IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧 ▶ 日鉄住金環境プラントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-酸素濃縮装置 図1
  • 特開-酸素濃縮装置 図2
  • 特開-酸素濃縮装置 図3
  • 特開-酸素濃縮装置 図4
  • 特開-酸素濃縮装置 図5
  • 特開-酸素濃縮装置 図6
  • 特開-酸素濃縮装置 図7
  • 特開-酸素濃縮装置 図8
  • 特開-酸素濃縮装置 図9
  • 特開-酸素濃縮装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116771
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20240821BHJP
   C01B 13/02 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B01D53/047
C01B13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022571
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506000128
【氏名又は名称】日鉄環境エネルギーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 孝樹
(72)【発明者】
【氏名】村山 健吾
(72)【発明者】
【氏名】上野 大
(72)【発明者】
【氏名】山平 祐貴
【テーマコード(参考)】
4D012
4G042
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012CA01
4D012CA05
4D012CB16
4D012CD07
4D012CE02
4D012CF02
4D012CF05
4D012CG01
4D012CJ03
4D012CJ07
4D012CK08
4D012CK10
4G042BA15
4G042BB02
(57)【要約】
【課題】本開示は、吸着槽内への水分の侵入を抑制することが可能な酸素濃縮装置を説明する。
【解決手段】酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、吸着槽の下部から吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、吸着槽で生成された酸素を吸着槽の上部から排出するように構成された排出部とを備える。排出部は、吸着槽の上部に接続され且つ吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、配管に設けられた開閉バルブとを含む。開閉バルブは、弁軸と、弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、弁軸のうち本体部から露出した第2の部分に接続され且つ弁軸を動作させるように構成された駆動部と、弁軸の第2の部分を覆い且つ当該第2の部分を外部空間から隔絶するように、本体部と駆動部との間に配置された、封鎖部材とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、
前記吸着槽の下部から前記吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、
前記吸着材に吸着された窒素を前記吸着材から脱着して、前記吸着槽の下部から排気するように構成された排気部と、
前記吸着槽で生成された酸素を前記吸着槽の上部から排出するように構成された排出部とを備え、
前記排出部は、
前記吸着槽の上部に接続され且つ前記吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、
前記配管に設けられた開閉バルブとを含み、
前記開閉バルブは、
弁軸と、
前記弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、
前記本体部内に配置され且つ前記弁軸のうち前記本体部内に位置する第1の部分と接続された弁と、
前記弁軸のうち前記本体部から露出した第2の部分に接続され且つ前記弁軸を動作させるように構成された駆動部と、
前記弁軸の第2の部分を覆い且つ当該第2の部分を外部空間から隔絶するように、前記本体部と前記駆動部との間に配置された、封鎖部材とを含む、酸素濃縮装置。
【請求項2】
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、
前記吸着槽の下部から前記吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、
前記吸着材に吸着された窒素を前記吸着材から脱着して、前記吸着槽の下部から排気するように構成された排気部と、
前記吸着槽で生成された酸素を前記吸着槽の上部から排出するように構成された排出部と、
ドライガスを供給するように構成されたガス供給部を備え、
前記排出部は、
前記吸着槽の上部に接続され且つ前記吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、
前記配管に設けられた開閉バルブとを含み、
前記開閉バルブは、
弁軸と、
前記弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、
前記本体部内に配置され且つ前記弁軸のうち前記本体部内に位置する第1の部分と接続された弁と、
