IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社の特許一覧

特開2024-116778蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス
<>
  • 特開-蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス 図1
  • 特開-蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス 図2
  • 特開-蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス 図3
  • 特開-蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116778
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240821BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240821BHJP
   H01M 50/60 20210101ALI20240821BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240821BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240821BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240821BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240821BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20240821BHJP
   H01M 50/618 20210101ALI20240821BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/103
H01M50/60
H01M10/0587
H01M10/0566
H01M50/15
H01G11/84
H01G11/82
H01M50/618
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022581
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐介
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H023
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AB01
5E078DA20
5E078EA03
5E078EA07
5E078EA14
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA21
5E078HA22
5E078HA25
5E078HA27
5E078LA07
5H011AA03
5H011AA09
5H011DD11
5H011KK01
5H011KK04
5H023AA03
5H023BB05
5H028BB03
5H028BB04
5H028CC07
5H028CC12
5H028HH09
5H029AJ14
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ13
5H029DJ02
5H029HJ12
5H029HJ15
(57)【要約】
【課題】捲回電極体への電解液の含浸効率を高める技術の提供。
【解決手段】ここで開示される技術によると、電極体20と、ケース10と、電解液とを備える蓄電デバイス1の製造方法が提供される。ケース10は、直方体形状であり、幅広な矩形状の第1壁12aおよび第1壁12aに対向する開口12hを有する外装体12と、開口12hを封口する、第1壁12aに対向する幅広な矩形状の封口板14と、を有している。この製造方法は、収容工程と、注液工程と、封口工程と、を包含する。収容工程では、幅広面20aと第1壁12aとが対向するように、電極体20を外装体12に収容する。注液工程では、収容工程後の外装体12に電解液を注液する。封口工程では、注液工程後、外装体12の開口12hを封口板14で封口する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、
前記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、前記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、
電解液と、
を備える蓄電デバイスの製造方法であって、
前記幅広面と前記第1壁とが対向するように、前記電極体を前記外装体に収容する収容工程と、
前記収容工程後の前記外装体に前記電解液を注液する注液工程と、
前記注液工程後、前記外装体の前記開口を前記封口板で封口する封口工程と、
を包含する、製造方法。
【請求項2】
前記注液工程を負圧状態で実施する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記注液工程では、前記開口から前記電解液を前記外装体に注液する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記封口工程では、前記電極体の前記幅広面を前記封口板で押圧しながら、前記外装体の前記開口を封口する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記封口工程では、前記封口板として凸部が設けられた封口板を用いる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記封口工程では、前記電極体の前記幅広面に少なくとも6kNの押圧力を付与する、請求項4または5に記載の製造方法。
