IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
  • 特開-画像形成装置 図5
  • 特開-画像形成装置 図6
  • 特開-画像形成装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116750
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240821BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240821BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J29/38 104
H04N1/00 885
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022546
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】加耒 佑一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061HN04
2C061HN15
2C061HT03
2C061HT07
2C061HT08
2H270KA60
2H270LA53
2H270LA58
2H270LA63
2H270MA34
2H270MA35
2H270MB02
2H270MC70
2H270MD12
2H270MD22
2H270MD25
2H270MG02
2H270MG03
2H270MH01
2H270MH02
2H270MH19
2H270NA05
2H270PA56
2H270ZD05
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB33
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スリープ状態から復帰した際のウォームアップ動作を適切なタイミングで実施することにより、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】スリープ状態から待機状態に復帰した後、操作部が印刷実行指令以外の操作を受け付けたかを判定し、操作部が印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、画像形成部にモーターの駆動を伴わない予め定められた第1準備動作を実行させ、その後、操作部が印刷実行指令の操作を受け付けた場合、画像形成部にモーターの駆動を伴う予め定められた第2準備動作を実行させた後、画像の形成を開始させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人感センサと、
ユーザーからの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた印刷実行指令に基づき、モーターを駆動して画像の形成を行う画像形成部と、
前記人感センサ、前記操作部および前記画像形成部を制御する制御部と、
前記画像形成部および前記制御部に供給される電源を制御し、前記操作部が予め定められた待機時間、操作を受け付けなかった場合に予め定められたスリープ状態に移行させ、前記スリープ状態に移行後、前記人感センサの検知があった場合に前記スリープ状態から予め定められた待機状態に復帰させる電源制御部とを備え、
前記制御部は、前記スリープ状態から前記待機状態に復帰した後、前記操作部が前記印刷実行指令以外の操作を受け付けたかを判定し、前記操作部が前記印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、前記画像形成部に前記モーターの駆動を伴わない予め定められた第1準備動作を実行させ、その後、前記操作部が前記印刷実行指令の操作を受け付けた場合、前記画像形成部に前記モーターの駆動を伴う予め定められた第2準備動作を実行させた後、画像の形成を開始させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像形成部に前記第1準備動作を実行させた後、前記操作部が前記印刷実行指令の操作を受け付けた場合において、前記第2準備動作が不要であると判定した場合、前記画像形成部に前記第2準備動作を実行させずに画像の形成を開始させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1準備動作の完了前に前記操作部が前記印刷実行指令の操作を受け付けた場合、前記第1準備動作の実行中であっても、前記第2準備動作に移行可能な処理があれば、移行可能になり次第、前記画像形成部に前記第2準備動作の実行を開始させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1準備動作は、前記画像形成部の各構成要素の装着状態の検知処理およびエラー状態の検知処理を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2準備動作における前記モーターの回転方向は、前記画像の形成時の前記モーターの回転方向と同じか、または逆の方向である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2準備動作における前記モーターの回転速度は、前記画像の形成時の前記モーターの回転速度と同じか、または異なる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
