IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図1
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図2
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図3
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図4
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図5
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図6
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図7
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図8
  • 特開-印刷装置、及び、表示プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116815
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/42 20060101AFI20240821BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240821BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B41J29/42 F
B41J21/00 Z
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022622
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】荒崎 真一
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C076
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AS08
2C061CQ04
2C061CQ34
2C187AC08
2C187AE01
2C187AG08
2C187BG39
2C187CC09
2C187CC11
2C187CD08
2C187CD12
2C187DB27
2C187DC06
5C076AA19
5C076AA21
5C076AA22
5C076BA06
5C076CB02
(57)【要約】
【課題】画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を選択し易くさせる。
【解決手段】画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置であって、前記画像のサイズを変更するための複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出する演算部と、前記複数の変換倍率、及び、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数を一覧として表示する一覧表示部と、を備える、印刷装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置であって、
前記画像のサイズを変更するための複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出する演算部と、
前記複数の変換倍率、及び、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数を一覧として表示する一覧表示部と、
を備える、印刷装置。
【請求項2】
前記一覧表示部は、前記複数の変換倍率を含む複数段階の変換倍率の内、前記最大個数が同じになる変換倍率が2以上ある場合、該2以上の変換倍率の中から選ばれる一つを前記一覧において表示する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記一覧表示部は、前記複数段階の変換倍率の内、前記最大個数が同じになる変換倍率が2以上ある場合、該2以上の変換倍率のうち1倍に最も近い変換倍率を前記一覧において表示する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記画像のサイズを変更するための前記複数の変換倍率の下限を示す閾値の設定を受け付ける設定受付部をさらに備え、
前記一覧表示部は、前記閾値以上である前記複数の変換倍率の内、前記最大個数が最多となって1倍に最も近い変換倍率を推奨する表示を行う、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
幅方向よりも該幅方向と交差する搬送方向の方が長い媒体を前記搬送方向へ搬送する印刷部をさらに備え、
前記印刷可能範囲は、前記媒体の表面に含まれ、前記幅方向よりも前記搬送方向の方が長く、
前記演算部は、前記複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記幅方向において前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大の個数である幅方向最大個数を算出し、
前記一覧表示部は、前記複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記幅方向最大個数を前記一覧に含めて表示する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に、前記印刷可能範囲に沿った第一方向において前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大の個数である第一方向最大個数、及び、前記印刷可能範囲に沿って前記第一方向と交差する第二方向において前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大の個数である第二方向最大個数を算出し、
前記一覧表示部は、前記複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記第一方向最大個数及び前記第二方向最大個数を前記一覧に含めて表示する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記一覧の表示上において、前記一覧に含まれている前記複数の変換倍率と、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数と、の少なくとも一方の中からいずれか一つを選択する操作を受け付ける操作受付部と、
前記複数の変換倍率のうち前記操作に対応する変換倍率に従ってサイズを変更させた前記画像を前記操作に対応する前記最大個数、前記印刷可能範囲の中において印刷する印刷部と、をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷可能範囲の中に配置される前記最大個数の前記画像は、同じ大きさである、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記画像間に隙間を空けて前記画像を前記最大個数、前記印刷可能範囲の中において印刷する印刷部をさらに備え、
前記演算部は、前記変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記隙間を含めて前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出し、
前記隙間は、前記画像のサイズが変更されても一定である、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷装置は、
前記印刷可能範囲の中に複数配置された前記画像の印刷物に後加工を行う後加工装置に接続され、
前記印刷可能範囲の中において各前記画像の配置を示す面付情報を前記後加工装置に伝達する伝達部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項11】
画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置のための表示プログラムであって、
前記画像のサイズを変更するための複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出する演算機能と、
