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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116690
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20240821BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20240821BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20240821BHJP
   F16L 21/06 20060101ALI20240821BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240821BHJP
   E04D 13/08 20060101ALI20240821BHJP
   E03F 5/20 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
E04D13/04 D
F16L1/00 C
F16L23/02 Z
F16L21/06
E03C1/12 D
E04D13/04 E
E04D13/08 301A
E03F5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022440
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 将成
(72)【発明者】
【氏名】芦塚 良介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 響子
【テーマコード(参考)】
2D061
2D063
3H015
3H016
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB07
2D061AD01
2D063BA15
2D063BA16
2D063DC01
3H015DA02
3H015DA11
3H016AC01
3H016AD05
(57)【要約】
【課題】施工性を向上させて接合品質を高める。
【解決手段】配管構造10は、屋上に設けられるルーフドレン11と、上端がルーフドレンに接続され、下端12aが屋上スラブSよりも下方に位置する第1管12と、上端13aが第1管12の下端に接続される第2管13と、を備え、第1管12および第2管13は、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上に設けられるルーフドレンと、
上端が前記ルーフドレンに接続され、下端が屋上スラブよりも下方に位置する第1管と、
上端が前記第1管の下端に接続される第2管と、を備え、
前記第1管および前記第2管は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合される、配管構造。
【請求項2】
前記第1管および前記第2管にパッキン接触部が設けられている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記パッキン接触部は、前記第1管の端面および前記第2管の端面に設けられている、請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記パッキン接触部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面に設けられている、請求項2に記載の配管構造。
【請求項5】
前記第1管の材質と前記第2管の材質とは異なる、請求項1に記載の配管構造。
【請求項6】
前記ルーフドレンは、サイフォン現象を誘発可能である、請求項1に記載の配管構造。
【請求項7】
前記第1管と前記第2管とを機械的に接合する接合部材を更に備え、
前記接合部材の少なくとも一部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側に配置される、請求項1に記載の配管構造。
【請求項8】
屋上に設けられるルーフドレンと、
上端が前記ルーフドレンに接続され、下端が屋上スラブよりも下方に位置する第1管と、
前記屋上スラブの下方に配置され、上端が前記第1管の下端に接続される第2管と、
前記第1管と前記第2管とを機械的に接合する接合部材と、を備え、
前記接合部材の少なくとも一部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側に配置される、配管構造。
【請求項9】
前記接合部材は、少なくともボルトを含む、請求項7または8に記載の配管構造。
【請求項10】
前記第1管の下端および前記第2管の上端それぞれには、フランジが設けられ、
