(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116685
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】空調機および制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/49 20180101AFI20240821BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20240821BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240821BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/36
F24F11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022432
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 浩史
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA32
3L260CA13
3L260CA17
3L260DA06
3L260FA07
3L260FA13
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】冷媒センサを熱交換器の近くに配置しつつ、湿度による冷媒センサの故障を防止することができる空調機を提供する。
【解決手段】空調機は、ファンと、室内熱交換器と、室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、室外機と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、冷房運転の停止時に前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、
室外機と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置が、冷房運転の停止時に、前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する、
空調機。
【請求項2】
前記室内機は、前記冷媒センサの近傍に湿度センサを備え、
前記制御装置は、冷房運転の停止時に、前記湿度センサが計測する湿度が閾値以上となると、前記ファンを前記設定時間運転する、
請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記制御装置は、冷房運転の停止時に、所定の時間ごとに前記設定時間ずつ前記ファンを運転する、
請求項1に記載の空調機。
【請求項4】
前記制御装置は、冷房運転の停止時に、前記ファンの運転間隔を長くしつつ、前記設定時間ずつ繰り返し前記ファンを運転する、
請求項1に記載の空調機。
【請求項5】
前記室内熱交換器の近傍とは、前記ファンの空気流れ下流側の前記室内熱交換器と前記室内熱交換器にて熱交換した空気を室内へ吹き出すための吹出口を含む領域の何れかである、
請求項1又は請求項2に記載の空調機。
【請求項6】
前記冷媒センサは、半導体式の冷媒センサである、
請求項1又は請求項2に記載の空調機。
【請求項7】
前記制御装置が、暖房運転の停止時に、前記設定時間だけ前記ファンを運転する、
請求項1又は請求項2に記載の空調機。
【請求項8】
ファンと、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、室外機と、を備える空調機の制御方法であって、
冷房運転の停止時に、前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒の漏洩を検知するために、空調機内に冷媒検知センサを設けることがある。空調機の冷媒センサとしては、安価な半導体式の冷媒センサが一般的である。半導体式の冷媒センサは、結露により故障するため、高湿度となる環境に配置すると故障の確率を高めてしまう。熱交換器からの冷媒の漏洩を検知するためには、熱交換器の近くに冷媒センサを設けることが望ましい。しかし、熱交換器の近傍は、冷房運転後のファン停止時に凝縮水の影響により最も高湿度となる。このような環境では、半導体式の冷媒センサを使用することが難しい。
【0003】
