(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011681
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20240118BHJP
F02M 37/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F02M37/00 301L
F02M37/00 301J
F02M37/10 G
F02M37/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113898
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 崇
(57)【要約】
【課題】筒状体に対する柱状体の相対回転を筒状体内面に形成された複数条のリブによって抑制する燃料供給装置において、筒状体に対する柱状体の嵌め合い構造を追加することにある。それにより、筒状体に対する柱状体の相対回転抑制効果を高めて相対回転に伴うガタを抑制する。
【解決手段】蓋部材2及びポンプユニット3を互いに連結する連結部材4は、筒状体10と、筒状体10内に嵌合挿入された柱状体20と、を備える。柱状体20はその上端部に爪21を備え、前記筒状体10は爪21に係合して柱状体20が筒状体10から抜け出るのを阻止する係合突起12を備える。筒状体10は、その内壁に柱状体20の外周面を囲むように突出し、柱状体20の筒状体10内への挿入方向に沿って延びる複数条のリブ11を備える。柱状体20は、その外周面に突出し、リブ11のうち互いに隣接する二条の間に挟まれる突部22を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの天板に穿設された開口を閉鎖するように天板に固定された蓋部材と、
燃料タンク内の底板に載置可能とされ、燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプを含むポンプユニットと、
前記蓋部材及び前記ポンプユニットを互いに連結する連結部材と、を備え、
該連結部材は、
前記蓋部材の下面に、開口部を下方に向けて設けられた筒状体と、
下端部が前記ポンプユニットに結合され、上端部が前記筒状体の開口部から前記筒状体内に嵌合挿入された柱状体と、を備え、
該柱状体は、その上端部の外周面に前記筒状体の内壁に向けて突出された爪を備え、
前記筒状体は、前記柱状体が更に挿入可能な空間を該筒状体内に残す位置に挿入された状態で前記爪に係合して前記柱状体が前記筒状体に挿入された状態から抜け出るのを阻止する係合突起を備え、
前記筒状体は、その内壁に該筒状体内に挿入された状態の前記柱状体の外周面を囲むように前記柱状体の外周面に向けて突出し、前記柱状体の前記筒状体内への挿入方向に沿って延びる複数条のリブを備え、
前記柱状体は、その外周面に前記筒状体の内壁に向けて突出し、複数条の前記リブのうち互いに隣接する二条の間に挟まれる突部を備える
燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記突部は、前記爪と同形状とされており、
前記突部が前記係合突起と係合する位置関係で前記筒状体に対して前記柱状体を挿入したとき、前記爪が互いに隣接する二条の前記リブの間に挟まれる状態となるように配置されている
燃料供給装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記柱状体は、前記筒状体の開口部に対する挿入形状が四角筒であり、
前記爪及び前記突部は、前記柱状体の四角筒形状の対向する壁面にそれぞれ設けられている
燃料供給装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記突部は、前記柱状体の外周面の周りに分散して複数個形成され、
前記突部は、それぞれ互いに隣接する二条の前記リブの間に挟まれている
燃料供給装置。
【請求項5】
請求項4において、
複数個の前記突部及び前記爪は、互いに前記柱状体の外周面の周りに等間隔に配置されている
燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンク内に設置される燃料供給装置は、燃料タンクの底部にポンプユニットが載置され、ポンプユニットによって汲み上げられた燃料をエンジンに導くための燃料パイプが燃料タンクの天板を貫通して構成されている。燃料パイプが燃料タンクの天板を貫通する部分は、天板に穿設された開口を蓋部材で閉鎖し、蓋部材を燃料パイプが貫通して構成されている。蓋部材とポンプユニットは連結部材により連結されて一つの部品とされている。燃料タンクの深さの違いに係わらずポンプユニットを燃料タンクの底部に載置可能とするため、連結部材は上下方向に伸縮自在とされている。
