(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011673
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 31/10 20060101AFI20240118BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240118BHJP
H01F 41/04 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
B24B31/10 Z
H01G4/30 517
H01G4/30 311Z
H01F41/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113883
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉山 鉄也
【テーマコード(参考)】
3C158
5E001
5E062
5E082
【Fターム(参考)】
3C158AA01
3C158CB01
3C158CB10
5E001AH05
5E062FF03
5E082LL01
(57)【要約】
【課題】セラミック素子へのダメージが抑制され得る研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨方法は、複数のチップ部品1と複数のメディア2とをバレル槽に充填し、湿式バレル研磨を行うことを含んでいる。各チップ部品1は、素体10を含んでいる。素体10の複数の頂点のうち、素体2における最長の対角線を規定する2つの頂点を通る仮想球体S1の直径は、“D”である。メディア2の最大幅は、“d”である。素体10における第三方向の長さは、“T”である。メディア2の密度は、“ρ”である。この場合に、2.37≦D/d≦8.65、d/T≦1.7、及び、2.2g/cm
3≦ρ≦3.0g/cm
3なる関係が満たされている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が素体を含んでいる複数のチップ部品と、複数のメディアとをバレル槽に充填し、湿式バレル研磨を行うことを含んでおり、
各前記素体は、第一方向において互いに対向する一対の端面と、前記第一方向に交差する第二方向において互いに対向する一対の側面と、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向において互いに対向する一対の主面とを含んでいる直方体形状を呈しており、
前記素体において、前記第三方向の長さは、前記第一方向の長さ及び前記第二方向の長さよりも短く、
前記素体の複数の頂点のうち、前記素体における最長の対角線を規定する2つの頂点を通る仮想球体の直径が“D”であり、前記メディアの最大幅が“d”であり、前記素体における前記第三方向の長さが“T”であり、前記メディアの密度が“ρ”である場合に、
2.37≦D/d≦8.65
d/T≦1.7
2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3
なる関係が満たされている、研磨方法。
【請求項2】
前記第一方向の長さが“L”であり、前記第二方向の長さが“W”である場合に、
5.2mm≦L≦6.0mm
4.6mm≦W≦5.4mm
1.5mm≦T≦3.1mm
なる関係がさらに満たされている、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
1.0mm<d<3.0mm
なる関係がさらに満たされている、請求項2に記載の研磨方法。
【請求項4】
1.5mm≦d≦3.0mm
なる関係がさらに満たされている、請求項2に記載の研磨方法。
【請求項5】
0.4≦d/T
なる関係がさらに満たされている、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項6】
0.6≦d/T
なる関係がさらに満たされている、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項7】
D/d≦5.3
なる関係がさらに満たされている、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項8】
前記メディアの硬度は、ロックウェル硬さ試験のHR15Tにおける100以下に相当する、請求項1から7のいずれか一項に記載の研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バレル研磨によってチップ部品の素体を研磨する研磨方法が知られている(たとえば、特許文献1)。湿式バレル研磨において、複数のチップ部品と複数のメディアとが、バレル槽に充填され撹拌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