前記複数の変換倍率、及び、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数を一覧として表示部に表示させる一覧表示機能と、をコンピューターに実現させる表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置、及び、表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、例えば、台紙に粘着シートが貼付されているラベルシートに所定の印刷可能範囲の単位で同じサイズの複数の画像を印刷するプリンターが知られている。
特許文献1に開示された印刷装置は、長尺のラベル紙に印刷する画像データからラベル画像および該ラベル画像に対応して設けられたアイマーク画像を検出し、アイマーク画像とラベル画像とがラベル紙の搬送方向において重ならないように画像データの画像の配置方向を決定する。当該印刷装置は、画像データの画像を決定した配置方向で、搬送方向に繰り返し並べて配置し、画像データの画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-146604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された印刷装置は、印刷する画像のサイズを変更することができない。
画像の印刷物が販売品に使用される場合、画像の大きさを大きく変更することは好ましくない場合もある。印刷装置が所定の印刷可能範囲の単位で配置された複数の画像を印刷する場合、画像のサイズによっては、画像の面付にあたって僅かに印刷可能範囲の面積が不足することにより多くの余白が生じる場合もある。余白が使用されずに廃棄される場合、廃棄量が多くなる。しかし、画像の大きさを調整することは、容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷装置は、画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置であって、
前記画像のサイズを変更するための複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出する演算部と、
前記複数の変換倍率、及び、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数を一覧として表示する一覧表示部と、
を備える、態様を有する。
【0006】
また、本発明の表示プログラムは、画像を所定の印刷可能範囲の中に複数配置して印刷を行う印刷装置のための表示プログラムであって、
前記画像のサイズを変更するための複数の変換倍率のそれぞれに従って前記画像のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲の中に配置可能な前記画像の最大個数を算出する演算機能と、
前記複数の変換倍率、及び、該複数の変換倍率のそれぞれに対応する前記最大個数を一覧として表示部に表示させる一覧表示機能と、をコンピューターに実現させる、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷装置の例を模式的に示すブロック図。
図2】印刷装置の機構部の例を模式的に示す図。
図3】印刷可能範囲に割り当てられる画像の配置例を模式的に示す図。
図4図4A図4Cは一覧の表示例を模式的に示す図。
図5】後加工装置の例を模式的に示すブロック図。
図6】一覧の表示を含む印刷制御処理の例を模式的に示すフローチャート。
図7】面付設定画面の表示例を模式的に示す図。
図8】面付処理の例を模式的に示すフローチャート。
図9図9A図9Cは最大個数が最多となって1倍に最も近い変換倍率を推奨する表示例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0009】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~9に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
【0010】
[態様1]
図1,2,4A~4C,6等に例示するように、本技術の一態様に係る印刷装置1は、画像IM0を所定の印刷可能範囲AR0の中に複数配置して印刷を行う印刷装置1であって、演算部U1と一覧表示部U2を備える。前記演算部U1は、前記画像IM0のサイズを変更するための複数の変換倍率(例えば縮小率S)のそれぞれに従って前記画像IM0のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大個数Nsを算出する。前記一覧表示部U2は、前記複数の変換倍率(S)、及び、該複数の変換倍率(S)のそれぞれに対応する前記最大個数Nsを一覧L0として表示する。
【0011】
以上より、ユーザーは、表示される一覧L0を見ることにより、複数の変換倍率(S)のそれぞれについて印刷可能範囲AR0の中に配置可能な画像IM0の最大個数Nsを把握することができる。従って、上記態様は、画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を選択し易くさせることが可能な印刷装置を提供することができる。
【0012】
ここで、本明細書における印刷可能範囲は、印刷装置が印刷を行う際に1ページ分と認識できる範囲を意味し、以下のような範囲でもよい。
(例1)印刷装置が連続紙(例えばロール紙)といった連続状の媒体の搬送を停止した状態で印刷ヘッドを移動させて印刷を行う場合において、印刷装置が媒体を動かさずに印刷を実行する範囲。
(例2)単票紙の1枚分の範囲。
本明細書において「印刷可能範囲の中に配置可能な画像の最大個数」は、印刷可能範囲の中に前述の画像以外の付加情報が配置される場合において印刷可能範囲の残りのスペースに画像が配置される最大の個数でもよい。
【0013】
変換倍率は、画像を縮小する比率を意味する縮小率でもよいし、画像を拡大する比率を意味する拡大率を含んでいてもよい。
複数の画像は、同一の画像であってもよいし、そうでなくてもよい。同一の画像には、ワインボトルに貼る標品のラベルのような単純なラベル等が考えられる。複数の画像は、同一のベース画像の中に異なり得る識別情報が付与された画像、例えば、ワインボトル用のベース画像の中に生産番号と賞味期限が付与された画像等でもよい。この例では、生産番号と賞味期限が同一のジョブの中で異なり得る。前述の識別情報には、生産番号、賞味期限、バーコード、2次元コード、等が含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
[態様2]
図4B等に例示するように、前記一覧表示部U2は、前記複数の変換倍率(S)を含む複数段階の変換倍率の内、前記最大個数Nsが同じになる変換倍率が2以上ある場合、該2以上の変換倍率の中から選ばれる一つを前記一覧L0において表示してもよい。図4A,4Bに示す例では、「複数段階の変換倍率」は100%から77%まで1%刻みの縮小率Sを意味し、「複数の変換倍率」は縮小率100%、縮小率97%、縮小率95%、縮小率86%、縮小率79%、及び、縮小率77%を意味する。例えば、「ページ枚数」と示される最大個数Nsが27個となる縮小率は100%、99%、及び、98%であるので、最大個数Nsが27個と同じになる変換倍率は2以上ある。この場合、「2以上の変換倍率」は縮小率100%、縮小率99%、及び、縮小率98%を意味し、図4Bに例示するように縮小率100%が選ばれてもよいし、縮小率99%が選ばれてもよいし、縮小率98%が選ばれてもよい。また、Ns=36個となる縮小率は97%及び96%であるので、最大個数Nsが36個と同じになる変換倍率は2以上ある。この場合、「2以上の変換倍率」は縮小率97%及び縮小率96%を意味し、図4Bに例示するように縮小率97%が選ばれてもよいし、縮小率96%が選ばれてもよい。
図4Bに例示するように、上記態様は、一覧の表示面積を少なくさせることができる。
【0015】
[態様3]
図4B等に例示するように、前記一覧表示部U2は、前記複数段階の変換倍率の内、前記最大個数Nsが同じになる変換倍率が2以上ある場合、該2以上の変換倍率のうち1倍に最も近い変換倍率を前記一覧L0において表示してもよい。図4A,4Bに示す例では、Ns=27となる縮小率は100%、99%、及び、98%であるので、これらの縮小率のうち1倍=100%に最も近い縮小率100%が選ばれる。また、Ns=36個となる縮小率は97%及び96%であるので、これらの縮小率のうち1倍=100%に最も近い縮小率97%が選ばれる。
上記態様は、画像縮小時に媒体の余白を極力少なくさせることができる。
尚、上記態様3には含まれないが、前記一覧表示部U2が前記2以上の変換倍率のうち1倍に最も近い変換倍率でない変換倍率を前記一覧L0において表示する場合も、本技術に含まれる。
【0016】
[態様4]
図1,7等に例示するように、本印刷装置1は、前記画像のサイズを変更するための前記複数の変換倍率(S)の下限を示す閾値(例えば限界縮小率Ts)の設定を受け付ける設定受付部U3をさらに備えていてもよい。図9A~9Cに例示するように、前記一覧表示部U2は、前記閾値(Ts)以上である前記複数の変換倍率(S)の内、前記最大個数Nsが最多となって1倍に最も近い変換倍率を推奨する表示を行ってもよい。
