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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116706
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/04 20060101AFI20240821BHJP
   F04B 23/02 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B05B9/04
F04B23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022475
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智輝
【テーマコード(参考)】
3H071
4F033
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB01
3H071BB05
3H071CC33
3H071DD02
3H071DD35
4F033RA14
4F033RD05
4F033RD09
4F033RE02
4F033RE11
4F033RE17
(57)【要約】
【課題】液体の噴射動作及び吸入動作を細かく制御しつつ実行することを可能にする。
【解決手段】液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させることが可能な噴射部5を備える液体噴射装置1であって、送液部100は液体貯留部10と変位部20と駆動部22とを有し、変位部20は液体貯留部10に対して第1圧力室11の容積が大きくするように変位した場合に液体貯留室15の容積が大きくなり、液体貯留部10に対して第2圧力室12の容積が大きくするように変位した場合に液体貯留室15の容積が小さくなるよう配置され、吸入動作時には第1圧力室11の容積を大きくするように変位部20を変位させ、噴射動作時には第2圧力室12の容積を大きくするように変位部20を変位させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な噴射部と、送液部と、前記噴射部と前記送液部とを接続する液体流路と、制御部と、を備える液体噴射装置であって、
前記送液部は、
前記液体流路に接続されるとともに前記液体を貯留可能な液体貯留室を有する液体貯留部と、
前記液体貯留部を前記液体貯留室、第1圧力室及び第2圧力室に分割するとともに、前記液体貯留部に対して変位することで前記液体貯留室、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の容積を変化させる変位部と、
前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させる駆動部と、
を有し、
前記変位部は、前記液体貯留部に対して前記第1圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が大きくなり、前記液体貯留部に対して前記第2圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が小さくなるよう配置され、
前記制御部は、前記液体貯留室に前記液体が吸入される吸入動作時には前記駆動部を制御して前記第1圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させ、前記噴射部から前記液体を噴射させる噴射動作時には前記駆動部を制御して前記第2圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記駆動部は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の少なくとも一方に流体を入出させることにより前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記駆動部は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の少なくとも一方に弾性体を有し、前記弾性体の弾性力により前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記第1圧力室と前記第2圧力室とを繋ぐ流体流路を有し、
前記制御部は、前記噴射動作時に前記流体を前記第2圧力室に流入させ、前記吸入動作で使用する前記流体を前記第2圧力室から前記第1圧力室へ流入させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記流体流路の一部に前記流体を大気開放する大気開放流路を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記流体流路と3カ所以上で接続し前記流体の流れる方向を第1方向から第2方向に変更可能な流れ方向変更部を有し、
前記制御部は、流れ方向変更部を制御して前記流体の流れる方向を前記第1方向と前記第2方向とで切り換えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記送液部は、前記流体流路を流れる前記流体の圧力を規定するレギュレーターを有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記液体流路は、前記液体貯留部に前記液体を流入させる流入流路と、前記液体貯留部から前記噴射部に前記液体を流出させる流出流路と、を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体噴射装置において、
