(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116767
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】発射装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 308F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022567
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】中園 武
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA57
(57)【要約】
【課題】遊技球通路での適切な遊技球の転動を担保することを課題とする。
【解決手段】パチンコ遊技機1では、発射装置27が、発射位置に位置する遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向けて発射する発射槌167と、発射槌167を作動させるロータリーソレノイド177と、発射槌167及びロータリーソレノイド177の遊技者側に配設され、発射位置に遊技球を供給するための遊技球通路154と、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設される防磁板250とを備えている。これにより、ロータリーソレノイド177からの遊技球通路154への漏れ磁束を防ぐことが可能となり、遊技球通路154を通過する遊技球への漏れ磁束の影響が低減し、遊技球通路154での遊技球の停止を防止することができる。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射位置に位置する遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射する発射槌と、
前記発射槌を作動させるアクチュエータと、
前記発射槌及び前記アクチュエータの遊技者側に配設され、前記発射位置に遊技球を供給するための遊技球通路と、
前記発射槌及び前記アクチュエータと前記遊技球通路との間に配設される防磁板と、
を備えることを特徴とする発射装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記発射槌を軸中心に揺動させるロータリーソレノイドであり、
前記防磁板は、少なくとも前記発射槌の軸と前記遊技球通路との間に配設されることを特徴とする請求項1に記載の発射装置。
【請求項3】
前記発射槌の軸中心は、前記遊技球通路の長手方向での中心から下流側にズレた位置に配設されることを特徴とする請求項2に記載の発射装置。
【請求項4】
前記防磁板は、前記遊技球通路の長手方向に沿って、前記発射槌及び前記アクチュエータと前記遊技球通路との間に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を遊技領域に向けて発射する発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機では、遊技球が発射装置により遊技領域に向かって打ち出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パチンコ遊技機の発射装置では、発射槌を作動させるアクチュエータの遊技者側に遊技球通路が配設されており、その遊技球通路を介して発射位置に遊技球が供給される。このため、遊技球通路での適切な遊技球の転動を担保することが望まれている。
【0005】
本発明は、遊技球通路での適切な遊技球の転動を担保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明に係る発射装置は、発射位置に位置する遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射する発射槌と、前記発射槌を作動させるアクチュエータと、前記発射槌及び前記アクチュエータの遊技者側に配設され、前記発射位置に遊技球を供給するための遊技球通路と、前記発射槌及び前記アクチュエータと前記遊技球通路との間に配設される防磁板と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、発射槌及びアクチュエータと遊技球通路との間に防磁板が配設されており、アクチュエータから磁束が漏れた場合であっても、漏れた磁束の遊技球通路への影響を抑制することで、遊技球通路での適切な遊技球の転動を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】パチンコ遊技機とカードユニットの正面図である。
【
図3】前枠に設けられたボタン類を示す上面図である。
【
図7】発射装置の玉送りカセットを示す正面図である。
【
図8】発射装置の玉送りカセットを示す正面図である。
【
図10】発射装置の発射ベースを示す正面図である。
【
図11】発射装置の発射ベースを示す斜視図である。
【
図12】発射装置の発射ベースを示す斜視図である。
【
図13】発射装置の玉送りカセットを示す背面図である。
【
図14】発射装置の発射ベースを示す正面図である。
【
図15】発射装置の発射ベースを示す正面図である。
【
図16】発射装置を左方からの視点で示す側面図である。
【
図17】発射装置を上方からの視点で示す上面図である。
【
図18】発射装置を下方からの視点で示す下面図である。
【
図19】発射装置を右方からの視点で示す側面図である。
【
図20】発射装置の発射ベースを示す斜視図である。
【
図21】発射装置の玉送りカセットを示す斜視図である。
【
図22】発射装置の玉送りカセットを示す正面図である。
【
図23】発射装置の玉送りカセットを示す正面図である。
【
図24】発射装置の玉送りカセットを示す背面図である。
【
図25】減算信号と管理球数と発射数減算フラグと計数ボタン操作フラグとを示す説明図である。
【
図26】減算信号と計数不可タイマと管理球数と発射数減算フラグと計数ボタン操作フラグとを示す説明図である。
【
図27】主制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図28】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図29】枠制御基板、主制御基板、及びカードユニットの電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図30】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図31】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図32】サブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図33】1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図34】10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図36】枠側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図37】ファール球検知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る遊技機としてのパチンコ遊技機について図を参照しつつ説明する。以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向及び上下方向は、遊技者から見た左右方向及び上下方向とする。また、パチンコ遊技機を基準として遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前枠18、内枠24、外枠25によって構成される。
外枠25は、縦長方形状の枠体であり、パチンコ遊技機1の外郭を形成する。内枠24は、外枠25の内側に配置され、後述する遊技盤2が取り付けられる。前枠18は、外枠25及び内枠24の前面側に配置されている。また、パチンコ遊技機1では、パチンコ遊技機1の左上部において、前枠18及び内枠24が、それぞれ回動可能となるよう図示しないヒンジで固定されている。
また、前枠18は、ハンドル4と、演出レバー6と、スピーカ8と、演出ボタン9と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、を備えている。
ハンドル4は、前枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図27)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技媒体としての遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
前枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。演出レバー6は、左手で把持できる形状とされており、右回転又は左回転の回転操作の他、上下左右の4方向に傾倒操作可能としている。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6c(
図28)が設けられている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。なお、演出レバー6は省略してもよい。
スピーカ8は、前枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音及び報知音等の音を演出内容に応じて出力する。
演出ボタン9は、前枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手又は左手で押圧操作可能な位置に設けられている。また、演出ボタン9は、前枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押下操作可能な位置に設けられている。演出ボタン9は、例えばプッシュオン式のボタンスイッチを採用することができる。演出ボタン9には、演出ボタン振動モータ9b(
図28)と、演出ボタンランプ9c(
図28)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。演出ボタンランプ9cは、複数色を発光可能であり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときや演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
前枠18のうち、左方には左サイドランプ23aが設けられており、右方には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bが設けられている部分の前枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。
【0010】
また、内枠24の下部には、
図2に示すように、揚上装置26及び発射装置27が設けられている。揚上装置26及び発射装置27については後述するが、揚上装置26及び発射装置27に、遊技球が貯留される。遊技球は、後述する遊技領域3に向けて発射された後、遊技領域3を流下し、再度、揚上装置26及び発射装置27に戻る。つまり、揚上装置26及び発射装置27に貯留されている遊技球は、パチンコ遊技機1の外部に排出されることなく、遊技機内部で循環する。つまり、パチンコ遊技機1は、所謂「封入式パチンコ遊技機(管理遊技機)」である。これにより、パチンコ遊技機1は、内部に貯留されている遊技球が外部に排出される遊技機(所謂、「非封入式パチンコ遊技機」)のように、遊技者に遊技球を払い出すための機構(賞球払出装置、賞球モータ、上皿、下皿など)が不要である。また、パチンコ遊技機1では、前枠18に上皿や下皿が設けられていないため、遊技者が遊技球に触れることがない。なお、発射装置27が本発明の発射装置の一例である。
また、前枠18の下部には、演出ボタン9の他、操作ボタン36が配置されている。
図3に示すように、操作ボタン36は、例えば上下左右の方向指示を行う十字キー等から構成され、パチンコ遊技機1に関する各種設定を行う場合等に操作される。例えば、操作ボタン36の操作によってスピーカ8から出力される音の音量や音のオン・オフを変更可能である。その他にも、演出表示装置7のバックライトの明るさ、各種ランプの光の強さ、BGMの種類、演出に用いるキャラクタの選択、ボタンの振動の強弱、役物の動作有無等も変更可能である。なお、操作ボタン36としては操作レバーやタッチパネルを用いてもよい。
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7とを備える。
遊技盤2は、内枠24の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われており、そのガラス板5は、内枠24に固定されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後方において内枠24に固定されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。なお、遊技盤2が本発明の遊技盤の一例である。
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3Aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3Bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられており、なお、それら各LEDを総称して「盤ランプ2b」と記載する。盤ランプ2bを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯又は点滅し、さらに発光色を変化させる。なお、遊技領域3が本発明の遊技領域の一例である。
また、前枠18の下部中央には遊技球数表示器18bが設けられている。遊技球数表示器18bは、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数を持ち球数として表示するものである。遊技球数表示器18bは、7セグメント式の表示器である。遊技球数表示器18bは、後述する枠制御用マイコン73a(
図27)によって制御される。
遊技盤2は、固定入賞装置10と、ゲート12と、一般入賞口13と、センター装飾体14と、可動体15と、レール部材17と、普通可変入賞装置(電チューともいう)20と、大入賞装置30と、表示器類50とを備える。
固定入賞装置10は、遊技盤2の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3Bに配置されており、右遊技領域3Bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。一般入賞口13は、左遊技領域3Aであって固定入賞装置10の左方に配置されている。
センター装飾体14は、遊技盤2の上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置27によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。
普通可変入賞装置20は、右遊技領域3Bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材(電動チューリップ)21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。なお、
図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右方に配置されているが、遊技領域3の下方に配置してもよい。
大入賞装置30は、右遊技領域3Bであって、固定入賞装置10の右方に配置されている。大入賞装置30は、大入賞口32を開閉する開閉部材31を備える。大入賞口32は、複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。開閉部材31は、左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。
前述したように、パチンコ遊技機1では、ハンドル4の発射強度を調節することにより、遊技球の発射強度を調節できるようになっている。よって、パチンコ遊技機1では、左遊技領域3A又は右遊技領域3Bを流下するように遊技球を打ち分けることができる。左遊技領域3Aに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、第1始動口11、一般入賞口13に入賞し得る。一方、右遊技領域3Bに向かって遊技球を発射したときには、遊技球は、ゲート12、第2始動口22、大入賞口32に入賞し得る。
なお、本実施形態では、右打ちをした場合、遊技球が第1始動口11に入賞し得ないよう、遊技釘等によって流路が形成されている。このため、右打ちをした場合、第1始動口11側に流れることなく、発射したほぼ全ての遊技球が、第2始動口22側に案内される。一方、第1始動口11の周辺には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘が打ち込まれている(図示せず)。このため、左打ちをした場合、発射した遊技球が全て第1始動口11に案内されることはなく、第1始動口11周辺の遊技釘に当接し、第1始動口11に入賞することなく、遊技領域3を流下する場合がある。