以上の場合、ユーザーは、閾値(Ts)以上である複数の変換倍率(S)の中で最大個数Nsが最多となって1倍に最も近い変換倍率を把握することができる。従って、上記態様は、画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数をさらに選択し易くさせることができる。
【0017】
[態様5]
図1,2に例示するように、本印刷装置1は、幅方向D1よりも該幅方向D1と交差する搬送方向D2の方が長い媒体ME0を前記搬送方向D2へ搬送する印刷部U6をさらに備えていてもよい。前記印刷可能範囲AR0は、前記媒体ME0の表面(例えば印刷面ME0a)に含まれてもよく、前記幅方向D1よりも前記搬送方向D2の方が長くてもよい。前記演算部U1は、前記複数の変換倍率(S)のそれぞれに従って前記画像IM0のサイズを変更させた場合に前記幅方向D1において前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大の個数である幅方向最大個数Ynを算出してもよい。図4A~4Cに例示するように、前記一覧表示部U2は、前記複数の変換倍率(S)のそれぞれに対応する前記幅方向最大個数Ynを前記一覧L0に含めて表示してもよい。
搬送方向D2において配置可能な画像IM0の個数が一つ増えるよりも幅方向D1において配置可能な画像IM0の個数が一つ増える方が印刷可能範囲AR0全体に配置可能な画像IM0が多く増える。従って、上記態様は、画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を増やすか否かをさらに選択し易くさせることができる。
【0018】
[態様6]
図6に例示するように、前記演算部U1は、前記複数の変換倍率(S)のそれぞれに従って前記画像IM0のサイズを変更させた場合に、前記印刷可能範囲AR0に沿った第一方向(例えば幅方向D1)において前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大の個数である第一方向最大個数(例えば幅方向最大個数Yn)、及び、前記印刷可能範囲AR0に沿って前記第一方向(D1)と交差する第二方向(例えば搬送方向D2)において前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大の個数である第二方向最大個数(例えば搬送方向最大個数Xn)を算出してもよい。図4A,4Bに例示するように、前記一覧表示部U2は、前記複数の変換倍率(S)のそれぞれに対応する前記第一方向最大個数(Yn)及び前記第二方向最大個数(Xn)を前記一覧L0として表示してもよい。
以上の場合、ユーザーは、画像IM0が印刷される媒体ME0の余白の状態を2方向で把握することができる。従って、上記態様は、印刷装置の利便性を向上させることができる。
【0019】
ここで、本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。複数の構成要素のうちどの構成要素が「第一」、「第二」、…に当てはまるのかは、相対的に決まる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0020】
[態様7]
本印刷装置1は、前記一覧L0の表示上において、前記一覧L0に含まれている前記複数の変換倍率(S)と、該複数の変換倍率(S)のそれぞれに対応する前記最大個数Nsと、の少なくとも一方の中からいずれか一つを選択する操作を受け付ける操作受付部U4をさらに備えていてもよい。本印刷装置1は、前記複数の変換倍率(S)のうち前記操作に対応する変換倍率に従ってサイズを変更させた前記画像IM0を前記操作に対応する前記最大個数Ns、前記印刷可能範囲AR0の中において印刷する印刷部U6をさらに備えていてもよい。
以上の場合、ユーザーは、直感的な操作により印刷時の変換倍率(S)を設定することができる。上記態様は、一覧L0を見て数字を入力するといった人の手を介する工程を減らすことができるので、意図しない誤りが生じる可能性を低減させることができる。
【0021】
[態様8]
図3に例示するように、前記印刷可能範囲AR0の中に配置される前記最大個数Nsの前記画像IM0は、同じ大きさでもよい。
以上の場合、印刷装置1は、画像IM0の最大個数Nsを容易に演算することができる。従って、上記態様は、一覧表示部を備える好適な印刷装置を提供することができる。
【0022】
[態様9]
図1,3に例示するように、本印刷装置1は、前記画像IM0間に隙間Mを空けて前記画像IM0を前記最大個数Ns、前記印刷可能範囲AR0の中において印刷する印刷部U6をさらに備えていてもよい。前記演算部U1は、前記変換倍率(S)のそれぞれに従って前記画像IM0のサイズを変更させた場合に前記隙間Mを含めて前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大個数Nsを算出してもよい。前記隙間Mは、前記画像IM0のサイズが変更されても一定でもよい。
上記態様は、ラベル間の切断や台紙からのラベルの剥離などといった後加工が行われる場合に好適な例を提供することができる。
尚、上記態様9には含まれないが、画像間に隙間が無い場合も、本技術に含まれる。
【0023】
[態様10]
図1に例示するように、前記印刷装置1は、前記印刷可能範囲AR0の中に複数配置された前記画像IM0の印刷物に後加工を行う後加工装置PP0に接続されてもよい。当該印刷装置1は、前記印刷可能範囲AR0の中において各前記画像IM0の配置を示す面付情報IN1を前記後加工装置PP0に伝達する伝達部U5をさらに備えていてもよい。
上記態様は、印刷装置が後加工装置と連携する好適な例を提供することができる。
【0024】
[態様11]
また、図1,6に例示するように、本技術の一態様に係る表示プログラムPR0は、画像IM0を所定の印刷可能範囲AR0の中に複数配置して印刷を行う印刷装置1のための表示プログラムPR0であって、演算機能FU1と一覧表示機能FU2をコンピューターに実現させる。前記演算機能FU1は、前記画像IM0のサイズを変更するための複数の変換倍率(S)のそれぞれに従って前記画像IM0のサイズを変更させた場合に前記印刷可能範囲AR0の中に配置可能な前記画像IM0の最大個数Nsを算出する。前記一覧表示機能FU2は、前記複数の変換倍率(S)、及び、該複数の変換倍率(S)のそれぞれに対応する前記最大個数Nsを一覧L0として表示部(例えば表示装置16)に表示させる。
上記態様は、画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を選択し易くさせることが可能な表示プログラムを提供することができる。さらに、表示プログラムPR0は、設定受付部U3に対応する設定受付機能FU3、操作受付部U4に対応する操作受付機能FU4、及び、伝達部U5に対応する伝達機能FU5をコンピューターに実現させてもよい。
【0025】
さらに、本技術は、上述した印刷装置を含む印刷システム、上述した印刷装置の制御方法、前述の印刷システムの制御方法、前述の印刷システムの制御プログラム、前述のいずれかの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等に適用可能である。また、上述した印刷装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0026】
(2)印刷装置を含む印刷装置の具体例:
図1は、印刷装置1を模式的に例示している。本具体例の印刷装置1はプリンター2自体であるものとするが、印刷装置1はプリンター2と外部装置EX0との組合せでもよい。プリンター2は、図1に示されていない追加要素を含んでいてもよい。図2は、プリンター2の機構部を模式的に例示している。図2に下部には、印刷時の印刷ヘッド41の動きを説明するために印刷可能範囲AR0を上から見た平面図が示されている。便宜上、プリンター2が水平面に設置された場合を基準として、XYZ座標系を用いることにする。図2に示す例では、媒体ME0の搬送方向D2に沿った方向がX方向であり、媒体ME0の幅方向D1に沿った方向がY方向であり、鉛直方向に沿った方向がZ方向である。X方向は、Y方向とZ方向の両方に直交しているものとするが、Y方向と交差していればY方向に直交していなくてもよく、Z方向と交差していればZ方向に直交していなくてもよい。Y方向は、Z方向に直交しているものとするが、Z方向と交差していればZ方向に直交していなくてもよい。尚、媒体ME0が搬送される方向(D2)を+X方向、搬送方向D2とは逆の方向を-X方向、図2の上部において手前に向かう方向を+Y方向、図2の上部において奥に向かう方向を-Y方向、上方向を+Z方向、下方向を-Z方向とする。図3は、印刷可能範囲AR0に割り当てられる画像IM0の配置を模式的に例示している。図3に示す複数の画像IM0の内、網掛けを付した画像は印刷可能範囲AR0の中に収まらない画像を意味する。
