(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011670
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ニューマチックアンローダ
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20240118BHJP
B65G 53/26 20060101ALI20240118BHJP
B65G 67/60 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
B65G65/40 B
B65G53/26
B65G67/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113877
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】杉田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
【テーマコード(参考)】
3F047
3F075
3F077
【Fターム(参考)】
3F047AA04
3F047AB01
3F047BA02
3F047CA01
3F075AA08
3F075BA02
3F075CC29
3F075CD11
3F077DB09
(57)【要約】
【課題】隙間調整の作業を無くしてメンテナンス頻度を低減する。
【解決手段】ニューマチックアンローダは、吸引された荷を貯留するレシーバタンク2と、レシーバタンクの出口部31に、下方から順に直列的に設けられた第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2と、第1スライドゲートと第2スライドゲートの間の位置における荷の有無を検出するための第1レベルセンサS1と、第2スライドゲートより上方の位置における荷の有無を検出するための第2レベルセンサS2と、第1レベルセンサおよび第2レベルセンサの検出結果に基づいて第1スライドゲートおよび第2スライドゲートを制御する制御装置Eとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引された荷を貯留するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクの出口部に、下方から順に直列的に設けられた第1スライドゲートおよび第2スライドゲートと、
前記第1スライドゲートと前記第2スライドゲートの間の位置における荷の有無を検出するための第1レベルセンサと、
前記第2スライドゲートより上方の位置における荷の有無を検出するための第2レベルセンサと、
前記第1レベルセンサおよび前記第2レベルセンサの検出結果に基づいて前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する制御装置と、
を備えることを特徴とするニューマチックアンローダ。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1スライドゲートと前記第1レベルセンサの間における前記レシーバタンク内の空間を荷で満たすように前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項3】
前記第2レベルセンサより上方の位置における荷の有無を検出するための第3レベルセンサを備え、
前記制御装置は、前記第3レベルセンサの検出結果にも基づいて前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項4】
前記第1スライドゲートより下方の位置に設けられた第3スライドゲートを備える
請求項1に記載のニューマチックアンローダ。
【請求項5】
前記制御装置は、全閉の前記第1スライドゲートまたは前記第2スライドゲートに開指令を送信しても前記第1スライドゲートまたは前記第2スライドゲートが開動作しない場合、前記第3スライドゲートを全閉にする
請求項4に記載のニューマチックアンローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はニューマチックアンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に港湾には、船舶によって運搬されてきた穀物等のばら物である荷を吸い上げて荷揚げするニューマチックアンローダが設置されている。