前記ボルトは、前記第1管のフランジおよび前記第2管のフランジを上下方向に貫通する、請求項9に記載の配管構造。
【請求項11】
前記接合部材は、前記第1管および前記第2管が嵌合される継手を更に備え、
前記ボルトは、前記継手のうちの前記第1管および前記第2管を回避した位置を貫通する、請求項9に記載の配管構造。
【請求項12】
前記第1管の下端および前記第2管の上端のうち、一方は、受口であり、他方は、外周面に環状の凹部が設けられた差口であり、
前記接合部材は、
前記受口に設けられ、前記凹部に嵌合するリングと、
前記受口に設けられ、前記凹部に嵌合した前記リングの前記凹部からの離脱を規制するストッパーと、を含む、請求項7または8に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下記特許文献1に記載の配管構造が知られている。この配管構造は、床構造物の上面に配置されるルーフドレンと、床構造物に形成され床構造物の上面から下面に貫通する貫通孔に配置される接続短管と、接続短管の下端部と接続される樹脂配管と、接続短管と樹脂配管とを接続するスクリュージョイントと、を備えている。スクリュージョイントは、接続短管にネジ接続される一方、樹脂配管に電気融着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-153224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ルーフドレン下で接続短管とスクリュージョイントとを接続する場合、大口径のネジ接続となり、接続短管の雌ネジとスクリュージョイントの雄ネジとを、それぞれパイプレンチで把持する必要があり、施工性が悪い。特にルーフドレンとの施工は天井周辺での施工になるため、天井面や、天井面に配置された他の配管や機器と干渉しやすい。またこのような大口径のネジ接合では、標準締め付けトルクが非常に大きくなるため、適正なトルクで締め込むことが難しい。そして、ねじが緩すぎたり締めすぎたりすると不具合が発生する。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、施工性を向上させて接合品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る配管構造は、屋上に設けられるルーフドレンと、上端が前記ルーフドレンに接続され、下端が屋上スラブよりも下方に位置する第1管と、上端が前記第1管の下端に接続される第2管と、を備え、前記第1管および前記第2管は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合される。
【0007】
第1管および第2管が、第1管の外周面および第2管の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合される。よって、前記従来技術のように、例えば、第1管の下端の内周面に設けられた雌ネジと、第2管の上端の外周面に設けられた雄ネジと、を螺着(ネジ嵌合)させるなどといった必要がない。さらに、第1管および第2管を現場溶接する必要もない。これにより、施工に必要となる空間を抑えて施工性を高めるとともに、接合品質のばらつきも抑えて接合品質を高めることができる。
【0008】
<2>上記<1>に係る配管構造では、前記第1管および前記第2管にパッキン接触部が設けられている構成を採用してもよい。
<3>上記<2>に係る配管構造では、前記パッキン接触部は、前記第1管の端面および前記第2管の端面に設けられている構成を採用してもよい。
<4>上記<2>に係る配管構造では、前記パッキン接触部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面に設けられている構成を採用してもよい。
【0009】
第1管および第2管にパッキン接触部が設けられている。これにより、第1管と第2管との接合部分におけるシール性を高めることができる。
ここで一般的に、前記従来技術のような口径が大きいネジ接続ほど、施工のバラツキにより漏水する危険性が高まる。大口径のネジの施工がバラツキやすい理由は、大口径のネジ程、シール材(例えば、シールテープや液状シール材)を使用する面積が大きくなり、その結果、シールテープでは重ねムラ、液状シール材では塗布ムラが発生しやすくなることである。
よって、このような大口径のネジの施工が不要な本態様によれば、シール性を効果的に高めることができる。
【0010】
<5>上記<1>から<4>のいずれか1態様に係る配管構造では、前記第1管の材質と前記第2管の材質とは異なる構成を採用してもよい。
【0011】
第1管の材質と第2管の材質とは異なる。よって、異材質の管を接合することができる。
【0012】
<6>上記<1>から<5>のいずれか1態様に係る配管構造では、前記ルーフドレンは、サイフォン現象を誘発可能である構成を採用してもよい。
【0013】
