(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116711
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】センサ式水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022483
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】紺村 健二
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB02
2D060BC30
2D060BE20
2D060BF03
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】センサ式水栓であっても非接触センサは超音波式や赤外線式の、目視できない媒体を照射して手を検知しているので、手が非接触式センサの検知位置にあることを認識できない。そのため、特に洗面所などで使用されるセンサ式水栓では、手を洗浄中に、洗浄が終了していなくても非接触センサの検知位置から無意識に手がずれると水の吐出が停止してしまう。
【解決手段】非接触センサの検知位置に可視光を照射する発光手段を設け、手に発光手段からの可視光が照射されている状態を保つことにより水の吐出が意図せず停止することを防止するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口の下方に位置する手を検知する非接触センサを備え、この非接触センサが手を検知している間、蛇口から水を吐出するセンサ式水栓において、上記非接触センサの検知位置に可視光を照射する発光手段を設けたことを特徴とするセンサ式水栓。
【請求項2】
上記発光手段は上記蛇口から水が吐出されている状態では発光しており、上記非接触センサが手を検知しなくなった時点から所定時間後に消灯することを特徴とする請求項1に記載のセンサ式水栓。
【請求項3】
上記発光手段は人体の皮膚に害を及ぼさないレーザ光線を照射するものであって、照射方向が相違する2本のレーザ光を照射し、これら2本のレーザ光を、上記非接触センサの検知位置で交差させたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ式水栓。
【請求項4】
上記非接触センサが手を検知しない状態で、上記蛇口に人が近づいたことを検知する近接センサを設け、この近接センサが人を検知すると上記発光手段による発光を開始することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ式水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇口の下方に位置する手を検知する非接触センサを備え、この非接触センサが手を検知している間、蛇口から水を吐出するセンサ式水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のようなセンサ式水栓はタッチレス水栓とも呼ばれ、近年急速に普及している。このようなセンサ式水栓は主に2種類存在し、台所などで使用されるものであって、カランの上面に非接触センサを有しており、この非接触センサに手をかざすと蛇口からの水の吐出が開始され、次に非接触センサに手をかざすと水の吐出が停止するものがある。
【0003】
これに対して、洗面所などで使用されるものとして、非接触センサの存在を使用者に意識させることなく、蛇口の下方に手を位置させると、その手を非接触センサが検知して自動的に蛇口から水を吐出させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この後者のものでは、手を蛇口の下方から退避させれば、非接触センサが手を検知しなくなるので、水の吐出を自動的に停止させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-138274号公報(段落[0009]、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のいずれのセンサ式水栓であっても非接触センサは超音波式や赤外線式の、目視できない媒体を照射して手を検知しているので、手が非接触式センサの検知位置にあることを認識できない。そのため、特に上記の洗面所などで使用されるセンサ式水栓では、手を洗浄中に、洗浄が終了していなくても非接触センサの検知位置から無意識に手がずれると水の吐出が停止してしまうという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上記不具合の生じないセンサ式水栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるセンサ式水栓は、蛇口の下方に位置する手を検知する非接触センサを備え、この非接触センサが手を検知している間、蛇口から水を吐出するセンサ式水栓において、上記非接触センサの検知位置に可視光を照射する発光手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
上記発光手段が照射する可視光が手に照射されていることは目視できるので、その可視光に手が照射されている状態を維持している間は水の吐出が中断することはない。
