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特開2024-116721マルチフェーズ型DCDCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116721
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】マルチフェーズ型DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
H02M3/155 W
H02M3/155 F
H02M3/155 H
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022498
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅司
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FG01
5H730FG10
5H730XX01
5H730XX41
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でスイッチングタイミングが重ならないように同期制御が可能なマルチフェーズ型DCDCコンバータを提供すること。
【解決手段】マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、互いに並列接続され複数のDCDCコンバータ20のひとつであるマスターコンバータ201、マスターコンバータを除いた残りのDCDCコンバータであるスレーブコンバータ202,203、マスターコンバータを基準としてスレーブコンバータのスイッチング動作を制御する制御装置222,223を備える。制御装置は、複数のDCDCコンバータそれぞれのスイッチングタイミングが互いに重ならないように、マスターコンバータのインダクタL1を流れる電流であるマスター電流Ich1の値に基づいてスレーブコンバータのスイッチング動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタおよびスイッチを有し、前記スイッチのスイッチング動作によって入力電圧を昇圧して出力するDCDCコンバータ(20)を複数備え、複数の前記DCDCコンバータが並列接続されたマルチフェーズ型DCDCコンバータであって、
複数の前記DCDCコンバータのひとつであるマスターコンバータ(201)と、
前記マスターコンバータを除いた残りの前記DCDCコンバータであるスレーブコンバータ(202,203)と、
前記マスターコンバータを基準として前記スレーブコンバータのスイッチング動作を制御する制御装置(222,223)と、
を備え、
前記制御装置は、複数の前記DCDCコンバータそれぞれのスイッチングタイミングが互いに重ならないように、前記マスターコンバータの前記インダクタを流れる電流であるマスター電流の値に基づいて前記スレーブコンバータのスイッチング動作を制御する、マルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項2】
前記マスターコンバータの前記スイッチは、前記マスター電流が所定の上限電流値に到達するとオフし、前記マスター電流が所定の下限電流値まで低下すると再びオンし、
前記制御装置は、前記マスター電流が上昇して前記上限電流値よりも低い所定の電流閾値に到達すると、前記スレーブコンバータの前記スイッチをオンする、請求項1に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記入力電圧および出力電圧のそれぞれを監視する電圧モニタ部(23)と、前記マスター電流を監視するマスター電流モニタ部(24)と、前記スレーブコンバータのスイッチングタイミングを演算する演算部(27)と、前記スレーブコンバータの前記スイッチを駆動する駆動部(25)と、を有し、
前記演算部は、前記上限電流値、または、前記上限電流値および前記下限電流値と、前記入力電圧と、前記出力電圧とに基づいて前記電流閾値を演算し、
前記駆動部は、前記マスター電流が前記電流閾値に到達すると、前記スレーブコンバータの前記スイッチをオンする、請求項2に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記マスターコンバータの前記スイッチがオンする度に、前記電流閾値を演算する、請求項3に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記マスターコンバータの前記スイッチがオフしてから次にオフするまでの期間において、複数の前記DCDCコンバータのオフタイミング同士の間隔が均等となるように、前記電流閾値を演算する、請求項3または請求項4に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項6】
前記マスターコンバータの前記スイッチがオフしてから次にオフするまでの期間における前記スレーブコンバータのオフタイミングが均等間隔になっているかをモニタし、ずれが生じている場合に均等間隔になるように前記電流閾値を補正する補正部(28)を有する、請求項5に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項7】
前記マスターコンバータの前記スイッチがオフしてから次にオフするまでの期間における前記スレーブコンバータのオフタイミングが均等間隔になっているかをモニタし、ずれが生じている場合に均等間隔になるように前記上限電流値または前記下限電流値を補正する補正部(28)を有する、請求項5に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項8】
複数の前記DCDCコンバータは、複数の前記スレーブコンバータを含み、
複数の前記スレーブコンバータの一部が故障した場合、前記制御装置は、前記マスターコンバータと故障が生じていない前記スレーブコンバータとの数に応じてオフタイミング同士の間隔が均等となるように前記電流閾値を演算する、請求項2に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項9】
前記マスターコンバータが故障した場合、前記スレーブコンバータのひとつが前記マスターコンバータとして機能する、請求項1に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【請求項10】
複数の前記DCDCコンバータは、複数の前記スレーブコンバータを含み、
前記マスターコンバータが故障した場合、複数の前記スレーブコンバータは非同期で個別にスイッチング動作する、請求項1に記載のマルチフェーズ型DCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、マルチフェーズ型DCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、並列接続された複数のDCDCコンバータを備えるマルチフェーズ型DCDCコンバータを開示している。この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-146711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、DCDCコンバータのひとつに出力するPWM信号を基準に遅延したPWM信号を生成し、遅延PWM信号を他のDCDCコンバータに出力することで、各DCDCコンバータのスイッチングタイミングを異ならせている。
【0005】
