(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116833
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 21/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
F28D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022645
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】520456309
【氏名又は名称】木村 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】三原 健作
(57)【要約】
【課題】熱電素子の放熱性能を向上し、全体としての冷却性能を向上して、被熱交換流体の冷却を確実に行うことが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】被熱交換流体に対する熱交換部5と、冷却面7a及び放熱面7bを有し冷却面7aが熱交換部5に取り付けられて熱交換部5を介して被熱交換流体の冷却を可能とする熱電素子7と、熱電素子7の放熱面7bに取り付けられた冷媒ヒートシンク9と、冷媒ヒートシンク9に取り付けられた空冷ヒートシンク11と、空冷ヒートシンク11を冷却する空冷ファン19と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被熱交換流体に対する熱交換部と、
冷却面及び放熱面を有し前記冷却面が前記熱交換部に取り付けられて前記熱交換部を介して前記被熱交換流体の冷却を可能とする熱電素子と、
前記熱電素子の前記放熱面に取り付けられ冷媒を流通させて前記放熱面の冷却を行う冷媒ヒートシンクと、
前記冷媒ヒートシンクに取り付けられた空冷ヒートシンクと、
前記空冷ヒートシンクを冷却する空冷ファンと、
を備えた熱交換器。
【請求項2】
請求項1の熱交換器であって、
前記冷媒ヒートシンクに接続された前記冷媒の冷却用のラジエーターと、
前記ラジエーターを冷却するラジエーターファンとを備えた、
熱交換器。
【請求項3】
請求項1の熱交換器であって、
前記熱交換部、前記熱電素子、前記冷媒ヒートシンク、及び前記空冷ヒートシンクを収容するケースを備え、
前記空冷ファンは、前記ケース外へ排気して前記空冷ヒートシンクの冷却を行う、
熱交換器。
【請求項4】
請求項1の熱交換器であって、
前記熱交換部、前記熱電素子、前記冷媒ヒートシンク、前記空冷ヒートシンク、及び前記ラジエーターを収容するケースを備え、
前記空冷ファンは、前記ケース外へ排気して前記空冷ヒートシンクの冷却を行い、
前記ラジエーターファンは、前記ケース外へ排気して前記ラジエーターの冷却を行う、
熱交換器。
【請求項5】
請求項4の熱交換器であって、
前記空冷ファンと前記ラジエーターファンとの間に設けられ相互間の排気の干渉を抑制する仕切板を備えた、
熱交換器。
【請求項6】
請求項4の熱交換器であって、
前記空冷ファンの出力は、前記ラジエーターファンの出力よりも小さい、
熱交換器。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項の熱交換器であって、
前記熱交換部は、断熱ベースと、該断熱ベースを閉止して前記被熱交換流体を流通させる箱状とし前記熱電素子に当接する吸熱ベースとを備える、
熱交換器。
【請求項8】
請求項7の熱交換器であって、
前記熱交換部と前記冷媒ヒートシンクは、前記熱電素子を介在させつつ締結され、
前記熱交換部は、前記断熱ベースと前記吸熱ベースとの間に介在し前記熱電素子を前記吸熱ベースを介して受ける弾性体を備えた、
熱交換器。
【請求項9】
請求項8の熱交換器であって、
前記断熱ベースは、一側が開口した箱状であり、
前記吸熱ベースは、前記開口を閉じる本体部と、該本体部から前記断熱ベースの底壁へ向けて突出して前記被熱交換流体を流通させる流路を区画する突出部を備え、
前記弾性体は、前記断熱ベースの底壁と前記突出部との間に介在する、
熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電素子を用いて流体の冷却を行う熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器としては、例えば特許文献1に記載のように、熱電素子を用いて、熱源である半導体素子を冷却するものがある。