また、パチンコ遊技機1では、遊技領域3の外側に排出経路(図示せず)が設けられている。この排出経路は、パチンコ遊技機1における全ての入球口(第1始動口11、一般入賞口13、第2始動口22、大入賞口32、及びアウト口19)と連通している。よって、第1始動口11、一般入賞口13、第2始動口22、大入賞口32、又はアウト口19に入賞した遊技球は、必ず排出経路を通過する。排出経路を通過した遊技球は、揚上装置26に向かい、揚上装置26を経由して発射装置27から再度、遊技領域3に向かって発射される。なお、排出経路には、該排出経路を通過した遊技球を検知する排出口センサHa(
図27)が設けられている。
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって大入賞装置30の下方に設けられている。
図4に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。第1特図保留表示器51aは、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する。第2特図保留表示器52aは、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する。普図保留表示器53aは、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する。以下、第1特別図柄及び第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯・消灯するLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯・消灯するLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
また、普通図柄表示器53は、複数(例えば2個)のLEDから構成されている。点灯・消灯するLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開動作し、第2始動口22が開口する。
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留される。そして、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。
次に、演出表示装置7について説明する。
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像(デモ画像)等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7では、特別図柄の変動表示と同期させるように、演出図柄の変動表示が行われる。演出図柄は、算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される。
各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式等を用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
演出表示装置7は、特別図柄の変動表示と同期させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄の組み合わせを大当たり演出図柄の組み合わせといい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄の組み合わせをハズレ演出図柄の組み合わせという。大当たり演出図柄の組み合わせは、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄の組み合わせは、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。例えば、確定表示された左演出図柄7Lが「7」、中演出図柄7Cが「6」、右演出図柄7Rが「7」の状態である。以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄の変動パターンを演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像又は動画像である。
また、パチンコ遊技機1では、演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2bの点灯等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
(揚上装置)
次に、
図5に従って、揚上装置26について説明する。
揚上装置26は、上述した排出経路を通過してきた遊技球を上方に向かって上昇させて、発射装置27に遊技球を送り出す装置である。つまり、遊技領域3から排出された遊技球が排出経路を介して揚上装置26に送り出されて、その揚上装置26により遊技球が発射装置27に送り出される。
揚上装置26は、回転軸28を有しており、回転軸28は上下方向に延びる姿勢で軸心を中心に自転可能に配設されている。回転軸28は、軸モータ28a(
図27参照)により軸心を中心に自転する。回転軸28の外周面は螺旋形状とされており、螺旋形状の外周面は遊技球が嵌合可能な形状とされている。また、排出経路は回転軸28の下端に開口しており、排出経路から排出された遊技球が、回転軸28の下端において螺旋形状の外周面に嵌合する。そして、回転軸28が所定の方向に自転することで、螺旋形状の外周面に嵌合した遊技球が回転軸28の外周面に沿って上昇する。また、回転軸28の上端と対向する位置に連結経路29が設けられており、回転軸28の上端まで上昇した遊技球が連結経路29に流れる。なお、回転軸28の外周面と対向する位置に、清掃布(図示せず)が配設されており、回転軸28の外周面に沿って上昇する遊技球が上昇中に清掃布と接触する。これにより、遊技球が清掃される。つまり、パチンコ遊技機1では、遊技球がパチンコ遊技機1の外部に排出されることなく、遊技機内部で循環するため、揚上装置26において清掃される。
(発射装置)
次に、
図6乃至
図14に従って、発射装置27について説明する。
発射装置27は、揚上装置26により清掃された遊技球を遊技領域3に向けて発射する装置である。
発射装置27は、
図6に示すように、玉送りカセット150と発射ベース151とにより構成されている。玉送りカセット150は箱形状であり、発射ベース151は玉送りカセット150より僅かに大きい板形状である。そして、玉送りカセット150と発射ベース151とは左右方向での一方の縁部においてヒンジ152により揺動可能に連結されている。また、発射装置27は、発射ベース151において内枠24に固定されている。これにより、発射装置27では、玉送りカセット150が発射ベース151に対して揺動することで開閉する。また、発射装置27は、ロック機構153を有している。このため、ロック機構153により玉送りカセット150が閉じられた状態で維持され、ロック機構153が解除されることで、玉送りカセット150が開く。
【0011】
玉送りカセット150には、
図7及び
図8に示すように、遊技球通路154と玉送りレバー155とが内蔵されている。なお、
図7及び
図8では、玉送りカセット150の内部を露出させるべく、玉送りカセット150の前方側の壁が省略されている。
遊技球通路154は、傾斜路とされており、遊技者からの視点において右側から左側に向かって傾斜している。遊技球通路の右端は連結経路29と繋がっており、揚上装置26において清掃された遊技球が遊技球通路154に進入する。そして、遊技球通路154に進入した遊技球は自重により右側から左側に向かって転動する。なお、連結経路29から複数の遊技球が進入することで、複数の遊技球が遊技球通路154において貯留される。
玉送りレバー155は、遊技球通路154の左側に設けられており、揺動軸157を中心に揺動する。玉送りレバー155は、揺動軸157と反対側の先端部に形成された玉受部158と、玉受部158と揺動軸157とを連結する連結部159とにより構成されている。玉受部158には玉送りカセット150の先端に開口する凹部160が形成されており、玉受部158は概してコの字型とされている。なお、凹部160の内寸は遊技球の外寸より僅かに大きい。玉送りレバー155は、遊技球通路154の左端と対向する位置(以下、「受取位置」と記載する)(
図7での玉送りレバー155の位置)と、その受取位置から下方に向かって揺動した位置(以下、「供給位置」と記載する)(
図8での玉送りレバー155の位置)との間で揺動する。なお、玉送りレバー155の玉受部158の上方に、電磁石161が配設されており、電磁石161への通電により玉送りレバー155が上方に向かって揺動し、受取位置に位置する。一方、電磁石161への通電が解除されることで、玉送りレバー155が自重により下方に向かって揺動する。玉送りレバー155の玉受部158の下方には、ストッパ162が配設されており、玉受部158の下端がストッパ162に接触することで、玉送りレバー155の下方への揺動が規制されて、玉送りレバー155が供給位置に位置する。また、玉送りレバー155が受取位置に揺動することで、玉受部158の凹部160が遊技球通路154の左端と対向する。これにより、受取位置に揺動した玉送りレバー155の凹部160に、遊技球通路154の先頭の遊技球が1個入り込む。つまり、電磁石161への通電により玉送りレバー155が受取位置に揺動することで、凹部160に遊技球通路154から1個の遊技球が入り込む。これにより、玉送りレバー155は凹部160において遊技球を保持した状態となる。そして、電磁石161への通電が解除されることで、凹部160において遊技球を保持した状態の玉送りレバー155が供給位置に揺動する。供給位置に揺動した状態の玉送りレバー155の凹部160の後方側には、玉送りカセット150の後方側の面を貫通する貫通穴163が形成されている。このため、玉送りレバー155が供給位置に揺動することで、凹部160において保持された遊技球が貫通穴163を介して、玉送りカセット150の後方側に位置する発射ベース151に向かって転動する。なお、遊技球通路154が本発明の遊技球通路の一例である。
【0012】
発射ベース151には、
図9及び
図10に示すように、玉受ブロック165と発射槌167とが配設されている。玉受ブロック165は、玉送りカセット150に形成された貫通穴163の下方に位置するように、発射ベース151の前方側の面に固定されている。なお、玉受ブロック165は、上面が左側から右側に向かって下降するように、発射ベース151に固定されている。
また、発射槌167は、玉受ブロック165の右斜め上方において発射ベース151の前方側の面に揺動軸169を中心に揺動可能に配設されている。発射槌167は概して上下方向に延びる姿勢で配設されており、発射槌167の槌部先端170は、発射槌167の下方において左側を向いている。そして、槌部先端170が玉受ブロック165に接近した位置(以下、「打出位置」と記載する)(
図9での発射槌167の位置)と玉受ブロック165から離間した位置(以下、「待機位置」と記載する)(
図10での発射槌167の位置)との間で発射槌167が揺動する。なお、発射槌167は、捩じりバネ(図示せず)の弾性力により待機位置に向かって付勢されている。そして、
図10に示すように、捩じりバネの弾性力により付勢された発射槌167がストッパ172に接触することで、発射槌167が待機位置に位置する。また、
図11に示すように、発射ベース151の後方側の面にはロータリーソレノイド177が設けられている。発射槌167の揺動軸169は発射ベース151を貫通しており、発射ベース151の前方側の面から後方側の面に延びだしている。そして、揺動軸169がロータリーソレノイド177に連結されており、ロータリーソレノイド177が励磁することで、発射槌167が捩じりバネの弾性力に抗して打ち出し位置に向かって揺動する。そして、
図9に示すように、ロータリーソレノイド177の作動により発射槌167がストッパ174に接触することで、発射槌167が打出位置に位置する。なお、発射槌167が打出位置に位置する際に、槌部先端170は玉受ブロック165の右端下端と対向し、槌部先端170と玉受ブロック165の右端下端との間が遊技球の発射位置となる。
つまり、上述したように、玉送りカセット150において、玉送りレバー155が供給位置に揺動することで、
図12及び
図13に示すように、凹部160で保持されている遊技球が貫通穴163を介して発射ベース151に向かって転動する。この際、遊技球は、発射ベース151において玉受ブロック165の上に落下して、玉受ブロック165の上面に沿って右下方に転動する。そして、遊技球が玉受ブロック165の上面の右端に至るタイミングで、ロータリーソレノイド177の励磁により発射槌167が打出位置に向かって揺動する。これにより、遊技球178が発射位置まで転動したタイミングで、発射槌167の槌部先端170により打ち出される。なお、
図12は、玉送りカセット150のハウジングを省略した図であり、
図13は、発射ベース151を省略した玉送りカセット150の後方からの視点における図である。なお、発射槌167が本発明の発射槌の一例であり、ロータリーソレノイド177が本発明のアクチュエータ及びロータリーソレノイドの一例である。
【0013】
なお、発射槌167の槌部先端170により打ち出された遊技球は、
図14に示すように、発射装置27から上方に向かって延びる発射経路180を通って遊技領域3へ向かう。なお、発射経路180を通過した遊技球が遊技領域3を流下することができるのであれば、発射経路180の連通先は問わない。本実施形態では、発射経路180は、
図1に示すレール部材17の下端と連通しており、遊技球がレール部材17の上端から遊技領域3に向かって流下するようになっている。なお、レール部材17の上端には第1逆流防止弁17aが設けられている。具体的には、第1逆流防止弁17aは、回動可能となるようレール部材17の上端に組付けられており、発射経路180から遊技領域3へ向かって遊技球が発射された際には、第1逆流防止弁17aが右方向へ回動することで発射経路180と遊技領域3が連通状態となり、遊技領域3への遊技球の進入が許容される。なお、第1逆流防止弁17aは、右方向のみ回動が許容されているため、第1逆流防止弁17aを通過して発射経路180から遊技領域3へ発射された遊技球が、再度、発射経路180に戻ろうとしても、第1逆流防止弁17aによってその逆流が防止される。
【0014】
また、
図14に示すように、発射経路180の下方には、戻り流路182が分岐形成されている。戻り流路182の上流は発射経路180と連通する一方、戻り流路182の下流は排出経路に連通している。また、発射経路180と戻り流路182の分岐部分には、左方向へ回動可能となるよう第2逆流防止弁180bが組付けられている。第2逆流防止弁180bは、左方向のみ回動が許容されているため、通常、第2逆流防止弁180bによって発射経路180と戻り流路182は非連通状態とされ、発射槌167によって打ち出された遊技球は、第2逆流防止弁180bの上面を通過して発射経路180へと案内される。一方、発射槌167によって打ち出された遊技球の打出量が足りず、発射経路180を逆流した場合、遊技球の自重によって第2逆流防止弁180bが左方向へ回動することで発射経路180と戻り流路182とが連通状態となり、遊技球の戻り流路182への進入が許容される。このように、遊技球の付勢力が足りずに遊技領域3へ進入できなかった遊技球(所謂「ファール球」)は、戻り流路182に進入する。そして、ファール球は、戻り流路182を介して、排出経路に進入し、再び揚上装置26に戻る。
【0015】
次に、遊技球数表示器18b(
図1)で表示される遊技球数(現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数)の増減について説明する。
発射経路180の途中には、発射経路180を通過する遊技球を検知する発射球センサ180aが配置されている。このため、発射装置27から遊技球が発射される度に、発射球センサ180aによって遊技球が検知される。このとき、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数は、遊技球の発射に伴って「1」ずつ減少する。
また、前述したように、パチンコ遊技機1では、ファール球が発生し得る。ファール球は、遊技領域3に到達していない球であるが、一度、発射経路180を通過して発射球センサ180aで検知された遊技球であるため、遊技に関与しない遊技球であるにもかかわらず、遊技球数が1減少された状態となる。そこで、パチンコ遊技機1では、戻り流路182の途中に、戻り流路182を通過する遊技球を検知する戻り球センサ182aを配置している。このため、発射経路180を通過したが遊技領域3に到達せず、戻り流路182に戻った遊技球は、戻り球センサ182aによって検知される。そして、遊技球が戻り球センサ182aによって検知されると、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数が「1」増加する。
また、パチンコ遊技機1では、特定の入賞口に遊技球が入賞すると、入賞口に応じた数の遊技球が遊技者に与えられる。ただし、パチンコ遊技機1は、封入式パチンコ遊技機であるため、上皿等に実際に遊技球が払い出されるわけではない。例えば、第1始動口11に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、遊技球数表示器18bで表示される遊技球数が「3」増加する。また、以下の説明では、入賞口への入賞によって遊技者に賞球が与えられることを、「賞球の払い出し」と示す場合があるが、パチンコ遊技機1は、封入式パチンコ遊技機であるため、上皿等に実際に遊技球が払い出されることを示しているのではなく、持ち球数が増加することを示している。
【0016】