特許文献1に代表される周波数同期信号を用いた制御方式は、構成が複雑でコストが高くなる。構成の簡素化、コストの低減のためには、電流フィードバックによる制御方式を用いることが好ましい。しかしながら、電流フィードバック方式の場合、基準となり得るPWM信号がなく、さらには駆動周波数が入力電圧や出力電圧などの外的要因で変動するという問題がある。上記した観点において、または言及されていない他の観点において、マルチフェーズ型DCDCコンバータにはさらなる改良が求められている。
【0006】
開示されるひとつの目的は、簡素な構成でスイッチングタイミングが重ならないように同期制御が可能なマルチフェーズ型DCDCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示のひとつであるマルチフェーズ型DCDCコンバータは、
インダクタおよびスイッチを有し、スイッチのスイッチング動作によって入力電圧を昇圧して出力するDCDCコンバータ(20)を複数備え、複数のDCDCコンバータが並列接続されたマルチフェーズ型DCDCコンバータであって、
複数のDCDCコンバータのひとつであるマスターコンバータ(201)と、
マスターコンバータを除いた残りのDCDCコンバータであるスレーブコンバータ(202,203)と、
マスターコンバータを基準としてスレーブコンバータのスイッチング動作を制御する制御装置(222,223)と、
を備え、
制御装置は、複数のDCDCコンバータそれぞれのスイッチングタイミングが互いに重ならないように、マスターコンバータのインダクタを流れる電流であるマスター電流の値に基づいてスレーブコンバータのスイッチング動作を制御する。
【0008】
開示のマルチフェーズ型DCDCコンバータによれば、マスター電流の値に基づいてスレーブコンバータのスイッチングタイミングを制御する。これにより、周波数同期信号を用いなくても、複数のDCDCコンバータそれぞれのスイッチングタイミングが互いに重ならないように同期制御が可能である。よって、簡素な構成でスイッチングタイミングが重ならないように同期制御が可能なマルチフェーズ型DCDCコンバータを提供することができる。
【0009】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、航続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータを備えたECUを示す図である。
図2】動作シーケンスを示す図である。
図3】電流閾値の演算方法を説明するための図である。
図4】第2実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータにおいて、動作シーケンスを示す図である。
図5】電流閾値の演算方法を説明するための図である。
図6】参考例を示す図である。
図7】第3実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータにおいて、スレーブコンバータの構成を示す図である。
図8】電流閾値の補正方法を説明するための図である。
図9】変形例を示す図である。
図10】第4実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータにおいて、故障時の処理を示すフローチャートである。
図11】変形例を示す図である。
図12】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0012】
(第1実施形態)
まず、図1に基づいて、マルチフェーズ型DCDCコンバータを備えるECUの概略構成について説明する。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。ECUは、電子制御装置と称されることがある。
【0013】
<ECU>
図1に示すように、ECU10は、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11を備えている。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、昇圧型のDCDCコンバータである。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、後述するように互いに並列接続された複数のDCDCコンバータ20を備えている。
【0014】
ECU10は、負荷50に対して電源を供給する。ECU10は、入力電圧を昇圧して負荷50に供給する機能を備えている。ECU10は、電源を供給する機能のみを備えてもよいし、複数の機能のひとつとして電源供給機能を備えてもよい。負荷50は、たとえば車両、飛行体、船舶、建設機械、農業機械などの移動体や、工場、家庭などにおいて用いられる。ECU10は、上記した移動体、工場、家庭などに配置され得る。図1では、便宜上、負荷50をひとつのみ示しているが、ECU10により電源を供給される負荷50の数はひとつに限定されない。複数でもよい。一例として本実施形態のECU10は車両に配置され、負荷50である燃料噴射弁(インジェクタ)に駆動用の電源を供給する。燃料噴射弁が噴射する燃料は、ガソリンなどの液体燃料でもよいし、水素などの気体燃料でもよい。
【0015】
本実施形態のECU10は、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11に加えて、マイコン12を備えている。マイコン12は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータである。CPUは、Central Processing Unitの略称である。ROMは、Read Only Memoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。ROMは、書き換え可能な不揮発性メモリであり、各種プログラムやデータを記憶する。ROMは、たとえばフラッシュメモリである。CPUは、RAMの一時格納機能を利用しつつ、ROMに格納された種々のプログラムを実行することで、複数の機能部を構築する。
【0016】
マイコン12は、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11に、昇圧動作における指示を出力する。マイコン12は、たとえば出力電圧の目標値、つまり目標電圧を指示する。マイコン12は、電流プロファイル、具体的には上限電流値(ピーク電流値)を指示する。マイコン12は、電流プロファイルとして、上限電流値に加えて下限電流値を指示してもよい。マイコン12は、電流プロファイルとして、上限電流値に加えて、上限電流値に到達してから次にオンするまでのオフ時間を指示してもよい。マイコン12は、たとえば車両の状態や負荷の状態に基づいて昇圧動作の開始、停止、一時停止などを指示してもよい。マイコン12は、たとえば車両の状態や負荷50の状態に応じて、駆動するDCDCコンバータ20の数、つまりチャンネル数を切り替えてもよい。マイコン12は、チャンネル番号を指示してもよい。
【0017】
<マルチフェーズ型DCDCコンバータ>
次に、図1に基づき、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11について説明する。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、複数のDCDCコンバータ20と、コンデンサC0を備えている。複数のDCDCコンバータ20は、互いに並列接続されている。複数のDCDCコンバータ20(昇圧回路21)は、負荷50に対して互いに並列に接続されている。
【0018】