【0003】
この熱交換器では、半導体素子に均熱板を介して熱電素子の冷却面が取り付けられている。熱電素子の放熱面には、ヒートシンクが取り付けられ、ヒートシンクは、ファンで冷却されるようになっている。
【0004】
かかる熱交換器では、熱電素子の放熱に限界があり、熱源に対する冷却性能にも限界があった。このため、従来の熱交換器は、半導体素子のような小型の熱源に対する冷却に適用が限られ、流体の冷却への適用が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、熱電素子の放熱の限界により、全体としての冷却性能に限界があり、流体の冷却への適用が困難であった点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被熱交換流体に対する熱交換部と、冷却面及び放熱面を有し前記冷却面が前記熱交換部に取り付けられて前記熱交換部を介して前記被熱交換流体の冷却を可能とする熱電素子と、前記熱電素子の前記放熱面に取り付けられ冷媒を流通させて前記放熱面の冷却を行う冷媒ヒートシンクと、前記冷媒ヒートシンクに取り付けられた空冷ヒートシンクと、前記空冷ヒートシンクを冷却する空冷ファンと、を備えた熱交換器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、熱電素子の放熱性能を向上し、熱交換器全体としての冷却性能を向上して、被熱交換流体の冷却を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る熱交換器の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の熱交換器の裏面側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の熱交換器の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の内部構造の裏面側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1の熱交換器に用いられる熱交換部、熱電素子、及び冷媒ヒートシンクを示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1の熱交換器に用いられる熱交換部、熱電素子、及び冷媒ヒートシンクを
図8とは異なる角度から示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例2に係る熱交換器のシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
熱電素子の放熱性能を向上し、熱交換器全体としての冷却性能を向上して、被熱交換流体の冷却を確実に行うという目的を、熱電素子の放熱面に冷媒ヒートシンクを取り付け、この冷媒ヒートシンクに空冷ヒートシンクを取り付けて空冷ファンで冷却することによって実現した。
【0011】
すなわち、熱交換器1は、図のように、熱交換部5と、熱電素子7と、冷媒ヒートシンク9と、空冷ヒートシンク11と、空冷ファン19とを備えている。
【0012】
熱交換部5は、被熱交換流体に対する熱交換を行う。熱電素子7は、冷却面7a及び放熱面7bを有し、冷却面7aが熱交換部5に取り付けられて、熱交換部5を介して被熱交換流体の冷却を可能とする。冷媒ヒートシンク9は、熱電素子7の放熱面7bに取り付けられ冷媒を流通させて放熱面7bの冷却を行う。空冷ヒートシンク11は、冷媒ヒートシンク9に取り付けられる。空冷ファン19は、空冷ヒートシンク11を冷却する。
【0013】
冷媒は、流体、特に冷却水等の液体や空気やヘリウム等の気体とすることが可能である。
【0014】
熱交換器1は、ラジエーター13と、ラジエーターファン15とを備えてもよい。ラジエーター13は、冷媒ヒートシンク9に接続され、ラジエーターファン15は、ラジエーター13を冷却する。
【0015】
また、熱交換器1は、熱交換部5、熱電素子7、冷媒ヒートシンク9、及び空冷ヒートシンク11を収容するケース3を備えてもよい。この場合、空冷ファン19は、ケース3外へ排気して空冷ヒートシンク11の冷却を行うのが好ましい。
【0016】
ケース3は、さらにラジエーター13を収容してもよい。この場合、ラジエーターファン15は、ケース3外へ排気してラジエーター13の冷却を行うのが好ましい。
【0017】
