼ガス及び凝縮水が発生する。凝縮水は、凝縮水排出部16を介して、管30の導入口31に流れ込む。管30に流れ込んだ凝縮水は、下降部33を通過して折り返し部34に溜まる。
【0032】
[第1の効果]
燃焼ガスは、本体部13のガス排気部17(
図1参照)から排出される。仮にフロートバルブ機構23が設けられていない場合、燃焼ガスは、凝縮水排出部16を通過し、管30の導入口31から管30の内部に流れ込む。凝縮水の水位が下限水位Lに達する前は、凝縮水は燃焼ガスの流れを遮ることができない。
【0033】
フロート22が凝縮水に浮かんでいないとき、フロート22はテーパ拡径部43の流路を塞いでいる。即ち、フロート22は、テーパ拡径部43の内周面44に接触している。フロート22により遮られている為、燃焼ガスは排出部16から排出されない。
【0034】
図5Aには、凝縮水の水位が下限水位Lを超えた状態の中和器20が示されている。
図4Bと比較すると、上昇部40に溜まった凝縮水の水位が高まり、フロート22が凝縮水浮かび、バルブ機構23は開いている。管30の内部に流れ込んだ燃焼ガスは、凝縮水により遮られる。
【0035】
図5Bには、凝縮水の水位が接続部35のなかの水平方向に延びる底部35aに達したときの中和器20が示されている。上昇部40の凝縮水は、接続部35を通過して、排出口32から排出される。以上の構成により、凝縮水による燃焼ガスの遮断をフロートバルブ機構23が補うことにより、給湯器10の使用時期にかかわらず、管30の内部に燃焼ガスが流れ込むことを抑制できる。
【0036】
図2を参照する。中和剤21は、管30の内部に収納されている。後述する実施例5の中和器120(
図14参照)と比較すると、中和剤21を収納するケース90が不要となり、部品点数を減らせる。
【0037】
[第2の効果]
図3を参照する。上昇部40は、フロート22の径よりも内径が大きくフロート22を収納している収納部41と、収納部41の上流側に位置し、フロート22の外径よりも内径が小さい上流側小径部42と、を有している。即ち、上昇部40の内部に弁体となるフロート22を設け、フロート22を設けた部位よりも上流側の径を小さく設定することにより弁座を構成し、フロートバルブ機構23を簡素に構成できる。
【0038】
[第3の効果]
収納部41と、上流側小径部42とは、下流側へ向かうに連れて内径が大きくなるテーパ拡径部43により接続されている。テーパ拡径部43を設けることにより、フロート22を管30の中心へガイドすることができ、フロート22が上昇部40の流路をより確実に閉じることができる。なお、テーパ拡径部43を設けない場合、上流側小径部42の上流側のR形状の縁が弁座となる。
【0039】
[第4の効果]
上昇部40は、フロート22よりも下流側に、上流側と下流側とを仕切る仕切り板36を備えている。仕切り板36は、フロート22が通過できず液体が通過可能な複数の通過孔37を有している。凝縮水の水位が上昇したときに、仕切り板36はフロート22の位置を規制しつつ、凝縮水は通過孔37を通過できる。
【0040】
<実施例2>
図6には、実施例2による中和器20Aが示されている。実施例1の中和器20と共通する構成及び効果については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0041】
図7Aを参照する。中和器20Aの上昇部40Aは、収納部41と下流側小径部45とを接続していると共に下流側へ向かうに連れて内径が小さくなるテーパ縮径部50と、を有している。
【0042】
[凸部52]
図7A及び
図7Bを参照する。テーパ縮径部50の内周面51は、凹凸状に形成されている。詳細には、内周面51は、その内周面51から管30の内側へ向かって(矢印A参照)突出している複数の凸部52を有している。複数の凸部52は、例えば、実施例1のテーパ縮径部46に相当する部位に対して外力を加えて塑性変形させることにより形成される。複数の凸部52は、互いに等しい間隔を空けて周方向に断続的に設けられている。互いに隣り合う凸部52,52同士の間隔は、等しくなくともよい。
【0043】
テーパ縮径部50の中心線CLに沿う方向から見て(
図7B参照)、複数の凸部52は放射状である。即ち、各々の凸部52は、テーパ縮径部50の径方向に沿って、内周面51の上流端51aから下流端51bに亘り形成されている。凸部52は、半円筒部53を有している。半円筒部53の頂部53aは、フロート22に接触可能である。頂部53aは、内周面51に対して略平行であるが(
図7A参照)、内周面51に対して傾いていても良い。半円筒部53の両端は曲面である。フロート22が凸部52に接触したときに、凝縮水が下流側へ流れることが可能な流路が形成される限り、凸部52の形状は適宜変更できる。
【0044】