前記液体流路は、逆止弁を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項10】
請求項8に記載の液体噴射装置において、
前記送液部として、ともに前記液体貯留部及び前記変位部を有する第1送液ユニット及び第2送液ユニットを有し、
前記制御部は、前記噴射動作を継続して行う継続期間において、前記第1送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第2送液ユニットの前記噴射動作を開始するとともに、前記第2送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第1送液ユニットの前記噴射動作を開始することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液体噴射装置において、
前記制御部は、前記継続期間において、前記第1送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第2送液ユニットの前記吸入動作を終了するとともに、前記第2送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第1送液ユニットの前記吸入動作を終了することを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物に対して液体を噴射させる様々な液体噴射装置が使用されている。このような液体噴射装置のうち、噴射部と、送液部と、噴射部と送液部とを接続する液体流路と、を備える液体噴射装置がある。例えば、特許文献1には、噴射部としての噴射ノズルと、シリンダー及びピストンなどからなる送液部と、液体流路と、を備える液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-161194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示される液体噴射装置は、送液部を構成するレギュレーターから送出されるガスをシリンダーのガス貯留部に流入させることにより、シリンダーに対してピストンをガス圧で加圧して押し込むことで吐出動作を実行する構成である。特許文献1で開示される液体噴射装置のような、噴射部と送液部と液体流路とを備える従来の液体噴射装置においては、1つのシリンダーに対してピストンを動かすための圧力付与部が1つしか設けられていないため、液体の噴射動作及び吸入動作を細かく制御しつつ実行することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の液体噴射装置は、液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な噴射部と、送液部と、前記噴射部と前記送液部とを接続する液体流路と、制御部と、を備える液体噴射装置であって、前記送液部は、前記液体流路に接続されるとともに前記液体を貯留可能な液体貯留室を有する液体貯留部と、前記液体貯留部を前記液体貯留室、第1圧力室及び第2圧力室に分割するとともに、前記液体貯留部に対して変位することで前記液体貯留室、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の容積を変化させる変位部と、前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させる駆動部と、を有し、前記変位部は、前記液体貯留部に対して前記第1圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が大きくなり、前記液体貯留部に対して前記第2圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が小さくなるよう配置され、前記制御部は、前記液体貯留室に前記液体が吸入される吸入動作時には前記駆動部を制御して前記第1圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させ、前記噴射部から前記液体を噴射させる噴射動作時には前記駆動部を制御して前記第2圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施例1の液体噴射装置を表す概略図。
図2】本発明の実施例2の液体噴射装置を表す概略図。
図3】本発明の実施例3の液体噴射装置を表す概略図。
図4】本発明の実施例4の液体噴射装置を表す概略図。
図5】本発明の実施例5の液体噴射装置を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体噴射装置は、液体を連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な噴射部と、送液部と、前記噴射部と前記送液部とを接続する液体流路と、制御部と、を備える液体噴射装置であって、前記送液部は、前記液体流路に接続されるとともに前記液体を貯留可能な液体貯留室を有する液体貯留部と、前記液体貯留部を前記液体貯留室、第1圧力室及び第2圧力室に分割するとともに、前記液体貯留部に対して変位することで前記液体貯留室、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の容積を変化させる変位部と、前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させる駆動部と、を有し、前記変位部は、前記液体貯留部に対して前記第1圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が大きくなり、前記液体貯留部に対して前記第2圧力室の容積が大きくするように変位した場合に前記液体貯留室の容積が小さくなるよう配置され、前記制御部は、前記液体貯留室に前記液体が吸入される吸入動作時には前記駆動部を制御して前記第1圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させ、前記噴射部から前記液体を噴射させる噴射動作時には前記駆動部を制御して前記第2圧力室の容積を大きくするように前記変位部を変位させることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、送液部は液体貯留部と、液体貯留部を液体貯留室と第1圧力室と第2圧力室に分割するとともに液体貯留部に対して変位することで液体貯留室と第1圧力室と第2圧力室の容積を変化させる変位部と、を有している。