湿式バレル研磨において、メディアは素体に接し、素体の研磨を推進する。さらに、メディアは、素体同士の接触を抑制し、素体のダメージを抑制すると考えられる。本願発明者は、メディアと素体との各種パラメータの関係に応じて、素体へのダメージが変化することに着目した。
【0005】
本発明の一つの態様は、素体へのダメージが抑制され得る研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様における研磨方法は、複数のチップ部品と複数のメディアとをバレル槽に充填し、湿式バレル研磨を行うことを含んでいる。各チップ部品は、素体を含んでいる。各素体は、第一方向において互いに対向する一対の端面と、第一方向に交差する第二方向において互いに対向する一対の側面と、第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向において互いに対向する一対の主面とを含んでいる直方体形状を呈している。素体において、第三方向の長さは、第一方向の長さ及び第二方向の長さよりも短い。素体の複数の頂点のうち、素体における最長の対角線を規定する2つの頂点を通る仮想球体の直径は、“D”である。メディアの最大幅は、“d”である。素体における第三方向の長さは、“T”である。メディアの密度は、“ρ”である。この場合に、2.37≦D/d≦8.65、d/T≦1.7、及び、2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3なる関係が満たされている。
【0007】
本願発明者は、メディアと素体との各種パラメータの関係に応じて、素体にカケが生じることを見出した。たとえば、メディアの幅が小さいほど、素体間の距離が確保されがたいと考えられる。メディアの幅が大きいほど、1つのメディアが素体の表面から離れた場合における素体の表面の露出面積が大きい。上記研磨方法では、メディアと素体とのパラメータにおいて適切な関係が確保されており、素体におけるカケの発生が抑制され得る。
【0008】
上記一つの態様では、第一方向の長さが“L”であり、第二方向の長さが“W”である場合に、5.2mm≦L≦6.0mm、4.6mm≦W≦5.4mm、及び、1.5mm≦T≦3.1mmなる関係がさらに満たされていてもよい。この場合、素体におけるカケの抑制が顕著に表れ得る。
【0009】
上記一つの態様では、1.0mm<d<3.0mmなる関係がさらに満たされていてもよい。この場合、素体におけるカケの抑制がさらに抑制され得る。。
【0010】
上記一つの態様では、1.5mm≦d≦3.0mmなる関係がさらに満たされていてもよい。この場合、素体におけるカケの抑制がさらに抑制され得る。。
【0011】
上記一つの態様では、0.4≦d/Tなる関係がさらに満たされていてもよい。この場合も、素体におけるカケがさらに抑制され得る。
【0012】
上記一つの態様では、0.6≦d/Tなる関係がさらに満たされていてもよい。この場合も、素体におけるカケがさらに抑制され得る。
【0013】
上記一つの態様では、D/d≦5.3なる関係がさらに満たされていてもよい。この場合も、素体におけるカケがさらに抑制され得る。
【0014】
上記一つの態様では、メディアの硬度は、ロックウェル硬さ試験における100以下であってもよい。この場合も、素体におけるカケがさらに抑制され得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの態様は、素体へのダメージが抑制され得る研磨方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における素体と、素体の概形を示す仮想球体とを示している。
【
図2】(a)から(e)は素体とメディアとの接触状態を示す図である。
【
図3】(a)から(e)は、素体とメディアとの接触状態を示す図である。
【
図4】互いに異なる素体が接触している状態を示す図である。
【
図5】互いに異なる素体が接触している状態を示す図である。
【
図6】カケの不良とメディアの幅との関係を示すグラフである。
【
図7】(a)及び(b)は、カケの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0018】
本実施形態における研磨方法では、複数のチップ部品1を複数のメディア2を用いて研磨する。当該研磨方法は、湿式バレル研磨である。チップ部品1は、素体10と素体10内部に設けられた内部電極とを含んでいる。チップ部品1は、たとえば、積層電子部品を構成する。積層電子部品は、たとえば、積層コンデンサ、及び、積層インダクタなどである。