また、熱交換器1は、空冷ファン19とラジエーターファン15との間に設けられ、相互間の排気の干渉を抑制する仕切板17を備えてもよい。
【0018】
この場合において、空冷ファン19の出力は、ラジエーターファン15の出力よりも小さくするのが好ましい。
【0019】
熱交換部5は、各種の構造を採用可能であるが、断熱ベース23と、吸熱ベース25とを備えた構成であってもよい。吸熱ベース25は、断熱ベース23を閉止して被熱交換流体を流通させる箱状とすると共に熱電素子7に当接する。
【0020】
熱交換部5と冷媒ヒートシンク9は、熱電素子7を介在させつつ締結されてもよい。この場合、熱交換部5は、断熱ベース23と吸熱ベース25との間に介在し、熱電素子7を吸熱ベース25を介して受ける弾性体27を備えるのが好ましい。
【0021】
断熱ベース23は、一側が開口した箱状であってもよい。吸熱ベース25は、開口23cを閉じる本体部31と、この本体部31から断熱ベース23の底壁23dへ向けて突出して被熱交換流体を流通させる流路5aを区画する突出部33を備えてもよい。この場合、弾性体27は、断熱ベース23の底壁23dと突出部33との間に介在してもよい。
【実施例0022】
[熱交換器の構成]
図1は、本発明の実施例1に係る熱交換器の斜視図である。
図2は、
図1の熱交換器の裏面側から見た斜視図である。
図3は、
図1の熱交換器の内部構造を示す斜視図である。
図4は、
図3の内部構造の裏面側から見た斜視図である。
図5は、
図1の熱交換器の断面図である。
図6は、
図1の熱交換器を概念的に示す断面図である。
図7は、
図1の熱交換器のシステム図である。
図8は、
図1の熱交換器に用いられる熱交換部、熱電素子、及び冷媒ヒートシンクを示す分解斜視図である。
図9は、
図1の熱交換器に用いられる熱交換部、熱電素子、及び冷媒ヒートシンクを
図8とは異なる角度から示す分解斜視図である。
【0023】
熱交換器1は、
図1~
図6のように、熱交換ユニットとして構成されている。この熱交換器1は、ケース3から流出口3a及び流入口3bが突出しており、流入口3aから流入した被熱交換流体を冷却した後、流出口3bから流出させる。なお、流入口3a及び流出口3bは、バルブによって構成され、流入及び流出用の図示しない管路等が接続される。
【0024】
被熱交換流体は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー発振器等の熱交換対象物を冷却するための水やガス等の冷媒、或いは熱交換対象物となる流体等とすることができる。熱交換対象となる流体としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、クロム酸、リン酸、弗酸、酢酸、過塩素酸、臭化水素酸、弗化珪酸、ホウ酸等の腐食性を有する酸類、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ類、及び塩素化珪素等の金属塩類等の溶液又は気体、さらには高純度水等である。これらの被熱交換流体は、例えば他の物質との反応原料として、又はエッチング液等の反応工程の薬液として使用されるものであり、使用に際して熱交換器1によって適度な温度に制御される。
【0025】
かかる熱交換器1は、
図6及び
図7のように、ケース3と、熱交換部5と、熱電素子7と、冷媒ヒートシンク9と、空冷ヒートシンク11と、空冷ファン19と、ラジエーター13と、ラジエーターファン15と、仕切板17とを備えている。
【0026】
ケース3は、平面視が矩形状の中空の箱であり、内部に空冷ファン19を除く、熱交換部5と、熱電素子7と、冷媒ヒートシンク9と、空冷ヒートシンク11と、ラジエーター13と、ラジエーターファン15と、仕切板17とを収容する。空冷ファン19は、
図1、
図5及び
図6のように、ケース3の外面に取り付けられている。なお、ケース3は、空冷ファン19を収容してもよい。また、ラジエーターファン15をケース3の外面に取り付けてもよい。
【0027】
熱交換部5は、被熱交換流体に対する熱交換を行うものである。すなわち、
図3及び
図5~
図7のように、流入口3aを介してケース3内へと引き込まれた被熱交換流体は、内部管路21を通って熱交換部5に流入して熱交換が行われる。熱交換後の被熱交換流体は、内部管路21を通って流出口3bからケース3外へと取り出される。なお、内部管路21には、リザーバタンク22及びポンプ24が設けられている。
図6では、リザーバタンク22及びポンプ24の図示は省略している。