すなわち、1つの液体貯留部に対して変位部を動かすための圧力付与部が第1圧力室及び第2圧力室と複数設けられている。このため、制御部は液体の噴射動作及び吸入動作を細かく制御しつつ実行することができる。
【0009】
本発明の第2の態様の液体噴射装置は、前記第1の態様に従属する態様であって、前記駆動部は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の少なくとも一方に流体を入出させることにより前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、駆動部は、第1圧力室及び第2圧力室の少なくとも一方に流体を入出させることにより液体貯留部に対して変位部を変位させる。このような構成とすることで、変位部を高精度で変位させることができ、制御部は液体の噴射動作及び吸入動作を特に細かく制御しつつ実行することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記駆動部は、前記第1圧力室及び前記第2圧力室の少なくとも一方に弾性体を有し、前記弾性体の弾性力により前記液体貯留部に対して前記変位部を変位させることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、駆動部は、第1圧力室及び第2圧力室の少なくとも一方に弾性体を有し、弾性体の弾性力により液体貯留部に対して変位部を変位させる。このような構成とすることで、変位部を変位させる構成を簡単な構成とすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様の液体噴射装置は、前記第2の態様に従属する態様であって、前記送液部は、前記第1圧力室と前記第2圧力室とを繋ぐ流体流路を有し、前記制御部は、前記噴射動作時に前記流体を前記第2圧力室に流入させ、前記吸入動作で使用する前記流体を前記第2圧力室から前記第1圧力室へ流入させることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、送液部は第1圧力室と第2圧力室とを繋ぐ流体流路を有し、制御部は噴射動作時に流体を第2圧力室に流入させ吸入動作で使用する流体を第2圧力室から第1圧力室へ流入させる。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した流体を再利用することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の液体噴射装置は、前記第4の態様に従属する態様であって、前記送液部は、前記流体流路の一部に前記流体を大気開放する大気開放流路を有することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、送液部は流体流路の一部に流体を大気開放する大気開放流路を有する。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した流体を再利用する構成を簡単な構成とすることができる。
【0017】
本発明の第6の態様の液体噴射装置は、前記第4の態様に従属する態様であって、前記送液部は、前記流体流路と3カ所以上で接続し前記流体の流れる方向を第1方向から第2方向に変更可能な流れ方向変更部を有し、前記制御部は、流れ方向変更部を制御して前記流体の流れる方向を前記第1方向と前記第2方向とで切り換えることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、送液部は流体流路と3カ所以上で接続し流体の流れる方向を第1方向から第2方向に変更可能な流れ方向変更部を有し、制御部は流れ方向変更部を制御して流体の流れる方向を第1方向と第2方向とで切り換える。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した流体を再利用する構成において、変位部を高精度で変位させることができ、制御部は液体の噴射動作及び吸入動作を特に細かく制御しつつ実行することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の液体噴射装置は、前記第4の態様に従属する態様であって、前記送液部は、前記流体流路を流れる前記流体の圧力を規定するレギュレーターを有することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、送液部は流体流路を流れる流体の圧力を規定するレギュレーターを有する。このため、安定した圧力で変位部を高精度で変位させることができるとともに、例えば、流体流路を流れる流体の圧力が高すぎるなどして流体を無駄にしてしまうなどということを抑制することができる。
【0021】
本発明の第8の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記液体流路は、前記液体貯留部に前記液体を流入させる流入流路と、前記液体貯留部から前記噴射部に前記液体を流出させる流出流路と、を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、液体流路は、液体貯留部に液体を流入させる流入流路と、液体貯留部から噴射部に液体を流出させる流出流路と、を有する。このような構成とすることで、液体貯留部に対する液体の流入及び流出を容易に行うことができる。
