(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116841
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】撮像装置および内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240821BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240821BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
A61B1/00 521
A61B1/045 610
A61B1/04 530
A61B1/00 553
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022656
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏秀
(72)【発明者】
【氏名】増田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】塩田 和則
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161HH52
4C161HH54
4C161LL08
4C161MM01
4C161MM02
4C161PP03
4C161TT07
4C161WW04
(57)【要約】
【課題】偏光画像センサを用いて明瞭な画像を生成する。
【解決手段】撮像装置10は、4つの偏光成分を検出する2×2の画素を備える画素群が二次元配列される偏光画像センサ20と、偏光画像センサ20の画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサ70と、入射光16を偏光画像センサ20に向かう光と、無偏光画像センサ70に向かう光とに分割する光分割素子80と、偏光画像センサ20から出力される画素値から4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する補間処理部40と、無偏光画像センサ70の出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部102と、補間処理部40から出力される4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に高周波成分を画素ごとに加算し、4つの偏光成分に対応する4つの高解像度画像を生成する加算処理部96と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ごとに異なる4つの偏光成分を検出する2×2の画素を備える画素群が二次元配列され、RGBのカラーフィルタが前記画素群ごとにベイヤー配列される偏光画像センサと、
前記偏光画像センサの前記画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサと、
入射光を前記偏光画像センサに向かう光と、前記無偏光画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、
前記偏光画像センサから出力される画素値を偏光成分ごとに分離して前記4つの偏光成分に対応する4つのベイヤー配列画像を生成し、前記4つのベイヤー配列画像のそれぞれをディベイヤーおよびアップコンバートすることにより、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する補間処理部と、
前記無偏光画像センサの出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部と、
前記補間処理部から出力される前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に前記高周波成分を画素ごとに加算し、前記4つの偏光成分に対応する4つの高解像度画像を生成する加算処理部と、を備える撮像装置。
【請求項2】
前記無偏光画像センサは、RGBのカラーフィルタが画素ごとにベイヤー配列されるカラー画像センサであり、
前記高周波抽出部は、前記無偏光画像センサから出力されるベイヤー配列画像をディベイヤーすることにより算出される画素ごとのRGB値から高周波成分を抽出し、
前記加算処理部は、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に前記高周波成分を示すRGB値を画素ごとに加算する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記無偏光画像センサは、カラーフィルタを備えないモノクロ画像センサであり、
前記高周波抽出部は、前記モノクロ画像センサから出力される画素ごとの輝度値から高周波成分を抽出し、
前記加算処理部は、前記4つの偏光成分のRGB値のそれぞれに前記高周波成分を示す輝度値を画素ごとに加算する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体までの距離を計測する距離画像センサをさらに備え、
前記光分割素子は、前記入射光を前記距離画像センサに向かう光にさらに分割し、
前記距離画像センサの出力信号を用いて前記被写体の三次元位置を示す座標値を画素ごとに算出する三次元位置算出部と、
前記加算処理部から出力される前記4つの高解像度画像のそれぞれのRGB値と、前記三次元位置算出部によって算出される座標値とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する点群データ生成部と、をさらに備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置を備える内視鏡システムであって、
被写体に向けられる先端部を有する挿入部を備え、前記先端部内に前記偏光画像センサ、前記無偏光画像センサおよび前記光分割素子が設けられ、前記挿入部内に前記偏光画像センサおよび前記無偏光画像センサの出力信号を伝送する伝送ケーブルが設けられる内視鏡と、
前記補間処理部、前高周波抽出部および前記加算処理部を備え、前記伝送ケーブルを介して前記出力信号を取得する画像処理装置と、を備える内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体からの光の偏光状態を観察するための撮像装置が知られている。例えば、偏光状態の異なる複数のカラー画像を時分割で取得し、複数のカラー画像に基づく被写体の偏光情報を用いて合成画像を生成し、複数のカラー画像から選択された基準画像に基づいて色補正をする技術が提案されている。また、基準画像として露出条件が異なる複数のカラー画像を合成したHDR(High Dynamic Range)画像を用いることにより、白飛びや黒つぶれを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、可変位相差板を用いて偏光状態の異なるカラー画像を取得しているため、可変位相差板に起因する色づきが発生してしまう。