このように、パチンコ遊技機1では、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数が管理されており、その遊技球の数が遊技球数表示器18bに表示される。なお、遊技球数表示器18bに表示される数、つまり、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数は、パチンコ遊技機1で管理されている遊技球の数であるため、遊技球数表示器18bに表示される数を管理球数と記載する。この管理球数が0の場合には、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数が0であるため、発射装置27において発射位置に遊技球は供給されない。つまり、管理球数が0の場合には、玉送りレバー155は作動せずに、供給位置で遊技球を供給しない。ただし、管理球数が0の場合であっても、発射槌167の作動は許容されている。これは、管理球数が0となったタイミングでファール球が何らかの理由で戻り流路182に戻らずに、発射位置に戻った場合に、その発射位置に戻った遊技球を発射槌167により打ち出すためである。しかしながら、通常は、管理球数が0となったタイミングでファール球が発射位置に戻る可能性は低く、発射槌167の空打ち動作が生じる。空打ち動作は、発射位置に遊技球が無いにも関わらず、発射槌167がロータリーソレノイド177により作動する動作である。このような空打ち動作が例えば、連続的に行われると、振動により玉送りレバー155が揺動し、供給位置において遊技球を供給する虞がある。
つまり、玉送りレバー155は供給位置で遊技球を供給した後に、管理球数が1以上であれば、受取位置に揺動して、受取位置において玉送りレバー155の凹部160に遊技球が収納される。そして、玉送りレバー155が再度、供給位置に揺動することで、供給位置において遊技球が供給される。一方、玉送りレバー155が供給位置で遊技球を供給した後に、管理球数が0であれば、受取位置に揺動せずに、供給位置で維持される。この際、玉送りレバー155は、自重により下方に向かって付勢されるだけである。このため、発射槌167の空打ち動作により生じた振動が発射ベース151から玉送りカセット150に伝わって、玉送りレバー155が揺動する虞がある。この際、玉送りレバー155が供給位置から受取位置まで揺動すると、受取位置において玉送りレバー155の凹部160に遊技球通路154から遊技球が進入する。そして、凹部160に遊技球が進入した状態の玉送りレバー155が、自重により、再び供給位置まで揺動することで、玉送りレバー155の凹部160から遊技球が供給される。つまり、管理球数が0であるにも関わらず、空打ち動作の振動により、発射位置に遊技球が供給されて、その遊技球が発射槌167により遊技領域3に発射される虞がある。このように、本来、発射されるべきでない遊技球が遊技領域3に発射されることは望ましくない。
【0017】
このようなことに鑑みて、
図8にしめすように、玉送りレバー155に真鍮製の錘190が配設されている。このように、玉送りレバー155に錘190が配設されることで、玉送りレバー155の重量が増加して、空打ち動作の振動により揺動し難くなる。また、錘190は、玉送りレバー155の揺動軸157の下方に配設されており、玉送りレバー155を錘190の重量により下方に向けて効果的に付勢することができる。
また、錘190は、揺動軸157と凹部160との間の凹部160に近い側に配設されており、玉送りレバー155をてこの原理により下方に向けて効果的に付勢することができる。
さらに言えば、錘190は、凹部160の可及的近くに配設されるとともに、玉送りレバー155の下縁の可及的近くに配設されており、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を効果的に抑制することができる。
また、玉送りレバー155が供給位置に位置している際に、凹部160が揺動軸157の下方に位置している。このため、玉送りレバー155が受取位置まで揺動するためには、凹部160が揺動軸157の上方まで移動する必要があるが、凹部160が揺動軸157の上方まで移動し難い。このように、凹部160が揺動軸157の下方に位置する玉送りレバー155に錘190を配設することで、空打ち動作の振動により玉送りレバー155が受取位置まで揺動することを更に好適に抑制することが可能となっている。
さらに、玉送りレバー155が供給位置に位置している際に、
図8及び
図12に示すように、玉送りレバー155は玉受部158においてストッパ162に接触しており、連結部159はストッパ162に接触していない。つまり、玉送りレバー155は揺動軸157から離れた先端部においてストッパ162に接触しており、揺動軸157に近い基端部はストッパ162に接触していない。このように、玉送りレバー155が先端部においてのみストッパ162に接触することで、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を抑制することができる。つまり、空打ち動作の振動がストッパ162を介して玉送りレバー155に伝達する際に、玉送りレバー155の先端部に振動が伝達しても、てこの原理を利用した玉送りレバー155の先端部の重みにより振動の影響を軽減することができるため、玉送りレバー155の揺動を抑制することができる。さらに、玉送りレバー155の基端部はストッパ162に接触しないため、玉送りレバー155のストッパ162への接触面積を少なくすることで、玉送りレバー155への振動の影響を軽減して、玉送りレバー155の揺動を抑制することができる。
【0018】
また、パチンコ遊技機1では、発射槌167による空打ち動作の振動が玉送りレバー155に伝達し難くなるように、発射槌167が配設される発射ベース151と、玉送りレバー155が配設される玉送りカセット150との接触箇所に防振材が配設されている。詳しくは、
図15に示すように、発射ベース151の発射槌167が配設されている前方側の面に、2枚のゴム板200,202が貼着されている。ゴム板200は概して三角形状であり、玉受ブロック165の左斜め上方において発射ベース151の左端、つまり、ヒンジ152が配設されている発射ベース151の右端と反対側の端に、ゴム板200が貼着されている。また、ゴム板202は概して矩形であり、ゴム板200の上方において、発射ベース151の左端に貼着されている。そして、
図16乃至
図18に示すように、玉送りカセット150が閉じられた状態において、玉送りカセット150がゴム板200,202に接触する。なお、
図16は、発射装置27の左側からの視点における測面図であり、
図17は、発射装置27の上方からの視点における平面図であり、
図18は、発射装置27の下方からの視点における平面図である。このように、発射ベース151と玉送りカセット150との接触箇所に防振材として機能するゴム板200,202が配設されている。これにより、発射槌167による空打ち動作の振動が、発射ベース151から玉送りカセット150に伝達し難くなり、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を抑制することが可能となる。なお、ゴム板200,202の厚さは約2mmであり、玉送りカセット150が閉じられた状態において、2mmの10%である0.2mm程度、玉送りカセット150がゴム板200,202に食い込んでいる。
さらに、発射装置27では、ゴム板200,202が配設されている箇所を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150とが接触しないように、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランスが形成されている。ただし、発射ベース151と玉送りカセット150とを連結するヒンジ152および、発射ベース151と玉送りカセット150とをロックするロック機構153では、発射ベース151と玉送りカセット150とが接触している。詳しくは、
図16に示すように、ゴム板200,202が配設されている箇所を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランス204,206が形成されている。また、
図17に示すように、ゴム板202が配設されている箇所及びロック機構153を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランス208が形成されている。また、
図18に示すように、ゴム板200が配設されている箇所を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランス210,212が形成されている。また、
図19に示すように、ヒンジ152を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランス214,216が形成されている。なお、
図19は、発射装置27の右側からの視点における測面図である。このように、ゴム板200,202が配設されている箇所を除く部分において、発射ベース151と玉送りカセット150との間にクリアランスが形成されることで、発射槌167による空打ち動作の振動が、発射ベース151から玉送りカセット150に伝達し難くなり、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を抑制することが可能となる。
さらに言えば、
図20に示すように、発射ベース151には、前方側、つまり、玉送りカセット150に向かって突出する凸部220,222が形成されている。凸部220,222は、ボルトの頭部であったり、位置決めピン等である。一方、
図21に示すように、玉送りカセット150には、凸部220,222と対応する位置に凹部230,232が形成されている。そして、玉送りカセット150が閉じられることで、凸部220は凹部230に入り込み、凸部222は凹部232に入り込む。また、凹部230,232の深さ寸法は、凸部220,222の深さ寸法より深くされている。このため、凸部220,222が凹部230,232に入り込んだ状態において、凸部220,222と凹部230,232との間にクリアランスが形成される。このように、凸部220,222と凹部230,232との間においても、発射ベース151と玉送りカセット150とが接触しないようにされている。これによっても、発射槌167による空打ち動作の振動が、発射ベース151から玉送りカセット150に伝達し難くなり、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を抑制することが可能となる。
また、
図6に示すように、発射装置27の玉送りカセット150の前方側の面にも、ゴム板240が貼着されている。そして、発射装置27は、発射ベース151において内枠24の内部に固定されているが、発射装置27の前方側は、ガラス板5を保持するガラス枠(内枠24の一部)に覆われている。このため、発射装置27は、玉送りカセット150の前方側の面に貼着されたゴム板240を介して、ガラス枠に接触している。つまり、玉送りカセット150のガラス枠への接触箇所にも防振材として機能するゴム板240が配設されることで、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動が抑制されている。つまり、発射槌167が配設されている発射ベース151は内枠24に固定されており、その内枠24の一部であるガラス枠にも発射槌167による空打ち動作の振動が伝達するが、そのガラス枠と玉送りカセット150との接触箇所にゴム板240が配設されることで、ガラス枠を介した空打ち動作の振動が玉送りカセット150に伝達し難くなり、空打ち動作の振動による玉送りレバー155の揺動を抑制することが可能となる。
【0019】
また、発射装置27では、上述したように、玉送りカセット150の内部に配設された遊技球通路154を遊技球が通過して、玉送りレバー155の揺動により発射位置に供給される。ただし、玉送りカセット150の後方側には、発射ベース151が配置されており、
図22に示すように、発射ベース151に配設された発射槌167と、玉送りカセット150に配設された遊技球通路154とが前後方向において重なっている。また、上述したように、発射槌167を作動させるために、発射槌167の揺動軸169にロータリーソレノイド177が連結されている。このため、発射ベース151に配設された発射槌167及びロータリーソレノイド177と、玉送りカセット150に配設された遊技球通路154とが前後方向において重なっている。また、発射槌167の作動時には、ロータリーソレノイド177が励磁することで、発射槌167が遊技球を打ち出す。このように、発射槌167の作動時、つまり、ロータリーソレノイド177が励磁した際に磁束が発生し、ロータリーソレノイド177から磁束が漏れてしまう。この際、漏れた磁束が、発射槌167及びロータリーソレノイド177と前後方向で重なっている遊技球通路154に影響して、遊技球通路154を通過する遊技球が停止してしまう虞がある。
このため、発射装置27では、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に、
図23及び
図24に示すように、防磁板250が配設されている。なお、
図23は、玉送りカセット150を前方側からの視点において示す図であり、
図24は、玉送りカセット150を後方側からの視点において示す図である。防磁板250は、均一な板厚の部材であり、玉送りカセット150の後方側に面にボルトにより固定されている。なお、防磁板250は、磁束の通過を防止するものであり、磁束の通過を防止可能な素材、例えば、鉄,チタンなどの素材により形成されている。また、ロータリーソレノイド177は発射槌167の揺動軸169に連結されており、発射ベース151には揺動軸169を通すための貫通穴が形成されている。このため、発射ベース151の揺動軸169において漏れ磁束が最大となるため、防磁板250は、少なくとも揺動軸169と遊技球通路154との間に配設されている。ただし、揺動軸169は、前後方向において、遊技球通路154の長手方向、つまり、遊技球が流れる方向での中心から下流側にズレた位置に配設されている。このため、防磁板250は、遊技球通路154の長手方向に沿って、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設されている。これにより、ロータリーソレノイド177からの遊技球通路154への漏れ磁束を防ぐことが可能となり、遊技球通路154を通過する遊技球への漏れ磁束の影響が低減し、遊技球通路154での遊技球の停止を防止することができる。なお、防磁板250が本発明の防磁板の一例である。
また、防磁板250には、上縁の一部に凹部252が形成されているが、この凹部252は、発射ベース151に配設されているストッパ174との干渉を避けるためのものである。このように、防磁板250に凹部252が形成されることで、遊技球通路154の上方の一部において、防磁板250が無い状態となるが、遊技球通路154での凹部252に相当する位置は、遊技球通路154において遊技球の上端部が通過する位置である。このため、その凹部252から漏れる磁束の遊技球への影響は非常に小さいため、磁束により遊技球が停止することはない。特に、凹部252での高さ寸法は、遊技球通路154を通過する遊技球の中心より高い位置にある。遊技球通路154を通過する遊技球では遊技球の中心がロータリーソレノイド177に最も近いため、遊技球通路154において、遊技球の中心より高い位置に磁束が流れても、遊技球は停止しない。このため、その凹部252から漏れる磁束により遊技球が停止することはない。つまり、防磁板250は、遊技球通路154の長手方向に沿って、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設される場合に、防磁板250が、遊技球通路154の全てを遮断するように配設されず、遊技球通路154を通過する遊技球の中心より上方が凹部252などにより露出していても、遊技球通路154での遊技球の停止を防止することができる。なお、干渉などを考慮する必要がない場合には、防磁板250が、遊技球通路154の全域に渡って、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設されてもよい。
【0020】
(カードユニット)
次に、
図1に従って、パチンコ遊技機1に隣接されている外部ユニット装置としてのカードユニット300について説明する。
カードユニット300は、記録媒体の一例である管理カードの挿入を受け付けるものであり、パチンコ遊技機1と情報の送受信(通信)を行う。管理カードは、ホールが発行するカードであり、遊技を行うための価値情報(現金残額、プリペイド残額、持ち球数等)が記憶される。カードユニット300は、管理カードを挿入又は排出するカード口301を有する。カード口301に管理カードが挿入されると、カードユニット300は、管理カードに記憶されている価値情報を読み込む。
また、カードユニット300は、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302と、データ表示器303と、を有する。紙幣挿入口302に紙幣が挿入されると、カードユニット300は、金額に応じた数の遊技球を遊技者に貸し付けることができる。データ表示器303には、紙幣挿入口302に挿入された紙幣のうち残っている金額、その他の各種情報が表示される。