【0028】
熱交換部5は、内部に流入した被熱交換流体に対する熱交換を行い、熱交換後の被熱交換流体を流出可能なものであれば、周知の熱交換熱構造を採用可能である。本実施例の熱交換部5は、被熱交換流体を流通させる箱状に構成されている。熱交換部5の内部には、複数回往復した形状の流路5aが形成されている。この熱交換部5は、
図5、6、8及び9のように、断熱ベース23と、吸熱ベース25と、弾性体27とを備えて構成されている。
【0029】
断熱ベース23は、厚み方向の一側が開口した箱状に形成されている。この断熱ベース23は、例えばポリ塩化ビニル等の断熱性を有する材質によって構成されている。なお、断熱ベース23の材質は、被熱交換流体に対する腐食性等を考慮して適宜設定すれば良い。
【0030】
断熱ベース23には、相互に対向する側壁23aに継手23bが設けられており、内部管路21に対して接続される。
【0031】
この断熱ベース23には、例えばフッ素ゴムからなるOリング等のシール部材29を介して吸熱ベース25が取り付けられている。なお、シール部材29の材質も、被熱交換流体に対する腐食性等を考慮して適宜設定すれば良い。
【0032】
吸熱ベース25は、例えばアルミニウム合金等の断熱ベース23よりも熱伝導性の高い材料からなり、本体部31及び突出部33を備えている。本体部31は、断熱ベース23の開口23cを閉じる板状に構成されている。従って、吸熱ベース25は、断熱ベース23を閉止して被熱交換流体を流通させる箱状とする。吸熱ベース25は、ボルト等の締結具35によって断熱ベース23に締結されている。この吸熱ベース25には、後述する熱電素子7が当接する。
【0033】
突出部33は、吸熱ベース25の本体部31から断熱ベース23の底壁23dへ向けて突出し、被熱交換流体を流通させる流路5aを区画する。本実施例の突出部33は、周回状の外壁部33a内に流路5aの往復形状を区画する複数の内壁部33bが配置されて構成されている。この突出部33と断熱ベース23の底壁23dとの間には、弾性体27が介在する。
【0034】
弾性体27は、シリコン等からなるシート状であり、突出部33の先端を当接させる。これにより、弾性体27は、突出部33を厚み方向で閉止して流路5aを確実に形成することができる。
【0035】
なお、弾性体27の材質は、被熱交換流体に対する腐食性等を考慮して適宜設定すれば良い。また、弾性体27は、断熱ベース23と吸熱ベース25との間に介在していればよく、断熱ベース23と吸熱ベース25の本体部31との間に介在してもよい。ただし、介在の方向は、熱交換部5と後述する冷媒ヒートシンク9との締結方向とする。この場合、弾性体27は、シート上でなくてもよい。また、弾性体27は、省略することも可能である。
【0036】
熱電素子7は、ペルチェ素子からなり、冷却面7a及び放熱面7bを有する板状に構成されている。なお、熱電素子7は、熱電効果を有するものであれば、ペルチェ素子に限られるものではない。この熱電素子7は、冷却面7aが熱交換部5、特に吸熱ベース25に当接して取り付けられ、熱交換部5を介して被熱交換流体の冷却を可能とする。
【0037】
本実施例において、熱電素子7の熱交換部5への取付けは、冷媒ヒートシンク9と熱交換部5との間で熱電素子7を締結することで行われる。これにより、熱電素子7の放熱面7bは、冷媒ヒートシンク9に当接して取り付けられる。
【0038】
この熱電素子7は、冷媒ヒートシンク9と熱交換部5との間での締結により、熱交換部5の吸熱ベース25を介して弾性体27で受けられる。従って、熱電素子7は、冷却面7a及び放熱面7bがそれぞれ熱交換部5及び冷媒ヒートシンク9に対して強固に密着しながら損傷が抑制される。
【0039】
熱電素子7の平面形状は、本実施例において矩形であり、吸熱ベース25の突出部33よりも小さい。このため、熱電素子7は、確実に弾性体27で受けることができる。熱電素子7の厚みは、吸熱ベース25の本体部31よりも薄い。
【0040】
なお、熱電素子7の形状は、任意に設定することが可能であり、例えば矩形以外や吸熱ベース25の突出部33よりも大きい平面形状を有し、或いは吸熱ベース25の本体部31よりも厚くてもよい。
【0041】
冷媒ヒートシンク9は、例えばアルミニウム、ステンレス、銅等の金属で構成され、内部に図示しない流路を有する水冷ブロックからなる。この冷媒ヒートシンク9は、全体として板状になっており、厚み方向の一側の面が熱電素子7の放熱面7bに当接している。この冷媒ヒートシンク9は、他側の面に押さえ板37を位置させた状態で、ボルト等の締結具39によって熱交換部5に締結されている。