一例として図1に示すマルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、3つのDCDCコンバータ20を備えている。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、DCDCコンバータ20として、ひとつのマスターコンバータ201と、2つのスレーブコンバータ202,203を備えている。マスターコンバータ201は、複数のDCDCコンバータ20において昇圧制御の基準となる。スレーブコンバータ202,203は、マスターコンバータ201を基準として昇圧制御を実行する。DCDCコンバータ20の数は、チャンネル(ch)数、フェーズ数などと称されることがある。図1では、マスターコンバータ201をマスター(ch1)、スレーブコンバータ202をスレーブ(ch2)、スレーブコンバータ203をスレーブ(ch3)と示している。
【0019】
DCDCコンバータ20のそれぞれは、入力電圧であるバッテリ電圧Vbattを昇圧する昇圧回路21と、制御装置22を備えている。マスターコンバータ201は、昇圧回路211と、制御装置221を備えている。スレーブコンバータ202は、昇圧回路212と、制御装置222を備えている。スレーブコンバータ203は、昇圧回路213と、制御装置223を備えている。
【0020】
昇圧回路211は、インダクタL1、スイッチQ1、およびダイオードD1を有している。一例として本実施形態のスイッチQ1は、nチャンネル型のMOSFETである。MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略称である。スイッチQ1は、バッテリ電圧Vbattが入力される電源端子とグランドとの間に配置されている。スイッチQ1のソースは、グランドに接続されている。
【0021】
インダクタL1の端子のひとつは電源端子に接続され、端子の他のひとつは後述のシャント抵抗R1を介してスイッチQ1のドレインに電気的に接続されている。つまりインダクタL1とスイッチQ1は、インダクタL1をハイサイド側として電源端子とグランドとの間で直列接続されている。ダイオードD1のアノードはスイッチQ1のドレインに接続され、カソードはマスターコンバータ201の出力端子に接続されている。
【0022】
昇圧回路211は、さらにシャント抵抗R1を有している。シャント抵抗R1は、インダクタL1に流れる電流であるマスター電流Ich1を検出するための抵抗である。シャント抵抗R1の端子のひとつはインダクタL1に接続され、端子の他のひとつはスイッチQ1のドレインに接続されている。シャント抵抗R1とスイッチQ1との接続点にダイオードD1のアノードが接続されている。
【0023】
昇圧回路212,213は、昇圧回路211と同様の構成を有している。昇圧回路212は、インダクタL2、スイッチQ2、ダイオードD2、およびシャント抵抗R2を有している。シャント抵抗R2は、インダクタL2に流れる電流であるスレーブ電流Ich2を検出するための抵抗である。スイッチQ2は、バッテリ電圧Vbattが入力される電源端子とグランドとの間に配置されている。スイッチQ2のソースは、グランドに接続されている。インダクタL2の端子のひとつは電源端子に接続され、端子の他のひとつはシャント抵抗R2を介してスイッチQ2のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードはシャント抵抗R2とスイッチQ2との接続点に接続され、カソードはスレーブコンバータ202の出力端子に接続されている。
【0024】
昇圧回路213は、インダクタL3、スイッチQ3、ダイオードD3、およびシャント抵抗R3を有している。シャント抵抗R3は、インダクタL3に流れる電流であるスレーブ電流Ich3を検出するための抵抗である。スイッチQ3は、バッテリ電圧Vbattが入力される電源端子とグランドとの間に配置されている。スイッチQ3のソースは、グランドに接続されている。インダクタL3の端子のひとつは電源端子に接続され、端子の他のひとつはシャント抵抗R3を介してスイッチQ3のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD3のアノードはシャント抵抗R3とスイッチQ3との接続点に接続され、カソードはスレーブコンバータ203の出力端子に接続されている。
【0025】
このように各DCDCコンバータ20は、互いに共通構成の昇圧回路21を備えている。昇圧回路21の回路構成は、上記した例に限定されない。たとえばダイオードD1,D2,D3に代えてスイッチを採用してもよい。
【0026】
制御装置22は、昇圧回路21の駆動を制御する。制御装置22は、昇圧回路21が備えるスイッチQ1,Q2,Q3の駆動(オン駆動、オフ駆動)を制御することにより、昇圧動作を制御する。制御装置22は、制御回路、駆動回路、昇圧制御部などと称されることがある。一例として本実施形態の制御装置22は、マイコン12からの指示にしたがって、対応する昇圧回路21の駆動を制御する。制御装置22は、マイコン12から昇圧電圧Vboostの目標電圧と上限電流値を含む電流プロファイルとを取得し、対応する昇圧回路21の駆動を制御する。
【0027】
マスターコンバータ201の制御装置221は、電圧モニタ部23、マスター電流モニタ部24、および駆動部25を備えている。電圧モニタ部23は、入力電圧であるバッテリ電圧Vbatt、および、出力電圧である昇圧電圧Vboostのそれぞれを監視する。マスター電流モニタ部24は、対応する昇圧回路211のインダクタL1を流れる電流、つまりマスター電流Ich1を監視する。駆動部25は、マイコン12からの指示値およびモニタ結果に基づいて、スイッチQ1をオン駆動、オフ駆動する。
【0028】
スレーブコンバータ202の制御装置222は、制御装置221と同様に、電圧モニタ部23、マスター電流モニタ部24、および駆動部25を備えている。さらに制御装置222は、スレーブ電流モニタ部26、および演算部27を備えている。電圧モニタ部23は、バッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostのそれぞれを監視する。マスター電流モニタ部24は、インダクタL1を流れるマスター電流Ich1を監視する。スレーブ電流モニタ部26は、対応する昇圧回路212のインダクタL2を流れるスレーブ電流Ich2を監視する。演算部27は、後述する手法により、マスター電流Ich1に基づいてスイッチQ2をオンさせるための電流閾値を演算する。駆動部25は、マイコン12からの指示値、モニタ結果、および演算結果に基づいて、スイッチQ2をオン駆動、オフ駆動する。
【0029】
スレーブコンバータ203の制御装置223は、制御装置222と同様の構成を有している。つまり、スレーブコンバータ202,203は、互いに共通の構成を有している。制御装置223は、電圧モニタ部23、マスター電流モニタ部24、駆動部25、スレーブ電流モニタ部26、および演算部27を備えている。電圧モニタ部23は、バッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostのそれぞれを監視する。マスター電流モニタ部24は、インダクタL1を流れるマスター電流Ich1を監視する。スレーブ電流モニタ部26は、対応する昇圧回路213のインダクタL3を流れるスレーブ電流Ich3を監視する。演算部27は、後述する手法により、マスター電流Ich1に基づいてスイッチQ3をオンさせるための電流閾値を演算する。駆動部25は、マイコン12からの指示値、モニタ結果、および演算結果に基づいて、スイッチQ3をオン駆動、オフ駆動する。
【0030】
