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特開2024-116720バスバーモジュール、および、電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116720
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】バスバーモジュール、および、電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20240821BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20240821BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240821BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/516
H01M50/204
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022497
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 央恵
(72)【発明者】
【氏名】大阪 亮介
(72)【発明者】
【氏名】望月 崇弘
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA04
5H043AA01
5H043CA05
5H043FA04
5H043HA13F
5H043JA01F
5H043JA06F
5H043JA09F
5H043KA08F
5H043KA37F
(57)【要約】
【課題】はんだに応力がかかったとしても、基板と接続片との接続が保持されやすいバスバーモジュール、および、電池パックを提供する。
【解決手段】バスバーモジュール10は、複数の電池セルの電極面に設けられたバスバーモジュールであって、基板50と、電池セルの電極につながる電極端子24、25に接続されるバスバー本体60、および、バスバー本体から延びて基板に重なるとともに基板に接続される接続片70を有する複数のバスバー80と、基板と接続片とを固定するはんだ100と、を備える。はんだが案内される案内面79を有する案内構造78が接続片に設けられ、接続片の外殻を形成するとともに案内面に連続している連続面73、75の少なくとも一部、および、案内面にはんだが付着している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)の電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)であって、
基板(50)と、
前記電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、前記バスバー本体から延びて前記基板に重なるとともに前記基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
前記基板と前記接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
前記はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が前記接続片に設けられ、
前記接続片の外殻を形成するとともに前記案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、前記案内面に前記はんだが付着しているバスバーモジュール。
【請求項2】
前記案内構造は、前記案内面が、前記基板における前記はんだが接続されている部位から遠ざかるよう延びる、傾斜部(79)または湾曲部(479)であって、
前記連続面は、前記基板に対向するとともに端が前記案内面へと続く対向面(75)、および、前記案内面における前記対向面に続く端とは反対の端から続き前記対向面から遠ざかるように延びる側面(73)を備え、
少なくとも前記はんだが前記対向面、および、前記案内面に付着している請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記はんだの濡れ広がりを向上させる金属膜(81)をさらに備え、
前記金属膜が前記案内面の少なくとも一部に設けられている請求項2に記載のバスバーモジュール。
【請求項4】
前記接続片は、前記電池セルの高さ方向(HT)を軸としてその周りに環状の枠を形成する複数の縁部(71)を備え、
複数の前記縁部によって空間(72)が区画されており、
前記縁部における前記空間側である内側に前記案内構造が設けられ、
前記基板は、前記縁部に重なる重複領域(45)と、前記重複領域から前記空間側へ連続する連続領域(46)を有し、
前記はんだにおける前記案内面に付着している部位が、前記連続領域に向かって、裾広がりに広がっている請求項2または3に記載のバスバーモジュール。
【請求項5】
前記接続片は前記空間を区画する前記縁部を4つ有し、
前記案内構造が、前記空間を区画する4つの前記縁部のうち、前記電池セルの幅方向(WD)に並ぶ2つに設けられている請求項4に記載のバスバーモジュール。
【請求項6】
前記基板はフレキシブル基板であり、
前記基板は、前記電極面に重なる基部(30)、および、前記電極面に向かって前記基部から延びる複数の端子部(40)を有する基板(50)を有し、
前記端子部は、前記基部の前記幅方向の端部から前記電極端子に向かって延びる第1延長部(41)と、前記第1延長部における前記基部から離れた端部に設けられ、前記電極面に向かって延びるとともに先端に前記接続片が接続される第2延長部(42)と、有し、
前記第2延長部は、前記高さ方向と前記厚さ方向に柔軟に変形可能である請求項5に記載のバスバーモジュール。
【請求項7】
前記第2延長部は、山型と谷型に折れ曲がりつつ前記高さ方向に延びる軸部(43)と、前記軸部における前記第1延長部から離れた先端から前記厚さ方向に延びて前記接続片に接続される先端部(44)と、を有する請求項6に記載のバスバーモジュール。
【請求項8】
前記案内構造は内部に前記案内面を有する凹部(279)であって、
前記接続片は前記基板に対向する対向面(75)を備え、
前記案内面が前記対向面に連続するように、前記接続片に前記凹部が設けられ、
前記はんだが、前記対向面、および、前記案内面に付着している請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項9】
前記案内構造は内部に前記案内面を有する凹部(379)であって、
前記接続片は前記基板に対向する対向面(75)、および、前記対向面から遠ざかるように延びる側面(73)を備え、
前記案内面が前記側面に連続するように、前記接続片に前記凹部が設けられ、
前記はんだが、前記対向面、前記側面、および、前記案内面に付着している請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項10】
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)と、
複数の前記電池セルの電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)と、を備え、
前記バスバーモジュールは、
基板(50)と、
