IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116730
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20240821BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20240821BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240821BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H01L29/80 C
H01L29/80 H
H01L29/80 F
H01L29/44 Y
H01L29/50 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022511
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 浩隆
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB30
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD43
4M104DD63
4M104EE06
4M104EE14
4M104EE16
4M104EE17
4M104FF10
4M104FF11
4M104GG11
4M104HH18
4M104HH20
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS08
5F102GT06
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
(57)【要約】
【課題】ゲート耐圧を高くすることと、オン抵抗を低減することとを両立できる。
【解決手段】窒化物半導体装置10は、電子走行層16と、電子供給層18と、ゲート層22と、ゲート電極24と、ソース電極28およびドレイン電極と、パッシベーション層26と、を備える。ゲート層22は、ゲート層22、ソース電極28、およびドレイン電極が並ぶ方向である第1方向におけるソース電極28側の端部に位置するゲート層側面22Cを含む。パッシベーション層26は、第1方向においてソース電極28に対向するパッシベーション第1側面26Cを含む。窒化物半導体装置10は、ゲート層側面22Cおよびパッシベーション第1側面26Cを覆うとともに、ゲート層22とソース電極28との間を絶縁するソース絶縁体膜61をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体によって構成された電子走行層と、
前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、
前記電子供給層上に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層と、
前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート層を挟むように配置され、前記電子供給層の上面に接するソース電極およびドレイン電極と、
前記電子供給層、前記ゲート層、および前記ゲート電極の上に形成されたパッシベーション層と、を備え、
前記電子供給層の上面において、前記ゲート層、前記ソース電極、および前記ドレイン電極が並ぶ方向を第1方向としたとき、
前記ゲート層は、前記第1方向における前記ソース電極側の端部に位置するゲート層側面を含み、
前記パッシベーション層は、前記第1方向において前記ソース電極に対向するパッシベーション第1側面を含み、
前記ゲート層側面および前記パッシベーション第1側面を覆うとともに、前記ゲート層と前記ソース電極との間を絶縁するソース絶縁体膜をさらに備える、窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記パッシベーション第1側面は、前記ゲート層側面の上に位置している、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記パッシベーション層は、
少なくとも前記電子供給層における前記ゲート層よりも前記ドレイン電極側の領域の上に形成された第1パッシベーション層と、
前記第1パッシベーション層の上に形成された第2パッシベーション層とを含む、請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記第2パッシベーション層は、前記ゲート層における前記ゲート電極よりも前記ソース電極側の領域の上に形成されたソース側部分を有し、
前記パッシベーション第1側面は、前記第2パッシベーション層の前記ソース側部分における前記ソース電極側の端部に位置する側面である、請求項3に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記第2パッシベーション層の前記ソース側部分は、前記第1パッシベーション層よりも厚い請求項4に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極は、前記第1方向における前記ソース電極側の端部に位置する電極側面を含み、
前記第1パッシベーション層は、前記第1方向における前記ソース電極側の端部に位置する第1側面を含み、
前記第1パッシベーション層の前記第1側面は、前記ゲート電極の前記電極側面の上に位置しており、
前記第2パッシベーション層の前記ソース側部分は、前記ゲート電極の前記電極側面および前記第1パッシベーション層の前記第1側面に接している、請求項4に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記第1パッシベーション層および前記第2パッシベーション層は、異なる材料により構成されている、請求項3に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記第1パッシベーション層は、SiN層であり、
前記第2パッシベーション層は、SiO層である、請求項7に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記第1パッシベーション層と前記第2パッシベーション層との間に形成されるとともに前記ソース電極に電気的に接続されているフィールドプレート電極をさらに備え、
前記フィールドプレート電極は、前記第1方向における前記ゲート層から前記ドレイン電極の間に少なくとも一部が形成されている、請求項3に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
前記ソース電極は、前記第2パッシベーション層の上に形成されるソースフィールドプレート部を含み、
前記ソースフィールドプレート部の前記ドレイン電極側の端部は、前記フィールドプレート電極よりも前記ドレイン電極の近くに位置している、請求項9に記載の窒化物半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート層は、
前記電子供給層に接するリッジ部と、
前記電子供給層に接するとともに、前記リッジ部から前記第1方向における前記ソース電極側に向かって延びる、前記リッジ部よりも薄いソース側延在部と、を含み、
前記ゲート層の前記ゲート層側面は、前記ソース側延在部の先端面である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項12】
前記ソース絶縁体膜の第1方向長さは、前記ソース側延在部の前記第1方向長さよりも短い、請求項11に記載の窒化物半導体装置。
【請求項13】
前記ソース絶縁体膜の前記第1方向長さは、100nm未満である、請求項12に記載の窒化物半導体装置。
【請求項14】
前記ゲート層は、前記電子供給層に接するとともに、前記リッジ部から前記第1方向における前記ドレイン電極側に向かって延びる、前記リッジ部よりも薄いドレイン側延在部を含む、請求項11に記載の窒化物半導体装置。
【請求項15】
前記ソース絶縁体膜は、前記パッシベーション層における前記パッシベーション第1側面を形成している部分を構成する材料と異なる材料により構成されている、請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項16】
前記パッシベーション層は、前記第1方向において前記ドレイン電極に対向するパッシベーション第2側面を含み、
前記パッシベーション第2側面を覆うとともに、前記パッシベーション第2側面と前記ドレイン電極との間を絶縁するドレイン絶縁体膜をさらに備える、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、窒化ガリウム(GaN)等のIII族窒化物半導体(以下、単に「窒化物半導体」と言う場合がある)を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT)の製品化が進んでいる。HEMTは、半導体ヘテロ接合の界面付近に形成された二次元電子ガス(2DEG)を導電経路(チャネル)として使用する。HEMTを利用したパワーデバイスは、典型的なシリコン(Si)パワーデバイスと比較して低オン抵抗および高速・高周波動作を可能にしたデバイスとして認知されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の窒化物半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)層によって構成された電子走行層と、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層によって構成された電子供給層とを含む。これら電子走行層と電子供給層とのヘテロ接合の界面付近において電子走行層中に2DEGが形成される。また、特許文献1の窒化物半導体装置では、アクセプタ型不純物を含むゲート層(例えばp型GaN層)が、電子走行層上であってゲート電極の直下の位置に設けられている。この構成では、ゲート層の直下の領域において、ゲート層が電子走行層と電子供給層との間のヘテロ接合界面付近における伝導帯のバンドエネルギーを持ち上げることによりゲート層の直下のチャネルが消失し、ノーマリーオフが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-73506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるようなHEMTにおいて、より確実なノーマリーオフ動作を達成するためには、十分な大きさのゲート耐圧を高くすることが望ましい。