【0003】
特許文献1には、蓋部材の下方に向けて設けられた筒状体の筒部内に、ポンプユニットに上方に向けて固定された柱状体を嵌合挿入して、挿入量を変更自在とされた燃料供給装置が開示されている。ここでは筒状体と柱状体が連結部材を成している。また、筒状体の下端部と柱状体の上端部には、柱状体の反挿入方向で互いに係合する係合部と被係合部が設けられ、蓋部材に対してポンプユニットが懸吊状態に保持可能とされている。更に、柱状体は、四角筒形状とされており、筒状体に挿入された状態で筒状体に対して相対回転しないようにされている。そのため、筒形状の内面には、四角筒形状の柱状体の外周面を囲むように外周面に向けて突出する複数条のリブが上下方向に延びて一体に形成されている。このように相対回転防止のための形状を複数条のリブによって形成している理由は、筒状体に対して柱状体が挿入されて摺動するときの接触面積を減らして摺動抵抗を減じると同時に摺動音が異音として発生するのを抑制するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の燃料供給装置では、相対回転防止のための形状を複数条のリブによって形成して筒状体に対して柱状体が挿入されて摺動するときの接触面積を減らしているため、相対回転を抑制する効果が小さくなり、小さな相対回転が発生してしまうことを防ぎきれない。即ち、筒状体に対する柱状体の相対回転に伴うガタが発生する問題がある。
【0006】
本明細書が開示する技術の課題は、筒状体に対する柱状体の相対回転を筒状体内面に形成された複数条のリブによって抑制する燃料供給装置において、筒状体に対する柱状体の嵌め合い構造を追加することにある。それにより、筒状体に対する柱状体の相対回転抑制効果を高めて筒状体に対する柱状体の相対回転に伴うガタを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本明細書に開示の燃料供給装置は、次の手段をとる。
【0008】
第1の手段は、燃料タンクの天板に穿設された開口を閉鎖するように天板に固定された蓋部材と、燃料タンク内の底板に載置可能とされ、燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプを含むポンプユニットと、前記蓋部材及び前記ポンプユニットを互いに連結する連結部材と、を備え、該連結部材は、前記蓋部材の下面に、開口部を下方に向けて設けられた筒状体と、下端部が前記ポンプユニットに結合され、上端部が前記筒状体の開口部から前記筒状体内に嵌合挿入された柱状体と、を備え、該柱状体は、その上端部の外周面に前記筒状体の内壁に向けて突出された爪を備え、前記筒状体は、前記柱状体が更に挿入可能な空間を該筒状体内に残す位置に挿入された状態で前記爪に係合して前記柱状体が前記筒状体に挿入された状態から抜け出るのを阻止する係合突起を備え、前記筒状体は、その内壁に該筒状体内に挿入された状態の前記柱状体の外周面を囲むように前記柱状体の外周面に向けて突出し、前記柱状体の前記筒状体内への挿入方向に沿って延びる複数条のリブを備え、前記柱状体は、その外周面に前記筒状体の内壁に向けて突出し、複数条の前記リブのうち互いに隣接する二条の間に挟まれる突部を備える。
【0009】
上記第1の手段によれば、柱状体の外周面に突部を備え、その突部は筒状体内に突出形成された複数条のリブの互いに隣接する二条の間に挟まれている。そのため、柱状体が筒状体に挿入された状態で相対回転されると、突部は回転方向側のリブに係合し、上記相対回転を抑制する。従って、相対回転に伴うガタを抑制することができる。各リブは柱状体の挿入方向に延設されており、柱状体の筒状体内への挿入量に係わらず常時突部は隣接するリブの間に挟まれている。そのため、柱状体の挿入量に係わらず上記ガタを抑制することができる。
【0010】
第2の手段は、上述した第1の手段において、前記突部は、前記爪と同形状とされており、前記突部が前記係合突起と係合する位置関係で前記筒状体に対して前記柱状体を挿入したとき、前記爪が互いに隣接する二条の前記リブの間に挟まれる状態となるように配置されている。
【0011】
上記第2の手段によれば、突部を爪として機能させると、爪は互いに隣接する二条のリブに挟まれる状態となって、突部と同様に機能することができる。従って、燃料供給装置を、蓋部材とポンプユニットの垂直方向の位置が互いに一致する、いわゆる同軸タイプと、一致しない、いわゆるオフセットタイプとに切り換えて使用することができる。しかも、どちらのタイプにした状態でも、突部又は爪とリブとの係合により柱状体と筒状体の相対回転に伴うガタを抑制することができる。
