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特開2024-116774搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法
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  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図1
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図2
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図3
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図4
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図5
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図6
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図7
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図8
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図9
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図10
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図11
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図12
  • 特開-搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116774
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240821BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022575
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】521476506
【氏名又は名称】JSWアクティナシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 恭平
(72)【発明者】
【氏名】小田嶋 保
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA03
5F131AA33
5F131BA60
5F131CA03
5F131CA06
5F131CA12
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC14
5F131DC16
(57)【要約】
【課題】適切に基板を搬送することができる搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、半導体装置の製造方法を提供することである。
【解決手段】本実施の形態にかかる搬送装置6は、搬送方向に基板を移動する搬送ユニット61_1と、上面視において、照射位置65の外側で基板を移動する搬送ユニット61_3と、を備え、搬送ユニット61_1が、基板を保持する保持機構62_1と、保持機構62_1を直進移動させるリニアモータ601と、を有しており、搬送ユニット61_3が、基板を保持する保持機構62_3と、保持機構62_3が連結されたベルト709と、ベルト709が掛け回されたプーリ716と、プーリ716を回転させるACサーボモータ711と、を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状のレーザ光を基板に照射するために、前記基板を搬送する搬送装置であって、
前記基板をその上面で浮上させる浮上ユニットと、
前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるよう、搬送方向に前記基板を移動する第1搬送ユニットと、
上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動する第2搬送ユニットと、を備え、
前記第1搬送ユニットが、
前記基板を保持する第1保持機構と、
前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、
前記第2搬送ユニットが、
前記基板を保持する第2保持機構と、
前記第2保持機構が連結されたベルトと、
前記ベルトが掛け回されたプーリと、
前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している搬送装置。
【請求項2】
前記プーリと前記ベルトとの接触部分を覆うカバーと、
前記カバーの内部の空間を排気する排気機構と、を備えた請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2搬送ユニットが、前記搬送方向と直交する方向、又は前記搬送方向の反対方向に前記基板を搬送する請求項1、又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
ライン状のレーザ光を基板に照射するために、前記基板を搬送する搬送方法であって、
(A)浮上ユニットが、その上面で前記基板を浮上させるステップと、
(B)第1搬送ユニットが、搬送方向に前記基板を移動することで、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるステップと、
(C)第2搬送ユニットが、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動するステップと、を備え、
前記第1搬送ユニットが、
前記基板を保持する第1保持機構と、
前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、
前記第2搬送ユニットが、
前記基板を保持する第2保持機構と、
前記第2保持機構が連結されたベルトと、
前記ベルトが掛け回されたプーリと、
前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している搬送方法。
【請求項5】
前記プーリと前記ベルトとの接触部分を覆うカバーが設けられ、
前記カバーの内部の空間を排気する請求項4に記載の搬送方法。