前記電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、前記バスバー本体から延びて前記基板に重なるとともに前記基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
前記基板と前記接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
前記はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が前記接続片に設けられ、
前記接続片の外殻を形成するとともに前記案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、前記案内面に前記はんだが付着している電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、バスバーモジュール、および、電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスバモジュールが取り付けられた電池集合体が記載されている。電池集合体は、単電池の正極と負極が交互に積層するように配列している。バスバモジュールは、フレキシブル基板から構成され、単電池の正極および負極に接続されるバスバが取り付けられた回路体を有する。回路体は、各単電池の上で積層方向に沿って配置された本線と、本線の長手方向及び厚み方向に対して交差する方向に延びる帯状の第1支線部を有する。第1支線部の先端に、各電池本体の積層方向に対して平行な方向に延びる帯状の第2支線部が設けられている。第2支線部に、バスバ本体から本線側に突出した接続片が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6793691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第2支線部の先端の接続部に接続片がハンダを介して固定されている。ハンダが接続部と接続片の境界に設けられている。ハンダが接続片の縁に沿うように接続片の外面に付着している。ハンダと接続片との接着量が少ないために、ハンダに応力がかかるとハンダの強度不足によりハンダが損傷して接続片と接続部との接続が保持できなくなる虞がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、はんだに応力がかかったとしても、基板と接続片との接続が保持されやすいバスバーモジュール、および、電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるバスバーモジュールは、
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)の電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)であって、
基板(50)と、
電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、バスバー本体から延びて基板に重なるとともに基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
基板と接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が接続片に設けられ、
接続片の外殻を形成するとともに案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、案内面にはんだが付着している。
【0007】
はんだ(100)が連続面(73、75)の少なくとも一部と案内面(79A;279A;379A;479A)の両方に付着しているために、接続片(70)におけるはんだ(100)の付着量が多くなる。そのために基板(50)と接続片(70)との接続が強固になる。はんだ(100)に応力がかかったとしても、基板(50)と接続片(70)との接続が保持されやすい。
【0008】
また別の本開示の一態様による電池パックは、
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)と、
複数の電池セルの電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)と、を備え、
バスバーモジュールは、
基板(50)と、
電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、バスバー本体から延びて基板に重なるとともに基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
基板と接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が接続片に設けられ、
接続片の外殻を形成するとともに案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、案内面にはんだが付着している。
【0009】
電池パックは、バスバーモジュール(10)を有している。はんだ(100)が連続面(73、75)の少なくとも一部と案内面(79A;279A;379A;479A)の両方に付着しているために、接続片(70)におけるはんだ(100)の付着量が多くなる。そのために基板(50)と接続片(70)との接続が強固になる。はんだ(100)に応力がかかったとしても、基板(50)と接続片(70)との接続が保持されやすい。
【0010】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電池パックの分解斜視図である。
図2】電池パックからケースを除いた斜視図である。
図3】バスバーモジュールからホルダを除いた斜視図である。
図4】端子部と接続片との接続関係を示す斜視図である。
図5】端子部と接続片との接続箇所を拡大した拡大図である
図6】第1実施形態の案内構造の1つを説明する模式図である。
図7】第1実施形態における案内構造の別の1つを説明する模式図である。
図8】第2実施形態における案内構造を説明する模式図である。
図9】第2実施形態の案内構造を説明する断面図である。
図10】第2実施形態の案内構造の変形例を説明する断面図である。
図11】第3実施形態の案内構造を説明する模式図である。
図12】第3実施形態の案内構造を説明する断面図である。
図13】第4実施形態の案内構造を説明する模式図である。
図14】第4実施形態の案内構造を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0013】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
図1図7に基づいて、電池パック1、および、バスバーモジュール10を説明する。図1は電池パック1の各種構成要素を模式的に記載している。図2図7においてはバスバーモジュール10の各種構成要素を模式的に記載している。実施形態の電池パック1は一例として電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの電動車両に適用される。電池パック1は複数の電池セル20を備える。電池セル20は二次電池である。電池セル20に採用することのできる二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などがある。これら二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。
