(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116822
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】バックライトユニット、液晶モジュール、及び、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240821BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240821BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240821BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F21S2/00 439
G02F1/13357
G02F1/1333
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022632
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】登日 崇文
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088HA05
2H088HA28
2H088HA30
2H088MA20
2H189AA55
2H189AA59
2H189AA60
2H189AA64
2H189AA70
2H189AA72
2H189AA78
2H189AA86
2H189AA94
2H189HA06
2H189MA15
2H391AA16
2H391AB04
2H391AB23
2H391AB24
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC53
2H391AD08
2H391CA02
2H391CA10
2H391CA14
2H391CA24
2H391FA06
3K244AA01
3K244BA07
3K244BA39
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA03
3K244EA13
3K244GA02
3K244GA08
(57)【要約】
【課題】発熱を抑制しつつ、輝度を向上できるバックライトユニット、並びに、該バックライトユニットを用いた液晶モジュール、及び、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置を提供する。
【解決手段】底部及び側壁を有し、前記底部に対向する開口が設けられた筐体と、前記筐体内に配置された導光板と、前記導光板の第一の側部と前記側壁との間に配置された第一の光源群と、前記導光板の第二の側部と前記側壁との間に配置された第二の光源群と、を備え、前記筐体の前記側壁は、前記第一の光源群に隣接する部分が、前記第二の光源群に隣接する部分よりも長く、前記第二の光源群は、前記筐体の前記開口側に配置された開口側光源群と、前記筐体の前記底部側に配置された底部側光源群と、を含む、バックライトユニット。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び側壁を有し、前記底部に対向する開口が設けられた筐体と、
前記筐体内に配置された導光板と、
前記導光板の第一の側部と前記側壁との間に配置された第一の光源群と、
前記導光板の第二の側部と前記側壁との間に配置された第二の光源群と、を備え、
前記筐体の前記側壁は、前記第一の光源群に隣接する部分が、前記第二の光源群に隣接する部分よりも長く、
前記第二の光源群は、前記筐体の前記開口側に配置された開口側光源群と、前記筐体の前記底部側に配置された底部側光源群と、を含む、バックライトユニット。
【請求項2】
前記導光板は、平面視において、前記第一の側部と前記第二の側部との中間部分が、前記第二の側部よりも長い、請求項1記載のバックライトユニット。
【請求項3】
前記導光板は、前記第二の側部から前記第一の側部に向かって厚みが小さくなる断面形状を有する、請求項1記載のバックライトユニット。
【請求項4】
前記筐体の前記底部は、前記導光板の前記第一の側部側に、前記開口側に突き出た段差部を有し、
前記段差部により形成された前記底部背面の凹部に配置された放熱シートを更に有する、請求項3記載のバックライトユニット。
【請求項5】
前記開口側光源群は、第一のフレキシブルプリント配線板に搭載され、
前記底部側光源群は、第二のフレキシブルプリント配線板に搭載され、
前記第一のフレキシブルプリント配線板は、前記導光板の前記第二の側部の開口側に取り付けられ、
前記第二のフレキシブルプリント配線板は、前記導光板の前記第二の側部の底部側に取り付けられている、請求項1記載のバックライトユニット。
