(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116780
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】上りリンク制御情報の効率的な送信のための端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/21 20230101AFI20240821BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20240821BHJP
H04W 72/566 20230101ALI20240821BHJP
【FI】
H04W72/21
H04W72/1268
H04W72/566
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022583
(22)【出願日】2023-02-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度総務省、「日米産学連携を通じた5G高度化の国際標準獲得のための無線リンク技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】菅野 一生
(72)【発明者】
【氏名】神渡 俊介
(72)【発明者】
【氏名】天野 良晃
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067CC01
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ17
(57)【要約】
【課題】上りリンク制御情報を効率的に送信すること。
【解決手段】端末装置は、第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとを並行して用いてユーザデータを基地局装置へ送信する場合に、そのユーザデータと共に送信すべき上りリンク制御情報(UCI)の優先度を特定し、その優先度に基づいて、第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとのいずれにおいて、UCIがユーザデータと多重化されるべきかを決定し、UCIが多重化されるべきと決定されたトランスポートブロックにおいてユーザデータとUCIを多重化することにより、第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとを生成して基地局装置へ送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとを並行して用いてユーザデータを基地局装置へ送信する場合に、当該ユーザデータと共に送信すべき上りリンク制御情報(UCI)の優先度を特定する特定手段と、
前記優先度に基づいて、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとのいずれにおいて、前記UCIがユーザデータと多重化されるべきかを決定する決定手段と、
前記UCIが多重化されるべきと決定されたトランスポートブロックにおいてユーザデータと前記UCIを多重化することにより、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとを生成して前記基地局装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記優先度は、第1の優先度と、前記第1の優先度より低い第2の優先度のいずれかであり、
前記第1のトランスポートブロックは、前記第2のトランスポートブロックより通信レートの高い変調および符号化方式(MCS)を用いるように構成され、
前記決定手段は、前記優先度が前記第1の優先度である前記UCIを、前記第1のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記優先度は、第1の優先度と、前記第1の優先度より低い第2の優先度のいずれかであり、
前記第1のトランスポートブロックは、前記第2のトランスポートブロックよりターゲット誤り率が低く設定され、
前記決定手段は、前記優先度が前記第1の優先度である前記UCIを、前記第1のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記優先度は、第1の優先度と、前記第1の優先度より低い第2の優先度のいずれかであり、
前記第1のトランスポートブロックは超高信頼低遅延通信(URLLC)を行うためのトランスポートブロックであり、前記第2のトランスポートブロックは前記URLLCと異なる通信のためのトランスポートブロックであり、
前記決定手段は、前記優先度が前記第1の優先度である前記UCIを、前記第1のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記優先度が前記第2の優先度である前記UCIを、前記第2のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記優先度が前記第2の優先度である前記UCIの一部を前記第1のトランスポートブロックにおいて多重化し、前記優先度が前記第2の優先度である前記UCIの残りの一部を前記第2のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記優先度が前記第1の優先度である前記UCIと前記第2の優先度である前記UCIの合計サイズが所定値以下である場合に、前記優先度が前記第2の優先度である前記UCIを前記第1のトランスポートブロックにおいて多重化し、前記優先度が前記第1の優先度である前記UCIと前記第2の優先度である前記UCIの合計サイズが所定値を超える場合に、前記優先度が前記第2の優先度である前記UCIを前記第2のトランスポートブロックにおいて多重化すると決定する、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