【0015】
以下においては電池セル20の厚さ方向を厚さ方向TDと称する場合がある。なお、厚さ方向TDは複数の電池集合体21の積層方向に相当する。電池セル20の幅方向を幅方向WDと称する場合がある。電池セル20の高さ方向を高さ方向HTと称する場合がある。厚さ方向TDと幅方向WDと高さ方向HTは互いに直交の関係にある。なお図面においては、厚さ方向TDを単に「TD」と記載する場合がある。幅方向WDを単に「WD」と記載する場合がある。高さ方向HTを単に「HD」と記載する場合がある。
【0016】
次に図面について説明する。図1は、電池パック1の分解斜視図である。図2は、電池パック1からケース160を除いた斜視図である。図3は、バスバーモジュールからホルダを除いた斜視図である。図4は、端子部40と接続片70との接続関係を示す斜視図である。図5は、端子部40と接続片70との接続箇所を拡大した拡大図である。図6は、第1実施形態の案内構造78の1つを説明する模式図である。図7は、第1実施形態の案内構造78の別の1つを説明する模式図である。
【0017】
<車載電池>
電池パック1は電動車両に搭載され、車載電源を構成している。車載電源は車両の電気負荷に電力供給する機能を果たしている。車載電源の配置場所としては、例えば前部座席下の空間、後部座席下の空間、および、後部座席とトランクルームとの間の空間などを適宜採用することができる。
【0018】
電池パック1は、バスバーモジュール10、複数の電池セル20、樹脂枠110、カバー120、ナット130、エンドプレート140、シム150、および、これらを収納するケース160を備える。先にケース160について説明する。
【0019】
<ケース>
ケース160は一例としてダイカストによって形成された有底箱型形状をしている。ケース160の部材としてはアルミなどが採用される。ケース160は、底壁161と側壁162を有する。底壁161と側壁162は、一体的に連結されている。底壁161は高さ方向HTに厚さの薄い扁平形状をしている。側壁162は底壁161の内底面から高さ方向HTに起立している。側壁162は内底面の縁に沿って延び、高さ方向HTまわりの周方向で環状を成している。底壁161と側壁162とによってケース160の収納空間163が構成されている。
【0020】
複数の電池セル20が収納空間163に収納されている。複数の電池セル20は収納空間163において幅方向WDで2列になって収納されている。ケース160は高さ方向HTの一端に開口を有する。開口側に各電池セル20の電極面20Aが対応するように、ケース160に複数の電池セル20が収納されている。各電池セル20は、厚さ方向TDにおいて主面20C同士が重なるように積層されている。
【0021】
<電池セル>
電池セル20は、厚さ方向TDに厚さの薄い略直方体形状をしている。電池セル20は正極端子24および負極端子25を有する電極面20Aと、厚さ方向TDに直交する平面に沿う2つの主面20Cを備える。電極面20Aは2つの主面20Cをつなぐように2つの主面20Cの間に設けられている。電池セル20は、電極面20Aにおける幅方向WDの両端に、正極および負極を有している。正極および負極が厚さ方向TDに関して交互に配置されるように電池セル20が厚さ方向TDに積層されている。
【0022】
<樹脂枠>
積層配置された複数の電池セル20の隣接する2つの間に、樹脂枠110が配置されている。積層方向に関して電池セル20と樹脂枠110とが交互に配列されている。電池セル20と樹脂枠110とが交互に積層配置されることで電池集合体21が形成されている。樹脂枠110は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂部材によって形成されている。樹脂枠110は隣接する電池セル20の間で絶縁部材として配置されている。
【0023】
樹脂枠110は、電池セル20の主面20Cに対向する中央体111と中央体111の周縁に一体的に連結され環状に設けられる枠体112を有する。中央体111と枠体112によって区画される空間に電池セル20が収容されるとともにその位置が固定されている。枠体112における電極面20Aに対向する壁に正極に電気的に接続される正極端子24と負極に電気的に接続される負極端子25が設けられている。なお、正極端子24および負極端子25をまとめて電極端子24、25と称する場合がある。
【0024】
<エンドプレートとシム>
また図1に示すように厚さ方向TDに関して端に位置する電池セル20に、この電池セル20を覆うようにエンドプレート140が外側から取り付けられている。エンドプレート140は一例として電気絶縁性を有する樹脂部材から構成される。さらにエンドプレート140と側壁162との間に各構成要素の相対位置を調整するシム150が設けられている。シム150は一例として金属部材によって構成されている。
【0025】
<バスバーモジュール>
複数の電池セル20の電極面20Aを覆うようにバスバーモジュール10が電池集合体21の上方に配置されている。バスバーモジュール10は、基板50、バスバー80、はんだ100、および、ホルダ170を有する。基板50はバスバー80を介して電池セル20の電極端子24、25に電気的に接続されている。基板50とバスバー80がホルダ170に保持収納されている。基板50は柔軟に変形可能なフレキシブル基板である。基板50に配線パターンが設けられている。基板50の表面と裏面には、配線パターンを覆う樹脂層が設けられている。
【0026】
<基板>
基板50は、基部30と複数の端子部40とを有する。基部30は、幅方向WDに離れて並ぶ正極端子24と負極端子25の間の部位を覆うように、電池集合体21の上方に設けられている。基部30は厚さ方向TDに延びている。電極端子24、25は基部30よりも幅方向WDに関して外側に設けられている。基部30と電極端子24、25とが幅方向WDに離れて並んでいる。基部30に電池セル20の電圧を検出する電圧検出線が設けられている。
【0027】
<端子部>
複数の端子部40は、基部30における幅方向WDの両端それぞれに設けられている。端子部40は第1延長部41と第2延長部42を有する。第1延長部41は、基部30の幅方向WDの端部から各電極端子24、25側に向かって幅方向WDに延びている。第2延長部42は、第1延長部41における基部30から離れた側の端部に設けられている。第2延長部42は、第1延長部41における基部30から離れた側の端部における幅方向WDの縁に設けられている。
【0028】
第2延長部42は、第1延長部41から遠ざかるとともに電極面20Aに向かって延びている。第2延長部42は電極面20Aに向かって高さ方向HTに延びているとも言える。基部30は第2延長部42の高さ方向HTの長さ程度、電極面20Aよりも上方に設けられている。第2延長部42は電極面20Aに向かって高さ方向HTに延びる途中で略S字状に折れ曲がっている。第2延長部42は互いに反対向きに折れ曲がる2つの屈曲部42Aを有するとも言える。2つの屈曲部42Aは高さ方向HTに連続して並んでいる。2つの屈曲部42Aのうちの1つが山型に折れ曲がり、2つの屈曲部42Aのうちの別の1つが谷型に折れ曲がっている。
【0029】
