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  • 特開-稚魚の飼育方法及び飼育装置 図1
  • 特開-稚魚の飼育方法及び飼育装置 図2
  • 特開-稚魚の飼育方法及び飼育装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116779
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】稚魚の飼育方法及び飼育装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/10 20170101AFI20240821BHJP
【FI】
A01K61/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022582
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】595058635
【氏名又は名称】公益財団法人海洋生物環境研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄三
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕介
(72)【発明者】
【氏名】塩野谷 勝
(72)【発明者】
【氏名】川田 実季
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA02
2B104BA06
2B104EG01
2B104EG05
(57)【要約】
【課題】飼育した稚魚に対する出荷可能なスモルトの割合を可及的に高める。
【解決手段】本稚魚の飼育方法は、降海型の魚類の稚魚を飼育する水槽を遮光することで、上記稚魚に海水適応能を発現させるスモルト化を抑制するステップと、スモルト化した上記稚魚の出荷時期に合わせて上記水槽に光を照射することで、上記稚魚の上記スモルト化を促進するステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
降海型の魚類の稚魚を飼育する水槽を遮光することで、前記稚魚に海水適応能を発現させるスモルト化を抑制するステップと、
スモルト化した前記稚魚の出荷時期に合わせて前記水槽に光を照射することで、前記稚魚のスモルト化を促進するステップと、を含む、
稚魚の飼育方法。
【請求項2】
前記スモルト化を促進するステップは、
1日のうち所定期間は前記水槽に光を照射し、前記1日のうち前記所定期間を除いた期間は前記水槽への光の照射を停止する、
請求項1に記載の稚魚の飼育方法。
【請求項3】
前記スモルト化を促進するステップにおいて、前記所定期間は14時間から16時間の間である、
請求項2に記載の稚魚の飼育方法。
【請求項4】
前記スモルト化を促進するステップにおいて、前記水槽に照射される前記光の照度は、2000lux以上である、
請求項1に記載の稚魚の飼育方法。
【請求項5】
前記スモルト化を促進するステップは、1か月以上継続して実施される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の稚魚の飼育方法。
【請求項6】
淡水が貯留され、降海型の魚類の稚魚を飼育する水槽と、
前記水槽に光を照射する光源と、
前記水槽と前記光源を覆い、外部から前記水槽への光の入射を抑制する抑制手段と、
前記光源の点灯、消灯を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光源を消灯して前記稚魚に海水適応能を発現させるスモルト化を抑制し、
スモルト化した前記稚魚の出荷時期に合わせて前記光源を点灯させることで、前記稚魚の前記スモルト化を促進する、
稚魚の飼育装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稚魚の飼育方法及び飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サクラマスによって例示される降海型の魚類の養殖では、海水適応能を獲得した稚魚であるスモルトに対する海水馴致が行われて出荷される。また、稚魚が海水適応能を獲得することを「スモルト化」とも称する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-039335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サクラマスの稚魚は、自然の状態では春にスモルト化することが多い。一方、サクラマスのスモルトの需要は秋に高まることが多い。従来は、稚魚をスモルト化する時期を制御することは困難であった。そこで、春にスモルト化した稚魚の多くは、秋の出荷までの間は淡水で飼育され、秋になってから出荷される。しかしながら、淡水で飼育されている間に海水適応能を失う稚魚が生じることがあり、飼育した稚魚に対する出荷可能なスモルトの割合が低下していた。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、飼育した稚魚に対する出荷可能なスモルトの割合を可及的に高めることができる稚魚の飼育方法及び飼育装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような稚魚の飼育方法によって例示される。本稚魚の飼育方法は、降海型の魚類の稚魚を飼育する水槽を遮光することで、上記稚魚に海水適応能を発現させるスモルト化を抑制するステップと、スモルト化した上記稚魚の出荷時期に合わせて上記水槽に光を照射することで、上記稚魚の上記スモルト化を促進するステップと、を含む。