また、カードユニット300は、球貸ボタン304を有する。管理カードに記憶されている価値情報を読み込んでいる状態で球貸ボタン304が押下操作されると、カードユニット300は、読み込んでいる価値情報から一定値を引き落とし、遊技球数の情報に変換する。そして、カードユニット300は、変換した遊技球数をパチンコ遊技機1に送信する。これにより、パチンコ遊技機1の遊技球数表示器18bでは、変換された遊技球数が加算されて表示される。つまり、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が増加する。
さらに、カードユニット300は、返却ボタン306を有する。返却ボタン306は、遊技者が遊技を終了するときに操作されるボタンである。このため、返却ボタン306が押下操作されると、管理カードはカード口301から返却される。なお、管理カードに価値情報等の各種情報は記憶されず、価値情報等がサーバに記憶されてもよい。ただし、管理カードと価値情報とを関連付けるため、管理カードには識別情報が記憶されており、サーバにおいて、管理カードの識別情報と価値情報とが関連付けて記憶される。そして、カードユニット300は、必要に応じてサーバから管理カードの識別情報と関連付けられている価値情報を取得してもよい。
(計数ボタン)
また、
図3に示すように、パチンコ遊技機1の前枠18の下部中央には、計数ボタン33が配置されている。計数ボタン33は、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数の一部を、カードユニット300に挿入されている管理カードに記憶させる際に操作されるボタンである。計数ボタン33の操作により、遊技球数表示器18bでは、管理カードに移動された分だけ遊技球数が減算されて表示される。つまり、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球数が減少する。本実施形態では、1回の計数ボタン33の押下操作につき、遊技球数表示器18bで表示されている遊技球数が最大で「250」減算され、「250」が管理カードに記憶される。具体的に説明すると、計数ボタン33の1回あたりの操作時間が規定時間(例えば1秒)に到達していない場合には、1操作につき1球ずつ減算され、1回あたりの操作時間が規定時間に到達している場合には、1操作につき250球ずつ減算される。以下、計数ボタン33の1回あたりの操作時間が規定時間に到達していない操作態様を「短押し操作」と示し、計数ボタン33の1回あたりの操作時間が規定時間に到達している操作態様を「長押し操作」と示す場合がある。具体的には、例えば、遊技球数表示器18bに表示される数、つまり、管理球数が100個である場合に、短押し操作が1回行われると、管理球数が99個となり、「1」が管理カードに記憶される。なお、計数ボタン33への操作により管理カードに記憶される個数は、最終的には遊技者が獲得できる遊技球の個数に相当するため、計数ボタン33への操作により管理カードに記憶される個数を払出数と記載する場合がある。また、カードユニット300に挿入されている管理カードに払出数を記憶させる際に、払出数がパチンコ遊技機1からカードユニット300に出力されるため、管理カードに払出数を記憶させることを、払出数を出力すると記載する場合がある。
【0021】
このように、計数ボタン33への操作により管理球数が減少し、その減少した管理球数と同数分、払出数が増加する。また、上述したように、管理球数は、遊技球の発射に伴って「1」ずつ減少する。そして、計数ボタン33への操作に伴う管理球数の減少若しくは、遊技球の発射に伴う管理球数の減少により、管理球数が0となると、発射装置27において発射位置に遊技球が供給されず、遊技球を遊技領域3に発射することはできない。ただし、管理球数が0の場合であっても、発射槌167の作動は許容されているため、計数ボタン33が操作されるタイミングによっては、管理球数が0であっても、ファール球以外の遊技球が発射槌167により発射される虞がある。
詳しくは、
図25に従って説明する。
図25での減算信号は発射球センサ180aによる信号であり、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出するとON信号を出力する。なお、遊技球が連続して発射される場合に、発射槌167による遊技球の発射間隔は600msecである。このため、遊技球が連続して発射される場合に、発射球センサ180aによる遊技球の検出間隔も600msecとなる。また、発射球センサ180aによるON信号が出力されると、発射数減算フラグがONとなり、管理球数が「1」減算される。つまり、発射数減算フラグがONになったタイミングで、管理球数が「3」から「2」に減少する。なお、減算信号がONになったタイミング、つまり、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出されたタイミングから、僅かに遅れたタイミングで発射数減算フラグがONとなる。このため、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出されたタイミングからタイムラグのある状態で、管理球数が「1」減算される。また、管理球数が「3」から「2」に減少した後に、計数ボタン33が短押し操作されると、計数ボタン操作フラグがONとなり、管理球数が「1」減算される。つまり、計数ボタン操作フラグがONになったタイミングで、管理球数が「2」から「1」に減少する。この際、払出数「1」が出力され、払出数が「1」増加する。さらに、再度、計数ボタン33が短押し操作されると、計数ボタン操作フラグがONとなり、管理球数が「1」減算される。つまり、計数ボタン操作フラグがONになったタイミングで、管理球数が「1」から「0」に減少する。このため、管理球数が「0」となってからは、発射位置に遊技球は供給されず、遊技球を遊技領域3に発射することはできない。
しかしながら、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出されたタイミング、つまり、減算信号がONになったタイミングからタイムラグのある状態で、発射数減算フラグがONになって管理球数が「1」減算されるため、
図25に示すように、減算信号がONになったタイミングと発射数減算フラグがONとなるタイミングとの間に、計数ボタン33が操作されると、管理球数が「0」であるにも関わらず、ファール球以外の遊技球が発射槌167により発射される。詳しくは、管理球数が「1」の状態であれば、発射位置に遊技球が供給され、供給された遊技球が発射槌167により発射される。そして、発射された遊技球が発射球センサ180aにより検出されたタイミング、つまり、減算信号がONになったタイミングからタイムラグのある状態で、発射数減算フラグがONになって管理球数が「1」減算されるが、減算信号がONになった後でも、発射数減算フラグがONになる前は、管理球数は減算されていないため「1」である。このため、減算信号がONになった後であって、発射数減算フラグがONになる前に、計数ボタン33が操作されて計数ボタン操作フラグがONとなると、管理球数が「1」から「0」に減少する。この際、払出数「1」が出力され、払出数が「1」増加する。そして、計数ボタン33への操作により管理球数が「1」から「0」に減少して、払出数が「1」増加した後に、発射数減算フラグがONとなり、管理球数を「1」減算するべきであるが、管理球数は「0」未満にならないため、管理球数は「0」のままである。このように、管理球数が「0」であるにも関わらず、発射数減算フラグがONとなり、ファール球以外の遊技球が遊技領域3に発射されたと見做される。また、別の言い方をすれば、管理球数が最後の1個の状態で、その最後の1個が発射槌167により打ち出された後に、発射数減算フラグがONにされる前に計数ボタン33が操作されることで、本来、出力されるべきでない払出数「1」が出力され、加算されるべきでない払出数「1」が加算される。
このようなことに鑑みて、計数ボタン33が操作されても払出数の加算が禁止される計数不可タイマが設定されている。詳しくは、
図26に示すように、計数不可タイマは、減算信号がONになる毎に予め設定された設定時間、ONにされる。つまり、計数不可タイマは、減算信号がONになるタイミングから設定時間、経過するまでONにされる。設定時間は、遊技球の発射間隔(600msec)より僅かに長い時間であり、例えば、700msecである。なお、設定時間(700msec)と遊技球の発射間隔(600msec)との差(100msec)は、減算信号がONになるタイミングと発射数減算フラグがONになるタイミングとのタイムラグより長いことが望ましい。そして、計数不可タイマがONである間において、計数ボタン33が短押し操作された場合に、短押し操作により出力される払出数「1」が管理球数より少なければ、払出数の出力が許容され、短押し操作により出力される払出数「1」が管理球数と同じであれば、払出数の出力が禁止される。
図26では、まず、減算信号がONになったタイミングで、計数不可タイマがONとなる。また、減算信号がONになったタイミングからタイムラグのある状態で発射数減算フラグがONとなり、管理球数が「3」から「2」に減少する。次に、管理球数が「3」から「2」に減少した後に、計数ボタン33が短押し操作され、計数ボタン操作フラグがONとなる。この際、計数不可タイマがONであるか否かが判断されて、計数不可タイマがONである場合に、短押し操作により出力される払出数「1」が管理球数より少ないか否かが判断される。つまり、計数ボタン33が操作された際に、管理球数は「2」であるため、短押し操作により出力される払出数「1」は管理球数「2」より少ないと判断されて、払出数の出力が許容される。このため、操作フラグがONとされたタイミングで管理球数が「2」から「1」に減算される。この際、払出数「1」が出力され、払出数が「1」増加する。続いて、管理球数が「2」から「1」に減少した後に、減算信号が再度ONとなる。そして、減算信号がONになったタイミングからタイムラグのある状態で発射数減算フラグがONとなり、管理球数が「1」から「0」に減少する。
なお、減算信号がONになったタイミングと発射数減算フラグがONとなるタイミングとの間に、計数ボタン33が短押し操作され、計数ボタン操作フラグがONとなっている。この際、計数不可タイマがONであるか否かが判断されて、計数不可タイマがONである場合に、短押し操作により出力される払出数「1」が管理球数より少ないか否かが判断される。つまり、計数ボタン33が操作された際に、管理球数は「1」であるため、短押し操作により出力される払出数「1」は管理球数「1」より少ないと判断されず、短押し操作により出力される払出数「1」は管理球数「1」と同じであると判断される。このため、払出数の出力は禁止される。つまり、計数ボタン33が操作されても、払出数は出力されず、払出数の加算が行われない。この際、計数ボタン操作フラグがONとされても、計数されず、管理球数は「1」に維持される。このように、計数不可タイマに従って払出数の出力を禁止することで、管理球数が0である場合のファール球以外の遊技球の発射を防止することが可能となる。また、別の言い方をすれば、本来、加算されるべきない払出数の加算を防止することが可能となる。
【0022】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、
図27、
図28、及び
図29に従って、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図27)と、枠制御基板73(
図27)と、サブ制御基板100(
図28)と、画像制御基板260(
図28)と、音声制御基板78(
図28)と、ランプ制御基板79(
図28)とを備えている。主制御部としての主制御基板60は、大当たり判定や遊技状態の移行など遊技の進行に関する制御を行う。枠制御部としての枠制御基板73は、遊技者が遊技に使用する遊技球数の管理に関する制御を行う。副制御部としてのサブ制御基板100は、主制御基板60からの指示を受けて遊技の進行に伴って実行する遊技演出に関する制御を行う。演出制御部としての画像制御基板260は、サブ制御基板100からの指示を受けて遊技演出を行う演出装置(演出表示装置7)の制御を行う。
図27に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64とを備えている。また、主制御基板60は、入出力回路65と、RAMクリアスイッチ66と、を備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生させる。CPU62は、入賞の検知、大当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブル、大当たり種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブル等の各種のテーブルが記憶されている。
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。各記憶部には、遊技球が第1始動口11、第2始動口22及びゲート12に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した乱数値が最大保留数分だけ記憶される。
また、入出力回路65は、主制御基板60に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。また、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM(RAM64、RAM120、RAM73d)が初期化される。RAMクリアスイッチ66は、電源投入時に操作可能である。なお、RAMクリアスイッチは、主制御基板60ではなく枠制御基板73又は電源基板70に設けられていてもよい。
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。前述したように、表示器類50は、第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄表示器52と、普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特図保留表示器51aと、第2特図保留表示器52aと、普図保留表示器53aとを備える。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、大入賞口センサ32aと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、大入賞口ソレノイド30aと、排出口センサHaと、磁気センサ2aと、が電気的に接続されている。
第1始動口センサ11aは、第1始動口11の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ32aは、大入賞口32の直下に設けられており、遊技球が大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21を開閉駆動する。大入賞口ソレノイド30aは、大入賞装置30の開閉部材31を開閉駆動する。
排出口センサHaは、遊技領域3の外側に設けられている排出経路(図示せず)内に設けられており、遊技球が排出経路を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。磁気センサ2aは、遊技盤2に設けられており、磁石などを用いた不正な入賞が発生したこと(不正な磁気が発生したこと)を示す信号を主制御基板60へ出力する。
また、主制御基板60には、枠制御基板73を介してカードユニット300が電気的に接続されている。また、枠制御基板73には、遊技球数表示器18bが電気的に接続されている。
枠制御基板73は、遊技制御用マイコン61からの信号(データ・情報)、発射球センサ180a、戻り球センサ182aによる検知信号、カードユニット300からの各種信号等に基づいて遊技球数を管理する。また、枠制御基板73は、遊技球数を遊技球数表示器18bに表示させる。また、枠制御基板73には発射制御回路75を介して発射装置27が接続されている。なお、前述したように、パチンコ遊技機1は、所謂、封入式パチンコ遊技機であるため、賞球を上皿等に直接払い出したり、貸球の払い出しを行うことはない。その他、枠制御基板73は、発射装置27の制御やカードユニット300との通信等も実行する。また、本実施形態において枠制御基板73は、内枠24の下方に配置されており、遊技盤2に取り付けられていない。なお、主制御基板60は、枠制御基板73との信号(データ・情報)の送信の他、遊技球数の監視(払い出しの監視)のために枠制御基板73から信号(データ・情報)を受信する。
また、枠制御基板73には、枠制御用ワンチップマイコン(以下、枠制御用マイコンという)73aが実装されている。枠制御用マイコン73aは、CPU73bと、ROM73cと、RAM73dと、を備えている。また、枠制御基板73は、入出力回路73eと、枠基板表示器73fと、を備えている。枠制御用マイコン73aは、プログラムに従って遊技球数の表示制御を実行する。CPU73bは、プログラムを実行する。ROM73cには、遊技球数の表示を制御するためのプログラムが記憶されている。RAM73dは、CPU73bがプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。入出力回路73eは、枠制御基板73に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。本実施形態では、枠制御基板73と主制御基板60が電気的に接続されているため、遊技制御用マイコン61は、枠制御基板73に信号(データ・情報)を送信するとともに、遊技球数の増減監視のために枠制御基板73から信号を受信することが可能となる。同様に、枠制御基板73とカードユニット300が電気的に接続されているため、枠制御用マイコン73aは、カードユニット300に信号(データ・情報)を送信するとともに、カードユニット300から信号を受信することが可能となる。