上記したように基板50はフレキシブル基板である。そのために基部30、第1延長部41、および、第2延長部42それぞれは柔軟に変形可能である。基部30および第1延長部41は特に高さ方向HTに柔軟に変形可能である。第2延長部42は特に高さ方向HTと厚さ方向TDに柔軟に変形可能である。図3に示すように第2延長部42における第1延長部41から離れた先端は厚さ方向TDに延びている。第2延長部42における第1延長部41から離れた先端は厚さ方向TDに長さを有しているとも言える。第2延長部42は第1延長部41から遠ざかるように高さ方向HTに延びる軸部43と、軸部43における第1延長部41から離れた先端から厚さ方向TDに延びる先端部44とを有するとも言える。
【0030】
<先端部>
先端部44は、高さ方向HTに厚さの薄い板状形状をしている。先端部44は高さ方向HTで基部30と電池集合体21の間に設けられている。先端部44は高さ方向HTで電極面20Aの上方に設けられている。先端部44はバスバー80を介して電極端子24、25に電気的に接続される部位である。先端部44は、基部30側に位置する表面44Aとその裏側の裏面44Bを有する。表面44Aはバスバー80が接続される面である。表面44Aは高さ方向HTに直交する平面に沿って平坦に延びている。表面44Aにバスバー80の接続片70が接続されることで、基部30に設けられた電圧検出配線と、電極端子24、25と、が電気的に接続される。
【0031】
また基部30の端部にコネクタ31が取り付けられている。コネクタ31は、電圧検出線に繋がるとともに外部の電圧検出装置に接続可能である。先端部44がバスバー80を介して電極端子24、25に電気的に接続されることで電圧検出線に電流が流れる。電圧検出線を流れた電流がコネクタ31を介して外部の電圧検出装置に流れる。電圧検出装置はこの電流に基づいて電池セル20の電圧を検出する。
【0032】
<バスバー>
バスバー80は高さ方向HTに扁平な金属製の板状部材である。一例としてバスバー80は銅を主原料として構成されている。バスバー80は、バスバー本体60と、バスバー本体60から突出する接続片70を有する。バスバー80は電極面20Aに重なるように電池セル20の上方に設けられている。バスバー本体60は電極端子24、25に電気的に接続される部位である。接続片70はバスバー本体60から先端部44に向かって幅方向WDに延びている。接続片70は先端部44に電気的に接続される部位である。なお接続片70はバスバー本体60と別体になっていても良い。
【0033】
バスバー本体60には、厚さ方向TDに隣接する正極端子24と負極端子25がそれぞれ通される2つの貫通孔61が設けられている。2つの貫通孔61に正極端子24と負極端子25がそれぞれ通されている。バスバー本体60よりも上方から、正極端子24と負極端子25それぞれにナット130が通されている。ナット130が正極端子24と負極端子25それぞれに固定されている。これにより電極端子24、25とバスバー本体60とが電気的および機械的に接続されている。
【0034】
上記したように基部30の幅方向WDの端部に端子部40が設けられている。端子部40よりも幅方向WDに関して外側にバスバー80が設けられている。端子部40は、基部30の幅方向WDの端部から幅方向WDに延びる第1延長部41と、第1延長部41の端部から高さ方向HTに延びる第2延長部42を有する。第2延長部42は、第1延長部41から遠ざかるように高さ方向HTに延びる軸部43と、軸部43における第1延長部41から離れた先端から厚さ方向TDに延びる先端部44とを有している。バスバー80のバスバー本体60が電極端子24、25に設けられている。バスバー80の接続片70がバスバー本体60から先端部44に向かって幅方向WDに延びている。接続片70が先端部44とはんだ100を介して接続されている。
【0035】
<ホルダ>
ホルダ170は基板50とバスバー80を保持収納するための保持収納構造である。ホルダ170は例えば電気絶縁性を有する樹脂などで形成されている。ホルダ170は、本体収納部171と、端子収納部172と、蓋部173を有する。本体収納部171は基部30よりも電池セル20側に設けられている。本体収納部171は基部30を下方から保持している。本体収納部171の幅方向WDの両端に、端子収納部172が設けられている。端子収納部172に端子部40が保持収納されている。そして端子収納部172から端子部40が露出されている。なお基板50は本体収納部171の反対側で電気絶縁性を有する樹脂製の蓋部173によって覆われている。
【0036】
<カバーとナット>
またホルダ170には電気絶縁性を有する樹脂製のカバー120が組付けられている。カバー120は外部から活電部を保護するため、ホルダ170の上方から組み付けられている。このようにしてカバー120がホルダ170に取り付けられることによって、先端部44と接続片70との接続部位に外部から水分や塵が接触することが抑制されている。
【0037】
<接続片>
接続片70は高さ方向HTを軸としてその周りに環状を成す枠形状をしている。接続片70は高さ方向HT面視で略矩形をしている。接続片70は枠を形成する4つの縁部71を有する。以下、バスバー本体60から連続している縁部71を第1縁部71Aと称する場合がある。第1縁部71Aに向かい合うように設けられている縁部71を第3縁部71Cと称する場合がある。第1縁部71Aの一端と第3縁部71Cの一端を結ぶ縁部71を第2縁部71Bと称する場合がある。第1縁部71Aの他端と第3縁部71Cの他端を結ぶ縁部71を第4縁部71Dと称する場合がある。第1縁部71A、第2縁部71B、第3縁部71C、および、第4縁部71Dがこの順に時計回りにバスバー本体60に設けられている。4つの縁部71によって空間72が区画されている。空間72は4つの縁部71それぞれの内側面73によって区画されているとも言える。また電池パック1はさらにチップヒューズ82を備える。チップヒューズ82が空間72に配置されている。詳細は省略するがチップヒューズ82を介して基部30に設けられた電圧検出配線などの配線と接続片70とが電気的に接続されている。
【0038】
4つの縁部71それぞれは、内側面73の他に、外側面74、対向面75、および、上面76を有する。言い換えれば、接続片70は、内側面73、外側面74、対向面75、および、上面76を有する。外側面74は、高さ方向HTに直交する方向に関して内側面73よりも外側に設けられる面である。対向面75は先端部44の表面44Aに対向する面である。対向面75は、内側面73の高さ方向HTの一端と、外側面74の高さ方向HTの一端に接続される面である。対向面75は表面44Aとの離間距離が一定で、表面44Aに高さ方向HTで離間している面である。上面76は、内側面73の高さ方向HTの他端と、外側面74の高さ方向HTの他端に接続される面である。なお、第1縁部71Aの外側面74はバスバー本体60に一体的に連結されている。
【0039】
接続片70は4つの縁部71それぞれの対向面75が、表面44Aに高さ方向HTで重なるように先端部44に設けられている。縁部71と先端部44の間にはんだ100が設けられている。接続片70と先端部44とがはんだ100を介して固定されている。表面44Aは、先端部44において、はんだ100が接続される部位であるからはんだ接続部位とも称される場合がある。なお、このはんだ接続部位における、第1縁部71Aおよび第3縁部71Cに重なる重複領域45と、はんだ接続部位における、重複領域45から空間72側へとわずかに続く連続領域46においては、樹脂層が除去されている。