前記弁軸のうち前記本体部から露出した第2の部分に接続され且つ前記弁軸を動作させるように構成された駆動部と、
前記弁軸の第2の部分を覆うように、前記本体部と前記駆動部との間に配置された、カバー部材とを含み、
前記ガス供給部は、前記カバー部材の内外の空間を連通するように前記カバー部材に設けられた連通部を通じて、前記ドライガスを前記カバー部材の内部空間に供給するように構成されている、酸素濃縮装置。
【請求項3】
前記挿通孔を通じた前記本体部内への外気の流入を検出するように構成された検出部と、
制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記検出部による外気の流入量が所定の閾値を超えたと判断した場合に、所定の報知を行うように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記排出部から排出された酸素の濃度を測定するように構成された測定部と、
制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記測定部による酸素の濃度が所定の閾値以下であると判断した場合に、所定の報知を行うように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧力スイング吸着型の酸素濃縮装置を開示している。当該酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された2つの吸着槽と、これらの吸着槽に原料空気を供給するように構成された供給部と、吸着材に吸着された窒素を吸着材から脱着して吸着槽の外部に排出するように構成された排気部とを備える。当該酸素濃縮装置では、一方の吸着槽において、供給部によって供給された原料空気の窒素を吸着材で吸着して、原料空気から酸素を分離する処理と、他方の吸着槽において、吸着材に吸着された窒素を排気部によって脱着する処理とが、2つの吸着槽で交互に繰り返される。これにより、高濃度の酸素が連続的に生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-006256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、吸着槽内への水分の侵入を抑制することが可能な酸素濃縮装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
酸素濃縮装置の一例は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、吸着槽の下部から吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、吸着槽で生成された酸素を吸着槽の上部から排出するように構成された排出部とを備える。排出部は、吸着槽の上部に接続され且つ吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、配管に設けられた開閉バルブとを含む。開閉バルブは、弁軸と、弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、本体部内に配置され且つ弁軸のうち本体部内に位置する第1の部分と接続された弁と、弁軸のうち本体部から露出した第2の部分に接続され且つ弁軸を動作させるように構成された駆動部と、弁軸の第2の部分を覆い且つ当該第2の部分を外部空間から隔絶するように、本体部と駆動部との間に配置された、封鎖部材とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る酸素濃縮装置によれば、吸着槽内への水分の侵入を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、酸素濃縮装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、下流側バルブの一例を部分的に破断して示す斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線断面図である。
図4図4は、図1の酸素濃縮装置の動作を説明するための概略図である。
図5図5は、図1の酸素濃縮装置の動作を説明するための概略図である。
図6図6は、図1の酸素濃縮装置の動作を説明するための概略図である。
図7図7は、図1の酸素濃縮装置の動作を説明するための概略図である。
図8図8は、下流側バルブの他の例を、図2のIII-III線で破断した様子を示す断面図である。
図9図9は、下流側バルブにおけるリークを検出する様子を説明するための斜視図である。
図10図10は、酸素濃縮装置において製造された酸素の濃度の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0009】
[酸素濃縮装置の構成]
まず、図1を参照して、酸素濃縮装置1の構成について説明する。酸素濃縮装置1は、図1に例示されるように、圧力スイング吸着型である。酸素濃縮装置1は、2つの吸着槽10A,10Bと、供給部20(空気供給部)と、排気部30と、排出部40と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0010】
2つの吸着槽10A,10Bは、図1の例において、左右に並んで配置されている。図1の例では、吸着槽10Aが左側に位置し、吸着槽10Bが右側に位置している。以下では、2つの吸着槽10A,10Bをまとめて、単に「吸着槽10」と称することがある。吸着槽10は、本体11と、本体11内に収容された吸湿剤12、吸着材13及び押さえ部材14とを含む。
【0011】