【0027】
プリンター2は、図2に示すように液滴DR0、例えば、インク滴を吐出するインクジェットプリンターでもよく、主走査と副走査を行うことにより印刷画像IM3を印刷可能範囲AR0に形成してもよい。媒体ME0は、図2に示すように、連続紙、例えば、ロール紙といった連続状の媒体でもよい。媒体ME0は、印刷画像を保持する素材のことであり、本具体例では図5に例示するように台紙401に粘着シート402が貼付されているラベルシートであるものとする。粘着シート402は、裏面に粘着剤403を有している。むろん、媒体ME0の材質は紙、樹脂、金属、等、様々な材質が考えられ、媒体ME0は単層シート等、ラベルシートでなくてもよい。
【0028】
図1に示すプリンター2は、制御部10と印刷部U6を備えている。制御部10は、プロセッサーであるCPU11、半導体メモリーであるROM12、半導体メモリーであるRAM13、記憶装置14、入力装置15、表示装置16、I/F17,18、及び、駆動制御部19を含んでいる。これらの要素(11~19)は、バスに接続され、互いに情報を入出力可能とされている。印刷部U6は、給送ユニット20、搬送ユニット30、印刷ユニット40、巻取ユニット60、及び、検出器群70を含んでいる。ここで、CPUはCentral Processing Unitの略称であり、ROMはRead Only Memoryの略称であり、RAMはRandom Access Memoryの略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。制御部10は、演算機能FU1に対応する演算部U1の例である。表示装置16は、表示部の例である。表示装置16を含む制御部10は、一覧表示機能FU2に対応する一覧表示部U2の例である。入力装置15を含む制御部10は、設定受付機能FU3に対応する設定受付部U3、及び、操作受付機能FU4に対応する操作受付部U4の例である。後加工装置PP0に接続されるI/F17を含む制御部10は、伝達機能FU5に対応する伝達部U5の例である。
尚、表示装置16は、プリンター2の外にあってもよく、外部装置EX0にあってもよい。これらの態様も、印刷装置1に含まれる。
【0029】
制御部10は、SoCと略されるSystem on a Chipにより構成されてもよい。CPU11は、プリンター2における情報処理や制御を中心的に行う装置であり、ROM12、及び、記憶装置14からRAM13に読み出したプログラムを実行することにより各種処理を行う。記憶装置14は、上述した機能(FU1~FU5)をコンピューターに実現させる表示プログラムPR0、ベクター画像をビットマップ画像に変換するレンダリングプログラム、等を記憶している。ここで、ベクター画像は図形を表す数値情報の集合として表現した画像を意味し、ビットマップ画像は画素毎に色情報を有する画像を意味する。CPU11は、RAM13に読み出した表示プログラムPR0を実行することにより、上述した機能(FU1~FU5)に対応する処理を行う。記憶装置14は、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリーでもよいし、ハードディスクといった磁気記憶装置等でもよい。入力装置15には、表示装置16の表面に貼り付けられたタッチパネル、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、等を用いることができる。表示装置16は、表示情報に基づいて該表示情報に対応する画面を表示する。表示装置16には、液晶表示パネル等を用いることができる。I/F17は、後述する後加工装置PP0に接続され、印刷可能範囲AR0の中において各画像IM0の配置を示す面付情報IN1を後加工装置PP0に送信する等、後加工装置PP0に対して情報を入出力する。I/F18は、外部装置EX0に接続され、外部装置EX0から元画像IM1を受信する等、外部装置EX0に対して情報を入出力する。外部装置EX0には、パーソナルコンピューターといったコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、デジタルカメラ、着脱可能なフラッシュメモリーといった着脱可能な不揮発性メモリー、等が含まれる。I/F17,18の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LANと略されるLocal Area Networkやインターネット等といったネットワーク通信でもよい。駆動制御部19は、検出器群70の検出結果を用いて上述したユニット(20,30,40,60)を制御する。
尚、制御部10の少なくとも一部は、ASICと略されるApplication Specific Integrated Circuitで構成されてもよい。むろん、複数のCPUが協働して処理を行ってもよいし、CPUと他の電子部品(例えばASIC)とが協働して処理を行ってもよい。
【0030】
図2に示す給送ユニット20は、ロール状の媒体ME0を回転可能に支持する巻軸21を備え、制御部10の制御に従って長尺な媒体ME0を搬送ユニット30に給送する。図2に示す搬送ユニット30は、上流側にある搬送ローラー対32と下流側にある排出ローラー対33とを備え、予め設定された搬送経路に沿って媒体ME0を搬送方向D2へ搬送する。搬送ユニット30は、制御部10の制御に従って、搬送ローラー対32の駆動搬送ローラーと排出ローラー対33の駆動排出ローラーを回転させることにより媒体ME0を印刷可能範囲AR0の単位で間欠的に搬送方向D2へ送る。図2に示す印刷可能範囲AR0は、媒体ME0の搬送が停止している状態で印刷ヘッド41の移動及び液滴DR0の吐出により印刷画像IM3を形成可能な最大の範囲を意味する。制御部10は、搬送ユニット30による媒体ME0の送りと印刷ユニット40による印刷とを交互に繰り返し実行させる。印刷ユニット40は、印刷ヘッド41、キャリッジ42、及び、媒体ME0の裏面ME0bを支持するプラテン48を備え、制御部10の制御に従って、液滴DR0のドットDT0のパターンによる印刷画像IM3を媒体ME0の印刷面ME0aに形成する。プラテン48は、媒体ME0の送りが停止している時に吸引機構により媒体ME0の裏面ME0bをプラテン48の上面に吸着することにより媒体ME0を印刷可能範囲AR0に保持してもよい。巻取ユニット60は、印刷済の媒体ME0を巻き取る巻取駆動軸61を備え、制御部10の制御に従って印刷済の媒体ME0を巻き取る。
尚、印刷部U6は、印刷済の媒体ME0を乾燥させる乾燥ユニットを印刷ユニット40と巻取ユニット60との間に備えていてもよい。
【0031】
印刷ヘッド41は、並び方向D4へ所定のノズルピッチの間隔で並んでいる複数のノズル44を含むノズル列43を複数、ノズル面に有し、プラテン48上の媒体ME0に液滴DR0を吐出することにより印刷を行う。各ノズル列43に含まれる複数のノズル44は、一列に並べられてもよいし、千鳥状すなわち2列に並べられてもよい。図2に示す印刷ヘッド41は、搬送方向D2に沿ったガイド45に沿って+X方向と-Y方向とへ往復移動し、且つ、幅方向D1に沿った不図示のガイドに沿ってY方向へ移動するキャリッジ42に搭載されている。ノズル44の並び方向D4は、搬送方向D2と交差する方向であればよく、幅方向D1に沿った方向でもよいし、幅方向D1からずれた方向でもよい。印刷ヘッド41は、ノズル44から液滴DR0を吐出させる駆動素子等を備えている。駆動素子には、ノズル44に連通する圧力室内の液体に圧力を加える圧電素子、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズル44から液滴DR0を吐出させる駆動素子、等を用いることができる。画像IM0に従った液滴DR0のドットDT0のパターンが媒体ME0の印刷面ME0aに形成されることにより、媒体ME0に印刷画像IM3が形成される。
【0032】
キャリッジ42は、印刷ヘッド41が液滴DR0を吐出する主走査時に+X方向又は-Y方向へ移動し、印刷ヘッド41が液滴DR0を吐出しない副走査時に+Y方向へ移動する。印刷可能範囲AR0への印刷画像IM3の記録方法は、インターレス方式でもよいし、バンド方式でもよい。双方向印刷が行われる場合、制御部10は、キャリッジ42が+X方向と-Y方向へ移動しているときに印刷ヘッド41から液滴DR0を吐出させる。制御部10は、主走査と副走査を交互に繰り返すことにより、印刷可能範囲AR0の全体に印刷画像IM3を形成させる制御を行う。単方向印刷が行われる場合、制御部10は、例えば、キャリッジ42が+X方向へ移動しているときに印刷ヘッド41から液滴DR0を吐出させ、キャリッジ42が-X方向へ移動しているときに印刷ヘッド41から液滴DR0を吐出させない。印刷可能範囲AR0への印刷画像IM3の記録が完了すると、キャリッジ42は、-Y方向へ移動して原点位置に戻る。
