(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116708
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】画像検査システム、及び、画像検査方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240821BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022479
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宏明
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2H270LA19
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC05
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270MB11
2H270RA03
2H270RA27
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】裏写りしている部分や背景板の汚れが透けて写っている部分によって不良画像であると誤検知されることを防止し、ヤレ紙の発生を低減する。
【解決手段】画像検査システム1は、画像が印刷される前のシートの状態を検知するシート検知部3と、シートに画像が印刷された後、画像が印刷されたシートを読み取って検査する画像検査部5と、シート検知部3で検知したシートの検知情報に基づいて、画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定する制御部40と、を備える。画像検査部5は、制御部40によって決定される検査項目又は検査精度に基づいてシートに印刷された画像の検査を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が印刷される前のシートの状態を検知するシート検知部と、
前記シートに画像が印刷された後、前記画像が印刷された前記シートを読み取って検査する画像検査部と、
前記シート検知部で検知した前記シートの検知情報に基づいて、前記画像検査部における検査項目又は検査精度を決定する制御部と、
を備え、
前記画像検査部は、前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする画像検査システム。
【請求項2】
前記シート検知部は、基準背景板と、前記基準背景板に対向して配置される第1画像読取部とを有し、前記シートが前記基準背景板と前記第1画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第1画像読取部が前記シートの画像を読み取ることで前記シートの状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像検査システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像検査システム。
【請求項4】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、
前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像検査システム。
【請求項5】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の前記測定用画像を除く部分が所定色であり、
前記測定用画像は、前記所定色とは異なる模様又は色を有することを特徴とする請求項4に記載の画像検査システム。
【請求項6】
前記画像検査部は、検査用背景板と、前記検査用背景板に対向して配置される第2画像読取部とを有し、前記シートが前記検査用背景板と前記第2画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第2画像読取部が前記シートの画像を読み取る構成であり、
前記検査用背景板は、前記第2画像読取部と対向する面が前記所定色であることを特徴とする請求項5に記載の画像検査システム。
【請求項7】
前記シート検知部は、前記シートの物性値を検知するシートセンサーを更に有することを特徴とする請求項2に記載の画像検査システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像検査システム。
【請求項9】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、
前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像検査システム。
【請求項10】
複数枚のシートを収容するトレイを有し、前記トレイから前記シートを1枚ずつ取り出して前記シート検知部へ供給するシート供給部と、
前記制御部によって決定される前記検査項目又は前記検査精度を記憶する記憶部と
を更に備え、
前記制御部は、前記トレイから最初に前記シートが供給されるとき、前記シート検知部に前記シートの状態を検知させることによって前記検査項目又は前記検査精度を決定し、前記記憶部に前記検査項目又は前記検査精度を保存し、
前記画像検査部は、前記記憶部に記憶されている前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像検査システム。
【請求項11】
画像が印刷される前のシートの状態を検知するシート検知ステップと、
前記シートに画像が印刷された後、前記画像が印刷された前記シートを読み取って検査する画像検査ステップと、
前記シート検知ステップで検知した前記シートの検知情報に基づいて、前記画像検査ステップにおける検査項目又は検査精度を決定する制御ステップと、
を有し、
前記画像検査ステップは、前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする画像検査方法。
【請求項12】
