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特開2024-116701硬貨処理装置、硬貨放出方法、および硬貨放出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116701
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】硬貨処理装置、硬貨放出方法、および硬貨放出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G07D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022458
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健一
(72)【発明者】
【氏名】仲江 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐野 翼
(72)【発明者】
【氏名】兼子 工治
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA01
3E141JA10
3E141JA14
3E141KA02
3E141KC12
3E141LA23
3E141LA53
(57)【要約】
【課題】稼働率の向上、および利用者に対するサービスの向上を図る。
【解決手段】硬貨搬送部は、放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を、この搬送路に沿って搬送する。計数部は、搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する。修正部は、記計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数よりも少なかった場合、搬送路に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送する硬貨搬送部と、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数部と、
前記計数部によって計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う修正部と、を備えた硬貨処理装置。
【請求項2】
前記センサは、磁気センサであり、
前記計数部は、前記センサの出力波形を基に硬貨の金種を判別し、硬貨の枚数を金種別に計数する、
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記修正部は、前記計数部が金種を判別できなかった硬貨がなく、計数された硬貨の枚数が放出枚数よりも少なかった場合、前記硬貨除去処理として、停滞解消硬貨を前記搬送路に投下させ、この停滞解消硬貨を前記搬送路に沿って搬送する、
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記停滞解消硬貨は、前記搬送路に沿って搬送される金種の硬貨であって、外形形状が最大の硬貨である、
請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記修正部は、前記計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数でない場合、硬貨を回収した後、前記放出口にて放出するための硬貨を前記搬送路に再度送出させる、
請求項1~4のいずれかに記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送する硬貨搬送部と、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数部と、
前記計数部によって計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記硬貨搬送部に、前記搬送路の硬貨の逆方向への搬送を行わせた後、前記搬送路の硬貨の正方向への搬送を行わせる修正部と、を備えた硬貨処理装置。
【請求項7】
前記センサは、磁気センサであり、
前記計数部は、前記センサの出力波形を基に硬貨の金種を判別し、硬貨の枚数を金種別に計数する、
請求項6に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記修正部は、前記計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数でない場合、硬貨を回収した後、前記放出口にて放出するための硬貨を前記搬送路に再度送出させる、
請求項6、または7に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送させる硬貨搬送ステップと、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う修正ステップと、をコンピュータが実行する硬貨放出方法。
【請求項10】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送する硬貨搬送ステップと、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路の硬貨の逆方向への搬送を行わせた後、前記搬送路の硬貨の正方向への搬送を行わせる修正ステップと、をコンピュータが実行する硬貨放出方法。
【請求項11】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送させる硬貨搬送ステップと、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う修正ステップと、をコンピュータに実行させる硬貨放出プログラム。
【請求項12】
放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送する硬貨搬送ステップと、