感光体と、
前記感光体に接触して帯電する帯電部と、
前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、
前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、
前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部とを備え、
前記感光体、前記転写部および前記定着部は、1または複数の前記モーターによって駆動される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着部は、前記モーターによって駆動される回転部材と、前記回転部材を加熱するヒーターとを備え、
前記第1準備動作は、前記回転部材を静止したまま、前記回転部材を予め定められた目標温度まで加熱する処理を含み、
前記第2準備動作は、前記回転部材を前記目標温度に加熱した状態を保ったまま、前記回転部材を前記モーターに駆動させる処理を含む請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、画像形成装置に関し、より詳細には、電力消費を抑える節電モード移行機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置が一定時間使用されない場合にスリープ状態に移行し、人感センサにより装置の周辺でユーザーを検知するなど、所定のタイミングで装置を起動することによって電力消費を抑える節電モード移行機能を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
このような節電モード移行機能を備えた画像形成装置は、スリープ状態から待機状態に移行する際に所定の準備動作(ウォームアップ動作)を実施する。
【0004】
一方、画像形成装置には、ジョブの種類に応じて、所定の通常のモーター速度で画像形成を行う通常モードと、静音のために、通常のモーター速度よりも静かに画像形成を行う静音モードの2つの画像形成モードを切り替えて動作することができるものも知られている。
【0005】
しかしながら、人が装置の近くを通過するたびに、人感センサの検知によりスリープ状態から復帰し、モーターを駆動させてウォームアップ動作を実施させると、その都度、動作音が発生するため、装置の近くにいるユーザーが不快に思うことがあった。
【0006】
このような問題に関連して、従来、人感センサが検知してもモーターを駆動させることなく、画面に表示されるコピー機能を選択するための指示部の操作に従って、前記モーターを駆動させ、前記コピー機能を選択するための指示部の操作後、前記コピー機能を実行するためのコピー実行指示部の操作に従って、コピーを実行させる制御手段とを有することにより、省電力状態から復帰する場合にプリンタ部等の準備動作によって無駄に電力が消費されることおよび騒音が発生することを防止することができる画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第7027604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ユーザーが画像形成装置の操作パネルで設定値を変更したいだけの場合もあり、このような場合にもモーターを駆動させてウォームアップ動作を実施させると、無駄に電力が消費され、騒音が発生する。
【0009】
この開示は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、スリープ状態から復帰した際のウォームアップ動作を適切なタイミングで実施することにより、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示による画像形成装置は、人感センサと、ユーザーからの操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた印刷実行指令に基づき、モーターを駆動して画像の形成を行う画像形成部と、前記人感センサ、前記操作部および前記画像形成部を制御する制御部と、前記画像形成部および前記制御部に供給される電源を制御し、前記操作部が予め定められた待機時間、操作を受け付けなかった場合に予め定められたスリープ状態に移行させ、前記スリープ状態に移行後、前記人感センサの検知があった場合に前記スリープ状態から予め定められた待機状態に復帰させる電源制御部とを備え、前記制御部は、前記スリープ状態から前記待機状態に復帰した後、前記操作部が前記印刷実行指令以外の操作を受け付けたかを判定し、前記操作部が前記印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、前記画像形成部に前記モーターの駆動を伴わない予め定められた第1準備動作を実行させ、その後、前記操作部が前記印刷実行指令の操作を受け付けた場合、前記画像形成部に前記モーターの駆動を伴う予め定められた第2準備動作を実行させた後、画像の形成を開始させることを特徴とする。