【請求項7】
長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、
前記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、前記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、
電解液と、
を備える蓄電デバイスであって、
前記電解液を前記ケースに注液するための注液孔が設けられていない、蓄電デバイス。
【請求項8】
前記封口板には、前記電極体の前記幅広面に向かって突出する凸部が設けられている、請求項7に記載の蓄電デバイス。
【請求項9】
前記凸部には、さらに、前記幅広面に向かって突出するリブ部が設けられている、請求項8に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスの製造方法、および蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されるリチウムイオン電池では、角型電槽と渦巻き状の電極素子との間の各コーナーに、電極素子に少なくとも一部が密着したスペーサーが配置されている。また、それぞれのスペーサーの背側に、気泡の逃げ道としての空間が設けられている。この文献には、リチウムイオン電池が角型電槽の外部から衝撃を受けた場合には、電極素子の短側面のR部の頂部に衝撃が集中するが、上述の構成によって、衝撃がスペーサーで分散され、電極素子への衝撃の伝達が低減され、リチウムイオン電池の耐衝撃性が向上する、と記載されている。また、角型電槽への注液時には、電極素子の上面からだけではなく、スペーサーの背側に設けられた空間からも気泡が逃げる。このため、電極素子の電解液の浸透性が向上し、注液時間を短縮することができる、と記載されている。
【0003】
特許文献2で開示される非水電解質二次電池は、電極積層体と、電極積層体を収納するケースとを有しており、電極積層体の電極積層方向に圧力が加わるように加圧部材が装着されている。この非水電解質二次電池では、加圧部材として、板面と垂直な方向に弾力を生じるような形状に加工された薄板バネが用いられている。当該薄板バネは、ケースの内面と電極積層体との隙間に配置されている。この文献には、薄板バネを所定の形状に加工し、ケースの内面と電極積層体との隙間に配置するという簡単な構成によって、電極積層体を加圧することができると記載されている。また、かかる構成によって、非水電解質二次電池の充放電のサイクル寿命を延ばすことができると記載されている。
【0004】
特許文献3で開示される扁平角形電池では、金属板を加工して凹部の開口周囲にフランジを設けた半殻体に本体ケースが形成されている。また、極板群が凹部内に収容されている。また、金属製の蓋板が、フランジに周辺部を重ね合わせられて配設されるとともに、フランジと溶接により接合されている。さらに、この電池では、本体ケース及び/又は蓋板に、電池の厚さを減少させる方向に窪みが形成されている。この公報には、ケース内に収容した極板群の膨張や内圧の上昇が生じてケースに膨出方向の力が作用したとき、本体ケースより変形強度が低く形成された蓋板の窪みが外方に膨らむので、ケース全体の厚さに影響が及ばず、扁平角形電池を装填した機器に膨らみによる影響を与えることがないと記載されている。このため、かかる構成は、機器の薄型化の達成に寄与することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-216239号公報
【特許文献2】特開平10-334879号公報
【特許文献3】特開2004-103368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者は、捲回電極体への電解液の含浸効率を高めたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される蓄電デバイスの製造方法は、長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、上記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、上記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、電解液と、を備える蓄電デバイスの製造方法である。この製造方法は、上記幅広面と上記第1壁とが対向するように、上記電極体を上記外装体に収容する収容工程と、上記収容工程後の上記外装体に上記電解液を注液する注液工程と、上記注液工程後、上記外装体の上記開口を上記封口板で封口する封口工程と、を包含する。かかる構成の製造方法によると、電極体(捲回電極体)への電解液の含浸効率を高めることができる。
【0008】
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記注液工程を負圧状態で実施する。かかる構成によると、電極体への電解液の含浸効率をより高めることができる。
【0009】
ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記注液工程では、上記開口から上記電解液を上記外装体に注液する。かかる構成によると、上述の効果に加えて、注液をより容易に行うことができる。
【0010】
ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記封口工程では、上記電極体の上記幅広面を上記封口板で押圧しながら、上記外装体の上記開口を封口する。かかる構成によると、電解液を十分に含浸させた後の電極体における電極間距離を小さくすることができる。
【0011】
ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記封口工程では、上記封口板として凸部が設けられた封口板を用いる。かかる構成によると、電極間距離を小さい状態に維持することができる。