前記搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップで計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路の硬貨の逆方向への搬送を行わせた後、前記搬送路の硬貨の正方向への搬送を行わせる修正ステップと、をコンピュータに実行させる硬貨放出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬貨を放出口に放出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨を利用者に放出する硬貨処理装置があった。硬貨処理装置は、釣り銭等にかかる金額の硬貨を利用者に放出する装置として、様々な種類の機器(例えば、キップ等を発券する券売機、飲料等の商品を販売する自動販売機等)に適用されている。硬貨処理装置は、利用者に対して放出する硬貨に過不足が生じると、硬貨処理装置を適用した機器の稼働率の低下をまねくとともに、利用者に対するサービスの低下をまねく。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者に対して放出する硬貨に過不足が生じるのを防止する硬貨入出金装置(硬貨処理装置)が記載されている。この特許文献1の硬貨入出金装置は、釣り銭等として利用者に対して放出する硬貨を収納庫に収納している。この硬貨入出金装置は、利用者に対して放出する硬貨を収納庫から送出する。この硬貨入出金装置は、収納庫から送出された硬貨を待機部に搬送し保留する。また、この硬貨入出金装置は、待機部に搬送された硬貨の枚数を計数する。この硬貨処理装置は、待機部に搬送された硬貨について計数した枚数が適正な枚数(放出枚数)であれば、待機部に一時的に保留した硬貨を利用者に対して放出する。一方、この硬貨処理装置は、待機部に搬送した硬貨について計数した枚数が適正な枚数でなければ(過不足が生じていれば、)、待機部に一時的に保留した硬貨をリジェクト庫に搬送した後、再度、放出する硬貨を収納庫から待機部に搬送するリトライ処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014- 49099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成の装置では、待機部に搬送された硬貨の枚数が放出枚数に達していない場合(すなわち、利用者に対して放出する硬貨が不足している場合、)、収納庫と待機部との間の搬送路に硬貨が停滞している可能性が高い。また、収納庫と待機部との間の搬送路に硬貨が停滞している状態で、放出枚数の硬貨を待機部に搬送すれば、待機部に搬送される硬貨は、放出枚数よりも多くなる。
【0006】
このことから、特許文献1に記載された構成では、待機部に搬送された硬貨が放出枚数に達していなかった場合、リトライ処理で待機部に搬送される硬貨が放出枚数を超える可能性が高い。すなわち、特許文献1に記載された構成では、連続して待機部に搬送された硬貨に過不足が生じることがあり、利用者に対する硬貨の放出に要する時間を十分に抑制できない。したがって、特許文献1に記載された構成では、硬貨処理装置を適用した機器の稼働率の低下、および利用者に対するサービスの低下を十分に抑えられない。
【0007】
この発明の目的は、稼働率の向上、および利用者に対するサービスの向上を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の硬貨処理装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0009】
硬貨搬送部は、放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を搬送路に沿って搬送する。計数部は、搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する。修正部は、計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数よりも少なかった場合、修正処理として搬送路に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う。
【0010】
この構成では、搬送路に送出された硬貨が搬送路に停滞している可能性が高いと推定される場合、搬送路に停滞している硬貨を取り除く修正処理が行われる。修正処理は、例えば、停滞解消硬貨を搬送路に送出し、この停滞解消硬貨を搬送路に沿って搬送させ、搬送路に停滞している硬貨を停滞解消硬貨によって押し出すことによって取り除く処理であってもよいし、他の方法で搬送路に停滞している硬貨を取り除く処理であってもよい。停滞解消硬貨は、例えば、搬送路に沿って搬送される金種の硬貨であって、外形形状が最大の硬貨にしてもよいし、予め用意したダミー硬貨であってもよい。
【0011】
これにより、放出口にて放出するための硬貨の過不足が連続して生じるのを抑制できる。したがって、機器の稼働率の低下、および利用者に対するサービスの低下を十分に抑えることができる。
【0012】
また、センサは、磁気センサであってもよいし、光学センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。センサとして磁気センサを用いる場合、計数部は、センサの出力波形を基に硬貨の金種を判別し、硬貨の枚数を金種別に計数する構成にしてもよい。このように構成すれば、放出口にて放出する硬貨の枚数だけでなく、放出口にて放出する硬貨の合計金額に過不足が生じるのを抑制できる。
【0013】
また、修正部は、計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数でない場合、硬貨を回収した後、放出口にて放出するための硬貨を搬送路に再度送出させる構成であってもよい。特に、停滞解消硬貨を搬送路に沿って搬送させ、搬送路に停滞している硬貨を取り除く構成である場合、停滞解消硬貨を放出口にて放出することなく、回収できる。