端末装置によって実行される制御方法であって、
第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとを並行して用いてユーザデータを基地局装置へ送信する場合に、当該ユーザデータと共に送信すべき上りリンク制御情報(UCI)の優先度を特定することと、
前記優先度に基づいて、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとのいずれにおいて、前記UCIがユーザデータと多重化されるべきかを決定することと、
前記UCIが多重化されるべきと決定されたトランスポートブロックにおいてユーザデータと前記UCIを多重化することにより、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとを生成して前記基地局装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
端末装置に備えられたコンピュータに、請求項8に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上りリンク制御情報の送信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))のロングタームエボリューション(LTE)や第5世代(5G)などの規格では、端末装置から基地局装置に対して、通信の制御に使用される上りリンク制御情報(UCI)が送信されることが規定されている。このような制御情報は、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)又は物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)を介して送信される。ここで、UCIがPUSCHを介して送信される場合、そのUCIは、上りリンク共有チャネル(UL-SCH)のトランスポートブロックと多重化されて送信される(非特許文献1参照)。
【0003】
PUSCHは、複数(2つ)のトランスポートブロックによって構成されることが可能である。すなわち、端末装置は、2つのトランスポートブロックを並行して送信することができる。このとき、UCIは、2つのトランスポートブロックの少なくともいずれかにおいて送信される。LTEでは、PUSCHを構成する2つのトランスポートブロックのうち、変調および符号化方式(MCS)の高い方のトランスポートブロックにおいて、ブロックチャネル品質インジケータ(CQI)やプリコーディング行列インデクス(PMI)が多重化される。また、HARQ-ACKや、ランクインジケーション(RI)は、2つのトランスポートブロックの両方に分散されて多重化される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP(登録商標) TS36.212、V17.1.0、2022年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5Gでは、高速大容量通信や超高信頼低遅延通信(URLLC)など、それぞれ要求が異なる様々な通信サービスが提供されることが想定されている。5Gにおいて、PUSCHを2つ以上のトランスポートブロックにより構成することが可能となったとしても、各通信サービスのためのUCIがLTEと同様の方法で送信されるとすると、通信サービスの要求を満たせないことが想定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上りリンク制御情報の効率的な送信技術を提供する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、第1のトランスポートブロックと第2のトランスポートブロックとを並行して用いてユーザデータを基地局装置へ送信する場合に、当該ユーザデータと共に送信すべき上りリンク制御情報(UCI)の優先度を特定する特定手段と、前記優先度に基づいて、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとのいずれにおいて、前記UCIがユーザデータと多重化されるべきかを決定する決定手段と、前記UCIが多重化されるべきと決定されたトランスポートブロックにおいてユーザデータと前記UCIを多重化することにより、前記第1のトランスポートブロックと前記第2のトランスポートブロックとを生成して前記基地局装置へ送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上りリンク制御情報を効率的に送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】端末装置が独自にUCIを多重化するトランスポートブロックを決定する場合の処理の流れの例である。
【
図6】基地局装置が、端末装置に対して、UCIを多重化する対象のトランスポートブロックを決定するための基準の情報を提供する場合の処理の流れの例である。
【
図7】基地局装置が、端末装置に対して、HARQ-ACKを多重化する対象のトランスポートブロックを指定する情報を提供する場合の処理の流れの例である。
【
図8】基地局装置が、端末装置に対して、CSIを多重化する対象のトランスポートブロックを指定する情報を提供する場合の処理の流れの例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。無線通信システムは、例えば、第5世代(5G)のセルラ通信システムであり、端末装置101と基地局装置102とを含んで構成される。端末装置101と基地局装置102との間では、複数のアンテナを用いて複数のストリーム(不図示)を構成可能である。また、端末装置101と基地局装置102は、この複数のストリームを用いて、複数(例えば2つ)の上りリンク共有チャネル(UL-SCH)のトランスポートブロックを並行して通信することができる。以下では、説明を簡単にするため、最大で2つのトランスポートブロックが並行して通信されるものとするが、3つ以上のトランスポートブロックが並行して通信される場合にも以下の議論を適用可能である。