【0023】
本発明の第9の態様の液体噴射装置は、前記第8の態様に従属する態様であって、前記液体流路は、逆止弁を有することを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、液体流路は逆止弁を有する。このような構成とすることで、液体貯留部に液体を流入させる流入流路及び液体貯留部から噴射部に液体を流出させる流出流路の少なくとも一方において液体が逆流することを抑制することができる。
【0025】
本発明の第10の態様の液体噴射装置は、前記第8の態様に従属する態様であって、前記送液部として、ともに前記液体貯留部及び前記変位部を有する第1送液ユニット及び第2送液ユニットを有し、前記制御部は、前記噴射動作を継続して行う継続期間において、前記第1送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第2送液ユニットの前記噴射動作を開始するとともに、前記第2送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第1送液ユニットの前記噴射動作を開始することを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、噴射動作を継続して行う継続期間において、第1送液ユニットの噴射動作の終了前に第2送液ユニットの前記噴射動作を開始するとともに、第2送液ユニットの噴射動作の終了前に第1送液ユニットの噴射動作を開始する。第1送液ユニットの噴射動作の終了後に第2送液ユニットの噴射動作を開始する場合や、第2送液ユニットの噴射動作の終了後に第1送液ユニットの噴射動作を開始する場合、第1送液ユニット及び第2送液ユニットがいずれも噴射動作を実行していないタイムラグにより噴射動作が乱れる虞が生じるがこのような虞を抑制することができる。
【0027】
本発明の第11の態様の液体噴射装置は、前記第10の態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記継続期間において、前記第1送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第2送液ユニットの前記吸入動作を終了するとともに、前記第2送液ユニットの前記噴射動作の終了前に前記第1送液ユニットの前記吸入動作を終了することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、継続期間において、第1送液ユニットの噴射動作の終了前に第2送液ユニットの吸入動作を終了するとともに、第2送液ユニットの噴射動作の終了前に第1送液ユニットの吸入動作を終了する。このような制御をすることにより、第1送液ユニット及び第2送液ユニットがいずれも噴射動作を実行していないタイムラグが発生することを抑制することができる。
【0029】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明に係る液体噴射装置1の実施形態を説明する。最初に、図1を参照して本発明の実施例1に係る液体噴射装置1Aについて説明する。図1に示す液体噴射装置1Aは、液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させることが可能な噴射部5と、液体3を収容する液体タンク2と、送液部100と、噴射部5と液体タンク2と送液部100とを接続する液体流路4と、制御部30と、を備える液体噴射装置である。
【0030】
本実施例の液体噴射装置1Aは、液体タンク2に収容された液体3を送液部100により液体流路4を介して噴射部5に送り、噴射部5から対象物Oに液体3を噴射することが可能な構成となっている。そして、ユーザーは、本実施例の液体噴射装置1Aを用い、噴射部5から液体3を噴射させ、所望の対象物Oに液体3を衝突させることにより、各種作業を行う。各種作業とは、例えば、歯科治療などの医療用途や、対象物に関して、洗浄、バリ取り、剥離、はつり、切除、切開、破砕等することが挙げられる。
【0031】
図1で表されるように、送液部100は、液体流路4に接続されるとともに液体3を貯留可能な液体貯留室を有するシリンダー状の液体貯留部10を有している。また、送液部100は、液体貯留部10を液体貯留室15、第1圧力室11及び第2圧力室12に分割するとともに、液体貯留部10に対して方向D1及び方向D2に変位することで液体貯留室15、第1圧力室11及び第2圧力室12の容積を変化させるピストン状の変位部20を有している。なお、液体貯留部10及び変位部20で第1送液ユニット101を形成する。さらに、送液部100は、液体貯留部10に対して変位部20を変位させる駆動部としてのエアポンプ22を有している。エアポンプ22は、第1圧力室11に設けられた入出口11a及び第2圧力室12に設けられた入出口12aに不図示のチューブを介して接続され、制御部30の制御により駆動することで、第1圧力室11及び第2圧力室12を正圧または負圧にすることが可能な構成となっている。なお、本実施例の液体貯留部10はシリンダー状であり本実施例の変位部20はピストン状であるが、このような構成に限定されない。例えば、変位部20をプランジャー状の構造などとしてもよい。
【0032】