【0033】
尚、主走査時のキャリッジ42の移動方向は、搬送方向D2に沿ったX方向に限定されず、幅方向D1に沿ったY方向でもよい。この場合、副走査時のキャリッジ42の移動方向は、X方向となる。
また、ノズル列43が幅方向D1において印刷可能範囲AR0の全体にわたって設けられる場合、印刷ヘッド41がX方向へ1回移動することにより印刷可能範囲AR0の全体に印刷画像IM3を形成することが可能である。
【0034】
図3に示すように、プリンター2は、元画像IM1に基づいて印刷可能範囲AR0の中に複数の画像IM0を配置する。画像IM0間には、ラベル間の切断や台紙からのラベルの剥離などといった後加工のために隙間Mが設けられてもよい。図3の上段は、縮小率Sが100%の画像IM0、すなわち、元画像IM1が印刷可能範囲AR0の中に配置される例を示している。むろん、印刷可能範囲AR0の中に配置される全ての元画像IM1は、同じサイズである。図3の上段に示すように、元画像IM1のサイズによっては、元画像IM1の面付にあたって僅かに印刷可能範囲AR0の面積が不足することにより多くの余白が生じる場合もある。余白が使用されずに廃棄される場合、廃棄量が多くなる。
画像IM0の印刷物が販売品に使用される場合、画像IM0の大きさを大きく変更することは好ましくない場合もある。従って、ユーザーが外部装置EX0で元画像IM1の大きさを調整することは、容易でない。
【0035】
本具体例では、図4A~4Cに例示するような縮小率S等の一覧L0を印刷装置1が表示装置16に表示させることにより、縮小率Sの選択を容易にさせることにしている。縮小率Sは、画像IM0のサイズを変更するための変換倍率の例である。一覧L0の詳細は、後述する。
【0036】
媒体ME0の幅、すなわち、第一方向の例である幅方向D1における長さは、33cm等、規定のサイズがある。通常、媒体ME0の幅方向D1における両端に余白が設けられて印刷が行われる。一例として、図2に示す印刷可能範囲AR0の幅、すなわち、縦サイズAyを30cmとする。媒体ME0がロール紙のように搬送方向D2へ連続していても、図2に示すように印刷ヘッド41がX方向へ往復移動する場合、印刷可能範囲AR0の横方向、すなわち、第二方向の例である搬送方向D2における長さAxが決められている。一例として、図2に示す印刷可能範囲AR0の横サイズAxを1mとする。
通常、印刷時間を短縮させ媒体ME0を効率的に使用する目的から、印刷可能範囲AR0のサイズAx×Ayに複数の画像IM0を並べる面付処理を行い、面付された画像IM0を印刷することが行われる。対象となる画像IM0のサイズによって、Ax×Ayの印刷可能範囲AR0に並べられる画像IM0の数が変わる。
【0037】
画像IM0のサイズによっては、面付の結果かなりの余白が生じる場合もある。
一例として、図3に示す元画像IM1の横サイズBxを10.2cmとし、図3に示す元画像IM1の縦サイズByを7.5cmとし、元画像IM1間の隙間Mを0.25cmとする。この場合、横方向に9個の元画像IM1を配置することができ、縦方向に3個の元画像IM1を配置することができ、印刷可能範囲AR0に9×3=27個の元画像IM1を並べることができる。しかし、横方向には1m-(10.2cm×9+0.25cm×8)=6.4cmの余白が生じ、縦方向には30cm-23cm(7.5cm×3+0.25cm×2)=7cmもの余白が生じる。特に、縦方向の余白7cmは、7.5cmの元画像IM1に対して僅かに不足するサイズである。
【0038】
図3の中段は、縮小率Sが97%の変換画像IM2が印刷可能範囲AR0の中に配置される例を示している。印刷可能範囲AR0の中に配置される全ての変換画像IM2は、同じサイズである。尚、画像IM0の概念には、元画像IM1及び変換画像IM2が含まれる。縮小率Sを97%にすると、画像IM0間の隙間0.25cmが維持されたまま縦方向に4個の変換画像IM2が並べられて29.5cmのサイズとなる。これにより、縦サイズAyの印刷条件を有効に使うことができる。また、変換画像IM2のサイズは元画像IM1の97%であるので、サイズ変更は僅かである。従って、厳密にサイズが指定されている場合を除き、変換画像IM2を印刷に使用することが可能である。
図3の下段は、縮小率Sが95%の変換画像IM2が印刷可能範囲AR0の中に配置される例を示している。印刷可能範囲AR0の中に配置される全ての変換画像IM2は、同じサイズである。縮小率Sを95%にすると、横方向にさらに一列分、変換画像IM2を印刷可能範囲AR0の中に配置することができる。
【0039】
以上の例では、印刷可能範囲AR0に27個の元画像IM1が面付され、元画像IM1が97%に縮小された変換画像IM2については印刷可能範囲AR0に36個の変換画像IM2が面付される。元画像IM1が95%に縮小された変換画像IM2については、印刷可能範囲AR0に40個の変換画像IM2が面付される。特に、27個から36個への増加は、効果が大きく、余白も効果的に減らすことができる。
【0040】
ここで、横方向に配置される画像IM0の最大の個数である搬送方向最大個数をXnとし、縦方向に配置される画像IM0の最大の個数である幅方向最大個数をYnとする。幅方向最大個数Ynは第一方向最大個数の例であり、搬送方向最大個数Xnは第二方向最大個数の例である。
横方向については、以下の不等式を満たす必要がある。
Ax≧Xn×(S/100)×Bx+(Xn-1)×M …(1)
縦方向については、以下の不等式を満たす必要がある。
Ay≧Yn×(S/100)×By+(Yn-1)×M …(2)
小数点以下を切り捨てる関数をINTで表すと、搬送方向最大個数Xnと幅方向最大個数Ynは、以下の式により算出することができる。
Xn=INT[(Ax+M)/{(S/100)×Bx+M}] …(3)
Yn=INT[(Ay+M)/{(S/100)×By+M}] …(4)
印刷可能範囲AR0の中に配置可能な画像IM0の最大個数Nsは、以下の式により算出することができる。
Ns=Xn×Yn …(5)
【0041】
図4Aは、表示装置16に表示される一覧L0を模式的に例示している。尚、図4A~4Cにおいて、「縮小率(%)」は縮小率Sを意味し、「縦方向個数」は幅方向最大個数Ynを意味し、「横方向個数」は搬送方向最大個数Xnを意味し、「ページ枚数」は最大個数Nsを意味する。
プリンター2は、複数の縮小率Sのそれぞれに従って画像IM0のサイズを変更させた場合に印刷可能範囲AR0の中に配置可能な画像IM0の最大個数Nsを算出し、各縮小率S、及び、各縮小率Sに対応する最大個数Nsを一覧L0として表示する。図4Aに示す一覧L0は、縮小率100%から縮小率77%まで1%刻みで画像IM0の最大個数Nsを示している。図示の都合上、縮小率95%未満については最大個数Nsが変化する縮小率Sがピックアップされて記載されている。印刷可能範囲AR0のサイズと画像IM0のサイズとの関係から、図4Aに示す一覧L0では、縦方向に配置される個数が1増えると画像IM0の最大個数Nsが大きく増える。媒体ME0を有効に活用するという観点でも、図4Aに示す一覧L0では、縮小率Sが1%刻みで減少するときに最大個数Nsが増加する直後の縮小率において媒体ME0を有効に使用することができる。元画像IM1を97%に縮小すると、縮小率Sが100~98%である場合と比べて縦方向に変換画像IM2を1個多く配置することができるので、印刷可能範囲AR0に配置可能な画像IM0の最大個数Nsも27個から36個に増える。以降、画像IM0が縮小されるほど最大個数Nsを増やすことが可能である。図4Aに示す一覧L0では、効果が最も大きい縮小率Sの候補が97%となる。
尚、縮小率Sの刻みは、1%刻みに限定されず、0.5%刻み、2%刻み、等でもよい。
【0042】
図4Bに例示するように、プリンター2は、図4Aに例示する複数段階の縮小率の内、最大個数Nsが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率の中から選ばれる一つを一覧L0において表示してもよい。図4Bに示す一覧L0では、複数段階の縮小率の内、最大個数Nsが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率のうち1倍に最も近い縮小率が表示されている。
図4A,4Bに示すように、Ns=27個となる縮小率は100%、99%、及び、98%と2以上あるので、プリンター2は、これらの縮小率の中から選ばれる一つ、例えば、1倍=100%に最も近い縮小率100%を一覧L0において表示する。また、Ns=36個となる縮小率は97%及び96%であるので、プリンター2は、これらの縮小率の中から選ばれる一つ、例えば、1倍=100%に最も近い縮小率97%を一覧L0において表示する。
【0043】
上記不等式(1),(2)を縮小率Sについて解くと、以下の不等式が得られる。