本体11は、筒状を呈しており、両端部が閉塞されている。吸湿剤12は、本体11内の下部に収容されている。吸湿剤12は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)であってもよい。吸湿剤12の形態は、例えば、粒状、塊状、繊維状、球状などであってもよい。
【0012】
吸着材13は、本体11内に収容されており、吸湿剤12上に配置されている。吸着材13は、酸素よりも窒素を優先的に吸着するように構成されている。そのため、吸着槽10の下部から原料空気が供給されると、原料空気に含まれる窒素は吸着材13に吸着されるが、原料空気に含まれる酸素は、吸着材13にほとんど又は全く吸着されず、吸着槽10の上部から排出される。
【0013】
吸着材13は、例えば、天然物系吸着材であってもよいし、合成物系吸着材であってもよい。天然物系吸着材は、例えば、天然ゼオライトなどを含んでいてもよい。合成物系吸着材は、例えば、合成ゼオライト、モレキュラーシーブなどを含んでいてもよい。吸着材13の形態は、例えば、粒状、塊状、繊維状、球状などであってもよい。
【0014】
押さえ部材14は、本体11内に収容されており、吸着材13上に配置されている。押さえ部材14は、吸湿剤12及び吸着材13が本体11内において飛散しないように、これらに対して上方から荷重を付与するように構成されている。押さえ部材14は、例えば、セラミックスであってもよい。押さえ部材14の形態は、例えば、粒状、塊状、繊維状、球状などであってもよい。
【0015】
供給部20は、吸着槽10の下部から吸着槽10に原料空気を供給するように構成されている。供給部20は、供給源21と、ブロワ22と、2つのバルブV21,V22と、配管D21~D25とを含む。
【0016】
供給源21は、原料空気の供給源である。ブロワ22は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、供給源21から吸引した原料空気を、2つのバルブV21,V22及び配管D21~D25を介して、吸着槽10A,10Bのそれぞれに送気するように構成されている。バルブV21,V22は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて開閉するように構成されている。
【0017】
配管D21は、上流側から順に、供給源21及びブロワ22を接続している。配管D21の下流端は、配管D22の上流端及び配管D24の上流端に接続されている。配管D22には、バルブV21が設けられている。配管D22の下流端は、配管D23の上流端に接続されている。配管D23は、配管D22と、吸着槽10Aの下部とを接続している。
【0018】
配管D24には、バルブV22が設けられている。配管D24の下流端は、配管D25の上流端に接続されている。配管D25は、配管D24と、吸着槽10Bの下部とを接続している。
【0019】
排気部30は、吸着材13に吸着された窒素を吸着材13から脱着して、吸着槽10の下部から排気するように構成されている。排気部30は、真空ポンプ31と、2つのバルブV31,V32と、配管D31~D33とを含む。
【0020】
真空ポンプ31は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管D31~D33及び2つのバルブV31,V32を介して、吸着槽10A,10Bのそれぞれから気体を排出するように構成されている。バルブV31,V32は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて開閉するように構成されている。
【0021】
配管D31には、バルブV31が設けられている。配管D31の一端は、配管D22の下流端及び配管D23の上流端に接続されている。配管D32には、バルブV32が設けられている。配管D32の一端は、配管D24の下流端及び配管D25の上流端に接続されている。配管D31の他端と配管D32の他端とは、互いに接続されている。配管D33には真空ポンプ31が設けられている。配管D33の上流端は、配管D31の他端及び配管D32の他端と接続されている。
【0022】
排出部40は、吸着槽10で生成された酸素を吸着槽10の上部から排出するように構成されている。排出部40は、貯留槽41と、ブロワ42と、センサ43(測定部)と、4つのバルブV41~V44(開閉バルブ)と、配管D41~D47とを含む。
【0023】
貯留槽41は、吸着槽10において生成された製品酸素を一時的に貯留するための容器である。貯留槽41は、吸着槽10において酸素が生成されていない間においても、貯留している製品酸素を下流側に供給することが可能とされている。
【0024】
ブロワ42は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、貯留槽41から吸引した製品酸素を、配管D44を介して外部に送気するように構成されている。センサ43は、ブロワ42によって配管D43を流れる製品酸素の酸素濃度を経時的に測定するように構成されている。センサ43によって測定された酸素濃度のデータは、コントローラCtrに送信される。バルブV41~V44は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて開閉するように構成されている。
【0025】
配管D41の一端は、吸着槽10Aの上部に接続されている。配管D41の他端は、配管D42の一端と接続されている。配管D42の他端は、配管D43の一端と接続されている。配管D43の他端は、配管D44の上流端と接続されている。配管D43には、バルブV41が設けられている。
【0026】