[凹部55]
テーパ縮径部50の内周面51のうち、凸部52同士の間の部位は相対的に凹部55となる。凝縮水に浮かんだフロート22が凸部52の頂部53aに接触すると、凹部55とフロート22との隙間は、凝縮水が流れることが可能となる流路となる。
【0045】
[第5の効果]
テーパ縮径部50の内周面51を凹凸状に形成することにより、フロート22の移動を規制すると共に凝縮水を下流へ流すことが可能となる。実施例1の仕切り板36を必要としないため、部品点数を減らせる。
【0046】
なお、凸部52の数は、少なくとも1つであればよい。凸部52の数を複数にすると、フロート22に接触する部位が増えるため、フロート22に加わる負荷を分散できる。
【0047】
さらに、凸部52は、テーパ縮径部50の内周面51のなかでフロート22に接触する周辺のみに設けても良いが、実施例2では、凸部52は、内周面の51の上流端51aから下流端52aに亘り形成されている。そのため、上昇部40Aは様々なフロート22の大きさに対応できる。
【0048】
<実施例3>
図8には、実施例3による中和器20Bが示されている。実施例1の中和器20と共通する構成及び効果については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。??
【0049】
図9Aを参照する。中和器20Bの上昇部40Bは、収納部41と下流側小径部45とを接続していると共に下流側へ向かうに連れて内径が小さくなるテーパ縮径部60と、を有している。
【0050】
[凹部62]
図9A及び
図9Bを参照する。テーパ縮径部60の内周面61は、凹凸状に形成されている。詳細には、内周面61は、その内周面61から管30の内側へ向かって開いている複数の凹部62を有している。複数の凹部62は、例えば、実施例1のテーパ縮径部46に相当する部位に対して外力を加えて塑性変形させることにより形成される。複数の凹部62は、互いに等しい間隔を空けて周方向に断続的に設けられている。互いに隣り合う凹部62,62同士の間隔は、等しくなくともよい。
【0051】
テーパ縮径部60の中心線CL2に沿う方向から見て(
図9B参照)、複数の凹部62は放射状である。各々の凹部62は、内周面61の上流端61aから下流端61bに亘り形成されている。
【0052】
[凸部65]
テーパ縮径部60の内周面61のうち、隣り合う凹部62同士の間の部位は相対的に凸部65となる。凝縮水に浮かんだフロート22が凸部65(内周面61)に接触すると、凹部62とフロート22との隙間は、凝縮水が流れることが可能となる流路となる。
【0053】
[第5の効果]
テーパ縮径部60の内周面61を、凹凸状に形成することにより、フロート22の移動を規制すると共に凝縮水を下流へ流すことが可能となる。実施例1の仕切り板36を必要としないため、部品点数を減らせる。
【0054】
なお、凹部62の数は、少なくとも1つであればよい。凹部62の数を複数にすると、フロート22に接触する部位が増えるため、フロート22に加わる負荷を分散できる。
【0055】
さらに、凹部62は、テーパ縮径部60の内周面61のなかでフロート22に接触する周辺のみに設けても良いが、実施例2では、凸部65は、テーパ縮径部50の上流端61aから下流端61に亘り形成されている。そのため、上昇部40Bは様々なフロート22の大きさに対応できる。
【0056】
<実施例4>
図10には、実施例4による中和器20Cが示されている。実施例1の中和器20と共通する構成及び効果については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0057】
図11Aを参照する。中和器20Cの上昇部40Cは、フロート22の外径よりも内径が大きくフロート22を収納している収納部70を有している。
【0058】
[凸部72]
図11A及び
図11Bを参照する。収納部70の内周面71は、凹凸状に形成されている。詳細には、内周面71は、その内周面71から径方向内側へ向かって突出している複数の凸部72を有している。なお、凸部72は単一でもよい。複数の凸部72は、例えば、実施例1のテーパ縮径部46に相当する部位に対して外力を加えて塑性変形させることにより形成される。複数の凸部72は、互いに等しい間隔を空けて周方向に断続的に設けられている。互いに隣り合う凸部72,72同士の間隔は、等しくなくともよい。複数の凸部72は、収納部41の中心よりも下流側に位置している。凸部72は、球体の曲面状を呈している。
【0059】
[凹部75]
収納部70の内周面71のうち、凸部72同士の間の部位は相対的に凹部75となる。凝縮水に浮かんだフロート22が凸部72に接触すると、凹部75とフロート22との隙間は、凝縮水が流れることが可能となる流路となる。
【0060】