【0040】
第1縁部71Aおよび第3縁部71Cに重なる重複領域45と、この重複領域45から空間72側にわずかに連続する連続領域46にはんだ100が設けられている。第1縁部71Aに重なる重複領域45とこの重複領域45から連続する連続領域46に設けられたはんだ100によって、第1縁部71Aと先端部44とが電気的に接続されるとともに固定されている。第3縁部71Cに重なる重複領域45とこの重複領域45から連続する連続領域46に設けられたはんだ100によって、第3縁部71Cと先端部44とが電気的に接続されるとともに固定されている。
【0041】
上記したように第1縁部71Aおよび第3縁部71Cは幅方向WDに離れて並んでいる。そのために接続片70と先端部44とは幅方向WDに離れた2箇所ではんだ100によって固定されているとも言える。またはんだ100は連続領域46に設けられていることから、はんだ100は縁部71における表面44Aへの投影領域よりも外側の領域に設けられているとも言える。そのためにはんだ100を高さ方向HT面視で視認可能である。
【0042】
<案内構造>
また縁部71における空間72側である内側に、はんだ100が案内される案内面79Aを有する案内構造78が設けられている。案内構造78は、対向面75および内側面73につながる案内面79Aを有する構造である。案内構造78は、案内面79Aとして、対向面75および内側面73を連結する傾斜面を備える傾斜部79である。なお、案内構造78は傾斜部79に限定されない。なお後で説明するが、案内構造78は、対向面75から凹む凹部279、内側面73から凹む凹部379、対向面75および内側面73を連結する湾曲面を備える湾曲部479などであってもよい。
【0043】
傾斜部79は、案内面79Aが先端部44のはんだ接続部位である表面44Aから遠ざかるよう延びる、傾斜である。傾斜部79は内側面73から外側面74に向かうにつれて先端部44に近付くように傾く傾斜である。傾斜部79は内側面73と対向面75とがぶつかって形成される仮想の角部77に設けられている。案内面79Aは内側面73と対向面75を連結する面である。対向面75は端子部40の表面44Aに重なるとともに端が案内面79Aへと続いている。内側面73は案内面79Aにおける対向面75に続く端とは反対の端から続き、対向面75から遠ざかるように高さ方向HTに延びている。
【0044】
案内構造78は第1縁部71Aと第3縁部71Cに形成されている。先に第1縁部71Aに形成された案内構造78について説明する。第1縁部71Aにおける内側面73と対向面75とがぶつかる仮想の角部77に傾斜部79が設けられている。傾斜部79の案内面79Aは、第1縁部71Aの内側面73と第1縁部71Aの対向面75を連結している。第1縁部71Aの対向面75と、傾斜部79の案内面79Aと、第1縁部71Aの内側面73とが連続している。そしてこの対向面75と案内面79Aにはんだ100が付着している。なお、はんだ100は、第1縁部71Aの対向面75と、この対向面75から連続する案内面79Aに加えて、第1縁部71Aの内側面73に付着していてもよい。内側面73、および/または、対向面75は、案内面79Aに連続する面であるから連続面73、75と称される場合がある。なお、連続面73、75は接続片70の外殻の一部を形成する面である。外殻とは案内面79Aを除く外面のことである。例えば外殻とは、内側面73、外側面74、対向面75、および、上面76のことである。
【0045】
第1縁部71Aの案内面79Aに付着したはんだ100は表面44Aに向かって滑らかに裾広がりにカーブしている。裾広がりに広がったはんだ100は連続領域46に入り込んでいる。別の言い方をすれば案内面79Aに付着したはんだ100がフィレット形状を形成しているとも言える。これによれば検査時に高さ方向HT面視ではんだ100の有無を容易に確認可能である。
【0046】
同様に第3縁部71Cにおける内側面73と対向面75とがぶつかる仮想の角部77に傾斜部79が設けられている。傾斜部79の案内面79Aは、第3縁部71Cの内側面73と第3縁部71Cの対向面75を連結している。第3縁部71Cの対向面75と、傾斜部79の案内面79Aと、第3縁部71Cの内側面73とが連続している。そしてこの対向面75と、対向面75から連続する案内面79Aにはんだ100が付着している。なお、はんだ100は、第3縁部71Cの対向面75と、この対向面75から連続する案内面79Aに加えて、第3縁部71Cの内側面73に付着していてもよい。
【0047】
なお、第3縁部71Cにおいても、内側面73、および/または、対向面75は、案内面79Aに連続する面であるから連続面73、75と称される場合がある。連続面73、75は接続片70の外殻を形成する面である。第3縁部71Cの案内面79Aに付着したはんだ100は表面44Aに向かって滑らかに裾広がりにカーブしている。裾広がりに広がったはんだ100は連続領域46に入り込んでいる。別の言い方をすれば案内面79Aに付着したはんだ100がフィレット形状を形成しているとも言える。これによれば検査時に高さ方向HT面視ではんだ100の有無を容易に確認可能である。
【0048】
またバスバーモジュール10はさらに、はんだ100の濡れ広がりを向上させるための金属膜81を有する。金属膜81とは一例としてメッキがあげられる。金属膜81が接続片70の4つの縁部71に設けられている。金属膜81は、4つの縁部71それぞれの、対向面75、上面76、および、案内面79Aに設けられている。なお、金属膜81は案内面79Aに設けられていなくてもよい。
【0049】
一般的にバスバーはメッキなどの金属膜などが予め表面に設けられた銅などの金属の板材が板厚方向に打ち抜かれることで形成される。そのために板厚方向に直交する破断面においては、金属膜が設けられていない母材となる銅などの金属材料が露出した状態となる。一般的に破断面は金属膜が設けられた面よりも、はんだの濡れ広がり性が劣ることが知られている。そのために破断面にはんだを付着させたくても、はんだが破断面に這い上がりにくく、破断面においては広い範囲ではんだを付着させられないとの懸念があった。
【0050】
このように破断面においてバスバーとはんだとの付着面積を増大させることが難しく、バスバーと、バスバーを固定させる対象物とのはんだの接続強度を増大させることが難しかった。そこで破断面におけるはんだの濡れ広がり性を向上させるために、バスバーを形成した後に新たに破断面に金属膜を設けることなどが考えられる。しかしながらその場合、新たに破断面用の金属膜が必要となるために材料費が余分にかかる、または、新たに破断面に金属膜を設けるための工程が必要となる懸念があった。
【0051】
本実施形態では製造過程においてバスバー80の対向面75と内側面73を結ぶ角部77をつぶして案内構造78として傾斜部79を形成している。角部77をつぶして案内構造78として傾斜部79を形成する工程はC面打ちともいわれる。これによれば傾斜部79の少なくとも一部に対向面75を由来とする案内面79Aが形成される。そのために案内面79Aの少なくとも一部に金属膜を設けることができる。これによれば案内面79Aにおけるはんだ100の濡れ広がり性を向上させることができる。はんだ100の接続片70への付着量を多くできる。
【0052】