【0019】
素体10は、たとえば、焼結体によって構成されている。素体10は、たとえば、セラミックからなるセラミック素体である。この場合、素体10の焼成前に内部電極の端部が素体10から露出していたとしても、焼成において内部電極の端部が素体10と内部電極との収縮率の違いによって素体10の内部に埋没する。このため、焼成後の素体10に対する湿式バレル研磨によって、内部電極の端部が素体10から確実に露出され得る。この結果、たとえば、内部電極と、素体10の外部に設けられる端子電極とが確実に接続され得る。
【0020】
湿式バレル研磨において、複数のチップ部品1及び複数のメディア2は、バレル槽に充填される。バレル槽は、ポットともいう。さらに、水、及び、コンパウンドなどが、バレル槽に充填される。バレル槽における複数のチップ部品1と複数のメディア2の充填率は、たとえば、30体積%~50体積%である。たとえば、バレル槽に充填される複数のチップ部品1の体積が“v1”であり、バレル槽に充填される複数のメディア2の体積が“v2”である場合、“(v1+v2)”に対して“v1”は、25%体積%以下である。
【0021】
バレル槽は、複数のチップ部品1、複数のメディア2、及び、水などが内部に配置された状態で駆動され、バレル槽の内容物が攪拌される。バレル槽の駆動は、たとえば、バレル槽の回転、若しくは、バレル槽の振動、又はその両方である。このようにして、湿式研磨が行われる。
【0022】
図1を参照して、本実施形態におけるチップ部品1についてさらに詳細に説明する。
図1は、素体10と素体10の概形を示す仮想球体S1とを示している。
【0023】
図1に示されている素体10は、一対の端面11と、一対の側面12と、一対の主面13とを含んでいる。一対の側面12及び一対の主面13は、一対の端面11の間に位置している。一対の端面11は、X軸方向において互いに対向している。一対の側面12は、Y軸方向において互いに対向している。一対の主面13は、Z軸方向において互いに対向している。たとえば、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向は、互いに直交している。たとえば、X軸方向は第一方向に相当し、Y軸方向は第二方向に相当し、Z軸方向は第三方向に相当する。
【0024】
複数の素体10は、直方体形状を呈している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含んでいる。素体10は、8つの頂点15を含んでいる。
【0025】
素体10において、Z軸方向の長さは、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さよりも短い。たとえば、素体10において、X軸方向の長さは5.6mmであり、Y軸方向の長さは5.0mmであり、Z軸方向の長さは2.3mmである。素体10において、X軸方向の長さ、Y軸方向の長さ、及び、Z軸方向の長さは、公差の範囲で変更される。たとえば、素体10において、X軸方向の長さが“L”、Y軸方向の長さが“W”、Z軸方向の長さが“T”である場合に、公差の範囲を考慮して、5.2mm≦L≦6.0mm、4.6mm≦W≦5.4mm、1.5mm≦T≦3.1mmなる関係が満たされる。
【0026】
仮想球体S1は、素体10の複数の頂点15のうち素体における最長の対角線を規定する2つの頂点を通る外接球である。たとえば、仮想球体S1は、素体10の複数の頂点15のうち少なくとも3つを通っている。
図1に示されている例において、仮想球体S1は、素体10の8つの頂点15を通っている。仮想球体S1の直径は、たとえば、7.85mmである。
【0027】
メディア2は、たとえば、バレル槽内において、素体10の周辺に配置される。複数のメディア2が、一対の端面11、一対の側面12、及び、一対の主面13に接する。バレル槽の駆動によって、複数のメディア2が一対の端面11、一対の側面12、及び、一対の主面13に沿って摺動し、素体10の研磨が行われる。複数のメディア2は、複数のチップ部品1の各々の素体10を覆い、互いに異なるチップ部品1の接触を阻害する。複数のメディア2は、各素体10において、一対の端面11、一対の側面12、及び、一対の主面13を覆う。メディア2は、たとえば、球形状を呈している。本明細書において、「球形状」は、完全な球体の形状だけでなく、楕円形状の断面を有している略球体の形状、及び、少なくとも一部においてカケが生じた略球体の形状を含んでいる。以下、メディア2が球体であると仮定して説明する。本実施形態の変形例として、メディア2は、球形状以外の形状を呈していてもよい。
【0028】