前記シート検知ステップは、前記シートが、基準背景板と、前記基準背景板に対向して配置される第1画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第1画像読取部に前記シートの画像を読み取らせるステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の画像検査方法。
【請求項13】
前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項12に記載の画像検査方法。
【請求項14】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、
前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項12に記載の画像検査方法。
【請求項15】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の前記測定用画像を除く部分が所定色であり、
前記測定用画像は、前記所定色とは異なる模様又は色を有することを特徴とする請求項14に記載の画像検査方法。
【請求項16】
前記画像検査ステップは、前記シートが、検査用背景板と、前記検査用背景板に対向して配置される第2画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第2画像読取部に前記シートの画像を読み取らせるステップを含み、
前記検査用背景板は、前記第2画像読取部と対向する面が前記所定色であることを特徴とする請求項15に記載の画像検査方法。
【請求項17】
前記シート検知ステップは、シートセンサーに前記シートの物性値を検知させるステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の画像検査方法。
【請求項18】
前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項17に記載の画像検査方法。
【請求項19】
前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、
前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする請求項17に記載の画像検査方法。
【請求項20】
複数枚のシートを収容するトレイから前記シートを1枚ずつ取り出して供給するシート供給ステップ、
を更に有し、
前記制御ステップは、前記トレイから最初に前記シートが供給されるとき、前記シート検知ステップを実行させることによって前記検査項目又は前記検査精度を決定して前記検査項目又は前記検査精度を所定の記憶部に保存するステップを含み、
前記画像検査ステップは、前記記憶部に保存されている前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする請求項11に記載の画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査システム、及び、画像検品方法に関し、特に印刷用紙などのシートに印刷された画像を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置は、印刷用紙などのシートに画像を印刷して出力する。この種の画像形成装置において、シートに印刷された画像を検査することにより、不良画像を検知するものが知られている。例えば、特許文献1の従来技術では、画像印刷前のシートの表面の情報と、画像印刷後のシートの表面の情報とを取得し、画像印刷後のシートの表面の情報から画像印刷前のシートの表面の情報を除外することにより、不良画像を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、画像印刷後のシートの表面の情報から画像印刷前のシートの表面の情報を除外するだけでは、正確に不良画像を検出することができない。例えば、画像形成装置において両面印刷が行われる場合、シートの種類によっては裏写りが生ずることがある。裏写りは比較的薄いシートに現れやすく、全てを不良画像と判別してしまうと多くのヤレ紙が発生する。そのため、ある程度の裏写りは許容することが望まれる。ところが、従来技術のように画像印刷後のシートの表面の情報から画像印刷前のシートの表面の情報を除外して不良画像を判別する手法では、裏写りしている部分を全て不良画像と誤検知してしまうという問題がある。
【0005】
また、画像印刷後のシートの表面の情報を取得する際には、CCDセンサーやCMOSセンサーなどの撮像素子を備えた画像読取部がシートの表面に印刷された画像を読み取る。このとき、シートの裏面側には背景板が設けられている。その背景板に汚れなどが付着していた場合、シートの種類によっては背景板の汚れなどがシートの表面側に透けてしまうことがある。この場合も、上記従来技術では、背景板の汚れなどが写っていた部分を全て不良画像と誤検知してしまうため、多くのヤレ紙が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、従来のような誤検知を防止し、ヤレ紙の発生を低減できるようにした画像検査システム、及び、画像検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像検査システムであって、画像が印刷される前のシートの状態を検知するシート検知部と、前記シートに画像が印刷された後、前記画像が印刷された前記シートを読み取って検査する画像検査部と、前記シート検知部で検知した前記シートの検知情報に基づいて、前記画像検査部における検査項目又は検査精度を決定する制御部と、を備え、前記画像検査部は、前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする構成である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像検査システムにおいて、前記シート検知部は、基準背景板と、前記基準背景板に対向して配置される第1画像読取部とを有し、前記シートが前記基準背景板と前記第1画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第1画像読取部が前記シートの画像を読み取ることで前記シートの状態を検知することを特徴とする構成である。