【0012】
ここで開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記封口工程では、上記電極体の上記幅広面に少なくとも6kNの押圧力を付与する。かかる構成によると、電極間距離を好ましい状態に維持することができる。
【0013】
また、ここで開示される技術によると、長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、上記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、上記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、電解液と、を備える蓄電デバイスが提供される。この蓄電デバイスでは、上記電解液を上記ケースに注液するための注液孔が設けられていない。かかる構成の蓄電デバイスでは、注液孔が設けられていないため、外装体の開口から電解液が注液される。このため、電極体への電解液の含浸効率が高められている。
【0014】
ここで開示される蓄電デバイスの好ましい一態様では、上記封口板には、上記電極体の上記幅広面に向かって突出する凸部が設けられている。かかる構成によると、電極体において、好ましい電極間距離を維持することができる。
【0015】
上記凸部には、さらに、上記幅広面に向かって突出するリブ部が設けられていることが好ましい。かかる構成によると、上述の効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、蓄電デバイス1の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、ケース10の分解斜視図である。
図4図4は、電極体20の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ここで開示される技術の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、特にここで開示される技術を限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、数値範囲を示す「A~B」の表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。
【0018】
本明細書において、「蓄電デバイス」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電が生じるデバイスをいう。かかる蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池;リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ;を包含する。以下では、上述した蓄電デバイスの一例として、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、蓄電デバイス1の斜視図である。図2は、図1のII-II断面図である。図2には、ケース10の第1壁12aに沿う断面図が示されている。図3は、ケース10の分解斜視図である。図3には、外装体12と、外装体12の開口12hから外された状態の封口板14とが個々に示されている。
【0020】
<蓄電デバイス1>
ここで開示される技術によると、蓄電デバイス1が提供される。蓄電デバイス1は、図1および図2に示されているように、ケース10と、電極体20と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電体50と、負極集電体60と、電解液(図示なし)と、種々の絶縁部材と、を備えている。
【0021】
-ケース10-
ケース10は、例えば、電極体20を収容する直方体形状(六面体形状)の部材である。図1に示されているように、ケース10は、外装体12と、封口板14とを備えている。外装体12は、例えば、電極体20を内部に収容する、ケース10の本体である。外装体12は、図1図3に示されているように、開口12hと、第1壁12aと、一対の対向する第2壁12b,12cと、一対の対向する第3壁12d,12eを有している。この実施形態では、第1壁12aは、幅広な矩形状であり、開口12hに対向している。また、一対の第2壁12b,12cは、第1壁12aの一対の対向する長辺から延びている。図1および図2に示されているように、下側の第2壁12cは、蓄電デバイス1の底面を構成する。また、上側の第2壁12bは、この底面に対向する上面であり、電極端子の取付面である。また、一対の第3壁12d,12eは、第1壁12aの一対の対向する短辺から延びている。なお、本明細書において、「矩形状」とは、直線状の長辺と短辺とが曲線を介して互いに接合している形状、長辺および短辺の少なくとも一方が直線状ではなく、湾曲したり、凹凸になっていたり、屈曲して複数の直線あるいは曲線から構成されている形状、等を包含する。
【0022】
開口12hは、例えば、封口板14が装着される部位である。ここでは、開口12hは、一対の第2壁12b,12cの上縁と、一対の第3壁12d,12eの上縁とで囲まれることによって形成されており、幅広な矩形状である。図3に示されているように、開口12hには、内縁に沿って凹んだ段差121が設けられている。ここでは、段差121に、封口板14が嵌め込まれている。また、段差121に封口板14が接合(例えば、溶接)されることによって、外装体12と封口板14とが一体化され、ケース10が気密に封止される。
【0023】