図1は、端末装置101が、ユーザデータを送信するための2つのトランスポートブロック111及び112を生成して送信する場合の例を示している。なお、これらのトランスポートブロックは、物理上りリンク制御チャネル(PUSCH)にマッピングされ、複数のアンテナを用いて形成される複数のストリームを介して基地局装置102へ送信される。
【0012】
端末装置101は、基地局装置102による通信制御のために、無線環境の測定結果やユーザデータの受信結果を示す確認応答などを含んだ上りリンク制御情報(UCI)を基地局装置102へ送信する。例えば、UCIは、チャネル状態情報(CSI)や、複合自動再送要求の確認応答(HARQ-ACK)を、基地局装置102へ通知する際に使用される。UCIは、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)又は物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)を介して、基地局装置102へ通知される。ここで、UCIがPUSCHを介して送信される場合、トランスポートブロックにおいてUCIがユーザデータと多重化される。ここで、端末装置101は、上述のように、複数のトランスポートブロックを並行して送信することができる。このため、UCIは、その複数のトランスポートブロックの少なくともいずれかに多重化されて送信されることとなる。
【0013】
ここで、ロングタームエボリューション(LTE)では、端末装置は、2つのトランスポートブロックを並行して送信することができるように構成されており、CSIの一部であるチャネル品質インジケータ(CQI)及びプリコーディング行列インデクス(PMI)が、2つのトランスポートブロックのうち、通信レート(通信速度)の高い変調および符号化方式(MCS)が使用されるトランスポートブロックに多重化される。また、HARQ-ACKや、CSIに含まれるランクインジケーション(RI)は、2つのトランスポートブロックのそれぞれに分散されて多重化される。このようなLTEの手法をそのまま5Gに適用すると、通信の要求を満たすことができないことが想定される。実際、5Gでは、高速大容量通信や超高信頼低遅延通信(URLLC)などの様々な通信サービスが提供されることが想定されており、これらの通信サービスごとに、それぞれUCIの通信に対する要求が異なりうる。例えば、信頼性の高い通信のためには、HARQ-ACKが確実に基地局装置102に届くことが重要である。このため、例えば、通信レートが低いMCSが用いられていても、誤り率が低いトランスポートブロックでUCIが送信される方がよい状況が発生しうる。しかしながら、LTEの手法では、例えば信頼性の高い通信のためのHARQ-ACKがターゲットの誤り率の高いトランスポートブロックに多重化されてしまうことが想定される。また、CQIやPMIは、例えば、キャリアアグリゲーション(CA)等により複数のキャリアについての情報が送信されるべき場合、その情報量が多くなる。また、CQIやPMIは、測定の設定などにより、その情報量が多くなることもありうる。この場合、例えば、トランスポートブロックのサイズが小さい場合、トランスポートブロック内の、ユーザデータの量に対するCQIやPMIのデータ量の比率が高くなり、周波数利用効率が低下してしまいうる。すなわち、UCIのデータ量が増加する場合、例えばサイズが大きい方のトランスポートブロックにUCIが多重化される方がよいことが想定される。一方で、上述のLTEの手法では、このようなUCIが多重されるべきトランスポートブロックの選択を行うことができず、通信の効率が低下してしまいうる。
【0014】
本実施形態では、このような事情に鑑み、複数のトランスポートブロックが並行して送信される場合に、UCIを適切なトランスポートブロックに多重化する方法を提供する。
【0015】
一例において、端末装置101は、UCIの優先度に基づいて、そのUCIを、複数のトランスポートブロックのいずれに多重化するかを決定しうる。なお、UCIの優先度は、例えば、UCIのpriority indexに基づいて特定される。一例において、高信頼性を要求するUCIに対して、高い優先度(例えばpriority index=1)が割り当てられる。また、相対的に信頼性が低くてもよいUCIには、低い優先度(例えばpriority index=0)が割り当てられる。例えば、上りリンクで送信されるHARQ-ACKの優先度は、その確認応答の対象である下りリンクデータの優先度に基づいて決定される。例えば、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)の送信の際に送信される下りリンク制御情報(DCI)には、priority indicatorが含まれる。このpriority indicatorの値により、そのPDSCH及び対応するHARQ-ACKの優先度が動的に決定されうる。すなわち、priority indicatorの値が「1」に設定されたDCIが送信された場合、そのDCIに対応するPDSCH及びHARQ-ACKは、優先度が高いものとして扱われる。また、priority indicatorの値が「0」に設定されたDCIが送信された場合、そのDCIに対応するPDSCH及びHARQ-ACKは、優先度が低いものとして扱われる。このように、HARQ-ACKには、対応するPDSCHの優先度に応じて異なる優先度が割り当てられうる。このため、本実施形態では、端末装置101が、HARQ-ACKのそれぞれについて、優先度を判定し、判定された優先度に応じていずれのトランスポートブロックに多重化するかを決定しうる。また、CSIは、非周期的なCSIの報告が行われる場合、規格上、CSIとして報告されるべき内容が2つの部分に分類されている。