【請求項6】
前記第2搬送ユニットが、前記搬送方向と直交する方向、又は前記搬送方向の反対方向に前記基板を搬送する請求項4、又は5に記載の搬送方法。
【請求項7】
(s1)基板上に非晶質膜を形成するステップと、
(s2)前記非晶質膜を結晶化して結晶化膜を形成するように、ライン状のレーザ光を前記基板に照射して、前記非晶質膜をアニールするステップと、を備えた半導体装置の製造方法であって、
前記(s2)アニールするステップは、
(sa)浮上ユニットが、その上面で前記基板を浮上させるステップと、
(sb)第1搬送ユニットが、上面視において、搬送方向に前記基板を移動することで、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるステップと、
(sc)第2搬送ユニットが、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動するステップと、を備え、
前記第1搬送ユニットが、
前記基板を保持する第1保持機構と、
前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、
前記第2搬送ユニットが、
前記基板を保持する第2保持機構と、
前記第2保持機構が連結されたベルトと、
前記ベルトが掛け回されたプーリと、
前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項8】
前記プーリと前記ベルトとの接触部分を覆うカバーが設けられ、
前記カバーの内部の空間を排気する請求項7に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項9】
前記第2搬送ユニットが、前記搬送方向と直交する方向、又は前記搬送方向の反対方向に前記基板を搬送する請求項7、又は8に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
【請求項10】
基板をその上面で浮上させる浮上ユニットと、
前記基板にライン状のレーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるよう、搬送方向に前記基板を移動する第1搬送ユニットと、
上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動する第2搬送ユニットと、を備え、
前記第1搬送ユニットが、
前記基板を保持する第1保持機構と、
前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、
前記第2搬送ユニットが、
前記基板を保持する第2保持機構と、
前記第2保持機構が連結されたベルトと、
前記ベルトが掛け回されたプーリと、
前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有しているレーザ照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置、レーザ照射装置、搬送方法、及び有機ELディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ライン状にレーザ光を基板に照射するレーザ照射装置が開示されている。このレーザ照射装置は、基板を浮上する浮上ユニットと、浮上ユニット上の基板を吸着保持する保持機構と、保持機構を搬送方向に移動する移動機構とを備えている。上面視において、矩形状の浮上ユニットの端辺にそれぞれ移動機構が設けられている。4つの移動機構が基板を循環搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6887234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレーザ照射装置に用いられる搬送装置では、基板を適切に搬送することが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、搬送装置は、ライン状のレーザ光を基板に照射するために、前記基板を搬送する搬送装置であって、前記基板をその上面で浮上させる浮上ユニットと、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるよう、搬送方向に前記基板を移動する第1搬送ユニットと、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動する第2搬送ユニットと、を備え、前記第1搬送ユニットが、前記基板を保持する第1保持機構と、前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、前記第2搬送ユニットが、前記基板を保持する第2保持機構と、前記第2保持機構が連結されたベルトと、前記ベルトが掛け回されたプーリと、前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している。
【0007】
一実施の形態によれば、搬送方法は、ライン状のレーザ光を基板に照射するために、前記基板を搬送する搬送方法であって、(A)浮上ユニットが、その上面で前記基板を浮上させるステップと、(B)第1搬送ユニットが、搬送方向に前記基板を移動することで、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるステップと、(C)第2搬送ユニットが、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動するステップと、を備え、前記第1搬送ユニットが、前記基板を保持する第1保持機構と、前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、前記第2搬送ユニットが、前記基板を保持する第2保持機構と、前記第2保持機構が連結されたベルトと、前記ベルトが掛け回されたプーリと、前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している。
【0008】
一実施の形態によれば、有機ELディスプレイ装置の製造方法は、(s1)基板上に非晶質膜を形成するステップと、(s2)前記非晶質膜を結晶化して結晶化膜を形成するように、ライン状のレーザ光を前記基板に照射して、前記非晶質膜をアニールするステップと、を備えた半導体装置の製造方法であって、前記(s2)アニールするステップは、(sa)浮上ユニットが、その上面で前記基板を浮上させるステップと、(sb)第1搬送ユニットが、搬送方向に前記基板を移動することで、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるステップと、(sc)第2搬送ユニットが、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動するステップと、を備え、前記第1搬送ユニットが、前記基板を保持する第1保持機構と、前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、前記第2搬送ユニットが、前記基板を保持する第2保持機構と、前記第2保持機構が連結されたベルトと、前記ベルトが掛け回されたプーリと、前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している。