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、偏光画像センサを用いて明瞭な画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の撮像装置は、画素ごとに異なる4つの偏光成分を検出する2×2の画素を備える画素群が二次元配列され、RGBのカラーフィルタが画素群ごとにベイヤー配列される偏光画像センサと、偏光画像センサの画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサと、入射光を偏光画像センサに向かう光と、無偏光画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、偏光画像センサから出力される画素値を偏光成分ごとに分離して4つの偏光成分に対応する4つのベイヤー配列画像を生成し、4つのベイヤー配列画像のそれぞれをディベイヤーおよびアップコンバートすることにより、4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する補間処理部と、無偏光画像センサの出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部と、補間処理部から出力される4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に高周波成分を画素ごとに加算し、4つの偏光成分に対応する4つの高解像度画像を生成する加算処理部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、ある態様の撮像装置を備える内視鏡システムである。内視鏡システムは、被写体に向けられる先端部を有する挿入部を備え、先端部内に偏光画像センサが設けられ、挿入部内に偏光画像センサの出力信号を伝送する伝送ケーブルが設けられる内視鏡と、補間処理部、輝度算出部、ランク処理部、基準生成部および合成処理部を備え、伝送ケーブルを介して出力信号を取得する画像処理装置と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偏光画像センサを用いて明瞭な画像を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】偏光画像センサの光検出層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】偏光画像センサの偏光子層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】偏光画像センサのカラーフィルタ層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】偏光画像センサのマイクロレンズ層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図6】補間処理部による画像処理の流れを模式的に示す図である。
【
図7】合成処理部による画像処理の流れを模式的に示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図9】無偏光画像センサのカラーフィルタ層の構成を模式的に示す平面図である。
【
図10】高周波抽出部が用いるローパスフィルタの周波数特性の一例を示すグラフである。
【
図11】第2処理部による画像処理の流れを模式的に示す図である。
【
図12】第3実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図13】第2処理部による画像処理の流れを模式的に示す図である。
【
図14】第4実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図15】第5実施形態に係る撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【
図16】第5実施形態の第1構成例に係る撮像ユニットを模式的に示す図である。
【
図17】第5実施形態の第2構成例に係る撮像ユニットを模式的に示す図である。
【
図18】第5実施形態の第3構成例に係る撮像ユニットを模式的に示す図である。
【
図19】第6実施形態に係る内視鏡システムの構成を模式的に示す図である。
【
図20】第7実施形態に係る内視鏡システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、図面において、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る撮像装置10の構成を模式的に示す図である。撮像装置10は、撮像ユニット12と、画像処理装置14とを備える。
【0013】
撮像ユニット12は、撮像レンズ18と、偏光画像センサ20とを備える。
【0014】
撮像レンズ18は、偏光画像センサ20の前面に設けられる。撮像レンズ18は、撮像ユニット12に入射する入射光16を偏光画像センサ20の受光面に結像させるよう配置される。撮像レンズ18は、一以上の任意の数の光学レンズを含むことができる。
【0015】
偏光画像センサ20は、入射光16を撮像するための複数の画素を備える。偏光画像センサ20は、光検出層22と、偏光子層24と、カラーフィルタ層26と、マイクロレンズ層28とを備える。光検出層22、偏光子層24、カラーフィルタ層26およびマイクロレンズ層28は、入射光16の入射方向に重なるように配置される。
図1の例では、入射光16の入射方向に見て、マイクロレンズ層28、カラーフィルタ層26、偏光子層24および光検出層22の順に配置される。なお、偏光子層24およびカラーフィルタ層26の積層順は問わず、例えば、マイクロレンズ層28、偏光子層24、カラーフィルタ層26および光検出層22の順に積層されてもよい。
【0016】
図2は、偏光画像センサ20の光検出層22の構成を模式的に示す平面図である。光検出層22は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの二次元画像センサと同様に構成される。光検出層22は、入射光16を検出して電気信号に変換するためのフォトダイオード22aを備える。光検出層22は、二次元配列される複数のフォトダイオード22aを備える。光検出層22は、例えば、偏光画像センサ20の1つの画素30ごとに1つのフォトダイオード22aを備える。
【0017】
図3は、偏光画像センサ20の偏光子層24の構成を模式的に示す平面図である。偏光子層24は、画素30ごとに異なる偏光成分を検出するための第1偏光子24a、第2偏光子24b、第3偏光子24cおよび第4偏光子24dを備える。つまり、1つの画素30において4つの偏光子24a~24dのいずれか1つが設けられる。第1偏光子24aは、第1方向(例えば、水平方向または0度方向)の直線偏光である第1偏光成分を選択的に透過させる。第2偏光子24bは、第2方向(例えば、右斜方向または45度方向)の直線偏光である第2偏光成分を選択的に透過させる。第3偏光子24cは、第3方向(例えば、垂直または90度方向)である第3偏光成分の直線偏光を選択的に透過させる。第4偏光子24dは、第4方向(例えば左斜方向または135度方向)の直線偏光である第4偏光成分を選択的に透過させる。偏光子24a~24dは、例えば、ワイヤーグリッド型の偏光子である。
【0018】
偏光子層24は、縦横で2×2の4画素を備える画素群32を繰り返し単位として二次元配置させた構造を有する。1つの画素群32は、第1偏光子24aが設けられる第1画素、第2偏光子24bが設けられる第2画素、第3偏光子24cが設けられる第3画素および第4偏光子24dが設けられる第4画素を備える。第1偏光子24aおよび第3偏光子24cは、1つの画素群32において対角の画素に設けられる。第2偏光子24bおよび第4偏光子24dは、1つの画素群32において対角の画素に設けられる。4つの偏光子24a~24dのそれぞれは、1画素おきに縦横に二次元配列される。