すなわち、第1の部分は、RI、CSI-RSリソースインジケータ、及び、第1のコードワードに対するCQIを含み、第2の部分は、PMI、レイヤインジケータ、及び、第2のコードワードに対するCQIを含む。そして、本実施形態の端末装置101は、例えば、第1の部分を優先度の高い情報とし、第2の部分を優先度の低い情報として、それぞれを多重化させるトランスポートブロックを決定することができる。また、Semi-persistent CSI reportingの場合、例えば、そのCSIの報告を有効化するためのDCIにおいて示されるpriority indicatorの値に基づいて、優先度が決定されてもよい。すなわち、priority indicatorの値が「1」に設定されてSemi-persistent CSI reportingが有効化された場合、その後の定期的なCSIの報告の優先度が高いものとして扱われる。なお、このときの報告の内容は、事前に無線リソース制御(RRC)レイヤの設定によって決定される。なお、この場合は、報告の内容の全てに同じ優先度が割り当てられうる。このようにして、従来は、CSIやHARQ-ACKなどの情報の種類によってそれらの情報を多重化するトランスポートブロックを決定しているが、本実施形態では、同じ種類の情報であっても、優先度が異なる情報についてはそれぞれ別のトランスポートブロックに多重化されることを可能とする。
【0016】
端末装置101は、例えば、高優先度のUCIを、相対的に高い通信レートに対応するMCSが用いられるトランスポートブロックに多重化しうる。通信レートが高いMCSは、無線品質が相対的に良好である場合に使用されることが想定される。このため、相対的に高い通信レートに対応するMCSのトランスポートブロックに高優先度のUCIを多重化することにより、そのような高い無線品質で行われる高い信頼性の通信によって、そのUCIを伝達することが可能となる。また、端末装置101は、例えば、トランスポートブロックごとにターゲット誤り率が設定される場合、そのターゲット誤り率が低い方のトランスポートブロックに、優先度の高いUCIを多重化するようにしうる。例えば、第1のトランスポートブロックが、URLLCのトラフィックを運ぶのに使用され、第2のトランスポートブロックが例えば拡張モバイルブロードバンド(eMBB)などのURLLCとは異なるトラフィックを運ぶのに使用される場合、第1のトランスポートブロックのターゲット誤り率は、第2のトランスポートブロックのターゲット誤り率より低いことが想定される。このため、優先度の高いUCIは、第1のトランスポートブロックにおいて多重化され、優先度の低いUCIは、第2のトランスポートブロックにおいて多重化されうる。これにより、UCIの優先度を考慮した上りリンクの送信が行われることとなり、優先度の高いUCIの誤り率の低下を防ぐことが可能となる。
【0017】
なお、2つのトランスポートブロックのMCSやターゲット誤り率が同じ場合、優先度の高いUCIが、トランスポートブロック番号の小さい方のトランスポートブロックにおいて多重化されるようにしうる。また、優先度の低いUCIは、例えば、優先度の高いUCIと優先度の低いUCIとの合計ビット数が所定値以下である場合には、その優先度の低いUCIも、優先度の高いUCIと同じトランスポートブロックに多重化されてもよい。ここで、所定値は、例えば、優先度の高いUCIが多重化されるトランスポートブロックのサイズに所定の比率を乗じることによって算出されうる。すなわち、優先度の高いUCIが多重化されるトランスポートブロックにおいて十分にユーザデータを伝送することができる容量を確保できる範囲において、低い優先度のUCIも多重化されるようにしうる。これにより、端末装置101は、優先度の高いUCIを高信頼度又は高効率で送信しながら、優先度の低いUCIについても信頼度や効率を向上させることが可能となる。
【0018】
また、上述のようにトランスポートブロックのそれぞれにおいて使用されるMCSやトランスポートブロックごとのターゲット誤り率に応じて、優先度の高いUCIが多重化されるべきトランスポートブロックを特定する処理の例について説明したが、これに限られない。例えば、トランスポートブロックごとの無線品質に応じて、高い無線品質のトランスポートブロックに優先度の高いUCIが多重化されるようにしうる。一例において、端末装置101は、例えば、複数のトランスポートブロックのうちの一部のトランスポートブロックが基地局装置102において正常に受信されなかった場合に、そのトランスポートブロックを再送する。このとき、端末装置101は、そのトランスポートブロックの再送を確実に成功させるために、無線品質が良好であっても、他のトランスポートブロックよりも通信レートが低いMCSを使用してそのトランスポートブロックを送信することが想定される。この場合、端末装置101は、高い優先度のUCIを、通信レートが相対的に低いMCSのトランスポートブロックに多重化するようにしてもよい。すなわち、通信レートが相対的に低いMCSが使用されることにより誤り率が低くなることが想定されるため、そのような誤り率の低いトランスポートブロックにおいて、高信頼性が要求されるUCIが送信されるようにしてもよい。また、端末装置101は、例えば、無線品質とMCSとの組み合わせにより、想定されるビット誤り率を特定し、そのビット誤り率が低いトランスポートブロックに、高優先度のUCIを多重化するようにしうる。
【0019】
以上のようにして、端末装置101が、送信対象のUCIの優先度に基づいて、いずれのトランスポートブロックにそのUCIを多重化させることを独自に決定することができる。なお、送信対象のUCIが多重化されるべきトランスポートブロックを選択する基準が、基地局装置102から端末装置101に通知されてもよい。
【0020】