【0003】
このニューマチックアンローダでは、吸い上げた荷を略一定流量で排出する(切り出す)ためロータリーフィーダが装備されている。ロータリーフィーダは、ロータ先端のブレードと、サイドカバーおよびケーシングとの隙間を調整することにより、空気の漏洩を最小限に止めつつ、荷を真空側から大気側に効率よく排出するようになっている。
【0004】
ブレードの長孔に差し込まれたボルトがロータに取り付けられることで、ブレードの位置と前記隙間とが調整可能となっている。長期使用によりブレードが摩耗すると隙間が大きくなり、空気漏洩量が増加して効率が低下する。そのため、こうした場合にはブレードの取付位置をずらして隙間を縮小する調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ロータリーフィーダでは、ブレードの摩耗による調整とメンテナンスの手間が問題となる。ブレードが摩耗するとその位置調整が必要であり、最終的にはブレードの交換が必要となる。こうしたメンテナンス作業を、アンローダ機上の狭いスペースで行わなければならない。また、ロータリーフィーダを工場に搬送してメンテナンスすることもあり、この場合にはアンローダ機上の狭いスペースでロータリーフィーダを取り外さなければならない。
【0007】
また、隙間を調整したとしても、構造上必然的に隙間が存在するため、空気の漏洩は避けられず、アンローダの効率に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その一の目的は、隙間調整の作業を無くしてメンテナンス頻度を低減できるニューマチックアンローダを提供することにある。
【0009】
また、本開示の他の目的は、隙間を縮小して漏洩空気量を低減し、効率を改善できるニューマチックアンローダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一の態様によれば、
吸引された荷を貯留するレシーバタンクと、
前記レシーバタンクの出口部に、下方から順に直列的に設けられた第1スライドゲートおよび第2スライドゲートと、
前記第1スライドゲートと前記第2スライドゲートの間の位置における荷の有無を検出するための第1レベルセンサと、
前記第2スライドゲートより上方の位置における荷の有無を検出するための第2レベルセンサと、
前記第1レベルセンサおよび前記第2レベルセンサの検出結果に基づいて前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する制御装置と、
を備えることを特徴とするニューマチックアンローダが提供される。
【0011】
好ましくは、前記制御装置は、前記第1スライドゲートと前記第1レベルセンサの間における前記レシーバタンク内の空間を荷で満たすように前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する。
【0012】
好ましくは、前記ニューマチックアンローダは、前記第2レベルセンサより上方の位置における荷の有無を検出するための第3レベルセンサを備え、
前記制御装置は、前記第3レベルセンサの検出結果にも基づいて前記第1スライドゲートおよび前記第2スライドゲートを制御する。
【0013】
好ましくは、前記ニューマチックアンローダは、前記第1スライドゲートより下方の位置に設けられた第3スライドゲートを備える。
【0014】
好ましくは、前記制御装置は、全閉の前記第1スライドゲートまたは前記第2スライドゲートに開指令を送信しても前記第1スライドゲートまたは前記第2スライドゲートが開動作しない場合、前記第3スライドゲートを全閉にする。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、隙間調整の作業を無くしてメンテナンス頻度を低減できる。また、隙間を縮小して漏洩空気量を低減し、効率を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施形態に係るニューマチックアンローダの概略図である。
【
図2】本実施形態の送り出し装置を示す側面断面図である。
【
図5】全開時の第1スライドゲートを示す平面図である。
【
図6】全開時の第1スライドゲートを示す側面断面図である。
【
図7】半開時の第1スライドゲートを示す側面断面図である。
【
図8】全閉時の第1スライドゲートを示す側面断面図である。
【
図9】送り出し装置における通常の制御の内容を示すフローチャートである。