なおこれまでに接続片70の形態が枠形状である例を説明したが、接続片70の形態は枠形状に限定されない。接続片70は空間72が閉塞された板形状になっていてもよい。その場合、接続片70は対向面75、上面76、および、外側面74を有する。その場合、接続片70における対向面75と外側面74とがぶつかる仮想の角部77に傾斜部79が設けられる。はんだ100が対向面75と案内面79Aに付着することとなる。この場合においてもはんだ100がさらに外側面74に付着していてもよい。はんだ100の接続片70への付着量を多くできる。
【0053】
<作用効果>
本実施形態のバスバーモジュール10は、基板50と、バスバー80と、はんだ100を有している。基板50は基部30と、複数の電池セル20の電極端子24、25に向かって基部30から延びる複数の端子部40を有する。バスバー80は、電極端子24、25に接続されるバスバー本体60と、バスバー本体60から延びて端子部40に接続される接続片70を有する。端子部40と接続片70とが電池セル20の高さ方向HTで重なっており、接続片70と端子部40とがはんだ100によって固定されている。なお、基板50は、端子部40を有していなくてもよい。基板50は、基部30のみを有していても良い。その場合、接続片70と基部30とがはんだ100によって固定されている。
【0054】
接続片70に、はんだ100が案内される案内面79Aを有する案内構造78が形成されている。はんだ100が、接続片70の外殻の一部を形成するとともに案内面79Aに連続する連続面73、75と、案内面79Aとに付着している。連続面73、75と案内面79Aとがはんだ100に付着しているためにはんだ100と接続片70との接着量が多くなる。端子部40と接続片70の固定が強固になる。例えば電池セル20が膨張収縮してはんだ100に応力がかかっても、端子部40と接続片70の接続が保持されやすくなる。
【0055】
電池パック1は製造される際、バスバー80の貫通孔61に電極端子24、25が通される。その後、ナット130が電極端子24、25に通され、電極端子24、25を軸に、ナット130を回転させることでバスバー80と電極端子24、25とを固定する。しかしながらこの時、ナット130の回転によるトルクによって、端子部40と接続片70とを接続するはんだ100に応力がかかることがある。
【0056】
また他にも電池パック1に適用される電池セル20は外部環境の変化などに応じて各電池セル20が個々に厚さ方向TDに膨張収縮する。この時、端子部40と接続片70との相対位置がずれることがある。それに伴って端子部40と接続片70とを接続するはんだ100に応力がかかることがある。本実施形態は上記したように案内面79Aと連続面73、75とがはんだ100で固定されるために、端子部40と接続片70の固定が強固になっている。このような電池パック1特有の構造のためにはんだ100に応力がかかることがあっても、本実施形態によれば端子部40と接続片70の接続が保持されやすくなる。
【0057】
案内構造78は案内面79Aが端子部40のはんだ接続部位である表面44Aから遠ざかるよう延びる傾斜部79である。接続片70は、内側面73、外側面74、対向面75、および、上面76を有する。対向面75と案内面79Aと内側面73とが連続している。対向面75は端子部40の表面44Aに対向するとともに端が案内面79Aへと続いている。内側面73は案内面79Aにおける対向面75に続く端とは反対の端から続き、対向面75から遠ざかるように高さ方向HTに延びている。そしてはんだ100が対向面75と案内面79Aに付着している。
【0058】
案内構造78が傾斜部79であるために、案内面79Aの面積は案内面79Aにおける表面44Aへの投影面積よりも大きくなっている。案内構造78が内側面73と対向面75がぶつかる仮想の角部77に設けられる構成においては、案内構造78が設けられない構成と比較して、はんだ100の付着量が多くなりやすい。そのためにはんだ100に応力がかかっても、接続片70と端子部40との接続が強固になりやすく両者の接続が保持されやすくなる。またはんだ100に高さ方向HTにせん断するせん断応力がかかっても、接続片70と端子部40との接続が保持されやすくなる。さらには案内構造78が傾斜部79であるために冷熱変化などによってはんだ100にストレスがかかることが緩和されやすい。
【0059】
バスバーモジュール10は、はんだ100の濡れ広がりを向上させるためのメッキなどの金属膜81を有する。金属膜81が案内面79Aに設けられている。これによれば、はんだ100が対向面75から案内面79Aに濡れ広がりやすい。はんだ100の案内面79Aへの付着量が増大する。はんだ100に応力がかかっても、接続片70と端子部40との接続が保持されやすくなる。
【0060】
接続片70は高さ方向HTを軸としてその周りに環状を成す枠形状をしている。接続片70は枠を形成する4つの縁部71を有する。4つの縁部71によって空間72が区画されている。縁部71における空間72側である内側に案内構造78が設けられている。はんだ100が、端子部40における接続片70との重複領域45と、端子部40における重複領域45から内側に続く連続領域46に設けられている。案内面79Aに付着したはんだ100は先端部44に向かって滑らかに裾広がりにカーブしている。裾広がりに広がったはんだ100は連続領域46に入り込んでいる。これによれば、はんだ100を高さ方向HT面視で視認可能である。検査時に高さ方向HT面視ではんだ100の有無を容易に確認可能である。
【0061】
接続片70は高さ方向HT面視で略矩形をしている。接続片70は枠を形成する4つの縁部71を有する。縁部71として、第1縁部71A、第2縁部71B、第3縁部71C、および、第4縁部71Dがこの順に時計回りに設けられている。案内構造78が幅方向WDに並ぶ第1縁部71Aと第3縁部71Cに形成されている。そして第1縁部71Aに設けられた案内面79Aと第3縁部71Cに設けられた案内面79Aそれぞれにはんだ100が付着している。これによれば、案内構造78が並ぶ方向に振動したとしてもはんだ100の付着量が増大しているために端子部40と接続片70との接続が保持されやすい。端子部40と接続片70とが位置ずれすることが抑制されやすい。
【0062】
基板50はフレキシブル基板である。上記したように基板50は基部30と端子部40を有する。端子部40は第1延長部41と第2延長部42を有する。第1延長部41は、基部30の幅方向WDの端部から各電極端子24、25側に向かって幅方向WDに延びている。第2延長部42は、第1延長部41における基部30から離れた側の幅方向WDの端部に設けられている。第2延長部42は、第1延長部41から遠ざかるとともに電極面20Aに向かって延びている。基部30、第1延長部41、および、第2延長部42それぞれは柔軟に変形可能である。基部30および第1延長部41は特に高さ方向HTに柔軟に変形可能である。第2延長部42は特に高さ方向HTと厚さ方向TDに柔軟に変形可能である。
【0063】