【0014】
また、この発明の硬貨処理装置は、上記目的を達成するため以下の構成にしてもよい。
【0015】
硬貨搬送部は、放出口にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路に送出された硬貨を前記搬送路に沿って搬送する。計数部は、搬送路に沿って搬送されている硬貨をセンサで検出し、検出した硬貨の枚数を計数する。修正部は、計数部によって計数された硬貨の枚数が放出枚数よりも少なかった場合、硬貨搬送部に、搬送路の硬貨の逆方向への搬送を行わせた後、この搬送路の硬貨の正方向への搬送を行わせる。
【0016】
この構成では、搬送路に送出された硬貨が搬送路に停滞している可能性が高いと推定される場合、搬送路の硬貨の逆方向への搬送を行った後、この搬送路の硬貨の正方向への搬送を行う。搬送路の硬貨の逆方向への搬送と、搬送路の硬貨の正方向への搬送との切り替えは、1回であってもよいし、複数回であってもよい。これにより、搬送路に停滞している硬貨があれば、その硬貨を取り除くことができる。また、修正部は、再計数した硬貨の枚数が放出枚数であれば、この放出枚数の硬貨を放出口に放出させてもよい。
【0017】
これにより、放出口にて放出するための硬貨の過不足が連続して生じるのを抑制できる。したがって、機器の稼働率の低下、および利用者に対するサービスの低下を十分に抑えることができる。
【0018】
なお、修正部は、計数された硬貨の枚数が放出枚数でなかった場合、硬貨の回収を行った後、放出口に放出する硬貨を搬送路に再度送出させる構成にすればよい。
【0019】
また、この構成でも、上記した構成と同様に、センサは、磁気センサであってもよいし、光学センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。センサとして磁気センサを用いる場合、計数部は、センサの出力波形を基に硬貨の金種を判別し、硬貨の枚数を金種別に計数する構成にしてもよい。このように構成すれば、放出口にて放出する硬貨の枚数だけでなく、放出口にて放出する硬貨の合計金額に過不足が生じるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、稼働率の向上、および利用者に対するサービスの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この例の硬貨処理装置の硬貨搬送路を説明する概略図である。
図2】この例の硬貨処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図3図3(A)、(B)は、放出硬貨識別センサの出力を説明する図である。
図4図4(A)、(B)は、放出硬貨識別センサの出力を説明する図である。
図5】この例の硬貨処理装置における硬貨放出処理を示すフローチャートである。
図6】この例の硬貨処理装置における硬貨放出処理を示すフローチャートである。
図7】この例の硬貨処理装置における硬貨除去処理を示すフローチャートである。
図8】変形例2の硬貨処理装置における硬貨除去処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
<1.適用例>
図1は、この例の硬貨処理装置の硬貨搬送路を説明する概略図である。この例の硬貨処理装置1が取り扱う硬貨の金種は、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、および500円硬貨の4種類である。この例の硬貨処理装置1は、金種別ホッパ2~5、不良硬貨ホッパ6、回収庫7、補充ホッパ8、一時保留庫9、および放出口10を有している。また、この例の硬貨処理装置1は、硬貨を搬送する搬送路として、計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14を有している。計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14における硬貨の搬送方向は、図1において矢示する方向である。
【0024】
さらに、硬貨処理装置1は、計数搬送路11に沿って搬送されている硬貨の金種、および真偽を識別する放出硬貨識別センサ16、および収納搬送路12に沿って搬送されている硬貨の金種、および真偽を識別する収納硬貨識別センサ17を有している。この例では、放出硬貨識別センサ16、および収納硬貨識別センサ17はコイル式の磁気センサである。磁気センサで硬貨の金種、および真偽を識別する技術については公知であるので(例えば、特開2019-139624号公報参照)、ここでは簡単に説明する。磁気センサの出力は、検出した(通過した)硬貨の材質により、出力波形が変化する。硬貨処理装置1は、この出力波形を基に金種、および真偽を識別する。
【0025】
計数搬送路11が、この発明で言う搬送路に相当する。放出硬貨識別センサ16が、この発明で言うセンサに相当する。
【0026】
金種別ホッパ2は、50円硬貨を収納する。金種別ホッパ3は、100円硬貨を収納する。金種別ホッパ4は、10円硬貨を収納する。金種別ホッパ5は、500円硬貨を収納する。不良硬貨ホッパ6は、金種、または真偽を識別できなかった硬貨を収納する。金種別ホッパ2~5、および不良硬貨ホッパ6のそれぞれには、収納搬送路12を搬送されている硬貨が投入される投入口を開閉するフラッパ2a~6aが設けられている。硬貨処理装置1は、収納硬貨識別センサ17による硬貨の金種、および真偽の識別結果に応じて、その硬貨を収納する金種別ホッパ2~5、または不良硬貨ホッパ6を決定し、フラッパ2a~6aの開閉を制御する。
【0027】