【
図10】診断回復制御の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
【0018】
図1に示すように、港湾には、穀物等のばら物である荷Bを船倉K内に搭載した船舶Sが停泊している。そして港湾の岸壁Qには、船倉K内に貯留された荷Bを吸い上げて払い出すためのニューマチックアンローダ(以下、単にアンローダという)100が設置されている。便宜上、前後左右上下の各方向を図示のように定める。
【0019】
岸壁Qには、これに沿って延びる一対のレールRが設置され、アンローダ100はこのレールR上を走行可能な走行架台1を備えている。またアンローダ100は、走行架台1上で旋回可能なレシーバタンク2を備える。レシーバタンク2は、走行架台1に対して、鉛直方向に延びる旋回軸C1回りに矢印aの如く旋回可能である。
【0020】
レシーバタンク2の頂部には、空気吸引管3の一端が接続され、空気吸引管3の他端は、例えばルーツブロワからなる真空ポンプ4に接続されている。真空ポンプ4は、レシーバタンク2に連結された機械室5内に設置されている。
【0021】
レシーバタンク2の荷Bの入口である投入口35(
図2参照)には、水平方向に延びる水平管6の基端がボールジョイント19を介して接続されている。水平管6は矢印bの如くその長手方向に伸縮可能であり、荷Bの吸い込み口であるノズル7の水平方向ないし水平管長手方向の位置を調節できるようになっている。
【0022】
レシーバタンク2には、仮想線で示すブーム8の基端が矢印cの如く起伏可能に取り付けられている。水平管6はブーム8に沿って取り付けられ、ブーム8と共に起伏可能である。図示例において水平管6およびブーム8は海側ないし船舶S側(前側)に向かって延びている。
【0023】
水平管6の先端には、下向きに90°曲げられた曲管9の基端が一体的に取り付けられている。そして曲管9の先端には、鉛直方向に延びる垂直管10の基端ないし上端がスイングジョイント11を介して矢印dの如く回動可能に接続されている。
【0024】
荷役作業時、垂直管10は、船舶SのハッチHを通じて船倉K内に挿入される。垂直管10は矢印eの如くその長手方向に伸縮可能であり、ノズル7の高さ位置を、荷Bや船舶Sの高さ位置に応じて調節できるようになっている。
【0025】
垂直管10の先端ないし下端にノズル7が取り付けられる。ノズル7は船倉K内の荷Bに近接または接触されて船倉K内の荷Bを吸い込む。
【0026】
ノズル7の位置および向きを微調節できるようにするため、垂直管10の上端部と下端部は可撓管12によって形成されている。
【0027】
レシーバタンク2内の上端部には、真空ポンプ4に向かって荷Bが吸い込まれることを防止するため、フィルタすなわちバグフィルタ13が設けられている。
【0028】
またレシーバタンク2の下にはシュート14が設けられ、レシーバタンク2の出口から排出された荷Bを機内コンベヤ15の一端に落下供給するようになっている。
【0029】
機内コンベヤ15の他端には地上シュート16が下方に突出して設けられる。機内コンベヤ15の他端に搬送されてきた荷Bは、地上シュート16を通じて、地上コンベヤ17に落下供給される。本実施形態では、複数(2つ)の地上コンベヤ17に対応して複数(2つ)の地上シュート16が設けられる。各地上シュート16の上端にスライドゲート18が設けられ、地上コンベヤ17への荷Bの供給に使う地上シュート16を選択できるようになっている。
【0030】
なお、シュート14と機内コンベヤ15は走行架台1側に設置され、レシーバタンク2と共に旋回しない。地上シュート16を1つとし、スライドゲート18を省略してもよい。
【0031】
従来、シュート14の途中には、真空切り出し装置または送り出し装置としてのロータリーフィーダが設けられ、このロータリーフィーダによって、機内コンベヤ15への荷Bの排出流量(単位時間当たりの荷Bの排出量)が略一定となるよう制御されると共に、真空側と大気側が隔離されていた。すなわち、ロータリーフィーダより上側が真空側、下側が大気側である。
【0032】
しかし、ロータリーフィーダを用いると上述のような課題、すなわち面倒なメンテナンスの手間と、隙間による効率低下という課題が発生する。
【0033】
そこで本実施形態は、ロータリーフィーダに代わる別の送り出し装置を設置し、これを以て上記課題を解決するものである。
【0034】