【0042】
冷媒ヒートシンク9には、継手9aが設けられ、継手9aに冷媒用管路41が結合されている。この冷媒用管路41には、後述するラジエーター13が結合されている。また、冷媒ヒートシンク9には、空冷ヒートシンク11が取り付けられている。空冷ヒートシンク11の取付け位置は、熱電素子7と干渉しない位置であれば良いが、本実施例において熱電素子7に対する厚み方向の反対側となっている。
【0043】
空冷ヒートシンク11は、冷媒ヒートシンク9の放熱を行う。本実施例の空冷ヒートシンク11は、
図3及び
図5のように、放熱フィン11aを備え、例えばアルミニウム、ステンレス、銅等で構成されている。この空冷ヒートシンク11は、本実施例において押さえ板37に結合されている。なお、空冷ヒートシンク11は、冷媒ヒートシンク9に取り付けられて冷却できばよいので、押さえ板37に取り付けられる必要はない。
【0044】
空冷ファン19は、
図1、
図3、
図5及び
図6のように、ケース3外に排気して、空冷ヒートシンク11を冷却するものである。また、空冷ファン19は、排気によってケース3内の空気を入れ替えることができる。このため、熱電素子7によって昇温した空気がケース3内に停滞することを抑制して、熱電素子7の放熱性能を向上できる。
【0045】
本実施例の空冷ファン19は、一つの電動ファンからなり、ケース3外に取り付けられている。この空冷ファン19は、ケース3の排気口3cを介してケース3内に臨むと共に空冷ヒートシンク11に対向する。これにより、空冷ファン19は、空冷ヒートシンク11を通る空気の流れを形成し、空冷ヒートシンク11の冷却を可能とする。空冷ファン19の出力は、例えば2Wとなっている。
【0046】
ラジエーター13は、
図3~
図7のように、例えばアルミニウム、ステンレス、銅等の金属で構成された枠12内に流路13aが折返し状に配置されてなる。なお、ラジエーター13は、冷媒ヒートシンク9と同様に水冷ブロックによって形成してもよい。
【0047】
流路13aには、冷媒用管路41が連続する。冷媒用管路41には、リザーバタンク42及びポンプ44が接続されている。
図6では、リザーバタンク42及びポンプ44の図示は省略している。このラジエーター13は、冷媒ヒートシンク9よりも上下方向に長く、放熱容量が大きい。なお、ラジエーター13を設けずに、冷媒用管路41を配策したものとしてもよい。また、ラジエーター13の枠12内には、複数のフィンを設けてもよい。
【0048】
ラジエーターファン15は、
図1、3及び6のように、ケース3外に排気して、ラジエーター13を冷却する。また、ラジエーターファン15は、排気によってケース3内の空気を入れ替える。このため、熱電素子7によって昇温した空気がケース3内に停滞することを抑制して、熱電素子7の放熱性能を向上できる。
【0049】
本実施例のラジエーターファン15は、電動ファンからなり、本実施例において上下方向に並べて二つ設けられている。ラジエーターファン15の出力は、それぞれ4Wとなっており、全体として8Wとなる。このため、ラジエーターファン15の出力は、空冷ファン19の出力よりも大きい。
【0050】
ラジエーターファン15は、ラジエーター13に取り付けられ、ケース3に設けられた排気口3dに臨む。これにより、ラジエーターファン15は、ラジエーター13からケース3外へ至る空気の流れを形成してラジエーター13の冷却を可能とする。なお、ケース3の吸気口3eは、排気口3dに対向するケース3の側壁部3fに設けられている。
【0051】
ラジエーターファン15の排気方向は、ラジエーターファン15の排気方向と直交している。ただし、ラジエーターファン15及びラジエーターファン15の排気方向は、任意に設定可能である。なお、ラジエーターファン15は、ケース3外に取り付けたり、或いは省略してもよい。
【0052】
仕切板17は、
図3~
図6のように、空冷ファン19とラジエーターファン15との間に設けられている。この仕切板17は、空冷ファン19とラジエーターファン15の相互間の排気の干渉を抑制する。ここでの排気の干渉は、ケース3内での空気の流れの干渉をいう。本実施例の仕切板17は、ケース3内の上下方向に沿って立設されており、ケース3内を二分する。
【0053】