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2の画像検査システムにおいて、前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2の画像検査システムにおいて、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4の画像検査システムにおいて、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の前記測定用画像を除く部分が所定色であり、前記測定用画像は、前記所定色とは異なる模様又は色を有することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5の画像検査システムにおいて、前記画像検査部は、検査用背景板と、前記検査用背景板に対向して配置される第2画像読取部とを有し、前記シートが前記検査用背景板と前記第2画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第2画像読取部が前記シートの画像を読み取る構成であり、前記検査用背景板は、前記第2画像読取部と対向する面が前記所定色であることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項2の画像検査システムにおいて、前記シート検知部は、前記シートの物性値を検知するシートセンサーを更に有することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7の画像検査システムにおいて、前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7の画像検査システムにおいて、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、前記制御部は、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1の画像検査システムにおいて、複数枚のシートを収容するトレイを有し、前記トレイから前記シートを1枚ずつ取り出して前記シート検知部へ供給するシート供給部と、前記制御部によって決定される前記検査項目又は前記検査精度を記憶する記憶部と、を更に備え、前記制御部は、前記トレイから最初に前記シートが供給されるとき、前記シート検知部に前記シートの状態を検知させることによって前記検査項目又は前記検査精度を決定し、前記記憶部に前記検査項目又は前記検査精度を保存し、前記画像検査部は、前記記憶部に記憶されている前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする構成である。
【0017】
請求項11に係る発明は、画像検査方法であって、画像が印刷される前のシートの状態を検知するシート検知ステップと、前記シートに画像が印刷された後、前記画像が印刷された前記シートを読み取って検査する画像検査ステップと、前記シート検知ステップで検知した前記シートの検知情報に基づいて、前記画像検査ステップにおける検査項目又は検査精度を決定する制御ステップと、を有し、前記画像検査ステップは、前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする構成である。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項11の画像検査方法において、前記シート検知ステップは、前記シートが、基準背景板と、前記基準背景板に対向して配置される第1画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第1画像読取部に前記シートの画像を読み取らせるステップを含むことを特徴とする構成である。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項12の画像検査方法において、前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項14に係る発明は、請求項12の画像検査方法において、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報に基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項15に係る発明は、請求項14の画像検査方法において、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の前記測定用画像を除く部分が所定色であり、前記測定用画像は、前記所定色とは異なる模様又は色を有することを特徴とする構成である。
【0022】
請求項16に係る発明は、請求項15の画像検査方法において、前記画像検査ステップは、前記シートが、検査用背景板と、前記検査用背景板に対向して配置される第2画像読取部との間の搬送路を通過しているときに、前記第2画像読取部に前記シートの画像を読み取らせるステップを含み、前記検査用背景板は、前記第2画像読取部と対向する面が前記所定色であることを特徴とする構成である。
【0023】
請求項17に係る発明は、請求項12の画像検査方法において、前記シート検知ステップは、シートセンサーに前記シートの物性値を検知させるステップを更に含むことを特徴とする構成である。
【0024】
請求項18に係る発明は、請求項17の画像検査方法において、前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記基準背景板に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0025】