【0012】
第3の手段は、上述した第2の手段において、前記柱状体は、前記筒状体の開口部に対する挿入形状が四角筒であり、前記爪及び前記突部は、前記柱状体の四角筒形状の対向する壁面にそれぞれ設けられている。
【0013】
上記第3の手段によれば、筒状体に対して柱状体を挿入する際に相対的に180度回転して、燃料供給装置を同軸タイプとオフセットタイプとに切り換えて使用することができる。しかも、どちらのタイプにした状態でも、柱状体と筒状体の相対回転に伴うガタを抑制することができる。
【0014】
第4の手段は、上述した第2の手段において、前記突部は、前記柱状体の外周面の周りに分散して複数個形成され、前記突部は、それぞれ互いに隣接する二条の前記リブの間に挟まれている。
【0015】
上記第4の手段によれば、複数個の突部により柱状体と筒状体の相対回転に伴うガタを強力に抑制することができる。
【0016】
第5の手段は、上述した第4の手段において、複数個の前記突部及び前記爪は、互いに前記柱状体の外周面の周りに等間隔に配置されている。
【0017】
上記第5の手段によれば、複数個の突部と爪とが互いに等間隔に配置されている。そのため、筒形状に対する柱状体の挿入状態における相対角度を変更することにより、燃料供給装置を同軸タイプとオフセットタイプとに切り換えて使用することができ、しかも、オフセットタイプとする際の蓋部材に対するポンプユニットのオフセット量を複数段階の中から選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】
図2のIII-III線断面矢視拡大図である。
【
図6】第1実施形態における柱状体の拡大斜視図である。
【
図7】第1実施形態において蓋部材とポンプユニットとの対応関係を同軸タイプとした場合の斜視図である。
【
図8】第1実施形態において蓋部材とポンプユニットとの対応関係をオフセットタイプとした場合の斜視図である。
【
図9】第2実施形態を示す
図3に対応する断面図である。
【
図10】第3実施形態を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態の全体構成>
図1、2は、第1実施形態である燃料供給装置1を示す。この燃料供給装置1は、車両のガソリンエンジンに燃料タンクから燃料を供給するもので、燃料ポンプ42を内蔵するポンプユニット3と、燃料タンクの天板51に固定される蓋部材2と、ポンプユニット3を蓋部材2に連結する連結部材4とを備える。ポンプユニット3、蓋部材2、及び連結部材4は、全体として樹脂により形成されている。
【0020】
燃料供給装置1は、連結部材4により蓋部材2とポンプユニット3とを連結した状態で、燃料タンクの天板51に穿設された開口51aを通してポンプユニット3が燃料タンク内に挿入される。その後、蓋部材2により開口51aを閉鎖して、その位置で天板51に蓋部材2が固定される。この状態で、ポンプユニット3は、底面の底面カバー43が連結部材4のスプリング力により燃料タンク内の底板52に当接されて設置される。ポンプユニット3の側部には、燃料タンク内の燃料残量を計測するためのフロート5が設けられている。ここで、蓋部材2、ポンプユニット3、及びフロート5は、基本的に公知のもの(例えば、特許第7046778号、特開2021-11851号)と同一であり、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0021】
<連結部材4の構成>
連結部材4は、筒状体10と柱状体20とにより構成されている。筒状体10は、全体として円板形状の蓋部材2の底面に樹脂の一体成形により下方に向けて蒲鉾型の筒状に突出形成されている(
図2、3参照)。柱状体20は、下端部がポンプユニット3に結合されて上方に向けて四角筒形状に形成されている(
図2、4参照)。そして、柱状体20の上端部が筒状体10の下端開口部(第1の手段の開口部に相当)10cに嵌合挿入されて連結部材4が構成されている。蓋部材2の下面には、燃料タンクの開口51aに蓋部材2を被せる際のガイドとなるフランジ部2aが複数枚下方に延びて一体に形成されている(
図2、3、7、8参照)。フランジ部2aは、筒状体10と部分的に一体化されている。
【0022】