【請求項6】
前記第一のフレキシブルプリント配線板と前記第二のフレキシブルプリント配線板とが接続されている、請求項5記載のバックライトユニット。
【請求項7】
前記第一の光源群は、前記導光板の前記第一の側部における両端に配置された光源群を含み、
前記光源群は、発光面が前記導光板の中心方向へ向けられている、請求項1記載のバックライトユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のバックライトユニットと、
前記筐体の前記開口の前方に配置された液晶パネルと、を備える液晶モジュール。
【請求項9】
前記液晶パネルは、ディスプレイ駆動用集積回路を備え、
前記ディスプレイ駆動用集積回路は、前記第一の光源群の前方に配置され、かつ前記第二の光源群の前方には配置されていない、請求項8記載の液晶モジュール。
【請求項10】
前記ディスプレイ駆動用集積回路と前記第一の光源群との間に介在するシート部材を更に有し、
前記シート部材は、前記筐体の背面まで延伸されている、請求項9記載の液晶モジュール。
【請求項11】
請求項8記載の液晶モジュールを備える、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、バックライトユニット、並びに、該バックライトユニットを用いた液晶モジュール、及び、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バックライトユニットは、液晶パネル等の自ら発光しない表示パネルに対して表示用の光を供給するために用いられる光源装置である。
【0003】
VR(仮想現実)技術やAR(拡張現実)技術に対応したコンテンツを視聴するために、頭に装着できるゴーグル形状のディスプレイが利用されている。このような形態のディスプレイは、一般にヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれる。近年、HMDに用いられる液晶表示装置の開発が進展している。その結果、HMD向け液晶モジュールの高精細化が進み、液晶パネルの透過率(開口率)が下がってきている。また、セットサイズの縮小のために折り返し光学系レンズシステムの採用が増えており、この場合、レンズの透過率が悪いため、バックライトユニットの高輝度化が特に求められていた。
【0004】
高輝度化のためには、バックライトユニット中の光源となるLEDの数を増やすことや、LEDに供給する電流を増やすことで対応できるが、HMD向け液晶モジュールは従来の液晶モジュールのように長方形ではく、多角形(異形)であるものが主流である。このため、外形上の制約から単純にLEDの数を増やすことはできず、また、LEDの電流値を増やすと、バックライトユニット内部の発熱量の増加が課題となる。
【0005】
バックライトユニットの高輝度化に関する技術として、例えば、特許文献1には、画像が表示される液晶表示パネルと;前記液晶表示パネルの後方に相互に離隔間隔をおいて配置される複数の導光板と、前記各導光板に向けて光を照射する照明部と、を有するバックライトアセンブリと;を含むことを特徴とする液晶表示装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、バックライト装置に用いられ、光を取り出す表面と、前記表面と相対する裏面と、前記表面及び裏面と垂直な側端面を有する導光板であって、光源からの光を受ける入光側の側端部の厚さが、前記入光側の側端部と相対する奥側の側端部の厚さより厚く、前記入光側の側端部において、前記光源からの光を受ける入光面パターンを有する、導光板が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、表示板(1)に後方側から光を照射する照明装置において、前記表示板(1)に平行で後方に複数の導光板(2)を積層配置するとともに、前記複数の導光板(2)の端面(2a)にそれぞれ光を照射する複数の管状光源(4)を前記導光板の板厚方向に積層配置したことを特徴とする照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-118207号公報
【特許文献2】特開2011-258361号公報
【特許文献3】特開平11-101665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1~3に記載された先行技術は、いずれも近年開発が進んでいるHMD向けの液晶モジュールを想定したものではなく、HMD向けの小型・軽量かつ高精細な液晶モジュールにおいて発熱の抑制と輝度の向上を両立させることができるものではなかった。