請求項19に係る発明は、請求項17の画像検査方法において、前記基準背景板は、前記第1画像読取部と対向する面の一部に測定用画像を有し、前記制御ステップは、前記第1画像読取部が読み取った画像に含まれる前記測定用画像に関する情報と、前記シートセンサーによって検知される前記物性値とに基づいて前記検査項目又は前記検査精度を決定することを特徴とする構成である。
【0026】
請求項20に係る発明は、請求項11の画像検査方法において、複数枚のシートを収容するトレイから前記シートを1枚ずつ取り出して供給するシート供給ステップ、を更に有し、前記制御ステップは、前記トレイから最初に前記シートが供給されるとき、前記シート検知ステップを実行させることによって前記検査項目又は前記検査精度を決定して前記検査項目又は前記検査精度を所定の記憶部に保存するステップを含み、前記画像検査ステップは、前記記憶部に保存されている前記検査項目又は前記検査精度に基づいて前記シートに印刷された画像の検査を行うことを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シートに印刷された画像の検査時に従来のような誤検知を防止し、ヤレ紙の発生を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】基準背景板を画像読取部からみた平面図である。
【
図4】画像読取部が異なる種類のシートの画像を読み取る例を示す図である。
【
図6】画像検査システムの制御機構を示すブロック図である。
【
図7】検査決定部が検査項目又は検査精度を決定する際に参照する参照情報を示す図である。
【
図9】画像検査システムによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】操作パネルに表示される警告画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態における画像検査システム1の構成例を示す図である。この画像検査システム1は、シート供給部2と、シート検知部3と、画像形成部4と、画像検査部5と、シート排出部6と、操作パネル7とを備える画像形成システムとして構成される。画像形成システムは、シート供給部2から印刷用紙などのシートを矢印F1方向に搬送しつつ、シートに画像を形成して出力する。画像検査システム1は、そのような画像形成システムに組み込まれており、画像形成システムによってシートに印刷される画像を検査する。
【0031】
シート供給部2は、複数のトレイ2a,2b,2cを有し、各トレイ2a,2b,2cに複数枚のシートを収容しておくことが可能である。シート供給部2は、複数のトレイ2a,2b,2cのうち、ユーザーによって指定されたトレイからシートを1枚ずつ取り出し、シート検知部3へ供給する。
【0032】
シート検知部3は、シート供給部2と画像形成部4との間に配置され、シート供給部2から供給されるシートの状態を検知する。すなわち、シート検知部3は、画像形成部4において画像が印刷される前のシートの状態を検知する。シート検知部3は、画像が印刷される前のシートを読み取ることにより、シートの状態を検知した結果を示す検知情報を生成する。
【0033】
図2は、シート検知部3の構成例を示す図である。シート検知部3は、画像読取部10(第1画像読取部)と、基準背景板13と、シートセンサー20とを備えている。
【0034】
画像読取部10は、基準背景板13に対向して配置される。シート供給部2から供給されるシート9は、画像読取部10と基準背景板13との間の搬送路に沿って矢印F1方向へ搬送される。例えば画像読取部10は、LED光源などで構成される投光部11と、CCDセンサーやCMOSセンサーなどで構成される撮像素子12とを備えている。画像読取部10は、基準背景板13との間の搬送路をシート9が通過しているときに、投光部11を点灯させてシート9を照明し、撮像素子12がシート9の表面で反射する光を受光することでシート9の画像を読み取る。そして画像読取部10は、画像が印刷される前のシート9の画像データを生成する。
【0035】
図3は、基準背景板13を画像読取部10からみた平面図である。
図3に示すように、基準背景板13は、画像読取部10と対向する面13aの一部に測定用画像14を有している。例えば、基準背景板13は、画像読取部10による画像読取範囲の全体をカバーする大きさを有している。一方、測定用画像14は、画像読取部10による画像読取範囲の一部領域に設けられている。そのため、画像読取部10は、基準背景板13との間の搬送路をシート9が通過しているときにシート9の画像の読み取り動作を行うと、測定用画像14が設けられている領域を含む画像を読み取ることになる。
【0036】
基準背景板13は、画像読取部10と対向する面13aの測定用画像14を除く部分が所定色(例えば白色)で形成される。これに対し、測定用画像14は、例えば任意の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合によって表される画像であり、所定色(例えば白色)とは異なる模様又は色を有している。
図3の例では、測定用画像14が矩形状の画像である場合を例示しているが、測定用画像14の形状は矩形に限られない。また、測定用画像14は、色彩のグラデーションを含んでいても構わない。
【0037】
図4は、画像読取部10が異なる種類のシート9の画像を読み取る例を示す図である。例えばシート9が厚紙である場合、投光部11によってシート9に照射される光はシート9を透過しない。そのため、
図4(a)に示すように、画像読取部10は、シート9の表面で反射した光による画像のみを読み取る。その結果、画像読取部10によって生成される画像データは、測定用画像14が写り込んでいない画像となる。
【0038】
これに対し、例えばシート9が薄紙である場合、投光部11がシート9を照明したときに光がシート9を透過し、基準背景板13で反射した光が画像読取部10によって検知されることがある。この場合、
図4(b)に示すように、画像読取部10によって生成される画像データには、基準背景板13に関する情報が含まれる。また、投光部11からの照明光がシート9を透過し、測定用画像14で反射した光が画像読取部10によって検知された場合、画像読取部10によって生成される画像データに、測定用画像14が写り込むことになる。そのため、