しかしながら、HEMTのゲート耐圧を高くすることと、低オン抵抗を両立させることは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である窒化物半導体装置は、窒化物半導体によって構成された電子走行層と、前記電子走行層上に形成され、前記電子走行層よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層と、前記電子供給層上に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層と、前記ゲート層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート層を挟むように配置され、前記電子供給層の上面に接するソース電極およびドレイン電極と、前記電子供給層、前記ゲート層、および前記ゲート電極の上に形成されたパッシベーション層と、を備え、前記電子供給層の上面において、前記ゲート層、前記ソース電極、および前記ドレイン電極が並ぶ方向を第1方向としたとき、前記ゲート層は、前記第1方向における前記ソース電極側の端部に位置するゲート層側面を含み、前記パッシベーション層は、前記第1方向において前記ソース電極に対向するパッシベーション第1側面を含み、前記ゲート層側面および前記パッシベーション第1側面を覆うとともに、前記ゲート層と前記ソース電極との間を絶縁するソース絶縁体膜をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様である窒化物半導体装置によれば、ゲート耐圧を高くすることと、オン抵抗を低減することとを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、窒化物半導体装置の例示的な概略平面図である。
図2図2は、図1の2-2線断面図である。
図3図3は、図2の窒化物半導体装置におけるソース電極およびゲート電極の周辺の拡大断面図である。
図4図4は、図1の窒化物半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図5図5は、図4に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図6図6は、図5に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、図6に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図8図8は、図7に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図9図9は、図8に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図10図10は、図9に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図11図11は、図10に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図12図12は、図11に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図13図13は、図12に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図14図14は、図13に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図15図15は、図14に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図16図16は、図15に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図17図17は、図16に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図18図18は、図17に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図19図19は、図18に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図20図20は、図19に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図21図21は、図20に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図22図22は、図21に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図23図23は、図22に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図24図24は、図23に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図25図25は、図24に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図26図26は、図25に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示における窒化物半導体装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0011】
[窒化物半導体装置の概略構造]
図1は、実施形態に係る例示的な窒化物半導体装置10の概略平面図である。図2は、窒化物半導体装置10の概略断面図であり、図1の2-2線断面図である。一例では、窒化物半導体装置10は、GaNを用いたHEMTであってよい。以下では、図2を参照して、窒化物半導体装置10の断面構造について説明した後、図1を参照して窒化物半導体装置10の平面構造について説明する。
【0012】
図2に示すように、窒化物半導体装置10は、半導体基板12と、半導体基板12上に形成されたバッファ層14と、バッファ層14上に形成された電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18とを含む。
【0013】
半導体基板12は、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、GaN、サファイア、または他の基板材料で形成することができる。一例では、半導体基板12は、Si基板であってよい。半導体基板12の厚さは、例えば200μm以上1500μm以下であってよい。図1および図2に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向は、半導体基板12の厚さ方向である。なお、本明細書において使用される「平面視」という用語は、明示的に別段の記載がない限り、Z軸方向に沿って上方から窒化物半導体装置10を視ることをいう。
【0014】
バッファ層14は、半導体基板12と電子走行層16との間に位置し得る。一例では、バッファ層14は、電子走行層16のエピタキシャル成長を容易にすることができる任意の材料によって構成され得る。バッファ層14は、1つまたは複数の窒化物半導体層を含み得る。
【0015】
一例では、バッファ層14は、窒化アルミニウム(AlN)層、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、および異なるアルミニウム(Al)組成を有するグレーテッドAlGaN層のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、バッファ層14は、単一のAlN層、単一のAlGaN層、AlGaN/GaN超格子構造を有する層、AlN/AlGaN超格子構造を有する層、またはAlN/GaN超格子構造を有する層によって構成され得る。なお、バッファ層14におけるリーク電流を抑制するために、バッファ層14の一部に不純物を導入してバッファ層14を半絶縁性にしてもよい。その場合、不純物は、例えば炭素(C)または鉄(Fe)であり、不純物の濃度は、例えば4×1016cm-3以上とすることができる。
【0016】
電子走行層16は、窒化物半導体によって構成されている。電子走行層16は、例えばGaN層である。電子走行層16の厚さは、例えば、0.5μm以上2μm以下である。なお、電子走行層16におけるリーク電流を抑制するために、電子走行層16の一部に不純物を導入して電子走行層16の表層領域以外を半絶縁性にしてもよい。その場合、不純物は、例えばCであり、電子走行層16中の不純物のピーク濃度は、例えば1×1019cm-3以上である。
【0017】
電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されている。電子供給層18は、例えばAlGaN層である。この場合、Al組成が大きいほどバンドギャップが大きくなるため、AlGaN層である電子供給層18は、GaN層である電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する。一例では、電子供給層18は、AlGa1-xNによって構成され、xは0.1<x<0.4であり、より好ましくは、0.2<x<0.3である。電子供給層18の厚さは、例えば5nm以上20nm以下である。
【0018】
電子走行層16と電子供給層18とは、互いに異なる格子定数を有する窒化物半導体によって構成されている。したがって、電子走行層16を構成する窒化物半導体(例えば、GaN)と電子供給層18を構成する窒化物半導体(例えば、AlGaN)とは、格子不整合系のヘテロ接合を形成する。電子走行層16および電子供給層18の自発分極と、ヘテロ接合界面付近の電子供給層18が受ける応力に起因するピエゾ分極とによって、ヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、電子走行層16と電子供給層18とのヘテロ接合界面に近い位置(例えば、界面から数nm程度の範囲内)において電子走行層16内には二次元電子ガス(2DEG)20が広がっている。
【0019】
窒化物半導体装置10は、電子供給層18の上に形成されたゲート層22と、ゲート層22上に形成されたゲート電極24と、パッシベーション層26とをさらに含む。パッシベーション層26は、電子供給層18、ゲート層22、およびゲート電極24の上に形成されるとともに、第1開口部26Aおよび第2開口部26Bを含む。また、窒化物半導体装置10は、第1開口部26Aを介して電子供給層18に接するソース電極28と、第2開口部26Bを介して電子供給層18に接するドレイン電極30とをさらに含む。