S≦[{Ax-(Xn-1)×M}×100/(Xn×Bx)] …(6)
S≦[{Ay-(Yn-1)×M}×100/(Yn×By)] …(7)
縮小率Sが1%刻みである場合、横方向について搬送方向最大個数Xnとなる最大の縮小率Sは、以下の式により算出することができる。
S=INT[{Ax-(Xn-1)×M}×100/(Xn×Bx)] …(8)
縮小率Sが1%刻みである場合、縦方向について幅方向最大個数Ynとなる最大の縮小率Sは、以下の式により算出することができる。
S=INT[{Ay-(Yn-1)×M}×100/(Yn×By)] …(9)
上記式(8),(9)において、縮小率Sの最大値は100%とする。
【0044】
そこで、横方向については、元画像IM1の搬送方向最大個数を初期値として、プリンター2は、搬送方向最大個数Xnを初期値、初期値+1、初期値+2、…に変えながら上記式(8)から得られる縮小率Sを選択すればよい。縦方向については、元画像IM1の幅方向最大個数を初期値として、プリンター2は、幅方向最大個数Ynを初期値、初期値+1、初期値+2、…に変えながら上記式(9)から得られる縮小率Sを選択すればよい。
【0045】
例えば、Ax=100cm、Ay=30cm、Bx=10.2cm、By=7.5cm、及び、M=0.25cmであるとする。縮小率Sが100%である場合、上記式(3),(4)から、Xn=9、Yn=3である。そこで、横方向については、搬送方向最大個数9を初期値として、プリンター2は、搬送方向最大個数Xnを9、10、11、…に変えながら縮小率100%以下の範囲で上記式(8)から得られる縮小率100%、95%、86%、…を選択する。縦方向については、幅方向最大個数3を初期値として、プリンター2は、幅方向最大個数Ynを3、4、5、…に変えながら縮小率100%以下の範囲で上記式(9)から得られる縮小率100%、97%、77%、…を選択する。そこで、プリンター2は、横方向について得られる縮小率と縦方向について得られる縮小率100%、97%、95%、86%、77%、…について、縮小率Sと最大個数Nsとの組合せを一覧L0において表示する。
【0046】
図4A,4Bに例示するように、プリンター2は、複数の縮小率Sのそれぞれに対応する幅方向最大個数Yn及び搬送方向最大個数Xnを一覧L0に含めて表示する。これにより、ユーザーは、画像IM0が印刷される媒体ME0の余白の状態を2方向で把握することができる。
また、図4Bに示す一覧L0のように、プリンター2は、縮小率Sが小さくなる際に最大個数Nsの増加比が所定比以上、例えば、0.2以上増える箇所を強調表示する。前述の増加比は、最大個数Nsが増えた直後の値を、最大個数Nsが増える直前の値で除した計算値で表される。例えば、縮小率Sが小さくなる際に最大個数Nsが27個から36個に増える場合、36/27=1.33であるので、増加比が0.2よりも大きい0.33増えることになる。従って、縮小率97%と最大個数の組合せが強調表示される。また、縮小率Sが小さくなる際に最大個数Nsが48個から60個に増える場合、60/48=1.25であるので、増加比が0.2よりも大きい0.25増えることになる。従って、縮小率77%と最大個数の組合せが強調表示される。
【0047】
図4Cに例示するように、プリンター2は、図4Aに例示する複数段階の縮小率の内、幅方向最大個数Ynが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率の中から選ばれる一つを一覧L0において表示してもよい。図4Cに示す一覧L0では、複数段階の縮小率の内、幅方向最大個数Ynが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率のうち1倍に最も近い縮小率が表示されている。
図4A,4Cに示すように、Yn=3個となる縮小率は100%、99%、及び、98%と2以上あるので、プリンター2は、これらの縮小率の中から選ばれる一つ、例えば、1倍=100%に最も近い縮小率100%を一覧L0において表示する。また、Yn=4個となる縮小率は97%、96%、…、78%であるので、プリンター2は、これらの縮小率の中から選ばれる一つ、例えば、1倍=100%に最も近い縮小率97%を一覧L0において表示する。
【0048】
図1に示す印刷部U6は、画像IM0間に隙間Mを空けて画像IM0を最大個数Ns、印刷可能範囲AR0の中において印刷する。隙間Mは画像IM0のサイズが変更されても一定であるので、後加工装置PP0がラベル間の切断や台紙からのラベルの剥離などといった後加工を行い易い。また、印刷部U6は、幅方向D1よりも搬送方向D2の方が長い媒体ME0を搬送方向D2へ搬送する。印刷可能範囲AR0は、媒体ME0の印刷面ME0aに含まれ、幅方向D1よりも搬送方向D2の方が長い。搬送方向D2において配置可能な画像IM0の個数が一つ増えるよりも幅方向D1において配置可能な画像IM0の個数が一つ増える方が印刷可能範囲AR0全体に配置可能な画像IM0が多く増える。幅方向最大個数Ynを含む一覧L0が表示されることにより、ユーザーは、画像IM0のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲AR0の画像IM0の数を増やすか否かを選択し易い。
【0049】
図4A~4Cに示す表示装置16の表面に入力装置15としてのタッチパネルが貼り付けられている場合、入力装置15は、一覧L0の表示上において縮小率Sを決めるための接触操作を受け付けてもよい。この場合、入力装置15は、一覧L0の表示上において、一覧L0に含まれている複数の縮小率Sと、該複数の縮小率Sのそれぞれに対応する最大個数Nsと、の少なくとも一方の中からいずれか一つを選択する操作を受け付けてもよい。この場合、印刷部U6は、接触操作に対応する縮小率Sに従ってサイズを変更させた画像IM0を接触操作に対応する最大個数Ns、印刷可能範囲AR0の中において印刷する。
【0050】
図5に例示するように、プリンター2は、印刷可能範囲AR0の中において各画像IM0の配置を示す面付情報IN1を図1に示すI/F17から後加工装置PP0に伝達する。図5に示す後加工装置PP0は、面付情報取得部U11、ラベル切断部U12、及び、ラベル剥離部U13を備え、印刷可能範囲AR0の中に複数配置された画像IM0の印刷物に後加工を行う。
【0051】
面付情報取得部U11は、プリンター2から面付情報IN1を受信する。ラベル切断部U12は、面付情報IN1に基づいて、印刷画像IM3が粘着シート402に形成された媒体ME0の内、画像IM0間の隙間Mに合わせて粘着シート402を切断する。図5の下部に示すように、粘着シート402は、表面に印刷面ME0aを有し、裏面に粘着剤403を有し、台紙401に貼付されている。ラベル切断部U12は、面付情報IN1に基づいて、隙間Mに合わせて刃物を粘着シート402に当てることにより粘着シート402を切断してもよい。また、ラベル切断部U12は、面付情報IN1に基づいて、隙間Mに合わせてレーザーを粘着シート402に照射することにより粘着シート402を切断してもよい。ラベル切断部U12は、他の方法により粘着シート402を切断してもよい。ラベル剥離部U13は、面付情報IN1に基づいて、切断された各粘着シート402を台紙401から剥離する。ラベル剥離部U13は、媒体ME0を屈曲させながら、面付情報IN1に基づいて台紙401から各粘着シート402を剥離してもよい。ラベル剥離部U13は、他の方法により台紙401から各粘着シート402を剥離してもよい。
【0052】
尚、プリンター2から面付情報IN1を受け取る後加工装置は、ラベル剥離部U13が無くてもよく、面付情報IN1に基づいて粘着シート402を切断するまでの加工を後加工として行ってもよい。また、ラベル剥離部U13の無い後加工装置は、面付情報IN1に基づいて媒体ME0を画像IM0毎に切り離す加工を後加工として行ってもよい。
【0053】
(3)一覧の表示を含む印刷制御処理の具体例:
図6は、図4A~4Cに示すような一覧L0の表示を含む印刷制御処理を模式的に例示している。図6に示す処理は、図1に示す制御部10により行われる。ここで、ステップS106は、設定受付部U3と設定受付機能FU3に対応している。ステップS110は、演算部U1と演算機能FU1に対応している。ステップS112は、一覧表示部U2と一覧表示機能FU2に対応している。ステップS114は、操作受付部U4と操作受付機能FU4に対応している。ステップS120は、伝達部U5と伝達機能FU5に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略し、括弧内にステップの符号を示すことがある。
印刷制御処理が開始すると、制御部10は、外部装置EX0から元画像IM1と付属する情報を取得する(S102)。元画像IM1は、ベクター画像が好ましいものの、ビットマップ画像でもよい。元画像IM1のファイル形式は、PDFと略されるPortable Document Formatでもよいし、ビットマップ画像であればビットマップファイル等でもよい。元画像IM1の付属情報には、画像IM0を何個印刷するかを表す印刷数TN、元画像IM1のサイズBx,By、等が含まれる。