配管D45の一端は、吸着槽10Bの上部に接続されている。配管D45の他端は、配管D46の一端と接続されている。配管D46の他端は、配管D47の一端と接続されている。配管D47の他端は、配管D43の他端及び配管D44の上流端と接続されている。配管D47には、バルブV42が設けられている。
【0027】
配管D48の一端は、配管D42の他端及び配管D43の一端と接続されている。配管D48の他端は、配管D46の他端及び配管D47の一端と接続されている。配管D48には、バルブV43が設けられている。
【0028】
配管D49の一端は、配管D41の他端及び配管D42の一端と接続されている。配管D49の他端は、配管D45の他端及び配管D46の一端と接続されている。配管D49には、バルブV44が設けられている。
【0029】
コントローラCtrは、酸素濃縮装置1を全体的に制御するように構成されている。コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、酸素濃縮装置1の各部を動作させるための指示信号を生成し、それらに当該指示信号をそれぞれ送信する。
【0030】
[バルブの詳細]
続いて、図2及び図3を参照して、バルブV21,V22,V31,V32,V41~V44の構成について説明する。以下では、これらのバルブをまとめて、単に「バルブV」と称することがある。
【0031】
バルブVは、図2及び図3に例示されるように、ハウジング51(本体部)と、軸受部52,53と、フランジ54(本体部)と、弁55と、弁軸56と、駆動部57と、封鎖部材58とを含む。
【0032】
ハウジング51は、筒状を呈しており、水平方向に沿って延びている。ハウジング51は、内側空間において弁55を保持するように構成されている。ハウジング51は、図2に例示されるように、円筒形状を呈していてもよい。ハウジング51の内周面には、弁55と接することでハウジング51の内側空間を封止するシール部材(図示せず)が取り付けられている。シール部材は、リング状を呈していてもよい。シール部材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成されていてもよい。
【0033】
軸受部52は、ハウジング51の下部に設けられている。軸受部52は、筒状を呈しており、上下方向に沿って延びている。すなわち、軸受部52には、弁軸56が挿通可能な挿通孔(図示せず)が設けられている。軸受部52は、当該挿通孔に挿通された弁軸56の下端部を、ラジアルベアリング(図示せず)を介して回転可能に保持するように構成されている。
【0034】
軸受部53(本体部)は、ハウジング51の上部に設けられている。軸受部53は、筒状を呈しており、上下方向に沿って延びている。すなわち、図3に例示されるように、軸受部53には、弁軸56が挿通可能な挿通孔Hが設けられている。軸受部53は、図2及び図3に例示されるように、挿通孔Hに挿通された弁軸56の中間部を、ラジアルベアリング(図示せず)を介して回転可能に保持するように構成されている。
【0035】
フランジ54は、軸受部53の上端に設けられている。フランジ54は、封鎖部材58が接続される接続部として機能し、封鎖部材58を支持するように構成されている。フランジ54の中央部には、軸受部53の挿通孔Hが連続的に設けられている。図3の例において、フランジ54及び軸受部53の上端と、弁軸56との間には、シール部材SLが配置されている。
【0036】
シール部材SLは、ハウジング51の内側空間への外気の流入と、ハウジング51の内側空間からの気体の流出とを防ぐように構成されている。シール部材SLは、例えば、Oリングであってもよいし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成されていてもよい。
【0037】
弁55は、図2に例示されるように、ハウジング51の内側空間において開閉動作をするように構成されている。弁55が開放位置にある場合、ハウジング51の前後(上流側及び下流側)の空間が流体的に連通する。一方、弁55が閉塞位置にある場合、ハウジング51の前後(上流側及び下流側)の空間が流体的に塞がれる。
【0038】
弁軸56は、図2及び図3の例において、軸受部52の挿通孔と、軸受部53及びフランジ54の挿通孔Hに挿通された状態で、上下方向に延びている。弁軸56のうちハウジング51の内部空間を通過する部分56a(第1の部分)は、弁55と接続されている。弁軸56のうちフランジ54よりも上方に位置する部分56b(第2の部分)は、ハウジング51の内側空間から露出している。
【0039】
駆動部57は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、弁軸56を回転駆動させるように構成されている。駆動部57は、弁軸56の上端部と接続されている。駆動部57が弁軸56を回転動作させることに伴い、弁55の姿勢が、ハウジング51の内側空間において開放位置と閉塞位置との間で変更される。
【0040】
封鎖部材58は、図2及び図3に例示されるように、フランジ54と駆動部57との間に配置されている。封鎖部材58は、本体部58aと、一対の蓋部58bとを含む。
【0041】
本体部58aは、駆動部57を支持するように構成されている。本体部58aは、筒状を呈しており、水平方向に沿って延びている。そのため、本体部58aの両側方は開口している。図3に特に例示されるように、本体部58aの下壁部はフランジ54と接続されており、本体部58aの上壁部は駆動部57の外壁と接続されている。そのため、本体部58aの内側には、弁軸56の部分56bが位置している。
【0042】