このように、マスターコンバータ201の制御装置221は、対応する昇圧回路21のインダクタを流れる電流(マスター電流)のみをモニタする。スレーブコンバータ202,203の制御装置222,223は、対応する昇圧回路21のインダクタを流れる電流(スレーブ電流)に加えて、マスターコンバータ201のインダクタL1を流れる電流(マスター電流)をモニタする。なお、インダクタを流れる電流は、昇圧電流、充電電流などと称されることがある。電圧モニタ部23がバッテリ電圧Vbattと昇圧電圧Vboostをモニタする例を示したが、バッテリ電圧Vbattをモニタするモニタ部と昇圧電圧Vboostをモニタするモニタ部を分けて設けてもよい。
【0031】
コンデンサC0は、複数のDCDCコンバータ20の出力端子とグランドとの間に設けられている。コンデンサC0は、負荷50に印加するエネルギーを蓄積する。一例として本実施形態のコンデンサC0は、開弁駆動時に燃料噴射弁のソレノイドに印加するエネルギーを蓄積する。コンデンサC0は、昇圧電圧Vboostを負荷50に供給する。コンデンサC0としては、たとえば電解コンデンサを採用することができる。コンデンサC0の正極端子には、各DCDCコンバータ20の昇圧回路21の出力端子が共通接続されている。正極端子には、ダイオードD1,D2,D3のカソードが接続されている。コンデンサC0の負極端子は、グランドに接続されている。
【0032】
なお、複数のDCDCコンバータ20の数は、特に限定されない。複数のDCDCコンバータ20のひとつはマスターコンバータとして機能し、マスターコンバータを除いた残りはスレーブコンバータとして機能する。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、たとえば2つのDCDCコンバータ20を備えてもよい。この場合、DCDCコンバータ20のひとつはマスターコンバータとして機能し、他のひとつはスレーブコンバータとして機能する。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、4つ以上のDCDCコンバータ20を備えてもよい。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、負荷50に応じてDCDCコンバータ20の数を増減させることが可能である。たとえばDCDCコンバータ20の後付けが可能である。
【0033】
<動作シーケンス>
次に、図2に基づき、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11の動作シーケンスの一例について説明する。図2は、マスターコンバータ201とスレーブコンバータ202を備える構成、つまり2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11の例を示している。一例として本実施形態では、バッテリ電圧Vbattを12V、昇圧電圧Vboostの目標電圧(閾値電圧)を65Vとしている。
【0034】
マスターコンバータ201の制御装置221は、昇圧電圧Vboostが目標電圧(65V)よりも低くなると、スイッチQ1をオンする。つまり、昇圧回路211(スイッチQ1)が昇圧動作を開始する。インダクタL1に流れるマスター電流Ich1は、スイッチQ1のオンにより0A(ゼロアンペア)から上昇する。マスター電流Ich1が上限電流値Ipeakに到達すると、制御装置221はスイッチQ1をオフする。スイッチQ1のオフにより、マスター電流Ich1は下降する。マスター電流Ich1が0Aになると、制御装置221は、スイッチQ1を再びオンする。このように、マスターコンバータ201は、昇圧電圧Vboostが目標電圧を超えるまで、スイッチQ1のオン、オフを繰り返す。
【0035】
スレーブコンバータ202の制御装置222は、スイッチQ1をオンするタイミングで後述の手法により電流閾値Ithを演算する。後述するように、制御装置222は、スイッチQ1のオンタイミングでバッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostを取得し、電流閾値Ithを演算する。電流閾値Ithは、上限電流値Ipeakよりも低い所定値である。マスター電流Ich1が上昇して電流閾値Ithに到達すると、制御装置222はスイッチQ2をオンする。つまり、昇圧回路212(スイッチQ2)が昇圧動作を開始する。スイッチQ2は、マスター電流Ich1が0Aから電流閾値Ithに到達するまでの時間分、スイッチQ1に対して遅れてオンする。
【0036】
インダクタL2に流れるスレーブ電流Ich2は、スイッチQ2のオンにより0Aから上昇する。スレーブ電流Ich2が上限電流値Ipeakに到達すると、制御装置222はスイッチQ2をオフする。スイッチQ2のオフにより、スレーブ電流Ich2は下降する。再びスイッチQ1をオンするタイミングで、制御装置222は電流閾値Ithを演算する。マスター電流Ich1が上昇して電流閾値Ithに到達すると、制御装置222はスイッチQ2を再びオンする。スレーブコンバータ202は、昇圧電圧Vboostが目標電圧を超えるまで、上記のようにしてスイッチQ2のオン、オフを繰り返す。制御装置222は、スイッチQ1がオンする度に、電流閾値Ithを演算する。
【0037】
<電流閾値の演算方法>
次に、図3に基づき、電流閾値Ithの演算方法について説明する。図3でも、図2同様、2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11について説明する。図3の上段は、バッテリ電圧Vbatt=12V、昇圧電圧Vboost=12Vの場合の動作波形、具体的にはマスター電流Ich1とスレーブ電流Ich2の波形を示している。下段は、バッテリ電圧Vbatt=12V、昇圧電圧Vboost=60Vの場合の動作波形を示している。
【0038】
上記したように、スレーブコンバータ202の制御装置222(演算部27)は、スイッチQ1のオンタイミングで電流閾値Ithを演算する。昇圧回路211,212は、互いに共通の構成であり、回路定数は互いに同じである。制御装置222の演算部27は、スイッチQ2のオフタイミングが、スイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相となるように、つまり位相が180度ずれるように、電流閾値Ithを演算する。
【0039】
マスター電流Ich1がスイッチオンから上限電流値Ipeakに到達するまでの時間をTPeakとし、スイッチオフから0Aに戻るまでの時間をTfallとすると、数式1の関係が成立することが知られている。
【数1】
【0040】
スイッチQ2のオフタイミングを逆位相にするために、スイッチQ1がオンしてからスイッチQ2がオンするまでの遅延時間Tdelayは、時間Tpeakに時間Tfallを加算して2で除することで得られる。数式1を用いて整理すると、遅延時間Tdelayは数式2で示すことができる。
【数2】
【0041】
ここで、昇圧電流を線形近似すると、Tdelay:Tpeak=Idelay:Ipeakの関係が成立する。よって、遅延時間Tdelayにおける電流閾値Ithは、数式3で示すことができる。
【数3】
【0042】
このように、スレーブコンバータ202の電流閾値Ithは、上限電流値Ipeak、昇圧制御中のバッテリ電圧Vbatt、および昇圧電圧Vboostにより演算することができる。つまり、バッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostをモニタすることで、電流閾値Ithを演算することができる。
【0043】