特許文献1には、室内機のケーシング内に形成される空気通路における室内熱交換器の空気流れの上流に冷媒センサ(ガス検出部60)を配置し、室内機内部の湿度が上昇すると、露点温度を下回る範囲で室内熱交換器の蒸発温度を上昇させる等の制御を行って、室内熱交換器への結露水の発生および冷媒センサに結露水の影響が及ぶことを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷媒センサを熱交換器の近くに配置しつつ、高湿度による冷媒センサの故障を防止する技術が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる空調機および制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、空調機は、ファンと、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、室外機と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、冷房運転の停止時に、前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する。
【0008】
本開示の一態様によれば、制御方法は、ファンと、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、室外機と、を備える空調機の制御方法であって、冷房運転の停止時に、前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の空調機によれば、冷媒センサを熱交換器の近くに配置しつつ、高湿度による冷媒センサの故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る空調機の一例を示す第1の図である。
【
図2】実施形態に係る空調機の一例を示す第2の図である。
【
図3】実施形態に係る空調機の制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る故障防止制御のファン制御について説明する図である。
【
図5】実施形態に係る故障防止制御の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る故障防止制御の一例を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
以下、本開示の実施形態に係る空調機について
図1~
図6を参照して説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係る空調機の概略を示す図である。空調機1は、室内機10と、室外機20と、リモコン30を備える。室内機10は、室外機20と冷媒配管18で接続されている。室外機20は、図示しない圧縮機、膨張弁、室外熱交換器、四方弁を備えており、室内機10と室外機20は、冷凍サイクルを構成する。空調機1は、冷媒を冷凍サイクル内で循環させることによって冷媒の加熱・冷却を行う。
図1に例示するダクト型又は天吊り型の空調機1の室内機10は、吸入口11と、ファン12と、室内熱交換器13と、吹出口14と、センサケース15と、制御装置100と、を備える。室内機10には、矢印によって示す方向に空気が流れる。室内機10は、ファン12を駆動することにより、吸入口11から空気を吸入し、室内熱交換器13によって吸入した空気を適切な温度に調節して、吹出口14から空調後の空気を室内へ供給する。センサケース15は、室内熱交換器13の近傍に設けられ、センサケース15には、冷媒センサ16と湿度センサ17が格納されている。室内熱交換器13の近傍とは、室内熱交換器13の影響で高湿度になる領域であり、ファン12の空気流れ下流側の室内熱交換器13と吹出口14を含む領域H1である。冷媒センサ16は、例えば、半導体式の冷媒センサである。冷媒センサ16は、室内熱交換器13から漏洩した冷媒を検知する。湿度センサ17は、冷媒センサ16の周辺空気の湿度を計測する。
図1にはセンサケース15に冷媒センサ16と湿度センサ17を備える場合の構成例を示したが、センサケース15には、冷媒センサ16だけが格納されていてもよい。後に
図2に湿度センサ17を省略した構成例を示す。
【0012】
制御装置100は、冷媒センサ16および湿度センサ17と接続されている。また、制御装置100は、リモコン30と通信可能に接続されている。制御装置100は、室内機10を制御する。例えば、制御装置100は、ファン12の運転、停止等を行う。また、制御装置100は、リモコン30と通信を行って、空調機1の運転を制御する。例えば、ユーザが、リモコン30を操作して冷房運転の開始を指示すると、制御装置100は、この指示信号をリモコン30から受信して、室外機20と協調して冷房運転を行う。ユーザが、リモコン30を操作して冷房運転の停止を指示すると、制御装置100は、この指示信号をリモコン30から受信して冷房運転を終了する。また、制御装置100は、冷媒センサ16が冷媒の漏洩を検知すると、空調機1の保護運転を実行したり、リモコン30に警報の通知を指示したりする。
【0013】
冷房運転を開始した後、ユーザの指示により冷房運転が終了したり、室内温度が設定温度に到達したりしてファン12が停止すると、室内熱交換器13の周辺空気の湿度は上昇し、結露が生じる可能性がある。また、マルチシステムで冷房運転から暖房運転へ切り替えた際、暖房運転の停止時にも室内熱交換器13の周辺空気が高温となり湿度が上昇することがある。半導体式の冷媒センサ16は、高湿度に対して脆弱で、高湿度な環境は冷媒センサ16の故障の原因となる。そこで、制御装置100は、冷房運転の停止時(ファン12が停止した時)などに、ファン12を短時間だけ運転し、室内機内の空気を排出することで冷媒センサ16の周辺空気の湿度を低下させる故障防止制御を行う。