図4(b)に示すように、画像読取部10によって生成される画像データには、測定用画像14に関する情報も含まれる。
【0039】
図2に戻り、シートセンサー20は、画像が印刷される前のシート9から、シート9の物性値を検知するセンサーである。例えば、シートセンサー20は、反射用光源21と、透過用光源22と、受光素子23と、検知部24とを備えている。反射用光源21及び受光素子23は、搬送路に沿って搬送されるシート9の一方の面(例えば表面)に対向する位置に配置される。これに対し、透過用光源22は、搬送路に沿って搬送されるシート9の他方の面(例えば裏面)に対向する位置に配置される。シートセンサー20は、反射用光源21と透過用光源22との間の搬送路をシート9が通過しているときに、反射用光源21及び透過用光源22のそれぞれを所定の強度で個別点灯させる。受光素子23は、反射用光源21が点灯しているときにシート9の表面で反射した光を受光すると、その受光量に応じた電気信号を検知部24へ出力する。また、受光素子23は、透過用光源22が点灯しているときにシート9を透過した光を受光すると、その受光量に応じた電気信号を検知部24へ出力する。シート9の光の反射率及び透過率は、シート9の種類(物性)によってそれぞれ異なる値となる。そのため、検知部24は、受光素子23から出力される電気信号に基づいてシート9の光の反射率及び透過率を演算し、その演算結果に基づいてシート9の物性値(例えば、坪量、紙厚、平滑度など)を検知する。
【0040】
尚、
図2では、シート9の搬送方向(矢印F1方向)において、シートセンサー20が画像読取部10の上流側に配置されている場合を例示しているが、これに限られるものではなく、シートセンサー20が画像読取部10の下流側に配置されていても構わない。
【0041】
図1に戻り、画像形成部4は、シート9の搬送方向においてシート検知部3の下流側に設置され、シート検知部3を通過したシート9に画像を形成する。画像形成部4は、印刷対象として指定された画像データを取得し、その取得した画像データに基づき、シート9に画像を形成して印刷する。画像形成部4による画像形成方式は、電子写真方式及びインクジェット方式のいずれの方式であっても構わない。この画像形成部4には、図示を省略するシート反転機構が搭載されている。画像形成部4は、シート9の一方に画像を印刷した後、シート反転機構によってシート9の表裏を反転させることにより、シート9の他方の面にも画像を印刷することができる。
【0042】
画像形成部4は、シート9に印刷対象となる画像を印刷すると、その画像をシート9に定着させる。そして画像形成部4は、画像を定着させたシート9を画像検査部5へ搬送する。
【0043】
画像検査部5は、シート9の搬送方向において画像形成部4の下流側に設置され、シート9に印刷された画像を検査する。すなわち、画像検査部5は、画像形成部4において画像が印刷された後にシート9の画像を読み取って適正画像であるか、不良画像であるかを判別する。
【0044】
図5は、画像検査部5の構成例を示す図である。画像検査部5は、画像読取部30(第2画像読取部)と、検査用背景板33とを備えている。
【0045】
画像読取部30は、検査用背景板33に対向して配置される。画像形成部4から送られてくるシート9は、画像読取部30と検査用背景板33との間の搬送路に沿って矢印F1方向へ搬送される。例えば画像読取部10は、LED光源などで構成される投光部31と、CCDセンサーやCMOSセンサーなどで構成される撮像素子32とを備えている。すなわち、画像読取部30は、シート検知部3に設けられている画像読取部10と同等の構成を有している。画像読取部30は、検査用背景板33との間の搬送路をシート9が通過しているときに、投光部31を点灯させてシート9を照明し、撮像素子32がシート9の表面で反射する光を受光することでシート9の画像を読み取る。そして画像読取部30は、画像8が印刷された後のシート9の画像データを生成する。
【0046】
検査用背景板33は、画像読取部30と対向する面33aの全体が所定色(例えば白色)で形成される。すなわち、検査用背景板33の画像読取部30と対向する面33aの色は、シート検知部3に設けられている基準背景板13の測定用画像14を除く部分の色と同一色である。したがって、画像読取部30は、シート検知部3の画像読取部10が画像印刷前のシート9を読み取ったときと同じ条件で、画像8が印刷されたシート9の画像を読み取ることができる。
【0047】
画像検査部5は、画像8が印刷されたシート9を読み取って生成した画像データを、印刷対象として指定された画像データと比較することにより、シート9に印刷された画像を検査する。このとき、画像検査部5は、シート検知部3によって検知されたシート9の状態を示す検知情報に基づいて決定される検査項目又は検査精度に基づき、画像の検査を実行する。そして画像検査部5は、適正画像及び不良画像のいずれであるかを示す検査結果を出力する。
【0048】
尚、画像検査部5は、図示を省略するシート反転機構を搭載していても構わない。シート反転機構を搭載することにより、例えば画像形成部4においてシート9に両面印刷が行われた場合であっても、画像検査部5は、シート9を反転させて表裏両面の画像を個別に検査することができるようになる。
【0049】
図1に戻り、シート排出部6は、シート9の搬送方向において画像検査部5の下流側に設置され、画像が印刷されたシート9を排出する。シート排出部6は、排出トレイ6aを有している。シート排出部6は、その排出トレイ6aに画像が印刷されたシート9を排出する。シート排出部6は、複数の排出トレイ6aを備えるものであっても構わない。複数の排出トレイ6aを備えることにより、シート排出部6は、適正画像と判定されたシート9を排出するトレイと、不良画像と判定されたシート9を排出するトレイとを切り替えることが可能である。そのため、不良画像が印刷されたシート9を分離するための作業負担を軽減することができる。
【0050】
次に、
図6は、上記のような画像検査システム1の制御機構を示すブロック図である。画像検査システム1は、上述したシート供給部2、シート検知部3、画像形成部4、画像検査部5、及び、シート排出部6を制御するための制御機構として、操作パネル7と、制御部40と、通信インタフェース47とを備えている。