図6のように、柱状体20は、全体として四角筒体とされており、上先端部の対向壁外面に共に外側に突出して爪21及び突部22が一体に形成されている。爪21及び突部22は、互いに線対称の同一形状とされている。また、柱状体20の下端部には、蒲鉾型の台座23が一体に形成されている。台座23は、ポンプユニット3の容器41の一部に窪み形成された柱状体受入部41aに嵌め込まれて固定される(
図2参照)。容器41の柱状体受入部41aを形成している部分には、台座23を受け入れた状態における柱状体受入部41aの強度を確保するために台座23の側面に対応する位置に補強リブ41bが形成されている(
図4、7、8参照)。補強リブ41bは、台座23の外周に沿って延びた形状で、台座23を挟む両側部分に3つずつ、合わせて6つ形成されている。
【0023】
図2、3、5のように、筒状体10の内壁面には、柱状体20の挿入(上下)方向に沿って複数条のリブ11が互いに平行に延設されている。リブ11は、筒状体10内に挿入された柱状体20の外周面に向けて柱状体20を取り囲むように複数条形成されている。具体的には、
図3のように柱状体20の四角筒形状を成す四面の各面に対応して2条ずつ合計8条形成されている。また、筒状体10の一部には、柱状体20の挿入方向に沿ってスリット10aが形成されている。スリット10aは、筒状体10の上下端部を除く部分に形成され、円板形状の蓋部材2の外周側に対応する位置に形成されている。しかも、スリット10aは、互いに隣接するリブ11の間に形成されている。
【0024】
図5のように、スリット10aの下端部には、筒状体10内に挿入された柱状体20の爪21と該挿入方向で係合する係合突起12が形成されている。上記スリット10aは、係合突起12を樹脂成形する際の金型であるスライドコアを移動するために必要とされている。係合突起12は、柱状体20の挿入方向に長く形成され、下端部12cが筒状体10に一体化され、上端部12dは、自由端として筒状体10の筒内に突出されている。また、係合突起12は、
図5に矢印で示すように筒状体10の外側に弾性変形可能とされている。そのため、柱状体20が筒状体10内に挿入されるときは、爪21の先端傾斜面21aが係合突起12の内側傾斜面12aに当接して係合突起12を上記矢印の方向に弾性変形させて、柱状体20が筒状体10内に挿入可能とされる。挿入後は、
図5に示すように係合突起12が図示の位置に復帰するため、柱状体20が筒状体10内から抜け出る方向(下方)に移動すると、爪21の下面のあご部21bが係合突起12の上面の係合部12bに係合して、柱状体20が筒状体10内から抜け出るのを阻止する。そのため、上述のようにポンプユニット3を燃料タンク内に挿入する際に連結部材4によりポンプユニット3を吊り下げた状態とすることができる。
【0025】
柱状体20を筒状体10内に挿入するに際し、爪21が係合突起12と係合可能な位置を選定することにより、突部22は、スリット10aと対向する側にある二条のリブ11の間に挟まれた状態となる(
図3、5参照)。突部22を挟む二条のリブ11の間隔を突部22が丁度嵌る程度の大きさに設定することにより、柱状体20が筒状体10に挿入された状態で相対角度が変化する方向(柱状体20の中心軸を中心とした仮想円の周方向)にがたつくのを抑制することができる。
【0026】
図2のように、柱状体20が筒状体10内に挿入された状態で、柱状体20の筒内空間と筒状体10の筒内空間は一つのつながった空間となる。その空間内には、圧縮型のコイルスプリング31が柱状体20の挿入(上下)方向に圧縮された状態で挿入されている。コイルスプリング31は、上端部が筒状体10の上端天井部10bに当接し、下端部が筒状体10の下端底部20aに当接している。筒状体10の上端天井部10bの中央部には水平断面がY字形(
図3参照)の支柱32が下方に延びて一体に形成されている。そのため、コイルスプリング31は内径側が支柱32に支持されて筒状体10の中央部に保持される。また、コイルスプリング31の外径が柱状体20の内側に丁度嵌る程度の寸法とされているため、コイルスプリング31は、柱状体20の中央部に保持される。この状態で、コイルスプリング31の反発力を、柱状体20を介してポンプユニット3が受けて、蓋部材2に対してポンプユニット3は燃料タンクの底板52上に押圧されて保持される。
【0027】
<第1実施形態の作用、効果>
第1実施形態によれば、柱状体20の外周面に爪21と共に突部22を備え、その突部22は筒状体10内に突出形成された複数条のリブ11の互いに隣接する二条の間に挟まれている。そのため、柱状体20が筒状体10に対して挿入された状態で相対回転されると、突部22は回転方向側のリブ11に係合し、上記相対回転を抑制する。従って、相対回転に伴うガタを抑制することができる。各リブ11は軸方向に延設されており、柱状体20が筒状体10内で挿入(上下)方向に摺動する間、継続して突部22は隣接するリブ11の間に挟まれている。そのため、柱状体20の挿入量に係わらず上記ガタを抑制することができる。