【0019】
図4は、偏光画像センサ20のカラーフィルタ層26の構成を模式的に示す平面図である。カラーフィルタ層26は、画素群32ごとにベイヤー配列される赤色(R)フィルタ26a、緑色(Gr)フィルタ26b、青色(B)フィルタ26cおよび緑色(Gb)フィルタ26dを備える。つまり、1つの画素群32において4つのカラーフィルタ26a~26dのいずれか1つが設けられる。4つのカラーフィルタ26a~26dのそれぞれは、縦横で2×2の4画素を占めるように配置される。カラーフィルタ層26は、縦横に隣接する4つの画素群32を備える画素組34を繰り返し単位として二次元配列させた構造を有する。画素組34は、縦横で4×4の16画素を備える。
【0020】
図5は、偏光画像センサ20のマイクロレンズ層28の構成を模式的に示す平面図である。マイクロレンズ層28は、二次元配列される複数のマイクロレンズ28aを備える。マイクロレンズ層28は、例えば、偏光画像センサ20の1つの画素30ごとに1つのマイクロレンズ28aを備える。
【0021】
図1に戻り、画像処理装置14について説明する。画像処理装置14は、偏光画像センサ20の出力信号を用いて画像を生成する。画像処理装置14は、信号取得部38と、補間処理部40と、輝度算出部42と、ランク処理部44と、基準生成部46と、合成処理部48とを備える。
【0022】
画像処理装置14は、例えば、ハードウェアによる信号処理または画像処理を実行するためのDSP(Digital Signal Processor)またはISP(Image Signal Processor)などの電子回路によって構成されることができる。画像処理装置14を構成する各機能ブロックは、一以上の電子回路によって構成されることができる。画像処理装置14は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されてもよい。画像処理装置14のハードウェアは、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリといった素子や機械装置で実現されてもよい。画像処理装置14のソフトウェアは、コンピュータプログラム等によって実現されてもよい。この場合、画像処理装置14は、ハードウェアおよびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして描かれる。画像処理装置14の機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
信号取得部38は、偏光画像センサ20から出力される画像信号36を取得する。画像信号36は、偏光画像センサ20から出力される生(RAW)データに相当し、例えば、偏光画像センサ20の各画素30のアドレス順に読み出される各画素30の画素値のシリアルデータである。画像信号36の画素値のビット数は特に問わないが、例えば12ビットである。
【0024】
補間処理部40は、信号取得部38が取得する画像信号36から4つの偏光成分のそれぞれのカラー画像を生成する。補間処理部40は、画像信号36に含まれる画素値を偏光成分ごとに分離し、4つの偏光成分に対応する4つのベイヤー配列画像を生成する。補間処理部40は、4つのベイヤー配列画像のそれぞれをディベイヤー(ベイヤー変換)およびアップコンバート(水平および垂直補間)することにより、4つの偏光成分のそれぞれのRGB値が画素ごとに設定された4つのアップコンバート画像を生成する。
【0025】
図6は、補間処理部40による画像処理の流れを模式的に示す図である。
図6は、説明を簡略化するために、1つの画素組34を構成する縦横で4×4の16画素のみを切り出して示している。入力画像50は、画像信号36に基づくRAWデータに相当し、各画素30に1つの画素値のみが格納されている。1つの画素組34は、4色(R,Gr,Gb,B)と4つの偏光成分(1,2,3,4)の組み合わせに相当する16の画素を備える。例えば、画素値R1は、Rフィルタ26aと第1偏光子24aを透過した赤色(R)の第1偏光成分(1)の画素における画素値を示す。
【0026】
補間処理部40は、入力画像50を偏光成分ごとの4つのベイヤー配列画像52a,52b,52c,52dに分離する。第1ベイヤー配列画像52aは、4色(R,Gr,Gb,B)の第1偏光成分の画素値R1,Gr1,Gb1,B1で構成される。各画素値R1,Gr1,Gb1,B1の位置(位相)は、入力画像50と共通である。第2ベイヤー配列画像52bは、4色(R,Gr,Gb,B)の第2偏光成分の画素値R2,Gr2,Gb2,B2で構成される。各画素値R2,Gr2,Gb2,B2の位置(位相)は、入力画像50と共通である。第3ベイヤー配列画像52cは、4色(R,Gr,Gb,B)の第3偏光成分の画素値R3,Gr3,Gb3,B3により構成される。各画素値R3,Gr3,Gb3,B3の位置(位相)は、入力画像50と共通である。第4ベイヤー配列画像52dは、4色(R,Gr,Gb,B)の第4偏光成分の画素値R4,Gr4,Gb4,B4により構成される。各画素値R4,Gr4,Gb4,B4の位置(位相)は、入力画像50と共通である。
【0027】
補間処理部40は、4つのベイヤー配列画像52a~52dのそれぞれをディベイヤーし、2×2の画素(つまり、画素群32)ごとに1つのRGB値が格納されるディベイヤー画像54a,54b,54c,54dを生成する。第1ディベイヤー画像54aは、第1ベイヤー配列画像52aをディベイヤーすることにより生成される。ディベイヤー処理として、任意の公知の技術を用いることができる。第1ディベイヤー画像54aは、画素群32において第1偏光子24aが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB11,RGB12,RGB13,RGB14により構成される。ここで、RGB値は、R値、G値およびB値のそれぞれの画素値(R,G,B)を備える配列データである。
【0028】
以下の数式において表記される「RGB」は、明示的な言及がない限り、原則として、R値、G値およびB値を備える配列(R,G,B)による計算を意味し、R値、G値およびB値のそれぞれについて計算される数式であることを意味する。つまり、R値、G値およびB値のそれぞれの計算の表記を説明上簡略化することを目的として「RGB」の表記を用いる。
【0029】
第2ディベイヤー画像54bは、第2ベイヤー配列画像52bをディベイヤーすることにより生成される。第2ディベイヤー画像54bは、画素群32において第2偏光子24bが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB21,RGB22,RGB23,RGB24により構成される。第3ディベイヤー画像54cは、第3ベイヤー配列画像52cをディベイヤーすることにより生成される。第3ディベイヤー画像54cは、画素群32において第3偏光子24cが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB31,RGB32,RGB33,RGB34により構成される。第4ディベイヤー画像54dは、第4ベイヤー配列画像52dをディベイヤーすることにより生成される。第4ディベイヤー画像54dは、画素群32において第4偏光子24dが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB41,RGB42,RGB43,RGB44により構成される。
【0030】