【0051】
操作パネル7は、ユーザーが画像検査システム1に対する操作を行うためのユーザーインタフェースであり、表示部7aと、操作部7bとを備えている。表示部7aは、例えばカラー液晶ディスプレイなどによって構成され、ユーザーが操作可能な操作画面や、ユーザーに報知を行うための報知画面などを表示する。操作部7bは、例えばタッチパネルキーや押しボタンキーなどによって構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。例えば、操作パネル7は、ユーザーによる印刷ジョブの設定操作を受け付ける。また、操作パネル7は、印刷ジョブの実行中に各種の報知画面を表示することもできる。
【0052】
通信インタフェース47は、画像検査システム1をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続し、他の機器と通信を行うためのものである。例えば、通信インタフェース47は、画像検査システム1において印刷対象となる画像データを外部の機器から取得することができる。
【0053】
制御部40は、印刷ジョブの実行を統括的に制御する。制御部40は、図示を省略するハードウェアプロセッサーと、記憶部44とを有している。記憶部44は、半導体メモリや磁気ディスク記憶装置などで構成され、各種のデータやプログラムを記憶する。ハードウェアプロセッサーは、記憶部44に記憶されているプログラムを読み出して実行する。これにより、制御部40は、ジョブ制御部41、情報取得部42、検査決定部43、及び、排出制御部45として機能する。
【0054】
また、画像検査部5は、画像読取部30によって生成される画像データに基づき、シート9に印刷された画像を判定する判定部35を備えている。すなわち、判定部35は、シート9に印刷された画像が適正画像であるか、不良画像であるかを検査する処理部である。例えば、判定部35は、画像読取部30によって生成される画像データと印刷対象の画像データとを比較して差分画像を抽出し、その差分画像に基づいてシート9に印刷された画像が適正画像であるか不良画像であるかを判定する。
【0055】
判定部35は、画像の汚れ、スジ、ホタルといった複数の検査項目について画像検査を行うことができる。例えば、検査項目「汚れ」は、印刷対象の画像データには存在しないシミのような汚れが印刷された画像に付着しているか否かを検査する項目である。また、検査項目「スジ」は、印刷対象の画像データには存在しないライン(線状の汚れ)が印刷された画像に付着しているか否かを検査する項目である。更に、検査項目「ホタル」は、印刷対象の画像データには存在しないドット(点状の汚れ)が印刷された画像に付着しているか否かを検査する項目である。
【0056】
また、判定部35は、上記複数の検査項目のそれぞれについて検査精度を設定することができる。例えば、検査精度は、高精度、標準精度、低精度の3段階である。高精度は、標準精度及び低精度よりも精度の高い検査である。標準精度は、高精度よりも精度が低く、低精度よりも精度が高い検査である。例えば、検査精度として標準精度が設定されている場合、判定部35は、差分画像から汚れやスジ、ホタルを検出するサイズを標準サイズに設定すると共に、汚れやスジ、ホタルを検出する濃度レベルを標準レベルに設定する。これに対し、検査精度として高精度が設定されている場合、判定部35は、差分画像から汚れやスジ、ホタルを検出するサイズを標準サイズよりも小さいサイズに設定すると共に、汚れやスジ、ホタルを検出する濃度レベルを標準レベルよりも低いレベルに設定する。また、検査精度として低精度が設定されている場合、判定部35は、差分画像から汚れやスジ、ホタルを検出するサイズを標準サイズよりも大きいサイズに設定すると共に、汚れやスジ、ホタルを検出する濃度レベルを標準レベルよりも高いレベルに設定する。したがって、検査精度として高精度が設定されている場合、判定部35は、標準精度よりも厳しい検査を行って汚れやスジ、ホタルを検出し、それによって汚れやスジ、ホタルが検出されればシート9に印刷された画像を不良画像と判定する。一方、検査精度として低精度が設定されている場合、判定部35は、標準精度よりも緩い検査を行って汚れやスジ、ホタルを検出し、それによって汚れやスジ、ホタルが検出されればシート9に印刷された画像を不良画像と判定する。
【0057】
ジョブ制御部41は、シート供給部2、シート検知部3、画像形成部4、画像検査部5及びシート排出部6のそれぞれを駆動し、シート9に画像を印刷する動作を制御する。例えば、ジョブ制御部41は、操作パネル7に対するユーザーの操作に基づいて印刷ジョブに関する設定を行い、印刷対象となる画像データを取得する。そしてジョブ制御部41は、シート供給部2の複数のトレイ2a,2b,2cのうちのユーザーによって指定されたトレイからシート9を供給させ、そのシート9の片面又は両面に画像を印刷し、シート排出部6から排出させる。
【0058】
ジョブ制御部41によって印刷ジョブの実行が開始されると、情報取得部42が機能する。情報取得部42は、シート供給部2から供給されたシート9がシート検知部3を通過するときにシート検知部3で生成される検知情報を取得する。この検知情報には、シートセンサー20で検知されるシート9の物性値(例えば、坪量、紙厚、平滑度など)と、画像読取部10で生成される画像データとが含まれる。情報取得部42は、シート検知部3から検知情報を取得すると、その検知情報を検査決定部43へ出力する。
【0059】
検査決定部43は、情報取得部42から出力される検知情報に基づき、画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定する。すなわち、検査決定部43は、検知情報に含まれる、シート9の物性値と、シート9に画像が印刷される前の画像データとに基づき、検査項目又は検査精度を決定する。
【0060】
図7は、検査決定部43が検査項目又は検査精度を決定する際に参照する参照情報50を示す図である。検査決定部43は、情報取得部42から取得する検知情報に基づき、