図3に示された形態では、第1壁12aには、凸部122と、リブ部123とが設けられている。凸部122は、例えば、第1壁12aからケース10の内側に突出した部位である。ここでは、凸部122は、一対の対向する短側壁122aと、一対の対向する長側壁122bと、平坦面122cとを有している。図3に示されているように、短側壁122aは、第1壁12aの一対の対向する短辺に沿って、第1壁12aからケース10の内側に向かって立ち上がっている。また、長側壁122bは、第1壁12aの一対の対向する長辺に沿って、第1壁12aからケース10の内側に向かって立ち上がっている。平坦面122cは、ここでは、一対の対向する短側壁122aの先端と、一対の対向する長側壁122bの先端とで囲まれている。平坦面122cは、例えば、電極体20の幅広面20aと対向する(図1図3参照)。電極体20に効率よく押圧力を付与する観点から、幅広面20aの面積を1としたときに、平坦面122cの面積は、例えば0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、特に限定するものではないが、1.3以下であってもよく、1.2以下であってもよく、1.1以下であってもよい。
【0024】
リブ部123は、例えば、平坦面122cからケース10の内側に向かって(電極体20の幅広面20aに向かって)、突出した部位である。図3に示された形態では、リブ部123は、例えば、所定のパターンで配列された筋状に設けられるとよい。リブ部123を構成する各リブの形状は、封口板14のリブ部142における各リブの形状と同様であってもよく、異なっていてもよい。リブ部123の先端は、ここでは、電極体20の幅広面20aに接触する。凸部122とリブ部123とを設けることによって、例えば、電極体20の幅広面20aに押圧力を付与することができ、電極体20において好ましい電極間距離を維持することができる。なお、凸部122とリブ部123とは必須ではなく、他の実施形態において、省略されてもよい。
【0025】
図1図3に示されているように、第2壁12bには、排出弁126と、第1端子取付部124と、第2端子取付部125と、が設けられている。排出弁126は、例えば、薄肉部である。ここでは、排出弁126は、ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。第1端子取付部124は、例えば、正極端子30が取り付けられる部位である。図1図3に示された形態では、第1端子取付部124は、第2壁12bから凹んだ段差である。第1端子取付部124の底には、正極端子30が挿通される貫通孔18が設けられている。第2端子取付部125は、例えば、負極端子40が取り付けられる部位である。図1図3に示された形態では、第2端子取付部125は、第2壁12bから凹んだ段差である。第2端子取付部125の底には、負極端子40が挿通される貫通孔19が設けられている。
【0026】
封口板14は、例えば、開口12hを封口する平板状の部材である。このため、封口板14の形状は、開口12hの形状に応じた形状であるとよい。この実施形態では、封口板14は、幅広な矩形状である。ここでは、封口板14が開口12hに取り付けられると、封口板14は、第1壁12aに対向する。図3に示されているように、封口板14は、一対の対向する長辺部14a,14bと、一対の対向する短辺部14c,14dとを有している。ここでは、長辺部14aは、第2壁12bにおける段差121の底に戴置される。また、長辺部14bは、第2壁12cにおける段差121の底に戴置される。また、短辺部14cは、第3壁12dにおける段差121の底に戴置される。また、短辺部14dは、第3壁12eにおける段差121の底に戴置される。
【0027】
図1および図3に示されているように、封口板14は、凸部141と、リブ部142と、縁部143とを有している。凸部141は、例えば、一対の対向する短側壁141aと、一対の対向する長側壁141bと、平坦面141cとを有している。図3に示されているように、短側壁141aは、封口板14の一対の対向する短辺部14c,14dに沿って、縁部143からケース10の内側に向かって立ち上がっている。また、長側壁141bは、封口板14の一対の対向する長辺部14a,14bに沿って、縁部143からケース10の内側に向かって立ち上がっている。平坦面141cは、ここでは、一対の対向する短側壁141aの先端と、一対の対向する長側壁141bの先端とで囲まれている。平坦面141cは、例えば、電極体20の幅広面20aと対向する(図1図3参照)。電極体20に効率よく押圧力を付与する観点から、幅広面20aの面積を1としたときに、平坦面141cの面積は、例えば0.7~0.9である。なお、凸部141の高さは、特に限定されず、適宜設定されうる。
【0028】
リブ部142は、例えば、平坦面141cからケース10の内側に突出した部位である。図1および図3に示された形態では、リブ部142は、平坦面141c上に形成されている。また、リブ部142は、平坦面141cから電極体20の幅広面20aに向かって(ケース10の内側に向かって)、突出している。リブ部142は、例えば、所定のパターンで配列された筋状に設けられるとよい。図1に示された形態では、リブ部142は、相互に形状が異なる、第1リブ142aと、一対の第2リブ142bと、一対の第3リブ142cと、一対の第4リブ142dと、一対の第5リブ142eと、一対の第6リブ142fと、一対の第7リブ142gと、を有している。
【0029】