電池セル20が厚さ方向TDに膨張収縮すると、第2延長部42は積層方向に引っ張られる。上記したように第2延長部42は高さ方向HTと厚さ方向TDに柔軟に変形可能であるために、第2延長部42は引っ張りに対して追従可能である。そのために電池セル20が厚さ方向TDに膨張収縮した際、はんだ100にストレスがかかりにくくなっている。一方、電池セル20の膨張収縮や振動などによって例えば第2延長部42がねじれるように変形することがある。その場合、はんだ100に大きなストレスがかかることが想定される。それに対して本実施形態では、はんだ100の接続片70への付着量を増大させている。はんだ100に大きなストレスがかかったとしても端子部40と接続片70との接続を強固に保持可能である。はんだ100にストレスがかかりにくくなっている。第2延長部42が幅方向WDに引っ張られることがあったとしても、4つの縁部71のうち、幅方向WDに並ぶ2つに案内構造78が設けられているために、はんだ100にストレスがかかりにくくなっている。
【0064】
<第2実施形態>
第1実施形態では案内構造78が傾斜部79である構成について説明したが、案内構造78は傾斜部79に限定されない。第2実施形態における案内構造278は凹部279である。第2実施形態において案内構造278とはんだ100の付着形態を除く他の構成は第1実施形態と同様である。図8は第2実施形態の案内構造278を説明する模式図である。図9図8に示すIX-IX線に沿う断面図である。図10は第2実施形態の案内構造278の変形例である。なお、図8図10に代表して、案内構造278が第3縁部71Cに設けられた模式図および断面図を示す。図8においては第3縁部71Cに連結される第2縁部71Bおよび第4縁部71Dを省略して、第3縁部71Cのみを抜き出して示している。
【0065】
第2実施形態における案内構造278である凹部279は、上面76と対向面75を貫く貫通孔である。凹部279は上面76と対向面75を連結する案内面279Aによって区画されている。案内面279Aは対向面75および上面76と連続している。はんだ100が接続片70と端子部40の間に設けられている。接続片70と端子部40とがはんだ100を介して高さ方向HTに重なっている。はんだ100が凹部279に入り込んでいる。凹部279に入り込んだはんだ100が案内面279Aを這い上がっている。はんだ100が対向面75と案内面79Aと内側面73に付着している。
【0066】
第3縁部71Cに設けられた案内構造278について説明する。はんだ100が、第3縁部71Cの対向面75と、第3縁部71Cに設けられた凹部279の案内面279Aと、第3縁部71Cの内側面73に付着している。第2実施形態においても案内面279Aと連続面73、75とがはんだ100で固定されている。はんだ100と接続片70との接着量が多くなる。端子部40と接続片70の固定が強固になる。はんだ100に応力がかかっても、端子部40と接続片70の接続が保持されやすくなる。なお、凹部279は第3縁部71Cの他に第1縁部71Aに設けられていても良い。さらには板状の接続片70に凹部279が設けられていても良い。
【0067】
なお、凹部279は上面76と対向面75を貫く貫通孔に限定されない。凹部279は対向面75から上面76に向かって凹む、窪みであってもよい。その場合、案内構造278は内側に窪みを区画する案内面279Aを有している。案内面279Aは対向面75に連続している。はんだ100が対向面75と案内面279Aと内側面73に付着している。これによっても同様の効果を奏する。また他の例として例えば第1縁部71Aに凹部279として貫通孔が形成され、第3縁部71Cに凹部279として窪みが形成されていてもよい。また第2実施形態の案内構造278は1つの縁部71につき1つ設けられる形態に限定されない。1つの縁部71につき複数の案内構造278が設けられていても良い。また案内構造278は接続片70に設けられていればよい。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態における案内構造378は凹部379である。第3実施形態において案内構造378とはんだ100の付着形態を除く他の構成は第1実施形態と同様である。図11は第3実施形態の案内構造378を説明する模式図である。図12図11に示すXII-XII線に沿う断面図である。なお、図11および図12に代表して、案内構造378が第3縁部71Cに設けられた模式図および断面図を示す。図11においては第3縁部71Cに連結される第2縁部71Bおよび第4縁部71Dを省略して、第3縁部71Cのみを抜き出して示している。
【0069】
第3実施形態においては案内構造378として内側面73から外側面74に向かって凹む凹部379が接続片70に設けられている。凹部379は内側面73に連続する案内面379Aによって区画されている。案内面379Aは内側面73に連続している。はんだ100が接続片70と端子部40の間に設けられている。接続片70と端子部40とがはんだ100を介して高さ方向HTに重なっている。はんだ100が内側面73を這い上がり、凹部379に入り込んでいる。凹部379に入り込んだはんだ100が案内面379Aに付着している。はんだ100が対向面75と案内面79Aと内側面73に付着している。
【0070】
第3縁部71Cに設けられた案内構造378について説明する。はんだ100が、第3縁部71Cの対向面75と、第3縁部71Cに設けられた案内構造378の案内面379Aと、第3縁部71Cの内側面73に付着している。第3実施形態においても案内面379Aと連続面73、75とがはんだ100で固定されている。はんだ100と接続片70との接着量が多くなる。端子部40と接続片70の固定が強固になる。電池セル20が膨張収縮してはんだ100に応力がかかっても、端子部40と接続片70の接続が保持されやすくなる。なお、凹部379は第3縁部71Cの他に第1縁部71Aに設けられていても良い。さらには板状の接続片70に凹部379が設けられていても良い。
【0071】
<第4実施形態>
第4実施形態における案内構造478は湾曲部479である。図13は第4実施形態の案内構造478を説明する模式図である。図14図13に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。第4実施形態において接続片70が例えば板状形状をしている。接続片70は板厚方向に離間する上面470Aと下面470Bを有する。上面470Aおよび下面470Bに金属膜81が設けられている。接続片70は端子部40から一部が起き上がるように略L字状に折れ曲がっている。接続片70は端子部40から緩やかに起き上がるように折れ曲がった部分に湾曲面を備えている。
【0072】
接続片70の一部が端子部40に沿って延びている。接続片70における端子部40に沿って延びている部分は端子部40に重なっている。接続片70における端子部40に重なっている部分の下面470Bは対向面75に相当する。接続片70における残りの部分は端子部40から遠ざかるように延びている。接続片70における端子部40から遠ざかるように延びている部分の下面470Bは内側面73に相当する。
【0073】
対向面75に相当する下面470Bと側面に相当する下面470Bとをつなぐ案内面479Aが折れ曲がり部分に設けられている。案内面479Aは湾曲面である。案内面479Aは下面470Bの一部である。はんだ100が接続片70と端子部40の間に設けられている。接続片70と端子部40とがはんだ100を介して高さ方向HTに重なっている。はんだ100が対向面75に相当する下面470Bから案内面479Aを介して内側面73に相当する下面470Bに這い上がっている。
【0074】