【0009】
一実施の形態によれば、基板をその上面で浮上させる浮上ユニットと、前記基板にライン状のレーザ光を照射するレーザ照射部と、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるよう、搬送方向に前記基板を移動する第1搬送ユニットと、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動する第2搬送ユニットと、を備え、前記第1搬送ユニットが、前記基板を保持する第1保持機構と、前記第1保持機構を搬送方向に直進移動させるリニアモータと、を有しており、前記第2搬送ユニットが、前記基板を保持する第2保持機構と、前記第2保持機構が連結されたベルトと、前記ベルトが掛け回されたプーリと、前記プーリを回転させるACサーボモータと、を有している。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、基板を適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】搬送装置の構成を模式的に示すxy平面図である。
図3】搬送装置を備えたレーザ照射装置の構成を模式的に示すxz平面図である。
図4】搬送装置を備えたレーザ照射装置の構成を模式的に示すyz平面図である。
図5】リニアモータを用いた搬送ユニットの構成を模式的に示す上面図である。
図6】リニアモータを用いた搬送ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
図7】ACサーボモータを用いた搬送ユニットの構成を模式的に示す上面図である。
図8】ACサーボモータを用いた搬送ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
図9】ACサーボモータとその周辺の構成を示す斜視図である。
図10】搬送ユニットの排気系統を模式的に示す側面図である。
図11】レーザ照射システムの製造プロセスで製造された有機ELディスプレイ装置を模式的に示す断面図である。
図12】有機ELディスプレイ装置の製造プロセスを説明する工程断面図である。
図13】有機ELディスプレイ装置の製造プロセスを説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本実施の形態にかかる搬送装置、搬送方法、有機ELディスプレイ装置の製造方法について説明する。搬送装置及び搬送方法は、レーザ照射装置に用いられる。なお、以下の説明において、レーザが照射される被処理体をアモルファスシリコン膜付きガラス基板であるとして説明するが、被処理体は、特に限定されるものではない。
【0013】
レーザ照射装置の一例は、基板上に形成されたアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、ポリシリコン膜を形成するエキシマレーザアニール装置である。したがって、レーザ照射装置は、液晶表示パネルや有機EL(ElectroLuminescence)表示パネルの製造工程において、TFT(Thin Film transistor)アレイ基板を製造するために使用される。すなわち、レーザ照射装置は、TFTアレイ基板などの半導体装置の製造工程に用いられる。
【0014】
(レーザ照射装置の基本構成)
まず、レーザ照射装置1及び搬送装置6の基本構成について、図1図4を用いて説明する。図1は、搬送装置6の基本構成を説明するための斜視図である。図2は、搬送装置6の上面図である。図3は、搬送装置6を備えたレーザ照射装置1の構成を示す側面図である。図4は、搬送装置6を備えたレーザ照射装置1の構成を示す側面図である。
【0015】
なお、以下に示す図では、説明の簡略化のため、適宜、xyz3次元直交座標系を示している。z方向は鉛直上下方向であり、y方向はライン状のレーザスポットに沿った方向であり、x方向は、搬送方向である。x方向に搬送(スキャン)しながら、y方向に沿ったライン状のレーザ光を基板に照射している。また、x方向とy方向は矩形状の被処理体66の端辺に沿った方向である。
【0016】
浮上ユニット60は、浮上ユニット60の表面からガスを噴出するように構成されており、浮上ユニット60の表面から噴出されたガスが被処理体66の下面に吹き付けられることで、被処理体66が浮上する。浮上ユニット60は架台(不図示)の上に配置されている。
【0017】
また、xy平面視において矩形状の浮上ユニット60が6つの領域60a~60fに分割されている。具体的には、浮上ユニット60が第1の領域60a~第4の領域60dと、照射領域60eと、モニタ領域60fとを備えている。第1の領域60aは、‐x側かつ+y側の角(図2における左上角)を含む矩形状の領域である。第2の領域60bは、+x側かつ+y側の角(図2における右上角)を含む矩形状の領域である。第3の領域60cは、+x側かつ‐y側の角(図2における右下角)を含む矩形状の領域である。第4の領域60dは、‐x側かつ‐y側の角(図2における左下角)を含む矩形状の領域である。
【0018】
照射領域60eは、第1の領域60aと第2の領域60bとの間に配置されている。照射領域60eは、レーザ光が照射される領域である。すなわち、照射領域60eにレーザ光15の照射位置65が含まれている。モニタ領域60fは、第3の領域60cと第4の領域60dとの間に配置されている。したがって、浮上ユニット60の+y側の半分の領域(図2の上半分の領域)は、-x側(図2の左側)から順に、第1の領域60a、照射領域60e、第2の領域60bとなっている。浮上ユニット60の‐y側の半分の領域(図2の下半分の領域)は、+x側から順に、第3の領域60c、モニタ領域60f、第4の領域60dとなっている。特許文献1で示したように、搬送装置6は、浮上ユニット60上において、被処理体66を循環搬送する。
【0019】
xy平面視において、第1の領域60a~第4の領域60dはほぼ同じ面積となっていてもよい。xy平面視において、照射領域60eと、モニタ領域60fとは、ほぼ同じ面積の矩形状となっていてもよい。この場合、第1の領域60aと第4の領域60dがy方向に並んで配置されている。第2の領域60bと第4の領域60dがy方向に並んで配置されている。照射領域60eとモニタ領域60fがy方向に並んで配置されている。