枠基板表示器73fには、性能表示としてのベース(通常ベース)、現時点で遊技者が遊技に使用可能な遊技球の数(管理球数)、エラー表示としてのエラーコードが表示される。枠基板表示器73fの表示制御は、枠制御用マイコン73aによって実行される。なお、枠基板表示器73fに表示される遊技球数と、遊技球数表示器18bに表示される遊技球数は同一の値である。また、枠基板表示器73fは、機裏に設けられている。
また、枠制御基板73には、発射制御回路75を介して発射装置27が電気的に接続されている。発射装置27は、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93と、電磁石161と、ロータリーソレノイド177とを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4aの回転量に応じて発射槌167が遊技球を打撃する強度を調節する。電磁石161は、玉送りレバー155を揺動させて、発射位置に遊技球を供給する。ロータリーソレノイド177は、発射槌167を作動させて、発射位置の遊技球を遊技領域3に向かって発射する。なお、パチンコ遊技機1においては、上述したように、600msecで一発の遊技球が発射されるようになっている。
また、枠制御基板73には、発射球センサ180a、戻り球センサ182a、電波センサDa、枠開放センサ18a、計数ボタンセンサ33a、返却ボタンセンサ306a、軸モータ28a、遊技球数クリアスイッチSW1、が電気的に接続されている。
発射球センサ180aは、発射経路180内に設けられており、遊技球が発射経路180を通過したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。戻り球センサ182aは、戻り流路182内に設けられており、遊技球が戻り流路182を通過したこと、すなわち、ファール球となったことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。
電波センサDaは、発射球センサ180a及び戻り球センサ182aの近傍に設けられており、不正な電波を検知したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。前述したように、発射球センサ180aで遊技球が検知されると、遊技球数表示器18bの遊技球数が「1」減算される。しかしながら、不正な電波によって発射球センサ180aの検知状態が阻害されると、発射球センサ180aが遊技球を検知できず、結果的に遊技球数表示器18bの遊技球数が減算されない場合がある。同様に、遊技領域3に到達せずに戻ってきた遊技球が戻り球センサ182aで検知されると、遊技球数表示器18bの遊技球数が「1」加算される。しかしながら、不正な電波によって戻り球センサ182aの検知状態が阻害されると、実際は、遊技球が戻り流路182に戻ってきていないにもかかわらず、戻り球センサ182aが作動し、遊技球数表示器18bの遊技球数が増加される場合がある。したがって、電波センサDaから検知信号を入力すると、「エラー」と判定されることになる。
枠開放センサ18aは、遊技機枠16のヒンジ(図示せず)に設けられており、前枠18の内枠24に対する開放、又は内枠24の外枠25に対する開放を検知したことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。遊技中にこれらの枠が開放状態にあると遊技を実行することができないため、遊技中に枠開放センサ18aから検知信号を入力すると、「エラー」と判定されることになる。
計数ボタンセンサ33aは、計数ボタン33に設けられており、計数ボタン33が押下操作されたことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。返却ボタンセンサ306aは、返却ボタン306に設けられており、返却ボタン306が押下操作されたことを示す信号を枠制御基板73へ出力する。枠制御基板73は、計数ボタン33からの検知信号の長さ等から、計数ボタン33の操作態様を認識し、計数ボタン33の操作態様に応じた個数だけ遊技球数表示器18bから遊技球数を減算することになる。
遊技球数クリアスイッチSW1は、RAM73dに記憶されている遊技球数を初期化して「0」とする際に操作されるスイッチである。遊技球数クリアスイッチSW1が操作されると、遊技球数のクリアを指示する信号を枠制御基板73へ出力する。遊技球数クリアスイッチSW1は、RAMクリアスイッチ66同様、電源投入時に操作可能である。
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び枠制御基板73に電力を供給する。電源基板70は、枠制御基板73に電気的に接続された各装置及び各センサに対して、枠制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をON/OFFするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
主制御基板60は、サブ制御基板100に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。一方、主制御基板60と枠制御基板73は、双方向通信可能に構成されているが、枠制御基板73とサブ制御基板100は通信可能に構成されておらず、枠制御基板73の情報をサブ制御基板100に送信するためには、主制御基板60を介する必要がある。なお、主制御基板60と枠制御基板73は、主制御基板60から枠制御基板73への単方向通信可能な構成としてもよい。また、枠制御基板73からサブ制御基板100への単方向通信のみ可能となるように構成してもよい。また、各種入賞口センサは、主制御基板60ではなく、枠制御基板73に対して電気的に接続されてもよい。
図28に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120とを備えている。また、サブ制御基板100は、入出力回路103を備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。第1特図保留演出記憶部121、第2特図保留演出記憶部122及び当該変動用演出記憶部123は、主制御基板60から出力される特図に関するコマンドを記憶する。
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信又は受信を行う。
サブ制御基板100には、画像制御基板260が電気的に接続されている。画像制御基板260には、演出表示装置7が電気的に接続されている。画像制御基板260には、VDP201(Video Display Processor)と、画像制御用CPU262と、制御用ROM203とが実行されている。さらに、画像制御基板260には、制御用RAM264と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)266とが実装されている。画像制御用CPU262は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU262が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM264は、画像制御用CPU262がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU262によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM266内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM266内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM266内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM266内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2b、演出ボタンランプ9c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23bが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
また、サブ制御基板100には、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン検出スイッチ9aと、操作ボタン検出スイッチ36aと、演出レバー振動モータ6cと、演出ボタン振動モータ9bとが電気的に接続されている。
演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6aから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。操作ボタン検出スイッチ36aは、操作ボタン36が操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、操作ボタン検出スイッチ36aから入力した信号に基づき、画像制御基板260に対して、設定変更画面(
図17)における選択項目の周囲にカーソルCを表示・移動させる等の制御を実行させる。
演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位又は演出レバー6の内部に設けられている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。ROM110には、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。
なお、
図27及び
図28は、あくまでパチンコ遊技機1の電気的構成を説明するためのブロック図であり、
図27及び
図28に示す基板だけが設けられているわけではない。よって、主制御基板60を除くその他の複数の基板を1つの基板として構成してもよい。
(パチンコ遊技機とカードユニット)
次に、
図29に従って、パチンコ遊技機1とカードユニット300との通信について説明する。
前述したように、枠制御基板73は、カードユニット300と通信を行う。枠制御基板73は、カードユニット300とシリアル通信を行うための専用のPIF回路73gを備えている。
一方、カードユニット300は、枠制御基板73とシリアル通信を行うための専用のPIF回路305と、遊技システムのセキュリティを監視するSC基板308と、コントロールユニット307と、を備えている。コントロールユニット307は、制御中枢としてのCPUと、CPUが動作するためのプログラムや制御データを記憶しているROMと、CPUのワークエリアとして機能するRAMと、を有している。本実施形態の遊技システムは、パチンコ遊技機1、枠制御基板73、カードユニット300、及びホールコンピュータHC間の通信によって成立する。
紙幣挿入口302に紙幣が挿入されると、その紙幣に相当する金額の情報がコントロールユニット307に出力される。球貸ボタン304が押下操作されると、球貸ボタン304が押下操作されたことを示す信号がコントロールユニット307に出力される。さらに、コントロールユニット307は、カード口301に管理カードが挿入された場合、カードユニット300との通信により、その管理カードに記憶されている価値情報(現金残額、プリペイド残額、持ち球数等)を読み込むことができる。また、コントロールユニット307は、紙幣挿入口302に挿入された紙幣の残額、その他の各種情報をデータ表示器303に表示させる制御を行う。
また、ホールには、HC(ホールコンピュータ)BOXHC1と、ホールコンピュータHCと、管理コンピュータHC2と、が設けられている。HCBOXHC1は、ホールコンピュータHCとカードユニット300との仲介を担っており、パチンコ遊技機1(枠制御基板73)から受信したシリアル信号を、パラレル信号に変換してホールコンピュータHCに送信する。管理コンピュータHC2は、カードユニット300と通信を行うとともに、ホールの外部にある遊技機情報センター(図示省略)と通信を行う。
カードユニット300からシリアル通信にて枠制御基板73に送信される情報は1種類である(球貸が要求されたことを示す情報)。一方、枠制御基板73からシリアル通信にてカードユニット300(パチンコ遊技機1の外部)に送信される外部情報は、複数種類ある。例えば、カードユニット300から送信された情報((球貸が要求されたことを示す情報)を受信したことを示す情報、計数ボタン33の操作によって管理カードに記憶させる遊技球数を示す情報等である。その他にも、枠制御基板73は、カードユニット300に対して遊技機設置情報やセキュリティ情報を送信する。「遊技機設置情報」は、ホールコンピュータHC等による機種管理のために、どの遊技機が設置されているのかを特定可能な情報(例えば、遊技機の種類、CPUのID番号等))である。「セキュリティ情報」は、コントロールユニット307が不正監視を行うための情報である。ちなみに、枠制御基板73は、電源投入後、所定周期(300ms毎)でカードユニット300とシリアル通信を行い、セキュリティ情報をカードユニット300に送信するようになっている。セキュリティ情報は、例えばパチンコ遊技機1に異常が発生している期間中はオン状態が維持され、パチンコ遊技機1の異常が解消された場合にオフ状態となる信号である。また、セキュリティ情報としては、RAMクリアの実行や遊技球数クリアの実行を特定可能なセキュリティ情報などもある。これらの情報は、RAMクリアや遊技球数クリアが終了するとオフ状態とされる。その他の情報も、セキュリティ情報とは異なる周期にて、シリアル通信にてカードユニット300に送信されるようになっている。
[大当たり判定テーブル]
大当たり判定テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルは、遊技状態と、大当たり乱数値(大当たり判定値)とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。また、大当たりと判定されなかった場合、遊技制御用マイコン61は、ハズレと判定する。大当たり判定テーブルは第1特図の抽選と第2特図の抽選で共通とする。
[大当たり種別判定テーブル]
大当たり種別判定テーブル(図示せず)は、大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、抽選の種類(第1特図の抽選か第2特図の抽選か)に応じ、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値(大当たり種別判定値)をそれぞれ対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生する大当たり種別乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。
パチンコ遊技機1では、第1特図大当たり判定又は第2特図大当たり判定かによって、特定の大当たり種に対応付ける大当たり種別乱数の個数を異ならせることも可能である。また、大当たりに関し、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。なお、大当たりの種類、ラウンド遊技数、電サポ制御が行われる上限回数等は、遊技性等に応じて適宜変更してもよい。
[リーチ判定テーブル]
リーチ判定テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。ここで、リーチとは、複数の特別図柄のうち変動表示されている特別図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている特別図柄がどの特別図柄で確定表示されるか次第で大当たりを示す特別図柄の組み合わせとなる状態のことである。また、リーチとは、演出表示装置7の複数の表示領域においてそれぞれ変動表示されている演出図柄のうち、変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの演出図柄で確定表示されるか次第で大当たり演出図柄の組み合わせとなる状態のことである。
例えば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄7Lとして「7」が確定表示されており、右演出図柄7Rとして「7」が確定表示されており、中演出図柄7Cが変動表示されている状態のことである。なお、リーチの概念には、中演出図柄7Cがスクロールしている状態の他、揺れている状態、拡大と縮小を繰り返す状態等が含まれる。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルは、遊技状態とリーチ乱数値(リーチ判定値)とを対応付けて構成されている。リーチ乱数値は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。リーチ乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、リーチ乱数カウンタが動作してリーチ乱数が発生する。なお、パチンコ遊技機1におけるリーチ判定テーブルは、第1特図の抽選と第2特図の抽選で同一としてもよいし、異ならせてもよい。
[特図変動パターン選択テーブル]
特図変動パターン選択テーブル(図示せず)は、遊技制御用マイコン61が特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターン選択テーブルは、遊技状態と、判定(大当たり判定及びリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数値(変動パターン判定値)と、特図変動パターンと、変動時間と、を対応付けて構成されている。大当たり種別について対応付けてもよい。変動パターン乱数値は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。変動パターン乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数カウンタが動作して変動パターン乱数が発生する。