第4実施形態においても接続片70と端子部40とがはんだ100を介して固定されている。はんだ100が対向面75に相当する下面470Bと、案内面79Aと、内側面73に相当する下面470Bに付着している。案内面79Aと連続面73、75とがはんだ100で固定されている。はんだ100と接続片70との接着量が多くなる。そのために、端子部40と接続片70の固定が強固になる。電池セル20が膨張収縮してはんだ100に応力がかかっても、端子部40と接続片70の接続が保持されやすくなる。また第4実施形態によれば、余分なコストや工程がなく案内面479Aに確実に金属膜81が設けられ、はんだ100の濡れ広がりが向上するとの利点がある。
【0075】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【0076】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0077】
(技術的思想1)
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)の電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)であって、
基板(50)と、
前記電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、前記バスバー本体から延びて前記基板に重なるとともに前記基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
前記基板と前記接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
前記はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が前記接続片に設けられ、
前記接続片の外殻を形成するとともに前記案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、前記案内面に前記はんだが付着しているバスバーモジュール。
【0078】
(技術的思想2)
前記案内構造は、前記案内面が、前記基板における前記はんだが接続されている部位から遠ざかるよう延びる、傾斜部(79)または湾曲部(479)であって、
前記連続面は、前記基板に対向するとともに端が前記案内面へと続く対向面(75)、および、前記案内面における前記対向面に続く端とは反対の端から続き前記対向面から遠ざかるように延びる側面(73)を備え、
少なくとも前記はんだが前記対向面、および、前記案内面に付着している技術的思想1に記載のバスバーモジュール。
【0079】
(技術的思想3)
前記はんだの濡れ広がりを向上させる金属膜(81)をさらに備え、
前記金属膜が前記案内面の少なくとも一部に設けられている技術的思想1または2に記載のバスバーモジュール。
【0080】
(技術的思想4)
前記接続片は、前記電池セルの高さ方向(HT)を軸としてその周りに環状の枠を形成する複数の縁部(71)を備え、
複数の前記縁部によって空間(72)が区画されており、
前記縁部における前記空間側である内側に前記案内構造が設けられ、
前記基板は、前記縁部に重なる重複領域(45)と、前記重複領域から前記空間側へ連続する連続領域(46)を有し、
前記はんだにおける前記案内面に付着している部位が、前記連続領域に向かって、裾広がりに広がっている技術的思想2または3に記載のバスバーモジュール。
【0081】
(技術的思想5)
前記接続片は前記空間を区画する前記縁部を4つ有し、
前記案内構造が、前記空間を区画する4つの前記縁部のうち、前記電池セルの幅方向(WD)に並ぶ2つに設けられている技術的思想4に記載のバスバーモジュール。
【0082】
(技術的思想6)
前記基板はフレキシブル基板であり、
前記基板は、前記電極面に重なる基部(30)、および、前記電極面に向かって前記基部から延びる複数の端子部(40)を有する基板(50)を有し、
前記端子部は、前記基部の前記幅方向の端部から前記電極端子に向かって延びる第1延長部(41)と、前記第1延長部における前記基部から離れた端部に設けられ、前記電極面に向かって延びるとともに先端に前記接続片が接続される第2延長部(42)と、有し、
前記第2延長部は、前記高さ方向と前記厚さ方向に柔軟に変形可能である技術的思想4または5に記載のバスバーモジュール。
【0083】
(技術的思想7)
前記第2延長部は、山型と谷型に折れ曲がりつつ前記高さ方向に延びる軸部(43)と、前記軸部における前記第1延長部から離れた先端から前記厚さ方向に延びて前記接続片に接続される先端部(44)と、を有する技術的思想6に記載のバスバーモジュール。
【0084】
(技術的思想8)
前記案内構造は内部に前記案内面を有する凹部(279)であって、
前記接続片は前記基板に対向する対向面(75)を備え、
前記案内面が前記対向面に連続するように、前記接続片に前記凹部が設けられ、
前記はんだが、前記対向面、および、前記案内面に付着している技術的思想1に記載のバスバーモジュール。
【0085】
(技術的思想9)
前記案内構造は内部に前記案内面を有する凹部(379)であって、
前記接続片は前記基板に対向する対向面(75)、および、前記対向面から遠ざかるように延びる側面(73)を備え、
前記案内面が前記側面に連続するように、前記接続片に前記凹部が設けられ、
前記はんだが、前記対向面、前記側面、および、前記案内面に付着している技術的思想1に記載のバスバーモジュール。
【0086】
(技術的思想10)
厚さ方向(TD)に積層する複数の電池セル(20)と、
複数の前記電池セルの電極面(20A)に設けられたバスバーモジュール(10)と、を備え、
前記バスバーモジュールは、
基板(50)と、
前記電池セルの電極につながる電極端子(24、25)に接続されるバスバー本体(60)、および、前記バスバー本体から延びて前記基板に重なるとともに前記基板に接続される接続片(70)を有する複数のバスバー(80)と、
前記基板と前記接続片とを固定するはんだ(100)と、を備え、
前記はんだが案内される案内面(79A;279A;379A;479A)を有する案内構造(78;278;378;478)が前記接続片に設けられ、
前記接続片の外殻を形成するとともに前記案内面に連続している連続面(73、75)の少なくとも一部、および、前記案内面に前記はんだが付着している電池パック。
【符号の説明】
【0087】
10 バスバーモジュール、 100 はんだ、 20 電池セル、 20A 電極面、 24、25 電極端子、
30 基部、 40 端子部、 41 第1延長部、 42 第2延長部、 43 軸部、 44 先端部、 45 重複領域、 46 連続領域、
50 基板、 60 バスバー本体、 70 接続片、 71 縁部、 72 空間、 73 連続面、 73 側面、 73、75 連続面、 75 対向面、 75 連続面、 78 案内構造、 79 傾斜部、 79A 案内面、
80 バスバー、 81 金属膜、
278 案内構造、 279 凹部、 279A 案内面、 378 案内構造、 379 凹部、 379A 案内面 478 案内構造、 479 湾曲部、 479A 案内面、 HT 高さ方向、 TD 厚さ方向、 WD 幅方向。
図1
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図10
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図14