ルーフドレンが、サイフォン現象を誘発可能である。排水用の配管構造においてサイフォン現象が誘発されると、排水能力が高まる。よって、排水能力を確保しつつ、管を小径化することができる。これにより、前述の作用効果が顕著に奏功される。
【0014】
<7>上記<1>から<5>のいずれか1態様に係る配管構造では、前記第1管と前記第2管とを機械的に接合する接合部材を更に備え、前記接合部材の少なくとも一部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側に配置される構成を採用してもよい。
<8>本発明の一態様に係る配管構造は、屋上に設けられるルーフドレンと、上端が前記ルーフドレンに接続され、下端が屋上スラブよりも下方に位置する第1管と、前記屋上スラブの下方に配置され、上端が前記第1管の下端に接続される第2管と、前記第1管と前記第2管とを機械的に接合する接合部材と、を備え、前記接合部材の少なくとも一部は、前記第1管の外周面および前記第2管の外周面よりも径方向の外側に配置される。
<9>上記<7>または<8>に係る配管構造では、前記接合部材は、少なくともボルトを含む構成を採用してもよい。
<10>上記<9>に係るルーフドレンでは、前記第1管の下端および前記第2管の上端それぞれには、フランジが設けられ、前記ボルトは、前記第1管のフランジおよび前記第2管のフランジを上下方向に貫通する構成を採用してもよい。
<11>上記<9>に係る配管構造では、前記接合部材は、前記第1管および前記第2管が嵌合される継手を更に備え、前記ボルトは、前記継手のうちの前記第1管および前記第2管を回避した位置を貫通する構成を採用してもよい。
<12>上記<7>または<8>に係る配管構造では、前記第1管の下端および前記第2管の上端のうち、一方は、受口であり、他方は、外周面に環状の凹部が設けられた差口であり、前記接合部材は、前記受口に設けられ、前記凹部に嵌合するリングと、前記受口に設けられ、前記凹部に嵌合した前記リングの前記凹部からの離脱を規制するストッパーと、を含む構成を採用してもよい。
【0015】
配管構造が、第1管と第2管とを機械的に接合する接合部材を備えている。そして、接合部材の少なくとも一部が、第1管の外周面および第2管の外周面よりも径方向の外側に配置される。これにより、例えば、接合部材の全体が、第1管の外周面および第2管の外周面よりも径方向の内側に位置する場合に比べて、接合部材に対して径方向の外側から作業しやすくなる。その結果、施工性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、施工性を向上させて接合品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る配管構造を示す斜視図である。
図2図1に示す配管構造の一部断面を含む側面図である。
図3図2に示す配管構造の施工に必要な空間を説明する側面図である。
図4】比較例に係る配管構造の施工に必要な空間を説明する側面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る配管構造の一部断面を含む側面図である。
図6図5に示すVI-VI断面矢視図である。
図7図5に示す配管構造の施工に必要な空間を説明する側面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る配管構造の一部断面を含む側面図である。
図9図8に示す配管構造の受口と差口との接合前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図1から図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る配管構造10を説明する。
図1から図3に示すように、配管構造10は、ルーフドレン11と、第1管12(接続短管)と、第2管13と(下部配管)と、を備えている。
【0019】
ルーフドレン11は、建築物の屋上に設けられている。ルーフドレン11は、例えば、屋上の水(例えば雨水)を排水する。ルーフドレン11は、屋上スラブS上に配置されている。屋上スラブSには、貫通孔S1が設けられている。貫通孔S1は、屋上スラブSを上下方向に貫通している。ルーフドレン11は、貫通孔S1上に配置されている。なお、屋上スラブSの下方には、パイプスペースが設けられている。パイプスペースは、例えば、パネル(天井パネル)等によって下方から覆われている。
【0020】