基地局装置102は、例えば、UCIの優先度と、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックとの関係を端末装置101が特定可能となるような情報を、端末装置101へ送信する。基地局装置102は、例えば、RRCメッセージにより、このような情報を送信する。基地局装置102は、例えば、priority indexごとに、多重化されるべきトランスポートブロックの選択基準(例えばMCSの高低、ターゲット誤り率の高低など)を示す情報を、端末装置101へ通知する。なお、高い優先度(例えばpriority index=1の)のUCIが多重化されるべきトランスポートブロックの選択が可能となるような情報だけが端末装置101へ通知されてもよく、低い優先度のUCIについての情報は通知されなくてもよい。例えば、高優先度のUCIが、2つのトランスポートブロックのうちの通信レートの高い方のMCSを用いるトランスポートブロックに多重化されるべき、という情報が基地局装置102から端末装置101へ通知される。そして、高優先度のUCIが多重化される通信レートの高い方のMCSを用いるトランスポートブロックに低優先度のUCIを送信するだけの空き容量がある場合には、低優先度のUCIの少なくとも一部が、そのトランスポートブロックに多重化されうる。そして、低優先度のUCIのサイズが、高優先度のUCIが多重化される通信レートの高い方のMCSを用いるトランスポートブロックの空き容量を超える場合に、他方のトランスポートブロックに多重化されうる。なお、低優先度のUCIは、常に他方のトランスポートブロックに多重化されるようにしてもよい。また、低優先度のUCIと高優先度のUCIとの合計のビット数(サイズ)が所定値以下である場合に、高優先度のUCIが多重化されるトランスポートブロックに高優先度のUCIと低優先度のUCIとの両方が多重化されるようにし、それ以外の場合には、高優先度のUCIと低優先度のUCIとが別個のトランスポートブロックに多重化されるようにしてもよい。基地局装置102は、低優先度のUCIについて、無条件で高優先度のUCIと別のトランスポートブロックに多重化すべきか、高優先度のUCIと同じトランスポートブロックに多重化可能な場合にそのトランスポートブロックに多重化すべきか、などを、端末装置101へ通知しうる。なお、基地局装置102は、UCIの優先度と、多重化されるべきトランスポートブロックとの関係を動的に変更してもよい。この場合、基地局装置102は、例えば、変更が必要となったことに応じて、端末装置101に対して個別のメッセージを送信しうる。また、基地局装置102は、例えば周期的に、UCIの優先度と、多重化されるべきトランスポートブロックとの関係を示す情報を端末装置101に通知するようにしてもよい。
【0021】
このように、基地局装置102から、いずれのトランスポートブロックにUCIが多重化されるべきかを端末装置101が判定するための指標が通知されることにより、基地局装置102の制御の下で、適切なトランスポートブロックにUCIが多重化されるようにすることができる。また、基地局装置102は、動的な制御が行われることにより、通信状況の変化や、通信のポリシの変更に応じて、端末装置101に効率的にUCIを送信させることが可能となる。
【0022】
上述の例では、基地局装置102は、UCIの優先度に基づいて、UCIが多重化されるトランスポートブロックを端末装置101が特定可能となるような情報を送信し、端末装置101が、その情報に基づいて、UCIのそれぞれについて、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックを判定する処理を行う。これに対して、基地局装置102は、各UCIがどのトランスポートブロックに多重化されるべきかを直接指定する情報を端末装置101へ送信してもよい。この場合、端末装置101は、基地局装置102から指定されたトランスポートブロックに、指定されたUCIを多重化する。例えば、基地局装置102は、下りリンクのユーザデータ(PDSCH)を送信する際に、そのユーザデータに関するHARQ-ACKを多重化すべきトランスポートブロックを指示する情報を、端末装置101へ通知する。例えば、この通知は、DCIを用いて行われうる。例えば、PDSCHの送信に伴って送信されるDCIによって、そのPDSCHに対するHARQ-ACKがいずれのトランスポートブロックに多重化されるべきかを示す情報が端末装置101に通知される。その後、基地局装置102は、端末装置101に対して、2つのトランスポートブロックでのユーザデータの送信のための上りリンクグラントを送信する。端末装置101は、この上りリンクグラントに応じて、2つのトランスポートブロックのそれぞれにおいて送信すべきユーザデータを生成し、先に受信したPDSCHに対するHARQ-ACKを、DCIで指定されたトランスポートブロックで送信されるユーザデータに多重化して、2つのトランスポートブロックを生成する。そして、端末装置101は、その生成された2つのトランスポートブロックに対して変調や物理レイヤへのマッピングなどの所定の処理を実行して、上りリンクグラントで指定された無線リソース(周波数および時間リソース)を用いて基地局装置102へ送信する。また、HARQ-ACKのみならず、CSIの報告の際にも、同様にそのCSIが多重化されるべきトランスポートブロックを指定する情報が、基地局装置102から端末装置101へ通知されうる。例えば、基地局装置102は、2つのトランスポートブロックでのユーザデータのための上りリンクグラントにおいて、CSIの報告の要求と、そのCSIが2つのトランスポートブロックのいずれにおいて多重化されるべきかを示す情報を、端末装置101へ通知しうる。端末装置101は、2つのトランスポートブロックのそれぞれにおいて送信すべきユーザデータを生成し、DCIで指定されたトランスポートブロックで送信されるユーザデータにCSIを多重化して、2つのトランスポートブロックを生成する。そして、端末装置101は、その生成された2つのトランスポートブロックに対して所定の処理を実行して、上りリンクグラントで指定された無線リソースを用いて基地局装置102へ送信する。
【0023】