図2に本実施形態の送り出し装置を示す。送り出し装置30は、吸引された荷Bを貯留する上述のレシーバタンク2と、レシーバタンク2の出口部31に、下方から順に直列的に設けられた第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2とを備える。
【0035】
また送り出し装置30は、第1スライドゲートG1と第2スライドゲートG2の間の位置における荷Bの有無を検出するための第1レベルセンサS1と、第2スライドゲートG2より上方の位置における荷Bの有無を検出するための第2レベルセンサS2と、第1レベルセンサS1および第2レベルセンサS2の検出結果に基づいて第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2を制御する制御装置Eとを備える。
【0036】
また本実施形態の送り出し装置30は、第2レベルセンサS2より上方の位置における荷Bの有無を検出するための第3レベルセンサS3を備える。制御装置Eは、第3レベルセンサS3の検出結果にも基づいて第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2を制御する。
【0037】
また本実施形態の送り出し装置30は、第1スライドゲートG1より下方の位置に設けられた第3スライドゲートG3を備える。
【0038】
以下、各部について詳述する。レシーバタンク2は、前記旋回軸C1と同軸の中心軸C2を有する縦長の円筒状容器である。以下、中心軸C2を基準とした軸方向、半径方向および周方向を単に軸方向、半径方向および周方向という。
【0039】
レシーバタンク2は、一定半径の主筒部32と、主筒部32の下端に接続され下方に向かうにつれ徐々に縮径するテーパ筒部33と、テーパ筒部33の下端に接続され主筒部32より小さい一定半径を有する出口筒部34とを有する。主筒部32の所定高さ位置には、レシーバタンク2内に荷Bを供給もしくは投入するための投入口35が斜め下に向かって接続されている。この投入口35は
図1に示したボールジョイント19に接続され、ボールジョイント19から荷Bの供給を受ける。出口筒部34は、レシーバタンク2における荷Bの出口36を画成する。出口筒部34は前述のシュート14に直列に接続される。
【0040】
第1スライドゲートG1と第2スライドゲートG2は、主筒部32における投入口35より下方の高さ位置に設けられる。第1スライドゲートG1は主筒部32の下端付近の高さ位置に位置され、第2スライドゲートG2は第1スライドゲートG1より所定距離高い高さ位置に位置される。第3スライドゲートG3は、出口筒部34に設けられる。これらスライドゲートG1~G3は、対応する各筒部を開閉して荷の流れを許容もしくは遮断する。
【0041】
各スライドゲートは概ね同一の構成なので、ここでは第1スライドゲートG1を例にとって説明する。
【0042】
図2は、全開時の第1スライドゲートG1を示す側面断面図である。
図3は、第1スライドゲートG1の構成部品である固定ゲート部材37を示す平面図である。
図4は、第1スライドゲートG1の構成部品である可動ゲート部材38を示す平面図である。
【0043】
図2~
図4に示すように、第1スライドゲートG1は、固定ゲート部材37と可動ゲート部材38を備える。固定ゲート部材37は、軸方向に垂直な方向すなわち水平方向に延びる複数(図示例では5本)の連子39を有する。これら連子39は互いに平行に配置され、主筒部32内を横断するように延びている。本実施形態では主筒部32の内周面に円形リング状のリム40が取り付けられ、このリム40に各連子39の両端が固定されている。但し、リム40を省略し、各連子39の両端を主筒部32に直接固定してもよい。各連子39の間には荷Bを通過させるための固定スリット41が合計で複数(図示例では6つ)形成される。
【0044】
連子39の上面部は、ここに落下した荷Bを固定スリット41にスムーズに滑り落とせるよう、傾斜して形成され、具体的には断面山形状に形成されている。本実施形態では連子39の断面形状をホームベース型の五角形とし、連子39を中実構造としている。但し、連子39の構成および形状はこれに限定されず、例えば連子39を断面L字状の板材(例えばL字鋼)で形成し、上面部が山形になるよう配置してもよい。
【0045】