【0020】
ゲート層22は、パッシベーション層26の第1開口部26Aと第2開口部26Bとの間に位置しており、第1開口部26Aおよび第2開口部26Bの各々から離間している。ゲート層22は、第2開口部26Bよりも第1開口部26Aの近くに位置している。ゲート層22の詳細な構造については後述する。
【0021】
ゲート層22は、電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有するとともに、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されている。ゲート層22は、例えばAlGaN層である電子供給層18よりも小さなバンドギャップを有する任意の材料によって構成され得る。一例では、ゲート層22は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)である。アクセプタ型不純物は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、およびCのうち少なくとも1つを含むことができる。ゲート層22中のアクセプタ型不純物の最大濃度は、例えば1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0022】
上記のように、ゲート層22にアクセプタ型不純物が含まれることによって、電子走行層16および電子供給層18のエネルギーレベルが引き上げられる。このため、ゲート層22の直下の領域において、電子走行層16と電子供給層18との間のヘテロ接合界面付近における電子走行層16の伝導帯のエネルギーレベルは、フェルミ準位とほぼ同じか、またはそれよりも大きくなる。したがって、ゲート電極24に電圧を印加していないゼロバイアス時において、ゲート層22の直下の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されない。一方、ゲート層22の直下の領域以外の領域における電子走行層16には、2DEG20が形成されている。
【0023】
このように、アクセプタ型不純物がドーピングされたゲート層22の存在によってゲート層22の直下の領域で2DEG20が消滅している。その結果、トランジスタのノーマリーオフ動作が実現される。ゲート電極24に適切なオン電圧が印加されると、ゲート電極24の直下の領域における電子走行層16に2DEG20によるチャネルが形成されるため、ソース-ドレイン間が導通する。
【0024】
ゲート電極24は、1つまたは複数の金属層によって構成されている。ゲート電極24は、一例では窒化チタン(TiN)層である。あるいは、ゲート電極24は、Tiを含む材料によって形成された第1金属層と、第1金属層上に積層され、TiNを含む材料によって形成された第2金属層とによって構成されていてもよい。ゲート電極24は、ゲート層22とショットキー接合を形成することができる。ゲート電極24は、平面視でゲート層22よりも小さい領域に形成され得る。ゲート電極24の厚さは、例えば50nm以上200nm以下である。
【0025】
パッシベーション層26は、電子供給層18上に形成されている。パッシベーション層26は、電子供給層18を覆っているともいえる。パッシベーション層26は、例えば窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。
【0026】
パッシベーション層26の厚さは、電子供給層18の厚さよりも厚い。パッシベーション層26の厚さは、例えば300nm以上1000nm以下である。なお、パッシベーション層26の厚さは任意に変更可能である。パッシベーション層26の詳細な構造については後述する。
【0027】
ソース電極28およびドレイン電極30は、電子供給層18の上面において、ゲート層22を挟むように配置されている。ソース電極28およびドレイン電極30は、1つまたは複数の金属層によって構成され得る。例えば、ソース電極28およびドレイン電極30は、Ti層、TiN層、Al層、AlSiCu層、およびAlCu層等を含む群から選択された2つ以上の金属層の組み合わせによって構成され得る。ソース電極28の少なくとも一部は、第1開口部26A内に充填されており、第1開口部26Aを介して電子供給層18直下の2DEG20とオーミック接触している。同様に、ドレイン電極30の少なくとも一部は、第2開口部26B内に充填されており、第2開口部26Bを介して電子供給層18直下の2DEG20とオーミック接触している。
【0028】
一例では、ソース電極28は、第1開口部26Aに充填されたソースコンタクト部28Aと、パッシベーション層26の上に形成されたソースフィールドプレート部28Bとを含み得る。ソースフィールドプレート部28Bは、ソースコンタクト部28Aと連続しており、ソースコンタクト部28Aと一体に形成されている。ソースフィールドプレート部28Bは、平面視で第2開口部26Bとゲート層22との間に位置する端部28Cを含む。ソースフィールドプレート部28Bは、ドレイン電極30からは離間している。ソースフィールドプレート部28Bは、ゲート電極24にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス状態でドレイン電極30にドレイン電圧が印加された場合にゲート電極24の端部近傍およびゲート層22の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。
【0029】
[ゲート層の詳細な構造]
ゲート層22は、ステップ構造を有し得る。以下、図3を参照してステップ構造を有するゲート層22の詳細について説明する。図3は、図2の窒化物半導体装置10におけるソース電極28およびゲート電極24の周辺の拡大断面図である。なお、図3では、2DEG20が省略されている。
【0030】
ゲート層22は、リッジ部42と、リッジ部42の両側から互いに反対方向に延在する延在部43を含む。リッジ部42および延在部43によって、ゲート層22のステップ構造が形成されている。
【0031】
リッジ部42は、ゲート層22の相対的に厚い部分に相当する。ゲート電極24は、リッジ部42に接している。リッジ部42は、図3のXZ平面に沿った断面において矩形状または台形状を有し得る。リッジ部42は、例えば100nm以上200nm以下の厚さを有し得る。リッジ部42の厚さT1とは、リッジ部42の上面から下面(ゲート電極24が形成されているゲート層22の上面22Aから電子供給層18に接するゲート層22の下面22B)までの距離のことである。リッジ部42(ゲート層22)の厚さT1は、ゲート耐圧などの種々のパラメータを考慮して決定され得る。
【0032】
延在部43は、ソース側延在部44およびドレイン側延在部46を含む。ソース側延在部44は、リッジ部42からパッシベーション層26の第1開口部26Aに向かって延在している。ドレイン側延在部46は、リッジ部42からパッシベーション層26の第2開口部26Bに向かって延在している(図2参照)。ソース側延在部44とドレイン側延在部46は同じ長さであってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
ソース側延在部44は、例えば5nm以上30nm以下の厚さT2を有し得る。ソース側延在部44は、リッジ部42から第1開口部26Aに向かう方向において、例えば、100nm以上の第1方向長さL1を有し得る。ソース側延在部44の第1方向長さL1は、例えば、200nm以上300nm以下である。ドレイン側延在部46は、例えば5nm以上30nm以下の厚さT3を有し得る。ドレイン側延在部46は、リッジ部42から第2開口部26Bに向かう方向において、例えば200nm以上600nm以下の第1方向長さL2を有し得る。ソース側延在部44の厚さT2とドレイン側延在部46の厚さT3は、互いに等しい。ここで、ソース側延在部44の厚さT2とドレイン側延在部46の厚さT3の差が例えばソース側延在部44の厚さの10%以内であれば、ソース側延在部44の厚さT2とドレイン側延在部46の厚さT3とが互いに等しいといえる。
【0034】
ゲート層22は、上面22Aおよび下面22Bを有する。下面22Bは、ゲート層22における電子供給層18の上面18Aに対向する面であり、上面22Aは、ゲート層22における下面22Bの反対側に位置する面である。ステップ構造を有するゲート層22の上面22Aは、リッジ部42の上面を意味する。ステップ構造を有するゲート層22の下面22Bは、リッジ部42の下面、ソース側延在部44の下面、およびドレイン側延在部46の下面を含む面を意味する。
【0035】
なお、ゲート層22の断面形状は、ステップ構造を有する形状に限定されない。例えば、ゲート層22は図1におけるXZ平面において、矩形状、台形状、またはリッジ状の断面を有することができる。
【0036】
[パッシベーション層の詳細な構造]
図2に示すように、パッシベーション層26の一例は、少なくとも電子供給層18の上に形成された第1パッシベーション層51と、第1パッシベーション層51の上に形成された第2パッシベーション層52とを有する。また、パッシベーション層26における第1パッシベーション層51と第2パッシベーション層52の間には、フィールドプレート電極53が埋め込まれている。
【0037】
第1パッシベーション層51の一例は、ゲート電極24上、ゲート層22におけるゲート電極24よりもドレイン電極30側に位置する領域の上、および電子供給層18におけるゲート層22とドレイン電極30との間に位置する領域の上に形成されている。第1パッシベーション層51は、ゲート電極24、ゲート層22の上記領域、および電子供給層18の上記領域の各上面に接して、これらを覆っているともいえる。
【0038】
図3に示すように、第1パッシベーション層51は、X方向、すなわち、ソース電極28、ゲート電極24、およびドレイン電極30が並ぶ方向(以下、第1方向という。)の端部であって、ソース電極28側の端部に位置する第1側面51Aを有する。第1パッシベーション層51の第1側面51Aは、ゲート電極24のソース電極28側の端部に位置する電極側面24Aの上に位置している。第1側面51Aおよび電極側面24Aは面一であり、連続する側面を形成している。また、図2に示すように、第1パッシベーション層51は、第1方向の端部であって、ドレイン電極30側の端部に位置する第2側面51Bを有する。
【0039】