バッテリ電圧Vbatt=12V、昇圧電圧Vboost=12Vの場合、数式3により演算される電流閾値Ithを用いることで、図3の上段に示すようにスイッチQ2のオフタイミングがスイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相となる。スイッチQ1のオフタイミングto11から次のオフタイミングto12までの期間、つまりTpeakとTfallの和に等しい期間において、スイッチQ2のオフタイミングto2とオフタイミングto11との間隔は、オフタイミングto2とオフタイミングto12との間隔に等しい。
【0044】
バッテリ電圧Vbatt=12V、昇圧電圧Vboost=60Vの場合、数式3により演算される電流閾値Ithを用いることで、図3の下段に示すようにスイッチQ2のオフタイミングがスイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相となる。図に示すように、オフタイミングto2とオフタイミングto11との間隔は、オフタイミングto2とオフタイミングto12との間隔に等しい。
【0045】
なお、動作シーケンスおよび電流閾値の演算方法について、2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11を例に説明したが、これに限定されない。3チャンネル以上のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11にも適用できる。スレーブコンバータの制御装置は、マスターコンバータ201のスイッチQ1がオフしてから次にオフするまでの期間において、複数のDCDCコンバータ20のオフタイミング同士の間隔が均等となるように、電流閾値Ithを演算する。
【0046】
具体的には、数式3においてIpeakを駆動可能なDCDCコンバータ20の数、つまりチャンネル数で除算することで、DCDCコンバータ20の数に応じて間隔が均等となる電流閾値Ithを演算することができる。たとえば図1に示したように2つのスレーブコンバータ202,203を備える3チャンネル構成の場合、数式3の分母を2に代えて3にすればよい。たとえばスレーブコンバータの制御装置は、さらに(n-1)を乗算してもよい。nは、チャンネル番号である。つまり、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeakに、(n-1)/チャンネル数を乗算することで、チャンネル番号に応じた電流閾値Ithを演算することができる。
【0047】
たとえば3チャンネル構成の場合、スレーブコンバータ202(ch2)の電流閾値Ithは、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeak×1/3となる。スレーブコンバータ203(ch3)の電流閾値Ithは、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeak×2/3となる。2チャンネル構成の場合、スレーブコンバータ202(ch2)の電流閾値Ithは、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeak×1/2、つまり数式3に示したものとなる。
【0048】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11によれば、制御方式として電流フィードバック方式を採用している。よって、周波数同期信号を用いた制御方式に較べて、構成の簡素化、低コスト化が可能である。
【0049】
電流フィードバック方式では、PWM信号のような、複数のDCDCコンバータにおいて基準となる信号がない。また、駆動周波数が、入力電圧や出力電圧などの外的要因で変動する。本実施形態では、マスターコンバータ201のインダクタL1を流れるマスター電流Ich1の値に基づいて、スレーブコンバータ202,203のスイッチングタイミングを制御する。これにより、周波数同期信号を用いなくても、複数のDCDCコンバータ20それぞれのスイッチングタイミングが互いに重ならないように同期制御が可能である。よって、簡素な構成でスイッチングタイミンが重ならないように同期制御が可能なマルチフェーズ型DCDCコンバータ11を提供することができる。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、安価で高出力が可能である。
【0050】
スイッチQ1は、マスター電流Ich1が上限電流値Ipeakに到達するとオフし、マスター電流Ich1が所定の下限電流値である0Aまで低下すると再びオンする。つまりスイッチQ1は、一般的な電流フィードバックと同様に制御される。本実施形態では、スイッチQ2,Q3のオンタイミングが、対応するスレーブ電流Ich2,Ich3の値ではなく、マスター電流Ich1の値に基づいて制御される。スイッチQ2,Q3は、マスター電流Ich1が上昇して対応する電流閾値Ithに到達するとオンする。マスター電流Ich1の値と電流閾値Ithとを比較する簡素な構成で、スイッチングタイミンが重ならないように同期制御が可能である。バッテリ電圧Vbattや昇圧電圧Vboostなどの外的要因によって駆動周波数が変化しても、スイッチングタイミングが重ならないように制御できる。
【0051】
電流閾値は、予めメモリに格納されてもよい。一例として本実施形態の制御装置222,223の演算部27は、上限電流値Ipeak、バッテリ電圧Vbatt、および昇圧電圧Vboostに基づいて電流閾値Ithを演算する。このように、複数のDCDCコンバータ20において、スイッチングタイミング、つまりオンタイミング、オフタイミングの位相をずらすため、同相で制御する構成に較べて、昇圧電圧Vboostの変動を抑制することができる。たとえば、部品ストレスを低減することができる。
【0052】
電流閾値の演算は、昇圧動作期間において、一回、たとえばスイッチQ1の初回のオンタイミングのみでもよい。一例として本実施形態の制御装置222,223は、マスターコンバータ201のスイッチQ1がオンする度に、電流閾値Ithを演算する。制御装置222,223は、スイッチQ1がオンする度にバッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostを取得して電流閾値Ithを演算する。よって、バッテリ電圧Vbattや昇圧電圧Vboostが変動しても、その変動に応じて電流閾値Ithを設定することができる。つまり、ロバスト性を向上することができる。
【0053】
複数のDCDCコンバータ20それぞれのスイッチングタイミングは、互いに異なればよい。一例として本実施形態の制御装置222,223は、マスターコンバータ201のスイッチQ1がオフしてから次にオフするまでの期間において、複数のDCDCコンバータ20のオフタイミング同士の間隔が均等となるように、電流閾値Ithを演算する。これにより、昇圧電圧Vboostの変動をさらに抑制することができる。
【0054】
<変形例>
複数のDCDCコンバータ20において、制御装置22同士が通信可能に接続されてもよい。たとえばマイコン12からの指示を、マスターコンバータ201の制御装置221を経由して他の制御装置222,223に送信する構成としてもよい。マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、マイコン12を備えてもよい。マイコン12の機能の少なくとも一部を、制御装置22が備えてもよい。
【0055】
マスターコンバータ201の制御装置221が、電圧モニタ部23、マスター電流モニタ部24、および駆動部25を備える例を示したが、これに限定されない。たとえばスレーブ電流モニタ部26および演算部27をさらに備えてもよい。つまり、制御装置22の構成、ひいてはDCDCコンバータ20の構成を、マスターコンバータ201とスレーブコンバータ202,203とで共通としてもよい。