また、硬貨処理装置1は、金種別ホッパ2~5に収納されている硬貨を、利用者に釣り銭等として放出する硬貨として計数搬送路11に送出させる。金種別ホッパ2~5毎に、計数搬送路11に送出させる硬貨の枚数は、釣り銭等して利用者に放出する硬貨の金額に応じて決定される。例えば、釣り銭等して利用者に放出する硬貨の金額が710円である場合、金種別ホッパ3から計数搬送路11に送出させる硬貨(100円硬貨)の枚数が2枚、金種別ホッパ4から計数搬送路11に送出させる硬貨(10円硬貨)の枚数が1枚、金種別ホッパ5から計数搬送路11に送出させる硬貨(500円硬貨)の枚数が1枚に決定される。硬貨処理装置1は、金種別ホッパ2~5から送出された硬貨を計数搬送路11に沿って一時保留庫9へ搬送する。
【0028】
なお、利用者に釣り銭等として放出する貨幣には、硬貨だけでなく、紙幣も含まれるが、ここでは紙幣にかかる説明(紙幣処理装置の説明)は省略する。
【0029】
硬貨処理装置1は、放出硬貨識別センサ16で計数搬送路11に沿って一時保留庫9へ搬送されている硬貨を検出し、一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数を金種別に計数する。
【0030】
なお、放出硬貨識別センサ16は、磁気センサに限らず、光学センサであってもよいし、その他のセンサであってもよい。金種別ホッパ2~5から計数搬送路11に送出される硬貨については、収納硬貨識別センサ17によって金種、および真偽が識別されている。このため、放出硬貨識別センサ16は、計数搬送路11に沿って一時保留庫9に搬送される硬貨を検出できるセンサであれば、金種、および真偽を精度よく識別することができないセンサであってもよい。
【0031】
硬貨処理装置1は、計数搬送路11に沿って一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数、および金額が、利用者に対して放出する硬貨の枚数、および金額と一致していれば、一時保留庫9に保留している硬貨を、放出搬送路13を通して放出口10に搬送する。利用者は、放出口10に放出された硬貨を受け取る(取り出せる)。これにより、利用者に対する釣り銭等にかかる硬貨の放出が適正に行える。
【0032】
一方、硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数、および金額が、利用者に対して放出する硬貨の枚数、および金額と一致していなければ、金種別ホッパ2~5から送出された硬貨が計数搬送路11に停滞している可能性が高いと判断する。この場合、硬貨処理装置1は、計数搬送路11に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う。この例の硬貨処理装置1は、金種別ホッパ5に収納している数枚(1~3枚)の500円硬貨を計数搬送路11に送出させ、計数搬送路11に沿って一時保留庫9へ搬送させる。この例の硬貨処理装置1は、硬貨除去処理において、外形形状が最大である金種の硬貨(この例では、500円硬貨)を計数搬送路11に送出させる。この例の硬貨処理装置1は、500円硬貨を一時保留庫9に搬送させることにより、この500円硬貨によって計数搬送路11に停滞している硬貨を一時保留庫9に押し出す。
【0033】
なお、硬貨除去処理において、計数搬送路11に送出させる硬貨の金種は、500円に限らず、他の金種であってもよいし、特別に用意したダミー硬貨であってもよい。但し、ダミー硬貨を用いる場合、ダミー硬貨を収納するホッパを備える必要があるとともに、収納硬貨識別センサ17でダミー硬貨を識別する必要が生じる。すなわち、硬貨処理装置1は、ダミー硬貨を使用しない構成のほうが簡単であり、大型化するのを防止できる。
【0034】
この例の硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された500円硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数以上であれば、計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除けたと判定する。また、硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数以上であれば、計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除けたと判定してもよい。
【0035】
言い換えれば、この例の硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された500円硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数未満であった場合、または一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数未満であった場合、計数搬送路11において硬貨詰りが発生したと判定する。硬貨処理装置1は、計数搬送路11において硬貨詰りが発生したと判定すると、係員対応を要求する出力を行う。
【0036】
なお、硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された500円硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数であった場合、または一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数が今回の硬貨除去処理で計数搬送路11に送出した500円硬貨の枚数であった場合、計数搬送路11に硬貨が停滞しているとした判断が誤っていた(計数搬送路11に硬貨が停滞していなかった)と判定すればよい。
【0037】
この例の硬貨処理装置1は、計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除けたと判定すると、回収搬送路14を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を回収庫7に搬送する。その後、硬貨処理装置1は、釣り銭等して利用者に放出する硬貨の金額に応じて、金種別ホッパ2~5に収納されている硬貨を計数搬送路11に送出させ、計数搬送路11に沿って一時保留庫9へ搬送する処理を再度実行する(利用者に対して、釣り銭等にかかる硬貨を放出する上記した処理を再度実行する。)。