なお、第1パッシベーション層51は、少なくとも一部が電子供給層18におけるゲート層22よりもドレイン電極側の領域の上に形成されていればよい。また、フィールドプレート電極53を有する場合、第1パッシベーション層51は、フィールドプレート電極53とゲート層22との間、およびフィールドプレート電極53とゲート電極24との間に位置する部分を有する。
【0040】
第1パッシベーション層51は、例えば、50nm以上200nm以下の厚さを有する。第1パッシベーション層51の厚さは、例えば、電子供給層18の上に形成されている部分の厚さであってもよいし、ゲート電極24またはゲート層22の上に形成されている部分の厚さであってもよい。
【0041】
図2に示すように、第2パッシベーション層52の一例は、ゲート層22におけるゲート電極24よりもソース電極28側の部分の上に形成されているソース側部分52Aと、第1パッシベーション層51の上に形成されているドレイン側部分52Bとを有する。第1パッシベーション層51と第2パッシベーション層52のドレイン側部分52Bとの間には、フィールドプレート電極53に形成されている。フィールドプレート電極53の詳細については後述する。
【0042】
図3に示すように、第2パッシベーション層52のソース側部分52Aは、第1方向の端部であって、ソース電極28側の端部に位置する第1側面52Cを有する。第2パッシベーション層52の第1側面52Cは、ゲート層22のソース電極28側の端部に位置するゲート層側面22Cの上に位置している。図3に示す例では、ゲート層側面22Cは、ソース側延在部44の先端面である。第2パッシベーション層52の第1側面52Cおよびゲート層側面22Cは面一であり、連続する側面を形成している。また、第2パッシベーション層52のソース側部分52Aは、ゲート電極24の電極側面24Aおよび第1パッシベーション層51の第1側面51Aに接している。
【0043】
図2に示すように、第2パッシベーション層52のドレイン側部分52Bは、第1方向の端部であって、ドレイン電極30側の端部に位置する第2側面52Dを有する。第2パッシベーション層52の第2側面52Dは、第1パッシベーション層51の第2側面51Bの上に位置している。第2パッシベーション層52の第2側面52Dおよび第1パッシベーション層51の第2側面51Bは面一であり、連続する側面を形成している。
【0044】
ここで、パッシベーション層26は、第1方向においてソース電極28に対向するパッシベーション第1側面26C、およびドレイン電極30に対向するパッシベーション第2側面26Dを有する。パッシベーション第1側面26Cは、第2パッシベーション層52の第1側面52Cにより形成されている。パッシベーション第2側面26Dは、第1パッシベーション層51の第2側面51Bおよび第2パッシベーション層52の第2側面52Dにより形成されている。
【0045】
なお、第2パッシベーション層52は、パッシベーション層26における第1パッシベーション層51以外の部分であるともいうこともできる。第2パッシベーション層52の形成範囲は、第1パッシベーション層51の形成範囲に応じて変更できる。
【0046】
第2パッシベーション層52は、例えば、第1パッシベーション層51よりも厚く形成されている。第2パッシベーション層52の厚さは、例えば、ソース側部分52Aにおける第1側面52Cを形成している部分の厚さT3である。第2パッシベーション層52の厚さT3は、例えば、500nm以上1500nm以下である。なお、第2パッシベーション層52の厚さT3は、第2パッシベーション層52の第1側面52Cにおける厚さということもできる。
【0047】
第1パッシベーション層51および第2パッシベーション層52の各々は、例えば、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。第1パッシベーション層51および第2パッシベーション層52は、同じ材料により構成されていてもよい。一例では、第1パッシベーション層51および第2パッシベーション層52は、共に窒化シリコン(SiN)層である。
【0048】
また、第1パッシベーション層51および第2パッシベーション層52は、異なる材料により構成されていてもよい。一例では、第1パッシベーション層51は、窒化シリコン(SiN)層であり、第2パッシベーション層52は、二酸化シリコン(SiO)層である。電子供給層18を覆う第1パッシベーション層51を窒化シリコン(SiN)層とすることにより、電子供給層18の表面を保護してトラップ準位を低減できる効果が得られる。また、ソース電極28に対向するパッシベーション第1側面26Cを形成する第2パッシベーション層52を二酸化シリコン(SiO)層とすることにより、ソース電極28をシンター処理した場合にも、ゲート電極24およびソース電極28間を、より安定して絶縁できる。
【0049】
次に、フィールドプレート電極53について説明する。図2に示すように、フィールドプレート電極53は、ドレイン電極30からは離間している。フィールドプレート電極53は、ゲート電極24にゲート電圧が印加されていないゼロバイアス状態でドレイン電極30にドレイン電圧が印加された場合にゲート層22の端部近傍の電界集中を緩和する役割を果たす。なお、ソース電極28のソースフィールドプレート部28Bは、相対的に大きい電圧が印加された場合の電解集中を緩和するのに対して、フィールドプレート電極53は、相対的に小さい電圧が印加された場合の電解集中を緩和する。
【0050】
フィールドプレート電極53は、第1パッシベーション層51上におけるゲート層22とドレイン電極30との間に少なくとも一部が形成されている。図2には図示されていないが、フィールドプレート電極53は、ソース電極28に電気的に接続されている。フィールドプレート電極53とソース電極28との接続構造の詳細については後述する。
【0051】
フィールドプレート電極53は、第1方向の端部である第1端部53Aと、第1端部53Aの反対側に位置する第2端部53Bとを含む。第1端部53Aは、フィールドプレート電極53におけるソース電極28に近い側の端部である。第2端部53Bは、フィールドプレート電極53におけるドレイン電極30に近い側の端部である。
【0052】
フィールドプレート電極53の第2端部53Bは、第1パッシベーション層51上におけるゲート層22とドレイン電極30との間に位置している。第2端部53Bは、例えば、ゲート層22とドレイン電極30との間における、ゲート層22に近い位置に位置している。
【0053】
図3に示すように、フィールドプレート電極53の第1端部53Aの一例は、ゲート電極24の上に位置している。この場合、フィールドプレート電極53は、第1パッシベーション層51を間に挟んで、ゲート電極24に重なる部分を有する。フィールドプレート電極53におけるゲート電極24に重なる部分の面積が大きくなるにしたがって、ゲート-ソース間の寄生容量が増加する。ゲート-ソース間の寄生容量が増加することにより、セルフターンオンが抑制されて窒化物半導体装置10の動作が安定化する。また上記の場合、フィールドプレート電極53は、第1パッシベーション層51を間に挟んで、ゲート層22におけるドレイン電極30に近い側の端部(ドレイン側延在部46の先端)を覆っている。これにより、ゲート層22におけるドレイン電極30に近い側の端部の電界集中を緩和できる。
【0054】
なお、フィールドプレート電極53の第1端部53Aの位置は、適宜、変更できる。例えば、ゲート層22におけるゲート電極24よりもドレイン電極30側の領域の上(例えば、ドレイン側延在部46の上)に位置していてもよいし、第1パッシベーション層51上におけるゲート層22とドレイン電極30との間に位置していてもよい。
【0055】
ここで、フィールドプレート電極53と、ソース電極28のソースフィールドプレート部28Bの位置関係について説明する。図2に示すように、ソースフィールドプレート部28Bは、第2パッシベーション層52の上に形成されている。ソースフィールドプレート部28Bの端部28Cは、第1方向において、フィールドプレート電極53の第2端部53Bよりもドレイン電極30側に位置している。
【0056】
ソース電極28およびドレイン電極30は、Ti層、TiN層、Al層、AlSiCu層、およびAlCu層等を含む群から選択された2つ以上の金属層の組み合わせによって構成され得る。フィールドプレート電極53は、1つまたは複数の金属層によって構成され得る。例えば、フィールドプレート電極53は、TiN層またはTi層とTiN層の組み合わせによって構成される。また、フィールドプレート電極53の一例は、ソース電極28およびドレイン電極30の一方または両方と同じ材料で構成されていてもよい。
【0057】
[ソース電極およびゲート電極の周辺構造]
図3に示すように、窒化物半導体装置10は、ソース電極28とゲート層22との間を絶縁するソース絶縁体膜61を含む。ソース絶縁体膜61は、ソース電極28とゲート層22との間に形成されるとともに、ゲート層22のゲート層側面22Cを覆っている。また、ソース絶縁体膜61は、ソース電極28とパッシベーション層26との間に形成されるとともに、パッシベーション層26のパッシベーション第1側面26Cを覆っている。
【0058】
ソース絶縁体膜61は、パッシベーション層26のパッシベーション第1側面26Cおよびゲート層22のゲート層側面22Cがなす側面(サイドウォール)に対して、セルフアライン(自己整合)によって形成される。これにより、ソース絶縁体膜61を薄く形成できる。ソース絶縁体膜61の第1方向長さL3は、ゲート層22のソース側延在部44の第1方向長さL1よりも短い。ソース絶縁体膜61の第1方向長さL3は、例えば、100nm未満である。
【0059】
ソース絶縁体膜61は、例えば、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。ソース絶縁体膜61は、一例では、二酸化シリコン(SiO)膜である。なお、ソース絶縁体膜61は、第1パッシベーション層51と同じ材料により構成されていてもよいし、第1パッシベーション層51と異なる材料により構成されていてもよい。また、ソース絶縁体膜61は、第2パッシベーション層52と同じ材料により構成されていてもよいし、第2パッシベーション層52と異なる材料により構成されていてもよい。ソース絶縁体膜61の一例は、パッシベーション第1側面26Cを形成している部分である第2パッシベーション層52よりも絶縁性の高い材料により構成されている。
【0060】
[ドレイン電極の周辺構造]