ここで、変位部20は、液体貯留部10に対して第1圧力室11の容積を大きくするように方向D2に変位した場合には、液体貯留室15の容積が大きくなるよう配置されている。一方、変位部20は、液体貯留部10に対して第2圧力室12の容積を大きくするように方向D1に変位した場合には、液体貯留室15の容積が小さくなるよう配置されている。そして、制御部30は、液体貯留室15に液体3が吸入される吸入動作時にはエアポンプ22を制御して第1圧力室11の容積を大きくするように変位部20を方向D2に変位させ、噴射部5から液体3を噴射させる噴射動作時にはエアポンプ22を制御して第2圧力室12の容積を大きくするように変位部20を方向D1に変位させる。
【0033】
このように、本実施例の液体噴射装置1Aにおいては、送液部100は液体貯留部10と、液体貯留部10を液体貯留室15と第1圧力室11と第2圧力室12に分割するとともに液体貯留部10に対して変位することで液体貯留室15と第1圧力室11と第2圧力室12の容積を変化させる変位部20と、を有している。すなわち、本実施例の液体噴射装置1Aは、1つの液体貯留部10に対して変位部20を動かすための圧力付与部が第1圧力室11及び第2圧力室12と複数設けられている。このため、本実施例の液体噴射装置1Aにおいて、制御部30は液体3の噴射動作及び吸入動作を細かく制御しつつ実行することができる。
【0034】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Aにおける駆動部は、第1圧力室11及び第2圧力室12の少なくとも一方に流体である空気を入出させることにより液体貯留部10に対して変位部20を変位させるエアポンプ22である。駆動部をこのような構成とすることで、変位部20を高精度で液体貯留部10に対して変位させることができ、制御部30は液体3の噴射動作及び吸入動作を特に細かく制御しつつ実行することができる。なお、本実施例の駆動部は、流体として空気を使用する構成としたが、使用可能な流体は、空気に限定されず、二酸化炭素などの空気以外の気体などを使用することも可能である。
【0035】
なお、本実施例の液体噴射装置1Aにおいては、入出口11a及び入出口12aの近傍に不図示の圧力メーターなどの圧力測定部を備え、制御部30は圧力測定部の測定結果を参照してエアポンプ22を駆動することにより、入出口11a及び入出口12aに繋がるチューブ内の圧力を制御することができる。なお、エアポンプ22を制御して作動圧力を調整する代わりに、レギュレーターを用いて圧力を制御してもよい。このような制御により安定した圧力で液体貯留部10に対して変位部20を変位させることができる。
【0036】
また、図1で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、液体流路4として、液体貯留部10に液体3を流入させる流入流路4Aと、液体貯留部10から噴射部5に液体3を流出させる流出流路4Bと、を有している。液体流路4をこのような構成とすることで、液体貯留部10に対する液体3の流入及び流出を容易に行うことができる。
【0037】
また、図1で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、液体流路4のうちの流入流路4Aに逆止弁6を有している。液体流路4をこのような構成とすることで、液体貯留部10に液体3を流入させる流入流路4Aにおいて液体3が逆流することを抑制することができる。なお、逆止弁6の代わりに例えば二方弁などを電磁制御による開閉制御などすることで液体3が逆流することを抑制することとしても良い。
【0038】
なお、噴射部5は、液体3を噴射するノズルを1つだけ備える構成であってもよいし、液体3を噴射するノズルを複数備える構成であってもよい。ただし、ノズル径は150μm以下であることが好ましい。液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させる構成を好適に形成できるためである。また、液体3を噴射させる際のノズル内での流速は、20m/s以上300m/s以下であることが好ましい。また、液体3の噴射流量は、0.5L/min以下であることが好ましい。また、液体貯留室15に対する液体流路4の接続位置に特に限定は無いが、液体貯留室15の鉛直方向の上方側に設けられていると液体貯留室15に空気が入り込んだ場合でも液体流路4に気泡が入り込むことを抑制することができる。
【0039】
[実施例2]
以下に、実施例2の液体噴射装置1Bについて図2を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1Bは、以下で説明する構成以外については、実施例1の液体噴射装置1Aと同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1Bは、下記の説明箇所以外については実施例1の液体噴射装置1Aと同様の特徴を有している。そこで、図2では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0040】
図1で表されるように、実施例1の液体噴射装置1Aにおいては、駆動部は、第1圧力室11の圧力付与部と第2圧力室12の圧力付与部とを兼ねる、エアポンプ22で構成されていた。一方、図2で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Bにおいては、第1圧力室11にはエアポンプ22に繋がる入出口11aが設けられておらず、代わりに、第1圧力室11にコイルバネ21が配置されている。
【0041】
別の表現をすると、本実施例の液体噴射装置1Bは、駆動部として、第1圧力室及び第2圧力室の少なくとも一方に弾性体であるコイルバネ21を有し、コイルバネ21の弾性力により液体貯留部10に対して変位部20を変位させることが可能な構成となっている。駆動部をこのような構成とすることで、変位部20を変位させる構成を簡単な構成とすることができる。
【0042】
[実施例3]