【0014】
図2に天井埋込型の空調機1Aを示す。空調機1Aは、室内機10Aと、室外機20と、リモコン30を備える。室内機10Aは、吸入口11Aと、ファン12Aと、室内熱交換器13Aと、吹出口14Aと、センサケース15Aと、制御装置100Aと、を備える。室内機10Aには、矢印によって示す方向に空気が流れる。センサケース15Aは、室内熱交換器13Aの近傍に設けられ、センサケース15Aには、冷媒センサ16が格納されている。室内熱交換器13Aの近傍とは、ファン12Aの空気流れ下流側の室内熱交換器13Aと吹出口14Aを含む領域H2である。センサケース15Aには、冷媒センサ16と湿度センサ17が格納されていてもよい。制御装置100Aは、ファン12A、リモコン30の制御などを行う。また、制御装置100Aは、故障防止制御を行う。
【0015】
(制御装置)
図3は、実施形態に係る制御装置の一例を示すブロック図である。
図1、
図2にて、それぞれ制御装置100、100Aを図示したが、機能自体は同様であるため、以下では
図1の構成を前提として説明を行う。
制御装置100は、例えばマイコン等のCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を備えたコンピュータである。制御装置100は、センサ情報取得部101と、空調機制御部102と、リモコン制御部103と、タイマ104と、記憶部105と、を備えている。
センサ情報取得部101は、冷媒センサ16が計測した冷媒量、湿度センサ17が計測した湿度を取得する。
空調機制御部102は、室内機10の各部や空調機1の運転を制御する。例えば、空調機制御部102は、ファン12の運転を制御する。
リモコン制御部103は、リモコン30と通信を行って、ユーザが入力した指示信号を受信したり、リモコン30に表示すべき情報などを含む指示情報をリモコン30へ送信したりする。リモコン30は、送信された指示情報に基づいて、ユーザへ通知すべき情報の表示等を行う。
タイマ104は、時間を計測する。例えば、空調機制御部102は、タイマ104を使用して、ファン12を運転する時間(例えば、10秒など)や、ファン12の運転間隔時間などを計測する。
記憶部105は、センサ情報取得部101が取得した計測値や、故障防止制御に使用する閾値、ファン12の運転時間、運転間隔時間などを記憶する。また、記憶部105は、制御装置100の機能を実現する各種プログラムを記憶する。
【0016】
(冷媒センサの故障防止制御)
次に、
図4を参照して、実施形態に係る故障防止制御のファン制御について説明する。
【0017】
[1]湿度センサ17を使用する場合
湿度センサ17を使用する場合、冷房運転後のファン12停止時に、湿度センサ17が計測した湿度が閾値以上(飽和状態となっていることを示す値、例えば、相対湿度95%以上)であれば、空調機制御部102は、ファン12を所定の回転数で短時間だけ運転する。短時間とは、室内機10内を乾燥させるのではなく、室内機10内の空気を排出するのに必要な時間である。短時間には30秒以下の時間が設定される。(10秒でも1m3の空気が循環するため、10秒以下でもよい。)短時間の送風を行った後も、湿度が再び閾値以上となれば、空調機制御部102は、ファン12を短時間だけ運転させる。空調機制御部102は、この制御を繰り返す。これにより、高湿度の空気が室内機10の外に排出され、室内熱交換器13の周辺空気の湿度を低下させることができる。室内熱交換器13の周辺空気の湿度を低下させることにより、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0018】
[2]湿度センサ17を使用しない場合
湿度センサ17が設けられていないなど、湿度センサ17を使用しない場合、冷房運転後のファン12停止時に、空調機制御部102は、ファン12を断続的に繰り返し短時間ずつ運転する。短時間とは、室内機10内の空気を排出するのに必要な時間であり、30秒以下(実際には10秒以下でよい場合が多い。)の値が設定される。例えば、空調機制御部102は、ファン停止から5分後(その間ファン12が停止していれば)に、ファン12を短時間だけ1回運転する。以降も、空調機制御部102は、6分後に短時間だけ1回、7分後に短時間だけ1回、8分後に短時間だけ1回・・・のように運転間隔を徐々に長くしながら断続的にファン12を運転する。空調機制御部102は、運転間隔を空けてファン12を短時間だけ駆動する制御をファン12の停止中継続して行ってもよいし、所定の回数繰り返したら終了してもよい。また、上記例では、ファン12の運転を繰り返すことにより高湿度の空気が減少するため、運転間隔を徐々に長くすることとしたが、例えば、定期的に5分に1回、ファン12を短時間だけ運転することとしてもよい。これにより、高湿度な空気を室内機10の外へ排出し、室内熱交換器13の周辺空気の湿度を低下させることで、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0019】