特図変動パターン選択テーブルでは、大きく分類すると、大当たりと判定されたときに選択される大当たり用の特図変動パターンと、ハズレと判定されたがリーチ判定でリーチ有りと判定されたときに選択されるリーチ有りハズレ用の特図変動パターンと、ハズレと判定され、かつリーチ判定でリーチ無しと判定されたときに選択されるリーチ無しハズレ用の特図変動パターンと、が設定されている。
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(メイン側主制御処理)
最初に、
図30に従って、メイン側主制御処理の内容について説明する。
パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、遊技制御用マイコン61は、ROM63からメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初にメイン側初期設定処理を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。S1の処理は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
メイン側初期設定処理では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。また、RAMクリアスイッチ66を操作した状態で電源がオンされるとRAMクリア信号が主制御基板60に送信されるため、メイン側初期設定処理において、遊技制御用マイコン61は、全てのRAM領域の初期化を指示する。一方、RAMクリアスイッチ66を操作せずに電源がオンされると、遊技制御用マイコン61は、バックアップ領域に記憶される遊技状態情報に基づいて、電源断時の遊技状態を復旧させる。また、遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源投入を受け、電源断によって設定されていた電断フラグをオフにするとともに、電源投入コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、起動時情報として遊技機設置情報をRAM64の送信バッファにセットする。
なお、電源の安定供給を待つため、又は画像制御基板260の起動完了を待ってから主制御基板60を立ち上げるために、予め定めた待機時間だけ待機するという待機処理をメイン側初期設定処理における最初の処理として設定してもよい。また、電源投入コマンドは、例えばホール開店時に電源が投入された場合、及び予期せぬ電源断から電源が復旧した場合のどちらのケースでも出力されるコマンドである。
図30の説明に戻り、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S2)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S3)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に到達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S3)は必要ない。
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S4)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S5)は、例えば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S5)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S5)は直ぐには開始されず、割込許可(S4)が実行されてから開始される。
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図31に従って、メイン側タイマ割込処理(S5)の内容について説明する。
まず、遊技制御用マイコン61は、乱数更新処理を実行する(S10)。この乱数更新処理は、
図30のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理(S5)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S5)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S5)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
次に、遊技制御用マイコン61は、入力処理を行う(S11)。入力処理では、各種検知信号や各種コマンドを取り込み、各種検知信号や各種コマンドが示す情報をRAM64の受信バッファに記憶する。また、入力処理において遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ22a、ゲートセンサ12a、大入賞口センサ32a、一般入賞口センサ13a、排出口センサHa)が検知した検知信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための賞球コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。セットされた賞球コマンドは、後述する出力処理(S17)によって枠制御基板73に送信される。
次に、遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理(S12)、特別動作処理(S13)、及び普通動作処理(S14)を実行する。
始動口センサ検知処理(S12)において遊技制御用マイコン61は、第1始動口センサ11a又は第2始動口センサ22aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数)を取得する。また、ゲートセンサ12aによる通過検知があれば、普図保留が4個未満であることを条件に普通図柄乱数を取得する。
特別動作処理(S13)において遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理で取得した大当たり乱数等の乱数を、大当たり判定テーブル、大当たり種別判定テーブル、リーチ判定テーブル、特図変動パターン選択テーブルを用いて判定する。そして、大当たり判定の結果を示すために、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示を行う。特別図柄の変動開始時において遊技制御用マイコン61は、特図変動パターンの情報を含む特図用の変動開始コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また特別図柄の変動停止時において遊技制御用マイコン61は、特図用の変動停止コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。
このとき、大当たり判定で大当たりに当選していたとすると、遊技制御用マイコン61は、大当たり種別に応じた開放パターン(開放時間や開放回数)で大入賞口32を開放させる大当たり遊技を行う。遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技の開始時にオープニングコマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、各ラウンド遊技の開始時に、ラウンド指定コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。また、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技の終了時にエンディングコマンドをRAM64の送信バッファにセットする。遊技状態が変化した場合、遊技制御用マイコン61は、遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の送信バッファにセットする。
普通動作処理(S14)において、遊技制御用マイコン61は、始動口センサ検知処理(S12)で取得した普通図柄乱数を用いて普通図柄当たりであるか否かを判定する。そして、普通図柄当たり判定の判定結果を示すために、遊技制御用マイコン61は、普通図柄の変動表示を行う。普通図柄当たり判定で普通図柄当たりに当選していたとすると、遊技制御用マイコン61は、遊技状態に応じた開放パターン(開放時間や開放回数)に従って普通可変入賞装置20を開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン61は、エラー検知処理を行う(S15)。エラー検知処理では、エラー(不正行為)の有無を検知して、その検知結果に基づいてエラーの発生を報知させる等の処理を行う。エラー(不正行為)には、例えば、普通可変入賞装置20、大入賞口32への不正な入賞、磁気を利用した不正行為、電波を利用した不正行為、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為等がある。またエラー検知処理(S15)では、普通可変入賞装置20に対する入排出球数の不一致や、大入賞口32に対する入排出球数の不一致を報知する。また、エラーを検知した場合、エラーの種類を特定可能な情報をRAM64の送信バッファにセットする。これにより、後述する出力処理(S17)によって、エラーの種類を特定可能な情報が枠制御基板73やサブ制御基板100に送信される。
続いて、遊技制御用マイコン61は、電源断監視処理(S16)を行う。遊技制御用マイコン61は、電源断信号を入力した場合、現在の遊技状態に関するデータをRAM64に記憶(バックアップ)するとともに、電源断フラグをオンにする。電源断信号は、所定の電圧が所定時間にわたって検出されない場合に電源基板70から出力される信号である。また、電源基板70は、電源断信号の出力後、主制御基板60、枠制御基板73、サブ制御基板100、画像制御基板260に対してリセット信号を出力し続ける。各制御基板のCPUは、リセット信号を入力している期間中、リセット状態となり、動作を停止する。なお、電圧値が回復するとリセット信号の出力が停止されて各CPUは動作を開始できる状態となる。このとき、その他の制御基板に比して主制御基板60へのリセット信号の出力期間を長くするなどして主制御基板60の起動完了順序が遅くなるようにしてもよい。
その後、遊技制御用マイコン61は、出力処理(S17)を実行し、本処理を終了する。出力処理において遊技制御用マイコン61は、RAM64にセットしたコマンド等をサブ制御基板100及び枠制御基板73に出力する。
(サブ側主制御処理)
次に、
図32に従って、サブ側主制御処理について説明する。
パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、演出制御用マイコン101は、ROM110からサブ側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。
そして、演出制御用マイコン101は、サブ側初期設定処理を実行する(S20)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、SIO、PIO、CTCの設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がオンであり、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S21)、否定判定した場合(S21:No)、RAM120を初期化し(S22)、S23に進む。また、S21において肯定判定した場合(S21:Yes)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化しないでS23に進む。つまり、電源断信号がオンではない場合、または、電源断信号がオンであるがRAM120の内容が正常でない場合には(S21:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化するが、停電等で電源断信号がオンとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S21:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、演出制御用マイコン101も、遊技制御用マイコン61と同様、停電などで電源断信号がオンになると、その時点での演出制御に係るデータがRAM120に記憶(バックアップ)されるものとなっている。つまり、サブ制御基板100においても、復電時にRAM120の初期化が行われない限り、電源断前の状態に復帰する。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS20~S22は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S23)、乱数更新処理を実行する(S24)。この乱数更新処理では、種々の演出選択乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出選択乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。また、「変動演出パターン」は、選択された特図変動パターンに対応して演出表示装置7等で行われる演出内容を特定するパターンである。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S25)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の送信バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板260、音声制御基板78及びランプ制御基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S26)。以降、S23~S26を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S27)、1msタイマ割込処理(S28)及び10msタイマ割込処理(S29)の実行が可能となる。
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S27)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S28,S29)に優先して実行される処理である。
(1msタイマ割込処理)
次に、
図33に従って、1msタイマ割込処理(S28)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S30)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、演出ボタン検出スイッチ9a、操作ボタン検出スイッチ36aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S31)。この出力処理では、RAM120の送信バッファにセットされる変動演出開始コマンドを画像制御基板260に出力する。変動演出開始コマンドとは、選択した演出図柄と変動演出パターンの表示を演出表示装置7に開始させるためのコマンドである。また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S43)等で作成したランプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるために、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S44)等で作成した音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から音声を出力させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体15を駆動させるために、駆動データ(可動体15を駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体15を所定の動作パターンで駆動させる。
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定する(S32)。演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場合(S32:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S33)。続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S34)。S34の終了後、又は変動演出開始コマンドを出力していないと判定した場合(S32:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
(10msタイマ割込処理)
次に、