一対の蓋部58bは、本体部58aの各開口を覆うように本体部58aに取り付けられている。図2及び図3に例示されるように、一対の蓋部58bは、本体部58aの各開口を完全に覆っている。そのため、封鎖部材58の内部空間は、外部空間から隔絶されている。換言すれば、封鎖部材58は、弁軸56の部分56bを覆い、且つ、弁軸56の部分56bを外部空間から隔絶している。そのため、封鎖部材58の内部空間に外気が侵入し難くなっている。ただし、本体部58aと弁軸56の部分56bとの間にわずかな隙間が設けられていてもよく、本明細書ではこの場合も、封鎖部材58の内部空間が外部空間から隔絶されている状態というものとする。なお、蓋部58bは、板状を呈していてもよい。蓋部58bは、例えば、金属製(鉄など)であってもよいし、樹脂製(アクリルなど)であってもよい。
【0043】
[酸素濃縮装置の動作]
続いて、図4図7を参照して、酸素濃縮装置1の動作の一例について説明する。なお、図4図7において、太線は、気体が流れている配管を示している。
【0044】
まず、コントローラCtrがブロワ22及び真空ポンプ31に指示して、ブロワ22及び真空ポンプ31を動作させる。この状態で、図4(a)に例示されるように、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV21,V32,V41を開放させると共に、バルブV22,V31,V42~V44を閉塞させる。これにより、配管D21~D23を介して、原料空気がブロワ22によって吸着槽10Aに供給される。吸着槽10Aに原料空気が供給されると、原料空気に含まれる水分が吸湿剤12に吸湿された後、原料空気に含まれる窒素が酸素よりも優先して吸着材13に吸着される。これにより、原料空気から製品酸素が生成される。吸着槽10Aにおいて生成された製品酸素は、吸着槽10Aの上部から、配管D41~D44を介して、貯留槽41に供給される。その後は、コントローラCtrからの指示に基づき、貯留槽41内の製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0045】
一方、真空ポンプ31の動作に伴い、吸着槽10B内が負圧となるので、吸着槽10Bの吸着材13に吸着されている窒素が脱着される。脱着された窒素は、真空ポンプ31により、配管D25,D32,D33を介して外部に排気される。なお、この後、コントローラCtrがバルブV44に指示してバルブV44を開放させ、吸着槽10Aにおいて生成された製品酸素の一部を、吸着槽10Bにも供給してもよい。この場合、吸着槽10B内が製品酸素によって洗浄される。
【0046】
次に、図4(b)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV43を開放させると共に、バルブV21,V41を閉塞させる。このとき、吸着槽10Bの吸着材13に吸着されている窒素が引き続き脱着される。また、吸着槽10B内が負圧となっているので、吸着槽10Aにおいて生成された製品酸素の全量が、吸着槽10Bに供給される。そのため、吸着槽10B内が製品酸素によって洗浄される。なお、このとき、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0047】
次に、図5(a)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV31を開放させると共に、バルブV32を閉塞させる。これにより、吸着槽10Aの吸着材13に吸着されている窒素の脱着が開始される。脱着された窒素は、真空ポンプ31により、配管D23,D31,D33を介して外部に排気される。
【0048】
次に、図5(a)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV22を開放させる。これにより、配管D21,D24,D25を介して、原料空気が吸着槽10Bに供給される。また、前のステップ(図4(a),(b)参照)において、吸着槽10B内が負圧となっているので、吸着槽10Aにおいて生成された製品酸素の全量が、引き続き、吸着槽10Bに供給される。こうして、吸着槽10B内が昇圧される。なお、このときも、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0049】
次に、図5(b)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV43を閉塞させる。これにより、引き続き、配管D21,D24,D25を介して、原料空気が吸着槽10Bに供給される。このため、吸着槽10B内の昇圧が進行する。
【0050】
一方、真空ポンプ31の動作の継続により、吸着槽10A内が負圧となるので、吸着槽10Aの吸着材13に吸着されている窒素が引き続き脱着される。なお、このとき、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0051】
次に、図6(a)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV42を開放させる。これにより、配管D21,D24,D25を介して、原料空気がブロワ22によって吸着槽10Bに供給される。吸着槽10Bに原料空気が供給されると、原料空気に含まれる水分が吸湿剤12に吸湿された後、原料空気に含まれる窒素が酸素よりも優先して吸着材13に吸着される。これにより、原料空気から製品酸素が生成される。吸着槽10Bにおいて生成された製品酸素は、吸着槽10Bの上部から、配管D45~D47,D44を介して、貯留槽41に供給される。その後は、コントローラCtrからの指示に基づき、貯留槽41内の製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0052】