この実施形態では、第1リブ142aと、一対の第2リブ142b~一対の第6リブ142fとは、いずれも封口板14の一対の対向する長辺部14a,14bに沿って並べられた直線部分L1~L6を有している。また、第1リブ142aと、一対の第2リブ142b~一対の第6リブ142fとは、いずれも、直線部分L1~L6における封口板14の中央部側の一端からの長辺部14a(外装体12の端子取付面側である第2壁12b側の長辺部)と反対側の長辺部14bに向かった湾曲部分R1~R6を有している。ここでは、第1リブ142aは、略T字状であり、直線部分L1と湾曲部分R1とに加えて、直線部分LAを有している。直線部分LAは、湾曲部分R1から長辺部14bに向かって延びている。さらに、直線部分L1と湾曲部分R1とLAとの連結部位には、平面視において略三角形状の凹部142a1が設けられている。凹部142a1は、ここでは、ケース10の内側から外側に向かって凹んでいる。凹部142a1を設けることによって、当該部位に押圧力が付与されなくなる。これによって、蓄電デバイス1の性能が低下するのを抑制することができる。一対の第3リブ142cは、略L字状であり、直線部分L3と湾曲部R3とに加えて、直線部分LBを有している。直線部分LBは、湾曲部分R3から長辺部14bに向かって延びている。一対の第7リブ142gは、ここでは、平面視において略長方形状である。一対の第7リブ142gは、長辺方向が長辺部14bに沿うように配置されている。一対の第7リブ142gは、図1では、一対の第6リブ142fと、一方の短辺部14cまたは他方の短辺部14dと、長辺部14bと、に囲まれるように設けられている。
【0030】
図1に示された形態では、第2リブ142bの湾曲部分R2の終端(直線部分L2と反対側の一端)は、第1リブ142aの湾曲部分R1と第3リブ142cの湾曲部分R3との間に挟まれている。また、第4リブ142dの湾曲部分R4の終端(直線部分L4と反対側の一端)は、第3リブ142cの湾曲部分R3と、第5リブ142eの湾曲部分R5との間に挟まれている。また、第1リブ142aの直線部分LAの終端(湾曲部分R1と反対側の一端)と、一対の第3リブ142cの直線部分LBの終端(湾曲部分R3と反対側の一端)と、一対の第5リブ142eの湾曲部分R5の終端(直線部分L5と反対側の一端)と、一対の第6リブ142fの湾曲部分R6の終端(直線部分L6と反対側の一端)と、一対の第7リブ142gとは、長辺部14bに沿って配置されている。
【0031】
リブ部142が上述の形状を有することによって、幅広面20aに対して効率的に押圧力を付与し、好ましい電極間距離を実現することができる。これに加えて、電極体20の膨張収縮によって、電極体20の内部から外部に電解液が押し出されるのを線圧で防止することができる。このため、リブ部142によって、蓄電デバイス1の充放電時に、電極体20において電解液が枯渇するのを抑制することができる。
【0032】
リブ部142を構成する各リブの突出先端は、ここでは、電極体20の幅広面20aに接触する。封口板14で開口12hを封口した状態では、リブ部142によって電極体20の幅広面20aに押圧力が加わる。平坦面141cの面積を1としたとき、リブ部142と幅広面20aとの接触面積(リブ部142における各リブの突出先端の合計面積)は、例えば0.2~0.8であり、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、あるいは0.7以下であるとよく、0.6以下が好ましい。これによって、好適な極間距離を維持することができる。なお、各リブの高さは、特に限定されず、適宜設定されうる。
【0033】
縁部143は、ここでは、封口板14の周縁に設けられた部位である。図1および図3に示されているように、縁部143は、一対の長辺部14a,14bと、一対の短辺部14c,14dとに沿って設けられている。また、縁部143は、凸部141の周囲に設けられている。縁部143には、ここでは、凹凸、貫通孔等は設けられていない。
【0034】
この実施形態では、ケース10には、ケース10に電解液を注液するための注液孔が設けられていない。後述する製造方法の説明に記載のとおり、電解液をケース10に注液する際には、開口12hを介して注液する。
【0035】
-電極体20-
電極体20は、例えば、正極と負極とを有する、蓄電デバイス1の発電要素である。図4は、電極体20の模式図である。図4に示されているように、電極体20は、長尺なシート状の正極22と長尺なシート状の負極24とがセパレータ23を介在させつつ、シート長手方向LDに捲回された、捲回電極体である。電極体20は、例えば、正極22と負極24とセパレータ23とを捲回して筒状体とし、かかる筒状体をプレス成形することによって作製されうる。このため、電極体20は、扁平形状であり、一対の幅広面20aを有する(図2参照)。
【0036】
図2および図4に示されているように、電極体20は、捲回軸方向WDと蓄電デバイス1の上下方向とが略平行になるように、外装体12に収容されている。この実施形態では、電極体20の捲回軸WLは、第1壁12aと第3壁12d,12eと封口板14と略平行になり、かつ、第2壁12b,12cと略垂直である。また、電極体20の幅広面20aは、第1壁12aと封口板14とに対向している。また、電極体20の一方の端面は第2壁12bと対向しており、他方の端面は第2壁12cと対向している。電極体20の端面は、ここでは、正極22と負極24とセパレータ23との積層面であり、開放面である。
【0037】
図4に示されているように、正極22は、長尺な帯状の正極集電箔22c(例えばアルミニウム箔)と、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極22の捲回軸方向WDにおける一方の側縁部には、必要に応じて、保護層22pが設けられていてもよい。なお、正極活物質層22aの構成材料と保護層22pの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0038】
正極集電箔22cの捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。正極タブ22tは、正極集電箔22cの一部であり、正極集電箔22cの正極活物質層22aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。図4に示された実施形態では、正極タブ22tの基端側には、保護層22pが設けられている。この実施形態では、複数の正極タブ22tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。複数の正極タブ22tは捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)で積層され、正極タブ群を構成する。このため、各々の正極タブ22tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の正極タブ22tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。図2に示されているように、積層された正極タブ22t(正極タブ群)には、正極集電体50が接合される。