図34に従って、10msタイマ割込処理(S29)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、まず、受信コマンド解析処理を実行し(S40)、その後、スイッチ状態取得処理を実行する(S41)。受信コマンド解析処理において演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61から特図用の変動開始コマンドを受信しているかを判定し、受信している場合には、変動演出パターン選択処理を実行する。また、演出制御用マイコン101は、特図用の変動開始コマンドに基づき、演出図柄による図柄組み合わせを決定する。そして、演出制御用マイコン101は、選択した演出図柄と変動演出パターンの表示を演出表示装置7に開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。
また、演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61からオープニングコマンドを受信しているかを判定し、受信している場合にはオープニング演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出を選択し、選択した内容のオープニング演出を開始するためのオープニング演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。また、ラウンド指定コマンドを受信している場合にはラウンド演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したラウンド指定コマンドと対応付けられているラウンド演出を選択し、選択した内容のラウンド演出を開始するためのラウンド演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。また、演出制御用マイコン101は、エンディングコマンドを受信している場合にはエンディング演出選択処理を実行する。演出制御用マイコン101は、受信したエンディングコマンドと対応付けられているエンディング演出を選択し、選択した内容のエンディング演出を開始するためのエンディング演出コマンドをRAM120の送信バッファにセットする。
また、スイッチ状態取得処理において演出制御用マイコン101は、1msタイマ割込処理の入力処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S42)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S43)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2b、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S44)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S45)、本処理を終了する。その他の処理(S45)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。
[枠制御用マイコン73aの主な処理]
次に、枠制御用マイコン73aが実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(枠側主制御処理)
最初に、
図35に従って、枠側主制御処理の内容について説明する。
メイン側主制御処理(
図30)と同じように、パチンコ遊技機1の電源がオンされて電源基板70より電力供給を受けると、枠制御用マイコン73aは、ROM73cから枠側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。枠制御用マイコン73aは、最初に枠側初期設定処理を行う(S50)。S50の処理は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
枠側初期設定処理では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU73bの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。
また、遊技球数クリアスイッチSW1を操作した状態で電源がオンされると遊技球数クリア信号が枠制御基板73に送信されるため、枠側初期設定処理において、枠制御用マイコン73aは、RAM73dに記憶していた遊技球数に係る情報の初期化を指示する。一方、遊技球数クリアスイッチSW1を操作せずに電源がオンされると、枠制御用マイコン73aは、バックアップ領域に記憶される遊技球数に基づいて、電源断時の遊技球数を復旧させる。
また、RAMクリアスイッチ66を操作した状態で電源がオンされた場合、枠制御基板73にもRAMクリア信号が送信されるため、枠制御用マイコン73aは、全てのRAM領域の初期化を指示する。一方、RAMクリアスイッチ66が操作されずに電源がオンされた場合、枠制御用マイコン73aは、バックアップ領域に記憶される情報に基づいて、電源断時の状態の復旧を試みる。このとき、枠制御用マイコン73aは、電源断時の状態の一例として遊技球数に係る情報を復旧する。
(遊技球数に係る情報の復旧)
具体的に説明すると、枠制御基板73のRAM73dには、遊技球数が増減する度に遊技球数を16進数に置換し、記憶する第1記憶領域と、遊技球数が増減した場合及び電源断が発生した場合に第1記憶領域の数値を加算して「検証値」として記憶する第2記憶領域と、バックアップ領域と、が設定されている。なお、バックアップ領域に記憶される値は、第1記憶領域に記憶される値と同一である。
第1記憶領域は3バイトで構成され、第2記憶領域は1バイトで構成される。前述したように、枠制御用マイコン73aは、遊技球数が増減する度に遊技球数を16進数に置換し、第1記憶領域に記憶する。例えば、増減後の遊技球数が「74565」である場合、3バイトで構成される第1記憶領域に記憶させるために、「74565」が「012345H」に置換される。また、枠制御用マイコン73aは、遊技球数が増減した場合及び電源断が発生した場合、第2記憶領域は1バイトで構成されるため、第1記憶領域(3バイト)の合計値を第2記憶領域に記憶させる。例えば、第1記憶領域に「012345H」が記憶されている場合、枠制御用マイコン73aは、1バイトに収まるよう、「012345H」を「01H+23H+45H=69H」として第2記憶領域に記憶させる。
そして、枠制御用マイコン73aは、枠側初期設定処理(S50)において、すなわち電源投入時において、第1記憶領域(3バイト)と同じ数値が記憶されているバックアップ領域の値を1バイトに収まるように加算し、その加算結果が第2記憶領域に記憶した検証値(1バイト)と一致する否かを判定する。一致する場合、枠制御用マイコン73aは、電源断時にRAM73dに保存した遊技球数が正常であるとし、バックアップ領域に保存された情報に従って、電源断前の遊技球数を復元する。その後、枠制御用マイコン73aは、電源断フラグをオフにする。
一方、バックアップ領域の加算結果と検証値が一致しない場合、枠制御用マイコン73aは、電源断時にRAM73dに保存した遊技球数が正常でないとし、RAM73dに記憶された遊技球数に係る情報を初期化して「0」とする。つまり、遊技球数クリアスイッチSW1が操作されたときと同じ作用が生じる。
第1記憶領域は3バイトで構成されるため、1バイトで構成される第2記憶領域よりも表示桁数が多い。つまり、ノイズやRAM異常が発生した場合、数値変更の影響を受ける表示桁数が第2記憶領域よりも多い分、ノイズやRAM異常が発生した場合に影響を受ける可能性が高い。一方、第2記憶領域では、前述したように1バイトに収まるように第1記憶領域の値が加算され、記憶される。つまり、ノイズやRAM異常が発生したとしても、数値変更の影響を受ける表示桁数が少ない分、ノイズやRAM異常が発生した場合に得異常を受ける可能性が第1記憶領域よりも低い。したがって、遊技球数を1バイトで表した値は検証値として有効である。
なお、遊技球数の改ざんが生じているか否かをチェックすることができれば、検証値の算出方法は前述の例に限られない。例えば、バックアップ領域の値を加算した後、さらに一定値を加算し、第2記憶領域の検証値と、バックアップ領域の値の加算値の差分が一定値ではない場合に「正常でない」と判断し、遊技球数を「0」にリセットするようにしてもよい。また、バックアップ領域の値は第1記憶領域の値と同一であるため、バックアップ領域を設けず、電源投入時において、第1記憶領域の値を加算した値と第2記憶領域の検証値を比較し、遊技球数が正常であるか否かを判断するようにしてもよい。
図35の説明に戻り、枠制御用マイコン73aは、割込禁止を実行し(S51)、出力処理(S52)を実行する。出力処理において枠制御用マイコン73aは、RAM73dの送信バッファにセットされた信号(データ・情報)を、主制御基板60、遊技球数表示器18b、発射装置27に送信する。出力処理において枠制御用マイコン73aは、カードユニット300にも、RAM73dの送信バッファにセットされた信号(データ・情報)を送信する。前述したように、球貸が要求されたことを示す情報を受信したことを示す情報、計数ボタン33の操作によって管理カードに記憶させる遊技球数を示す情報、遊技機設置情報、セキュリティ情報などである。前述したように、本実施形態におけるセキュリティ情報の通信間隔は300ms周期である。
その後、枠制御用マイコン73aは、割込許可を実行する(S53)。割込許可中は、枠側タイマ割込処理(S54)の実行が可能となる。枠側タイマ割込処理(S54)は、例えば、4msec周期でCPU73bに対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU73bに割込パルスが入力された場合は、枠側タイマ割込処理(S54)は直ぐには開始されず、割込許可(S53)が実行されてから開始される。
(枠側タイマ割込処理)
次に、
図36に従って、枠側タイマ割込処理(S54)の内容について説明する。
まず、枠制御用マイコン73aは、入力処理を実行する(S60)。入力処理では、主に各種検知信号や各種コマンドを読み込み、これらの信号やコマンドで特定される情報を記憶する。
次に、枠制御用マイコン73aは、発射制御処理を実行する(S61)。発射制御処理は、遊技球を発射させることができる状態であるか否かを判断し、発射させることができる場合には発射装置27に遊技球を発射させる処理である。
次に、枠制御用マイコン73aは、遊技球数管理処理を実行する(S62)。遊技球数管理処理は、遊技球数を制御・管理するための処理である。例えば、球貸ボタン304が操作されたことを示す信号がカードユニット300から送信されると、枠制御用マイコン73aは、当該信号に従って、遊技者に貸し出す貸球数を遊技球数として加算する。このとき、枠制御用マイコン73aは、更新後の値を遊技球数表示器18bに表示させる。また、計数ボタン33が操作されたことを示す信号を受信すると、枠制御用マイコン73aは、当該信号に従って、遊技球数から一定数を減算する。前述したように、計数ボタン33の操作態様によって管理カードに記憶させる遊技球数が異なるため、枠制御用マイコン73aは、計数ボタン33が操作されたことを示す信号がオンとなっている時間の長短より操作態様の違いを把握し、その操作態様の違いに合った数だけ遊技球数を減算する。また、発射球センサ180aから検知信号を入力した場合、枠制御用マイコン73aは、遊技球数を1減算する。また、戻り球センサ182aから検知信号を入力した場合、枠制御用マイコン73aは、遊技球数を1加算する。また、主制御基板60から賞球コマンドを入力した場合、枠制御用マイコン73aは、賞球コマンドで特定される情報に従って、遊技球数を加算する。
また、枠制御用マイコン73aは、更新後の遊技球数を遊技球数表示器18bに表示させる。また、枠制御用マイコン73aは、球貸ボタン304や計数ボタン33等の操作、又は入賞口への入賞に基づいて遊技球数が増減した場合、その遊技球数をカードユニット300に把握させるため、遊技球数に係る情報をRAM73dの送信バッファにセットする。これにより、前述した出力処理(S52)によって、遊技球数を特定可能な情報が主制御基板60やカードユニット300に送信される。
さらに、枠制御用マイコン73aは、前述したように、遊技球数が増減する度に遊技球数を16進数に変換し、3バイトで構成される第1記憶領域で記憶するとともに、第1記憶領域の合計値を、1バイトで構成される第2記憶領域に記憶する。
次に、枠制御用マイコン73aは、後述するファール球検知処理(
図37)を実行する(S63)。
続いて、枠制御用マイコン73aは、後述する空発射管理処理(
図38)を実行する(S63)。
次に、枠制御用マイコン73aは、エラー検知処理を行う(S65)。エラー検知処理では、エラー(不正行為)の有無を検知して、その検知結果に基づいてエラーの発生を枠基板表示器73fに表示させる等の処理を行う。具体的には、枠制御用マイコン73aは、枠制御基板73に接続されている各種センサからの検知信号及び主制御基板60から送信されるエラー情報より、エラーの発生を判定する。
また、エラーを検知した場合、エラーの種類を特定可能な情報をRAM73dの送信バッファにセットする。これにより、前述した出力処理(S52)によって、エラーの種類を特定可能な情報がサブ制御基板100やカードユニット300に送信される。サブ制御基板100に送信されたエラー情報は、画像制御基板260に送信され、演出表示装置7で報知される場合がある。また、枠制御用マイコン73aは、特定したエラーを示す情報(エラーコード等)を表示させるよう、枠基板表示器73fの表示内容を制御する。
続いて、枠制御用マイコン73aは、電源断監視処理(S66)を行う。枠制御用マイコン73aは、電源断信号を入力した場合、電源断時の状態に関するデータをRAM73dに記憶(バックアップ)するとともに、電源断フラグをオンにする。このとき、枠制御用マイコン73aは、前述したように、RAM73dの第1記憶領域の合計値を第2記憶領域に記憶する。その後、枠制御用マイコン73aは、その他の処理を実行し(S67)、本処理を終了する。その他の処理では、RAM73dに設けられているタイマの更新などが行われる。
【0023】
(ファール球検知処理)
次に、
図37に従って、ファール球検知処理(S63)の内容について説明する。
枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出したか否か判定する(S100)。この際、枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出したと判定した場合(S100:YES)に、発射球数HKに1を加算する(S102)。これにより、発射装置27により発射された遊技球の数が累積的にカウントされる。なお、発射球数HKは枠側初期設定(S50)において0にリセットされている。また、枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出したと判定していない場合(S100:NO)に、S102の処理をスキップし、発射球数HKに1を加算しない。
続いて、枠制御用マイコン73aは、戻り球センサ182aが遊技球の通過を検出したか否か判定する(S104)。この際、枠制御用マイコン73aは、戻り球センサ182aが遊技球の通過を検出したと判定した場合(S104:YES)に、ファール球数FKに1を加算する(S106)。これにより、発射装置27により発射された遊技球が遊技領域3に至らずに戻り流路182に戻ったファール球の数が累積的にカウントされる。なお、ファール球数FKは枠側初期設定(S50)において0にリセットされている。また、枠制御用マイコン73aは、戻り球センサ182aが遊技球の通過を検出したと判定していない場合(S104:NO)に、S106の処理をスキップし、ファール球数FKに1を加算しない。
次に、枠制御用マイコン73aは、発射球数HKが100を超えたか否かを判定する(S108)。この際、枠制御用マイコン73aは、発射球数HKが100を超えていないと判定した場合(S108:NO)に、ファール球数FKが10であるか否かを判定する(S110)。そして、枠制御用マイコン73aは、ファール球数FKが10であると判定した場合(S110:YES)に、ファール球エラーコマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S112)。これにより、前述した出力処理(S52)によって、ファール球エラーコマンドがサブ制御基板100に送信される。サブ制御基板100に送信されたファール球エラーコマンドは、画像制御基板260に送信され、ファール球が多く発生している旨のコメントが演出表示装置7に表示され、エラー報知される。そして、枠制御用マイコン73aは、発射球数HKを0にリセットし(S114)、ファール球数FKを0にリセットして(S116)、本処理を終了する。
また、枠制御用マイコン73aは、S110でファール球数FKが10でないと判定した場合(S110:NO)に、本処理を終了する。
また、枠制御用マイコン73aは、S108で発射球数HKが100を超えていると判定した場合(S108:YES)に、発射球数HKを0にリセットし(S114)、ファール球数FKを0にリセットして(S116)、本処理を終了する。
【0024】
このように、ファール球検知処理が実行されることで、ファール球が多く発生していることを遊技者に報知することが可能となる。ファール球は、発射装置27により発射された遊技球が遊技領域3に至らずに、戻り流路182に戻る遊技球であり、ファール球が多く発生すると、発射装置27による発射を適切に行うことができなくなる虞や、管理球数を不正に変更させようとする虞もある。このようなことに鑑みて、パチンコ遊技機1では、発射球数HKが100個に至る前に、ファール球が10個発生した場合に、エラー報知が行われる。これにより、ファール球の発生を抑制し、発射装置27による遊技球の適切な発射を担保するとともに、管理球数の不正な変更を防止することが可能となる。
【0025】