【0038】
したがって、この例の硬貨処理装置1は、釣り銭等として利用者に放出する硬貨(一時保留庫9に搬送された硬貨)の過不足が連続して生じるのを抑制できる。したがって、機器の稼働率の低下、および利用者に対するサービスの低下を十分に抑えることができる。
【0039】
また、回収庫7に収納されている硬貨は、収納搬送路12に送出される。硬貨処理装置1は、収納搬送路12に沿って搬送されている硬貨の金種、および真偽を収納硬貨識別センサ17の出力を基に識別する。硬貨処理装置1は、収納搬送路12に沿って搬送されている硬貨を収納硬貨識別センサ17で識別された金種、および真偽に基づき、金種別ホッパ2~5、または不良硬貨ホッパ6に収納させる。
【0040】
なお、図1では、収納搬送路12における硬貨の搬送方向に、不良硬貨ホッパ6、50円硬貨を収納する金種別ホッパ2、100円硬貨を収納する金種別ホッパ3、10円硬貨を収納する金種別ホッパ4、500円硬貨を収納する金種別ホッパ5の順番に並んでいる例を示しているが、金種別ホッパ2~5、および不良硬貨ホッパ6の並びは、この並びでなくてもよい。
【0041】
また、金種別ホッパ2~5、または不良硬貨ホッパ6に収納するのに失敗した硬貨は、回収庫7に搬送される。
【0042】
補充ホッパ8は、係員が釣り銭等して放出する硬貨を投入するホッパである。補充ホッパ8に収納されている硬貨は、収納搬送路12に送出される。補充ホッパ8から収納搬送路12に送出された硬貨は、回収庫7から収納搬送路12に送出された硬貨と同様に、収納硬貨識別センサ17で識別された金種、および真偽に基づき、金種別ホッパ2~5、または不良硬貨ホッパ6に収納される。
【0043】
なお、図1には、利用者が硬貨処理装置1に投入した硬貨を搬送する搬送路については図示を省略している。利用者が硬貨処理装置1に投入した硬貨は、金種、および真偽が識別された後、一時保留庫9に保留される。利用者が、取引等を取り消す操作を行った場合、放出搬送路13を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を放出口10に搬送する。また、利用者が、取引等を確定する操作を行った場合、回収搬送路14を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を回収庫7に搬送する。
【0044】
<2.構成例>
図2は、この例の硬貨処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例の硬貨処理装置1は、キップ等の乗車券を発券する券売機、運賃の精算を行う精算機、商品を販売する自動販売機等様々な種類の機器に適用される。ここでは、この硬貨処理装置1が適用される機器を、上位装置と呼ぶ。
【0045】
この例の硬貨処理装置1は、制御ユニット30と、駆動部31と、検出部32と、入出力部33とを備えている。
【0046】
制御ユニット30は、硬貨処理装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット30は、識別部30a、計数部30b、搬送制御部30c、および修正部30dを有している。制御ユニット30が有する識別部30a、計数部30b、搬送制御部30c、および修正部30dについては後述する。
【0047】
駆動部31は、硬貨を搬送する計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14の駆動モータに駆動信号を与える。駆動部31は、計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14の駆動モータに対して、駆動信号を個別に与える。すなわち、計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14は、他の搬送路の動きとは無関係に駆動される。
【0048】
検出部32は、放出硬貨識別センサ16、および収納硬貨識別センサ17を有し、放出硬貨識別センサ16、および収納硬貨識別センサ17の出力信号を制御ユニット30に出力する。
【0049】
入出力部33は、上位装置との間で情報の入出力を行うインタフェースである。
【0050】
次に制御ユニット30が有する識別部30a、計数部30b、搬送制御部30c、および修正部30dについて説明する。
【0051】
識別部30aは、放出硬貨識別センサ16の出力を基に、計数搬送路11に沿って搬送され、一時保留庫9に保留された硬貨の金種、および真偽を識別する。また、識別部30aは、収納硬貨識別センサ17の出力を基に、収納搬送路12に沿って搬送されている硬貨の金種、および真偽を識別する。
【0052】
放出硬貨識別センサ16の出力について簡単に説明しておく。この例では、放出硬貨識別センサ16は、コイル式の磁気センサである。図3(A)、(B)は、放出硬貨識別センサの出力を説明する図である。図3(A)に示すように、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを1枚の硬貨Aが通過したとき、放出硬貨識別センサ16の出力電圧は、図3(B)に示すように変動する。
【0053】
図3(B)に示す横軸は、時間軸であり、縦軸は、放出硬貨識別センサ16の出力電圧である。また、図3(B)に示すV0は、放出硬貨識別センサ16の出力電圧の変動幅である。また、図3(B)に示すT0は、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを1枚の硬貨Aが通過するのに要した通過時間である。
【0054】