一方、真空ポンプ31の動作の継続により、吸着槽10A内が負圧となるので、吸着槽10Aの吸着材13に吸着されている窒素が引き続き脱着される。なお、この後、コントローラCtrがバルブV44に指示してバルブV44を開放させ、吸着槽10Bにおいて生成された製品酸素の一部を、吸着槽10Aにも供給してもよい。この場合、吸着槽10A内が製品酸素によって洗浄される。
【0053】
次に、図6(b)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV43を開放させると共に、バルブV22,V42を閉塞させる。このとき、吸着槽10Aの吸着材13に吸着されている窒素が引き続き脱着される。また、吸着槽10A内が負圧となっているので、吸着槽10Bにおいて生成された製品酸素の全量が、吸着槽10Aに供給される。そのため、吸着槽10A内が製品酸素によって洗浄される。なお、このとき、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0054】
次に、図7(a)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV32を開放させると共に、バルブV31を閉塞させる。これにより、吸着槽10Bの吸着材13に吸着されている窒素の脱着が開始される。脱着された窒素は、真空ポンプ31により、配管D25,D32,D33を介して外部に排気される。
【0055】
次に、図7(a)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV21を開放させる。これにより、配管D21,D22,D23を介して、原料空気が吸着槽10Aに供給される。また、前のステップ(図6(a),(b)参照)において、吸着槽10A内が負圧となっているので、吸着槽10Bにおいて生成された製品酸素の全量が、引き続き、吸着槽10Aに供給される。こうして、吸着槽10A内が昇圧される。なお、このときも、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。
【0056】
次に、図7(b)に例示されるように、ブロワ22及び真空ポンプ31が動作している状態で、コントローラCtrがバルブVに指示して、バルブV43を閉塞させる。これにより、引き続き、配管D21,D22,D23を介して、原料空気が吸着槽10Aに供給される。これにより、吸着槽10A内の昇圧が進行する。
【0057】
一方、真空ポンプ31の動作の継続により、吸着槽10B内が負圧となるので、吸着槽10Bの吸着材13に吸着されている窒素が引き続き脱着される。なお、このとき、吸着槽10から貯留槽41への製品酸素の供給が一時的に中断されるが、貯留槽41に貯留されている製品酸素がブロワ42によって配管D44を介して外部に送気される。酸素濃縮装置1では、以上の動作が繰り返されることにより、製品酸素が継続的に外部に送気される。そのため、各バルブVは頻繁に(例えば、1分~数分に1回程度)開閉動作をする。
【0058】
[作用]
ところで、バルブVにおいて、シール部材SLによるシールは必ずしも完全なものではない。例えば、真空ポンプ31の動作により吸着槽10内が真空状態となると、配管D41,D42,D45,D46,D48,D49を介して吸着槽10と流体的に連通するバルブV41~V44のハウジング51内も負圧となる。そのため、シール部材SLが変形し、ハウジング51の内側空間に外気が流入することがある。
【0059】
しかしながら、以上の例によれば、封鎖部材58が、弁軸56の部分56bを覆い且つ当該部分56bを外部空間から隔絶するように、フランジ54と駆動部57との間に配置されている。そのため、排気部30の動作に伴い、排出部40が負圧となったとしても、封鎖部材58の外部空間から空気が弁軸56とフランジ54との間(挿通孔H)を通じてハウジング51内に極めて侵入し難くなる。したがって、吸着槽10内への水分の侵入を抑制することが可能となる。
【0060】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0061】
(1)図8に例示されるように、バルブVは、封鎖部材58に代えて、カバー部材59を含んでいてもよい。カバー部材59は、フランジ54と駆動部57との間に配置されている。カバー部材59は、本体部59aと、一対の蓋部59bとを含む。
【0062】
本体部59aは、本体部58aと同様に構成されている。そのため、本体部59aの内側には、弁軸56の部分56bが位置している。
【0063】
一対の蓋部59bは、本体部59aの各開口を部分的に覆うように、本体部59aに取り付けられている。蓋部59bは、本体部59aの開口の80%以上を覆っていてもよいし、本体部59aの開口の90%以上を覆っていてもよいし、本体部59aの開口の95%以上を覆っていてもよい。図8の例では、一対の蓋部59bは、本体部59aの開口の上部を塞いでいない。そのため、本体部59aの開口の上部には、開口部59c(連通部)が形成されている。したがって、カバー部材59の内部空間は、外部空間から隔絶されていない。換言すれば、カバー部材59は、弁軸56の部分56bを覆っているが、カバー部材59の内外の空間を連通している。なお、一対の蓋部59bは、本体部59aの開口を完全に塞がないように構成されていてもよい。すなわち、開口部59cは、本体部59aに対して任意の位置に形成されていてもよい。
【0064】
一対の蓋部59bの少なくとも一方には、貫通孔59d(連通部)が設けられている。そのため、カバー部材59は、貫通孔59dによっても、カバー部材59の内外の空間が連通されている。なお、蓋部59bは、板状を呈していてもよい。蓋部59bは、例えば、金属製(鉄など)であってもよいし、樹脂製(アクリルなど)であってもよい。