補間処理部40は、4つのディベイヤー画像54a~54dのそれぞれをアップコンバートすることにより、4つのアップコンバート画像56a,56b,56c,56dを生成する。補間処理部40は、4つのディベイヤー画像54a~54dのそれぞれの画素値を水平方向および垂直方向に補間することにより、4つのアップコンバート画像56a~56dを生成する。アップコンバート処理として、任意の公知の技術を用いることができる。
図6の例では、縦横のそれぞれに2倍のアップコンバートをしているが、アップコンバート処理の倍率は特に問わず、任意の倍率に可変となるよう構成されることができる。
【0031】
第1アップコンバート画像56aは、第1ディベイヤー画像54aから生成される。第1アップコンバート画像56aは、第1偏光子24aが設けられる画素とは異なる画素の位置(位相)に対応するRGB値をさらに備える。第1アップコンバート画像56aは、例えば、第2偏光子24bが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB11b,RGB12b,RGB13b,RGB14bをさらに備える。第1アップコンバート画像56aは、例えば、第3偏光子24cが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB11c,RGB12c,RGB13c,RGB14cをさらに備える。第1アップコンバート画像56aは、例えば、第4偏光子24dが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB11d,RGB12d,RGB13d,RGB14dをさらに備える。したがって、
図6の第1アップコンバート画像56aは、入力画像50と同じ画素数の画素ごとに設定される第1偏光成分のRGB値を備える。
【0032】
第2アップコンバート画像56bは、第2ディベイヤー画像54bから生成される。第2アップコンバート画像56bは、第2偏光子24bが設けられる画素とは異なる画素の位置(位相)に対応するRGB値をさらに備える。第2アップコンバート画像56bは、例えば、第1偏光子24aが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB21a,RGB22a,RGB23a,RGB24aをさらに備える。第2アップコンバート画像56bは、例えば、第3偏光子24cが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB21c,RGB22c,RGB23c,RGB24cをさらに備える。第2アップコンバート画像56bは、例えば、第4偏光子24dが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB21d,RGB22d,RGB23d,RGB24dをさらに備える。したがって、
図6の第2アップコンバート画像56bは、入力画像50と同じ画素数の画素ごとに設定される第2偏光成分のRGB値を備える。
【0033】
第3アップコンバート画像56cは、第3ディベイヤー画像54cから生成される。第3アップコンバート画像56cは、第3偏光子24cが設けられる画素とは異なる画素の位置(位相)に対応するRGB値をさらに備える。第3アップコンバート画像56cは、例えば、第1偏光子24aが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB31a,RGB32a,RGB33a,RGB34aをさらに備える。第3アップコンバート画像56cは、例えば、第2偏光子24bが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB31b,RGB32b,RGB33b,RGB34bをさらに備える。第3アップコンバート画像56cは、例えば、第4偏光子24dが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB31d,RGB32d,RGB33d,RGB34dをさらに備える。したがって、
図6の第3アップコンバート画像56cは、入力画像50と同じ画素数の画素ごとに設定される第3偏光成分のRGB値を備える。
【0034】
第4アップコンバート画像56dは、第4ディベイヤー画像54dから生成される。第4アップコンバート画像56dは、第4偏光子24dが設けられる画素とは異なる画素の位置(位相)に対応するRGB値をさらに備える。第4アップコンバート画像56dは、例えば、第1偏光子24aが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB41a,RGB42a,RGB43a,RGB44aをさらに備える。第4アップコンバート画像56dは、例えば、第2偏光子24bが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB41b,RGB42b,RGB43b,RGB44bをさらに備える。第4アップコンバート画像56dは、例えば、第3偏光子24cが設けられる画素の位置(位相)に対応するRGB値であるRGB41c,RGB42c,RGB43c,RGB44cをさらに備える。したがって、
図6の第4アップコンバート画像56dは、入力画像50と同じ画素数の画素ごとに設定される第4偏光成分のRGB値を備える。
【0035】
補間処理部40は、このようにして4つの偏光成分に対応する4つのアップコンバート画像56a~56dを生成することにより、4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する。例えば、
図6の入力画像50の画素値R1に対応する画素における4つの偏光成分のRGB値は、RGB11,RGB21a,RGB31a,RGB41aである。
【0036】
以下、補間処理部40から出力される各画素の4つの偏光成分のRGB値をRGBa,RGBb,RGBc,RGBdと表す。RGBaは第1偏光成分のRGB値であり、RGBbは第2偏光成分のRGB値であり、RGBcは第3偏光成分のRGB値であり、RGBdは第4偏光成分のRGB値である。
図6の入力画像50の画素値R1に対応する画素を注目画素とすると、RGBa=RGB11,RGBb=RGB21a,RGBc=RGB31a,RGBd=RGB41aである。
【0037】
図1に戻り、輝度算出部42は、4つの偏光成分のそれぞれのRGB値(RGBa~RGBd)から、4つの偏光成分のそれぞれの輝度値(Y値)を画素ごとに算出する。輝度算出部42は、例えば、HDTV放送方式の映像信号を規定する国際規格(ITU-R BT.709)によって定められる下記式(1)を用いて、RGB値からY値を算出できる。
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B…(1)
輝度算出部42は、第1偏光成分の輝度値Ya、第2偏光成分の輝度値Yb、第3偏光成分の輝度値Ycおよび第4偏光成分の輝度値Ydを画素ごとに算出する。
【0038】
ランク処理部44は、4つの偏光成分の輝度値Ya~Ydの大きさ順に4つの偏光成分を画素ごとに順位付けする。ランク処理部44は、1位~4位の偏光成分を示す順位信号D1~D4を出力する。ランク処理部44は、例えば、輝度値が最大である偏光成分を示す1位信号D1、輝度値が次に大きい偏光成分を示す2位信号D2、輝度値が次に大きい偏光成分を示す3位信号D3、および輝度値が最小である偏光成分を示す4位信号D4を出力する。順位信号D1~D4のそれぞれは、4つの偏光成分を区別するための識別値(番号)として、例えば、「0」「1」「2」「3」のいずれかの値を出力する。例えば、第1偏光成分は「0」であり、第2偏光成分は「1」であり、第3偏光成分は「2」であり、第4偏光成分は「3」である。一例として、特定の画素における輝度値の大きさがYc>Yb>Yd>Yaである場合、1位信号D1=2、2位信号D2=1、3位信号D3=3、4位信号D4=0である。なお、4つの偏光成分の順位は、画素ごとに異なってもよいため、4つの順位信号D1~D4の出力値は画素ごとに異なる可能性がある。