出力電圧の変動幅V0は、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを通過した硬貨A材質によって決まる。また、硬貨Aの外形L0(直径L0)が、通過時間T0と、計数搬送路11における硬貨の搬送速度vとの積から得られる。識別部30aは、金種別に放出硬貨識別センサ16の基準変動幅V、および硬貨の基準外形L(基準直径L)を記憶している。識別部30aは、放出硬貨識別センサ16の出力から得られた硬貨Aの変動幅V0と各金種の硬貨の基準変動幅Vとを対比し、材質が同じであると判断できる金種があれば、その金種を硬貨Aの金種に仮決定する。識別部30aは、材質が同じであると判断できる金種がなければ、硬貨Aの金種を不明とする。
【0055】
また、識別部30aは、仮決定した金種の硬貨の基準外形Lと、放出硬貨識別センサ16の出力から得られた硬貨Aの外形L0との差分の絶対値が、予め定められた判定閾値以下であるかどうかを判定する。識別部30aは、判定閾値以下であれば、硬貨Aの金種を仮決定した金種に確定する。一方、識別部30aは、判定閾値以下でなければ、硬貨Aの金種を不明とする。
【0056】
例えば、図4(A)に示すように、2枚の硬貨A、Bが重なった状態で、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを通過した場合、放出硬貨識別センサ16の出力は図4(B)に示すような波形になる。この場合、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを、複数枚の硬貨が重なった状態で通過したことは判断できるが、通過した硬貨の枚数が何枚であるのか(例えば、2枚であるのか、3枚であるのか)を精度よく検出できない場合がある。このような場合、識別部30aは、通過した硬貨A、Bの金種、および枚数を不明とする。
【0057】
なお、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを、複数枚の硬貨が重なった状態で通過した場合であっても、重なり具合によっては、通過した硬貨の枚数、および金種を識別できることもある。
【0058】
計数部30bは、一時保留庫9に保留された硬貨の枚数を金種別に計数する。
【0059】
搬送制御部30cは、駆動部31に対して、計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14の駆動モータに与える駆動信号を指示する。駆動部31は、搬送制御部30cの指示にしたがって、計数搬送路11、収納搬送路12、放出搬送路13、および回収搬送路14の駆動モータに駆動信号を与える。
【0060】
修正部30dは、硬貨が計数搬送路11に停滞しているかどうかを判定し、硬貨が計数搬送路11に停滞していると判定した場合、硬貨除去処理を行う。
【0061】
硬貨処理装置1の制御ユニット30は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる硬貨放出プログラムを実行したときに、識別部30a、計数部30b、搬送制御部30c、および修正部30dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる硬貨放出プログラムを展開する領域や、この硬貨放出プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット30は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる硬貨放出方法を実行するコンピュータである。
【0062】
<3.動作例>
図5、および図6は、この例の硬貨処理装置における硬貨放出処理を示すフローチャートである。硬貨処理装置1は、上位装置から釣り銭等にかかる硬貨の放出指示を待つ(s1)。この硬貨放出指示は、釣り銭等として硬貨で放出する金額が含まれていてもよいし、入金金額と取引金額が含まれていてもよい。入金金額から取引金額を差し引いた金額が釣り銭として利用者に放出する金額である(この金額には、紙幣で放出する金額も含まれている。)。
【0063】
硬貨処理装置1は、硬貨の金種毎に、釣り銭等として放出する枚数を決定する(s2)。例えば、釣り銭等して硬貨で利用者に放出する金額が710円である場合、10円硬貨を1枚、100円硬貨を2枚、500円硬貨を1枚と決定する。
【0064】
硬貨処理装置1は、金種毎に、金種別ホッパ2~5からs2で決定した枚数の硬貨を計数搬送路11に送出させる(s3)。硬貨処理装置1の搬送制御部30cが、計数搬送路11に沿って硬貨を一時保留庫9に搬送する処理を開始する(s4)。s4では、搬送制御部30cは、駆動部31に対して、計数搬送路11の駆動モータの駆動を指示する。
【0065】
硬貨処理装置1は、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを硬貨が通過するか、s4で計数搬送路11に沿って硬貨を一時保留庫9に搬送する処理を開始してからの経過時間が一定時間(数秒、例えば1~5秒程度)に達するのを待つ(s5、s6)。識別部30aが、放出硬貨識別センサ16の出力を基に、硬貨が放出硬貨識別センサ16の検出エリアを通過したことを検出すると、通過した硬貨の金種、および枚数を識別する(s7)。識別部30aにおいて、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを通過した硬貨の金種、および枚数を識別できると、計数部30bが該当金種の枚数を更新する(s8、s9)。一方、識別部30aにおいて、放出硬貨識別センサ16の検出エリアを通過した硬貨の金種、または枚数を識別できなければ、計数部30bが不明硬貨有を記憶する(s8、s10)。硬貨処理装置1は、s9、またはs10にかかる処理が完了すると、s5に戻る。硬貨処理装置1は、s5、s7~s10にかかる処理を繰り返すことにより、計数部30bによって、計数搬送路11に沿って搬送され、一時保留庫9に保留された硬貨の枚数が金種別に計数される。
【0066】