可動ゲート部材38は平面視四角形の平板状の板材により形成され、固定ゲート部材37の下面部に、矢印fの如く前後方向にスライド可能に重ね合わされる。なお主筒部32には可動ゲート部材38の左右の側縁部をスライド可能に支持する支持部材(図示せず)が設けられる。可動ゲート部材38は、第1スライドゲートG1の全開時に固定スリット41を全開する複数(図示例では6つ)の可動スリット42を有する。可動スリット42の間には、第1スライドゲートG1の全閉時に固定スリット41を全閉する閉止部43が設けられる。
【0046】
連子39、固定スリット41、可動スリット42および閉止部43は、スライド方向fに垂直な方向に延びている。
【0047】
スライド方向fにおける可動スリット42の幅W1は、固定スリット41の幅W2に等しくされる。また閉止部43の幅W3は、連子39の幅W4に等しくされる。本実施形態の場合、W1=W2=W3=W4とされる。但しこれらの寸法は任意に設定可能である。
【0048】
第1スライドゲートG1は、可動ゲート部材38を駆動する油圧シリンダ等のアクチュエータ44を備える。このアクチュエータ44は制御装置Eに電気的に接続される。制御装置Eからの指令に従ってアクチュエータ44が動作することで、可動ゲート部材38がスライド方向fにスライドし、開閉動作される。
【0049】
図5および
図6は、全開時の第1スライドゲートG1を示す平面図および側面断面図である。このとき、固定スリット41と可動スリット42が同一幅で縦方向ないし上下方向にぴったりと整列し、固定スリット41が可動スリット42によって完全に開放される。またこのとき、連子39と閉止部43も同一幅で縦方向ないし上下方向にぴったりと整列する。
【0050】
図7は、半開時もしくは中間開度時の第1スライドゲートG1を示す側面断面図である。このとき、可動ゲート部材38は全開時よりも後側(前側でもよい)にスライド移動される。幅方向における固定スリット41の一部は可動スリット42によって開放されているが、固定スリット41の残部は閉止部43もしくは可動ゲート部材38によって閉止され、固定スリット41は半開状態となる。
【0051】
図8は、全閉時の第1スライドゲートG1を示す側面断面図である。このとき、可動ゲート部材38は半開時よりもさらに後側にスライド移動される。固定スリット41に対して閉止部43が同一幅で上下方向にぴったりと整列され、固定スリット41は閉止部43もしくは可動ゲート部材38によって完全に閉止される。またこのとき、連子39に対して可動スリット42が同一幅で上下方向にぴったりと整列される。
【0052】
全閉時には固定スリット41が完全に閉止され、可動ゲート部材38が固定ゲート部材37に吸引力により密接される。よって固定ゲート部材37と可動ゲート部材38の隙間を縮小し、第1スライドゲートG1を通過する空気の漏洩を抑制することができる。
【0053】
第1レベルセンサS1は、第1スライドゲートG1より下方でその付近の高さ位置に位置される。第2レベルセンサS2は、第1スライドゲートG1より上方でその付近の高さ位置に位置される。第3レベルセンサS3は、第2レベルセンサS2より上方で投入口35より下方の高さ位置に位置される。第1~第3レベルセンサS1~S3は、例えば周知のパドル式レベルセンサにより構成され、荷Bを検出したとき(荷Bがレベルセンサの高さ位置にあるとき)オンとなり、荷Bを検出しないとき(荷Bがレベルセンサの高さ位置にないとき)オフとなる。なお、第1~第3レベルセンサS1~S3はパドル式レベルセンサ以外のセンサで構成されてもよい。
【0054】
制御装置Eは、CPU、メモリ等を備えた周知の制御ユニットにより構成され、第1~第3レベルセンサS1~S3および第1~第3スライドゲートG1~G3に電気的に接続されている。
【0055】
送り出し装置30は、可動ゲート部材38の実際の位置を検出するためのゲート位置センサ45をスライドゲート毎に有する。ゲート位置センサ45は例えば周知のエンコーダにより構成される。これらゲート位置センサ45も制御装置Eに電気的に接続されている。制御装置Eは、ゲート位置センサ45の信号に基づき可動ゲート部材38の位置、ひいてはスライドゲートの開度を制御する。
【0056】
次に、アンローダ100と送り出し装置30の作動を説明する。
【0057】
図1に示すように、アンローダ100の荷役運転時には、真空ポンプ4が作動され、船倉K内の荷Bがノズル7から吸い込まれる。この吸い込まれた荷Bは垂直管10内を上昇し、曲管9を通じて水平管6内に至る。そして水平管6内を移動し、投入口35からレシーバタンク2内に投入される。
【0058】
その後、荷Bは、送り出し装置30を通過し、このとき荷Bの流量が制御される。送り出し装置30から排出された荷Bは、シュート14、機内コンベヤ15、地上シュート16という経路を経て最終的に地上コンベヤ17に送られる。