【0010】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、発熱を抑制しつつ、輝度を向上できるバックライトユニット、並びに、該バックライトユニットを用いた液晶モジュール、及び、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一実施形態は、底部及び側壁を有し、前記底部に対向する開口が設けられた筐体と、前記筐体内に配置された導光板と、前記導光板の第一の側部と前記側壁との間に配置された第一の光源群と、前記導光板の第二の側部と前記側壁との間に配置された第二の光源群と、を備え、前記筐体の前記側壁は、前記第一の光源群に隣接する部分が、前記第二の光源群に隣接する部分よりも長く、前記第二の光源群は、前記筐体の前記開口側に配置された開口側光源群と、前記筐体の前記底部側に配置された底部側光源群と、を含む、バックライトユニット。
【0012】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、前記導光板は、平面視において、前記第一の側部と前記第二の側部との中間部分が、前記第二の側部よりも長い、バックライトユニット。
【0013】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、前記導光板は、前記第二の側部から前記第一の側部に向かって厚みが小さくなる断面形状を有する、バックライトユニット。
【0014】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(3)の構成に加え、前記筐体の前記底部は、前記導光板の前記第一の側部側に、前記開口側に突き出た段差部を有し、前記段差部により形成された前記底部背面の凹部に配置された放熱シートを更に有する、バックライトユニット。
【0015】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、前記開口側光源群は、第一のフレキシブルプリント配線板に搭載され、前記底部側光源群は、第二のフレキシブルプリント配線板に搭載され、前記第一のフレキシブルプリント配線板は、前記導光板の前記第二の側部の開口側に取り付けられ、前記第二のフレキシブルプリント配線板は、前記導光板の前記第二の側部の底部側に取り付けられている、バックライトユニット。
【0016】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(5)の構成に加え、前記第一のフレキシブルプリント配線板と前記第二のフレキシブルプリント配線板とが接続されている、バックライトユニット。
【0017】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、前記第一の光源群は、前記導光板の前記第一の側部における両端に配置された光源群を含み、前記光源群は、発光面が前記導光板の中心方向へ向けられている、バックライトユニット。
【0018】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)のいずれかのバックライトユニットと、前記筐体の前記開口の前方に配置された液晶パネルと、を備える、液晶モジュール。
【0019】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(8)の構成に加え、前記液晶パネルは、ディスプレイ駆動用集積回路を備え、前記ディスプレイ駆動用集積回路は、前記第一の光源群の前方に配置され、かつ前記第二の光源群の前方には配置されていない、液晶モジュール。
【0020】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(9)の構成に加え、前記ディスプレイ駆動用集積回路と前記第一の光源群との間に介在するシート部材を更に有し、前記シート部材は、前記筐体の背面まで延伸されている、液晶モジュール。
【0021】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の液晶モジュールを備える、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、発熱を抑制しつつ、輝度を向上できるバックライトユニット、並びに、該バックライトユニットを用いた液晶モジュール、及び、ヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1に係る液晶モジュールを示した正面模式図である。
【
図2】実施形態1に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。
【
図3】実施形態2に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。
【
図4】実施形態2に係る液晶モジュールの変形例1を示した断面模式図である。