以下に、実施例3の液体噴射装置1Cについて図3を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1Cは、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1Cは、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、図3では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0043】
図1及び図2で表されるように、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1においては、液体貯留部10が変位部20により液体貯留室15、第1圧力室11及び第2圧力室12の3つの部屋に分割されていた。一方、図3で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Cにおいては、液体貯留部10が変位部20により液体貯留室15、第1圧力室11、第2圧力室12及び第3圧力室13の4つの部屋に分割されている。そして、第3圧力室13に、エアポンプ22に繋がる入出口13aが設けられている。このように、変位部20による液体貯留部10の分割室数は、少なくとも液体貯留室15、第1圧力室11及び第2圧力室12を有していれば、3つでもよいし4つ以上でもよく、特に限定は無い。
【0044】
また、図3で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、流入流路4Aに逆止弁6Aを有しているだけでなく流出流路4Bにも逆止弁6Bを有している。流入流路4A及び流出流路4Bの少なくとも一方に逆止弁6を設ける構成とすることで、液体貯留部10に液体3を流入させる流入流路4A及び液体貯留部10から噴射部5に液体3を流出させる流出流路4Bの少なくとも一方において液体3が逆流することを抑制することができる。
【0045】
また、図4で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Aは、流出流路4Bにフィルター7を有している。フィルター7の孔径は噴射部5のノズル径よりも小さくなっている。このような構成とすることで、噴射部5のノズルに異物が進入して噴射部5のノズル詰まりを生じさせるということを抑制することができる。
【0046】
[実施例4]
以下に、実施例4の液体噴射装置1Dについて図4を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1Dは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例3の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1Dは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例3の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、図4では上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0047】
図1から図3で表されるように、実施例1から実施例3の液体噴射装置1においては、液体貯留部10及び変位部20を有する送液ユニットとして、1つの第1送液ユニット101のみを有していた。一方、図4で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Dにおいては、液体貯留部10及び変位部20を有する送液ユニットとして、第1送液ユニット101に加えて第2送液ユニット102を有している。なお、第1送液ユニット101と第2送液ユニット102とは、同様の構成である。また、本実施例では、送液ユニットを第1送液ユニット101と第2送液ユニット102とで2つ有しているが3つ以上有する構成であってもよい。
【0048】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Dにおいては、制御部30は、噴射動作を継続して行う継続期間において、第1送液ユニット101の噴射動作の終了前に第2送液ユニット102の噴射動作を開始するとともに、第2送液ユニット102の噴射動作の終了前に第1送液ユニット101の噴射動作を開始することが可能に構成されている。別の表現をすると、例えば、第1送液ユニット101の変位部20を液体貯留部10に対して方向D1に移動させることで噴射動作を行っている際、噴射動作をさらに継続して行う場合、第1送液ユニット101の変位部20を液体貯留部10に対して方向D2に移動させ始める前に、第2送液ユニット102の変位部20を液体貯留部10に対して方向D1に移動させる。第1送液ユニット101の噴射動作の終了後に第2送液ユニット102の噴射動作を開始する場合や、第2送液ユニット102の噴射動作の終了後に第1送液ユニット101の噴射動作を開始する場合、第1送液ユニット101及び第2送液ユニット102がいずれも噴射動作を実行していないタイムラグが生じる虞がある。このようなタイムラグが生じると噴射動作が乱れる虞が生じる。しかしながら、制御部30が上記の制御をすることによって、このような虞を抑制することができる。
【0049】
また、制御部30は、噴射動作を継続して行う継続期間において、第1送液ユニット101の噴射動作の終了前に第2送液ユニット102の吸入動作を終了するとともに、第2送液ユニット102の噴射動作の終了前に第1送液ユニット101の吸入動作を終了するよう制御する。このような制御をすることにより、第1送液ユニット101及び第2送液ユニット102がいずれも噴射動作を実行していないタイムラグが発生することを抑制することができる。
【0050】