図7に示す参照情報50を参照することにより、画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定する。
【0061】
検査決定部43は、検知情報に含まれる画像データに基づき、印刷前のシート9の画像に写り込んでいる測定用画像14の透過濃度を測定する。尚、
図7に示す測定用画像14の透過濃度は、最大値が255である場合を例示している。そして、検査決定部43は、画像データから測定した測定用画像14の透過濃度と、シート9の物性値とに基づき、
図7の参照情報50を参照して画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定する。
【0062】
例えばシート9の厚さが薄くなる程、測定用画像14の透過濃度が大きくなる傾向がある。そのため、シート9に両面印刷が行われると、裏面側の画像が裏写りする可能性が高くなる。また、検査用背景板33に汚れなどが付着していると、その汚れがシート9の表面側に透ける可能性が高くなる。これに対し、シート9の厚さが厚くなる程、測定用画像14の透過濃度が小さくなる傾向がある。そのため、シート9に両面印刷が行われたとしても、裏面側の画像が裏写りする可能性が低くなる。また、検査用背景板33に汚れなどが付着していたとしても、その汚れがシート9の表面側に透ける可能性が低くなる。そのため、例えば、検査決定部43は、
図7に示す参照情報50を参照することにより、シート9が薄紙である場合に、裏写りしている部分や、検査用背景板33の汚れが透けている部分が不良画像として判定されてしまう可能性を低減できるように検査項目を「汚れ」と「スジ」の2項目に減らし、検査精度を低精度にすることを決定する。
【0063】
尚、
図7の例では、測定用画像14の透過濃度が200を超える場合に、検査精度の欄に「実施不可能」と定められている。これは、低精度で画像検査を行っても、裏写りしている部分や、検査用背景板33の汚れが透けている部分を不良画像として判定してしまう可能性があるレベルであることを示しており、画像検査部5による画像検査を行わないことを規定したものである。
【0064】
検査決定部43は、画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定すると、その検査項目又は検査精度を記録した検査情報51を記憶部44に格納して保存する。
図8は、その検査情報51の一例を示す図である。検査決定部43は、検査情報51を記憶部44に保存するとき、シート供給部2からシート9の供給が行われたトレイを特定し、その特定したトレイを対応付けて検査項目又は検査精度を保存する。これにより、記憶部44に記憶される検査情報51には、複数のトレイ2a,2b,2cのそれぞれに収容されているシート9に対応する検査項目又は検査精度が記録されることになる。
【0065】
このように複数のトレイ2a,2b,2cのそれぞれに対応付けて検査項目又は検査精度を記憶部44に保存しておけば、シート供給部2からシート9の供給が行われる度に検査項目又は検査精度を決定する必要がなくなる。すなわち、検査決定部43は、各トレイ2a,2b,2cにシート9が補充された後、最初のシート9が供給されるときに検査項目又は検査精度を決定すれば良い。そのため、2枚目以降のシート9が供給されるときには、検査決定部43による決定処理が不要となり、処理効率を向上させることができる。
【0066】
ただし、これに限られず、検査決定部43は、シート供給部2からシート9の供給が行われる度に検査項目又は検査精度を毎回決定するものであっても構わない。この場合、記憶部44に検査情報51を保存しておく必要がない。
【0067】
画像検査部5は、画像が印刷されたシート9が搬送されてくると、画像読取部30を動作させてシート9を読み取り、シート9の画像を読み取った画像データを判定部35へ供給する。判定部35は、その画像データに基づき、シート9に印刷された画像が適正画像であるか不良画像であるかを判定する。このとき、判定部35は、シート9の供給元であるトレイを特定し、記憶部44からその特定したトレイに対応する検査情報51を読み出す。これにより、判定部35は、画像検査を行う際の検査項目又は検査精度を認識することができる。そして判定部35は、画像検査時の検査項目又は検査精度を、検査情報51で指定された項目又は精度に設定し、画像検査を行う。例えば検査精度が低精度である場合、判定部35は、標準精度よりも緩い画像検査を行う。これにより、シート9が薄紙である場合に裏写りしている部分や、検査用背景板33の汚れが透けている部分を不良画像として判定してしまうことを低減することができる。そして判定部35は、画像判定の結果を排出制御部45へ出力する。
【0068】
尚、画像検査部5は、記憶部44から読み出した検査情報51において検査精度が実施不可能として記録されている場合にはシート9に印刷された画像の検査を行わない。
【0069】
排出制御部45は、シート排出部6の動作を制御する。例えばシート排出部6が複数の排出トレイ6aを備えている場合、排出制御部45は、画像検査部5による判定結果に基づいてシート9の排出先となるトレイを切り替える。この場合、適正画像が印刷されたシート9と、不良画像が印刷されたシート9とを分離して排出することができる。
【0070】
次に、画像検査システム1における処理手順について説明する。
図9は、画像検査システム1による処理手順の一例を示すフローチャートである。画像検査システム1は、印刷ジョブの実行を開始すると、複数のトレイ2a,2b,2cのうちからユーザーによって指定されたトレイを選択し(ステップS10)、選択したトレイからシート9の供給を開始する(ステップS11)。
【0071】