【0010】
不注意で発光手段が照射する可視光が当たらない位置まで手が移動すると、手を非接触センサの検知位置まで戻さなくてはならない。その際には、上記発光手段は上記蛇口から水が吐出されている状態では発光しており、上記非接触センサが手を検知しなくなった時点から所定時間後に消灯するように構成しておけば、水の吐出が停止しても所定時間の間は照射手段からの可視光は残存する。
【0011】
また、手が非接触センサの検知位置にあることを正確に知るためには、上記発光手段は人体の皮膚に害を及ぼさないレーザ光線を照射するものであって、照射方向が相違する2本のレーザ光を照射し、これら2本のレーザ光を、上記非接触センサの検知位置で交差させればよい。
【0012】
ところで、非接触センサが手を検知する前の段階で発光手段から可視光を照射しておくことが望ましいが、上記発光させたのでは省エネ上好ましくはない。そこで、上記非接触センサが手を検知しない状態で、上記蛇口に人が近づいたことを検知する近接センサを設け、この近接センサが人を検知すると上記発光手段による発光を開始することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、非接触センサを備えたセンサ式水栓を利用する際に、特に洗面所などで使用されるセンサ式水栓で非接触センサの検知位置に手があることを目視できるので、洗浄途中に手が非接触センサの検知位置から外れて、水の吐出が意図せず中断することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明における制御フローの一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は洗面台であり、一般には陶器によって形成されている。2はこの洗面台に取り付けられたカランであり、カラン2の先端に形成された蛇口21から水または温水を吐出するものである。図示しない給水管には同じく図示しない電磁式の開閉弁が設けられており、その開閉弁が開弁すると蛇口21から吐水が開始され、閉弁すると吐水が停止する。この開閉弁の開閉制御は非接触センサ3の検知信号により行われ、非接触センサ3が手Hを検知すると開閉弁が開閉されて吐水が開始され、手Hが退避されるなどして非接触センサ3によって検知されなくなると開閉弁が閉弁して吐水が停止する。
【0016】
41および42は共に発光手段であり、本実施の形態では可視光のレーザ光L1,L2を照射するものとした。これらレーザ光L1,L2は人間の皮膚に照射されても皮膚に傷害等を及ぼすものではなく、いわゆるマーカと呼ばれる低出力のものである。そして、両者の光軸の方向は相違しており、点Cで両レーザ光L1,L2が交差するようにした。この点Cは非接触センサ3の検知位置に存在し、手Hが非接触センサ3の検知位置に存在する状態で1点に見えるようにしており、手Hの位置がずれると手H上に2点として現れる。
【0017】
5は近接センサであり、手Hが非接触センサ3の検知位置に差し出される前の段階で、カラン2に人が近づいたことを検知するものである。
【0018】
以上の構成の作動について、
図2を参照して説明する。
【0019】
最初は近接センサ5によって人が近づいてくることを検知している(S1)。人が近づいてきたことを近接センサ5が検知すると発光手段41,42がレーザ光L1,L2の照射を開始する(S2)。ただし、発光手段41,42の照射開始からタイマを作動させ、そのタイマの計時が予め設定された一定時間を経過すると発光手段41,42からの照射が停止するように設定した。
【0020】
次に非接触センサ3が手Hを検知するまで待機するが(S3)、近接センサ5が人を検知している間は非接触センサ3が手Hを検知しなくても発光手段41,42のタイマはリセットされ続け、レーザ光L1,L2は照射され続ける。
【0021】
その状態で非接触センサ3が手Hを検知すると、発光手段41,42のタイマの計時を中止して発光手段41,42が継続して発光し続ける状態にすると共に(S4)、上記の開閉弁を開弁して蛇口21からの吐水を開始する(S5)。この吐水は非接触センサ3が手Hを検出しなくなるまで続けられ(S6)、手Hを検知しなくなると開閉弁を閉弁させて吐水を停止する(S7)。
【0022】
この状態では吐水は停止しているが発光手段41,42からのレーザ光L1,L2の照射は継続している。吐水停止から所定時間経過するまで待機し(S8)、所定時間が経過するまでに再び非接触センサ3が手Hを検知すると(S9)、上記ステップS5に戻り吐水を再開するが、所定時間経過するまで非接触センサ3が手Hを検知しなければ発光手段41,42によるレーザ光L1,L2の照射を停止して(S10)最初のステップS1に戻るようにした。
【0023】
ところで、上記実施の形態では発光手段を2カ所に設け、各々レーザ光L1,L2を照射するようにしたが、通常の光線を照射する発光手段を1カ所に設けてもよい。ただし、その場合には、通常光が凸レンズを透過して手Hに照射され、かつその通常光が凸レンズの作用により点Cに結像するようにして、手Hの位置がずれると結像がぼやけるように構成する。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1 洗面台
2 カラン
3 非接触センサ
5 近接センサ
21 蛇口
41 発光手段
42 発光手段
H 手
L1 レーザ光
L2 レーザ光