【0028】
また、爪21と突部22とは互いに線対称で同形状とされている。そのため、筒状体10内に柱状体20を挿入する際の相対角度を180度変更して、突部22を爪21として機能させると、元の爪21は互いに隣接する二条のリブ11に挟まれる状態となって、元の突部22と同様に機能することができる。従って、同じ燃料供給装置1を、
図8のように、蓋部材2とポンプユニット3の垂直方向の位置が互いに一致する、いわゆる同軸タイプと、
図7のように、一致しない、いわゆるオフセットタイプとに切り換えて使用することができる。しかも、どちらのタイプにした状態でも、突部22又は爪21とリブ11との係合により柱状体20と筒状体10の挿入状態における相対回転に伴うガタを抑制することができる。
【0029】
<第2実施形態>
図9は第2実施形態を示す。第2実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、筒状体110及び柱状体120を共に四角筒形状とした点である。その他の構成は、第2実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0030】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、柱状体120が筒状体110内に挿入された状態では、突部22が互いに隣接する二条のリブ11間に挟まれた状態となる。そのため、柱状体120と筒状体110の挿入状態における相対回転に伴うガタを抑制することができる。また、筒状体110内に柱状体120を挿入する際の相対角度を180度変更して、同じ燃料供給装置1を、同軸タイプとオフセットタイプとに切り換えて使用することができる。
【0031】
<第3実施形態>
図10は第3実施形態を示す。第3実施形態が第1実施形態に対して特徴とする点は、筒状体210及び柱状体220を共に円筒形状とした点である。また、突部22を複数個、具体的には3個とした点である。その他の構成は、第3実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0032】
第3実施形態においては、1個の爪21及び3個の突部22を互いに同形状として、柱状体220の外周上に互いに90度間隔で設けている。そして、各突部22を挟む二条のリブ11は、二条のリブ11間に突部22が丁度嵌る間隔に設定されている。そのため、柱状体220が筒状体210に挿入された状態における相対回転に伴うガタを抑制する効果を更に高めることができる。また、筒状体210内に柱状体220を挿入する際の相対角度を90度間隔で変更することができる。そのため、同じ燃料供給装置1を、同軸タイプとオフセットタイプとに切り換えて使用することができ、しかも、オフセットタイプとする際の蓋部材2に対するポンプユニット3のオフセット量を3段階に切り換えることができる。
【0033】
<その他の実施形態>
以上、本明細書に開示の技術を特定の実施形態について説明したが、その他各種の形態で実施可能なものである。例えば、上記実施形態は、車両のガソリンエンジンに燃料を供給する燃料供給装置としたが、車両以外の各種エンジン、またガソリンエンジンに限定されず、ディーゼルエンジンに燃料を供給する燃料供給装置とされてもよい。また、上記実施形態では、ポンプユニット3、蓋部材2、及び連結部材4を、全体として樹脂により形成したが、樹脂以外の金属等の材料により形成してもよい。更に、第1実施形態では、爪21と突部22は、互いに線対称を成し同形状とされたが、爪21と突部22は、互いに同形状でなくてもよく、互いに線対称の位置から柱状体20の挿入方向又は挿入方向の周りにずれた位置にあってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 燃料供給装置
2 蓋部材
2a フランジ部
3 ポンプユニット
4 連結部材
5 フロート
10、110、210 筒状体
10a スリット
10b 上端天井部
10c 下端開口部
11 リブ
12 係合突起
12a 内側傾斜面
12b 係合部
12c 下端部
12d 上端部
20、120、220 柱状体
20a 下端底部
21 爪
21a 先端傾斜面
21b あご部
22 突部
23 台座
31 コイルスプリング
32 支柱
41 容器
41a 柱状体受入部
41b 補強リブ
42 燃料ポンプ
43 底面カバー
51 天板
51a 開口
52 底板