すなわち、仕切板17は、ラジエーターファン15の排気方向において排気口3dが設けられたケース3の側壁部3g及びこれに対向する側壁部3fに突き当たる。また、仕切板17は、上下方向においてケース3の上壁3h及び下壁3iに突き当たる。なお、仕切板17は、排気の干渉を抑制できる位置及び範囲であればよく、側壁部3g及び3f並びに上壁3h及び下壁3iに突き当たる必要はない。
【0054】
ケース3内の仕切板17を挟んだ一側には、熱交換部5、熱電素子7、冷媒ヒートシンク9、及び空冷ヒートシンク11が配置され、排気口3cを介してケース3外の空冷ファン19が臨む。ケース3内の仕切板17を挟んだ他側には、ラジエーター13及びこれに取り付けられたラジエーターファン15が配置されている。
【0055】
かかるケース3内の仕切板17を挟んだ一側(空冷ファン19側)は、ラジエーターファン15の出力が空冷ファン19の出力よりも大きいため、負圧にならないように調整されている。
【0056】
[作用効果]
本実施例の熱交換器1は、
図5~
図7のように、ケース3内に引き込まれた被熱交換流体が内部管路21を介して熱交換部5に至る。熱交換部5では、吸熱ベース25と被熱交換流体との間で熱交換が行われる。吸熱ベース25は、熱電素子7によって冷却されているため、被熱交換流体は、冷却が行われる。従って、冷却によって温度が調整された被熱交換流体を、内部管路21を介してケース3外へと供給することができる。
【0057】
このとき、熱交換部5は、吸熱ベース25により断熱ベース23を閉止して被熱交換流体を流通させる箱状とされ、熱電素子7の冷却面7aが吸熱ベース25に当接する。このため、被熱交換流体に対する外部の熱の影響を抑制しながら吸熱ベース25を介して熱電素子7により確実に冷却することができる。
【0058】
吸熱ベース25は、被熱交換流体に対する熱交換によって昇温すると、熱電素子7の冷却面7aを介して吸熱されて放熱面7bにより放熱される。放熱面7bの熱は、冷媒ヒートシンク9に伝達される。このとき、熱電素子7は、吸熱ベース25と冷媒ヒートシンク9の間に弾性体27を介在させた締結によって強固に密着しており、吸熱ベース25からの吸熱及び冷媒ヒートシンク9への放熱を確実に行うことができる。
【0059】
冷媒ヒートシンク9は、内部からは流通する冷媒との間での熱交換によって冷却され、外部からは空冷ヒートシンク11との間での熱交換によって冷却される。冷媒は、冷媒用管路41を介してラジエーター13に至り、ラジエーターファン15によって冷却される。一方、空冷ヒートシンク11は、空冷ファン19によって冷却される。
【0060】
このとき、ラジエーターファン15及び空冷ファン19は、ケース3外へと排気を行う。このため、ケース3内の空気が入れ替えられ、昇温した空気がケース3内に停滞することを抑制できる。結果として、熱電素子7の冷却を確実に行い、熱電素子7の放熱性能を向上できる。
【0061】
また、ケース3内では、空冷ファン19の出力がラジエーターファン15の出力よりも小さい。このため、仕切板17を境とした一側(空冷ファン19側)が他側(ラジエーターファン15側)よりも低圧となることを抑制できる。
【0062】
従って、ラジエーター13によって昇温した空気が仕切板17を越えて空冷ファン19側に引き込まれることを抑制し、熱電素子7の放熱性能をより確実に向上できる。
【0063】
このように、本実施例の熱交換器1では、ケース3を用いてユニット化しながら、熱電素子7の放熱性能を向上し、全体としての冷却性能を向上して、被熱交換流体の冷却を確実に行うことができる。
本実施例の熱交換器1は、熱交換部5の冷媒として気体、特に空気を用いている。すなわち、熱交換器1は、ラジエーター13及びラジエーターファン15が省略されている。また、熱交換部5は、空冷ブロックとなっているが、構造は、実施例1と同一で良い。そして、熱交換器1の冷媒用管路41は、熱交換器1外で大気開放された流入側にポンプ46が設けられ、流出側も熱交換器1外で大気開放されている。その他は、実施例1と同一である。
かかる熱交換器1では、実施例1と同様に熱電素子7の放熱面7bの熱が冷媒ヒートシンク9に伝達される。冷媒ヒートシンク9は、内部からは流通する冷媒との間での熱交換によって冷却され、外部からは空冷ヒートシンク11との間での熱交換によって冷却される。空冷ヒートシンク11は、実施例1と同様に空冷ファン19によって冷却される。
冷媒は、ポンプ46によって冷媒用管路41の流入側から導入され、冷媒用管路41の流出側から排出される空気である。また、冷媒を冷却するためのラジエーター13やラジエーターファン15が不要となる。このため、極めて安価に熱交換器1を構成することが可能となる。