ルーフドレン11は、サイフォン現象を誘発可能である。ルーフドレン11は、ベースプレート14と、筒15と、蓋16と、リブ17と、を備えている。ベースプレート14は、環状である。ベースプレート14は、貫通孔S1と同軸に配置されている。筒15は、ベースプレート14の内周縁から下方に延びている。蓋16は、ベースプレート14の内周縁および筒15を上方から覆う。リブ17は、ベースプレート14から上方に延びている。リブ17は、ベースプレート14と蓋16とを連結する。リブ17は、ベースプレート14の周方向に間隔をあけて複数配置されている。周方向に隣り合うリブ17の間には、開口18が設けられている。なお図示の例では、蓋16およびリブ17が一体に成形されている。これらの蓋16およびリブ17は、エアバッフルを構成している。
【0021】
屋上の水は、前記開口18を通過するときにリブ17によって整流される。その結果、ルーフドレン11に流入する水に空気が混入し難くなる。このとき、例えば、屋上の水の水位が蓋16の高さ以下であると、ルーフドレン11に流入する水に空気が一層混入し難くなる。結果として、配管構造10においてサイフォン現象が誘発され易くなる。前記開口18を通過した水は、筒15の上端内に設けられた落し口を更に通過して下方に流れる。
【0022】
なお、蓋16およびリブ17のうちの一方がなくてもよい。この場合でも、ルーフドレン11はサイフォン現象を誘発可能である。ルーフドレン11は、蓋16のみによりサイフォン現象を誘発可能であってもよく、リブ17のみによりサイフォン現象を誘発可能であってもよい。また、蓋16およびリブ17の両方がなくてもよい。ルーフドレン11が、サイフォン現象を誘発可能でなくてもよい。また、ルーフドレン11の構成は上記構成に限られない。例えば、ベースプレート14と前記エアバッフルとの間に、クランプリングなどの他の部材があってもよい。
【0023】
第1管12の上端は、ルーフドレン11に接続されている。第1管12の上端は、筒15に螺着(ねじ嵌合)されている。図示の例では、第1管12の外周面に雄ネジが設けられ、筒15の内周面に雌ネジが設けられている。第1管12は、筒15から下方に延びている。第1管12の下端12aは、屋上スラブSよりも下方に位置している。第1管12の下端12aは、屋上スラブSから下方に突出している。
【0024】
第2管13の上端13aは、第1管12の下端12aに接続される。第2管13は、第1管12から下方に延びている。第2管13の下端は、パイプスペースに位置していてもよい。この場合、第2管13の下端は、前記パネル(天井パネル)の上方に位置している。第2管13の下端は、例えば、エルボやチーズ等を介して、横管に接続されている。横管は、ルーフドレン11から流れ込んだ水をパイプスペース内で水平方向に移送する。横管には、水を建築物の下方に流す立管が接続されている。なお例えば、第2管13と立管とが近い場合などには、第2管13の下端が、横管を介さずに立管に接続されていてもよい。
【0025】
ここで、第1管12の材質と第2管13の材質とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1管12の材質および第2管13の材質が、いずれも金属(例えば、配管用炭素鋼鋼管(SGP)、ステンレス、アルミニウム等)であってもよい。さらに例えば、第1管12の材質が金属(例えば、配管用炭素鋼鋼管(SGP)、ステンレス、アルミニウム等)である一方、第2管13の材質が樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂や、オレフィン系樹脂(具体的には、ポリオレフィン等))であってよい。
第1管12および第2管13の呼び径は、例えば、ルーフドレン11がサイフォン現象を誘発可能な場合、50A~100A程度であることが好ましい。また、第1管12および第2管13の呼び径は、例えば、ルーフドレン11がサイフォン現象を誘発可能でない場合、50A~200A程度であることが好ましい。
【0026】
そして本実施形態では、第1管12および第2管13は、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合されている。本実施形態では、第1管12および第2管13を接合する機械的な接合として、フランジ19a、19bを利用したボルト接合(いわゆるフランジ接合)が採用されている。
【0027】
配管構造10は、第1管12と第2管13とを機械的に接合する接合部材20を備えている。接合部材20は、少なくともボルト21を含んでいる。本実施形態では、接合部材20は、ボルト21に加えてナット22を含んでいる。接合部材20の少なくとも一部は、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側に配置されている。本実施形態では、接合部材20の全体が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側に配置されている。図示の例では、ボルト21およびナット22が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側に配置されている。その結果、本実施形態では、第1管12および第2管13は、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合されている。