【0011】
この開示において、「画像形成装置」は、トナーによる像形成に電子写真方式を用いるプリンタなどの複写(コピー)機能を有する複写機や複合機、または複写以外の機能をも含むMFP(Multifunctional Peripheral:多機能周辺装置)など、画像を形成して出力する装置である。
【発明の効果】
【0012】
この開示によれば、スリープ状態から復帰した際のウォームアップ動作をモーターの駆動を伴わない第1準備動作とモーターの駆動を伴う第2準備動作に分けて適切なタイミングで実施することにより、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0013】
さらに、この開示の好ましい態様について説明する。
【0014】
この開示による画像形成装置において、前記制御部は、前記画像形成部に前記第1準備動作を実行させた後、前記操作部が前記印刷実行指令の操作を受け付けた場合において、前記第2準備動作が不要であると判定した場合、前記画像形成部に前記第2準備動作を実行させずに画像の形成を開始させるものであってもよい。
【0015】
このようにすれば、前回の画像形成後すぐに印刷実行指令を受け付けた場合は、第2準備動作を実行せずに画像の形成を開始するため、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0016】
この開示による画像形成装置において、前記制御部は、前記第1準備動作の完了前に前記操作部が前記印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、前記第1準備動作の実行中であっても、前記第2準備動作に移行可能な処理があれば、移行可能になり次第、前記画像形成部に前記第2準備動作の実行を開始させるものであってもよい。
【0017】
このようにすれば、第1準備動作の完了前に印刷実行指令の操作を受け付けた場合、第1準備動作の実行中であっても、第2準備動作に移行可能な処理があれば、移行可能になり次第、第2準備動作の実行を開始するため、従来よりもウォームアップ動作の実施において、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0018】
この開示による画像形成装置において、前記第1準備動作は、前記画像形成部の各構成要素の装着状態の検知処理およびエラー状態の検知処理を含むものであってもよい。
【0019】
このようにすれば、スリープ状態から復帰した際に印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、第1準備動作として、前記画像形成部の各構成要素の装着状態の検知処理およびエラー状態の検知処理を行うことによって、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0020】
この開示による画像形成装置において、前記第2準備動作における前記モーターの回転方向は、前記画像の形成時の前記モーターの回転方向と同じか、または逆の方向であるものであってもよい。
【0021】
このようにすれば、第2準備動作におけるモーターの回転方向が画像の形成時のモーターの回転方向と逆の方向の場合、画像形成の実行前に感光体ドラムのブレードの圧を減らすことができるため、従来よりもユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0022】
この開示による画像形成装置において、前記第2準備動作における前記モーターの回転速度は、前記画像の形成時の前記モーターの回転速度と同じか、または異なるものであってもよい。
【0023】
このようにすれば、画質調整など、第2準備動作の処理に応じた適切な速度でモーターを回転させることで、従来よりもユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0024】
この開示による画像形成装置において、前記画像形成部は、感光体と、前記感光体に接触して帯電する帯電部と、前記感光体に静電潜像を形成する露光部と、前記感光体にトナーを供給して前記静電潜像に対応するトナー像を形成する現像部と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記トナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着部とを備え、前記感光体、前記転写部および前記定着部は、1または複数の前記モーターによって駆動されるものであってもよい。
【0025】
このようにすれば、感光体、転写部および定着部が1つのモーターのみで駆動される場合や、複数のモーターでそれぞれ駆動される場合のいずれにおいても、スリープ状態から復帰した際のウォームアップ動作を適切なタイミングで実施することにより、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【0026】
この開示による画像形成装置において、前記定着部は、前記モーターによって駆動される回転部材と、前記回転部材を加熱するヒーターとを備え、前記第1準備動作は、前記回転部材を静止したまま、前記回転部材を予め定められた目標温度まで加熱する処理を含み、前記第2準備動作は、前記回転部材を前記目標温度に加熱した状態を保ったまま、前記回転部材を前記モーターに駆動させる処理を含むものであってもよい。