硬貨処理装置1は、s6で経過時間が一定時間に達したと判定すると、計数搬送路11に沿って硬貨を一時保留庫9に搬送する処理を停止する(s11)。s11では、搬送制御部30cは、駆動部31に対して、計数搬送路11の駆動モータの停止を指示する。
【0067】
硬貨処理装置1は、計数部30bによって金種別に計数された一時保留庫9に収納された硬貨の枚数、および金額が適正であるかどうかを判定する(s12)。この例の硬貨処理装置1は、不明硬貨有を記憶している場合、計数部30bによって金種別に計数された一時保留庫9に収納された硬貨の枚数、および金額が適正でないと判定する。硬貨処理装置1は、s12で適正であると判定すると、放出搬送路13を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を放出口10に放出し(s13)、s1に戻る。
【0068】
なお、硬貨処理装置1は、金種の識別が行えない光学センサを、放出硬貨識別センサ16として用いた構成である場合、s12では、計数部30bによって金種別に計数された一時保留庫9に収納された硬貨の枚数が適正であるかどうかを判定する。
【0069】
一方、硬貨処理装置1は、s12で適正でないと判定すると、一時保留庫9に収納された硬貨の枚数が不足しているかどうかを判定する(s14)。s14では、今回計数された一時保留庫9に保留された硬貨の枚数が、s3において金種別ホッパ2~5から計数搬送路11に送出した硬貨の合計枚数よりも少ないかどうか(不足しているかどうか)を判定している。硬貨処理装置1は、s14で一時保留庫9に収納された硬貨の枚数が不足していると判定すると、硬貨が計数搬送路11に停滞していると判断し、以下に示す硬貨除去処理を実行する(s15)。
【0070】
また、硬貨処理装置1は、一時保留庫9に収納された硬貨の枚数が不足していないと判定すると(硬貨の枚数が多い、または金額が適正でない)、回収搬送路14を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を回収庫7に搬送し(s16)、s3に戻る。
【0071】
なお、硬貨処理装置1は、s10で不明硬貨有を記憶した場合、s15で硬貨除去処理を実行してもよいし、s16で一時保留庫9に保留している硬貨を回収庫7に搬送し、s3に戻ってもよい。
【0072】
図7は、この例の硬貨処理装置におけるs15の硬貨除去処理を示すフローチャートである。硬貨処理装置1は、停滞解消硬貨として500円硬貨を計数搬送路11に送出させる(s31)。s31で送出する停滞解消硬貨の枚数は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。この例の硬貨処理装置1は、外形形状が最大である硬貨(500円硬貨)を停滞解消硬貨として用いる構成であるが、500円以外の金種の硬貨を停滞解消硬貨として計数搬送路11に送出させる構成であってもよい。また、硬貨処理装置1は、停滞解消硬貨としてダミー硬貨を計数搬送路11に送出させる構成であってもよい。ここで言うダミー硬貨は、貨幣ではない。
【0073】
硬貨処理装置1の搬送制御部30cが、計数搬送路11に沿って硬貨(停滞解消硬貨)を一時保留庫9に搬送する処理を開始する(s32)。s32は、s4と同じ処理である。その後、硬貨処理装置1は、上記したs5~s11と同様の処理を行う(s33~s38、s41)。
【0074】
硬貨処理装置1は、s41にかかる処理を完了すると、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できたかどうかを判定する(s42)。
【0075】
s42では、硬貨処理装置1は、s33で通過を検出した停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数が、s31で計数搬送路11に送出した停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数以上であれば、計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除けたと判定する。
【0076】
また、s42では、硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数がs31で計数搬送路11に送出した停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数以上であれば、計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除けたと判定する構成であってもよい。
【0077】
言い換えれば、この例の硬貨処理装置1は、一時保留庫9に搬送された停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数がs31で計数搬送路11に送出した停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数未満であった場合、または一時保留庫9に搬送された硬貨の枚数がs31で計数搬送路11に送出した停滞解消硬貨(500円硬貨)の枚数未満であった場合、計数搬送路11において硬貨詰りが発生したと判定する。硬貨処理装置1は、計数搬送路11において硬貨詰りが発生したと判定すると(計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できなかったと判定すると、)、係員対応を要求する硬貨詰まり発生にかかる出力を行う(s45)。
【0078】
硬貨処理装置1は、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できたと判定すると、回収搬送路14を通して一時保留庫9に保留されている硬貨を回収庫7に搬送する(s43)。s43では、硬貨が一時保留庫9に保留されていない状態にする。硬貨処理装置1は、s3に戻り(s44)、上記した処理を行う。
【0079】