なお、図4で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Dにおいては、逆止弁6を逆止弁6C、逆止弁6D、逆止弁6E及び逆止弁6Fと4つ備えている。このため、液体3の液体流路4における逆流を効果的に抑制することができる。ただし、逆止弁6の数や配置に特に限定は無い。
【0051】
[実施例5]
以下に、実施例5の液体噴射装置1Eについて図5を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1Eは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例4の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1Eは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例4の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、図5では上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施例の液体噴射装置1Eは、送液部100が第1圧力室11と第2圧力室12とを繋ぐ流体流路T、詳細には、流体流路T1からT9を有し、噴射動作及び吸入動作の一方で使用した空気を他方で再利用することが可能な構成である。図5で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Eは、実施例1から実施例4の液体噴射装置1と同様、液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させることが可能な噴射部5と、液体3を収容する液体タンク2と、送液部100と、噴射部5と液体タンク2と送液部100とを接続する液体流路4と、制御部30と、を備える。液体流路4のうちの流入流路4Aに逆止弁6Gを有するとともに流出流路4Bに逆止弁6Hを有している。
【0053】
また、図5で表されるように、本実施例の液体噴射装置1Eは、駆動部としてのエアポンプ22を有し、エアポンプ22には流体流路T1の一端が繋がれている。また、流体流路T1の他端はバルブ8Aのa端子に繋がれている。流体流路T1には、レギュレーター9としてレギュレーター9Aが設けられ、レギュレーター9Aにより流体流路T1を流れる空気を例えば高圧の所定圧力に規制可能になっている。なお、本実施例の液体噴射装置1Eは、バルブ8Aのほか、バルブ8をバルブ8B、バルブ8C及びバルブ8Dと4つ備えており、いずれも同様の構成をしている。具体的には、いずれのバルブ8もa端子、p端子及びr端子を有し、a端子とp端子とを接続した状態と、a端子とr端子とを接続した状態と、に制御部30の制御により変更可能な構成となっている。
【0054】
バルブ8Aのp端子には、流体流路T2の一端が繋がれている。そして、流体流路T2の他端はバルブ8Bのp端子に繋がれている。一方、バルブ8Aのr端子には、流体流路T3の一端が繋がれている。そして、流体流路T3の他端は第1圧力室11の入出口11aに繋がれている。なお、本実施例の液体貯留部10には入出口11aが2カ所設けられており、流体流路T3の他端はそのうちの一方の入出口11a1に繋がれている。流体流路T3には、レギュレーター9としてレギュレーター9Bが設けられ、レギュレーター9Bにより流体流路T1を流れる空気を例えば低圧から中圧の所定圧力に規制可能になっている。また、流体流路T3には、逆止弁6Iが設けられている。このような構成により、エアポンプ22から流体流路T1と流体流路T3とを介して第1圧力室11に低圧から中圧で空気を流入することが可能な構成となっている。
【0055】
バルブ8Bのa端子には、流体流路T4の一端が繋がれている。流体流路T4は3方向に分かれており、流体流路T4の一方の他端は第2圧力室12の入出口12aに繋がれ、流体流路T4のもう一方の他端はバルブ8Cのa端子に繋がれている。また、バルブ8Bのr端子には、流体流路T5の一端が繋がれており、流体流路T5の他端はプラグ23により塞がれている。このような構成により、エアポンプ22から流体流路T1と流体流路T2と流体流路T4とを介して第2圧力室12に高圧で空気を流入することが可能な構成となっている。
【0056】
バルブ8Cのp端子には、流体流路T6の一端が繋がれている。そして、流体流路T6の他端はバルブ8Dのr端子に繋がれている。流体流路T6には、逆止弁6Jが設けられている。また、バルブ8Cのr端子には、流体流路T7の一端が繋がれており、流体流路T7の他端は大気開放されている。
【0057】
バルブ8Dのa端子には、流体流路T8の一端が繋がれている。そして、流体流路T8の他端は第1圧力室11の入出口11a2に繋がれている。なお、流体流路T8の他端が繋がる入出口11a2は、流体流路T3の他端が繋がる入出口11a1とは別の入出口である。また、バルブ8Dのp端子には、流体流路T9の一端が繋がれており、流体流路T9の他端は大気開放されている。
【0058】
ここで、本実施例の液体噴射装置1Eの噴射動作及び吸入動作について説明をする。なお、以下の各種制御は制御部30により行われる。ただし、バルブ8の制御などをユーザーが手動で行う構成としてもよい。本実施例の液体噴射装置1Eで噴射動作を開始すると、制御部30はバルブ8A、バルブ8B、バルブ8C及びバルブ8Dのすべてにおいてa端子とp端子とを接続する。すると、流体流路T1、流体流路T2、流体流路T4及び流体流路T6がエアポンプ22から流入される空気により高圧になる。なお、この際、第2圧力室12も入出口12aを介して流体流路T4から流入される空気により高圧となる。一方、流体流路T8と流体流路T9とが接続されることで流体流路T3及び流体流路T8は、第1圧力室11とともに、大気開放された状態となる。このため、第2圧力室12の圧力が第1圧力室11の圧力よりも高くなり、液体貯留部10に対して変位部20は方向D1に変位する。
