(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116723
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】温浴設備
(51)【国際特許分類】
A47K 3/02 20060101AFI20240821BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A47K3/02
A47K3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022500
(22)【出願日】2023-02-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】392035972
【氏名又は名称】株式会社ヤマト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 利明
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132AA00
(57)【要約】
【課題】熱交換器を備えた温浴設備において、熱交換器及び熱交換器収容部の清掃が容易な温浴設備を提供する。
【解決手段】この温浴設備100a、100bは熱交換器収容部52が浴槽10の底面の縁部に設置され、且つ上面の天板52a(もしくは天板52aの一部)が着脱可能となっている。そして、清掃時に天板52aを取り外すことで、熱交換器収容部52の上面が開口し、熱交換器収容部52の内部及び熱交換器50の清掃を楽に行うことができる。これにより、清掃作業を行う施設従業員等の負担をより一層軽減することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、前記浴槽に温水を供給する供給部と、前記供給部に供給する温水の流量を調節する湯量調節手段と、前記浴槽から溢れる温水を排水する排水部と、前記浴槽との間の通水孔を備えた熱交換器収容部と、前記熱交換器収容部内に収められた熱交換器と、前記熱交換器内に高温の加熱水を流通させる加熱配管と、を有し、
前記熱交換器は、前記浴槽内の温水を前記通水孔を通した自然対流によって加温する温浴設備において、
前記熱交換器収容部が前記浴槽の底面の縁部に設置されたことを特徴とする温浴設備。
【請求項2】
熱交換器収容部が、浴中のステップもしくは浴中の座席として機能することを特徴とする請求項1記載の温浴設備。
【請求項3】
熱交換器収容部の天板もしくは天板の一部が着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の温浴設備。
【請求項4】
天板もしくは天板の一部に通水孔を設けたことを特徴とする請求項3記載の温浴設備。
【請求項5】
熱交換器収容部の底面に浴槽内の温水を排水する排水口を備えたことを特徴とする請求項1記載の温浴設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温機能を備えた温浴設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、温浴施設、宿泊施設等では、大浴場に加えて個室風呂や家族風呂のように少人数のグループで使用できる比較的小さな浴槽の風呂が別途用意されている場合が多い。このような比較的小さな浴槽では家庭での風呂との差別化を図るため、浴槽に絶えず温水を供給し溢れた水は排水する掛け流し式の温浴設備を採用する施設も少なくない。尚、源泉の温度は人の入浴に適した温度ではないことも多く、この様な場合、加水による冷却や、温泉水の加温がなされることが一般的である。
【0003】
しかしながら、掛け流し式の温浴設備では浴槽内の温度維持のために温泉水を常時供給する必要があり、特に温泉水を加温して供給している場合、燃料コストが掛かるという問題点がある。また、限りある温泉資源を無駄に消費するという問題点がある。さらに、温泉水の供給量で浴槽内の温度を維持する必要があるため、流量調整に手間が掛かり、また温度管理が難しいという問題点がある。この問題点に関し、掛け流し式の温浴設備に周知の循環式の加温設備を設けて温度管理を行うことが考えられる。しかしながら、循環式の加温設備には、例えばヘアキャッチャや循環配管内の定期的な清掃が必要であり、個室風呂のように小型の浴槽が複数存在する場合には維持管理の負担が大きいという問題点がある。
【0004】