【0020】
また、第1の領域60aにはアライメント機構69が設けられている。第4の領域60dには、回転機構68が設けられている。さらに、第4の領域60dの外側には、補助浮上ユニット67が設けられている。補助浮上ユニット67は、第4の領域60dの-y側と-x側にそれぞれ配置されている。回転機構68、アライメント機構69、及び補助浮上ユニット67の動作については後述する。
【0021】
図1に示すように、被処理体66は、第1の領域60a~第4の領域60dを順次搬送される。すなわち、被処理体66は、第1の領域60aから+x方向に搬送されると、照射領域60eを通過して、第2の領域60bまで移動する。照射領域60eを通過する際に、被処理体66にレーザ光が照射される。被処理体66は第2の領域60bから‐y方向に搬送されると、第3の領域60cまで移動する。
【0022】
被処理体66が第3の領域60cから‐x方向に搬送されると、モニタ領域60fを通過して、第4の領域60dに移動する。モニタ領域60fでは、レーザ光の照射ムラをモニタする。例えば、モニタ領域60fにおいて、図示しないカメラなどにより、照射ムラをモニタする。被処理体66が第4の領域60dから+y方向に搬送されると、第1の領域60aに移動する。
【0023】
このように、被処理体66は、+x方向、-y方向、-x方向、+y方向と方向を変えて搬送されていく。換言すると、被処理体66は、第1の領域60a~第4の領域60dを循環するように搬送される。なお、厳密には、第4の領域60dが被処理体66の搬入/搬出位置となっているため、被処理体66は、第4の領域60d、第1の領域60a、第2の領域60b、第3の領域60cの順番で搬送されていく。もちろん、搬入/搬出位置は、第4の領域60dに限られるものではない。
【0024】
さらには、被処理体66を反対方向に循環してもよい。例えば、第4の領域60d、第3の領域60c、第2の領域60b、第1の領域60aの順番で被処理体66を搬送してもよい。すなわち、図2の平面図において、搬送方向は、時計回りでもよく、反時計回りでもよい。レーザ照射装置1の処理に応じて、搬送方向を適宜切り替えるようにしてもよい。
【0025】
上記のように、被処理体66を循環して搬送するため、レーザ照射装置1は、4つの搬送ユニット61_1~61_4を備える。搬送ユニット61_1~61_4は浮上ユニット60の外側であって、浮上ユニット60の各辺の近傍に設けられている。
【0026】
浮上ユニット60はxy平面視した際の形状が矩形状であり、各々の搬送ユニット61_1~61_4は、浮上ユニット60の各々の辺に沿って被処理体66を搬送するように設けられている。なお、各搬送ユニット61_1~61_4は、浮上ユニット60の各辺の外側に設けられているが、浮上ユニット60の内側に設けられていてもよい。
【0027】
各搬送ユニット61_1~61_4は被処理体66を直進移動する。搬送ユニット61_1は被処理体66を+x方向に移動させる。これにより、被処理体66が第1の領域60aから第2の領域60bに移動する。搬送ユニット61_2は被処理体66を-y方向に移動させる。これにより、被処理体66が第2の領域60bから第3の領域60cに移動する。搬送ユニット61_3は被処理体66を-x方向に移動させる。これにより、被処理体66が第3の領域60cから第4の領域60dに移動する。搬送ユニット61_4は被処理体66を+y方向に移動させる。これにより、被処理体66が第4の領域60dから第1の領域60aに移動する。
【0028】
具体的には、搬送ユニット61_1は浮上ユニット60の+y方向側の辺に設けられており、保持機構62_1と移動機構63_1とを備える。保持機構62_1は被処理体66を吸着保持する。保持機構62_1は、多孔質体を備える真空吸着機構を用いて構成することができる。保持機構62_1(真空吸着機構)は、排気ポート(不図示)に接続されており、排気ポートはエジェクタや真空ポンプなどに接続されている。よって、保持機構62_1にはガスを吸引するための負圧が作用するため、保持機構62_1を用いて被処理体66を保持することができる。
【0029】
また、保持機構62_1は吸着動作を行うための昇降機構(図1図4では不図示)を備えている。昇降機構は、例えば、エアシリンダやモータなどのアクチュエータ等を備えている。例えば、保持機構62_1は吸着位置まで上昇した状態で、被処理体66を吸着する。また、保持機構62_1は、吸着を解除した状態で、待機位置まで下降する。
【0030】
本実施の形態では、図4に示すように、保持機構62_1は、被処理体66のレーザ光が照射される面(上面)と逆側の面(下面)、つまり、被処理体66の浮上ユニット60と対向する側の面を吸引することで、被処理体66を保持している。また、保持機構62_1は、被処理体66の+y方向における端部(つまり、被処理体66の搬送方向と垂直な方向における端部)を保持している。
【0031】
搬送ユニット61_1が備える移動機構63_1は保持機構62_1と連結されている。移動機構63_1は、保持機構62_1を搬送方向(x方向)に移動可能に構成されている。搬送ユニット61_1(保持機構62_1及び移動機構63_1)は、浮上ユニット60の+y方向の端部側に設けられており、保持機構62_1で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_1が搬送方向に移動することで被処理体66が搬送される。
【0032】
図2に示すように、例えば、移動機構63_1は浮上ユニット60の+y方向の端部を+x方向に沿ってスライドするように構成されている。移動機構63_1が浮上ユニット60の端部を+x方向に沿ってスライドすることで、被処理体66がx方向に沿って搬送される。このとき、移動機構63_1の移動速度を制御することで、被処理体66の搬送速度を制御することができる。移動機構63_1は、例えば、図示しないモータなどのアクチュエータとリニアガイド機構等を備えている。移動機構63_1の構成については後述する。
【0033】
図3図4に示すように、被処理体66にはレーザ光15が照射される。図1図2では、レーザ光15が照射される位置を照射位置65とする。照射位置65はy方向に延びた直線状となる。例えば、レーザ照射装置1はレーザアニール装置であり、この場合はレーザ照射部14にエキシマレーザ等を用いることができる。レーザ照射部14は、レーザ光源とシリンドリカルレンズなどの光学系(いずれも不図示)を備えている。レーザ光源から供給されたレーザ光は、シリンドリカルレンズを有する光学系(不図示)においてライン状となる。被処理体66にはライン状、具体的には焦点がy方向に伸びるレーザ光15(ラインビーム)が照射される(図1参照)。換言すると、被処理体66上における照射位置65は被処理体66の搬送方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に伸びている。