【0059】
次に、噴射動作を開始してから噴射動作を継続中に、バルブ8Bをa端子とp端子とが接続された状態からa端子とr端子とが接続された状態にする。ただし、流体流路T5はプラグ23により塞がれているので、流体流路T1から流体流路T9における大きな圧力変化はない。しかしながら、この際、流体流路T2と流体流路T4との接続が解除され、エアポンプ22から気体が流体流路T4に流入することが遮断される。
【0060】
次に、噴射動作を終了することに伴って、バルブ8Dをa端子とp端子とが接続された状態からa端子とr端子とが接続された状態にする。すると、流体流路T8は大気開放された状態ではなくなるので流体流路T6から空気が流入して中圧となる。そして、このことに伴って、第1圧力室11及び流体流路T3の逆止弁6Iまでの間も中圧となる。別の表現をすると、第2圧力室12の気体が流体流路T4、流体流路T6及び流体流路T8を介して第1圧力室11に空気が流入することで第1圧力室11は中圧となる。
【0061】
次に、吸入動作を開始すると、バルブ8Cをa端子とp端子とが接続された状態からa端子とr端子とが接続された状態にする。すると、流体流路T4が流体流路T7と繋がって大気開放されることに伴い、第2圧力室12も大気開放された状態となる。上記のように、第1圧力室11は中圧となっているので、第1圧力室11の圧力が第2圧力室12の圧力よりも高くなり、液体貯留部10に対して変位部20は方向D2に変位する。この際、バルブ8Bはa端子とp端子とが接続されていないことから、エアポンプ22から流入される空気を利用していない。すなわち、本実施例の液体噴射装置1Eは、噴射動作で使用した空気を吸入動作の際に再利用することが可能な構成となっている。
【0062】
ただし、本実施例の液体噴射装置1Eは、上記の吸入動作に加えて、エアポンプ22から流入される空気を利用して吸入動作を実行することもできる。その場合、上記状態からさらに、バルブ8Aをa端子とp端子とが接続された状態からa端子とr端子とが接続された状態にする。すると、流体流路T3を介してエアポンプ22から第1圧力室11に空気を流入させることができる。
【0063】
上記のように、本実施例の液体噴射装置1Eにおいては、送液部100は、第1圧力室11と第2圧力室12とを繋ぐ流体流路Tを有する。そして、制御部30は、噴射動作時に流体である空気を第2圧力室12に流入させ、吸入動作で使用する空気を第2圧力室12から第1圧力室11へ流入させることができる。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した空気を再利用することができる。なお、本実施例の液体噴射装置1Eは噴射動作で使用した空気を吸入動作の際に再利用する構成であるが、流体流路Tの配置を変更することなどによって吸入動作で使用した空気を噴射動作の際に再利用する構成としてもよい。
【0064】
また、本実施例の液体噴射装置1Eにおいては、送液部100は、流体流路Tの一部に空気を大気開放する大気開放流路である流体流路T7及びT9を有する。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した流体を再利用する構成を簡単な構成とすることができる。
【0065】
また、本実施例の液体噴射装置1Eにおいては、送液部100は、流体流路Tと3カ所以上で接続し空気の流れる方向をa端子とp端子とが接続される方向である第1方向からa端子とr端子とが接続される方向である第2方向に変更可能な流れ方向変更部としてのバルブ8Aから8Dを有する。そして、制御部30は、バルブ8Aから8Dを制御して空気の流れる方向を第1方向と第2方向とで切り換えることができる。このような構成とすることで、噴射動作及び吸入動作で使用した空気を再利用する構成において、変位部20を高精度で変位させることができ、制御部30は液体の噴射動作及び吸入動作を特に細かく制御しつつ実行することができる。
【0066】
また、本実施例の液体噴射装置1Eにおいては、送液部100は、流体流路T3を流れる空気の圧力を規定するレギュレーター9Bを有する。このため、本実施例の液体噴射装置1Eは、安定した圧力で変位部20を高精度で変位させることができるとともに、例えば、流体流路T3を流れる空気の圧力が高すぎるなどして空気を無駄にしてしまうことを抑制することができる。
【0067】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…液体噴射装置、1A…液体噴射装置、1B…液体噴射装置、1C…液体噴射装置、1D…液体噴射装置、1E…液体噴射装置、2…液体タンク、3…液体、3a…連続流、3b…液滴、4…液体流路、4A…流入流路、4B…流出流路、5…噴射部、6…逆止弁、6A…逆止弁、6B…逆止弁、6C…逆止弁、6D…逆止弁、6E…逆止弁、6F…逆止弁、6G…逆止弁、6H…逆止弁、6I…逆止弁、6J…逆止弁、7…フィルター、8…バルブ(流れ方向変更部)、8A…バルブ、8B…バルブ、8C…バルブ、8D…バルブ、9…レギュレーター、9A…レギュレーター、9B…レギュレーター、10…液体貯留部、11…第1圧力室、11a…入出口、11a1…入出口、11a2…入出口、12…第2圧力室、12a…入出口、13…第3圧力室、13a…入出口、15…液体貯留室、20…変位部、21…コイルバネ(駆動部)、22…エアポンプ(駆動部)、23…プラグ、30…制御部、100…送液部、101…第1送液ユニット、102…第2送液ユニット、O…対象物、T…流体流路、T1…流体流路、T2…流体流路、T3…流体流路、T4…流体流路、T5…流体流路、T6…流体流路、T7…流体流路、T8…流体流路、T9…流体流路
図1
図2
図3
図4
図5