【0028】
第1管12の下端12a、および、第2管13の上端13aそれぞれには、フランジ19a、19bが設けられている。第1管12の下端12aには、フランジ19a、19bとして第1フランジ19aが設けられている。第2管13の上端13aには、フランジ19a、19bとして第2フランジ19bが設けられている。図示の例では、各フランジ19a、19bは、第1管12の下端12aや第2管13の上端13aと一体である。
【0029】
ただしフランジ19a、19bは、第1管12の下端12aや第2管13の上端13aと別体であってもよい。フランジ19a、19bは、第1管12や第2管13に対して上下方向に相対的に移動可能であってもよい。言い換えると、フランジ19a、19bが、いわゆるルーズフランジであってもよい。例えば、第1フランジ19aがルーズフランジで、第2フランジ19bが、第2管13と一体のフランジであってもよい。第2フランジ19bがルーズフランジで、第1フランジ19aが、第1管12と一体のフランジであってもよい。第1フランジ19aおよび第2フランジ19bの両方がルーズフランジであってもよい。また、フランジ19a、19bとして、第1管12や第2管13とは独立したフランジを含む継手部材(例えば、日本金属継手協会規格「JPF MDJ-002」で規定されている排水鋼管用可とう継手)を用いてもよい。
【0030】
ボルト21は、第1フランジ19aおよび第2フランジ19bを上下方向に貫通する。ボルト21の頭部とナット22とは、第1フランジ19aおよび第2フランジ19bを上下方向に挟む。これにより、第1管12および第2管13が機械的に接合(ボルト接合)されている。
【0031】
ここで本実施形態では、配管構造10は、パッキン23(ガスケット)を備えている。第1管12および第2管13にパッキン接触部23aが設けられている。パッキン接触部23aとは、パッキン23が接触する部分である。パッキン23は、第1管12と第2管13との間を止水(シール)する。パッキン23は、弾性部材(例えば、ゴム)であってもよく、弾性部材でなくてもよい。パッキン23は、環状である。図示の例では、パッキン23は、第1フランジ19aと第2フランジ19bとの間に配置されている。パッキン23は、第1フランジ19aおよび第2フランジ19bとともに、ボルト21およびナット22によって上下方向に挟まれている。このような配管構造10では、パッキン接触部23aは、第1管12の端面および第2管13の端面に設けられている。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る配管構造10によれば、第1管12および第2管13が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側で機械的に接合される。よって、前記従来技術のように、例えば、第1管12の下端12aの内周面に設けられた雌ネジと、第2管13の上端13aの外周面に設けられた雄ネジと、を螺着(ネジ嵌合)させるなどといった必要がない。さらに、第1管12および第2管13を現場溶接する必要もない。これにより、施工に必要となる空間を抑えて施工性を高めるとともに、接合品質のばらつきも抑えて接合品質を高めることができる。
【0033】
配管構造10が、第1管12と第2管13とを機械的に接合する接合部材20を備えている。そして、接合部材20の少なくとも一部が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側に配置される。これにより、例えば、接合部材20の全体が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の内側に位置する場合に比べて、接合部材20に対して径方向の外側から作業しやすくなる。その結果、施工性を一層高めることができる。
【0034】
第1管12および第2管13にパッキン接触部23aが設けられている。これにより、第1管12と第2管13との接合部分におけるシール性を高めることができる。
ここで一般的に、前記従来技術のような口径が大きいネジ接続ほど、施工のバラツキにより漏水する危険性が高まる。大口径のネジの施工がバラツキやすい理由は、大口径のネジ程、シール材(例えば、シールテープや液状シール材)を使用する面積が大きくなり、その結果、シールテープでは重ねムラ、液状シール材では塗布ムラが発生しやすくなることである。
よって、このような大口径のネジの施工が不要な本実施形態によれば、シール性を効果的に高めることができる。
【0035】
ルーフドレン11が、サイフォン現象を誘発可能である。排水用の配管構造10においてサイフォン現象が誘発されると、排水能力が高まる。よって、排水能力を確保しつつ、管を小径化することができる。これにより、前述の作用効果が顕著に奏功される。