【0056】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、マスター電流Ich1の値が0A(ゼロアンペア)になるとスイッチQ1をオフした。つまり、下限電流値を0Aとした。これに代えて、0Aではない下限電流値を設定し、マスター電流Ich1の値が下限電流値まで低下するとスイッチQ1をオフする構成としてもよい。
【0057】
本実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータ11およびECU10の構成は、先行実施形態に記載の構成と同様である。
【0058】
<動作シーケンス>
本実施形態においても、一例として2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11の動作シーケンスについて説明する。図4は、図2に対応している。
【0059】
マスターコンバータ201の制御装置221は、昇圧電圧Vboostが目標電圧(65V)よりも低くなると、スイッチQ1をオンする。つまり、昇圧動作を開始する。マスター電流Ich1は、スイッチQ1のオンにより0Aから上昇する。マスター電流Ich1が上限電流値Ipeakに到達すると、制御装置221はスイッチQ1をオフする。スイッチQ1のオフにより、マスター電流Ich1は下降する。マスター電流Ich1が下限電流値Ibottomまで低下すると、制御装置221は、スイッチQ1を再びオンする。スレーブコンバータ202は、昇圧電圧Vboostが目標電圧を超えるまで、スイッチQ1のオン、オフを繰り返す。下限電流値Ibottomは、0Aと上限電流値Ipeakとの間に設定される。
【0060】
スレーブコンバータ202の制御装置222は、スイッチQ1をオンするタイミングで後述の手法により電流閾値Ithを演算する。電流閾値Ithは、オンタイミングの初回において電流閾値Ith1であり、2回目以降において電流閾値Ith2である。制御装置222は、スイッチQ1のオンタイミングでバッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostを取得し、電流閾値Ithを演算する。電流閾値Ithは、上限電流値Ipeakよりも低い所定値である。
【0061】
スイッチQ1の初回のオンタイミングで、制御装置222は電流閾値Ith1を演算する。スイッチQ1のオンによりマスター電流Ich1が上昇して電流閾値Ith1に到達すると、制御装置222はスイッチQ2をオンする。スレーブ電流Ich2が上限電流値Ipeakに到達すると、制御装置222はスイッチQ2をオフする。スイッチQ2のオフにより、スレーブ電流Ich2は下降する。再びスイッチQ1をオンするタイミングで、制御装置222は電流閾値Ith2を演算する。マスター電流Ich1が上昇して電流閾値Ith2に到達すると、制御装置222はスイッチQ2を再びオンする。スレーブコンバータ202は、昇圧電圧Vboostが目標電圧を超えるまで、スイッチQ2のオン、オフを繰り返す。制御装置222は、スイッチQ1がオンする度に、電流閾値Ithを演算する。
【0062】
<電流閾値の演算方法>
次に、図5に基づき、上記した動作シーケンスにおける電流閾値の演算方法について説明する。ここでも、2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11を例に説明する。図5は、図3の下段に対応している。図5は、バッテリ電圧Vbatt=12V、昇圧電圧Vboost=60Vの場合の動作波形を示している。先行実施形態同様、昇圧回路211,212は互いに共通の構成であり、回路定数は互いに同じである。制御装置222の演算部27は、スイッチQ2のオフタイミングが、スイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相となるように、電流閾値Ithを演算する。
【0063】
ここで、マスター電流Ich1が0Aから上限電流値Ipeakに到達するまでの時間をTPeak0、下限電流値Ibottomから上限電流値Ipeakまで上昇する時間をTpeak1とする。スイッチQ1のオフにより上限電流値Ipeakから下限電流値Ibottomまで降下するのにかかる時間Tfallは、数式4で示すことができる。
【数4】
【0064】
スイッチQ2のオフタイミングを逆位相にするために、スイッチQ1がオンしてからスイッチQ2がオンするまでの遅延時間Tdelayは、数式5で示すことができる。
【数5】
【0065】
ここで、昇圧電流を線形近似すると、遅延時間Tdelayにおける電流閾値Ithは、数式6で示すことができる。
【数6】
【0066】
図5に示すように、スイッチングの初回(1回目)では、マスター電流Ich1が0Aから上限電流値Ipeakまで上昇するのに対し、2回目以降では下限電流値Ibottomから上限電流値Ipeakまで上昇する。よって、上限電流値Ipeakおよび下限電流値Ibottomを用いる制御では、初回と2回目以降とで、電流閾値Ithを変更する必要がある。初回の電流閾値Ith1は、数式6により演算される値そのものである。2回目以降の電流閾値Ith2は、数式6により得られる電流閾値に下限電流値Ibottomを加算した値となる。
【0067】
このように、スレーブコンバータ202の電流閾値Ith(Ith1,Ith2)は、上限電流値Ipeak、下限電流値Ibottom、昇圧制御中のバッテリ電圧Vbatt、および昇圧電圧Vboostにより演算することができる。つまり、バッテリ電圧Vbattおよび昇圧電圧Vboostをモニタすることで、電流閾値Ithを演算することができる。図5に示すようにスイッチQ2のオフタイミングはスイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相となる。オフタイミングto2とオフタイミングto11との間隔は、オフタイミングto2とオフタイミングto12との間隔に等しい。
【0068】
上限電流値Ipeakおよび下限電流値Ibottomを用いる制御は、2チャンネルに限定されない。3チャンネル以上のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11にも適用できる。スレーブコンバータの制御装置は、マスターコンバータ201のスイッチQ1がオフしてから次にオフするまでの期間において、複数のDCDCコンバータ20のオフタイミング同士の間隔が均等となるように、電流閾値Ithを演算する。先行実施形態に記載の構成同様、数式6において上限電流値IpeakをDCDCコンバータ20の数、つまりチャンネル数で除算すればよい。スレーブコンバータが複数の場合、さらに(n-1)を乗算するとよい。nは、チャンネル番号である。たとえば、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeakに、(n-1)/チャンネル数を乗算することで、チャンネル番号に応じた電流閾値Ithを演算することができる。
【0069】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11によれば、先行実施形態に記載の構成と同等の効果を奏することができる。たとえば本実施形態でも、マスター電流Ich1の値に基づいて、スレーブコンバータ202,203のスイッチングタイミングを制御する。よって、簡素な構成でスイッチングタイミンが重ならないように同期制御が可能なマルチフェーズ型DCDCコンバータ11を提供することができる。
【0070】