【0059】
レシーバタンク2内では、投入口35から投入された荷Bが矢印gの如く落下すると共に、空気流が矢印hの如く上昇し、荷Bと空気流が分離される。上昇した空気流はバグフィルタ13を通過し、このときに空気流に含まれていた粉塵がバグフィルタ13によって濾過される。この後、空気流は真空ポンプ4に至り、排気管から大気に解放される。
【0060】
こうした荷役運転時、第1~第3スライドゲートG1~G3は制御装置Eによって次のように制御される。以下、制御の一例を説明する。
【0061】
図9は、送り出し装置30における通常の作動と制御の内容を示すフローチャートである。符号Sn(nは整数)はステップの番号を表す。ここでは初期状態(S0)として、レシーバタンク2内が空になっており(荷Bがなく)、従って第1~第3レベルセンサS1~S3がオフとなっており、第1~第3スライドゲートG1~G3が全閉となっている状態を想定する。
【0062】
この初期状態から荷役運転が開始され、レシーバタンク2内に荷Bが供給されると、レシーバタンク2内の第2スライドゲートG2上に荷Bが蓄積していく。そしてまず第2レベルセンサS2がオンとなり(S1)、次いで第3レベルセンサS3がオンとなる(S2)。
【0063】
すると第2スライドゲートG2が全開とされる(S3)。これにより第2スライドゲートG2上に蓄積していた荷Bが第2スライドゲートG2を通過して落下し、第1スライドゲートG1上に蓄積されていく。また荷Bのレベルが低下し、第3レベルセンサS3がオフとなり(S4)、第2レベルセンサS2がオフとなる(S5)。
【0064】
その後、第1スライドゲートG1上に蓄積していた荷Bのレベルが上昇し、第1レベルセンサS1がオンとなり(S6)、第2レベルセンサS2がオンとなる(S7)。
【0065】
すると、第1および第2スライドゲートG1,G2が半開とされ、第3スライドゲートG3が全開とされる(S8)。これにより、第1スライドゲートG1上に蓄積していた荷Bは、少しずつ落下し、第3スライドゲートG3を通過してシュート14、機内コンベヤ1へと送られる。これにより、流量を略一定に制御された状態で荷Bが送り出し装置30から排出される。第1および第2スライドゲートG1,G2の開度は、送り出し装置30への荷Bの供給流量と送り出し装置30からの荷Bの排出流量とがほぼ等しくなるように設定される。
【0066】
こうして荷Bのレベルが低下し、第2レベルセンサS2がオフとなる(S9)。
【0067】
この後、排出流量が供給流量より多い場合、荷Bのレベルが低下し第1レベルセンサS1がオフとなる(S10)。これに応答して第1スライドゲートG1が全閉とされる(S11)。これにより荷Bの排出が停止され、第1スライドゲートG1に蓄積された荷Bのレベルが上昇し、第1レベルセンサS1がオンとなる(S12)。
【0068】
その後、第2レベルセンサS2がオンとなったら(S7)、ステップS8が繰り返される。こうして荷Bのレベルは、できるだけ第2スライドゲートG2を下回らないよう維持される。
【0069】
一方、ステップS9の後に供給流量が排出流量より多い場合、第2レベルセンサS2がオンとなる(S13)。これに応答して第1スライドゲートG1が全開とされる(S14)。これにより荷Bの排出流量が増加され、第1スライドゲートG1に蓄積された荷Bのレベルが低下する。
【0070】
その後、第2レベルセンサS2がオフとなったら(S15)、ステップS8に戻り、元のように第1スライドゲートG1が半開とされる。
【0071】
このように本実施形態では、荷Bの排出中に荷Bのレベルが第1レベルセンサS1と第2レベルセンサS2の間に保たれる。すなわち、少なくとも第1スライドゲートG1と第1レベルセンサS1の間のレシーバタンク2内の空間は荷Bで満たされる。よって、その満たされた荷Bによりレシーバタンク2内を実質的に閉鎖でき、大気側(満たされた荷Bの下方側)から真空側(満たされた荷Bの上方側)への空気の漏洩を防止できる。それ故、ロータリーフィーダを用いた従来のアンローダと比較して、隙間を縮小し(実質的になくし)、漏洩空気量を低減し(実質的に皆無にし)、効率(例えばアンローダのエネルギ効率)を改善することができる。
【0072】
また、各スライドゲートG1~G3に対して隙間調整は不要である。そのため、隙間調整の作業を無くしてメンテナンス頻度を低減することができる。またメンテナンスの負担を大幅に軽減できる。