このように、基地局装置102から、いずれのトランスポートブロックにUCIが多重化されるべきかを示す情報が明示的に通知されることにより、基地局装置102が定めたトランスポートブロックにおいて確実にUCIが送信されるようにすることができる。
【0024】
(装置構成)
続いて、装置構成について説明する。
図2は、本実施形態の基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示している。基地局装置および端末装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、基地局装置および端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gやその後継規格の無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、基地局装置および端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置および端末装置は、5G用、およびその後継規格用のそれぞれのための無線通信回路と、それらの回路に共通のアンテナを有しうる。なお、基地局装置および端末装置は、各規格に適したアンテナを別個に有してもよい。また、基地局装置は、さらに、他の基地局装置やコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。また、端末装置は、さらに、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)やBluetooth(登録商標)などのセルラ通信規格以外の無線通信規格に準拠した通信回路などを有してもよい。なお、基地局装置および端末装置は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0025】
図3は、端末装置101の機能構成例を示す。端末装置101は、例えば、多重化対象特定部301、トランスポートブロック生成部302、及び無線通信部303を有する。なお、
図3は、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置101が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置101は、5Gやその後継規格などに準拠した端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0026】
多重化対象特定部301は、端末装置101が送信すべきUCIを、複数のトランスポートブロックのいずれにおいて多重化するかを決定する。例えば、多重化対象特定部301は、UCIとして送信される情報のpriority indexを確認し、送信される情報ごとの優先度を特定する。そして、多重化対象特定部301は、優先度に基づいて、いずれのトランスポートブロックにそれらの情報を多重化させるかを決定する。例えば、多重化対象特定部301は、優先度の高い情報を、相対的に通信レートの高いMCSを用いるトランスポートブロックにおいて多重化すると決定し、優先度の低い情報を、相対的に通信レートの低いMCSを用いるトランスポートブロックにおいて多重化すると決定しうる。なお、多重化対象特定部301は、上述のように、優先度の低い情報の少なくともいずれかを、優先度の高い情報と同じトランスポートブロックにおいて多重化すると決定してもよい。なお、その他のUCIの優先度と、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックの対応関係は、上述のような変形が可能であり、多重化対象特定部301は、例えば、通信レートの低いMCSを用いるトランスポートブロックやターゲット誤り率が低いトランスポートブロックにおいて優先度の高いUCIを多重化すると決定してもよい。
【0027】
また、多重化対象特定部301は、基地局装置102からの情報に基づいて、UCIとして送信される情報をいずれのトランスポートブロックにおいて多重化するかを決定してもよい。例えば、基地局装置102から、UCIの優先度ごとに、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックの選択基準の情報が通知されうる。この場合、多重化対象特定部301は、UCIとして送信されるべき情報のそれぞれについて、優先度を判定し、その判定結果と基地局装置102から受信した選択基準の情報とに基づいて、その情報を多重化すべきトランスポートブロックを決定する。また、多重化対象特定部301は、基地局装置からUCIを多重化すべきトランスポートブロックを明示的に指定する情報を受信した場合、その情報に従って、UCIを多重化するトランスポートブロックを特定する。
【0028】
トランスポートブロック生成部302は、基地局装置102へ送信すべきトランスポートブロックを送信する。例えば、基地局装置102から、2つのトランスポートブロックを並行して送信することを指示するDCIを受信した場合などに、2つのトランスポートブロックを並行して生成する。このとき、トランスポートブロック生成部302は、多重化対象特定部301によってUCIが多重化されると決定されたトランスポートブロックに、そのUCIを多重化して、トランスポートブロックを生成する。無線通信部303は、生成されたトランスポートブロックを基地局装置102へ送信する。無線通信部303は、例えば、生成されたトランスポートブロックを、基地局装置102から指定された無線リソースにマッピングして基地局装置102へ送信する。
【0029】
図4は、基地局装置102の機能構成例を示す。基地局装置102は、例えば、多重化対象決定部401、及び、対象情報通知部402を有する。なお、
図4には、基地局装置102が、端末装置101に対してUCIが多重化されるべきトランスポートブロックを指定する場合の構成の例を示している。