【0007】
上記飼育方法によれば、稚魚を飼育する水槽を遮光することで、稚魚のスモルト化を抑制することができる。そして、稚魚の出荷時期に合わせて水槽に光を照射することで稚魚のスモルト化を促進することができる。すなわち、上記飼育方法によれば、稚魚のスモルト化を稚魚の出荷時期に合わせることができるため、スモルト化した稚魚を淡水で飼育する期間を短縮することができる。そのため、一度スモルト化した稚魚が海水適応能を失うことが抑制され、ひいては、飼育した稚魚に対する出荷可能なスモルトの割合を可及的に高めることができる。
【0008】
ここで、上記スモルト化を促進するステップは、1日のうち所定期間は上記水槽に光を照射し、上記1日のうち上記所定期間を除いた期間は上記水槽への光の照射を停止するものであってもよい。そして、上記スモルト化を促進するステップにおいて、上記所定期間は、14時間から16時間の間であってもよい。上記所定期間がこのように設定されることで、真夏における日光の照射時間を想定した光の照射を水槽に対して行うことができる。
【0009】
また、上記スモルト化を促進するステップにおいて、上記水槽に照射される上記光の照
度は、2000lux以上であってもよい。上記光の照度がこのように設定されることで、飼育対象の稚魚に対して充分な強さの光を照射することができる。
【0010】
また、上記スモルト化を促進するステップは、1か月以上継続して実施されてもよい。1か月以上継続して上記スモルト化を促進するステップが行われることで、可及的に多くの稚魚をスモルト化させる期間を充分に確保することができる。
【0011】
開示の技術は、稚魚の飼育装置の側面から把握することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術によれば、飼育した稚魚に対する出荷可能なスモルトの割合を可及的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る飼育装置の一例を示す図である。
図2図2は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る飼育装置を用いた稚魚の飼育方法の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。図1は、実施形態に係る飼育装置1の一例を示す図である。飼育装置1は、水槽10、淡水タンク20、暗幕31、面光源32及び制御装置60を備える。
【0015】
水槽10は、サクラマスの稚魚100を飼育する水槽である。水槽10には、淡水が貯留されている。淡水としては、例えば、井戸水が採用される。水槽10に貯留された淡水の温度は、例えば、摂氏16度から20度程度であり、好ましくは摂氏16度程度である。
【0016】
稚魚100は、降海に適した海水適応能を発現する前の状態である。稚魚100は、当歳魚及び1歳魚のいずれであってもよい。水槽10で飼育される稚魚100の数は、水槽10の大きさ(貯水量)に応じて適宜決定される。例えば、水槽10の貯水量が1トンの場合、200尾の稚魚100を飼育可能である。
【0017】
暗幕31は、遮光性を有する幕である。暗幕31は、例えば、水槽10及び面光源32を覆うように配置される。すなわち、暗幕31は、水槽10への外部の光の入射を抑制する。換言すれば、暗幕31は、水槽10を遮光する。暗幕31は、「抑制手段」の一例である。
【0018】
面光源32は、水槽10の水面を照らす面光源である。面光源32は、水槽10の水面全体を均等に照らす光源であることが好ましい。面光源32は、例えば、2000lux以上の照度で水槽10の水面全体を照らす。例えば、面光源32は、複数の点光源を縦横に配置して面光源としたものであってもよい。面光源32は、点光源からの光を鏡面等で反射して面光源とされたものであってもよい。面光源32の光源としては、例えば、白熱電球、蛍光灯、Light Emitting Diode(LED)等が挙げられる。暗幕31及び面光源32がこのように配置されることで、水槽10への光の照射は、暗幕31内に配置された面光源32の点灯及び消灯によって制御される。面光源32は、「光源」の一例である。
【0019】
淡水タンク20には、淡水が貯留される。淡水タンク20に貯留される淡水としては、例えば、井戸水を採用することができる。淡水タンク20には、淡水パイプ23が接続される。淡水パイプ23の一端は淡水タンク20に接続され、他端はシャワーパイプ41に接続される。淡水パイプ23には、淡水タンク20側から順に、バルブ21、流量計22が設けられる。淡水タンク20には、図示しないポンプが備えられており、バルブ21の開き具合によって、淡水タンク20から淡水パイプ23への淡水の流量が調整される。また、バルブ21を閉じることで、淡水タンク20から淡水パイプ23への淡水の流入が停止される。そして、淡水パイプ23を流れる淡水の流量は、流量計22によって計測される。
【0020】
シャワーパイプ41は、水槽10の上方に設けられる。シャワーパイプ41は、水槽10を上方から見た場合において、水槽10を横切るように設けられる。シャワーパイプ41には、複数の貫通孔411が設けられる。シャワーパイプ41内を流れる淡水は、貫通孔411から吹き出すように水槽10に供給される。
【0021】