【0034】
搬送装置6では、浮上ユニット60を用いて被処理体66を浮上させながら、搬送ユニット61_1を用いて被処理体66の下面を保持して、被処理体66を搬送方向に搬送している。このとき、レーザ照射装置1が備える搬送ユニット61_1は、被処理体66を搬送した際に、平面視において(つまりz方向からみて)、搬送ユニット61_1が照射位置65と重畳しない位置を保持して被処理体66を搬送している。つまり、図2に示すように、被処理体66を搬送方向に搬送した際に、搬送ユニット61_1が被処理体66を保持する位置(保持機構62_1の位置に対応)が、照射位置65と重畳しないようにしている。
【0035】
このように、保持機構62_1で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_1が+x方向に移動することで、被処理体66を第1の領域60aから第2の領域60bに搬送することができる。搬送ユニット61_1による搬送で、被処理体66が照射領域60eを通過する。よって、被処理体66が第1の領域60aから第2の領域60bに搬送される際にレーザ光15が被処理体66に照射される。
【0036】
被処理体66に対するレーザ光15の照射位置65を変えるように、搬送ユニット61_1が被処理体66をx方向に移動する。なお、搬送ユニット61_1の搬送方向はx方向と平行になっているが、x方向から傾いた方向であってもよい。つまり、搬送方向はライン方向から傾いた方向であればよい。
【0037】
搬送ユニット61_2は浮上ユニット60の+x方向側の辺に設けられており、保持機構62_2と移動機構63_2とを備える。そして、保持機構62_2で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_2が‐y方向側に移動することで、被処理体66を第2の領域60bから第3の領域60cに搬送することができる。移動機構63_2が浮上ユニット60の端部を-y方向に沿ってスライドすることで、被処理体66が-y方向に沿って搬送される。
【0038】
搬送ユニット61_3は浮上ユニット60の‐y方向側の辺に設けられており、保持機構62_3と移動機構63_3とを備える。そして、保持機構62_3で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_3が‐x方向に移動することで、被処理体66を第3の領域60cから第4の領域60dに搬送することができる。搬送ユニット61_3による搬送で、被処理体66がモニタ領域60fを通過する。移動機構63_3が浮上ユニット60の端部を-x方向に沿ってスライドすることで、被処理体66が-x方向に沿って搬送される。
【0039】
搬送ユニット61_4は浮上ユニット60の‐x方向側の辺に設けられており、保持機構62_4と移動機構63_4とを備える。そして、保持機構62_4で被処理体66を保持しつつ、移動機構63_4が+y方向に移動することで、被処理体66を第4の領域60dから第1の領域60aに搬送することができる。移動機構63_4が浮上ユニット60の端部を+y方向に沿ってスライドすることで、被処理体66が+y方向に沿って搬送される。
【0040】
移動機構63_2、移動機構63_3、及び移動機構63_4は、照射位置65の外側で、被処理体66を移動する。つまり、移動機構63_2、移動機構63_3、及び移動機構63_4は、照射位置65と重複していない被処理体66を移動する。従って、移動機構63_2、移動機構63_3、及び移動機構63_4が被処理体66を移動しても、被処理体66にレーザ光15が照射されない。移動機構63_2、移動機構63_3、及び移動機構63_4は、例えば、図示しないモータなどのアクチュエータとリニアガイド機構等を備えている。移動機構63_2、移動機構63_3、及び移動機構63_4の構成については後述する。
【0041】
保持機構62_2、保持機構62_3、保持機構62_4は、保持機構62_1と同様の構成となっており、被処理体66を吸着する。保持機構62_2、62_4は、保持機構62_1、62_3と異なる向きで配置されている。より具体的には、xy平面視において、保持機構62_1、62_3は、図2で示したように、x方向を長手方向とする矩形状になっている。また、保持機構62_2、62_4は、図2で示すように矩形状になっているが、設置方向が90°異なっている。すなわち、保持機構62_1、62_3では長手方向がx方向、短手方向がy方向になっているのに対して、保持機構62_2、62_4では長手方向がy方向、短手方向がx方向になっている。保持機構62_1~62_4は、その移動方向が長手方向となるように設けられている。
【0042】
レーザ照射装置1では、照射位置65のy方向における長さは、被処理体66のy方向における長さの半分程度の長さである。よって、被処理体66が照射位置65を通過した際に、被処理体66のy方向の半分の領域にレーザ光が照射される。したがって、被処理体66が、浮上ユニット60の上を2回循環するように搬送されていく。このようにすることで、被処理体66のほぼ全面に、レーザ光が照射される。
【0043】
被処理体66のほぼ全面にレーザ光を照射する場合は、図1、2に示すように、浮上ユニット60の第4の領域60dに回転機構68を設ける。回転機構68の回転軸はz方向と平行になっている。回転機構68は、被処理体66の水平面(xy平面)を保持しながら被処理体66を180度回転させる。つまり、搬送ユニット61_1を用いて被処理体66を第1の領域60aから第2の領域60bに搬送して被処理体66にレーザ光15を照射した後、搬送ユニット61_2~61_4を用いて被処理体66を搬送させつつ、回転機構68を用いて被処理体66を180度回転させる。そして、再度、搬送ユニット61_1を用いて被処理体66を領域60aから領域60bに搬送して被処理体66にレーザ光15を照射することで、被処理体66の全面にレーザ光15を照射することができる。
【0044】
図2に示すように、浮上ユニット60の外側には、補助浮上ユニット67が設けられている。補助浮上ユニット67は、第4の領域60dの-x側及び-y側にそれぞれ配置されている。補助浮上ユニット67は、浮上ユニット60と同様に、被処理体66に対して気体を噴出することで、被処理体66を浮上する。
【0045】