メディア2は、たとえば、材料として、アルミナ及びシリカを含んでいる。メディア2の密度が“ρ”である場合に、たとえば、2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3の関係が満たされる。メディア2の硬度は、たとえば、ロックウェル硬さ試験のHR15Tにおける100以下に相当する。本明細書におけるロックウェル硬さ試験は、JIS Z 2245:2016において規格されている。
【0029】
メディア2の最大径が“d”である場合、たとえば、1.0mm≦d≦3.0mmなる関係が満たされる。さらに好ましくは、1.5mm≦d≦3.0mmなる関係が満たされている。「メディア2の最大径」は、バレル槽内に配置される複数のメディア2の直径のうち最大の直径を意味する。「メディア2の直径」は、各メディア2の最大幅に相当する。本明細書において、「最大幅」は、各メディア2のうち最長の幅の値に相当する。「メディア2の最大径」は、バレル槽内に配置される複数のメディア2の最大幅のうち最大の最大幅に相当する。
【0030】
仮想球体S1の直径が“D”であり、メディア2の最大径が“d”である場合に、たとえば、2.37≦D/d≦8.65なる関係が満たされる。さらに好ましくは、2.62≦D/d≦7.85なる関係が満たされる。さらに好ましくは、D/d≦5.3なる関係が満たされる。特に、素体10において、X軸方向の長さが5.60mmであり、Y軸方向の長さが5.00mであり、Z軸方向の長さが2.30mmである場合、2.62≦D/d≦7.85なる関係が満たされてもよい。
【0031】
メディア2の最大径が“d”であり、素体10におけるZ軸方向の長さが“T”である場合に、たとえば、d/T≦1.7なる関係が満たされる。さらに好ましくは、d/T≦1.1なる関係が満たされる。さらに好ましくは、0.4≦d/Tなる関係が満たされる。さらに好ましくは、0.6≦d/Tなる関係がさらに満たされる。特に、素体10において、X軸方向の長さが5.60mmであり、Y軸方向の長さが5.00mであり、Z軸方向の長さが2.30mmである場合、d/T≦1.1なる関係が満たされてもよい。
【0032】
図2(a)から
図2(e)は、素体10と複数のメディア2との接触状態を示している。複数のメディア2が、素体10を覆っている。
図3(a)から
図3(e)は、1つのメディア2が素体10の表面から離れた状態を示している。
図2(a)から
図2(e)、及び、
図3(a)から
図3(e)は、それぞれ、互いに異なる大きさのメディア2が用いられた状態を示している。
図2(a)及び
図3(a)において、メディア2の最大径は1mmである。
図2(b)及び
図3(b)において、メディア2の最大径は2mmである。
図2(c)及び
図3(c)において、メディア2の最大径は3mmである。
図2(d)及び
図3(d)において、メディア2の最大径は4mmである。
図2(e)及び
図3(e)において、メディア2の最大径は5mmである。
【0033】
図4は、
図3(a)の状態において、互いに異なる素体10が接触している状態を示している。
図5は、
図3(c)の状態において、互いに異なる素体10が接触している状態を示している。
図4において、メディア2の最大径に対する仮想球体S1の直径の比率は、7.85である。
図5において、メディア2の最大径に対する仮想球体S1の直径の比率は、2.61である。
【0034】
メディア2の幅が小さいほど、互いに異なる素体10の間の距離が小さくなり易く、互いに異なる素体10同士が接触し易い。メディア2の幅が大きいほど、1つのメディア2が素体10の表面から離れた場合に素体10の表面の露出面積が大きく、互いに異なる素体10が接触する面積も大きくなり易い。
【0035】
次に、本実施形態及び変形例における研磨方法による作用効果について説明する。
【0036】
メディア2の幅が小さいほど、素体10間の距離が確保されがたいと考えられる。メディア2の幅が大きいほど、1つのメディア2が素体10の表面から離れた場合における素体10の表面の露出面積が大きい。本実施形態及び変形例における研磨方法において、2.37≦D/d≦8.65、d/T≦1.7、及び、2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3なる関係が満たされている。この場合、メディア2と素体10とのパラメータにおいて適切な関係が確保されており、素体10におけるカケの発生が抑制され得る。たとえば、5.2mm≦L≦6.0mm、4.6mm≦W≦5.4mm、及び、1.5mm≦T≦3.1mmなる関係がさらに満たされる場合、素体10におけるカケの抑制が顕著に表れ得る。
【0037】
【0038】