図4は、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置102が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置102は、5Gやその後継規格などに準拠した基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0030】
多重化対象決定部401は、端末装置101から送信されるべきUCIが多重化されるトランスポートブロックを、少なくとも端末装置101において特定可能となるような基準を決定する。また、多重化対象決定部401は、端末装置101が送信すべきUCIについて、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックを明示的に決定してもよい。情報通知部402は、UCIが多重化されるトランスポートブロックを端末装置101が特定可能となるような情報を端末装置101へ通知する。
【0031】
(処理の流れ)
図5は、端末装置101が独自にUCIを多重化するトランスポートブロックを決定する処理の流れの例を示している。本処理では、まず、端末装置101が、基地局装置102から、2つのトランスポートブロックを並行して送信することの指示(上りリンクグラント)を受信する(S501)。なお、端末装置101は、1つのトランスポートブロックのみを送信する指示を受信した場合、発生したUCIを、全てそのトランスポートブロックに多重化する。一方、端末装置101は、2つのトランスポートブロックを並行して送信する場合であって、UCIを送信する必要がある場合、そのUCIをいずれのトランスポートブロックにおいて多重化するかを決定する。例えば、高優先度のUCIが発生した場合(S502でYES)、端末装置101は、そのUCIを、例えば通信レートの高いMCSを用いるトランスポートブロックに多重化する(S503)。なお、これは一例であり、上述のように、例えば通信レートの低い(誤り耐性の高い)MCSを用いるトランスポートブロックに高優先度のUCIが多重化されるようにしてもよいし、ターゲット誤り率が低いトランスポートブロックに高優先度のUCIが多重化されるようにしてもよい。また、低優先度のUCIが発生した場合(S504でYES)、端末装置101は、そのUCIを、いずれのトランスポートブロックに多重化するかを決定する(S505)。例えば、端末装置101は、低優先度のUCIと高優先度のUCIのサイズの合計が所定値を超えない場合には、高優先度のUCIが多重化されるトランスポートブロックに、低優先度のUCIも多重化すると決定しうる。また、端末装置101は、低優先度のUCIの一部を高優先度のUCIが多重化されるトランスポートブロックに多重化し、低優先度のUCIの残りの一部を、例えば、通信レートが低いMCSを用いるトランスポートブロックに多重化する。また、端末装置101は、低優先度のUCIの全てを、通信レートが低いMCSを用いるトランスポートブロックに多重化してもよい。その後、端末装置101は、そのようにして生成したトランスポートブロックを含んだPUSCHを生成して送信する(S506)。
【0032】
このようにして、端末装置101は、2つのトランスポートブロックを用いて上りリンクの信号を送信する指示を受信した際に送信すべきUCIが存在する場合、そのUCIの優先度に基づいて選択されたトランスポートブロックにそのUCIを多重化して送信することができる。本手順では、例えば、高優先度のUCIを確実に伝達すべき場合には、通信レートの高いMCSが使用される(すなわち、無線品質が良好であると想定される)トランスポートブロックや、ターゲット誤り率の低いトランスポートブロックに、高優先度のUCIが多重化されるように選択基準が設定される。このような手順によれば、優先度の高いUCIが多重化されるトランスポートブロックの選択基準を適切に設定することにより、例えばUCIの基地局装置102への送信成功率を向上させることができ、そのUCIを効率的に送信することができる。
【0033】
図6は、基地局装置102が、UCIを多重化するトランスポートブロックを端末装置101が決定するための基準の情報を、端末装置101へ通知する場合の処理の流れの例を示している。本処理では、基地局装置102が、UCIの優先度(priority index)ごとに、そのUCIが多重化されるトランスポートブロックを選択する基準の情報を、端末装置101へ通知する(S601)。
【0034】
図6では、その基準の情報の一例として、UCIのpriority indexと、そのUCIが多重化されるべきトランスポートブロックにおいて使用されるMCSとの関係情報が、基地局装置102から端末装置101へ通知される例を示している。基地局装置102は、例えば、優先度が高いUCIが、2つのトランスポートブロックのうちの通信レートの高いMCSを用いる方の第1のトランスポートブロックに多重化されるべきことを示す情報を、端末装置101へ通知する。このときに、優先度が低いUCIが、2つのトランスポートブロックのうちの通信レートの低いMCSを用いる方の第2のトランスポートブロックに多重化されるべきことを示す情報が、端末装置101へ通知されうる。また、優先度が低いUCIの少なくとも一部が第1のトランスポートブロックに多重化されるべきことを示す情報が、端末装置101へ通知されてもよい。このとき、第1のトランスポートブロックに多重化されることが許容されるUCIのサイズの情報が端末装置101へ通知されうる。端末装置101は、その許容されるサイズの範囲内で、優先度が低いUCIを第1のトランスポートブロックにおいて多重化し、そのサイズの範囲を超える優先度が低いUCIを、第2のトランスポートブロックにおいて多重化する。また、優先度が高いUCIと優先度が低いUCIとの合計サイズが所定値以下である場合に、それらのUCIの全てを第1のトランスポートブロックに多重化すべきことが、端末装置101へ通知されてもよい。この場合、その所定値が、基地局装置102から端末装置101へ通知されうる。端末装置101は、優先度が高いUCIと優先度が低いUCIとの合計サイズが所定値を超える場合、優先度が高いUCIを第1のトランスポートブロックに多重化し、優先度が低いUCIを第2のトランスポートブロックに多重化しうる。すなわち、高優先度のUCIのサイズが十分小さく、第1のトランスポートブロックにおいて低優先度のUCIを多重化する容量が残っていても、端末装置101は、高優先度のUCIと低優先度のUCIとの合計サイズが所定値を超える場合には、低優先度のUCIを全て第2のトランスポートブロックに多重化しうる。