図2に示すように、窒化物半導体装置10は、ドレイン絶縁体膜62をさらに含む。ドレイン絶縁体膜62は、パッシベーション層26のパッシベーション第2側面26Dを覆うとともに、パッシベーション第2側面26Dとの間を絶縁する。ドレイン絶縁体膜62は、パッシベーション層26のパッシベーション第2側面26D、すなわち、第1パッシベーション層51の第2側面51Bおよび第2パッシベーション層52の第2側面52Dがなす側面(サイドウォール)に対して、セルフアライン(自己整合)によって形成される。これにより、ドレイン絶縁体膜62を薄く形成できる。ドレイン絶縁体膜62の第1方向長さL4は、例えば、100nm未満である。ドレイン絶縁体膜62の第1方向長さL4は、ソース絶縁体膜61の第1方向長さL1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
ドレイン絶縁体膜62は、例えば、窒化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al)、AlN、および酸窒化アルミニウム(AlON)のうちいずれか1つを含む材料によって構成され得る。ドレイン絶縁体膜62は、一例では、二酸化シリコン(SiO)膜である。なお、ドレイン絶縁体膜62は、第1パッシベーション層51と同じ材料により構成されていてもよいし、第1パッシベーション層51と異なる材料により構成されていてもよい。また、ドレイン絶縁体膜62は、第2パッシベーション層52と同じ材料により構成されていてもよいし、第2パッシベーション層52と異なる材料により構成されていてもよい。
【0062】
ドレイン絶縁体膜62は、例えば、大きな電界集中が発生する部位であるドレイン電極30の第1方向の端部とパッシベーション層26との間に介在することにより、ドレイン電極30からパッシベーション層26に電子注入されることを抑制する。この場合、窒化物半導体装置10の電気的特性(例えば、ドレイン-ソース間の耐圧)の長期的な安定化を図ることができる。
【0063】
[窒化物半導体装置の平面構造]
次に、図1を参照して、窒化物半導体装置10の平面構造について説明する。図1では、パッシベーション層26、ソース電極28の図示は省略されており、第1開口部26Aおよび第2開口部26Bが破線で描かれている。
【0064】
窒化物半導体装置10は、例えば、トランジスタ動作に寄与するアクティブ領域と、トランジスタ動作に寄与しない非アクティブ領域(図示略)を有する。一例では、アクティブ領域と非アクティブ領域とは、Y方向交互に配置されている。
【0065】
窒化物半導体装置10のアクティブ領域において、ソース電極28(図2参照)と、ゲート電極24と、ドレイン電極30とは電子供給層18(図2参照)上でX方向に隣り合って配置されている。X方向に隣り合うソース電極28、ゲート電極24、およびドレイン電極30の組み合わせは、1つのHEMTセル10HCを構成する。図1の例では、アクティブ領域において、X方向に2つのHEMTセル10HCが配置されている。なお、実際にはより多くのHEMTセル10HCが各アクティブ領域に配置され得る。
【0066】
図1に示すように、フィールドプレート電極53は、平面視において、ドレイン電極30を囲む環状に形成されている。フィールドプレート電極53は、平面視において、ソース電極28とドレイン電極30との間に位置する本体部53Cと、ドレイン電極30よりもY方向の一方側および他方側に位置して、隣り合う2つの本体部53C同士を接続する接続部53Dとを有する。
【0067】
フィールドプレート電極53の接続部53Dの上に位置する第2パッシベーション層52(図示略)には、接合ビア54が形成されている。接合ビア54は、第2パッシベーション層52(図示略)を貫通してソース電極28(ソースフィールドプレート部28B)に接続されている。したがって、フィールドプレート電極53は、接合ビア54を介してソース電極28に電気的に接続されている。
【0068】
[窒化物半導体装置の製造方法]
図4図26を参照して、窒化物半導体装置10の例示的な製造方法について説明する。なお、図4図26において、図1の構成要素と同様な構成要素には同一符号が付されている。また、図4図26においては、図示を簡略化するために、図2に示される半導体基板12およびバッファ層14の図示は省略されている。
【0069】
窒化物半導体装置10の製造方法は、電子走行層16を形成する工程、電子走行層16上に電子供給層18を形成する工程を含む。窒化物半導体装置10の製造方法は、電子供給層18上にゲート層22を形成する工程、ゲート層22上にゲート電極24を形成する工程、電子供給層18上、ゲート層22上、およびゲート電極24上にパッシベーション層26を形成する工程をさらに含む。パッシベーション層26を形成する工程の一例は、電子供給層18上、ゲート層22上、およびゲート電極24上に第1パッシベーション層51を形成すること、第1パッシベーション層51上にフィールドプレート電極53を形成すること、および第1パッシベーション層51上に、フィールドプレート電極53を間に挟む第2パッシベーション層52を形成することを含む。
【0070】
図4に示されるように、半導体基板12(図示略)上に、バッファ層14(図示略)、電子走行層16、電子供給層18、および第1窒化物半導体層71が順に形成される。半導体基板12は、例えばSi基板である。バッファ層14、電子走行層16、電子供給層18、および第1窒化物半導体層71は、例えば、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いたエピタキシャル成長によって形成される。
【0071】
図示は省略するが、バッファ層14(図1参照)は、例えば多層バッファ層であってよい。多層バッファ層は、半導体基板12上に形成されたAlN層(第1バッファ層)と、AlN層上に形成されたグレーテッドAlGaN層(第2バッファ層)とを含み得る。一例では、グレーテッドAlGaN層は、AlN層に近い側から順にAl組成を75%、50%、25%とした3つのAlGaN層を積層することによって形成される。
【0072】
電子走行層16は例えばGaN層であり、電子供給層18は例えばAlGaN層である。したがって、電子供給層18は、電子走行層16よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成されている。第1窒化物半導体層71は、ゲート層22を形成するための層であり、例えば、アクセプタ型不純物としてMgを含むGaN層である。第1窒化物半導体層71は、電子供給層18上にGaNを成長させる間に、GaNにMgをドープすることにより形成される。
【0073】
次いで、第1窒化物半導体層71上に第1電極層72が形成され、第1電極層72上に第1保護層73が形成される。第1電極層72は、ゲート電極24を形成するための層であり、例えばTiN層である。第1電極層72は、例えばスパッタ法により形成される。第1保護層73は、例えばSiN層である。第1保護層73は、例えば、プラズマ化学気相堆積(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)法により形成される。
【0074】
次いで、図5に示すように、第1窒化物半導体層71の上面の一部を露出させるように、第1電極層72および第1保護層73が選択的に除去された後、第1電極層72、第1保護層73、および第1窒化物半導体層71を覆う第2保護層74が形成される。第1電極層72および第1保護層73は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより選択的に除去される。第2保護層74は、例えばSiN層である。第2保護層74は、例えば、PECVD法により形成される。
【0075】
次いで、図6に示すように、第1電極層72の上面が露出されるまで、例えば全面異方性ドライエッチングによって第2保護層74がエッチバックされる。これにより、第2保護層74の残存部分が、第1電極層72の側面、第1保護層73の側面、および第1窒化物半導体層71の上面の一部を覆うマスク74Aとして形成される。
【0076】
次いで、図7に示すように、第1保護層73およびマスク74Aを利用してエッチングを行うことにより第1窒化物半導体層71が選択的に除去される。これにより、第1窒化物半導体層71に対して、部分的に厚さの薄いドレイン部71Aが形成される。ドレイン部71Aは、ドレイン側延在部46を形成するための部分である。
【0077】
次いで、図8に示すように、第1保護層73、マスク74A、および第1窒化物半導体層71のドレイン部71Aを覆う第3保護層75が形成される。第3保護層75は、例えばSiN層である。第3保護層75は、例えば、PECVD法により形成される。
【0078】
次いで、図9に示すように、第1窒化物半導体層71のドレイン部71Aの上面が露出されるまで、例えば全面異方性ドライエッチングによって第3保護層75がエッチバックされる。これにより、第3保護層75の残存部分が、マスク74Aの側面、第1窒化物半導体層71の側面、およびドレイン部71Aの上面の一部を覆うマスク75Aとして形成される。
【0079】
次いで、図10に示すように、第1保護層73、マスク74A、およびマスク75Aを利用してエッチングを行うことにより、第1窒化物半導体層71のドレイン部71Aが選択的に除去される。これにより、ドレイン部71Aの残存部分がドレイン側延在部46として形成される。
【0080】
次いで、図11に示すように、第1保護層73、マスク74A、およびマスク75Aが剥離された後、第1電極層72、第1窒化物半導体層71、および電子供給層18を覆う第1絶縁体層76が形成される。第1絶縁体層76は、第1パッシベーション層51を形成するための層である。第1絶縁体層76は、例えばSiN層である。第1絶縁体層76は、例えば、減圧化学気相堆積(LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により形成される。
【0081】
次いで、図12に示すように、第1絶縁体層76上に第2電極層77が形成される。第2電極層77は、フィールドプレート電極53を形成するための層であり、例えばTiN層である。第2電極層77は、例えば、PECVD法により形成される。
【0082】
次いで、図13に示すように、第2電極層77が選択的に除去される。これにより、第2電極層77の残存部分がフィールドプレート電極53として形成される。第2電極層77は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより選択的に除去される。
【0083】