【0065】
図8に例示されるように、酸素濃縮装置1は、供給部60をさらに備えていてもよい。供給部60は、貫通孔59dを通じて、カバー部材59の内部空間にドライガスを供給するように構成されている。供給部60は、例えば、供給源61と、配管D61とを含む。
【0066】
供給源61は、ドライガスの供給源である。ドライガスは、例えば、乾燥空気(水分を含まない空気)であってもよいし、酸素濃縮装置1において製造された製品酸素であってもよいし、不活性ガス(窒素など)であってもよい。配管D61は、供給源61と貫通孔59dとを接続している。
【0067】
供給源61に貯留されているドライガスは、カバー部材59の内部空間よりも高い圧力に昇圧されていてもよい。この場合、カバー部材59の内部空間にドライガスが継続して供給されるので、当該内部空間がドライガスで満たされると、ドライガスは、開口部59cから排出される。そのため、排気部30の動作に伴い、排出部40が負圧となったとしても、水分をほとんど又は全く保持しないドライガスが、弁軸56とフランジ54との間(挿通孔H)を通じてハウジング51内に侵入するにすぎない。したがって、吸着槽10内への水分の侵入を抑制することが可能となる。
【0068】
(2)図9に例示されるように、センサSE(検出部)を用いて、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入を検出してもよい。センサSEは、例えば、超音波式のリーク検出器であってもよい。センサSEは、バルブVの挿通孔Hの周囲における流入音を検出して、当該流入音のデータをコントローラCtrに送信してもよい。なお、図9に例示されるように、センサSEは、バルブVの挿通孔Hの周囲における流入音が通常とは異なる箇所を検出した場合に、当該箇所を異常箇所Rとして表示させるディスプレイSEaを含んでいてもよい。異常箇所Rは、検知した流入音と通常の流入音との乖離が大きいほど視覚的に目立つように、ディスプレイに表示されてもよい。なお、視覚的に目立つ表示とは、例えば、当該乖離が大きいほど色の濃度が濃くなる一方で当該乖離が小さいほど色の濃度が薄くなるような表示であってもよいし、当該乖離が大きいほど赤色に近くなる一方で当該乖離が小さいほど青色に近くなるような表示であってもよい。
【0069】
コントローラCtrは、センサSEから受信した流入音のデータを所定の閾値と比較して、当該データが当該閾値を超えているか否かを判断してもよい。コントローラCtrは、当該データが当該閾値を超えていると判断した場合、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入を検出したと判定して、外部に所定の報知を行ってもよい。所定の報知としては、例えば、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入を検出した旨をディスプレイSEaに表示したり、スピーカ(図示せず)から警告音や警告音声を流すことであってもよい。この場合、所定の報知により、バルブVのメンテナンスを作業者等が直ちに実行することが可能となる。
【0070】
(3)図10に例示されるように、センサ43によって製品酸素の酸素濃度を測定し、当該測定値のデータをコントローラCtrに送信してもよい。ここで、センサ43によって測定される製品酸素の酸素濃度が所定の閾値以上の場合は、酸素濃縮装置1が製品酸素を不具合なく生成していることが示唆される。一方、センサ43によって測定される製品酸素の酸素濃度が所定の閾値未満である場合は、酸素濃縮装置1による製品酸素の生成に不具合が生じていることが示唆される。この場合、一例として、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入量が所定の閾値を超えたことにより吸着材が劣化して、製品酸素への窒素等の混在が増加していることが示唆される。
【0071】
コントローラCtrは、センサ43から受信した酸素濃度のデータを所定の閾値と比較して、当該データが当該閾値以下であるか否かを判断してもよい。図10の例では、コントローラCtrは、当該データが例えば80%以下であるか否かを判断してもよい。この場合、一例として、コントローラCtrは、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入量が所定の閾値を超えているか否かを判断しうる。コントローラCtrは、センサ43から受信した酸素濃度のデータが所定の閾値を超えていると判断した場合、外部に所定の報知を行ってもよい。所定の報知としては、例えば、挿通孔Hを通じたハウジング51内への外気の流入を検出した旨をディスプレイ(図示せず)に表示したり、スピーカ(図示せず)から警告音や警告音声を流すことであってもよい。この場合、所定の報知により、バルブVのメンテナンスを作業者等が直ちに実行することが可能となる。
【0072】
(4)図1の例では、本体11は、上下方向に延びているが、水平方向に延びていてもよい。本体11が水平方向に延びている場合も、本体11が上下方向に延びている図1の例と同様に、吸湿剤12、吸着材13及び押さえ部材14が下から順に配置されていてもよい。
【0073】
(5)バルブVのうちバルブV21,V22,V31,V32は、吸着槽10内への水分の侵入を抑制するための要素(封鎖部材58、カバー部材59、供給部60)を含んでいなくてもよい。すなわち、少なくとも、吸着槽10と貯留槽41との間に配置されるバルブV41~V44が、吸着槽10内への水分の侵入を抑制するための要素(封鎖部材58、カバー部材59、供給部60)を含んでいてもよい。
【0074】