【0035】
その後、基地局装置102が、端末装置101に対して、2つのトランスポートブロックを並行して用いてPUSCHを送信するための指示を送信する(S602)。そして、端末装置101は、2つのトランスポートブロックを使用してPUSCHを送信する指示を受信した場合に、送信対象のUCIの優先度を判定し、その優先度とS601で受信した情報とに基づいて、そのUCIを2つのトランスポートブロックの少なくともいずれかに多重化する(S603)。端末装置101は、例えば、
図5のようにしてこのUCIの多重化を行いうる。ただし、S503やS505においてUCIが多重化されるトランスポートブロックの選択基準として、S601において基地局装置102から与えられた基準が使用される。そして、端末装置101は、そのようにしてUCIが多重化された2つのトランスポートブロックを用いて、基地局装置102へ上りリンクの信号を送信する(S604)。
【0036】
このようにして、基地局装置102が、UCIが多重化されるべきトランスポートブロックの選択基準を与えることにより、端末装置101は、UCIの優先度に基づいて、適切なトランスポートブロックにそのUCIを多重化して送信することができる。例えば、高優先度のUCIのデータ量が多い場合などには、通信レートの高いMCSが使用される(すなわち、無線品質が良好であると想定される)トランスポートブロックにそのUCIが多重化されるように選択基準が決定されうる。また、高優先度のUCIが確実に伝達されるようにするために、ターゲット誤り率の低いトランスポートブロックに、高優先度のUCIが多重化されるように選択基準が設定されうる。このような手順によれば、優先度の高いUCIが多重化されるトランスポートブロックの選択基準をネットワーク側で適切に設定することが可能となり、端末装置101は、状況に応じて適切なトランスポートブロックを介してUCIを効率的に送信することができる。
【0037】
図7及び
図8は、基地局装置102が、UCIを多重化するトランスポートブロックを明示的に示した情報を端末装置101へ通知する場合の処理の流れの例を示している。なお、
図7は、UCIとしてHARQ-ACKが送信される場合の例を示しており、一方で、
図8は、UCIとしてCSIが送信される場合の例を示している。
図7において、基地局装置102は、端末装置101へ、下りリンクのデータ(PDSCH)を送信する(S701)。このときに、そのPDSCHに付随して送信される制御信号(PDCCH)を介して、その下りリンクのデータの送信に使用される無線リソースの情報に加えて、その下りリンクのデータに対するHARQ-ACKが、どのトランスポートブロックに多重化されるべきかを示す情報が、端末装置101へ通知される。その後、基地局装置102は、端末装置101に対して、2つのトランスポートブロックを用いた上りリンクのユーザデータの送信のための上りリンクグラントを送信する(S702)。端末装置101は、2つのトランスポートブロックでそれぞれ送信するユーザデータを生成し、そのユーザデータに、S701で受信した下りリンクのデータに関するHARQ-ACKを多重化する(S703)。このとき、端末装置101は、基地局装置102から指定されたトランスポートブロックにおいて、HARQ-ACKを多重化する。そして、端末装置101は、生成した2つのトランスポートブロックを基地局装置102へ送信する(S704)。
【0038】
図8では、基地局装置102は、2つのトランスポートブロックを用いた上りリンクのユーザデータの送信の際にCSIの送信を要求する上りリンクグラントを、端末装置101へ送信する(S801)。このとき、CSIが、どのトランスポートブロックに多重化されるべきかを示す情報が、端末装置101へ通知される。端末装置101は、2つのトランスポートブロックでそれぞれ送信するユーザデータを生成し、そのユーザデータに、別途無線品質を測定することによって得られたCSIを多重化する(S802)。そして、端末装置101は、生成した2つのトランスポートブロックを基地局装置102へ送信する(S803)。
【0039】
このように、基地局装置102が、UCIが多重化されるべきトランスポートブロックを明示的に指定することにより、端末装置101は、適切なトランスポートブロックにそのUCIを多重化して送信することができる。ここで、基地局装置102は、例えば、端末装置101によって送信されるべきUCIの優先度を判定して、その優先度に基づいて、そのUCIがどのトランスポートブロックに多重化されるかを決定する。例えば、基地局装置102は、高優先度のUCIが確実に伝達されるようにするために、ターゲット誤り率の低いトランスポートブロックを、高優先度のUCIが多重化されるトランスポートブロックとして決定しうる。このような手順によれば、優先度の高いUCIが多重化されるトランスポートブロックをネットワーク側で適切に設定することが可能となり、端末装置101は、状況に応じて適切なトランスポートブロックを介してUCIを効率的に送信することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態では、上りリンク制御情報を効率的に送信することが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0041】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。