【0039】
基準生成部46は、複数の偏光成分の輝度値を合成した基準輝度値Ysを画素ごとに算出する。基準輝度値Ysは、下記式(2)を用いて算出できる。
Ys=k1・Y1+k2・Y2+k3・Y3+k4・Y4…(2)
ここで、輝度値Y1~Y4は、ランク処理部44によって順位付けされた1位~4位の偏光成分の輝度値である。係数k1~k4は、輝度値Y1~Y4を合成するための重み付け係数である。係数k1~k4は、少なくとも第2係数k2および第3係数k3が0とならないように設定される。言い換えれば、基準輝度値Ysは、少なくとも2位および3位の偏光成分の輝度値Y2,Y3を合成することによって算出される。これにより、基準輝度値Ysは、四つの偏光成分の輝度値Y1~Y4の中間的な輝度値を表すことができる。例えば、四つの係数k1~k4は、k1=0,k2=0.5,k3=0.5,k4=0とすることができる。この場合、基準輝度値Ysは、2位および3位の偏光成分の輝度値Y2,Y3の平均値となる。例えば、四つの係数k1~k4は、k1=0.25,k2=0.25,k3=0.25,k4=0.25とすることができる。この場合、基準輝度値Ysは、四つの偏光成分Y1~Y4の平均値となる。
【0040】
合成処理部48は、複数の偏光成分のRGB値を合成した合成RGB値を画素ごとに算出する。合成処理部48は、基準輝度値Ysの大きさに応じて、合成RGB値の算出方法を変える。合成処理部48は、基準輝度値Ysが所定の閾値Ythに一致する場合(つまり、Ys=Yth)、基準RGB値(RGBs)を合成RGB値(RGBm)とする(つまり、RGBm=RGBs)。基準RGB値(RGBs)は、四つの偏光成分のRGB値を係数k1~k4を用いて加重平均した値であり、下記式(3)を用いて算出できる。
RGBs=k1・RGB1+k2・RGB2+k3・RGB3+k4・RGB4…(3)
ここで、係数k1~k4の値は、基準生成部46にて基準輝度値Ysを算出したときの値と同じであり、例えば、k1=0,k2=0.5,k3=0.5,k4=0である。また、RGB1~RGB4は、ランク処理部44によって順位付けされた1位~4位の偏光成分のRGB値である。閾値Ythは、黒(例えば最小輝度値Ymin)と白(例えば最大輝度値Ymax)の中間の明るさに見える輝度値となるように設定され、例えば最大輝度値Ymaxの18%の値に設定することができる。輝度値が12ビットの場合、Ymax=4095,Yth=737である。
【0041】
合成処理部48は、基準輝度値Ysが所定の閾値Ythよりも小さい場合(つまり、Ys<Yth)、1位および2位の偏光成分のRGB値を合成した上位RGB値(RGBt)と、基準RGB値(RGBs)とを合成した合成RGB値を算出する。基準輝度値Ysが閾値Ythよりも小さい場合に、基準RGB値よりも大きな値を有する上位RGB値を合成することにより、合成RGB値を基準RGB値よりも大きくできる。これにより、暗い画素における黒つぶれを抑制できる。
【0042】
上位RGB値(RGBt)は、1位の偏光成分のRGB値(RGB1)と2位の偏光成分のRGB値(RGB2)の加重平均値である。合成処理部48は、例えば、下記式(4)を用いて上位RGB値(RGBt)を画素ごとに算出できる。
RGBt=(RGB1・RGB1+RGB2・RGB2)/(RGB1+RGB2)…(4)
上記式(4)では、RGB1およびRGB2の明るさの大きさで加重平均されるため、1位の偏光成分のRGB値(RGB1)の合成の重み付けが大きくなる。
【0043】
合成処理部48は、Ys<Ythの場合、下記式(5)を用いて合成RGB値(RGBm)を画素ごとに算出できる。
RGBm=t・RGBt+(1-t)・RGBs…(5)
ここで、上位重み付け係数tは、下記式(6)を用いて画素ごとに算出できる。
t=(Yth-Ys)/Yth…(6)
上位重み付け係数tは、上記式(6)より、基準輝度値Ysが小さくなるにつれて大きくなるように設定される。例えば、Ys=Ythのときにt=0となり、上記式(5)は、RGBm=RGBsとなる。Ys=0のときにt=1となり、上記式(5)は、RGBm=RGBtとなる。したがって、Ys<Ythの場合、基準輝度値Ysが小さくなる(つまり、暗くなる)につれて、合成RGB値(RGBm)における上位RGB値(RGBt)の重み付けが大きくなり、基準RGB値(RGBs)の重み付けが小さくなる。
【0044】
合成処理部48は、基準輝度値Ysが所定の閾値Ythよりも大きい場合(つまり、Ys>Yth)、3位および4位の偏光成分のRGB値を合成した下位RGB値(RGBu)と、基準RGB値(RGBs)とを合成した合成RGB値を算出する。基準輝度値Ysが閾値Ythよりも大きい場合に、基準RGB値よりも小さな値を有する下位RGB値を合成することにより、合成RGB値を基準RGB値よりも小さくできる。これにより、明るい画素における白飛びを抑制できる。
【0045】
下位RGB値(RGBu)は、3位の偏光成分のRGB値(RGB3)と4位の偏光成分のRGB値(RGB4)の加重平均値である。合成処理部48は、例えば、下記式(7)を用いて上位RGB値(RGBu)を画素ごとに算出できる。
RGBu=[RGB4・(RGBmax-RGB4)+RGB3・(RGBmax-RGB3)]/[(RGBmax-RGB4)+(RGBmax-RGB3)]…(7)
ここで、RGBmaxは、RGB値の最大画素値である。画素値が12ビットの場合、RGBmax=4095である。上記式(7)では、最大画素値(RGBmax)からRGB値を減算した値を重み付け係数に使用している。最大画素値(RGBmax)からRGB値を減算した値は、RGB値の暗さの大きさを表している。上記式(7)では、RGB4およびRGB3の暗さの大きさで加重平均されるため、4位の偏光成分のRGB値(RGB4)の合成の重み付けが大きくなる。
【0046】
合成処理部48は、Ys>Ythの場合、下記式(8)を用いて合成RGB値(RGBm)を画素ごとに算出できる。
RGBm=u・RGBu+(1-u)・RGBs…(8)
ここで、下位重み付け係数uは、下記式(9)を用いて画素ごとに算出できる。
u=(Ys-Yth)/(Ymax-Yth)…(9)
下位重み付け係数uは、上記式(9)より、基準輝度値Ysが大きくなるにつれて大きくなるように設定される。例えば、Ys=Ythのときにu=0となり、上記式(8)は、RGBm=RGBsとなる。Ys=Ymaxのときにu=1となり、上記式(8)は、RGBm=RGBuとなる。したがって、Ys>Ythの場合、基準輝度値Ysが大きくなる(つまり明るくなる)につれて、合成RGB値(RGBm)における下位RGB値(RGBu)の重み付けが大きくなり、基準RGB値(RGBs)の重み付けが小さくなる。
【0047】
図7は、合成処理部48による画像処理の流れを模式的に示す図である。
図7は、補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)を入力とし、合成RGB値(RGBm)を出力するまでの処理の流れを示す。
図7は、輝度算出部42、ランク処理部44および基準生成部46についても示す。
【0048】