(動作)
次に
図5、
図6を参照して故障防止制御の流れを説明する。
[1]湿度センサを使用する場合
図5は、実施形態に係る故障防止制御の一例を示す第1のフローチャートである。
空調機制御部102は、冷房運転の停止を検知する(ステップS11)。冷房運転の停止とは、ユーザの指示により冷房運転を終了したときや、室内温度が冷房の設定温度に達し、一時的に冷房運転を停止しているときである。また、冷房運転の停止により、ファン12は停止する。次に、空調機制御部102は、センサ情報取得部101が取得する湿度センサ17が計測した湿度を監視し、室内熱交換器13の周辺空気が飽和状態となっているかどうかを判定する。例えば、空調機制御部102は、湿度センサ17による相対湿度の計測値が95%以上の場合、飽和状態と判定し、そうでない場合、飽和状態ではないと判定する。飽和状態ではない場合(ステップS12;No)、空調機制御部102は、湿度センサ17が計測した湿度の監視を継続する。飽和状態となった場合(ステップS12;Yes)、リモコン制御部103は、ファン12の運転をユーザに通知することを指示する指示情報をリモコン30へ送信する。リモコン30は指示情報を受信する。リモコン30は、受信した指示情報に基づいて、ファン12の運転を通知する(ステップS13)。例えば、リモコン30は、表示部に“ファンを短時間運転します”等のメッセージを、リモコン30が備える表示部(図示せず)に表示する。これにより、運転停止中にもかかわらず、ファン12が駆動することに対するユーザの心配や疑念を払拭することができる。次に空調機制御部102は、ファン12を短時間(30秒以下)だけ運転する(ステップS14)。これにより、室内熱交換器13の周辺の高湿度の空気が室内へ排出され、室内機10内の湿度を低下させることができる。短時間の運転が完了すると、ステップS12以降の処理が繰り返し実行される。これにより、室内熱交換器13の周辺空気が高湿度になることを防ぎ、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0020】
[2]湿度センサを使用しない場合
図6は、実施形態に係る故障防止制御の一例を示す第2のフローチャートである。
空調機制御部102は、冷房運転の停止を検知する(ステップS21)。次にリモコン制御部103は、ファン12の運転をユーザに通知することを指示する指示情報をリモコン30へ送信する。リモコン30は指示情報を受信し、ファン12の運転を通知する(ステップS22)。例えば、リモコン30は、ファンの運転を通知するメッセージを表示部(図示せず)に表示する。次に空調機制御部102は、断続的にファンを運転する(ステップS23)。例えば、空調機制御部102は、タイマ104が計測する時間を監視して、所定の時間間隔(例えば、5分間)でファン12を短時間(30秒以下)だけ運転する。あるいは、空調機制御部102は、ファン12の運転間隔を長時間化しつつ(運転頻度を低下させつつ)、断続的に繰り返し、短時間だけファンを運転する。例えば、空調機制御部102は、冷房運転の停止から5分後に短時間だけファンを運転し、その6分後に短時間だけファンを運転し、さらにその7分後に短時間だけファンを運転し・・・といった運転を実行する。空調機制御部102は、これらの運転を、例えば、冷房運転の停止後1時間を上限として実行する。これにより、室内熱交換器13の周辺の高湿度の空気が排出され、湿度を低下させることができ、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0021】
(暖房運転への適用)
上記の実施例では、冷房運転の停止時にファン12を短時間だけ運転することで、室内機10内の高湿度な空気を室内の空気と交換する制御について説明した。しかし、故障防止制御は、冷房運転に限らず、暖房運転に適用してもよい。例えば、冷房運転後、暖房運転に切り替えると、冷房運転によって室内熱交換器13の内部等に付着した水分が熱せられて蒸発し、冷媒センサ16周辺の湿度が上昇する場合がある。このような状況によって冷媒センサ16が故障することを防止するために、暖房運転後のファン12の停止時(つまり、暖房運転停止時)にファン12を短時間だけ駆動して、室内機10内の高湿度の空気を室内へ排出してもよい。湿度センサ17を利用する場合、
図5で説明した処理(ステップS12以降)によって、ファン12を制御することができる。即ち、空調機制御部102は、湿度センサ17が計測する湿度を監視し、湿度が閾値以上となると、ファン12を短時間だけ運転する。湿度センサ17を利用しない場合、例えば、空調機制御部102が記憶部105に運転履歴(例えば、冷房運転や暖房運転の開始終了時刻を示す時刻歴データ)を記録しておき、空調機制御部102が、現在の暖房運転が、冷房運転の直後に実行されたものかどうかを判定し、冷房運転後、暖房運転に切り替えられた場合には、