【
図5】実施形態3に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。
【
図6】実施形態3に係る液晶モジュールの変形例1を示した断面模式図である。
【
図7】実施形態3に係る液晶モジュールの変形例2を示した断面模式図である。
【
図8】実施形態4に係る液晶モジュールを示した正面模式図である。
【
図9】従来の液晶モジュールの輝度特性を説明するための正面模式図である。
【
図10】実施形態4に係る液晶モジュールの輝度特性を説明するための正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0025】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る液晶モジュールを示した正面模式図である。
図2は、実施形態1に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。
図1及び2に示すように、本実施形態に係る液晶モジュールは、バックライトユニットと、液晶パネル200と、を備える。バックライトユニットと液晶パネル200とは固定用両面テープ230によって接着され、固定されている。
【0026】
上記バックライトユニットは、筐体100、導光板111、及び、光源を少なくとも含む。上記光源は、複数の点光源により構成されており、該複数の点光源は、第一の光源群110と第二の光源群120を含んでいる。上記筐体100内に導光板111が配置され、導光板111の第一の側部と筐体100の側壁との間に第一の光源群110が配置され、導光板111の第二の側部と筐体100の側壁との間に第二の光源群120が配置される。さらに、上記筐体100の開口の前方に上記液晶パネル200が配置され、第一の光源群110及び第二の光源群120が発した光は、導光板111を介して、上記液晶パネル200に入射するよう構成されている。
【0027】
上記筐体100は、底部及び側壁を有し、底部に対向する開口が設けられた構造を有する。すなわち、上記筐体100は、上記導光板111を収容する部材であり、液晶パネル200側が開口した箱形状を有する。上記筐体100の材質は特に限定されず、金属、合金、樹脂等が挙げられ、遮光性材料が好適に用いられる。上記筐体100の側壁は、上記第一の光源群110に隣接する部分が、上記第二の光源群120に隣接する部分よりも長い。すなわち、上記筐体100は、平面視において、一般的な矩形状ではなく、異形状を有するものである。例えば、
図1に示すように、上記筐体100は、対向する辺の長さが異なる六角形の平面形状を有していてもよい。
【0028】
上記導光板111は、第一の光源群110から第一の側部に入射した光、及び、第二の光源群120から第二の側部に入射した光を液晶パネル200側の表面から出射させる部材である。上記導光板111の材質としては、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができる。
【0029】
上記導光板111は、異形状を有する上記筐体100内に配置されることから、平面視において、一般的な矩形状ではなく、異形状を有することが好ましく、具体的には、平面視において、上記第一の側部(第一の光源群110の側)と上記第二の側部(第二の光源群120の側)との中間部分(導光板中央)が、上記第二の側部よりも長いことが好ましい。このような導光板111としては、例えば、
図1に示すように、対向する辺の長さが同じ六角形の平面形状を有するものが挙げられ、
図1において、上記導光板中央は上記第二の側部よりも長い。上記筐体100の側壁が、第一の光源群110に隣接する部分が第二の光源群120に隣接する部分よりも長いことに対応して、光の有効活用の観点から、上記導光板中央が上記第二の側部よりも長いものが好適に用いられる。このような形態を有する筐体100及び導光板111を用いても、上記開口側光源群と上記底部側光源群とが設けられることにより、バックライトユニットの輝度特性は良好なものとなる。
【0030】
上記導光板111の上記第一の側部は、上記第一の光源群110の発光面全体と対向することが好ましく、上記導光板111の上記第二の側部は、上記第二の光源群120の発光面全体と対向することが好ましい。このため、上記導光板111の厚さ方向において、上記第一の側部は、上記第一の光源群110の発光面よりも長いことが好ましい。また、上記導光板111の厚さ方向において、上記第二の側部の長さは、上記開口側光源群の発光面及び上記底部側光源群の発光面の総長さよりも長いことが好ましい。本実施形態では、上記導光板111の厚さ方向における上記第一の側部の長さと上記第二の側部の長さとは実質的に同じである。
【0031】