輝度算出部42は、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)を入力として用いて、4つの偏光成分の輝度値(Ya~Yd)を出力する。輝度算出部42は、上記式(1)を用いて、RGB値(RGBa~RGBd)から輝度値(Ya~Yd)を算出する。
【0049】
ランク処理部44は、輝度算出部42から出力される輝度値(Ya~Yd)を入力として用いて、輝度値の大きさを順位付けし、4つの偏光成分の順位を示す順位信号D1~D4を出力する。
【0050】
基準生成部46は、輝度算出部42から出力される輝度値(Ya~Yd)と、ランク処理部44から出力される順位信号(D1~D4)とを入力として用いて、基準輝度値Ysを出力する。基準生成部46は、上記式(2)を用いて基準輝度値Ysを算出する。基準生成部46は、例えば、レジスタ(不図示)によって指定される係数k1~k4の値を用いることができる。
【0051】
合成処理部48は、基準合成部60と、上位合成部62と、下位合成部64と、係数算出部66と、出力合成部68とを含む。
【0052】
基準合成部60は、補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、ランク処理部44から出力される順位信号(D1~D4)とを入力として用いて、基準RGB値(RGBs)を算出する。基準合成部60は、上記式(3)を用いて基準RGB値(RGBs)を算出する。基準合成部60は、1位信号D1の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB1とし、2位信号D2の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB2とし、3位信号D3の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB3とし、4位信号D4の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB4とする。基準合成部60は、例えば、輝度算出部42と共通のレジスタ(不図示)によって指定される係数k1~k4の値を用いることができる。
【0053】
上位合成部62は、補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、ランク処理部44から出力される1位信号D1および2位信号D2とを入力として用いて、上位RGB値(RGBt)を算出する。上位合成部62は、1位信号D1の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB1とし、2位信号D2の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB2とし、上記式(4)を用いて上位RGB値(RGBt)を算出する。
【0054】
下位合成部64は、補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、ランク処理部44から出力される3位信号D3および4位信号D4とを入力として用いて、下位RGB値(RGBu)を算出する。下位合成部64は、3位信号D3の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB3とし、4位信号D4の値によって指定される偏光成分のRGB値をRGB4とし、上記式(7)を用いて下位RGB値(RGBu)を算出する。
【0055】
係数算出部66は、基準合成部60から出力される基準輝度値Ysを入力として用いて、上位重み付け係数tおよび下位重み付け係数uを算出する。係数算出部66は、上記式(6)を用いて上位重み付け係数tを算出する。係数算出部66は、上記式(9)を用いて下位重み付け係数uを算出する。係数算出部66は、例えば、レジスタ(不図示)によって指定されるYthの値を用いることができる。
【0056】
出力合成部68は、基準生成部46から出力される基準輝度値Ysと、基準合成部60から出力される基準RGB値(RGBs)と、上位合成部62から出力される上位RGB値(RGBt)と、下位合成部64から出力される下位RGB値(RGBu)と、係数算出部66から出力される上位重み付け係数tおよび下位重み付け係数uとを入力として用いて、合成RGB値(RGBm)を算出する。出力合成部68は、a)Ys=Ythの場合、合成RGB値(RGBm)を基準RGB値(RGBs)と同じにする。出力合成部68は、b)Ys<Ythの場合、上記式(5)を用いて、上位RGB値(RGBt)と基準RGB値(RGBs)を合成することにより、合成RGB値(RGBm)を算出する。出力合成部68は、c)Ys>Ythの場合、上記式(8)を用いて、下位RGB値(RGBu)と基準RGB値(RGBs)を合成することにより、合成RGB値(RGBm)を算出する。
【0057】
出力合成部68は、例えば、処理対象となる全ての画素について画素ごとの合成RGB値(RGBm)を順次算出する。これにより、出力合成部68は、各画素のRGB値が合成RGB値(RGBm)となるカラー画像を生成できる。
【0058】
本実施形態によれば、偏光画像センサを用いて取得される4つの偏光成分のRGB値を合成することにより、白飛びや黒つぶれが抑制されたカラー画像を生成できる。偏光子を用いない通常の(無偏光の)画像センサを用いる場合、被写体における光の反射の仕方によって白飛びや黒つぶれが起きたカラー画像が生成される場合がある。例えば、ガラス越しの被写体を撮影しようとした場合、ガラス表面で強く反射した光によって白飛びが発生し、ガラスの向こう側の被写体を適切に捉えることができない画像となる場合がある。また、強い光が当たる被写体の場合、被写体の影となる箇所において黒つぶれが起きる画像となる場合がある。本実施形態によれば、少なくとも2位と3位の偏光成分を含む複数の偏光成分のRGB値を合成した基準RGB値(RGBs)を画素値のベースとすることにより、白飛びの原因となりうる最上位(つまり1位)の偏光成分の影響を抑制することができ、黒つぶれの原因となりうる最下位(つまり4位)の偏光成分の影響を抑制することができる。
【0059】
本実施形態によれば、基準輝度値Ysが相対的に大きい画素において、下位RGB値(RGBu)の寄与を大きくして合成RGB値(RGBm)を算出することにより、基準RGB値を採用する場合よりも画素値を小さくすることができる。これにより、白飛びの発生を好適に抑制できる。例えば、基準輝度値Ysが大きくなるにつれて、下位RGB値(RGBu)の合成の重み付けを大きくすることにより、白飛びの発生をより好適に抑制できる。また、基準輝度値Ysが相対的に小さい画素において、上位RGB値(RGBt)の寄与を大きくして合成RGB値(RGBm)を算出することにより、基準RGB値を採用する場合よりも画素値を大きくすることができる。これにより、黒つぶれの発生を好適に抑制できる。例えば、基準輝度値Ysが小さくなるにつれて、上位RGB値(RGBt)の合成の重み付けを大きくすることにより、黒つぶれの発生をより好適に抑制できる。
【0060】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る撮像装置10Aの構成を模式的に示す図である。第2実施形態に係る撮像装置10Aは、撮像ユニット12Aと、画像処理装置14Aとを備える。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。図面において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する。
【0061】