【0036】
ここで、本実施形態に係る配管構造10の施工性について定量的に評価する。
【0037】
(トルク)
第1管12および第2管13を金属製、第1管12および第2管13の呼び径を50A~150Aと仮定する。この場合であって、図4に示す従来技術(比較例)の配管構造100のように、第1管12の下端12aが雌ねじであり、第2管13の上端13aが雄ねじである場合を更に仮定する。この場合、例えばパイプレンチを用いて第1管12の下端12aと第2管13の上端13aとを螺着させるためには、200~600N・m程度のトルクが必要となる。なおこの配管構造10では、第2管13は、いわゆるスクリュージョイント(異種管接続用の変換継手)である。
【0038】
一方、図1から図3に示すような、いわゆる一般的なフランジ接合では、例えば、一般的なラチェットレンチを用いてボルト21を螺着させることができ、4~12N・m程度のトルクで足りる。さらに、第1管12が金属製でフランジ19a、19bと一体であり、第2管13側のフランジ19a、19bがルーズフランジである場合であっても、32~60N・m程度のトルクで足りる。さらに、排水鋼管用可とう継手を採用した場合であっても、44N・m程度のトルクで足りる。
【0039】
以上から、本実施形態に係る配管構造10によれば、前記従来技術に係る配管構造100に比べて、施工に必要とされるトルクが大幅に低下する。
【0040】
(空間)
また、図4に示す従来技術の配管構造100では、屋上スラブSの下方には、以下のL1~L4分の高さが必要になる。
L1:第1管12の下端12aにおいてレンチによって把持される部分の厚み(50mm)
L2:第2管13の上端13aにおける雄ねじ長さ(20~35mm)
L3:第1管12の下端12aにおいてレンチによって把持される部分の厚み(9~20mm)
L4:第2管13(スクリュージョイント)の残部長さ(80~200mm)
これらの合計高さは、159~305mmであり、上下方向に、この程度の空間が必要となる。
またパイプレンチを回すため、水平方向に、第1管12や第2管13を基準として半径350~750mm程度の空間も必要となる。
【0041】
一方、図1から図3に示す本実施形態の配管構造10のような、いわゆる一般的なフランジ接合では、屋上スラブSの下方には、以下のL1、L5~L7分の高さが必要になる。なおL1が共通しているのは、第1管12を筒15に螺着するときにパイプレンチが必要となるためである。
L1:第1管12の下端12aにおいてレンチによって把持される部分の厚み(50mm)
L5:フランジ19a、19bの厚み(16~24mm)
L6:パッキン23の厚み(3mm)
L7:第2管13の残部長さ(100~150mm)
これらの合計高さ(L5についてはフランジ19a、19bが2つあるため2倍した値)は、185~251mmであり、上下方向に、この程度の空間が必要となる。
またレンチについては、パイプレンチのような大型の工具ではなく、一般的なラチェットレンチで足りるため、水平方向に、第1管12や第2管13を基準として半径200~400mm程度の空間が必要となる。
【0042】
以上から、本実施形態に係る配管構造10によれば、前記従来技術に係る配管構造10に比べて、施工に必要とされる空間が低減する。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る配管構造10Aを、図5から図7を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0044】
本実施形態に係る配管構造10Aでは、接合部材20が、ボルト21およびナット22に加えて、継手24を更に備えている。継手24には、第1管12および第2管13が嵌合されている。図示の例では、接合部材20は、いわゆるハウジングである。継手24は、筒状である。継手24は、周方向に2分割されている。継手24は、2つの分割体24aを含む。各分割体24aは、半円弧状である。配管構造10Aは、2組のボルト21およびナット22を備えている。配管構造10Aは、ボルト21およびナット22を2つずつ備えている。
【0045】
2組のボルト21およびナット22のうち、第1組のボルト21およびナット22は、両分割体24aの周方向の第1端同士を接合する。2組のボルト21およびナット22のうち、第2組のボルト21およびナット22は、両分割体24aの周方向の第2端同士を接合する。ボルト21は、分割体24aの周方向の第1端または第2端(継手24のうちの第1管12および第2管13を回避した位置)を水平方向に貫通する。ボルト21の頭部およびナット22は、両分割体24aの周方向の第1端同士、または、第2端同士を水平方向に挟み込む。これにより、継手24(2つの分割体24a)が、第1管12および第2管13を水平方向に挟み込んで接合する。ボルト21が絞め込まれることで、継手24によって第1管12および第2管13を掴む強度が高くなる。