例えば、回転機構68が被処理体66を回転中に、被処理体66の一部が第4の領域60dからはみ出す。回転中において、第4の領域60dからはみ出す被処理体66の端部に対して、補助浮上ユニット67が気体を噴出する。被処理体66の浮上ユニット60からはみ出した部分に浮上力が発生する。このようにすることで、被処理体66を損傷することなく、回転機構68が被処理体66を回転させることができる。なお、保持機構62_4は、補助浮上ユニット67と浮上ユニット60との間を移動する。
【0046】
アライメント機構69は、保持機構62_1等と同様に、多孔質体を介して被処理体66を吸着して保持する。そして、アライメント機構69は被処理体66の位置、及び回転角度を調整する。アライメント機構69は、x方向の位置(以下、x座標)、y方向の位置(以下、y座標)、z軸周りの回転角度(以下、角度θ)のアライメント動作を行う。例えば、被処理体66の搬入動作、搬送動作、回転動作によって、被処理体66の位置や回転角度が微小にずれることがある。アライメント機構69は、位置や回転角度のずれを補正している。これにより、被処理体66におけるレーザ光の照射位置を精度よく制御することができる。
【0047】
ここで、搬送ユニット61_1の搬送によって、被処理体66にレーザ光が照射される。従って、搬送ユニット61_1の搬送には、高い位置精度が要求される。つまり、レーザ光の照射強度を均一にするためには、搬送ユニット61_1の搬送速度を一定にする必要がある。あるいは、レーザ照射中において、被処理体66の搬送高さを一定にする必要がある。一方、搬送ユニット61_2、搬送ユニット61_3、搬送ユニット61_4の搬送では、被処理体66にレーザ光が照射されない。搬送ユニット61_2、搬送ユニット61_3、搬送ユニット61_4の搬送には、高い位置精度が要求されない。
【0048】
従って、本実施の形態では、搬送ユニット61_1の移動機構63_1として、リニアモータが用いられている。一方、搬送ユニット61_2~61_4の移動機構63_2~63_4として、AC(alternating current)サーボモータ及びベルトが用いられている。リニアモータを用いた直動機構は、ACサーボモータ及びベルトを用いた直動機構よりも位置精度が高い。これにより、レーザ光の照射強度を一定にすることができるため、安定したプロセスが可能となる。また、ACサーボモータ及びベルトを用いた直動機構は、リニアモータを用いた直動機構よりも安価である。3つの移動機構63_2~63_4については、安価な構成で実現することができる。
【0049】
(搬送ユニット61_1)
図5図6を用いて、搬送ユニット61_1の移動機構63_1について説明する。図5は、搬送ユニット61_1の構成を示す上面図である。図6は、搬送ユニット61_1の構成を模式的に示す側面図である。
【0050】
搬送ユニット61_1は、上記のように、保持機構62_1と、移動機構63_1と、を備えている。移動機構63_1は、リニアモータ601と、ガイド機構603と、ベース606と、ダンパ607と、を備えている。リニアモータ601は、可動子601aと、固定子601bとを備えている。保持機構62_1は、昇降機構621と吸着部622とを備えている。
【0051】
ベース606は、ガイド機構603等を支持するステージである。ガイド機構603は、ベース606の上に固定されている。ガイド機構603は、x方向に沿って延びたレールなどを有するリニアガイドである。ガイド機構603にはガイド溝などが形成されていてもよい。ガイド機構603は可動子601aの直動移動をガイドする。また、ガイド機構603の端部には、ダンパ607が取り付けられている。ダンパ607は、可動子601aの移動端を規定する。
【0052】
例えば、ガイド機構603には、リニアモータ601の固定子601bが取り付けられている。固定子601bは、例えば、永久磁石を有している。つまり、x方向に沿って、複数の永久磁石が配列されている。例えば、x方向において、N極とS極が一定間隔で交互に繰り返し配列されている。
【0053】
リニアモータ601の可動子601aは、電磁石を有している。そして、電磁石に対する電流を制御することで、可動子601aがガイド機構603に沿って移動する。可動子601aは、ガイド機構603と非接触で直進移動する。リニアモータ601の上には、被処理体66を吸着保持するための保持機構62_1が配置されている。
【0054】
移動機構63_1が、保持機構62_1をx方向に移動することができる。このように、搬送ユニット61_1がリニアモータ601を有する移動機構63_1を用いている。よって、搬送ユニット61_1が、被処理体66を精度よく移動することができる。よって、搬送装置6は被処理体66を適切に搬送することができるため、生産性を向上することができる。
【0055】
また、保持機構62_1には昇降機構621と吸着部622が設けられている。吸着部622は、被処理体66を真空吸着するための多孔質体を有している。昇降機構621は、保持機構62_1の吸着部622を昇降させる。昇降機構621は、被処理体66の受渡しのため、吸着部622を昇降させる。昇降機構621は、保持機構62_2に被処理体66を受け渡すため、吸着部622を昇降させる。また、昇降機構621は、被処理体66を保持機構62_4から受け取るため、吸着部622を昇降させる。
【0056】
(搬送ユニット61_2~61_4)
搬送ユニット61_2~61_4は、リニアモータの代わりにACサーボモータを用いている。以下、搬送ユニット61_2~61_4を代表して、搬送ユニット61_3の構成について、図7図10を用いて説明する。図7は、搬送ユニット61_3の構成を示す上面図である。図8は、搬送ユニット61_3の構成を示す側面図である。図9は、搬送ユニット61_3の駆動部の構成を拡大して示す斜視図である。図10は、搬送ユニット61_3の排気系統などを模式的に示すxz断面図である。
【0057】
搬送ユニット61_3は、保持機構62_3と、移動機構63_3とを備えている。移動機構63_3は、ガイド機構703と、可動部704と、ベース706と、ACサーボモータ711と、プーリ716とを備えている。さらに、移動機構63_3は、カバー715と排気フランジ714とを備えている。保持機構62_3は、昇降機構721と吸着部722とを備えている。
【0058】
ベース706は、ガイド機構703等を支持するステージである。ガイド機構703は、ベース706の上に固定されている。ガイド機構703は、x方向に沿って延びたレールなどを有するリニアガイドである。ガイド機構703は、ガイド溝などを有していてもよい。また、ガイド機構703の端部には、ダンパ707が取り付けられている。ダンパ707は、可動部704の移動端を規定する。
【0059】