水槽10には、貯留された淡水が規定量以上となった場合に排水を行う排水パイプ51が設けられる。排水パイプ51は途中で屈曲しており、屈曲した部分におけるもっとも高い部分である屈曲高部511は、例えば、規定量の水を貯留した際の水槽10における水面高さHと同じ高さになるように設けられる。このような構成により、排水パイプ51は、シャワーパイプ41から淡水が供給されることで規定量以上の淡水が水槽10に貯留されても、規定量以上の淡水を水槽10から排水できる。
【0022】
上記したバルブ21、流量計22及び面光源32の夫々は、信号線61,62,63によって制御装置60に接続される。図2は、制御装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置60は、Central Processing Unit(CPU)601、主記憶部602、補助記憶部603及び通信部604を備える情報処理装置である。CPU601、主記憶部602、補助記憶部603及び通信部604は、接続バスによって相互に接続される。制御装置60は、「制御部」の一例である。
【0023】
CPU601は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU601が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであってもよい。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。制御装置60では、CPU601が補助記憶部603に記憶されたプログラムを主記憶部602の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。
【0024】
主記憶部602は、CPU601から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部602は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0025】
補助記憶部603は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部603は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部603には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部603は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。
【0026】
通信部604は、例えば、信号線61,62,63とのインターフェースである。通信部604は、信号線61,62,63を介して、バルブ21、流量計22、面光源32等の外部の装置と通信を行う。
【0027】
ここで、飼育装置1の発明者らは、光を遮断して暗闇の中で飼育することで稚魚100のスモルト化を抑制できること、スモルト化を抑制した稚魚100に対して光を照射して所定のスモルト化促進期間(例えば、1か月前後)飼育することで稚魚100のスモルト化を促進できること、を見出した。そこで、本実施形態では、稚魚100のスモルトの出荷時期が近付くまでは稚魚100を暗闇で飼育してスモルト化を抑制する。そして、稚魚100のスモルトの出荷時期が近付くと、水槽10に光を照射することでスモルト化を促進する。
【0028】
ここで、稚魚のスモルト化を促進するには、1日のうち所定期間を水槽10に光を照射する期間(以下、「明期間」とも称する)とし、1日のうち上記所定期間を除いた期間を水槽10に光を照射しない期間(以下、「暗期間」とも称する)とすることが好ましい。例えば、明期間は、例えば、14時間から16時間とし、暗期間を8時間から10時間とすることができる。
【0029】
制御装置60の補助記憶部603には、予め、所定のプログラムが記憶される。CPU601は、補助記憶部603に記憶されたプログラムにしたがって、バルブ21の開閉や面光源32の点灯、消灯の制御を行う。制御装置60は、例えば、水槽10に貯留された淡水の1/2の量が1時間で入れ替わるように、流量計22が示す流量を基にバルブ21を制御して、水槽10への淡水の供給を実行する。
【0030】
(飼育装置1を用いた稚魚の飼育方法)
上記飼育装置1を用いたサクラマスの稚魚100の飼育方法について説明する。図3は、実施形態に係る飼育装置1を用いた稚魚100の飼育方法の流れの一例を示す図である。以下、図3を参照して、飼育装置1を用いた稚魚100の飼育方法の流れについて説明する。
【0031】
ステップS1では、稚魚100飼育の準備が行われる。すなわち、水槽10に淡水が貯留され、飼育対象の稚魚100が水槽10に放たれる。本実施形態では、1トンの淡水が水槽10に貯留され、200尾の稚魚100が水槽10に放たれるものとする。ここで、本実施形態では、1トンの淡水が貯留された水槽10では、水面の高さが水面高さHとなるものとする。水槽10に貯留された淡水の温度は、例えば、摂氏16度程度に調整される。また、面光源32は消灯される。
【0032】
ステップS2では、スモルトの出荷時期が近付くまでの間、稚魚100のスモルト化が抑制される。面光源32の消灯が維持された状態で稚魚100が飼育される。水槽10に対する外部に光の入射は暗幕31によって抑制されているため、ステップS2の状態では稚魚100は暗闇の状態で飼育される。暗闇の中で稚魚100が飼育されることで、稚魚100のスモルト化が抑制される。ステップS2の処理は、「スモルト化を抑制するステップ」の一例である。
【0033】