撮像ユニット12Aは、撮像レンズ18と、偏光画像センサ20と、無偏光画像センサ70と、光分割素子80とを備える。撮像レンズ18および偏光画像センサ20は、第1実施形態と同様に構成される。撮像ユニット12Aは、無偏光画像センサ70および光分割素子80をさらに備える点で、第1実施形態と相違する。
【0062】
光分割素子80は、撮像レンズ18の後段に配置される。光分割素子80は、撮像レンズ18を通過した入射光16を第1光16aと第2光16bに分割する。第1光16aは、偏光画像センサ20に入射し、第2光16bは、無偏光画像センサ70に入射する。光分割素子80は、例えば、無偏光ビームスプリッタであり、入射光16を1:1の強度比率で第1光16aと第2光16bに分割する。光分割素子80の部分反射面は、例えば金属薄膜などによるハーフミラーで構成される。
【0063】
偏光画像センサ20は、光分割素子80にて分割された第1光16aを撮像する。無偏光画像センサ70は、光分割素子80にて分割された第2光16bを撮像する。偏光画像センサ20および無偏光画像センサ70は、入射光16の光軸を基準として同軸となるように配置される。撮像レンズ18は、入射光16を偏光画像センサ20および無偏光画像センサ70のそれぞれの受光面に結像させるよう配置される。
【0064】
無偏光画像センサ70は、入射光16を撮像するための複数の画素を備える。無偏光画像センサ70は、光検出層72と、カラーフィルタ層76と、マイクロレンズ層78とを備える。無偏光画像センサ70は、偏光子層を備えない点で、偏光画像センサ20と相違する。
【0065】
無偏光画像センサ70の画素数は、偏光画像センサ20の画素群32の配列数よりも多い。したがって、無偏光画像センサ70の縦横の画素数は、偏光画像センサ20の縦横の画素数の1/2よりも多い。無偏光画像センサ70の縦横の画素数は、偏光画像センサ20の縦横の画素数と同じであってもよい。無偏光画像センサ70の縦横の画素数は、偏光画像センサ20の縦横の画素数より多くてもよく、例えば、偏光画像センサ20の縦横の画素数の2倍や4倍であってもよい。
【0066】
光検出層72は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの二次元画像センサと同様に構成される。光検出層72は、偏光画像センサ20の光検出層22と同様に構成されることができる。光検出層72は、例えば、無偏光画像センサ70の1つの画素ごとに1つのフォトダイオードを備える。無偏光画像センサ70の画素数と偏光画像センサ20の画素数が一致する場合、光検出層72は、偏光画像センサ20の光検出層22と同一仕様であってもよい。
【0067】
図9は、無偏光画像センサ70のカラーフィルタ層76の構成を模式的に示す平面図である。カラーフィルタ層76は、無偏光画像センサ70の画素82ごとにベイヤー配列される赤色(R)フィルタ76a、緑色(Gr)フィルタ76b、青色(B)フィルタ76cおよび緑色(Gb)フィルタ76dを備える。カラーフィルタ層76は、縦横で2×2の4画素を備える画素群84を繰り返し単位として二次元配列された構造を有する。
【0068】
図8に戻り、マイクロレンズ層78は、二次元配列される複数のマイクロレンズを備える。マイクロレンズ層78は、偏光画像センサ20のマイクロレンズ層28と同様に構成されることができる。マイクロレンズ層78は、例えば、無偏光画像センサ70の1つの画素82ごとに1つのマイクロレンズを備える。
【0069】
画像処理装置14Aは、偏光画像センサ20の出力信号と、無偏光画像センサ70の出力信号とを用いて画像を生成する。画像処理装置14Aは、第1処理部92と、第2処理部94と、加算処理部96とを備える。
【0070】
第1処理部92は、偏光画像センサ20から出力される第1画像信号36を入力として用いる信号処理または画像処理を実行する。第1処理部92は、第1信号取得部38と、第1補間処理部40と、輝度算出部42と、ランク処理部44と、基準生成部46と、合成処理部48とを備える。第1実施形態に係る画像処理装置14と同様の機能を実現する。
【0071】
第1処理部92は、4つの偏光成分のRGB値を合成した合成RGB値(RGBm)を加算処理部96に出力する。第1処理部92は、合成RGB値(RGBm)の代わりに、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)を加算処理部96に出力してもよい。第1処理部92は、合成RGB値(RGBm)と、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)とを加算処理部96に出力してもよい。
【0072】
第2処理部94は、無偏光画像センサ70から出力される第2画像信号86を入力として用いる信号処理または画像処理を実行する。第2処理部94は、第2信号取得部98と、第2補間処理部100と、高周波抽出部102とを備える。
【0073】
第2信号取得部98は、無偏光画像センサ70から出力される第2画像信号86を取得する。第2画像信号86は、無偏光画像センサ70から出力される生(RAW)データに相当し、例えば、無偏光画像センサ70の各画素82のアドレス順に読み出される各画素82の画素値のシリアルデータである。第2画像信号86は、厳密なRAWデータではなく、RAWデータに対してホワイトバランス調整やゲイン調整などの補正処理がなされたデータであってもよい。第2画像信号86の画素値のビット数は特に問わないが、例えば12ビットである。
【0074】
第2補間処理部100は、第2信号取得部98が取得する第2画像信号86から1つのカラー画像を生成する。第2補間処理部100は、公知のディベイヤー処理を実行することにより、無偏光画像センサ70の画素82ごとに設定されるRGB値を算出する。
【0075】
第2補間処理部100は、無偏光画像センサ70の画素数が偏光画像センサ20の画素数と異なる場合、ディベイヤー処理によって生成されるディベイヤー画像をリサイズしてもよい。これにより、第2補間処理部100は、第1処理部92の出力画像と縦横の画素数が一致するカラー画像を生成する。
【0076】
高周波抽出部102は、第2補間処理部100から出力されるカラー画像の各画素のRGB値の高周波成分を抽出し、高周波カラー画像を生成する。高周波カラー画像の各画素のRGB値は、R値の高周波成分(Rh)、G値の高周波成分(Gh)およびB値の高周波成分(Bh)のそれぞれの画素値(Rh,Gh,Bh)を備える配列データである。
【0077】
高周波抽出部102は、第2補間処理部100から出力されるカラー画像から低周波成分を抽出し、元のカラー画像から低周波成分を減算することにより、高周波成分を算出することができる。低周波成分を抽出するためのローパスフィルタ(LPF)として、例えば、カットオフ周波数fcがサンプリング周波数fsの1/4となる(つまり、fc=fs/4)となるFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いることができる。
図10は、高周波抽出部102が用いるローパスフィルタの周波数特性の一例を示す。なお、高周波抽出部102に用いられるLPFは、
図10に示されるものに限らず、カットオフ周波数fcがサンプリング周波数fsの1/4より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0078】
図11は、第2処理部94による画像処理の流れを模式的に示す図である。
図11は、説明を簡略化するために、縦横で4×4の16画素のみを切り出して示している。入力画像104は、第2画像信号86に基づくRAWデータに相当し、各画素に1つの画素値のみが格納されている。入力画像104は、カラーフィルタ層76の配列に対応したベイヤー配列画像である。