次に、画像検査システム1は、検査情報51が記憶部44に記憶されているか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、ステップS10で選択したトレイに対応する検査項目又は検査精度が検査情報51に記録されているか否かを判断する。検査情報51が記憶部44に記憶されていない場合(ステップS12でNO)、画像検査システム1は、シート9がシート検知部3を通過する際に画像読取部10及びシートセンサー20を動作させ、印刷前のシート9の状態を検知する(ステップS13)。これにより、画像検査システム1は、シート9の状態を示す検知情報を取得する。検知情報を取得すると、画像検査システム1は、その検知情報に基づいて検査項目と検査精度とを決定する(ステップS14)。そして画像検査システム1は、決定した検査項目と検査精度とを検査情報51に記録し、記憶部44に保存する(ステップS15)。尚、検査情報51が既に記憶部44に記憶されている場合(ステップS12でYES)、ステップS13~S15の処理はスキップする。
【0072】
次に、画像検査システム1は、画像形成部4における画像形成動作が終了し、画像検査部5による画像検査が可能なタイミングとなるまで待機する(ステップS16)。画像検査が可能なタイミングになると、画像検査システム1は、画像検査部5の画像読取部30を動作させ、画像が印刷されたシート9の画像を読み取る(ステップS17)。画像検査システム1は、記憶部44に記憶している検査情報51を読み出す(ステップS18)。画像検査システム1は、検査情報51において検査が実施不可能として記録されておらず、画像検査が実施可能であるか否かを判断する(ステップS19)。その結果、画像検査が実施可能である場合(ステップS19でYES)、画像検査システム1は、検査情報51に記録されている検査項目又は検査精度を設定し、シート9に印刷された画像の検査を行う(ステップS20)。画像検査を行うと、画像検査システム1は、シート9に印刷された画像が不良画像であるか否かを判断する(ステップS21)。不良画像である場合(ステップS21でYES)、画像検査システム1は、不良画像としてシート9を排出する(ステップS22)。これに対し、シート9に印刷された画像が適正画像であると判定した場合(ステップS21でNO)、画像検査システム1は、シート9を正常に排出する(ステップS23)。
【0073】
一方、ステップS19において検査が実施不可能であると判断した場合(ステップS19でNO)、画像検査システム1は、操作パネル7の表示部7aに警告表示を行う(ステップS24)。
【0074】
図10は、操作パネル7に表示される警告画面60の一例を示す図である。
図10に示すように画像検査が不可能である場合、操作パネル7には、画像検査が不可能であることを示すメッセージが表示される。これにより、ユーザーは、画像検査が行われていないことを認識できる。ユーザーは、そのまま印刷ジョブの実行を継続させる場合、警告画面60に表示されるOKボタン61を操作すれば良い。また、印刷ジョブの実行を停止させる場合、ユーザーは、警告画面60に表示されるジョブ停止ボタン62を操作すれば良い。ユーザーによってジョブ停止ボタン62が操作されると、画像検査システム1は、その後の新たなシート9の供給を停止させ、印刷ジョブの実行を途中で終了させる。また、ユーザーによってOKボタン61が操作された場合、画像検査システム1は、印刷ジョブの実行をそのまま継続させる。この場合、画像検査部5による画像検査が行われないまま印刷ジョブの実行が継続される。したがって、画像が印刷されたシート9は、ステップS23において正常に排出される。
【0075】
その後、画像検査システム1は、印刷ジョブの実行が終了したか否かを判断し(ステップS25)、終了していない場合には、ステップS10に戻って上述した処理を繰り返す。
【0076】
以上のように、本実施形態の画像検査システム1は、画像が印刷される前のシート9の状態を検知するシート検知部3と、シート9に画像が印刷された後、シート9に印刷された画像を読み取って検査する画像検査部5と、シート検知部3で検知したシート9の検知情報に基づいて、画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定する制御部40と、を備えている。そして画像検査部5が、制御部40によって決定された検査項目又は検査精度に基づいてシート9に印刷された画像の検査を行う構成である。
【0077】
このような構成によれば、シート検知部3で検知されるシート9の状態に応じて、シート9に印刷された画像を検査する際の検査項目又は検査精度を変更することが可能である。そのため、画像の印刷に用いられるシート9が両面印刷のときに裏写りしやすい場合や、検査用背景板33の汚れが透けやすい場合には、画像検査部5による画像検査時の検査項目の数を減らしたり、検査精度を低くしたりすることが可能であり、従来のように、裏写りしている部分や、検査用背景板33の汚れが透けている部分を不良画像と誤検知してしまうことを防止することができる。その結果、多くのヤレ紙が発生することを抑制することが可能である。
【0078】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、シート検知部3には、画像読取部10とシートセンサー20との2つの検知手段が設けられ、それら2つの検知手段でシート9の状態を検知する例を説明した。しかし、シート検知部3には、上述した2つの検知手段のうちのいずれか一方のみが設けられている構成であっても構わない。例えば、シート検知部3に画像読取部10のみが設けられている場合、画像読取部10によって読み取られた画像には測定用画像14に関する情報が含まれるため、その情報に基づいて画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定することができる。また、シート検知部3にシートセンサー20のみが設けられている場合、シートセンサー20によって検知されるシート9の物性値には坪量や紙厚、平滑度といった情報が含まれるため、それらの情報に基づいて画像検査部5における検査項目又は検査精度を決定することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 画像検査システム(画像形成システム)
2 シート供給部
3 シート検知部
4 画像形成部
5 画像検査部
6 シート排出部
7 操作パネル
9 シート
10 画像読取部(第1画像読取部)
13 基準背景板
14 測定用画像
20 シートセンサー
30 画像読取部(第2画像読取部)
33 検査用背景板
40 制御部
44 記憶部