図6は、実験例1~5を含む実験結果におけるカケの不良とメディア2の幅との関係を示すグラフである。
図7(a)は、比較的小さいカケD1が素体10に発生した状態を示している。
図7(b)は、比較的大きいカケD2が素体10に発生した状態を示している。
図6において示される実験結果において、チップ部品1の寸法は共通している。プロットP1は、比較的大きいカケに関するデータである。プロットP2は、比較的小さいカケに関するデータである。プロットP3は、全てのカケに関するデータである。横軸は、バレル槽に充填される複数のメディア2の径をmm単位で示している。縦軸は、カケによる不良が生じた数を指数で示している。実験例1において、カケによる不良が発生したチップ部品の数を、基準として、100に設定している。
【0039】
メディア2と素体10との関係を示す各種のパラメータが適切に設定されている場合、素体10におけるカケの発生が抑制され得る。特に、2.62≦D/d≦7.85、d/T≦1.1、及び、2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3、なる関係が満たされている場合、素体10におけるカケの発生が抑制され得る。この場合、特に、比較的大きいカケの発生が抑制され得る。
【0040】
たとえば、1.0mm<d<3.0mmなる関係がさらに満たされている。この場合、素体10におけるカケがさらに抑制され得る。特に、比較的大きいカケの発生が抑制され得ると共に、実験例1よりも全てのカケの発生も抑制され得る。
【0041】
たとえば、1.5mm<d<3.0mmなる関係がさらに満たされている。この場合、素体10におけるカケの抑制がさらに抑制され得る。
【0042】
たとえば、0.4≦d/Tなる関係がさらに満たされている。この場合も、素体10におけるカケがさらに抑制され得る。
【0043】
たとえば、0.6≦d/Tなる関係がさらに満たされている。この場合も、素体10におけるカケがさらに抑制され得る。
【0044】
たとえば、D/d≦5.3なる関係がさらに満たされている。この場合も、素体10におけるカケがさらに抑制され得る。
【0045】
たとえば、メディア2の硬度は、ロックウェル硬さ試験における100以下であってもよい。この場合も、素体10におけるカケがさらに抑制され得る。
【0046】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0047】
たとえば、チップ部品1の形状は上述した形状に限定されない。種々のチップ部品1にも適用され得る。
【0048】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
素体を含んでいる複数のチップ部品と複数のメディアとをバレル槽に充填し、湿式バレル研磨を行うことを含んでおり、
各前記素体は、第一方向において互いに対向する一対の端面と、前記第一方向に交差する第二方向において互いに対向する一対の側面と、前記第一方向及び前記第二方向に交差する第三方向において互いに対向する一対の主面とを含んでいる直方体形状を呈しており、
前記素体において、前記第三方向の長さは、前記第一方向の長さ及び前記第二方向の長さよりも短く、
前記素体の複数の頂点のうち、前記素体における最長の対角線を規定する2つの頂点を通る仮想球体の直径がDであり、前記メディアの最大幅がdであり、前記素体における前記第三方向の長さがTであり、前記メディアの密度がρである場合に、
2.37≦D/d≦8.65
d/T≦1.7
2.2g/cm3≦ρ≦3.0g/cm3
なる関係が満たされている、研磨方法。
(付記2)
前記長さ方向の長さがLであり、前記幅方向の長さがWである場合に、
5.2mm≦L≦6.0mm
4.6mm≦W≦5.4mm
1.5mm≦T≦3.1mm
なる関係がさらに満たされている、付記1に記載の研磨方法。
(付記3)
1.0mm<d<3.0mm
なる関係がさらに満たされている、付記2に記載の研磨方法。
(付記4)
1.5mm≦d≦3.0mm
なる関係がさらに満たされている、付記2に記載の研磨方法。
(付記5)
0.4≦d/T
なる関係がさらに満たされている、付記1から付記4のいずれか一項に記載の研磨方法。
(付記6)
0.6≦d/T
なる関係がさらに満たされている、付記1から付記4のいずれか一項に記載の研磨方法。
(付記7)
D/d≦5.3
なる関係がさらに満たされている、付記1から付記6のいずれか一項に記載の研磨方法。
(付記8)
前記メディアの硬度は、ロックウェル硬さ試験のHR15Tにおける100以下に相当する、付記1から付記7のいずれか一項に記載の研磨方法。
【符号の説明】
【0049】
1…チップ部品、2…メディア、10…素体、11…端面、12…側面、13…主面、15…頂点、S1…仮想球体。