これらの問題点に関し、本願発明者らは、下記の[特許文献1]に記載の発明を行った。この[特許文献1]に記載の発明では、浴槽内の温水の温度維持を熱交換器が行う。これにより、供給部から吐出する温水の量を極めて少なくすることができ、温水に温泉水を用いる場合には、限られた温泉資源を有効活用することができる。また、温泉水や水道水等を加温して供給している場合には加温に掛かる燃料コストを低減することができる。さらに、供給部の流量調節による温度維持が不要となり、温度管理を極めて容易に行うことができる。また、[特許文献1]に記載の発明では、浴槽内の温水を加温する熱交換器を浴槽に直接設けるため、ヘアキャッチャや循環配管、ポンプ等が存在せず、これらに対する清掃が不要となり維持管理の負担を大幅に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に記載の発明では熱交換器収容部が浴槽の側面にあり、熱交換器の清掃に対する更なる改善が望まれる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱交換器及び熱交換器収容部の清掃をさらに容易とした温浴設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)浴槽10と、前記浴槽10に温水を供給する供給部20と、前記供給部20に供給する温水の流量を調節する湯量調節手段30と、前記浴槽10から溢れる温水を排水する排水部40と、前記浴槽10との間の通水孔54を備えた熱交換器収容部52と、前記熱交換器収容部52内に収められた熱交換器50と、前記熱交換器50内に高温の加熱水を流通させる加熱配管60と、を有し、
前記熱交換器50は、前記浴槽10内の温水を前記通水孔54を通した自然対流によって加温する温浴設備において、
前記熱交換器収容部52が前記浴槽10の底面の縁部に設置されたことを特徴とする温浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
(2)熱交換器収容部52が、浴中のステップもしくは浴中の座席として機能することを特徴とする上記(1)記載の温浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
(3)熱交換器収容部52の天板52aもしくは天板52aの一部が着脱可能であることを特徴とする上記(1)記載の温浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
(4)天板52aもしくは天板52aの一部に、通水孔54を設けたことを特徴とする上記(3)記載の温浴設備100bを提供することにより、上記課題を解決する。
(5)熱交換器収容部52の底面に浴槽10内の温水を排水する排水口12を備えたことを特徴とする上記(1)記載の温浴設備100a、100bを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る温浴設備は熱交換器収容部が浴槽の底面の縁部に設置され、且つ上面の天板もしくは天板の一部が着脱可能となっている。そして、清掃時に天板を取り外すことで、熱交換器収容部の上面が開口し、熱交換器収容部の内部及び熱交換器の清掃を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る第1の温浴設備を示す図である。
【
図2】本発明に係る第2の温浴設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る温浴設備について図面に基づいて説明する。ここで、
図1(a)は本発明に係る第1の温浴設備100aの概略構成図であり、
図1(b)は第1の温浴設備100aの浴槽部分の上面図である。また、
図2(a)は本発明に係る第2の温浴設備100bの概略構成図であり、
図2(b)は第2の温浴設備100bの浴槽部分の上面図である。
【0012】
先ず、本発明に係る温浴設備100a、100bは、浴槽10と、この浴槽に温水を供給する供給部20と、この供給部20に供給する温水の流量を調節する湯量調節手段30と、浴槽10から溢れる温水を排水する排水部40と、浴槽10との間の通水孔54を備えた熱交換器収容部52と、この熱交換器収容部52内に収められた熱交換器50と、熱交換器50内に高温の加熱水を流通させる加熱配管60と、を有している。尚、ここでの温水とは特に温泉水に限定されるものではなく、所定の温度に加熱された水道水や地下水等、温泉水以外のものも含むこととする。
【0013】