【0046】
このように本実施形態では、継手24としていわゆるハウジングを採用している。しかしながら、継手24として、ハウジングに代えて、日本水道協会規格「水道用ポリエチレン管金属継手」(JWWA B 116:2012)に準ずる他の構成を採用することも可能である。例えば、ボルト21が、継手24のうちの第1管12および第2管13を回避した位置を、水平方向ではなく上下方向に貫通してもよい。この場合であっても、ボルト21が絞め込まれることで、継手24によって第1管12および第2管13を掴む強度が高くなる構成を採用することができる。
【0047】
ここで、第1管12の下端12aおよび第2管13の上端13aには、グルーブ12b、13bが設けられている。グルーブ12b、13bは、周方向に延びる溝である。グルーブ12b、13bは、周方向の全周にわたって連続して延びている。第1管12の下端12aには、グルーブ12b、13bとして第1グルーブ12bが設けられている。第1グルーブ12bは、第1管12の下端縁よりも上方に位置している。第2管13の上端13aには、グルーブ12b、13bとして第2グルーブ13bが設けられている。第2グルーブ13bは、第2管13の上端縁よりも下方に位置している。
【0048】
各グルーブ12b、13bには、継手24(分割体24a)が嵌合する。第1グルーブ12bには、継手24の上端が嵌合される。第2グルーブ13bには、継手24の下端が嵌合される。これにより、継手24による第1管12および第2管13の接合がより強固になる。
【0049】
また本実施形態では、パッキン23は、第1管12および第2管13に対して径方向の外側から嵌合している。1つのパッキン23が、第1管12の下端12aおよび第2管13の上端13aに跨って嵌合されている。パッキン23の上端は、第1グルーブ12bよりも下方、かつ、第1管12の下端縁よりも上方に位置している。パッキン23の下端は、第2グルーブ13bよりも上方、かつ、第2管13の上端縁よりも下方に位置している。パッキン23は、継手24によって径方向の外側から覆われている。パッキン23は、継手24における上端と下端との間に位置している。
【0050】
以上のような配管構造10Aにおいて、パッキン接触部23aは、第1管12の外周面および第2管13の外周面に設けられている。第1管12のパッキン接触部23aは、第1管12の外周面のうち、第1グルーブ12bよりも下方、かつ、第1管12の下端縁よりも上方に位置する部分である。第2管13のパッキン接触部23aは、第2管13の外周面のうち、第2グルーブ13bよりも上方、かつ、第2管13の上端縁よりも下方に位置する部分である。このように、パッキン接触部23aが、第1管12および第2管13の端面ではなく外周面にあることで、第1管12および第2管13の端面同士が突き当たる。
【0051】
ここで、本実施形態に係る配管構造10Aの施工性について定量的に評価する。
【0052】
(トルク)
一方、図5および図6に示すような、いわゆるハウジングでは、例えば、一般的なパイプレンチを用いてボルト21を螺着させるために、20~105N・m程度のトルクで足りる。さらに、日本水道協会規格「水道用ポリエチレン管金属継手」(JWWA B 116:2012)に準ずる他の構成を採用した場合であっても、20~180N・m程度、または、25~80N・m程度のトルクで足りる。
【0053】
以上から、本実施形態に係る配管構造10Aによれば、前記従来技術に係る配管構造100に比べて、施工に必要とされるトルクが大幅に低下する。
【0054】
(空間)
また、図5および図6に示す本実施形態の配管構造10Aのような、いわゆるハウジングでは、屋上スラブSの下方には、以下のL1、L7、L8分の高さが必要になる。
L1:第1管12の下端12aにおいてレンチによって把持される部分の厚み(50mm)
L8:グルーブ12b、13bから第1管12の下端縁または第2管13の上端縁までの距離(24mm)
L4:第2管13の残部長さ(100~150mm)
これらの合計高さ(L8についてはグルーブ12b、13bが2つあるため2倍した値)は、198~248mmであり、上下方向に、この程度の空間が必要となる。
またレンチについては、パイプレンチのような大型の工具ではなく、一般的なラチェットレンチで足りるため、水平方向に、第1管12や第2管13を基準として半径200~400mm程度の空間が必要となる。
【0055】
以上から、本実施形態に係る配管構造10Aによれば、前記従来技術に係る配管構造100に比べて、施工に必要とされる空間が低減する。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る配管構造10Bを、図8および図9を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