【0073】
ところで、本実施形態の第1~第3スライドゲートG1~G3は全閉時に空気漏洩が極めて少ない構造である。一方、第1スライドゲートG1または第2スライドゲートG2の全閉時、それらの可動ゲート部材38が固定ゲート部材37に吸着されて摺動抵抗が増加し、可動ゲート部材38がスライド動作できなくなる虞がある。そこで本実施形態ではこうした事態に対処するための診断回復制御を制御装置Eによって行う。
【0074】
図10は、診断回復制御の内容を示すフローチャートである。診断回復制御は第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2に対し個別に行われる。ここでは第1スライドゲートG1に対する例を示すが、第2スライドゲートG2についても同様である。ここでは初期状態(S20)として第1スライドゲートG1が全閉、第3スライドゲートG3が全開となっている状態を想定する。
【0075】
制御装置Eは、第1スライドゲートG1に開指令を送る(S21)。開指令とは、第1スライドゲートG1を開動作させるための指令信号をいう。開動作後の開度について限定はなく、半開であってもよいし、全開であってもよい。
【0076】
その後、制御装置Eは、第1スライドゲートG1に対応したゲート位置センサ45の信号に基づき、第1スライドゲートG1が実際に開動作したか否かを判断する(S22)。すなわち制御装置Eは、ゲート位置センサ45の信号から、開指令後における可動ゲート部材38の実際の位置を検出し、その位置に対応した開度が指令開度に等しいか否かを判断する。
【0077】
制御装置Eは、第1スライドゲートG1が実際に開動作した場合には終了する。しかし実際に開動作しなかった場合には、負圧による可動ゲート部材38の吸着が予想される。
【0078】
よってこの場合、制御装置Eは、第3スライドゲートG3を全閉にする(S23)。こうすると、第3スライドゲートG3の下方を負圧化し、第3スライドゲートG3の上方と下方の圧力差を減少することができる。そのため、可動ゲート部材38の吸着を解除し、可動ゲート部材38を動作させることが可能となる。
【0079】
その後、制御装置Eは、再度、第1スライドゲートG1に開指令を送る(S24)。そして制御装置Eは、再度、第1スライドゲートG1が実際に開動作したか否かを判断する(S25)。
【0080】
制御装置Eは、実際に開動作したと判断した場合、第3スライドゲートG3を全開にし(S26)、終了する。
【0081】
他方、制御装置Eは、実際に開動作しなかったと判断した場合、何等かの故障が想定されるので、図示しない警告装置(警告灯、アラーム等)を起動し(S27)、終了する。このとき併せて、真空ポンプ4もしくはアンローダ100を停止してもよい。
【0082】
このように本実施形態の診断回復制御によれば、第1スライドゲートG1および第2スライドゲートG2に、吸着による一時的異常が起こっているか否かを診断することができ、もし起こっている場合にはそれを即座に解消し、回復できる。よってアンローダ100の安定した動作を確保することが可能となる。
【0083】
診断回復制御は好ましくは、
図9に示したメイン制御の中で併せて行われる。但し、メイン制御とは別に独立して行われてもよい。
【0084】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は様々考えられる。
(1)例えば、第1~第3スライドゲートG1~G3において、固定ゲート部材37は、複数の連子39に代わって、格子を有していてもよい。また前記実施形態において固定スリット41および可動スリット42は平面視において一方向に長い長方形状または略長方形状であったが、円形等の他の形状であってもよい。
(2)前記実施形態では、荷Bのレベルを第1レベルセンサS1と第2レベルセンサS2の間に保つようにしたが、これに代わり、第2レベルセンサS2と第3レベルセンサS3の間に保つようにしてもよい。
(3)第3スライドゲートG3および第3レベルセンサS3の少なくとも一方を省略した簡略化した実施形態も可能である。
【0085】
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
2 レシーバタンク
31 出口部
100 ニューマチックアンローダ
B 荷
E 制御装置
G1 第1スライドゲート
G2 第2スライドゲート
G3 第3スライドゲート
S1 第1レベルセンサ
S2 第2レベルセンサ
S3 第3レベルセンサ