先ず、本発明に係る温浴設備100a、100bの浴槽10は、個室風呂や家族風呂、客室の内風呂等、1人~数人が入浴するための比較的小さな少人数用の浴槽であり、その容量は概ね500L~1500L程度である。尚、浴槽10の施工方法に関しては特に限定は無く、コンクリート等を用いた従来工法の他、FRP(繊維強化プラスチック)等によって一体成形された浴槽10の設置等、周知の如何なる工法を用いても良い。また、浴槽10の底面には清掃時等に開栓して浴槽10内の温水を全て排出するための排水口12が設けられている。尚、排水口12は従来通り、浴槽10の底面の任意の場所に設けても良いが、熱交換器収容部52内の底面に設けるようにしても良い。この構成では、浴槽水の排水時に浴槽10内の温水が熱交換器収容部52内を流れて排水されるため、浴槽水を排水する度に熱交換器収容部52内及び熱交換器50に付着した汚れをある程度、洗い流すことができる。また、排水口12が利用者の目から隠れるため浴槽10の外観を向上することができる。
【0014】
また、供給部20は浴槽10に予め設定された所定の温度の温水を供給するためのものであり、給湯配管22が湯量調節手段30を介して接続する。尚、供給部20の形状及び位置に関しては特に限定は無いが、掛け流しを演出するために供給部20を浴槽10の水面よりも上方に設け、浴槽10内に温水をなだらかに落水させることが好ましい。また、湯量調節手段30は、例えば空の浴槽10を温水で満たす際に使用する湯張り用の配管32aと、掛け流し時等に使用する掛け流し用の配管32bとを有しており、これら配管32a、32bには個別に流量調節弁34a、34bが設けられる。尚、湯張り用配管32aの流量調節弁34aは開閉弁としても良い。
【0015】
また、給湯配管22の上流には給湯設備24が接続し、この給湯設備24から給湯配管22、湯量調節手段30、供給部20を介して各浴槽10に温水が供給される。尚、ここでの給湯設備24とは、源泉や地下水、水道水等を予め設定された設定温度に加温もしくは冷却するものであり、源泉水を適温に調整するための加水設備、加熱設備、また温水に地下水、水道水等を用いる場合には、これらに対する加熱設備等が挙げられる。
【0016】
また、排水部40は、例えば浴槽10の上縁14の一部が掘り下げられて形成され、この排水部40にオーバーフロー排水口42が接続する。そして、浴槽10が満水状態になると、浴槽10の槽本体から溢れる温水は排水部40に流入してオーバーフロー排水口42から排水される。尚、排水部40は供給部20の対角位置に設けることが好ましい。
【0017】
次に、本発明に係る温浴設備100a、100bの熱交換器部分の説明を行う。先ず、本発明の熱交換器収容部52は浴槽10の底面の縁部に段差として設置される。尚、この熱交換器収容部52は複数の人が上に乗っても破損しない十分な強度を持たせ、利用者が浴槽10に出入りするときのステップ(階段)や利用者が浴槽10内で腰掛ける座席として使用可能とすることが好ましい。この場合、熱交換器収容部52の高さ及び幅は熱交換器50の大きさを考慮しながら、ステップや座席として適した寸法とすることが好ましい。また、熱交換器収容部52の天板52aの全部もしくは一部は着脱可能に構成することが好ましい。そして、この熱交換器収容部52の側面もしくは天板52aには浴槽10内の温水が流通する通水孔54が設けられる。尚、少なくとも一部の通水孔54は浴槽10の底面と同一の高さに設け、浴槽10の温水を全量排出したときに、熱交換器収容部52及び浴槽10内に温水が残留しないようにする。
【0018】
ここで、
図1に示す第1の温浴設備100aは、熱交換器収容部52の側面に通水孔54を設けたものである。この場合、通水孔54は少なくとも底部側と天板52a側の上下に設けることが好ましい。この構成では熱交換器50によって加温された温水は上側の通水孔54から浴槽10内へ放出されるとともに、浴槽10内の比較的温度の低い温水が下側の通水孔54から熱交換器収容部52内に自然対流により流入する。そして、熱交換器50によって加温された後、再び上側の通水孔54から浴槽10内へ放出される。これにより、浴槽10内の温水は加温される。
【0019】
また、
図2に示す第2の温浴設備100bでは熱交換器収容部52の側面と天板52aとに通水孔54が設けられる。この構成では、加温された温水が天板52aの通水孔54から浴槽10内へ直線的に放出される。このため、第1の温浴設備100aよりも通水量が多く効率的に浴槽10内の温水の加温を行うことができる。ただし、加温された温水が天板52aの通水孔54から放出されるため、熱交換器収容部52をステップや座席として使用する際には、例えば天板52aの通水孔54の近傍に障害物を置くなどして注意を促す必要がある。また、天板52aをグレーチング等の網状として全面を通水孔54とし、天板52aを外さなくとも例えば高圧洗浄装置等を用いて熱交換器収容部52の内部と熱交換器50の簡易的な清掃を行えるようにしても良い。
【0020】