本実施形態に係る配管構造10Bでは、第1管12の下端12aおよび第2管13の上端13aのうち、一方は、受口31であり、他方は、差口32である。図示の例では、第1管12の下端12aが受口31であり、第2管13の上端13aが差口32である。ただし、第1管12の下端12aが差口32であり、第2管13の上端13aが受口31であってもよい。
【0058】
受口31には、スリット33が設けられている。スリット33は、周方向に延びている。スリット33は、受口31の周方向に沿って、半周以上、かつ、全周未満、延びている。スリット33は、受口31を径方向に貫通している。差口32には、凹部34が設けられている。凹部34は、環状である。凹部34は、差口32の外周面に設けられている。凹部34は、スリット33と上下方向の位置が同等である。
【0059】
そして本実施形態では、接合部材20が、ボルト21およびナット22に代えて、リング35およびストッパー36を備えている。
リング35は、受口31に設けられている。リング35は、スリット33内に配置されている。リング35は、スリット33から径方向の外側に向けて露出している。リング35は、上下方向から見た平面視においてC字状である。リング35は、弾性変形可能である。リング35は、例えば、リング35の周端部同士が周方向に離れるように弾性変形可能である。この場合、リング35が拡径する。リング35は、例えば、リング35の周端部同士が周方向に接近するように弾性変形可能である。この場合、リング35が縮径する。リング35は、凹部34に嵌合している。これにより、差口32が受口31から抜け出ることが規制されている。
【0060】
ストッパー36は、受口31に設けられている。ストッパー36は、凹部34に嵌合したリング35の凹部34からの離脱を規制する。ストッパー36は、環状である。ストッパー36は、周方向の全周にわたって連続して延びている。ストッパー36は、受口31の外周面に配置されている。ストッパー36は、リング35を径方向の外側から覆う。これにより、ストッパー36が、リング35が径方向の外側に向けて拡径するように弾性変形ことを規制する。ストッパー36は、受口31にスライド移動可能に設けられている。
【0061】
以上のような接合部材20では、接合部材20のうちのストッパー36が、第1管12の外周面および第2管13の外周面よりも径方向の外側に位置している。
【0062】
また本実施形態では、パッキン23は、受口31と差口32との間に設けられている。図示の例では、パッキン23は2つ設けられている。パッキン23は、第1パッキン37と、第2パッキン38と、を含む。第1パッキン37は、受口31の基端と、差口32の先端と、の間に設けられている。第1管12において、受口31は、他の部分に比べて拡径している。第1管12の内周面のうち、受口31の基端には、段が設けられている。第1パッキン37は、この段と、差口32の先端と、との間に配置されている。第2パッキン38は、受口31の内周面と、差口32の外周面と、との間に配置されている。
【0063】
以上のような配管構造10Bは、2組のパッキン接触部23aを備えている。1組目のパッキン接触部23aは、受口31の内周面と、差口32の先端面と、に設けられている。2組目のパッキン接触部23aは、受口31の内周面と、差口32の外周面と、に設けられている。
【0064】
このような配管構造10Bでは、図9に示すように、受口31と差口32との接合前の状態において、ストッパー36が、リング35に対して上下方向にずらされている。この状態で、差口32が受口31内に挿入されると、差口32において凹部34よりも上方に位置する部分が、リング35を強制的に弾性変形させて拡径させる。差口32が受口31に対して十分上昇し、凹部34の上下方向の位置がリング35の上下方向の位置と重なると、リング35の強制的な弾性変形が解除され、リング35が復元変形して縮径する。これにより、リング35が凹部34に嵌合される。その後、ストッパー36を上下方向にスライド移動させ、ストッパー36にリング35を径方向の外側から覆わせる。
【0065】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0066】
例えば、パッキン23がなくてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10、10A、10B 配管構造
11 ルーフドレン
12 第1管
12a 下端
13 第2管
13a 上端
19a、19b フランジ
20 接合部材
21 ボルト
23 パッキン
23a パッキン接触部
24 継手
31 受口
32 差口
34 凹部
35 リング
36 ストッパー
S 屋上スラブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9