【0027】
このようにすれば、スリープ状態から復帰した際に印刷実行指令以外の操作を受け付けた場合、第1準備動作として、定着部の回転部材を静止したまま所定の目標温度まで加熱する処理を行うことによって、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高い画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この開示のデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示すデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
図3】この開示のデジタル複合機のスリープ状態から復帰後に印刷実行指令を受け付けた場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図4図1に示すデジタル複合機のコピー画面の一例を示す説明図である。
図5】この開示のデジタル複合機の画像形成部のモーターの駆動のタイミングを示す説明図である。
図6】この開示の実施形態2のデジタル複合機のスリープ状態から復帰して印刷処理の開始する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】この開示の実施形態3のデジタル複合機のスリープ状態から復帰して印刷処理の開始する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いてこの開示をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この開示を限定するものと解されるべきではない。
【0030】
〔実施形態1〕
<デジタル複合機1の構成>
以下、図1および図2に基づき、この開示の実施形態1に係る画像形成装置の一例としてのデジタル複合機1の構成について説明する。
【0031】
図1は、この開示のデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
図2は、図1に示すデジタル複合機の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
デジタル複合機1は、複写機能やスキャナ機能、ファクシミリ機能を有し、原稿から読み取った画像データをデジタル処理して出力する装置である。
【0033】
図2に示すように、デジタル複合機1は、制御部10、画像読取部11、画像形成部12、記憶部13、画像処理部14、通信部15、計時部16、操作パネル17、電源18、電源制御部19、モード設定部20および人感センサ21を備える。
【0034】
以下、デジタル複合機1の各構成要素を説明する。
【0035】
制御部10は、デジタル複合機1を統合的に制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read only memory)、各種のインターフェース回路等からなる。
【0036】
制御部10は、デジタル複合機1全体の動作をコントロールするために、各センサの検知、モーター、クラッチ、操作パネル17等、あらゆる負荷の監視・制御を行う。
【0037】
画像読取部11は、原稿セット台に置かれた原稿または用紙トレイから搬送されてきた原稿を検知して読み取り、画像データを生成する部分である。
【0038】
画像形成部12は、画像処理部14によって生成された画像データを記録媒体上に印刷出力する部分である。
【0039】
画像形成部12は、画像形成部12を駆動する1または複数のモーターを有し、ジョブの種類に応じて、所定の通常のモーター速度で画像形成を行う通常モードと、静音のために、例えば通常のモーター速度よりも遅いモーター速度で画像形成を行う静音モードや、動作音の回数を減らす静音モードなど、通常よりも動作音を抑え、静かに画像形成を行う静音モードとの2つの画像形成モードを切り替えて動作することができる。
【0040】
また、画像形成部12は、各構成要素の初期位置のチェックや動作可能か否かのチェックや調整動作を行うために、スリープ状態から復帰した際に所定のウォームアップ動作を実施する。
【0041】
記憶部13は、デジタル複合機1の各種機能を実現するために必要な情報や、制御プログラムなどを記憶する素子や記憶媒体である。例えば、RAMやROM等の半導体素子、ハードディスク、フラッシュ記憶部、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体が用いられる。
【0042】
なお、データを保持する領域がハードディスクドライブで、プログラムを保持する領域がフラッシュ記憶部で構成するといったように、プログラムとデータが異なる装置に保持されてもよい。
【0043】
画像処理部14は、画像読取部11によって読み取られた原稿の画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する部分である。
【0044】
通信部15は、ネットワーク等を介して、コンピュータや携帯情報端末、外部の情報処理装置やファクシミリ装置等との通信をおこない、メールやFAXなどの種々の情報をこれら外部の通信装置と送受信する部分である。