【0039】
図4に示されているように、負極24は、長尺な帯状の負極集電箔24c(例えば銅箔)と、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aとを有する。なお、負極活物質層24aの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0040】
負極集電箔24cの捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向LDに沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。負極タブ24tは、負極集電箔24cの一部であり、負極集電箔24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(活物質層未形成部)である。この実施形態では、複数の負極タブ24tは、セパレータ23よりも捲回軸方向WDに突出している。例えば、複数の負極タブ24tは捲回軸方向WDの一方の端部(図4の上端部)で積層され、負極タブ群を構成する。このため、各々の負極タブ24tの高さ(捲回軸方向WDにおける長さ)と、各々の負極タブ24tの幅(長手方向LDにおける長さ)とは、同じでなくてもよい。図2に示されているように、積層された負極タブ24t(負極タブ群)には、負極集電体60が接合される。
【0041】
セパレータ23は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ23は、この実施形態では、電極体20の外表面を構成している。セパレータ23としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが用いられる。
【0042】
図4に示されているように、電極体20では、セパレータ23の下端P3が最も下側であり、次いで負極24の下端P2があり、正極22の下端P1が最も上側にある。各シートの幅(図4では、捲回軸方向WDにおける長さ。ただし、正極タブ22tおよび負極タブ24tを除く。)は、セパレータ23、負極24、正極22の順に大きい。
【0043】
-正極端子30-
正極端子30は、例えば、電極体20の正極22と電気的に接続される部材である。図2に示されているように、正極端子30は、貫通孔18に挿通され、外装体12の外側に露出している。ここでは、正極端子30は、第1導電部材31と、第2導電部材32とを有している。この実施形態では、第1導電部材31は、軸部31aとベース部31bとを有している。軸部31aは、例えば、円筒状であり、貫通孔18と第2導電部材32の貫通孔に挿通される部位である。ベース部31bは、例えば、平板状であり、外装体12の外側表面(ここでは、第2壁12b)に沿って配置される部位である。第2導電部材32は、例えば、平板状であり、組電池を構築する際に、バスバーと接続される部位である。この実施形態では、第2導電部材32は、矩形状である。第1導電部材31と第2導電部材32とは、ケース10の外側において相互に接続されている。第1導電部材31は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。第2導電部材32は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で構成される。
【0044】
負極端子40は、例えば、電極体20の負極24と電気的に接続される部材である。図2に示されているように、負極端子40は、貫通孔19に挿通され、外装体12の外側に露出している。ここでは、負極端子40は、第1導電部材41と、第2導電部材42とを有している。第1導電部材41は、例えば、銅または銅合金で構成される。負極端子40は、例えば、正極端子30と同様の構成を有してよい。このため、負極端子40の構成についての説明は、ここでは省略する。
【0045】
-正極集電体50-
正極集電体50は、例えば、正極タブ22tと正極端子30とを電気的に接続する部材である。正極集電体50は、例えば、板状の導電部材である。図2に示されているように、正極集電体50は、外装体12の内側表面(ここでは、第2壁12bの内側)に沿って、第2壁12bの長辺方向に延びている。正極集電体50の一方の端部(図2の右側端部)には、正極タブ22t(ここでは、正極タブ群)が接続されている。また、正極集電体50の他方の端部(図2の左側端部)には、正極端子30の軸部31aの下端部が貫通孔50hに挿通されて、かしめられている。正極集電体50は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
【0046】
-負極集電体60-
負極集電体60は、例えば、負極タブ24tと負極端子40とを電気的に接続する部材である。負極集電体60は、例えば、板状の導電部材である。図2に示されているように、負極集電体60は、外装体12の内側表面(ここでは、第2壁12bの内側)に沿って、第2壁12bの長辺方向に延びている。負極集電体60の一方の端部(図2の左側端部)には、負極タブ24t(ここでは、負極タブ群)が接続されている。また、負極集電体60の他方の端部(図2の右側端部)には、負極端子40の下端部が貫通孔60hに挿通されて、かしめられている。負極集電体60は、例えば、銅または銅合金で構成される。
【0047】
-電解液-