次いで、図14に示すように、第1絶縁体層76およびフィールドプレート電極53を覆う第2絶縁体層78が形成される。第2絶縁体層78は、第2パッシベーション層52を形成するための層である。第2絶縁体層78は、例えばSiO層である。第2絶縁体層78は、例えば、PECVD法により形成される。
【0084】
次いで、図15に示すように、第1窒化物半導体層71の上面の一部を露出させるように、第1電極層72、第1絶縁体層76、および第2絶縁体層78が選択的に除去される。第1電極層72、第1絶縁体層76、および第2絶縁体層78は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより選択的に除去される。これにより、第1電極層72の残存部分として、ゲート電極24が形成される。
【0085】
次いで、図16に示すように、第1窒化物半導体層71、第1電極層72、第1絶縁体層76、および第2絶縁体層78を覆う第3絶縁体層79が形成される。第3絶縁体層79は、例えばSiN層である。第3絶縁体層79は、例えば、PECVD法により形成される。
【0086】
次いで、図17に示すように、第1窒化物半導体層71の上面が露出されるまで、例えば全面異方性ドライエッチングによって第3絶縁体層79がエッチバックされる。これにより、第3絶縁体層79の残存部分として、第2パッシベーション構成部79A,79Bが形成される。第2パッシベーション構成部79Aは、ゲート電極24の側面、ゲート電極24の側面の上に位置する第2絶縁体層78の側面、および第1窒化物半導体層71の上面の一部を覆っている。第2パッシベーション構成部79Bは、第2絶縁体層78の上面の一部および側面の一部を覆っている。
【0087】
次いで、図18に示すように、第1保護層73および第2パッシベーション構成部79Bを利用してエッチングを行うことにより第1窒化物半導体層71が選択的に除去される。これにより、第1窒化物半導体層71に対して、部分的に厚さの薄いソース部71Bが形成される。ソース部71Bは、ソース側延在部44を形成するための部分である。
【0088】
次いで、図19に示すように、第1窒化物半導体層71のソース側延在部44、第2絶縁体層78、および第2パッシベーション構成部79A,79Bを覆う第4絶縁体層80が形成される。第4絶縁体層80は、例えばSiO層である。第4絶縁体層80は、例えば、PECVD法により形成される。
【0089】
次いで、図20に示すように、第1窒化物半導体層71のソース側延在部44の上面が露出されるまで、例えば全面異方性ドライエッチングによって第4絶縁体層80がエッチバックされる。また、第4絶縁体層80の残存部分として、第2パッシベーション構成部80A,80Bが形成される。第2パッシベーション構成部80Aは、第2パッシベーション構成部79Aの側面、並びに第1窒化物半導体層71の上面の一部および側面を覆っている。第2パッシベーション構成部80Aの側面は、パッシベーション第1側面26Cである。第2パッシベーション構成部80Bは、第2パッシベーション構成部79Aの側面の一部および第2絶縁体層78の上面の一部を覆っている。
【0090】
次いで、図21に示すように、第2絶縁体層78、および第2パッシベーション構成部79A,79B,80A,80Bを利用してエッチングを行うことにより、第1窒化物半導体層71のソース部71Bが選択的に除去される。これにより、ソース部71Bの残存部分がソース側延在部44として形成される。そして、第1窒化物半導体層71の残存部分として、ソース側延在部44およびドレイン側延在部46を有するゲート層22が形成される。また、これにより、パッシベーション層26の第1開口部26Aが、ゲート層22の端部に位置するゲート層側面22Cが露出する態様で形成される。
【0091】
次いで、図22に示すように、電子供給層18の上面の一部を露出させるように、第1絶縁体層76および第2絶縁体層78が選択的に除去される。第1絶縁体層76および第2絶縁体層78は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより選択的に除去される。これにより、パッシベーション層26およびパッシベーション層26の第2開口部26Bが形成される。
【0092】
詳述すると、第1絶縁体層76の残存部分として、第1パッシベーション層51が形成される。また、第2絶縁体層78の残存部分78A、および第2パッシベーション構成部79A,79B,80A,80Bにより第2パッシベーション層52が形成される。第2開口部26Bを形成する第1パッシベーション層51の側面、および第2パッシベーション層52の側面(第2絶縁体層78の残存部分78Aの側面)は、パッシベーション第2側面26Dである。
【0093】
窒化物半導体装置10の製造方法は、パッシベーション層26のパッシベーション第1側面26Cにソース絶縁体膜61及びドレイン絶縁体膜62を形成する工程をさらに含む。当該工程は、パッシベーション層26の上面およびパッシベーション第1側面26C、ゲート層22のソース電極28側の側面(ソース側延在部44の側面)、並びに電子供給層18の上面を覆う絶縁体層(後述する第5絶縁体層81)を形成すること、および当該絶縁体層における電子供給層18の上面を覆う部分を除去することを含む。
【0094】
図23に示すように、パッシベーション層26の上面および側面、ゲート層22のソース側延在部44の側面、並びに第1開口部26Aおよび第2開口部26Bに露出する電子供給層18の上面を覆う第5絶縁体層81が形成される。第5絶縁体層81は、例えばSiO層である。第5絶縁体層81は、例えば、PECVD法により形成される。
【0095】
次いで、図24に示すように、電子供給層18の上面が露出されるまで、例えば全面異方性ドライエッチングによって第5絶縁体層81がエッチバックされる。つまり、第5絶縁体層81における、パッシベーション層26の上面、および電子供給層18の上面に形成されている部分が除去される。これにより、パッシベーション層26のパッシベーション第1側面26Cを覆うソース絶縁体膜61が形成されるとともに、パッシベーション第2側面26Dを覆うドレイン絶縁体膜62が形成される。このように、ソース絶縁体膜61およびドレイン絶縁体膜62は、セルフアライン(自己整合)により形成できる。
【0096】
窒化物半導体装置10の製造方法は、電子供給層18に接するようにソース電極28およびドレイン電極30を形成する工程を含む。
図25に示すように、パッシベーション層26、ソース絶縁体膜61、およびドレイン絶縁体膜62の上に第3電極層82が形成される。第3電極層82は、ソース電極28およびドレイン電極30を形成するための層であり、例えばTi層である。第3電極層82は、例えば、PECVD法により形成される。
【0097】
第3電極層82は、パッシベーション層26の上面の全体にわたり形成される。第3電極層82は、パッシベーション層26の第1開口部26Aを充填するとともに、第1開口部26A内において電子供給層18の上面およびソース絶縁体膜61に接する。第3電極層82は、パッシベーション層26の第2開口部26Bを充填するとともに、第2開口部26B内において電子供給層18の上面およびドレイン絶縁体膜62に接する。また、第3電極層82を形成する際に、パッシベーション層26に対して、フィールドプレート電極53と第3電極層82とを電気的に接続する接合ビア54が形成される。
【0098】
次いで、図26に示すように、第3電極層82が選択的に除去される。これにより、第3電極層82の残存部分がソース電極28およびドレイン電極30として形成される。第3電極層82は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより選択的に除去される。以上の工程を経て、図1に示される窒化物半導体装置10が製造される。
【0099】
[作用]
次に、実施形態の窒化物半導体装置10の作用を説明する。
図3に示すように、窒化物半導体装置10は、パッシベーション層26のパッシベーション第1側面26Cおよびゲート層22のゲート層側面22C(ソース側延在部44の先端面)にソース絶縁体膜61が形成されている。ソース絶縁体膜61は、ソース電極28およびゲート層側面22Cに接するように形成されている。
【0100】
ソース絶縁体膜61が、ゲート層22とソース電極28との間に配置されることにより、ゲート層22およびソース電極28が確実に離間されるとともに、ゲート層22とソース電極28とが絶縁される。これにより、ゲート電極24、ゲート層22、およびソース電極28を電気的につなぐリークパスを遮断できるため、ゲートリーク電流の発生を抑制してゲート耐圧を向上させることができる。
【0101】
また、第1方向において、ゲート層22とソース電極28との間に位置する構成は、ソース絶縁体膜61のみであるため、ゲート層22のゲート層側面22Cにより近い位置にソース電極28を配置できる。そのため、ソース電極28とドレイン電極30との間の距離を短くしてオン抵抗の低減を図ることができる。
【0102】
[効果]
実施形態の窒化物半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)
窒化物半導体装置10は、電子走行層16と、電子走行層16上に形成された電子供給層18と、電子供給層上に形成されたゲート層22と、ゲート層22上に形成されたゲート電極24と、電子供給層18の上面に接するソース電極28およびドレイン電極30と、電子供給層18、ゲート層22、およびゲート電極24の上に形成されたパッシベーション層26と、を備える。ゲート層22は、ゲート層22、ソース電極28、およびドレイン電極30が並ぶ方向である第1方向におけるソース電極28側の端部に位置するゲート層側面22Cを含む。パッシベーション層26は、第1方向においてソース電極28に対向するパッシベーション第1側面26Cを含む。窒化物半導体装置10は、ゲート層側面22Cおよびパッシベーション第1側面26Cを覆うとともに、ゲート層22とソース電極28との間を絶縁するソース絶縁体膜61をさらに備える。
【0103】
この構成によれば、ソース絶縁体膜61によって、ゲート電極24、ゲート層22、およびソース電極28を電気的につなぐリークパスが遮断される。上記リークパスを遮断して、ゲート電極24からソース電極28へ流れるゲートリーク電流の発生を抑制することによりゲート耐圧が向上する。また、ゲート層22のゲート層側面22Cにより近い位置にソース電極28を配置できるため、ソース電極28とドレイン電極30との間の距離を短くしてオン抵抗の低減を図ることができる。したがって、ゲート耐圧を高くすることと、オン抵抗を低減することを両立できる。