また、加熱配管60には流量調節弁62が設けられるとともに、加熱配管60内に加熱水を流通させるポンプ手段64と、熱交換器50側から還流した低温の加熱水を再加熱するボイラやヒータ等の加熱手段66と、が接続する。尚、ポンプ手段64、加熱手段66は浴槽10毎に設置しても良いが、ある程度大型の加熱手段66を設置して、加熱配管60を介して各浴槽10の熱交換器50に加熱水を分配もしくは流通させることが好ましい。
【0021】
さらに、浴槽10内には浴槽10内の水量を取得する圧力式水位計等の周知の水量測定手段70と、浴槽10に貯留した温水の温度を取得する水温計等の周知の温度測定手段72と、が設置される。
【0022】
次に、本発明に係る温浴設備100a、100bの使用方法及び動作を説明する。先ず、浴槽10内が空の状態において、施設従業員等が図示しない制御部に対して浴槽10への湯張りの指示を出す。これにより、制御部は例えば湯量調節手段30の流量調節弁34aを全開とする。これにより、設定温度に調整された給湯配管22内の温水が湯張り用の配管32aを通して供給部20に到達し、浴槽10内に吐出される。そして、浴槽10内には設定温度の温水が貯留していく。このとき、熱交換器収容部52内には浴槽10内の温水が側面の通水孔54を通して流入し、浴槽10内の温水で満たされる。
【0023】
また、浴槽10内の温水の量は水量測定手段70が取得して制御部に出力する。そして、制御部は浴槽10内の温水の水位が満水もしくは予め設定された満水近傍の水位になると、流量調節弁34aを閉じるとともに流量調節弁34bを所定の開度とする。これにより、給湯配管22の温水は掛け流し用の配管32bを通して供給部20に到達し浴槽10内に吐出される。尚、このとき吐出される温水の量は湯張り時と比較して極めて少ない量である。そして、浴槽10が満水になると、浴槽10の槽本体から溢れる温水は排水部40に流入してオーバーフロー排水口42から排出される。
【0024】
また、これと前後して加熱手段66とポンプ手段64とが動作して60℃~75℃程度の高温に熱せられた加熱水を加熱配管60を通して熱交換器50内に流通させる。これにより、熱交換器50内を通過する加熱水と、熱交換器収容部52内に流入した浴槽10内の温水との間で熱交換が行われる。そして、熱交換器50によって熱せられた浴槽10内の温水は天板52aもしくは側面上方の通水孔54から自然対流によって浴槽10内に放出される。また、下方の通水孔54からは、新たな浴槽10内の温水が熱交換器収容部52内に流入し、熱交換器50との熱交換により加熱される。そしてこれらが繰り返されることによって、浴槽10内の温水は加温され、予め設定された所定の温度に維持される。尚、熱交換器50での熱交換により温度が低下した加熱水は加熱手段66に送られて再加熱された後、ポンプ手段64によって熱交換器50に圧送され再度、浴槽10内の温水の加温に供される。
【0025】
上記のように、本発明に係る温浴設備100a、100bでは、浴槽10内の温水の温度維持を熱交換器50が行うため、供給部20から流入する温水の量を極めて少なくすることができる。これにより、温水に温泉水を用いる場合には、温泉水を無駄に消費することがなく、限られた温泉資源を有効に活用することができる。また、温泉水や水道水等を加温して供給している場合には加温に掛かる燃料コストを低減することができる。
【0026】
また、浴槽10内の温水の温度は温度測定手段72が取得して制御部に出力する。そして、制御部は温度測定手段72が取得した浴槽10内の温水の温度に応じて流量調節弁62の開度を調節し、熱交換器50に流通する加熱水の流量を変化させる。例えば、利用者の入浴等により、浴槽10の温水の温度が設定温度よりも低下すると、制御部は温度測定手段72を介してこれを検知して、加熱配管60の流量調節弁62の開度を増大させる。これにより、熱交換器50に流通する加熱水の流量が増加して、熱交換器50による温水の加温温度が上昇し、これにより浴槽10内の温水の温度が上昇する。そして、浴槽10内の温水の温度が設定温度に到達すると、制御部は温度測定手段72を介してこれを検知して、加熱配管60の流量調節弁62の開度を減少させる。これにより、浴槽10の温水の温度は設定温度で維持される。尚、このとき熱交換器収容部52は利用者が浴槽10に出入りする際のステップや浴中の座席として機能する。
【0027】
また、利用者の浴槽10への出入り等によって、浴槽10内の温水の量が減少すると、制御部は水量測定手段70を介してこれを検知して、例えば流量調節弁34bの開度を増大させる。これにより、掛け流し用の配管32bを通る温水の量が増加して、供給部20から吐出する温水の量が増大し、浴槽10の水位は上昇する。そして、浴槽10の水位が満水もしくは予め設定された満水近傍の水位になると、制御部は流量調節弁34bを通常の開度に戻す。これにより、浴槽10は所定の掛け流し状態に維持される。