上記光源を構成する複数の点光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)が挙げられる。上記第一の光源群110と第二の光源群120とは互いに平行に配置されることが好ましい。上記第二の光源群120は、上記筐体100の上記開口側に配置された開口側光源群と、上記筐体の上記底部側に配置された底部側光源群と、を含む。上記第二の光源群120は、上記導光板111の厚さ方向において、1段目に上記開口側光源群が配置され、2段目に上記底部側光源群が配置された2段構成を有することが好ましい。上記開口側光源群と上記底部側光源群とが設けられることにより、上記筐体100の側壁が、第一の光源群110に隣接する部分が第二の光源群120に隣接する部分よりも長いものであっても、発熱を抑制しつつ輝度を向上できる。
【0032】
上記第一の光源群110の輝度と上記第二の光源群120の輝度とは同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。また、上記第一の光源群110を構成する各点光源の輝度と上記第二の光源群120を構成する各点光源の輝度とは同じであってもよいし、異なってもよい。さらに、上記第一の光源群110を構成する点光源の総数と上記第二の光源群120を構成する点光源の総数とは同じであってもよいし、異なってもよい。上記第一の光源群110の方が上記第二の光源群120よりも上記導光板111の厚さ方向に配置される点光源の数が少ないことから、上記第一の光源群110を構成する点光源は、上記第二の光源120群を構成する点光源よりも上記導光板111の厚さ方向に長いものであってもよく、より大型で高輝度の点光源を用いることが可能である。
【0033】
上記複数の点光源は、例えば、光源搭載用フレキシブルプリント配線板(FPC)130に搭載されて上記バックライトユニット内に設置される。ここで、上記開口側光源群と上記底部側光源群とは異なる光源搭載用フレキシブルプリント配線板130に搭載されてもよい。すなわち、上記開口側光源群は、第一のフレキシブルプリント配線板に搭載され、上記底部側光源群は、第二のフレキシブルプリント配線板に搭載され、上記第一のフレキシブルプリント配線板は、上記導光板111の上記第二の側部の開口側に取り付けられ、上記第二のフレキシブルプリント配線板は、上記導光板111の上記第二の側部の底部側に取り付けられていることが好ましい。例えば、
図1に示すように、上記開口側光源群の上部と上記底部側光源群の上部とを対向配置すれば、上記開口側光源群及び上記底部側光源群の両方を設けることによる液晶モジュールの非表示領域(額縁領域)の面積拡大を防止できる。
【0034】
平面視において、上記光源搭載用フレキシブルプリント配線板130の一部が上記導光板111に重なっていてもよい。この場合、上記光源搭載用フレキシブルプリント配線板130と上記導光板111の重なり部分において、上記光源搭載用フレキシブルプリント配線板130と上記導光板111とが互いに固定されていることが好ましい。両者を固定することにより、上記導光板111と上記点光源との位置関係が固定される。
【0035】
上記バックライトユニットは、上記導光板111の後方(筐体の底部側)に反射シート150を備え、上記導光板111の前方(液晶パネル側)に光学シート140を備える。
上記反射シート150は、光の利用効率向上のために配置されており、上記導光板111の前方(液晶パネル側)から入射した光を反射させるものであれば特に限定されない。本実施形態において、上記反射シート150は、上記筐体100の底部の、上記第二のフレキシブルプリント配線板が配置されていない領域を覆うように配置されており、上記導光板111の上記第一の側部から上記筐体100の上記側壁までの領域にも配置されている。
上記光学シート140は、上記液晶パネル200に入射する光の特性を制御するものであれば特に限定されず、例えば、拡散シート、レンズシート、輝度向上シート、視野角抑制シート等が挙げられる。
【0036】
上記液晶パネル200は、一対の基板と、基板間に保持した液晶層を有する。一対の基板の少なくとも一方には、液晶層への電圧印加用の電極が設けられ、ディスプレイ駆動用集積回路(DDIC:Display Driver IC)220が搭載されている。上記ディスプレイ駆動用集積回路220は、液晶パネル駆動用フレキシブルプリント基板(FPC)210と電気的に接続されており、該フレキシブルプリント基板210から上記液晶パネル200を駆動するための電気信号が上記ディスプレイ駆動用集積回路220に入力され、上記ディスプレイ駆動用集積回路220により上記電極への電圧印加の制御が行われる。上記液晶層に電圧が印加されると、上記液晶層中の液晶分子の配向が変化し、上記液晶パネル200へ入射した光に対する制御が行われる。
【0037】