【0104】
また、この構成によれば、パッシベーション層26の材料選択の自由度が向上する。例えば、ソース絶縁体膜61を構成する材料として、ソース電極28をシンター処理した場合にも、ゲート電極24およびソース電極28間を、より安定して絶縁できる材料を選択する。この場合、シンター処理した場合におけるゲート電極24およびソース電極28間の絶縁を考慮することなく、パッシベーション層26の材料を選択できる。なお、一例では、ソース絶縁体膜61は、パッシベーション層26におけるパッシベーション第1側面26Cを形成している部分よりも絶縁性の高い材料により構成されている。
【0105】
(1-2)
パッシベーション第1側面26Cは、ゲート層側面22Cの上に位置している。この構成によれば、パッシベーション第1側面26Cとゲート層側面22Cとが連続する1つの側面であるサイドウォールを形成する。そのため、上記サイドウォールに対して、セルフアライン(自己整合)によってソース絶縁体膜61を容易に形成できる。この場合、ソース絶縁体膜61の第1方向長さL3を短くすることが容易である。そのため、オン抵抗を低減できる効果が顕著に得られる。
【0106】
(1-3)
パッシベーション層26は、少なくとも電子供給層18におけるゲート層22よりもドレイン電極30側の領域の上に形成された第1パッシベーション層51と、第1パッシベーション層51の上に形成された第2パッシベーション層52とを含む。
【0107】
この構成によれば、第1パッシベーション層51と第2パッシベーション層52との間に、フィールドプレート電極53等のその他の構成を容易に配置できる。また、第1パッシベーション層51および第2パッシベーション層52を構成する材料を異ならせることにより、パッシベーション層26において、第1パッシベーション層51がなす領域と、第2パッシベーション層52がなす領域との間で、その性質を異ならせることができる。
【0108】
(1-4)
第2パッシベーション層52は、ゲート層22におけるゲート電極24よりもソース電極側の領域の上に形成されたソース側部分52Aを有する。パッシベーション第1側面26Cは、第2パッシベーション層52のソース側部分52Aにおけるソース電極28側の端部に位置する側面である。
【0109】
この構成によれば、第2パッシベーション層52のソース側部分52Aの厚さを調整することにより、パッシベーション第1側面26Cとゲート層側面22Cとがなす上記サイドウォールを高く形成することが容易である。セルフアラインによってソース絶縁体膜61を形成する場合、上記サイドウォールが高く形成されていることにより、第1方向長さL3に関して、精度よくソース絶縁体膜61を形成できる。そのため、オン抵抗を低減できる効果がさらに顕著に得られる。
【0110】
(1-5)
第2パッシベーション層52のソース側部分52Aは、第1パッシベーション層51よりも厚い。この構成によれば、上記(1-4)の効果がさらに顕著に得られる。
【0111】
(1-6)
ゲート電極24は、第1方向におけるソース電極28側の端部に位置する電極側面24Aを含む。第1パッシベーション層51は、第1方向におけるソース電極28側の端部に位置する第1側面51Aを含む。第1パッシベーション層51の第1側面51Aは、ゲート電極24の電極側面24Aの上に位置している。第2パッシベーション層52のソース側部分52Aは、ゲート電極24の電極側面24Aおよび第1パッシベーション層51の第1側面51Aに接している。
【0112】
ゲート電極24とゲート層22の接合部分におけるソース電極28側の端部は、大きな電界集中が発生しやすい部分である。上記の構成によれば、大きな電界集中が発生しやすい上記接合部分のソース電極28側の端部は、第2パッシベーション層52により覆われる。そのため、第2パッシベーション層52を、電界集中を緩和することに適した材料を形成することにより、第1パッシベーション層51を構成する材料を選択する際に、上記の部分における電界集中の緩和を考慮する必要がなくなる。したがって、第1パッシベーション層51の材料選択の自由度が向上する。なお、一例では、第2パッシベーション層52は、第1パッシベーション層51を構成する材料よりも電界集中の緩和を抑制する性質が高い材料により構成されている。
【0113】
(1-7)
第1パッシベーション層51は、SiN層であり、第2パッシベーション層52は、SiO層である。この構成によれば、第1パッシベーション層51がSiN層であることにより、電子供給層18の表面を保護してトラップ準位を低減できる効果が得られる。第2パッシベーション層52がSiO層であることにより、ソース電極28をシンター処理した場合におけるゲート電極24およびソース電極28間の絶縁を確保することが容易である。
【0114】
(1-8)
第1パッシベーション層51と第2パッシベーション層52との間に形成されるとともにソース電極28に電気的に接続されているフィールドプレート電極53をさらに備える。フィールドプレート電極53は、第1方向におけるゲート層22からドレイン電極30の間に少なくとも一部が形成されている。
【0115】
この構成によれば、ドレイン電極30に高電圧が印加されたときに、フィールドプレート電極53は、その直下の2DEG20に向けて空乏層を伸ばすことにより、ドレイン-ソース間領域における電界集中を緩和する効果をもたらす。その結果、局所的な電界集中に起因する電子供給層18およびパッシベーション層26の絶縁破壊を抑制してドレイン-ソース間耐圧を向上させることができる。
【0116】
(1-9)
ソース電極28は、第2パッシベーション層52の上に形成されるソースフィールドプレート部28Bを含む。ソースフィールドプレート部28Bのドレイン電極30側の端部28Cは、フィールドプレート電極53よりもドレイン電極30の近くに位置している。この構成によれば、ドレイン電極30に高電圧が印加されたときに、ソースフィールドプレート部28Bは、その直下の2DEG20に向けて空乏層を伸ばすことにより、ドレイン-ソース間領域における電界集中を緩和する効果をもたらす。その結果、局所的な電界集中に起因する電子供給層18およびパッシベーション層26の絶縁破壊を抑制してドレイン-ソース間耐圧を向上させることができる。
【0117】
(1-10)
ゲート層22は、電子供給層18に接するリッジ部42と、電子供給層18に接するとともに、リッジ部42から第1方向におけるソース電極28側に向かって延びる、リッジ部42よりも薄いソース側延在部44と、を含む。ゲート層22のゲート層側面22Cは、ソース側延在部44の先端面である。また、ゲート層22は、電子供給層18に接するとともに、リッジ部42から第1方向におけるドレイン電極30側に向かって延びる、リッジ部42よりも薄いドレイン側延在部46を含む。
【0118】
これらの構成によれば、ソース側延在部44およびドレイン側延在部46により、ゲート正バイアス時にリッジ部42の下端に集中する電気力線を各延在部44,46に逃がしてゲート層22内の第1方向の電位を均一化することができる。これによってゲート電極24の端部に掛かる電界強度を低減することができるため、高ゲート電圧印加時のゲートリーク電流の発生を抑制してゲート耐圧を向上させることができる。
【0119】
(1-11)
ソース絶縁体膜61の第1方向長さL3は、ソース側延在部44の第1方向長さL1よりも短い。また、ソース絶縁体膜の第1方向長さは、100nm未満である。これらの構成によれば、ソース絶縁体膜61の第1方向長さL3が短くなることにより、オン抵抗を低減できる効果が顕著に得られる。
【0120】
(1-12)
パッシベーション層26は、第1方向においてドレイン電極30に対向するパッシベーション第2側面26Dを含む。窒化物半導体装置10は、パッシベーション第2側面26Dを覆うとともに、パッシベーション第2側面26Dとドレイン電極30との間を絶縁するドレイン絶縁体膜をさらに備える。
【0121】
この構成によれば、大きな電界集中が発生する部位であるドレイン電極30の第1方向の端部とパッシベーション層26との間に介在することにより、ドレイン電極30からパッシベーション層26に電子注入されることを抑制できる。これにより、窒化物半導体装置10の電気的特性(例えば、ドレイン-ソース間の耐圧)の長期的な安定化を図ることができる。
【0122】
<変更例>
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0123】
・ゲート層22の形状を変更してもよい。例えば、ゲート層22は、ソース側延在部44およびドレイン側延在部46の一方が両略されていてもよい。また、ゲート層22は、ソース側延在部44およびドレイン側延在部46が省略された形状、例えば、リッジ部42のみにより形成されるゲート層22であってもよい。
【0124】
・上記実施形態において、フィールドプレート電極53が省略されていてもよい。この場合、パッシベーション層26は、1つの層により構成されていてもよい。
・上記実施形態において、ソース電極28は、ソースフィールドプレート部28Bが省略されていてもよい。
【0125】
・上記実施形態において、アクティブ領域内に形成されるHEMTの数は特に限定されない。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」との双方の意味を含む。したがって、「構成Aが構成B上に形成される」という表現は、或る実施形態では構成Aが構成Bに接触して構成B上に直接配置され得るが、他の実施形態では構成Aが構成Bに接触することなく構成Bの上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、構成Aと構成Bとの間に他の構成が形成される構造を排除しない。
【0126】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0127】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0128】
[付記1]
窒化物半導体によって構成された電子走行層(16)と、
前記電子走行層(16)上に形成され、前記電子走行層(16)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層(18)と、
前記電子供給層(18)上に形成され、アクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層(22)と、
前記ゲート層(22)上に形成されたゲート電極(24)と、