(空発射管理処理)
次に、
図38に従って、空発射管理処理(S64)の内容について説明する。
枠制御用マイコン73aは、管理球数が0であるか否かを判定する(S120)。この際、枠制御用マイコン73aは、管理球数が0でないと判定した場合(S120:NO)に、本処理を終了する。一方、枠制御用マイコン73aは、管理球数が0であると判定した場合(S120:YES)に、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出したか否か判定する(S122)。この際、枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出したと判定した場合(S122:YES)に、空発射エラーコマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S128)。
また、枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aが遊技球の通過を検出していないと判定した場合(S122:NO)に、主制御基板60から賞球コマンドを受信したか否かを判定する(S124)。この際、枠制御用マイコン73aは、主制御基板60から賞球コマンドを受信したと判定した場合(S124:YES)に、空発射エラーコマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S128)。
また、枠制御用マイコン73aは、主制御基板60から賞球コマンドを受信していないと判定した場合(S124:NO)に、主制御基板60から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S126)。この際、枠制御用マイコン73aは、主制御基板60から変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S126:YES)に、空発射エラーコマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S128)。なお、枠制御用マイコン73aは、主制御基板60から変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S126:NO)に、本処理を終了する。
S128で空発射エラーコマンドがRAM73dの送信バッファにセットされると、前述した出力処理(S52)によって、空発射エラーコマンドがサブ制御基板100に送信される。サブ制御基板100に送信された空発射エラーコマンドは、画像制御基板260に送信され、管理球数が0であるにも関わらず、遊技球が発射された旨のコメントが演出表示装置7に表示され、エラー報知される。そして、空発射エラーコマンドがRAM73dの送信バッファにセットされると、枠制御用マイコン73aは、コマンドセット回数KSに1を加算する(S130)。なお、コマンドセット回数KSは枠側初期設定(S50)において0にリセットされている。これにより、空発射エラーコマンドが送信バッファにセットされた回数、つまり、管理球数が0であるにも関わらず遊技球が発射された旨のエラー報知の報知回数が累積的にカウントされる。
続いて、枠制御用マイコン73aは、コマンドセット回数KSが5であるか否かを判定する(S132)。この際、枠制御用マイコン73aは、コマンドセット回数KSが5でない場合(S132:NO)に、本処理を終了する。一方、枠制御用マイコン73aは、コマンドセット回数KSが5である場合(S132:YES)に、発射装置27の作動を停止する(S134)。つまり、枠制御用マイコン73aは、玉送りレバー155及び発射槌167の作動を停止する。これにより、発射位置に遊技球は供給されず、発射槌167により遊技球を発射することができなくなる。さらに、枠制御用マイコン73aは、報知画像表示コマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S112)。これにより、前述した出力処理(S52)によって、報知画像表示コマンドがサブ制御基板100に送信される。サブ制御基板100に送信された報知画像表示コマンドは、画像制御基板260に送信され、管理球数が0であるにも関わらず遊技球が発射される事象が頻発しているため、パチンコ遊技機1での遊技を停止させた旨のコメントが演出表示装置7に表示され、エラー報知される。そして、枠制御用マイコン73aは本処理を終了する。
【0026】
このように、空発射管理処理が実行されることで、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射された場合にエラー報知を行うとともに、そのエラー報知が頻発して発生した場合にパチンコ遊技機1での遊技を停止させることができる。
つまり、管理球数が0であるにも関わらず、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出された場合には、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されたと認定されて、管理球数が0であるにも関わらず、遊技球が発射された旨のコメントがエラー報知される。また、管理球数が0であるにも関わらず、賞球コマンドを受信した場合には、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されて一般入賞口13等の入賞口に入賞したと認定されて、管理球数が0であるにも関わらず、遊技球が発射された旨のコメントがエラー報知される。また、管理球数が0であるにも関わらず、変動開始コマンドを受信した場合には、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されて第1始動口11若しくは第2始動口22に入賞したと認定されて、管理球数が0であるにも関わらず、遊技球が発射された旨のコメントがエラー報知される。このように、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射された場合にエラー報知がなされることで、パチンコ遊技機1が故障している可能性や、管理球数の不正な変更の可能性を報知することが可能となる。
さらに、当該エラー報知の報知回数が累積的にカウントされ、累積的な報知回数が5回になった場合に、パチンコ遊技機1が故障している可能性や、管理球数の不正な変更の可能性が非常に高いと判断され、玉送りレバー155及び発射槌167の作動が停止する。これにより、当該エラー報知の発生頻度が高い場合に、パチンコ遊技機1が故障している可能性や、管理球数の不正な変更の可能性が非常に高いと判断され、パチンコ遊技機1での遊技を停止することが可能となる。
【0027】
また、パチンコ遊技機1では、アウト口19を通過する遊技球を検出するためのアウト口センサは設けられていないが、アウト口センサをアウト口19に配設して、アウト口センサの検出値に基づいて、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されたか否かを判定することが可能となる。
詳しくは、例えば、S126で枠制御用マイコン73aが、主制御基板60から変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S126:NO)に、アウト口センサが遊技球の通過を検出したか否かを判定する。ただし、枠制御用マイコン73aは、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出されたタイミングから設定時間、経過後に、アウト口センサが遊技球の通過を検出したか否かを判定する。ここでの設定時間は、遊技球が発射装置27により発射されてからアウト口19に至るまでの時間が設定される。つまり、例えば、パチンコ遊技機1において、遊技球が発射装置27により発射されてからアウト口19に至るまでの時間が複数回、実測されて、それら複数回の実測時間の平均時間が設定時間として設定される。このように、設定時間が設定され、発射球センサ180aにより遊技球の通過が検出されたタイミングから設定時間、経過後に、アウト口センサが遊技球の通過を検出した場合に、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されたと認定されて、枠制御用マイコン73aは、空発射エラーコマンドをRAM73dの送信バッファにセットする(S128)。これにより、アウト口センサの検出値に基づいて、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射されたことを認定し、その旨を遊技者に報知することが可能となる。
【0028】
また、空発射管理処理では、管理球数が0であるにも関わらず、発射装置27により遊技球が発射された場合に、エラー報知されているが、
図39に示す発射槌停止処理では、管理球数が0である場合に、発射槌167の作動を停止させることも可能である。
以下に、
図39に従って、発射槌停止処理(S64)の内容について説明する。
まず、パチンコ遊技機1では、玉送りレバー155の揺動を検出するレバーセンサは設けられていないが、発射槌停止処理が実行される場合にはレバーセンサが配設される。レバーセンサにより玉送りレバー155の揺動が検出された場合には、玉送りレバー155が受取位置から供給位置に揺動して、遊技球が発射位置に供給される。このため、レバーセンサにより遊技球が発射位置に供給されたか否かを検出することができる。そこで、発射槌停止処理において、枠制御用マイコン73aは、レバーセンサが玉送りレバー155の揺動を検出したか否か判定する(S150)。この際、枠制御用マイコン73aは、レバーセンサが玉送りレバー155の揺動を検出したと判定した場合(S150:YES)に、発射位置球数IKに1を加算する(S152)。なお、発射位置球数IKは枠側初期設定(S50)において0にリセットされている。このため、発射位置球数IKに1が加算されると、発射位置球数IKは「1」となり、発射位置に遊技球が1個、供給されたことがわかる。なお、枠制御用マイコン73aは、レバーセンサが玉送りレバー155の揺動を検出していないと判定した場合(S150:NO)に、S152の処理をスキップする。
次に、枠制御用マイコン73aは、排出口センサHaが遊技球の通過を検出したか否か判定する(S154)。この際、枠制御用マイコン73aは、排出口センサHaが遊技球の通過を検出したと判定した場合(S154:YES)に、発射位置球数IKから1を減算する(S156)。排出口センサHaは、排出経路に配設されており、パチンコ遊技機1における全ての入球口(第1始動口11、一般入賞口13、第2始動口22、大入賞口32、及びアウト口19)に入賞した遊技球は、必ず排出経路を通過する。このため、排出口センサHaにより遊技球の通過が検出された場合に、発射位置から遊技球が遊技領域3に発射されて、排出経路に至ったこと分かる。このため、発射位置球数IK(=1)から1が減算されることで、発射位置球数IKは「0」となり、発射位置に遊技球が無いことがわかる。なお、枠制御用マイコン73aは、排出口センサが遊技球の通過を検出していないと判定した場合(S154:NO)に、S156の処理をスキップする。
続いて、枠制御用マイコン73aは、管理球数が0であるか否かを判定する(S158)。この際、枠制御用マイコン73aは、管理球数が0であると判定した場合(S158:YES)に、発射位置球数IKが0であるか否かを判定する(S162)。そして、枠制御用マイコン73aは、発射位置球数IKが0であると判定した場合(S162:YES)に、発射槌167の作動を停止させる(S164)。つまり、管理球数が0であり、発射位置球数IKが0である場合、つまり、発射位置に遊技球が無い場合に、発射槌167の作動が停止する。これにより、発射槌167を作動させる必要がない状態において、発射槌167の作動を停止させることで、発射槌167の空打ち動作を防止することができる。
一方、枠制御用マイコン73aは、発射位置球数IKが0でないと判定した場合(S162:NO)に、S164の処理をスキップして、発射槌167の作動を停止させない。つまり、管理球数が0であるが、発射位置球数IKが0でない場合には、発射位置に遊技球がある。例えば、管理球数での最後の1個の遊技球がファール球として発射位置に戻った場合には、管理球数が0であるが、発射位置球数IKが0でなく、発射位置にファール球が戻っている。このため、発射槌167の作動を停止させないことで、発射位置に戻ったファール球を発射槌167により打ち出すことができる。
また、S158で管理球数が0でないと判定された場合(S158:NO)に、枠制御用マイコン73aは、パチンコ遊技機1が遊技停止状態であるか否かを判定する(S160)。枠制御用マイコン73aは、主制御基板60から不正検知信号やコンプリート信号を受信することで、パチンコ遊技機1が遊技停止状態であるか否かを判定することができる。このため、枠制御用マイコン73aは、パチンコ遊技機1が遊技停止状態であると判定した場合(S160:YES)に、発射位置球数IKが0であるか否かを判定する(S162)。そして、枠制御用マイコン73aは、発射位置球数IKが0であると判定した場合(S162:YES)に、発射槌167の作動を停止させる(S164)。つまり、パチンコ遊技機1が遊技停止状態であり、発射位置球数IKが0である場合、つまり、発射位置に遊技球が無い場合に、発射槌167の作動が停止する。これにより、発射槌167を作動させる必要がない状態において、発射槌167の作動を停止させることで、発射槌167の空打ち動作を防止することができる。
一方、枠制御用マイコン73aは、発射位置球数IKが0でないと判定した場合(S162:NO)に、S164の処理をスキップして、発射槌167の作動を停止させない。つまり、パチンコ遊技機1が遊技停止状態であるが、発射位置球数IKが0でない場合には、発射位置に遊技球がある。例えば、管理球数での最後の1個の遊技球がファール球として発射位置に戻った場合には、管理球数が0であるが、発射位置球数IKが0でなく、発射位置にファール球が戻っている。このため、発射槌167の作動を停止させないことで、発射位置に戻ったファール球を発射槌167により打ち出すことができる。
【0029】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、発射装置27が、発射位置に位置する遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向けて発射する発射槌167と、発射槌167を作動させるロータリーソレノイド177と、発射槌167及びロータリーソレノイド177の遊技者側に配設され、発射位置に遊技球を供給するための遊技球通路154と、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設される防磁板250とを備えている。これにより、ロータリーソレノイド177からの遊技球通路154への漏れ磁束を防ぐことが可能となり、遊技球通路154を通過する遊技球への漏れ磁束の影響が低減し、遊技球通路154での遊技球の停止を防止することができる。
(2)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、ロータリーソレノイド177が発射槌167を軸中心に揺動させ、防磁板250が、少なくとも発射槌167の軸と遊技球通路154との間に配設されている。これにより、発射槌167の軸の周囲から漏れるロータリーソレノイド177による磁束の影響を防磁板250により適切に防ぐことが可能となる。
(3)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、発射槌167の揺動軸169は、遊技球通路154の長手方向での中心から下流側にズレた位置に配設されている。このような構造の発射装置において、防磁板250が少なくとも発射槌167の軸と遊技球通路154との間に配設される効果を充分に発揮することができる。
(4)また、上述した実施形態のパチンコ遊技機1では、防磁板250が、遊技球通路154の長手方向に沿って、発射槌167及びロータリーソレノイド177と遊技球通路154との間に配設されている。これにより、遊技球通路154を通過する遊技球への漏れ磁束の影響を適切に軽減することができる。
【0030】
〈他の実施形態〉
(1)前述した実施形態では、発射槌167を作動させるアクチュエータとしてロータリーソレノイド177が採用されているが、発射槌167の作動により遊技球を発射可能なアクチュエータであれば、種々の構造のものを採用することができる。
(2)また、前述した実施形態では、均一な板厚の防磁板250が採用されているが、厚みの異なる防磁板が採用されてもよい。このような場合には、漏れ磁束が多いと推定される箇所、例えば、発射槌167の揺動軸169に相当する箇所の防磁板の厚みを厚くすることで、漏れ磁束の影響を防磁板250により適切に防ぐことが可能となる。
(3)また、前述した実施形態でのパチンコ遊技機1は、所謂、封入式パチンコ遊技機(管理遊技機)であるが、内部に貯留されている遊技球が外部に排出される遊技機、所謂、非封入式パチンコ遊技機であってもよい。
(4)また、前述した実施形態でのパチンコ遊技機1は、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機であってもよいし、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)や転落機(抽選結果によって高確率状態が終了する遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 パチンコ遊技機
2 遊技盤
3 遊技領域
27 発射装置
154 遊技球通路
167 発射槌
177 ロータリーソレノイド
250 防磁板