【0054】
元画像IM1の取得後、制御部10は、付属情報から画像IM0の印刷数TNと元画像IM1のサイズBx,Byを取得し、図2,3A等に示す印刷可能範囲AR0の中に配置可能な元画像IM1の最大個数N0を算出する(S104)。元画像IM1の最大個数N0は、上述した式(3)~(5)において、縮小率Sを100%にし、最大個数Nsを最大個数N0に読み替えることにより算出することができる。例えば、Ax=100cm、Ay=30cm、Bx=10.2cm、By=7.5cm、及び、M=0.25cmであるとする。この場合、元画像IM1の搬送方向最大個数Xnは9個であり、元画像IM1の幅方向最大個数Ynは3個であり、元画像IM1の最大個数N0は27個である。
【0055】
次いで、制御部10は、図7に例示する面付設定画面510を表示装置16において表示する(S106)。図7に示す面付設定画面510は、画像IM0の印刷数TNの表示領域、元画像IM1のサイズBx,Byの表示領域、元画像IM1の最大個数N0の表示領域、元画像IM1の縮小許否選択領域511、限界縮小率設定チェックボックス512、限界縮小率入力欄513、OKボタン514、等を有している。図7において、印刷数TNは1000であり、横サイズBxは10.2cmであり、縦サイズは7.5cmである。入力装置15は、画像IM0の印刷数TNを入力する操作を受け付けてもよい。縮小許否選択領域511において、「する」は元画像IM1の縮小を許可する選択項目であり、「しない」は元画像IM1の縮小を許可しない選択項目である。入力装置15は、縮小許否選択領域511において、元画像IM1の縮小を許可するか否かを選択する操作を受け付ける。入力装置15は、限界縮小率設定チェックボックス512において、画像IM0のサイズを変更するための複数の縮小率Sの下限を示す限界縮小率Tsを設定するか否かを選択する操作を受け付ける。限界縮小率Tsは、画像IM0のサイズを変更するための複数の縮小率Sの下限を示す閾値の例である。図7に示すように限界縮小率設定チェックボックス512にチェックが付されている場合、入力装置15は、限界縮小率入力欄513において限界縮小率Tsを入力する操作を受け付ける。入力装置15がOKボタン514の操作を受け付けると、制御部10は、前述の要素(511~513)に入力された設定をRAM13と記憶装置14の少なくとも一方に保持する。図7では、元画像IM1の縮小が許可され、限界縮小率Tsに77%が設定されることが示されている。
【0056】
面付設定画面510の表示後、制御部10は、元画像IM1の縮小が許可されているか否かに応じて処理を分岐させる(S108)。元画像IM1の縮小が許可されていない場合、制御部10は、縮小率Sを100%に設定して、処理をS116に進める。
元画像IM1の縮小が許可されている場合、制御部10は、複数の縮小率Sのそれぞれに従って画像IM0のサイズを変更させた場合に隙間Mを含めて印刷可能範囲AR0の中に配置可能な画像IM0の最大個数Ns=Xn×Ynを算出する(S110)。最大個数Ns=Xn×Ynは、上述した式(3)~(5)に従って算出することができる。限界縮小率Tsが設定されている場合、制御部10は、縮小率100%から限界縮小率Tsまで所定の刻み、例えば、1%刻みで最大個数Ns=Xn×Ynを算出すればよい。
【0057】
制御部10は、図4Bに示すように一覧L0の表示量を減らす場合、横方向については、元画像IM1の搬送方向最大個数を初期値として、搬送方向最大個数Xnを初期値、初期値+1、初期値+2、…とすればよい。搬送方向最大個数Xnに対応する縮小率Sは、上述した式(8)に従って算出することができる。制御部10は、縦方向については、元画像IM1の幅方向最大個数を初期値として、幅方向最大個数Ynを初期値、初期値+1、初期値+2、…とすればよい。幅方向最大個数Ynに対応する縮小率Sは、上述した式(9)に従って算出することができる。制御部10は、図4Cに示すように一覧L0の表示量を減らす場合、縦方向について、元画像IM1の幅方向最大個数を初期値として、幅方向最大個数Ynを初期値、初期値+1、初期値+2、…とすればよい。幅方向最大個数Ynに対応する縮小率Sは、上述した式(9)に従って算出することができる。いずれの場合も、最大個数Ns=Xn×Ynは、上述した式(3)~(5)に従って算出することができる。
【0058】
最大個数Ns=Xn×Ynの算出後、制御部10は、図4A~4Cに示すように、画像IM0の縮小率Sと画像IM0の最大個数の組合せの一覧L0を表示装置16に表示する(S112)。従って、制御部10は、複数の縮小率S、及び、該複数の縮小率Sのそれぞれに対応する画像IM0の最大個数Nsを一覧L0として表示する。ここで、図4Aに示すように、制御部10は、縮小率100%から縮小率Sが所定の刻みで小さくなる場合に各縮小率Sに対応させて幅方向最大個数Yn、搬送方向最大個数Xn、及び、最大個数Nsを一覧L0として表示してもよい。縮小率Sの下限は、限界縮小率Tsでもよい。図4Bに示すように、制御部10は、複数段階の縮小率の内、最大個数Nsが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率のうち100%に最も近い縮小率Sを一覧L0において表示してもよい。この場合、制御部10は、各縮小率Sに対応させて幅方向最大個数Yn、搬送方向最大個数Xn、及び、最大個数Nsを一覧L0として表示してもよい。制御部10は、縮小率Sが小さくなる際に最大個数Nsの増加比が所定比以上、例えば、0.2以上増える箇所を強調表示してもよい。図4Cに示すように、制御部10は、複数段階の縮小率の内、幅方向最大個数Ynが同じになる縮小率が2以上ある場合、該2以上の縮小率の中から選ばれる一つを一覧L0において表示してもよい。この場合、制御部10は、各縮小率Sに対応させて幅方向最大個数Yn、及び、最大個数Nsを一覧L0として表示してもよい。
【0059】
一覧L0の表示後、制御部10は、入力装置15において、画像IM0の縮小率Sを決定するために一覧L0の中から選択する操作を受け付ける(S114)。入力装置15は、表示装置16の表面に貼り付けられている場合、一覧L0の表示上において、一覧L0に含まれている複数の縮小率S、及び、複数の縮小率Sのそれぞれに対応する最大個数Nsの中からいずれか一つを選択する接触操作を受け付けてもよい。一覧L0に含まれている複数の縮小率Sのいずれか一つに接触操作が行われた場合、制御部10は、接触操作が行われた縮小率Sを選択する。一覧L0に含まれている複数の最大個数Nsのいずれか一つに接触操作が行われた場合、制御部10は、接触操作が行われた最大個数Nsに対応する縮小率Sを選択する。制御部10は、表示装置16において、図4A~4Cに示すように縮小率Sと最大個数の組合せの中から選択された組合せを強調表示してもよい。図4A~4Cには、縮小率97%の組合せが太線で囲まれることにより選択されたことが示されている。
尚、最大個数Nsの選択操作を受け付けずに縮小率Sの選択操作を受け付けてもよいし、縮小率Sの選択操作を受け付けずに最大個数Nsの選択操作を受け付けてもよい。
【0060】
図4Aに示す一覧L0が表示されると、ユーザーは、多くの縮小率Sのそれぞれに対応する最大個数Ns=Xn×Ynを把握することができる。従って、ユーザーは、画像IM0が印刷される媒体ME0の余白の状態を2方向で把握することができ、多くの選択肢の中から縮小率Sを選択することができる。
図4Bに示す一覧L0が表示されると、ユーザーは、最大個数Ns=Xn×Ynに対応して余白がなるべく少なくなる縮小率Sの中から縮小率を選択することができる。従って、一覧L0の表面積が少なくなって一覧L0が見易くなり、余白がなるべく有効活用され、ユーザーの判断が容易になる。
図4Cに示す一覧L0が表示されると、ユーザーは、幅方向最大個数Ynに対応して余白がなるべく少なくなる縮小率Sの中から縮小率を選択することができる。従って、一覧L0の表面積が少なくなって一覧L0が見易くなり、余白がなるべく有効活用され、ユーザーの判断が容易になる。
【0061】
縮小率Sの選択後、制御部10は、選択された縮小率Sに従って最大個数Nsの画像IM0を印刷可能範囲AR0に面付する(S116)。図8は、S116で行われる面付処理を模式的に例示している。縮小率Sが100%である場合、図示していないが、制御部10はS202~S208の処理を行わずにS210の処理を行う。
面付処理が開始すると、制御部10は、レンダリングプログラムにより実現されるレンダリングエンジンが縮小率Sを受け付けてレンダリングを実行可能であるか否かに応じて処理を分岐させる(S202)。元画像IM1がビットマップ画像である場合、図示していないが、制御部10は処理をS208に進める。