【0045】
計時部16は、内蔵時計やネットワークを通じて時刻を取得し、時間を計測してカウントする部分である。
【0046】
操作パネル17は、液晶パネル等から構成された表示パネルと、表示パネルに重ねて配置され、指がタッチされた位置を検出する静電容量方式等のタッチパネルとから構成され、表示部171および操作部172を備える。
【0047】
表示部171は、各種情報の表示を行い、タッチパネル機能によりユーザーからの指令を受け付ける部分である。
表示部171は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどで構成され、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアが処理状態など電子的なデータを表示するためのモニタやラインディスプレイなどの表示装置である。
制御部10は、表示部171を通じて、デジタル複合機1の動作および状態の表示を行う。
【0048】
操作部172は、デジタル複合機1を操作するためのインターフェースであり、ユーザーからの指令を受け付ける部分である。
【0049】
電源18は、デジタル複合機1の各部に電力を供給する。
電源18としては、例えば、AT電源、ATX電源、SFX電源などが用いられる。
【0050】
電源制御部19は、制御部10からの指令に基づき、電源18のON・OFFを制御する部分である。
電源制御部19は、予め定められたスリープ状態移行条件に基づき、デジタル複合機1をスリープ状態に移行させる。
また、電源制御部19は、人感センサ21の検知があった場合など、予め定められた復帰条件に基づき、デジタル複合機1をスリープ状態から待機(Ready)状態に復帰させる。
【0051】
モード設定部20は、各種ジョブについて通常モードで実行すべきか、または静音モードで実行すべきかの設定を受け付ける部分である。
【0052】
人感センサ21は、対象物が予め定められた範囲(例えば、0m~5m)内に存在する場合に人の存在を検知するセンサである。
【0053】
<デジタル複合機1のスリープ状態からの復帰後の印刷処理>
次に、図3および図4に基づき、デジタル複合機1のスリープ状態から復帰後に印刷実行指令を受け付けた場合の処理について説明する。
【0054】
図3は、この開示のデジタル複合機1のスリープ状態から復帰後に印刷実行指令を受け付けた場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図3では、デジタル複合機1がスリープ状態に移行中の場合を想定する。
【0055】
図3のステップS1において、制御部10は、スリープ状態を継続中に(ステップS1)、ステップS2において人感センサ21の検知があったか否かを判定する(ステップS2)。
【0056】
人感センサ21の検知がなかった場合(ステップS2の判定がNoの場合)、制御部10は、処理をステップS1に戻して、スリープ状態を継続させる。
【0057】
一方、人感センサ21の検知があった場合(ステップS2の判定がYesの場合)、ステップS3において、制御部10は、装置を起動して静音モードで待機させる(ステップS3)。
【0058】
次にステップS4において、制御部10は、印刷の実行指令以外の操作があったか否かを判定する(ステップS4)。
【0059】
ここで、「印刷の実行指令以外の操作があった」とは、例えば、ユーザーがタッチパネルに指を触れた場合や、ジョブの確認・設定操作を行った場合、デジタル複合機1の図示しないUSB端子にUSBメモリを挿入した場合など、印刷の実行指令以外の予め定められた操作があったことを意味する。
【0060】
印刷の実行指令以外の操作があった場合(ステップS4の判定がYesの場合)、ステップS5において、制御部10は、ウォームアップ動作として、画像形成部12に予め定められた第1準備動作を実行させる(ステップS5)。
【0061】
ここで、第1準備動作は、画像形成部12の感光体ドラムや定着部などのモーター駆動を伴わない動作である。
【0062】
第1準備動作として、例えば、以下のものがあげられる。
<第1準備動作の例>
・定着部の回転部材(定着ローラーや定着ベルト)を静止したまま、所定の目標温度まで加熱する
・トナーカートリッジ、現像部、定着部、感光体ドラムおよび廃トナーボックスなどの装着状態の検知
・トナーカートリッジおよび現像部などの非互換検知
・シェーディング、ポリゴン駆動および強制点灯などの露光装置の初期準備動作
・帯電部のクリーナー動作やPTCクリーナー動作
【0063】
第1準備動作が完了したら、続くステップS6において、制御部10は、画像形成部12をReady状態に移行させる(ステップS6)。
【0064】
次に、ステップS7において、制御部10は、操作部172が印刷の実行指令を受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。
【0065】
図4は、図1に示すデジタル複合機1のコピー画面の一例を示す説明図である。
図4に示すように、ユーザーがコピーの「開始」ボタンを押下した場合、操作部172が印刷の実行指令を受け付けたものとする。
【0066】
操作部172が印刷の実行指令を受け付けた場合(ステップS7の判定がYesの場合)、ステップS8において、制御部10は、画像形成部12に予め定められた第2準備動作を実行させる(ステップS8)。