ガイド機構703は、可動部704を摺動可能に保持している。ガイド機構703は可動部704の直動移動をガイドする。可動部704は、ベルト709の上面に取り付けられている。さらに、可動部704の上には、保持機構62_3が取り付けられている。保持機構62_3は、可動部704を介して、ベルト709と連結されている。よって、保持機構62_3は可動部704とともにx方向に往復移動する。
【0060】
ベルト709はタイミングベルト等であり、x方向に沿って設けられている。図10に示すように、ベルト709の両端には、プーリ716が取り付けられている。ベルト709は、例えば、無端ベルト等であり、xz平面視において、リング状に形成されている。リング状のベルト709の内側には、2つのプーリ716が配置されている。ベルト709は、無端ベルト以外のベルトであってもよい。
【0061】
2つのプーリ716がx方向に離れて配置されている。プーリ716の回転軸はy方向と平行になっている。図9に示すように、ベルト709は、プーリ716に掛け回されている。2つのプーリ716の間において、ベルト709は、x方向と平行になっている。ベルト709は、例えば、歯付きベルト、平ベルトとなっている。プーリ716は、例えば、歯付きプーリ、平プーリとなっている。
【0062】
一方のプーリ716には、ACサーボモータ711の回転軸711aが連結されている。ACサーボモータ711がプーリ716を回転させると、ベルト709が回転する。ベルト709の回転動作にしたがって、可動部704がx方向に移動する。可動部704は2つのプーリ716の間をx方向にスライド移動する。これにより、保持機構62_2がx方向に往復移動するため、被処理体66を-x方向に搬送することができる。
【0063】
また、保持機構62_3には昇降機構721と吸着部722が設けられている。吸着部722は、被処理体66を真空吸着するための多孔質体を有している。昇降機構721は、保持機構62_3の吸着部722を昇降させる。昇降機構721は、被処理体66の受渡しのため、吸着部722を昇降させる。昇降機構721は、保持機構62_2から被処理体66を受け取るため、吸着部722を昇降させる。また、昇降機構721は、被処理体66を保持機構62_4に受け渡すため、吸着部722を昇降させる。
【0064】
このように、移動機構63_2は、ACサーボモータ711と、ベルト709とを用いて、被処理体66を移動している。これにより、搬送装置6は、安価な構成で、被処理体66を搬送することができる。搬送装置6は被処理体66を適切に搬送することができるため、生産性を向上することができる。
【0065】
なお、移動機構63_2、63_4は、基本的な構成は、移動機構63_3と同様であるため、詳細な説明を省略する。移動機構63_2、63_4も、移動機構63_3と同様にACサーボモータ711とベルト709とを用いている。移動機構63_2、63_4は、移動方向がy方向になっている点が移動機構63_3と異なっている。したがって、ガイド機構703、ベルト709、ACサーボモータ711等の向きを90度変えて設置すれば良い。
【0066】
プーリ716の回転に伴って、ベルト709とプーリ716との接触部分から粉塵が発生することがある。そこで、本実施の形態では、-x側におけるベルト709の端部は、カバー715が設けられている。つまり、プーリ716とベルト709の接触部分はカバー715で覆われている。図9に示すように、カバー715は回転軸711aやベアリングなどを収容するケースとなる。カバー715がベルト709の端部を覆うことで、粉塵による汚染を防止することができる。被処理体66に粉塵が付着するのを防ぐことができる。
【0067】
カバー715には、開口部715aと排気フランジ714が設けられている。ベルト709は、カバー715の開口部715aから取り出されている。カバー715において、開口部715aの反対側には、排気フランジ714が設けられている。排気フランジ714は、カバー715の内部空間に繋がっている排気ポートとなる。排気フランジ714には、図10に示すように、配管740が接続されている。ここでは、開口部715aがカバー715の+x側に配置され、排気フランジ714がカバー715の-x側に配置されている。
【0068】
図10に示すように、配管740は、レーザ照射装置1のチャンバ730の外側まで引き回されている。なお、チャンバ730は、搬送装置6(図10では不図示)の全体を囲むように配置されている。具体的には、配管740は、その他の排気箇所からの配管741と合わせて集塵機742に接続されている。集塵機742は、カバー715の内部空間を排気する排気機構となる。集塵機742は、配管740、741を通じて、チャンバ730内の気体を排気する。
【0069】
このようにすることで、カバー715内で発生した粉塵をチャンバの730外側に排出することができる。よって、被処理体66の汚染を防止することができ、レーザ照射プロセスの生産性を向上することができる。
【0070】
上記の搬送装置6を用いた搬送方法は、例えば、以下のステップを備えている。
(A)浮上ユニットが、その上面で前記基板を浮上させるステップ。
(B)第1搬送ユニットが、搬送方向に前記基板を移動することで、前記基板に対する前記レーザ光の照射位置を変えるステップ。
(C)第2搬送ユニットが、上面視において、前記照射位置の外側で前記基板を移動するステップ。
【0071】
(有機ELディスプレイ)
上記のポリシリコン膜を有する半導体装置は、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ用のTFT(Thin Film transistor)アレイ基板に好適である。すなわち、ポリシリコン膜は、TFTのソース領域、チャネル領域、ドレイン領域を有する半導体層として用いられる。
【0072】
以下、本実施の形態にかかる半導体装置を有機ELディスプレイディスプレイに適用した構成について説明する。図11は、有機ELディスプレイの画素回路を簡略化して示す断面図である。図11に示す有機ELディスプレイ300は、各画素PXにTFTが配置されたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0073】
有機ELディスプレイ300は、基板310、TFT層311、有機層312、カラーフィルタ層313、及び封止基板314を備えている。図11では、封止基板314側が視認側となるトップエミッション方式の有機ELディスプレイを示している。なお、以下の説明は、有機ELディスプレイの一構成例を示すものであり、本実施の形態は、以下に説明される構成に限られるものではない。例えば、本実施の形態にかかる半導体装置は、ボトムエミッション方式の有機ELディスプレイに用いられていてもよい。
【0074】