図6と同様の処理(ステップS22以降)によって、ファン12を制御する用にしてもよい。あるいは、冷房運転後であるか否かにかかわらず、暖房運転後のファン12の停止時に故障防止制御を実行するようにしてもよい。これにより、暖房運転時であっても室内熱交換器13の周辺空気が高湿度となることを回避し、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0022】
なお、
図5、
図6の処理は、制御装置100が備えるプロセッサが、記憶部105からプログラムを読み出して実行することで実現される機能である。
【0023】
以上、説明したように本実施形態によれば、冷媒センサ16の周辺空気の湿度が上昇し、冷媒センサ16が故障しやすい環境となると、ファン12を運転して、高湿度の空気を室内機外へ排出する。これにより、安価な半導体式の冷媒センサ16を、室内熱交換器13の近傍に配置しつつ、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0024】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0025】
<付記>
各実施形態に記載の空調機および制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0026】
(1)第1の態様の空調機1,1Aは、ファン12と、前記ファンの空気の流れ方向の後流側に設けられた室内熱交換器13と、前記室内熱交換器13の近傍に設けられる冷媒センサ16と、を備える室内機10と、室外機20と、制御装置100と、を備え、前記制御装置100が、冷房運転の停止時に前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間(30秒以下)、前記ファン12を運転する。
これにより、安価な半導体式の冷媒センサ16を、室内熱交換器13の近傍に配置しつつ、冷媒センサ16の故障を防止することができる。
【0027】
(2)第2の態様に空調機1は、(1)の空調機1であって、前記室内機は、前記冷媒センサの近傍に湿度センサを備え、前記制御装置は、冷房運転の停止時に前記湿度センサが計測する湿度が閾値以上となると前記設定時間、前記ファンを運転する。
冷媒センサ16の近傍に設けた湿度センサによって、高湿度となっている状況においてのみファン12を運転するので効率よく、冷媒センサ16の周辺空気の湿度を適切な範囲に管理することができる。
【0028】
(3)第3の態様に係る空調機1Aは、(1)の空調機1Aであって、前記制御装置は、冷房運転の停止時に所定の時間ごとに前記設定時間ずつ前記ファンを運転する。
これにより、湿度センサを設けることなく、冷媒センサ16の周辺空気の湿度が上昇しないように制御することができる。
【0029】
(4)第4の態様に係る空調機1Aは、(1)の空調機1Aであって、前記制御装置は、冷房運転の停止時に、前記ファンの運転間隔を長くしつつ、断続的に繰り返し、前記設定時間ずつ前記ファンを運転する。
これにより、湿度センサを設けることなく、冷媒センサ16の周辺空気の湿度が上昇しないように制御することができる。また、ファン12の運転を行うにつれ、室内機10内の湿度は低下していくと考えられるが、これに応じて運転間隔を長くするので、ファン12の運転を抑制することができる。
【0030】
(5)第5の態様に係る空調機1、1Aは、(1)~(4)の空調機1、1Aであって、前記室内熱交換器の近傍とは、前記ファンの空気流れ下流側の前記室内熱交換器と前記室内熱交換器にて熱交換した空気を室内へ吹き出すための吹出口を含む領域の何れかである。
冷媒センサ16を熱交換器の近傍に設けることができるので、速やかに冷媒漏洩の検知を行うことができる。
【0031】
(6)第6の態様に係る空調機1、1Aは、(1)~(5)の空調機1、1Aであって、前記冷媒センサは、半導体式の冷媒センサである。
故障リスクを低減することができるので、半導体式の冷媒センサを用いることができる。
【0032】
(7)第7の態様に係る空調機1、1Aは、(1)~(5)の空調機1、1Aであって、前記制御装置が、冷房運転後の暖房運転の停止時に、前記設定時間だけ前記ファンを運転する。
冷房運転時だけではなく、暖房運転時の湿度上昇にも対応することができる。
【0033】
(8)第8の態様に係る制御方法は、ファンと、前記ファンの空気の流れ方向の後流側に設けられた室内熱交換器と、前記室内熱交換器の近傍に設けられる冷媒センサと、を備える室内機と、室外機と、を備える空調機の制御方法であって、冷房運転の停止時に前記室内機内の空気を排出するために必要な時間である所定の設定時間、前記ファンを運転する。
【符号の説明】
【0034】
1、1A・・・空調機
10、10A・・・室内機
11、11A・・・吸入口
12、12A・・・ファン
13、13A・・・室内熱交換器
14、14A・・・吹出口
15、15A・・・センサケース
16・・・冷媒センサ
17・・・湿度センサ
20・・・室外機
30・・・リモコン
100・・・制御装置
101・・・センサ情報取得部
102・・・空調機制御部
103・・・リモコン制御部
104・・・タイマ
105・・・記憶部