【0067】
ここで、第2準備動作は、画像形成部12の感光体ドラムや定着部などのモーター駆動を伴うウォームアップ処理である。
【0068】
また、第2準備動作として、例えば、以下のものがあげられる。
<第2準備動作の例>
・定着部の回転部材を駆動しながら、所定の目標温度まで加熱する
・定着部を圧接する
・感光体ドラムの空転(長期放置後の帯電性/現像性改善のための感光体ドラムの駆動)
・1次転写部の昇降動作および2次転写部の昇降動作
・トナーカートリッジのトナー補給動作
・トナーカートリッジのトナーベタ吐き動作(長期放置後の現像性改善のための現像部内トナーの吐き出し動作)
・転写部のクリーニング動作
・帯電ローラーの離間確認
・プロセスコントロール(画質調整)動作
【0069】
第2準備動作が完了したら、続くステップS9において、制御部10は、画像形成部12に印刷処理を開始させる(ステップS9)。
そして、印刷処理が完了したら、制御部10は、処理を終了する。
【0070】
図5は、この開示のデジタル複合機1の画像形成部12のモーターの駆動のタイミングを示す説明図である。この図でのモーターは感光体ドラムおよび定着部を共通で駆動させるモーターを想定している。
【0071】
図5において、操作部172が印刷実行指令を受け付けて印刷中の状態では、感光体ドラムおよび定着部を駆動させるモーターが駆動する。
【0072】
そして、ユーザーが最終操作を終えると、デジタル複合機1はReady状態に入る。
その後、予め定められた時間が経過すると、デジタル複合機1は、モーターの導電をOFFにして、スリープ状態に移行する。
【0073】
次に、人感センサがユーザーを検知すると、デジタル複合機1は装置を起動して静音モードで待機する。
続いて、操作パネル17へのタッチが検出されると、デジタル複合機1は第1準備動作を行った後、Ready状態に移行する。
【0074】
その後、印刷実行指令を受け付けると、デジタル複合機1は、第2準備動作を行い、印刷処理を実行した後、再びReady状態に移行する。
【0075】
なお、最終操作から再び印刷実行指令を受け付けるまでの間、感光体ドラムおよび定着部を駆動させるモーターを停止する。
印刷実行指令を受け付けたときに、感光体ドラムおよび定着部を駆動させるモーターが駆動する。
そして、印刷処理が終わった後、再び感光体ドラムおよび定着部を駆動させるモーターを停止する。
【0076】
(変形例)
なお、人感センサ21の検知の代わりに、給紙トレイの用紙の補充があった場合やトナーカートリッジの交換があった場合、リモートアクセスがあった場合に、スリープ状態からの復帰が生じた場合も、上と同様に第1準備動作および第2準備動作を実行するようにしてもよい。
【0077】
このようにして、スリープ状態から復帰した際のウォームアップ動作を適切なタイミングで実施することにより、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高いデジタル複合機1を実現できる。
【0078】
〔実施形態2〕
<この開示の実施形態2のデジタル複合機1のスリープ状態からの復帰後の印刷処理>
次に、図6に基づき、この開示の実施形態2のデジタル複合機1のスリープ状態から復帰後に印刷実行指令を受け付けた場合の処理について説明する。
【0079】
実施形態2のデジタル複合機1の構成は、実施形態1のデジタル複合機1の構成(図2)と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
図6は、この開示の実施形態2のデジタル複合機1のスリープ状態から復帰して印刷処理の開始する処理の一例を示すフローチャートである。
【0081】
図6のステップS11~S17、S19およびS20の処理は、図3(実施形態1)のステップS1~S9の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0082】
ここでは、実施形態1と異なる図6のステップS18の処理について説明する。
【0083】
図6のステップS17において、操作部172が印刷の実行指令を受け付けた場合(ステップS17の判定がYesの場合)、ステップS18において、制御部10は、モーターの駆動が不要か否かを判定する(ステップS18)。
【0084】
ここで、「モーターの駆動が不要」な場合とは、例えば、前回の印刷処理を完了した時点からすぐに印刷の実行指令を受け付け、定着部の温度が目標温度からそれほど下がっていない場合や感光体ドラムの駆動を伴う画質調整動作が不要な場合などがある。
【0085】
モーターの駆動が不要な場合(ステップS18の判定がYesの場合)、ステップS20において、制御部10は、画像形成部12に印刷処理を開始させる(ステップS20)。
【0086】
一方、モーターの駆動が必要な場合(ステップS18の判定がNoの場合)、ステップS19において、制御部10は、画像形成部12に予め定められた第2準備動作を実行させる(ステップS19)。
【0087】
ここで、「モーターの駆動が必要」な場合とは、例えば、前回の印刷処理を完了した時点から印刷の実行指令を受け付けるまでの時間が長く、定着部の温度が目標温度から下がっており、定着部の再加熱と駆動が必要な場合や画質調整により感光体ドラムの駆動が必要な場合などがある。