【0062】
レンダリングエンジンが縮小率Sを受け付ける場合、制御部10は、選択された縮小率Sに従ってベクター画像である元画像IM1をビットマップ画像に変換するレンダリング処理を行う(S204)。その後、制御部10は、処理をS210に進める。
【0063】
レンダリングエンジンが縮小率Sを受け付けない場合、制御部10は、原寸のままベクター画像である元画像IM1をビットマップ画像に変換するレンダリング処理を行う(S206)。次に、制御部10は、元画像IM1としてのビットマップ画像を縮小率Sで縮小する縮小処理を行い(S208)、処理をS210に進める。縮小処理は、バイキュービック法による補間演算を行う処理でもよいし、バイリニア法による補間演算を行う処理等でもよい。ビットマップ画像の縮小は、1画素単位のデータに対して僅かな変化を計算で求める必要があるため誤差が生じ易く、変換画像IM2のボケにつながる画素が生じることがある。従って、可能であればレンダリングエンジンでベクター画像から縮小率Sのビットマップ画像を生成することが好ましい。
【0064】
S202~S208の処理後、制御部10は、最大個数Ns=Xn×Ynの縮小率Sの画像IM0を印刷可能範囲AR0に面付し(S210)、面付処理を終了させる。従って、制御部10は、一覧L0の表示上における操作に対応する縮小率Sに従ってサイズを変更させた画像IM0を操作に対応する最大個数Ns、所定の印刷可能範囲AR0の中に配置する。
【0065】
面付処理後、制御部10は、印刷可能範囲AR0の中に複数配置された画像IM0を媒体ME0の印刷面ME0aに形成させる処理を開始する(S118)。印刷部U6は、複数の縮小率Sのうち操作に対応する縮小率に対応する画像IM0を操作に対応する最大個数Ns、印刷可能範囲AR0の中において印刷する。最後に、制御部10は、印刷可能範囲AR0の中において各画像IM0の配置を示す面付情報IN1を後加工装置PP0に送信し(S120)、印刷制御処理を終了させる。印刷は、媒体ME0の印刷面ME0aに印刷数TNの画像IM0が形成されるまで行われる。後加工装置PP0は、受信した面付情報IN1に基づいて、印刷可能範囲AR0の中に複数配置された画像IM0の印刷物に後加工を行う。
【0066】
以上説明したように、本印刷装置1は、画像IM0のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲AR0の画像IM0の数を増やすか否かを選択し易くさせることが可能となる。
【0067】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、印刷装置1は、後加工が行われない媒体に印刷を行ってもよい。この場合、印刷装置1に後加工装置PP0が接続されなくてもよい。また、印刷装置1は、連続状の媒体でなく、カット紙といった、カットされた媒体に印刷を行ってもよい。従って、印刷可能範囲AR0は、カットされた媒体における1枚分の範囲でもよい。
処理対象の元画像IM1は、1種類に限定されず、2種類以上でもよい。元画像IM1が2種類以上ある場合、2種類以上の元画像IM1は互いにサイズが異なる元画像を含んでいてもよい。この場合も、印刷装置1は、複数の縮小率Sのそれぞれに従って画像IM0のサイズを変更させた場合に印刷可能範囲AR0の中に配置可能な画像IM0の最大個数Nsを算出し、一覧L0を表示することができる。
印刷可能範囲AR0の中には、画像IM0のサイズや縮小率Sを表す情報等、画像IM0以外の付加情報が配置されてもよい。この場合、印刷装置1は、印刷可能範囲AR0のうち付加情報の範囲を除いた範囲の中に配置可能な画像IM0の最大個数Nsを算出してもよく、得られる最大個数Nsを含む一覧L0を表示してもよい。
上述した例では画像IM0のサイズを変更するための変換倍率は縮小率であったが、当該変換倍率は1倍よりも大きい拡大率を含んでいてもよい。変換倍率が拡大率を含む場合でも、画像の拡大により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を選択し易くさせる効果が得られる。
【0068】
上述した処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。また、上述した処理の一部は、外部装置EX0が行ってもよい。この場合、制御部10と外部装置EX0の組合せが印刷装置1の例となる。
印刷装置1は、図4A~4Cに示すような一覧L0を表示しながら、限界縮小率Ts以上の縮小率Sの内、最大個数Nsが最多となって100%に最も近い縮小率を選択し、当該縮小率の画像IM0を前述の最多の最大個数Ns、印刷可能範囲の中において印刷してもよい。
また、印刷装置1は、最大個数Nsが最多となって100%に最も近い縮小率を含む組合せを強調表示してもよい。
【0069】
図9A~9Cは、制御部10が図6のS112において、限界縮小率Ts以上の縮小率Sの内、最大個数Nsが最多となって100%に最も近い縮小率を強調表示する例を示している。
図9Aに示す一覧L0は、限界縮小率Tsが80%に設定された場合に、縮小率100%から縮小率80%まで1%刻みの縮小率Sの内、最大個数Nsが最多となり、且つ、100%に最も近い縮小率86%を含む組合せが太線で囲まれている。制御部10は、縮小率Sが限界縮小率Tsである場合、上述した式(3)に従って最多の搬送方向最大個数Xnを算出することができ、上述した式(4)に従って最多の幅方向最大個数Ynを算出することができ、上述した式(5)に従って最多の最大個数Nsを算出することができる。次に、制御部10は、上述した式(8)に従って横方向について最多の搬送方向最大個数Xnとなる最大の縮小率S(Sxとする。)を算出することができ、上述した式(9)に従って縦方向について最多の幅方向最大個数Ynとなる最大の縮小率S(Syとする。)を算出することができる。最後に、制御部10は、縮小率Sxと縮小率Syのうち小さい方の縮小率を含む組合せを強調表示する。このようにして、制御部10は、限界縮小率Ts以上である複数の縮小率Sの内、最大個数Nsが最多となって1倍に最も近い縮小率を推奨する表示を行う。
【0070】
図9Bに示す一覧L0は、縮小率100%から限界縮小率Ts=80%まで1%刻みの縮小率Sの内、最大個数Nsが同じになる縮小率が2以上ある場合に該2以上の縮小率のうち1倍に最も近い縮小率を示している。この場合、一覧L0に含まれる縮小率Sのうち最も小さい縮小率が最多の最大個数Nsに対応し、且つ、100%に最も近い縮小率86%となる。従って、制御部10は、図9Bに示す一覧L0を表示する場合に、最大個数Nsが最多となって1倍に最も近い縮小率を推奨する表示を行うことができる。
【0071】
図9Cに示す一覧L0は、縮小率100%から限界縮小率Ts=80%まで1%刻みの縮小率Sの内、幅方向最大個数Ynが同じになる縮小率が2以上ある場合に該2以上の縮小率のうち1倍に最も近い縮小率を示している。この場合、一覧L0に含まれる縮小率Sのうち最も小さい縮小率が最多の最大個数Nsに対応し、且つ、100%に最も近い縮小率97%となる。従って、制御部10は、図9Cに示す一覧L0を表示する場合に、最大個数Nsが最多となって1倍に最も近い縮小率を推奨する表示を行うことができる。
むろん、制御部10は、図9A~9Cに示すような一覧L0を表示しながら、限界縮小率Ts以上の縮小率Sの内、最大個数Nsが最多となって100%に最も近い縮小率を選択し、当該縮小率の画像IM0を前述の最多の最大個数Ns、印刷可能範囲の中において印刷してもよい。
【0072】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、画像のサイズ変更により余白を有効活用して印刷可能範囲の画像の数を選択し易くさせることが可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…印刷装置、2…プリンター、10…制御部、16…表示装置(表示部の例)、40…印刷ユニット、41…印刷ヘッド、42…キャリッジ、43…ノズル列、44…ノズル、510…面付設定画面、AR0…印刷可能範囲、M…隙間、D1…幅方向(第一方向の例)、D2…搬送方向(第二方向の例)、EX0…外部装置、FU1…演算機能、FU2…一覧表示機能、FU3…設定受付機能、FU4…操作受付機能、FU5…伝達機能、IM0…画像、IM1…元画像、IM2…変換画像、IM3…印刷画像、IN1…面付情報、L0…一覧、ME0…媒体、ME0a…印刷面、Ns…最大個数、PP0…後加工装置、PR0…表示プログラム、S…縮小率(変換倍率の例)、Ts…限界縮小率(閾値の例)、U1…演算部、U2…一覧表示部、U3…設定受付部、U4…操作受付部、U5…伝達部、U6…印刷部、Xn…搬送方向最大個数(第二方向最大個数の例)、Yn…幅方向最大個数(第一方向最大個数の例)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9