前記ゲート層(22)を挟むように配置され、前記電子供給層(18)の上面(18A)に接するソース電極(28)およびドレイン電極(30)と、
前記電子供給層(18)、前記ゲート層(22)、および前記ゲート電極(24)の上に形成されたパッシベーション層(26)と、を備え、
前記電子供給層(18)の上面(18A)において、前記ゲート層(22)、前記ソース電極(28)、および前記ドレイン電極(30)が並ぶ方向を第1方向としたとき、
前記ゲート層(22)は、前記第1方向における前記ソース電極側の端部に位置するゲート層側面(22C)を含み、
前記パッシベーション層は、前記第1方向において前記ソース電極(28)に対向するパッシベーション第1側面(26C)を含み、
前記ゲート層側面(22C)および前記パッシベーション第1側面(26C)を覆うとともに、前記ゲート層(22)と前記ソース電極(28)との間を絶縁するソース絶縁体膜(61)をさらに備える、窒化物半導体装置(10)。
【0129】
[付記2]
前記パッシベーション第1側面(26C)は、前記ゲート層側面(22C)の上に位置している、付記1に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0130】
[付記3]
前記パッシベーション層(26)は、
少なくとも前記電子供給層(18)における前記ゲート層(22)よりも前記ドレイン電極(30)側の領域の上に形成された第1パッシベーション層(51)と、
前記第1パッシベーション層(51)の上に形成された第2パッシベーション層(52)とを含む、付記1または付記2に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0131】
[付記4]
前記第2パッシベーション層(52)は、前記ゲート層(22)における前記ゲート電極(30)よりも前記ソース電極(28)側の領域の上に形成されたソース側部分(52A)を有し、
前記パッシベーション第1側面(26C)は、前記第2パッシベーション層(52)の前記ソース側部分(52A)における前記ソース電極(28)側の端部に位置する側面である、付記3に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0132】
[付記5]
前記第2パッシベーション層(52)の前記ソース側部分(52A)は、前記第1パッシベーション層(51)よりも厚い、付記4に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0133】
[付記6]
前記ゲート電極(24)は、前記第1方向における前記ソース電極(28)側の端部に位置する電極側面(24A)を含み、
前記第1パッシベーション層(51)は、前記第1方向における前記ソース電極(28)側の端部に位置する第1側面(51A)を含み、
前記第1パッシベーション層(51)の前記第1側面(51A)は、前記ゲート電極の前記電極側面(24A)の上に位置しており、
前記第2パッシベーション層(52)の前記ソース側部分(52A)は、前記ゲート電極(24)の前記電極側面(24A)および前記第1パッシベーション層(51)の前記第1側面(51A)に接している、付記4または付記5に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0134】
[付記7]
前記第1パッシベーション層(51)および前記第2パッシベーション層(52)は、異なる材料により構成されている、付記3~6のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0135】
[付記8]
前記第1パッシベーション層(51)は、SiN層であり、
前記第2パッシベーション層(52)は、SiO2層である、付記7に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0136】
[付記9]
前記第1パッシベーション層(51)と前記第2パッシベーション層(52)との間に形成されるとともに前記ソース電極(28)に電気的に接続されているフィールドプレート電極(53)をさらに備え、
前記フィールドプレート電極(53)は、前記第1方向における前記ゲート層(22)から前記ドレイン電極(30)の間に少なくとも一部が形成されている、付記3~8のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0137】
[付記10]
前記ソース電極(28)は、前記第2パッシベーション層(52)の上に形成されるソースフィールドプレート部(28B)を含み、
前記ソースフィールドプレート部(28B)の前記ドレイン電極(30)側の端部(28C)は、前記フィールドプレート電極(53)よりも前記ドレイン電極(30)の近くに位置している、付記9に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0138】
[付記11]
前記ゲート層(22)は、
前記電子供給層(18)に接するリッジ部(42)と、
前記電子供給層(18)に接するとともに、前記リッジ部(42)から前記第1方向における前記ソース電極(28)側に向かって延びる、前記リッジ部(42)よりも薄いソース側延在部(44)と、を含み、
前記ゲート層(22)の前記ゲート層側面(22C)は、前記ソース側延在部(44)の先端面である、付記1~10のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0139】
[付記12]
前記ソース絶縁体膜(61)の第1方向長さは、前記ソース側延在部(44)の前記第1方向長さよりも短い、付記11に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0140】
[付記13]
前記ソース絶縁体膜(61)の前記第1方向長さは、100nm未満である、付記12に記載の窒化物半導体装置(10)。
【0141】
[付記14]
前記ゲート層(22)は、前記電子供給層(18)に接するとともに、前記リッジ部(42)から前記第1方向における前記ドレイン電極(30)側に向かって延びる、前記リッジ部(42)よりも薄いドレイン側延在部(46)を含む、付記11~13のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0142】
[付記15]
前記ソース絶縁体膜(61)は、前記パッシベーション層(26)における前記パッシベーション第1側面(26C)を形成している部分を構成する材料と異なる材料により構成されている、付記1~14のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0143】
[付記16]
前記パッシベーション層(26)は、前記第1方向において前記ドレイン電極(30)に対向するパッシベーション第2側面(26D)を含み、
前記パッシベーション第2側面(26D)を覆うとともに、前記パッシベーション第2側面(26D)と前記ドレイン電極(30)との間を絶縁するドレイン絶縁体膜(61)をさらに備える、付記1~15のいずれか1つに記載の窒化物半導体装置(10)。
【0144】
[付記17]
窒化物半導体によって構成された電子走行層(16)を形成すること、
前記電子走行層(16)上に前記電子走行層(16)よりも大きなバンドギャップを有する窒化物半導体によって構成された電子供給層(18)を形成すること、
前記電子供給層(18)上にアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体によって構成されたゲート層(22)を形成すること、
前記ゲート層(22)上にゲート電極(24)を形成すること、
前記電子供給層(18)、前記ゲート層(22)、および前記ゲート電極(24)を覆うとともに、第1開口部(24A)および第2開口部(24B)を有するパッシベーション層(26)を形成すること、
前記第1開口部(24A)を介して前記電子供給層(18)に接しているソース電極(28)を形成すること、
前記第2開口部(24B)を介して前記電子供給層(18)に接しているドレイン電極(30)を形成すること、
前記ゲート層(22)と前記ソース電極(28)との間を絶縁するソース絶縁体膜(61)を形成すること、を含み、
前記パッシベーション層(26)は、前記ゲート層(22)における前記第1開口部(24A)側の端部に位置するゲート層側面(22C)が前記第1開口部(24A)に露出する態様で形成され、
前記ソース絶縁体膜(61)は、前記ソース電極(28)を形成する前に、前記パッシベーション層(26)の上面および側面、前記ゲート層(22)の前記ゲート層側面(22C)、並びに前記第1開口部(24A)に露出する電子供給層(18)の上面を覆う絶縁体層(81)を形成した後、前記絶縁体層(81)における、前記パッシベーション層(26)の上面、および電子供給層(18)の上面に形成された部分を除去することにより形成される、窒化物半導体装置(10)の製造方法。
【符号の説明】
【0145】
L1~L4…第1方向長さ
T1~T3…厚さ
10…窒化物半導体装置
10HC…HEMTセル
12…半導体基板
14…バッファ層
16…電子走行層
18…電子供給層
18A…上面
20…二次元電子ガス
22…ゲート層
22A…上面
22B…下面
22C…ゲート層側面
24…ゲート電極
24A…電極側面
26…パッシベーション層
26A…第1開口部
26B…第2開口部
26C…パッシベーション第1側面
26D…パッシベーション第2側面
28…ソース電極
28A…ソースコンタクト部
28B…ソースフィールドプレート部
28C…端部
30…ドレイン電極
42…リッジ部
43…延在部
44…ソース側延在部
46…ドレイン側延在部
51…第1パッシベーション層
51A…第1側面
51B…第2側面
52…第2パッシベーション層
52A…ソース側部分
52B…ドレイン側部分
52C…第1側面
52D…第2側面
53…フィールドプレート電極
53A…第1端部
53B…第2端部
53C…本体部
53D…接続部
54…接合ビア
61…ソース絶縁体膜
62…ドレイン絶縁体膜
71…第1窒化物半導体層
71A…ドレイン部
71B…ソース部
72…第1電極層
73…第1保護層
74…第2保護層
74A,75A…マスク
75…第3保護層
76…第1絶縁体層
77…第2電極層
78…第2絶縁体層
78A…残存部分
79…第3絶縁体層
79A,79B,80A,80B…第2パッシベーション構成部
80…第4絶縁体層
81…第5絶縁体層
82…第3電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26