電解液は、例えば、電解質塩と、非水溶媒とを含んでいる。電解質塩としては、例えば、LiPF等が挙げられる。電解液における電解質塩の濃度は、例えば、0.7mol/L~1.3mol/Lである。非水溶媒は、例えば、カーボネート類であるとよい。カーボネート類としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。これらは単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
-絶縁部材-
蓄電デバイス1では、種々の絶縁部材が用いられている。例えば、図2に示されているように、ケース10の外側において、正極端子30の第2導電部材32と第2壁12bとの間、ならびに、負極端子40の第2導電部材42と第2壁12bとの間には、外部絶縁部材91が配置されている。また、ケース10の外側において、第1導電部材31と第2壁12bとの間、ならびに、第1導電部材41と第2壁12bとの間には、ガスケット92が配置されている。ガスケット92は、貫通孔18の内周と、貫通孔19の内周とにそれぞれ配置された、筒部921を有している。また、ケース10の内側において、正極集電体50と第2壁12bとの間、ならびに、負極集電体60と第2壁12bとの間には、内部絶縁部材93が配置されている。
【0049】
蓄電デバイス1は、種々の用途に用いられるものであるが、なかでも、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好ましく用いられうる。車両の種類は特に限定されないが、好適例として、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。
【0050】
上述したとおり、蓄電デバイス1は、電極体20と、ケース10と、電解液と、を備えている。電極体20は、長尺なシート状の正極22と長尺なシート状の負極24とがセパレータ23を介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面20aを有している。ケース10は、電極体20を収容する直方体形状のケースである。また、ケース10は、幅広な矩形状の第1壁12aおよび第1壁12aに対向する開口12hを有する外装体12と、開口12hを封口する、第1壁12aに対向する幅広な矩形状の封口板14とを有している。蓄電デバイス1には、電解液をケース10に注液するための注液孔が設けられていない。
【0051】
かかる構成の蓄電デバイス1では、注液孔が設けられていないため、外装体12の開口12hから電解液を注液する。このため、電解液を注液してから外装体12を封口することとなる。これによって、電極体20への電解液の含浸効率を高めることができる。また、注液孔を設ける工程を省略することができるため、蓄電デバイス1の生産性を向上させることができる。
【0052】
また、蓄電デバイス1において、封口板14には、電極体20の幅広面20aに向かって突出する凸部141が設けられている。凸部141が設けられた封口板14を用いることによって、電極体20の幅広面20aに押圧力を付与することができる。このため、好ましい電極間距離を維持することができる。
【0053】
また、凸部141には、さらに、幅広面20aに向かって突出するリブ部142が設けられている。凸部141とともにリブ部142が設けられた封口板14を用いることによって、電極体20の幅広面20aに、より効率よく押圧力を付与することができる。このため、好ましい電極間距離を維持する効果を高めることができる。
【0054】
<蓄電デバイス1の製造方法>
ここで開示される技術によると、蓄電デバイス1の製造方法が提供される。この製造方法は、例えば、収容工程と、接合工程と、注液工程と、封口工程と、を包含する。
【0055】
-収容工程-
収容工程は、例えば、電極体20を外装体12に収容する工程である。ここでは、幅広面20aと第1壁12aとが対向するように、電極体20を外装体12に収容する(図2参照)。収容工程に先んじて、正極端子30と負極端子40と正極集電体50と負極集電体60と種々の絶縁部材とを、外装体12の第2壁12bに取り付けておくことが好ましい。
【0056】
-接合工程-
接合工程は、例えば、電極タブと電極集電体とを接合する工程である。この実施形態では、電極体20を外装体12に収容した後(収容工程の後)、正極タブ22tを正極集電体50に接合し、負極タブ24tを負極集電体60に接合する。電極タブと電極集電体との接合手段は、例えば、レーザ溶接である。接合工程によって、電極体20と外装体12とが一体化された第1合体物が得られる。
【0057】
-注液工程-
注液工程は、例えば、収容工程後(ここでは、収容工程後の接合工程後)の外装体12に電解液を注液する工程である。この実施形態では、電解液を開口12hから外装体12に注ぎ込む。開口12hから電解液を外装体12に注ぎ込むことによって、外装体12における注液孔の設置を省略することができる。このため、より容易に注液工程を実施することができる。また、例えば、注液工程を負圧状態で実施するとよい。これによって、電極体20への電解液の含浸効率を高めることができる。この場合、例えば、接合工程で得られた第1合体物を負圧環境下(負圧チャンバ内等)に配置して、その後、注液工程を実施するとよい。
【0058】
-封口工程-
封口工程は、例えば、外装体12の開口12hを封口板14で封口する工程である。本工程で、例えば、外装体12と封口板14とを溶接(例えば、レーザ溶接)する。これによって、両者を一体化するとともにケース10を密閉した第2合体物を得る。ここでは、注液工程後に、封口工程を実施する。封口工程では、例えば、電極体20の幅広面20aを封口板14で押圧しながら、外装体12の開口12hを封口することが好ましい。封口工程で電極体20の幅広面20aを押圧することによって、電解液を含浸させた電極体において、電極間距離を小さくすることができる。
【0059】