基板310は、ガラス基板又は金属基板である。基板310の上には、TFT層311が設けられている。TFT層311は、各画素PXに配置されたTFT311aを有している。さらに、TFT層311は、TFT311aに接続される配線(図示を省略)等を有している。TFT311a、及び配線等が画素回路を構成する。
【0075】
TFT層311の上には、有機層312が設けられている。有機層312は、画素PXごとに配置された有機EL発光素子312aを有している。さらに、有機層312には、画素PX間において、有機EL発光素子312aを分離するための隔壁312bが設けられている。
【0076】
有機層312の上には、カラーフィルタ層313が設けられている。カラーフィルタ層313は、カラー表示を行うためのカラーフィルタ313aが設けられている。すなわち、各画素PXには、R(赤色)、G(緑色)、又はB(青色)に着色された樹脂層がカラーフィルタ313aとして設けられている。
【0077】
カラーフィルタ層313の上には、封止基板314が設けられている。封止基板314は、ガラス基板などの透明基板であり、有機層312の有機EL発光素子の劣化を防ぐために設けられている。
【0078】
有機層312の有機EL発光素子312aに流れる電流は、画素回路に供給される表示信号によって変化する。よって、表示画像に応じた表示信号を各画素PXに供給することで、各画素PXでの発光量を制御することができる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0079】
有機ELディスプレイ等のアクティブマトリクス型表示装置では、1つの画素PXに、1つ以上のTFT(例えば、スイッチング用TFT、又は駆動用TFT)が設けられている。そして、各画素PXのTFTには、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域を有する半導体層が設けられている。本実施の形態にかかるポリシリコン膜は、TFTの半導体層に好適である。すなわち、上記の製造方法により製造したポリシリコン膜をTFTアレイ基板の半導体層に用いることで、TFT特性の面内ばらつきを抑制することができる。よって、表示特性の優れた表示装置を高い生産性で製造することができる。
【0080】
<半導体装置の製造工程>
本実施の形態にかかるレーザ照射装置を用いた半導体装置の製造方法は、TFTアレイ基板の製造に好適である。TFTを有する半導体装置の製造方法について、図12図13を用いて説明する。図12図13は半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。以下の説明では、逆スタガード(inverted staggered)型のTFTを有する半導体装置の製造方法について説明する。図12図13では、半導体製造方法におけるポリシリコン膜の形成工程を示している。なお、その他の製造工程については、公知の手法を用いることができるため、説明を省略する。
【0081】
図12に示すように、ガラス基板401上に、ゲート電極402が形成されている。ゲート電極402の上に、ゲート絶縁膜403が形成されている。ゲート絶縁膜403の上に、アモルファスシリコン膜404を形成する。アモルファスシリコン膜404は、ゲート絶縁膜403を介して、ゲート電極402と重複するように配置されている。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜403とアモルファスシリコン膜404とを連続成膜する。
【0082】
そして、アモルファスシリコン膜404にレーザ光L1を照射することで、図13に示すように、ポリシリコン膜405が形成される。すなわち、図3等で示したレーザ照射装置1によって、アモルファスシリコン膜404を結晶化する。これにより、シリコンが結晶化したポリシリコン膜405がゲート絶縁膜403上に形成される。ポリシリコン膜405は、上記したポリシリコン膜に相当する。
【0083】
本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法は、以下のステップを有していてもよい。
(s1)基板上に非晶質膜を形成するステップ。
(s2)前記非晶質膜を結晶化して結晶化膜を形成するように、ライン状のレーザ光を前記基板に照射して、前記非晶質膜をアニールするステップ。
そして、s2のステップで、上記の搬送装置を用い他搬送方法で,基板となる被処理体66を搬送する。
【0084】
さらに、上記の説明では、本実施の形態にかかるレーザアニール装置が、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射してポリシリコン膜を形成するものとして説明したが、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射してマイクロクリスタルシリコン膜を形成するものであってもよい。さらには、アニールを行うレーザ光はエキシマレーザに限定されるものではなく、Nd:YAGレーザ等であってもよい。また、本実施の形態にかかる方法は、シリコン膜以外の薄膜を結晶化するレーザアニール装置に適用することも可能である。すなわち、非晶質膜にレーザ光を照射して、結晶化膜を形成するレーザアニール装置であれば、本実施の形態にかかる方法は適用可能である。本実施の形態にかかるレーザアニール装置によれば、結晶化膜付き基板を適切に改質することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 レーザ照射装置
6 搬送装置
14 レーザ照射部
15 レーザ光
61_1~61_4 搬送ユニット
62_1~62_4 保持機構
63_1~63_4 移動機構
60a 第1の領域
60b 第2の領域
60c 第3の領域
60d 第4の領域
60e 照射領域
60f モニタ領域
65 照射位置
66 被処理体
67 補助浮上ユニット
68 回転機構
69 アライメント機構
300 有機ELディスプレイ
311 TFT層
311a TFT
312 有機層
312a 有機EL発光素子
312b 隔壁
313 カラーフィルタ層
313a カラーフィルタ(CF)
314 封止基板
PX 画素
601 リニアモータ
601a 可動子
601b 固定子
603 ガイド機構
606 ベース
607 ダンパ
621 昇降機構
622 吸着部
703 ガイド機構
704 可動部
706 ベース
709 ベルト
711 ACサーボモータ
714 排気フランジ
715 カバー
716 プーリ
730 チャンバ
740 配管
741 配管
742 集塵機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13