【0028】
尚、利用者が長時間入浴しない等、浴槽10の水位が予め設定された時間変化しない場合、制御部は流量調節弁34bを全閉して、供給部20からの温水の供給を停止するようにしても良い。この構成では、さらなる温泉資源の節約と燃料コストの削減とを図ることができる。
【0029】
また、浴槽10の清掃時には施設従業員等は制御部に対し、浴槽10に対する温水の供給及び熱交換器50の動作停止を指示する。これにより、制御部は流量調節弁34b及び流量調節弁62を全閉する。これにより、供給部20からの温水の供給は停止する。また、熱交換器50への加熱水の流通は停止し、浴槽10内の温水に対する加温動作は停止する。次に、施設従業員等は排水口12を開栓する。これにより、浴槽10内の温水は排水口12から排出される。尚、排水口12が熱交換器収容部52の底面に設置されている場合、浴槽10内の温水は熱交換器収容部52を通って排水口12から排出される。これにより、熱交換器収容部52の内部や熱交換器50に付着した汚れ等はある程度、この排水時の流れによって洗い流すことができる。次に、施設従業員等は浴槽10内の清掃を行うとともに、天板52aを取り外し上面を開放して、熱交換器50及び熱交換器収容部52内の清掃を行う。このように、本発明に係る温浴設備100a、100bは、熱交換器収容部52が浴槽10の底面の縁部に設置され、かつ熱交換器収容部52の天板52a(もしくはその一部)が着脱可能であるため、施設従業員等は従来よりも容易に熱交換器50及び熱交換器収容部52内の清掃を行うことができる。
【0030】
そして、浴槽10、熱交換器50及び熱交換器収容部52の清掃が終了すると、施設従業員等は天板52aを取り付けた後、制御部に対し浴槽10への湯張りの指示等を出し、次の利用者等のための準備を行う。
【0031】
以上のように、本発明に係る温浴設備100a、100bは、浴槽10内の温水の温度維持を熱交換器50が行う。このため、供給部20から流入する温水は浴槽10内の温水の温度維持の役割を負わず、事実上、掛け流しの演出効果が目的の主となる。これにより、浴槽10の満水時には供給部20から吐出する温水の量を極めて少なくすることができる。このため、温水に温泉水を用いる場合には、温泉水を無駄に消費することがなく、限られた温泉資源を有効活用することができる。また、温泉水や水道水等を加温して供給している場合には加温に掛かる燃料コストを低減することができる。さらに、浴槽10内の温水の温度維持を熱交換器50が行うため、供給部20の流量調節による温度維持が不要となり、温度管理を極めて容易に行うことができる。
【0032】
また、本発明に係る温浴設備100a、100bは、浴槽10内の温水を加温する熱交換器50を浴槽10に直接設けられた熱交換器収容部52に設置する。このため、浴槽10内の温水を加温するための循環配管が存在せず、法律で義務付けられているヘアキャッチャが必要ない。また、本発明に係る温浴設備100a、100bは、自然対流により浴槽10内の温水を加温する。このため、ポンプ等の送水機器が不要であり、導入コストの低減を図れるとともに、省エネルギー化にも貢献することができる。そして、これらヘアキャッチャや循環配管、ポンプ等の設備が不要となることから、これらに対する定期的な清掃が全て不要となり温浴設備の維持管理の負担を大幅に軽減することができる。
【0033】
またさらに、本発明に係る温浴設備100a、100bは熱交換器収容部52が浴槽10の底面の縁部に設置され、且つ上面の天板52a(もしくは天板52aの一部)が着脱可能となっている。そして、清掃時に天板52aを取り外すことで、熱交換器収容部52の上面が開口し、熱交換器収容部52の内部及び熱交換器50の清掃を楽に行うことができる。これにより、清掃作業を行う施設従業員等の負担をより一層軽減することができる。尚、浴槽10の稼働中には熱交換器収容部52は利用者が浴槽10に出入りするときのステップや、利用者が浴槽10内で腰掛ける座席として機能する。このため、無意味に浴槽10内のスペースを圧迫することもない。
【0034】
尚、本例で示した温浴設備100a、100bの各部の構成、機構、形状、寸法、動作、デザイン、配管経路等は一例であるから、特に本例に限定される訳ではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 浴槽
12 排水口
20 供給部
30 湯量調節手段
40 排水部
50 熱交換器
52 熱交換器収容部
52a 天板
54 通水孔
60 加熱配管
100a、100b 温浴設備