上述のとおり、封口板14には、凸部141とリブ部142とが設けられている。封口工程では、リブ部142を電極体20の幅広面20aに当接させることによって、電極体20を押圧するとよい。外装体12を封口する封口板として、凸部141とリブ部142とが設けられた封口板14を用いることによって、外装体12を封口した後も、電極体20の幅広面20aに押圧力を付与し続けることができる。このため、電極間距離が小さい状態を維持することができる。
【0060】
特に限定するものではないが、封口工程では、電極体20の幅広面20aに少なくとも6kNの押圧力を付与するとよい。これによって、好ましい電極間距離を実現することができる。なお、押圧力は、例えば10kN以下であるとよく、8kN以下であってもよい。また、押圧力は、幅広面20aに加わる平均押圧力である。平均押圧力は、例えば、室温において、幅広面20aに加えられた押圧力の合計を幅広面20aの面積で除して得られた値である。また、所望の押圧力が幅広面20aに加わるように、例えば、凸部141の高さ、リブ部142の高さ等を適宜調整するとよい。
【0061】
そして、封口工程で得られた第2合体物に所定条件の下でエージング処理を実施して、使用可能状態の蓄電デバイス1を得ることができる。
【0062】
上述のとおり、蓄電デバイス1の製造方法は、収容工程と、注液工程と、封口工程と、を包含する。収容工程では、幅広面20aと第1壁12aとが対向するように、電極体20を外装体12に収容する。注液工程では、収容工程後の外装体12に電解液を注液する。封口工程では、注液工程後、外装体12の開口12hを封口板14で封口する。かかる構成の製造方法では、幅広な開口を有する外装体12を用いているため、電極体20を外装体12に収容させやすい。このため、例えば、厚みを小さくする処理を別途実施せずとも、電極体20を外装体12に収容させることができる。また、この製造方法では、電極体20を外装体12に収容した後、開口12hを封口する前に、電解液の注液を行っている。このため、注液工程では、電極体20において、電解液が含浸しやすい電極間距離が確保されている。これによって、電極体20への電解液の含浸効率が高められている。
【0063】
上記実施形態では、封口板14に、凸部141とリブ部142とを設けていた。しかし、これに限定されない。例えば、リブ部142の形状は、上述した形状でなくてもよい。リブ部142は、例えば、所定のパターンで配列されたドット状のリブによって構成されてもよい。リブ部142に替えて、凸部(例えば、平坦面141cから幅広面20aに向かってドーム状に湾曲した凸部等)を設けてもよい。あるいは、封口板14に凸部141のみを設け、リブ部142を設けない態様であってもよい。あるいは、封口板14に凸部141を設けず、リブ部142、上述の凸部等を設けてもよい。封口板14の構成に関して、ここにいくつかを例示しているが、これらに限定されない。封口板14の構成は、ここで開示される技術の効果を実現することができる限り、特に限定されない。
【0064】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:
長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、
前記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、前記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、
電解液と、
を備える蓄電デバイスの製造方法であって、
前記幅広面と前記第1壁とが対向するように、前記電極体を前記外装体に収容する収容工程と、
前記収容工程後の前記外装体に前記電解液を注液する注液工程と、
前記注液工程後、前記外装体の前記開口を前記封口板で封口する封口工程と、
を包含する、製造方法。
項2:
前記注液工程を負圧状態で実施する、項1に記載の製造方法。
項3:
前記注液工程では、前記開口から前記電解液を前記外装体に注液する、項1または2に記載の製造方法。
項4:
前記封口工程では、前記電極体の前記幅広面を前記封口板で押圧しながら、前記外装体の前記開口を封口する、項1~3のいずれか一つに記載の製造方法。
項5:
前記封口工程では、前記封口板として凸部が設けられた封口板を用いる、項1~4のいずれか一つに記載の製造方法。
項6:
前記封口工程では、前記電極体の前記幅広面に少なくとも6kNの押圧力を付与する、項1~5のいずれか一つに記載の製造方法。
項7:
長尺なシート状の正極と長尺なシート状の負極とがセパレータを介在させつつ、シート長手方向に捲回された電極体であって、一対の対向する幅広面を有する電極体と、
前記電極体を収容する直方体形状のケースであって、幅広な矩形状の第1壁および該第1壁に対向する開口を有する外装体と、該開口を封口する、前記第1壁に対向する幅広な矩形状の封口板とを有するケースと、
電解液と、
を備える蓄電デバイスであって、
前記電解液を前記ケースに注液するための注液孔が設けられていない、蓄電デバイス。
項8:
前記封口板には、前記電極体の前記幅広面に向かって突出する凸部が設けられている、項7に記載の蓄電デバイス。
項9:
前記凸部には、さらに、前記幅広面に向かって突出するリブ部が設けられている、項8に記載の蓄電デバイス。
【0065】
以上、ここで開示される技術の実施形態について説明したが、ここで開示される技術を上記実施形態に限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、他の実施形態においても実施されうる。特許請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 蓄電デバイス
10 ケース
12 外装体
12a 第1壁
12h 開口
14 封口板
20 電極体
22 正極
23 セパレータ
24 負極
30 正極端子
40 負極端子
50 正極集電体
60 負極集電体
91 外部絶縁部材
92 ガスケット
93 内部絶縁部材


図1
図2
図3
図4