これにより、利用者に対して、釣り銭等として放出口10に放出する硬貨として、一時保留庫9に搬送され、一時的に保留される硬貨に過不足が生じる事態が連続して生じるのを抑制できる。したがって、硬貨処理装置1を適用した上位装置の稼働率の向上、および利用者に対するサービスの向上を図ることができる。
【0080】
<4.変形例>
・変形例1
上記例の硬貨処理装置1は、利用者に対して釣り銭等として放出口10に放出するために、一時保留庫9に搬送し、一時的に保留した硬貨の金額が不適正である場合、回収搬送路14を通して一時保留庫9に保留されている硬貨を回収庫7に搬送するとしたが、補充ホッパ8に搬送する構成にしてもよい。このように構成すれば、回収庫7にかかる構成を不要にでき、硬貨処理装置1本体の小型化を図ることができる。
【0081】
また、この場合、硬貨が計数搬送路11に停滞していた硬貨を取り除くために、ダミー硬貨を使用した場合、補充ホッパ8内の硬貨を金種別ホッパ2~5に補充(収納)するときに、ダミー硬貨を不良硬貨ホッパ6に収納すればよい。これにより、ダミー硬貨が釣り銭等して放出口10に誤って放出されることはない。
【0082】
・変形例2
この変形例2の硬貨処理装置1は、上記と同様に図2に示す構成である。但し、この変形例2の硬貨処理装置1は、図1に示す硬貨搬送路の計数搬送路11における硬貨を正方向、または逆方向に選択的に搬送することができる。ここで言う、正方向は、硬貨を一時保留庫9に搬送する方向であり、逆方向は、硬貨を一時保留庫9から離れる方向に搬送する方向である。
【0083】
この変形例2の硬貨処理装置1も、図5、および図6に示した硬貨放出処理を実行するが、s15にかかる硬貨除去処理が異なる。具体的には、この変形例2の硬貨処理装置1は、図8に示す硬貨除去処理を実行する。図8を参照し、この変形例2の硬貨処理装置1の硬貨除去処理を説明する。
【0084】
硬貨処理装置1は、計数搬送路11における硬貨の逆方向搬送を開始する(s51)。硬貨処理装置1は、一定時間経過するのを待って、計数搬送路11における硬貨の逆方向搬送を停止し、正方向搬送を開始する(s52,s53)。
【0085】
この変形例2の硬貨処理装置1は、計数搬送路11における硬貨の正方向搬送を開始すると、上記した例で説明したs33~s38、およびs41にかかる処理を実行する(s54~s59,s61)。
【0086】
この変形例2の硬貨処理装置1は、s54で通過を検出した硬貨の枚数が、s14で不足していると判定した硬貨の枚数以上であれば、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できたと判定する(s62)。言い換えれば、この変形例2の硬貨処理装置1は、s54で通過を検出した硬貨の枚数が、s14で不足していると判定した硬貨の枚数未満であれば、s62において、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できなかったと判定する。
【0087】
この変形例2の硬貨処理装置1は、s62で、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できたと判定すると、上記した例で説明したs43、およびs44と同様の処理を行う(s63、64)。また、この変形例2の硬貨処理装置1は、s62で、計数搬送路11に停滞していた硬貨を除去できなかったと判定すると、上記した例で説明したs45と同様に、係員対応を要求する硬貨詰まり発生にかかる出力を行う(s65)。
【0088】
この変形例2の硬貨処理装置1も、上記の例と同様に、利用者に対して、釣り銭等として放出口10に放出する硬貨として、一時保留庫9に搬送され、一時的に保留される硬貨に過不足が生じる事態が連続して生じるのを抑制できる。したがって、硬貨処理装置1を適用した上位装置の稼働率の向上、および利用者に対するサービスの向上を図ることができる。
【0089】
また、この変形例2の硬貨処理装置1は、s62で除去できたと判定した場合、一時保留庫9に収納された硬貨の枚数、および金額が適正であるかどうかを判定し、適正であれば、放出搬送路13を通して、一時保留庫9に保留している硬貨を放出口10に放出してもよい。
【0090】
このように構成すれば、釣り銭等にかかる硬貨を利用者に放出する処理に要する時間を一層短縮できる。
【0091】
また、この変形例2の硬貨処理装置1は、計数搬送路11における硬貨の逆搬送、正搬送を所定回数繰り返す構成であってもよい。
【0092】
また、この変形例2においても、s51にかかる処理を行う前に、停滞解消硬貨を計数搬送路11に送出させる構成であってもよい。
【0093】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0094】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
放出口(10)にて放出するため、放出枚数に応じて搬送路(11)に送出された硬貨を前記搬送路(11)に沿って搬送する硬貨搬送部(30c)と、
前記搬送路(11)に沿って搬送されている硬貨をセンサ(16)で検出し、検出した硬貨の枚数を計数する計数部(30b)と、
前記計数部(30b)によって計数された硬貨の枚数が前記放出枚数よりも少なかった場合、前記搬送路(11)に停滞している硬貨を取り除く硬貨除去処理を行う修正部(30d)と、を備えた硬貨処理装置(1)。
【符号の説明】
【0095】
1…硬貨処理装置
2~5…金種別ホッパ
2a~6a…フラッパ
6…不良硬貨ホッパ
7…回収庫
8…補充ホッパ
9…一時保留庫
10…放出口
11…計数搬送路
12…収納搬送路
13…放出搬送路
14…回収搬送路
16…放出硬貨識別センサ
17…収納硬貨識別センサ
30…制御ユニット
30a…識別部
30b…計数部
30c…搬送制御部
30d…修正部
31…駆動部
32…検出部
33…入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8