本実施形態において、上記ディスプレイ駆動用集積回路220は、上記第一の光源群110の前方に配置され、かつ上記第二の光源群120の前方には配置されていない。上記第二の光源群120は、上記開口側光源群及び上記底部側光源群が重ねて配置されるため、液晶パネル駆動時の面積当たりの発熱量が上記第一の光源群110よりも大きくなる。また、上記ディスプレイ駆動用集積回路220は、液晶パネル駆動時の発熱量が非常に大きい部材である。よって、発熱の集中を回避する観点から、上記ディスプレイ駆動用集積回路220は、上記第二の光源群120の前方ではなく、上記第一の光源群110の前方に配置されることが好ましい。
【0038】
実施形態1に係るバックライトユニットは、上記構成を有することから、発熱を抑制しつつ輝度を向上するのに有利である。
従来の通常のバックライトユニットでは、発光ダイオード(LED)を搭載したFPCが配置されるのは、導光板に対して、液晶パネル側、又は、液晶パネルの反対側のいずれか一方であり、かつディスプレイ駆動用集積回路(DDIC)側であった。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用液晶モジュールでは、表示性能を向上させるため、DDIC側だけでなくDDICの反対側にもLEDを搭載してバックライトの輝度を向上させることが検討されたが、更なる高輝度化を求められていた。特に折り返し系レンズユニットを採用したHMD用液晶モジュールは、より薄型化され、使用者の眼から液晶モジュールまでの距離が近いため、液晶モジュールのコーナー部が使用者の鼻と干渉しないように異形形状とされ、DDICの反対側の点光源の数を増やすことが困難になっている。また、高輝度化のためにLEDの電力を増加させると、バックライトユニットの発熱量が大きくなるが、DDIC自体が発熱の大きな要因であるため、DDIC側の発熱を抑制しつつ、輝度を向上できるバックライトユニットが求められていた。
これに対して、実施形態1に係るバックライトユニットは、液晶モジュール(筐体100)が異形形状であることに対応し、平面視で点光源の数が少ない側(DDIC220の反対側)において、光源搭載用フレキシブルプリント配線板130を上下方向(液晶パネル側及び筐体の底部側)から配置している。これにより、点光源の数を増やして点光源1つ当たりの電力を下げることができ、かつDDIC側の点光源を1列としDDICの反対側の点光源を複数列とすることにより、DDIC側の発熱の抑制にもなる。したがって、実施形態1に係るバックライトユニットは、高輝度を実現しつつ、発熱を抑制することができる。
【0039】
<実施形態2>
図3は、実施形態2に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。実施形態2では、上記導光板111が、上記第二の側部から上記第一の側部に向かって厚みが小さくなる断面形状を有する。また、上記筐体100の上記底部は、上記導光板111の上記第一の側部側に、上記開口側に突き出た段差部を有し、上記段差部により形成された上記底部背面の凹部に配置されている。実施形態2について、実施形態1と共通する構成については説明を省略する。
図3に示すように、導光板111の断面形状が楔形状であると、ディスプレイ駆動用集積回路(DDIC)220側に形成されたスペースを利用し、筐体100の底部を凹ませ、上記スペースに放熱シート160を配置することにより、さらに厚みを増やすことなく、DDIC220の発熱部分の放熱効果を得ることができる。上記放熱シート160としては特に限定されず、熱伝導性が高いシートが好適に用いられ、例えば、グラファイトシート等を用いることができる。
【0040】
図4は、実施形態2に係る液晶モジュールの変形例1を示した断面模式図である。実施形態2の変形例1では、上記ディスプレイ駆動用集積回路220と上記第一の光源群110との間に介在するシート部材231を更に有し、上記シート部材231は、上記筐体100の背面まで延伸されている。上記シート部材231は、バックライトユニットと液晶パネル200とを接着する固定用両面テープ230と上記放熱シート160とを兼ねるものであることが好ましく、具体的には、粘着性を有し、かつ、熱伝導性が高いものが好ましい。
図4に示すように、固定用両面テープ230と放熱シート160とを兼ねる上記シート部材231が、上記ディスプレイ駆動用集積回路(DDIC)220を搭載した基板の背面と光源搭載用フレキシブルプリント基板(FPC)130の背面との間から、上記筐体100の底部背面の凹部まで、配置されることにより、より高い放熱効果を得ることができる。
【0041】
<実施形態3>
図5は、実施形態3に係る液晶モジュールを示した断面模式図である。