[第6の効果]
上記の構成により、収納部70の内周面71を凹凸状に形成することにより、フロート22の移動を規制すると共に凝縮水を下流へ流すことが可能となる。実施例1の仕切り板36を必要としないため、部品点数を減らせる。
【0061】
なお、凸部72の数は、少なくとも1つであればよい。凸部72の数を複数にすると、フロート22に接触する部位が増えるため、フロート22に加わる負荷を分散できる。
【0062】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例1~実施例4に限定されるものではない。例えば、フロート22の形状は球体に限らない。
図12Aに示すフロート81は、同心状の円柱82と円錐83とから構成されている。フロート81の円錐83の先端83aが上流側を向くように、先端83aには重りを設けてもよい。
図12Bに示すフロート84は、球体85と球体85を囲うように球体の85の表面に設けられた環状部86とから構成されている。
図12Cに示すフロート87は、円板88と円板88の上流側の面に設けられた半球89とから構成されている。
【0063】
凝縮水の水位が高まることにより開くことが可能なバルブ機構は、フロートバルブ機構23(
図3参照)に限らない。その他のバルブ機構を
図13を用いて模式的に説明する。上昇部40Dは、上流側の第1管48と、第1の管48の下流端48aに接続された第2管49と、下流端48aを開閉可能なスイング式バルブ機構24と、を備えている。スイング式バルブ機構24は、下限水位Lよりも下流側に位置しており、軸24aを中心にスイング可能な板状のスイング部材24bを備えている。スイング部材24bは、その自重により下流端48aを塞ぐことが可能である。凝縮水の水位が高まり凝縮水の水圧によりスイング部材がスイングすると、下流端48aが開放される。
【0064】
<実施例5>
図14には、実施例5による中和器120が示されている。実施例1の中和器20と共通する構成及び効果については、実施例1と同一の符号を付すると共に説明は省略する。
【0065】
中和器120は、液体を中和可能な中和剤21を収納しているケース90と、ケース90のケース排出口92に接続された管20Dと、を備えている。管20Dは、中和剤21を収納していない。その他の構成は、実施例1の管20(
図2参照)と同一であり、その説明は省略する。
【0066】
ケース90には、鉛直上方を向いており凝縮水をケース90の内部へ導入可能なケース導入口91と、鉛直下方を向いており中和された液体をケース90の外部へ排出可能なケース排出口92と、が一体に形成されている。
【0067】
ケース90の内部には、ケース導入口91からケース排出口92へ流体が流れることが可能な流路100が設けられている。流路100は、ケース導入口91と連通していると共に流れ方向が鉛直下方である下降流路101と、下降流路101の隣に位置し流れ方向が鉛直上方である上昇流路102と、下降流路101の下流端101aと上昇流路102の上流端102aとを接続している折り返し流路103と、上昇流路102の下流端102bとケース排出口92とを接続する接続流路104と、を有している。中和剤21は、下降流路101と、折り返し流路103と、上昇流路102とに収納されている。
【0068】
ケース90は、天板部93から鉛直下方へ延びて下降流路101と上昇流路102を仕切っている第1仕切り部94を有している。第1仕切り部94の下端部94aは、底部95から離れている。さらに、ケース90は、上昇流路102と接続流路104とを仕切っている第2仕切り部96を有している。
【0069】
上記のケース90は一例である。内部に中和剤21が収納され、そのケース排出口92から中和された凝縮水が排出され、ケース排出口92に管20Dが接続可能な限り、ケース90の構成は、上記のものに限られず適宜変更できる。
【0070】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例1~5に限定されるものではない。実施例1~5を構成する要素は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
20,20A,20B,20C,120…中和器
21…中和剤
22…フロート
23…フロートバルブ機構
24…スイング式バルブ機構
30…管
31…導入口
32…排出口
40…上昇部
41…収納部
42…上流側小径部
43…テーパ拡径部
44…内周面
45…下流側小径部
46…テーパ縮径部
50…テーパ縮径部
51…内周面
52…凸部
55…凹部
60…テーパ縮径部
61…内周面
62…凹部
65…凸部
70…収納部
71…内周面
72…凸部
75…凹部
81…フロート
84…フロート
87…フロート
L…下限水位