[他の例]
例1.酸素濃縮装置の一例は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、吸着槽の下部から吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、吸着材に吸着された窒素を吸着材から脱着して、吸着槽の下部から排気するように構成された排気部と、吸着槽で生成された酸素を吸着槽の上部から排出するように構成された排出部とを備える。排出部は、吸着槽の上部に接続され且つ吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、配管に設けられた開閉バルブとを含む。開閉バルブは、弁軸と、弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、本体部内に配置され且つ弁軸のうち本体部内に位置する第1の部分と接続された弁と、弁軸のうち本体部から露出した第2の部分に接続され且つ弁軸を動作させるように構成された駆動部と、弁軸の第2の部分を覆い且つ当該第2の部分を外部空間から隔絶するように、本体部と駆動部との間に配置された、封鎖部材とを含む。
【0075】
ところで、開閉バルブにおいて、通常は、弁軸は、シール部材によってシールされた状態で、本体部の挿通孔に対して挿通されている。しかしながら、弁軸は弁を開閉させるために回転するので、弁軸が回転する余地のために、弁軸と本体部との間は、シール部材によって完全には閉塞されない。加えて、排気部が作動すると、吸着材に吸着された窒素を脱着するために吸着槽内が負圧となる。そのため、吸着槽に接続されている排出部(配管及び開閉バルブ)も負圧となる。この際、外部の空気が弁軸と本体部との間を通じて本体部内に侵入して吸着槽に到達し、空気に含まれる水分が吸着材に吸着されてしまうことがある。吸着材に吸着された水分は、吸着材から脱着することが極めて困難であるので、水分の吸着に伴い、吸着材による窒素の吸着量が低下し、吸着材の劣化につながる。
【0076】
しかしながら、例1の装置によれば、封鎖部材が、弁軸の第2の部分を覆い且つ当該第2の部分を外部空間から隔絶するように、本体部と駆動部との間に配置されている。そのため、排気部の動作に伴い、排出部が負圧となったとしても、封鎖部材の外部空間から空気が弁軸と本体部との間を通じて本体部内に極めて侵入し難くなる。したがって、吸着槽内への水分の侵入を抑制することが可能となる。
【0077】
例2.酸素濃縮装置の他の例は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材が収容された吸着槽と、吸着槽の下部から吸着槽に原料空気を供給するように構成された空気供給部と、吸着材に吸着された窒素を吸着材から脱着して、吸着槽の下部から排気するように構成された排気部と、吸着槽で生成された酸素を吸着槽の上部から排出するように構成された排出部と、ドライガスを供給するように構成されたガス供給部を備える。排出部は、吸着槽の上部に接続され且つ吸着槽で生成された酸素が流通する配管と、配管に設けられた開閉バルブとを含む。開閉バルブは、弁軸と、弁軸が挿通される挿通孔が設けられた本体部と、本体部内に配置され且つ弁軸のうち本体部内に位置する第1の部分と接続された弁と、弁軸のうち本体部から露出した第2の部分に接続され且つ弁軸を動作させるように構成された駆動部と、弁軸の第2の部分を覆うように、本体部と駆動部との間に配置された、カバー部材とを含む。ガス供給部は、カバー部材の内外の空間を連通するようにカバー部材に設けられた連通部を通じて、ドライガスをカバー部材の内部空間に供給するように構成されている。この場合、カバー部材の内部にはドライガスが供給されている。そのため、排気部の動作に伴い、排出部が負圧となったとしても、水分をほとんど又は全く保持しないドライガスが、弁軸と本体部との間を通じて本体部内に侵入するにすぎない。したがって、例1の装置と同様に、吸着槽内への水分の侵入を抑制することが可能となる。
【0078】
例3.例1又は例2の装置は、挿通孔を通じた本体部内への外気の流入を検出するように構成された検出部と、制御部とをさらに備え、制御部は、検出部による外気の流入量が所定の閾値を超えたと判断した場合に、所定の報知を行うように構成されていてもよい。この場合、万が一、本体部内に外気が流入しても、その旨が作業者等に報知される。そのため、本体部内への外気の流入量が所定量を超えたときに、開閉バルブのメンテナンスを作業者等が直ちに実行することが可能となる。
【0079】
例4.例1~例3のいずれかの装置は、排出部から排出された酸素の濃度を測定するように構成された測定部と、制御部とをさらに備え、制御部は、測定部による酸素の濃度が所定の閾値以下であると判断した場合に、所定の報知を行うように構成されていてもよい。この場合、例3と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0080】
1…酸素濃縮装置、10,10A,10B…吸着槽、20…供給部(空気供給部)、30…排気部、40…排出部、43…センサ(測定部)、51…ハウジング(本体部)、53…軸受部(本体部)、54…フランジ(本体部)、55…弁、56…弁軸、56a…部分(第1の部分)、56b…部分(第2の部分)、57…駆動部、58…封鎖部材、59…カバー部材、59c…開口部(連通部)、59d…貫通孔(連通部)、60…供給部(ガス供給部)、Ctr…コントローラ(制御部)、D41~D49…配管、H…挿通孔、SE…センサ(検出部)、V,V41~V42…バルブ(開閉バルブ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10