図5に示すように、実施形態3では、上記第一のフレキシブルプリント配線板と上記第二のフレキシブルプリント配線板とが接続されており、他の構成は実施形態1と同じである。上記開口側光源群及び上記底部側光源群の両方を設けることに伴い、フレキシブルプリント配線板の数が増えると、接続用のコネクタが増えたり、接続作業が増えたりすることになる。これに対して、上記第一のフレキシブルプリント配線板と上記第二のフレキシブルプリント配線板とを接続した一体型の光源搭載用フレキシブルプリント配線板131を用いれば、コネクタ及び接続作業の増加を抑制することができる。
【0042】
図6は、実施形態3に係る液晶モジュールの変形例1を示した断面模式図である。
図6に示すように、実施形態3の変形例1では、上記第一のフレキシブルプリント配線板と上記第二のフレキシブルプリント配線板とが接続されており、他の構成は実施形態2と同じである。実施形態3の変形例1によれば、実施形態2の利点と実施形態3の利点を両立させることができる。
図7は、実施形態3に係る液晶モジュールの変形例2を示した断面模式図である。
図7に示すように、実施形態3の変形例2では、上記第一のフレキシブルプリント配線板と上記第二のフレキシブルプリント配線板とが接続されており、他の構成は実施形態2の変形例1と同じである。実施形態3の変形例2によれば、実施形態2の変形例1の利点と実施形態3の利点を両立させることができる。
【0043】
<実施形態4>
図8は、実施形態4に係る液晶モジュールを示した正面模式図である。実施形態4では、上記第一の光源群110は、上記導光板の上記第一の側部における両端に配置された光源群を含み、上記光源群は、発光面が上記導光板の中心方向へ向けられている。実施形態4について、実施形態1と共通する構成については説明を省略する。
図8に示すように、上記第一の光源群110側の両端(両外側部)に配置された点光源(LED)110aの発光面を内側(導光板の中心方向)へ傾けることにより、輝度均一性をより向上することができる。
【0044】
実施形態4において輝度均一性(輝度の面内分布)がより向上する理由について、
図9及び10を用いて説明する。
図9は、従来の液晶モジュールの輝度特性を説明するための正面模式図である。
図10は、実施形態4に係る液晶モジュールの輝度特性を説明するための正面模式図である。
従来の液晶モジュールでは、点光源(LED)の光は、
図9に示す一点鎖線で囲まれた領域の導光板の端面で反射が起こってしまう。その結果、点光源(LED)の光が導光板の中央に集まり、液晶パネル200の表示領域において点線で囲まれた部分の輝度が低下しやすくなり、輝度均一性の低下につながる。これに対して、実施形態4に係る液晶モジュールでは、上記第一の光源群110側の両端(両外側部)に配置された点光源(LED)110aの発光面を内側(導光板の中心方向)へ傾けることにより、
図9に示す一点鎖線で囲まれた領域の反射が抑制され、液晶パネル200の表示領域において点線で囲まれた部分へ光が到達できるため、輝度均一性の低下を抑制できる。
【0045】
実施形態4の構成は、上記したように実施形態1の構成と組み合わせるだけでなく、実施形態2の構成、及び、実施形態2の変形例1の構成と組み合わせてもよい。また、実施形態4の構成は、実施形態3の構成、実施形態3の変形例1の構成、実施形態3の変形例2の構成と組み合わせてもよい。
【0046】
実施形態1~4に係る液晶モジュールはいずれも、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用液晶表示装置に好適に用いることができるものである。ヘッドマウントディスプレイは、頭に装着できる形態のディスプレイであり、例えば、ゴーグル形状を有し、装着時に使用者の目の前方にディスプレイが配置される。このようなヘッドマウントディスプレイは、VR(仮想現実)技術やAR(拡張現実)技術に対応したコンテンツを視聴するのに好適である。実施形態1~4に係る液晶モジュールによれば、ヘッドマウントディスプレイ向けの小型・軽量かつ高精細な液晶モジュールにおいて発熱の抑制と輝度の向上を両立させることができる。
【0047】
実施形態1~4に係る液晶モジュールを備えるヘッドマウントディスプレイ用液晶表示装置の構成としては、例えば、使用者の頭に装着するための支持部と、液晶モジュールを備えるディスプレイとを有し、装着時に上記ディスプレイが使用者の目の前方に配置されるものが挙げられる。
【符号の説明】
【0048】
100:筐体
110:第一の光源群
110a:点光源(LED)
111:導光板
120:第二の光源群
130:光源搭載用フレキシブルプリント配線板
131:一体型の光源搭載用フレキシブルプリント配線板
140:光学シート
150:反射シート
160:放熱シート
200:液晶パネル
210:液晶パネル駆動用フレキシブルプリント基板
220:ディスプレイ駆動用集積回路(DDIC)
230:固定用両面テープ
231:シート部材