スイッチQ1は、マスター電流Ich1が上限電流値Ipeakに到達するとオフし、0Aではない所定の下限電流値まで低下すると再びオンする。スイッチQ1は、いわゆる定電流制御される。本実施形態でも、スイッチQ2,Q3のオンタイミングが、マスター電流Ich1の値に基づいて制御される。マスター電流Ich1の値と電流閾値Ithとを比較する簡素な構成で、スイッチングタイミンが重ならないように同期制御が可能である。
【0071】
本実施形態では、上限電流値Ipeak、下限電流値Ibottom、バッテリ電圧Vbatt、および昇圧電圧Vboostに基づいて電流閾値Ithを演算する。複数のDCDCコンバータ20において、スイッチングタイミングの位相をずらすため、昇圧電圧Vboostの変動を抑制することができる。本実施形態でも、スイッチQ1がオンする度に、電流閾値Ithを演算する。よって、バッテリ電圧Vbattや昇圧電圧Vboostが変動しても、その変動に応じて電流閾値Ithを設定することができる。本実施形態でも、スイッチQ1がオフしてから次にオフするまでの期間において、複数のDCDCコンバータ20のオフタイミング同士の間隔が均等となるように、電流閾値Ithを演算する。これにより、昇圧電圧Vboostの変動をさらに抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、回路ばらつきを考慮していなかった。これに代えて、回路ばらつきによるオフタイミングのずれを補正可能な構成としてもよい。
【0073】
以下でも、一例として2チャンネル構成のマルチフェーズ型DCDCコンバータを例に説明する。図6は、参考例を示している。図6では、回路ばらつきにより、マスターコンバータとスレーブコンバータの電流勾配が異なっている。図6に二点鎖線で示すスレーブ電流Ich2の傾きは、マスター電流Ich1の傾きと同じである。一例として実線で示すスレーブ電流Ich2の傾きは、二点鎖線に対して急峻である。設計上の狙いが同じでも、回路ばらつき、たとえば製造ばらつきによって、マスター電流Ich1とスレーブ電流Ich2の電流勾配が異なる場合がある。
【0074】
このように電流勾配が異なると、スイッチQ2のオフタイミングto2が、スイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相のタイミングからずれる。図6に示す例では、オフタイミングto12が、スイッチQ1のオフタイミングto11,to12の間で、オフタイミングto11側にずれている。オフタイミングto11からオフタイミングto12までの期間T1は、オフタイミングto11からオフタイミングto2までの期間T2の2倍よりも長い。
【0075】
本実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、上記した回路ばらつきによるオフタイミングのずれを補正可能に構成されている。図7は、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11のうち、スレーブコンバータのひとつ、具体的にはスレーブコンバータ202の構成を示している。スレーブコンバータ202の制御装置222は、先行実施形態に記載の構成に加えて補正部28を有している。その他の構成は、先行実施形態に記載の構成と同様である。
【0076】
補正部28は、マスターコンバータ201のスイッチQ1がオフしてから次にオフするまでの期間におけるスレーブコンバータのオフタイミングが均等間隔になっているかモニタする。補正部28は、都度、オフタイミングにずれが生じているか判定する。スイッチQ2のオフタイミングにずれが生じている場合、補正部28は、均等間隔になるように電流閾値Ithを補正する。本実施形態の補正部28は、上記した期間T1が期間T2の2倍の値に対してずれている場合、T1=T2×2となるように電流閾値Ithを補正する。
【0077】
図8は、補正部28による補正結果を示している。図8に示す二点鎖線は、回路ばらつきが生じていない場合のスレーブ電流Ich2の電流波形を示している。図6の参考例に示したようにスレーブ電流Ich2の傾きが大きいことでオフタイミングto2が早い側にずれている場合、補正部28は、電流閾値Ithを上限電流値Ipeakに近づく側、つまり高い側に補正する。これにより、スイッチQ2のオンタイミングが遅れ、その分、オフタイミングto2も遅れる。よって、スイッチQ2のオフタイミングをスイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相になる。つまり、オフタイミングの間隔が均等になる。
【0078】
なお、スレーブ電流Ich2の傾きが小さいことでオフタイミングto2が遅い側にずれている場合、補正部28は、電流閾値Ithを上限電流値Ipeakから遠ざかる側、つまり低い側に補正する。スレーブコンバータが複数の場合、スレーブコンバータ202以外のスレーブコンバータもスレーブコンバータ202と同様の構成を有する。
【0079】
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11によれば、先行実施形態に記載の構成と同等の効果を奏することができる。さらに回路ばらつきにより電流勾配が異なり、オフタイミングが均等間隔からずれた場合に、上限電流値Ipeakを変えずに均等間隔に合わせ込むことができる。上限電流値Ipeakを変化させないため、電流経路の部品選定が容易である。
【0080】
<変形例>
オフタイミングにずれが生じている場合に、電流閾値Ithを補正する例を示したが、これに限定されない。たとえば上限電流値Ipeakまたは下限電流値Ibottomを補正してもよい。
【0081】
補正部28は、上記した期間T1が期間T2の2倍の値に対してずれている場合、T1=T2×2となるように上限電流値Ipeakまたは下限電流値Ibottomを補正する。図9は、図8に対応している。図9に示す二点鎖線は、回路ばらつきが生じていない場合のスレーブ電流Ich2の電流波形を示している。図6の参考例に示したようにスレーブ電流Ich2の傾きが大きいことでオフタイミングto2が早い側にずれている場合、補正部28は、スレーブ電流Ich2に対する上限電流値Ipeakを高い側に補正する。これにより、スイッチQ2のオフタイミングto2が遅れ、スイッチQ2のオフタイミングがスイッチQ1のオフタイミングに対して逆位相になる。つまり、オフタイミングの間隔が均等になる。
【0082】
なお、スレーブ電流Ich2の傾きが小さいことでオフタイミングto2が遅い側にずれている場合、補正部28は、上限電流値Ipeakを低い側に補正する。これにより、スイッチQ2のオフタイミングto2が早まる。制御に下限電流値Ibottomを用いる場合、下限電流値Ibottomを高い側に補正するとオフタイミングto2が早まり、低い側に補正するとオフタイミングto2が遅れる。
【0083】
電流閾値Ithを補正する構成では、電流勾配が小さいときに電流閾値Ithを下げる(低い)側に補正すると、オンタイミングの電流値が上昇してしまう。よって、スイッチング損失の増加が懸念される。これに対し、上限電流値Ipeakまたは下限電流値Ibottomを補正する構成では、オンタイミングの電流値を一定に保つことができる。
【0084】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、DCDCコンバータに故障が生じた場合について特に言及しなかった。これに代えて、複数のDCDCコンバータの一部に故障が生じた場合に、所定の処理を実行する構成としてもよい。
【0085】
図10は、本実施形態に係るマルチフェーズ型DCDCコンバータ11が実行する昇圧制御のフローチャートである。一例としてマルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、3チャンネル構成とする。