【0088】
このようにすれば、前回の画像形成後すぐに印刷実行指令を受け付けた場合は、第2準備動作を実行せずに画像の形成を開始するため、従来よりもウォームアップ動作の実施に起因する電力消費や騒音の発生を減らし、ユーザーの利便性が高いデジタル複合機1を実現できる。
【0089】
〔実施形態3〕
<この開示の実施形態3のデジタル複合機1のスリープ状態からの復帰後の印刷処理>
次に、図7に基づき、この開示の実施形態3のデジタル複合機1のスリープ状態から復帰後に印刷実行指令を受け付けた場合の処理について説明する。
【0090】
実施形態3のデジタル複合機1の構成は、実施形態1のデジタル複合機1の構成(図2)と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
実施形態3において、画像形成部12において、定着部と感光体ドラムがそれぞれ別々のモーターで駆動される場合を想定する。
【0092】
図7は、この開示の実施形態3のデジタル複合機1のスリープ状態から復帰して印刷処理の開始する処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
図7のステップS21~S25、S27およびS28の処理は、図3(実施形態1)のステップS1~S5、S8およびS9の処理にそれぞれ対応するため、説明を省略する。
【0094】
ここでは、実施形態1と異なる図7のステップS26の処理について説明する。
【0095】
図7のステップS25において、画像形成部12に予め定められた第1準備動作を実行させた後(ステップS25)、ステップS26において、制御部10は、第1準備動作の完了前に操作部172が印刷の実行指令を受け付けたか否かを判定する(ステップS26)。
【0096】
第1準備動作の完了前に操作部172が印刷の実行指令を受け付けた場合(ステップS26の判定がYesの場合)、ステップS27において、制御部10は、第1準備動作中であっても第2準備動作に移行可能な処理があれば、移行可能になり次第、画像形成部12に第2準備動作の実行を開始させる(ステップS27)。
【0097】
ここで、定着部と感光体ドラムがそれぞれ別々のモーターで駆動される場合、定着部と感光体ドラムの第1準備動作の完了のタイミングは状況に応じて異なる場合がある。
【0098】
例えば、定着部が十分に温まっている場合、定着部の第1準備動作が、感光体ドラムの第1準備動作よりも早く完了する可能性が高い。
【0099】
この場合、感光体ドラムの第1準備動作の完了を待たずに、定着部の第2準備動作の実行を開始するようにしてもよい。
【0100】
一方、定着部が通常よりも冷えている場合、定着部の第1準備動作が、感光体ドラムの第1準備動作よりも遅く完了する可能性が高い。
【0101】
この場合、定着部の第1準備動作の完了を待たずに、感光体ドラムの第2準備動作の実行を開始するようにしてもよい。
【0102】
また、同じ構成要素の処理であっても、次の(A)(B)の2通りの場合が考えられる。
(A)第1準備動作の処理が完了した後に、第2準備動作で引き続き行う処理
(B)第1準備動作の処理の実行中であっても、第2準備動作に移行可能な処理
【0103】
(A)の例として、第1準備動作としてトナーカートリッジの装着検知を完了した後に、第2準備動作として当該トナーカートリッジの補給動作を引き続き行う場合があげられる。
【0104】
(B)の例として、第1準備動作として定着部の静止加熱処理を実行中に、印刷の実行指令を受け付けた場合、そのまま第2準備動作として加熱処理を続行しつつ定着部をモーターで駆動させて、ヒーターの熱がベルトやローラーに満遍なく加わるよう回転させる処理に移行する場合があげられる。
【0105】
一方、第1準備動作の完了後に操作部172が印刷の実行指令を受け付けた場合(ステップS26の判定がNoの場合)、ステップS28において、制御部10は、画像形成部12に予め定められた第2準備動作を実行させる(ステップS28)。
【0106】
このようにして、第1準備動作の完了前に印刷実行指令の操作を受け付けた場合、第1準備動作の実行中であっても、第2準備動作に移行可能な処理があれば、移行可能になり次第、第2準備動作の実行を開始するため、従来よりもウォームアップ動作の実施において、ユーザーの利便性が高いデジタル複合機1を実現できる。
【0107】
この開示の好ましい態様は、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含む。
前述した実施形態の他にも、この開示について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この開示の範囲に属さないと解されるべきものではない。この開示には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0108】
1:デジタル複合機、 10:制御部、 11:画像読取部、 12:画像形成部、 13:記憶部、 14:画像処理部、 15:通信部、 16:計時部、 17:操作パネル、 18:電源、 19:電源制御部、 20:モード設定部、 21:人感センサ、 171:表示部、 172:操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7