ステップS3では、制御装置60は、予め補助記憶部603に記憶された出荷までの期間が1か月以内であるか否かを判定する。出荷までの期間が1か月以内である場合(ステップS3でYES)、処理はステップS4に進められる。出荷までの期間が1か月より長い場合(ステップS3でNO)、処理はステップS2に戻される。
【0034】
ステップS4では、稚魚100のスモルト化が促進される。制御装置60は、面光源3
2を点灯する。ここで、制御装置60は、例えば、一日のうち16時間は面光源32を点灯させ、8時間は面光源32を消灯させる。すなわち、ステップS4において稚魚100は、一日のうち、16時間は明るい環境で飼育され、8時間は暗い環境で飼育されることになる。本実施形態では、例えば、ステップS4の処理による飼育を1か月以上継続することで、稚魚100のスモルト化が促進される。ステップS4の処理は、「スモルト化を促進するステップ」の一例である。
【0035】
ステップS5では、制御装置60は、ステップS4による稚魚100の飼育を1か月継続したか否かを判定する。1か月継続した場合(ステップS5でYES)、処理は終了され、飼育したスモルトの出荷準備が開始される。1か月未満である場合(ステップS5でNO)、処理はS4に進められる。
【0036】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、図3のステップS2、S3を参照して説明したように、スモルト化した稚魚の出荷時期が近付くまでの間は暗闇の中で稚魚100を飼育する。暗闇の中で飼育されることで、稚魚100のスモルト化が抑制される。そして、スモルト化した稚魚の出荷時期が近付くと、図3のステップS4、S5を参照して説明したように、稚魚100のスモルト化が促進される。すなわち、本実施形態によれば、出荷時期に応じて稚魚100のスモルト化を制御することができる。そのため、出荷時期よりも早くにスモルト化してしまった稚魚100を淡水で飼育することが抑制されるため、飼育した稚魚100に対する出荷可能なスモルトの割合を可及的に高めることができる。
【0037】
本実施形態では、例えば、明期間が16時間、暗期間が8時間として設定される。明期間及び暗期間がこのように設定されることで、真夏における日光の照射時間を想定した光の照射を水槽10に対して行うことができる。
【0038】
本実施形態では、水槽10を照らす面光源32の照度は2000lux以上に設定される。面光源32の照度がこのように設定されることで、飼育対象の稚魚100に対して充分な強さの光を照射することができる。
【0039】
本実施形態では、図3のステップS4によって例示される稚魚100のスモルト化を促進する期間は、1か月以上確保される。稚魚100がスモルト化を完了するまでの期間には個体差がある。本実施形態では、1か月以上継続してスモルト化を促進する期間が確保されることで、より多くの稚魚100をスモルト化させる期間を充分に確保することができる。
【0040】
また、本実施形態では、水槽10において、水面高さHを超えた分の水は、排水パイプ51から排水される。すなわち、水槽10に対しては、シャワーパイプ41から供給される淡水によるかけ流しが行われる。本実施形態に係る水槽10は、このようなかけ流し方式を採用することで、水槽10内の水に対する濾過等の浄化処理を省略することが可能となる。すなわち、水槽10にろ過装置を設けなくてよいことから、水槽10の構成を簡易なものとすることができる。なお、水槽10は、水質及び水温が維持できれば循環式等のかけ流し方式以外の方式のものであってもよい。
【0041】
(変形例)
以上説明した実施形態では、水槽10の遮光は暗幕31によって抑制された。しかしながら、水槽10の遮光は暗幕31以外の手法によって抑制されてもよい。水槽10の遮光は、例えば、水槽10を暗室に配置することで行われてもよい。
【0042】
以上説明した実施形態では、サクラマスの稚魚100に対する飼育方法が説明された。
しかしながら、水槽10は、サクラマス以外の降海型の魚類の稚魚飼育にも採用することができる。サクラマス以外の降海型の魚類としては、例えば、紅鮭、ニジマス等を挙げることができる。また、サクラマス以外の稚魚を飼育する場合には、飼育する魚の種類に応じたスモルト化を促進する期間が確保され、スモルト化の促進を開始する時期が決定されればよい。
【0043】
以上説明した実施形態では、シャワーパイプ41から水槽10への淡水の供給、面光源32の点灯、消灯は、制御装置60によって制御された。しかしながら、飼育装置1から制御装置60は省略されてもよい。例えば、作業員等が、流量計22が示す流量を基にバルブ21の開閉を行ったり、面光源32の点灯、消灯を行ったりしてもよい。
【0044】
なお、上記飼育装置1を用いたサクラマスの稚魚100の飼育方法は、季節を問わず実施することができる。また、明期と暗期とは、実際の昼夜とは無関係に切り替えることができる。例えば、明期が夜間に実施され、暗期が昼間に実施されてもよい。また、図3のステップS3及びS5における期間は1か月に限定されず、稚魚100のスモルト化完了までの期間等に応じて適宜決定されてよい。
【0045】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・飼育装置
10・・水槽
20・・淡水タンク
21・・バルブ
22・・流量計
23・・淡水パイプ
31・・暗幕
32・・面光源
41・・シャワーパイプ
411・・貫通孔
51・・排水パイプ
511・・屈曲高部
60・・制御装置
61・・信号線
62・・信号線
63・・信号線
100・・稚魚
601・・CPU
602・・主記憶部
603・・補助記憶部
604・・通信部
図1
図2
図3