【0086】
先行実施形態に記載のように、昇圧電圧Vboostが目標電圧を下回ると、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、昇圧制御を開始する。まず、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、電流閾値Ithを用いた同期制御を実行する(ステップS101)。スレーブコンバータ202,203の制御装置222,223は、先行実施形態に示した手法、たとえば上限電流値Ipeak、バッテリ電圧Vbatt、および昇圧電圧Vboostを用いて電流閾値Ithを演算する。制御装置222,223は、(1+Vbatt/Vboost)×Ipeakに、(n-1)/チャンネル数を乗算することで、チャンネル番号に応じた電流閾値Ithを演算することができる。制御装置222,223は、マスター電流Ich1が対応する電流閾値Ithに到達するとスイッチQ2,Q3をオンする。
【0087】
次いでマルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、昇圧電圧Vboostが目標電圧に到達したか否か、つまり昇圧制御が終了か否かを判定する(ステップS102)。そして、昇圧制御が終了であると判定すると、一連の処理を終了する。
【0088】
昇圧制御が終了ではないと判定すると、次いでマルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、スレーブコンバータのひとつに故障が生じたか否かを判定する(ステップS103)。なお、制御装置22のそれぞれが、対応する昇圧回路21の故障を検出する機能を有してもよいし、マイコン12が各DCDCコンバータ20の故障検出機能を有してもよい。DCDCコンバータ20の故障情報についてはマイコン12が集約し、制御装置22に送信する構成としてもよい。相互に通信可能な構成の場合、制御装置22間の通信により故障情報を共有してもよい。
【0089】
スレーブコンバータに故障が生じていない場合、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、再びステップS101の処理を実行する。スレーブコンバータのひとつに故障が生じた場合、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、駆動可能なチャンネル数を1減じて(ステップS104)、再びステップS101の処理を実行する。
【0090】
昇圧期間の途中で複数のスレーブコンバータの一部に故障が生じると、故障が生じていないスレーブコンバータの制御装置22は、マスターコンバータ201と故障が生じていないスレーブコンバータとの数に応じてオフタイミング同士の間隔が均等となるように電流閾値Ithを演算する。たとえばスレーブコンバータ203が故障した場合、スレーブコンバータ202の制御装置222は、正常に動作できるDCDCコンバータ20が2チャンネル分と判断し、上記した数式3を用いて電流閾値Ithを演算する。
【0091】
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態のマルチフェーズ型DCDCコンバータ11によれば、スレーブコンバータのひとつに故障が生じると、3チャンネル駆動から2チャンネル駆動に切り替える。このとき、電流閾値Ithについても、3チャンネル用の閾値から2チャンネル用の閾値に切り替える。よって、スレーブコンバータの一部に故障が生じても、先行実施形態に記載の効果を奏することができる。なお、3チャンネルの例を示したが、4チャンネル以上の構成においても同等の効果を奏することができる。
【0092】
<変形例>
スレーブコンバータが故障した場合に所定の処理を実行する例を示したが、マスターコンバータが故障した場合に所定の処理を実行する構成としてもよい。
【0093】
たとえば図11に示すように、マスターコンバータ201が故障した場合、スレーブコンバータのひとつがマスターコンバータとして機能する構成としてもよい。図11に示すステップS201,S202の処理は、図10に示したステップS101,S102の処理と同様である。ステップS202において昇圧制御が終了ではないと判定すると、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、マスターコンバータ201に故障が生じたか否かを判定する(ステップS203)。マスターコンバータ201に故障が生じていない場合、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、再びステップS101の処理を実行する。マスターコンバータ201に故障が生じた場合、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、スレーブコンバータのひとつをマスターコンバータとして機能させるとともに、駆動可能なチャンネル数を1減じる処理を実行し(ステップS204)、再びステップS101の処理を実行する。
【0094】
ステップS204の処理により、3チャンネル構成において、たとえばスレーブコンバータ202がマスターコンバータとして機能する。スレーブコンバータ203の制御装置223は、正常に動作できるDCDCコンバータ20が2チャンネル分と判断し、数式3により演算した電流閾値Ithを用いてスイッチQ3の駆動を制御する。
【0095】
たとえば図12に示すように、マスターコンバータ201が故障した場合、非同期制御に切り替えてもよい。図12に示すステップS301,S302,S303の処理は、図11に示したステップS201,S202,S203の処理と同様である。ステップS203においてマスターコンバータ201に故障が生じていないと判断すると、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、再びステップS101の処理を実行する。マスターコンバータ201に故障が生じた場合、マルチフェーズ型DCDCコンバータ11は、電流閾値Ithを用いた同期制御から、非同期制御に切り替えて実行する(ステップS304)。これにより複数のスレーブコンバータのそれぞれは、シングルフェーズのDCDCコンバータ20として個別にスイッチング動作する。
【0096】
ステップS304の後、昇圧制御が終了か否かを判定し(ステップS305)、昇圧制御が終了の場合に一連の処理を終了する。昇圧制御が終了ではない場合、再びステップS304の処理を実行する。
【0097】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0098】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0099】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0100】
10…ECU、11…マルチフェーズ型DCDCコンバータ、12…マイコン、20…DCDCコンバータ、201…マスターコンバータ、202,203…スレーブコンバータ、21,211,212,213…昇圧回路、22,221,222,223…制御装置、23…電圧モニタ部、24…マスター電流モニタ部、25…駆動部、26…スレーブ電流モニタ部、27…演算部、28…補正部、50…負荷、C0…コンデンサ、D1,D2,D3…ダイオード、L1,L2,L3…インダクタ、Q1,Q2,Q3…スイッチ、R1,R2,R3…シャント抵抗
図1
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