【0079】
第2補間処理部100は、入力画像104からディベイヤー画像106を生成する。ディベイヤー画像106は、各画素にRGB値が格納されたカラー画像である。
図11の例では、ディベイヤー画像106に対するリサイズ処理を省略しているが、第2補間処理部100は、ディベイヤー画像106をリサイズしたカラー画像を生成してもよい。
【0080】
高周波抽出部102は、第2補間処理部100から出力されるカラー画像から高周波カラー画像108を生成する。高周波カラー画像108は、各画素にRGB値の高周波成分を示す高周波RGB値(RGBh)が格納されたカラー画像である。
【0081】
図8に戻り、加算処理部96は、第1処理部92の合成処理部48から出力される合成RGB値(RGBm)と、第2処理部94から出力される高周波RGB値(RGBh)とを画素ごとに加算して高解像度カラー画像を生成する。高解像度カラー画像の各画素のRGB値(RGBhr)は、合成RGB値(RGBm)に高周波RGB値(RGBh)を加算したものであり、RGBhr=RGBm+RGBhである。加算処理部96は、重み付け係数hを用いることにより、RGBhr=RGBm+h・RGBhの式を用いて、高解像度RGB値(RGBhr)を算出してもよい。
【0082】
加算処理部96は、第1処理部92の第1補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、第2処理部94から出力される高周波RGB値(RGBh)とを画素ごとに加算して高解像度カラー画像を生成してもよい。加算処理部96は、第1偏光成分のRGB値(RGBa)に高周波RGB値(RGBh)を加算して、第1偏光成分の高解像度RGB値(RGBhra=RGBa+RGBh)を算出してもよい。加算処理部96は、第2偏光成分のRGB値(RGBb)に高周波RGB値(RGBh)を加算して、第2偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrb=RGBb+RGBh)を算出してもよい。加算処理部96は、第3偏光成分のRGB値(RGBc)に高周波RGB値(RGBh)を加算して、第3偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrc=RGBc+RGBh)を算出してもよい。加算処理部96は、第4偏光成分のRGB値(RGBd)に高周波RGB値(RGBh)を加算して、第4偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrd=RGBd+RGBh)を算出してもよい。
【0083】
本実施形態によれば、偏光画像センサ20の出力信号から得られるカラー画像に無偏光画像センサ70の出力信号から得られる高周波成分を加算することにより、高解像度のカラー画像を生成できる。これにより、光学ローパスフィルタを使用せずに、折り返しひずみ(エイリアシング)を抑制した高解像度カラー画像を得ることができる。
【0084】
偏光画像センサ20は、4×4の画素を備える画素組34を繰り返し単位とするため、2×2の画素を繰り返し単位とする通常の(無偏光の)画像センサを用いる場合に比べて解像度が低くなりやすい。また、折り返しひずみの抑制を目的として光学ローパスフィルタを偏光画像センサ20に適用すると、光学ローパスフィルタによって偏光状態が変化してしまい、適切な偏光成分を検出できなくなる。その結果、偏光画像センサ20を用いる場合、光学ローパスフィルタを採用できないために、折り返しひずみが目立ちやすい画像となりうる。
【0085】
本実施形態によれば、偏光子層を備えない無偏光画像センサ70を用いることにより、偏光画像センサ20に比べて高解像度の画像を簡単に得ることができ、高解像度に寄与する高周波成分を抽出できる。このような高周波成分を偏光画像センサ20を用いて得られた画像に加算することにより、高解像度であり、かつ、折り返しひずみが抑制されたカラー画像を生成できる。
【0086】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、白飛びや黒つぶれが抑制されたカラー画像を生成できる。白飛びや黒つぶれが抑制されたカラー画像(合成RGB値、RGBm)に高周波成分(高周波RGB値、RGBh)を加算することにより、高解像度であり、折り返しひずみが抑制され、かつ、白飛びや黒つぶれが抑制された、より好適なカラー画像(高解像度RGB値、RGBhr)を生成できる。
【0087】
本実施形態によれば、4つの偏光成分のカラー画像(RGBa~RGBd)に高周波成分(RGBh)を加算することにより、高解像度であり、折り返しひずみが抑制された、より好適な偏光カラー画像(RGBhra~RGBhrd)を生成できる。
【0088】
第2実施形態に係る加算処理部96は、合成RGB値(RGBm)を用いる高解像度RGB値(RGBhr)を算出せず、4つの偏光成分の高解像度RGB値(RGBhra~RGBhrd)の少なくとも一つのみを算出してもよい。この場合、第1処理部92は、輝度算出部42、ランク処理部44、基準生成部46および合成処理部48を備えなくてもよい。第1処理部92は、第1信号取得部38および第1補間処理部40のみを備えてもよい。
【0089】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る撮像装置10Bの構成を模式的に示す図である。第3実施形態に係る撮像装置10Bは、撮像ユニット12Bと、画像処理装置14Bとを備える。以下、第3実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。図面において、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する。
【0090】
撮像ユニット12Bは、撮像レンズ18と、偏光画像センサ20と、無偏光画像センサ70Bと、光分割素子80とを備える。撮像レンズ18および偏光画像センサ20は、第1実施形態と同様に構成される。光分割素子80は、第2実施形態と同様に構成される。
【0091】
無偏光画像センサ70Bは、光検出層72と、マイクロレンズ層78とを備える。無偏光画像センサ70Bは、カラーフィルタ層76を備えない点で、第2実施形態に係る無偏光画像センサ70と相違する。無偏光画像センサ70Bは、カラーフィルタ層76を備えないため、無偏光のモノクロ画像センサとして機能する。
【0092】
画像処理装置14Bは、第1処理部92と、第2処理部94Bと、加算処理部96Bとを備える。第1処理部92は、第2実施形態と同様に構成される。第2処理部94Bは、第2信号取得部98Bと、第2補間処理部100Bと、高周波抽出部102Bとを備える。
【0093】
第2信号取得部98Bは、無偏光画像センサ70Bから出力される第2画像信号86Bを取得する。第2画像信号86Bは、無偏光画像センサ70Bから出力される生(RAW)データに相当し、例えば、無偏光画像センサ70Bの各画素82のアドレス順に読み出される各画素82の画素値のシリアルデータである。第2画像信号86Bは、厳密なRAWデータではなく、RAWデータに対してゲイン調整などの補正処理がなされたデータであってもよい。第2画像信号86の画素値のビット数は特に問わないが、例えば12ビットである。
【0094】
第2補間処理部100Bは、第2信号取得部98が取得する第2画像信号86から1つのモノクロ画像を生成する。第2補間処理部100は、無偏光画像センサ70Bの画素82ごとに設定される輝度値(Y値)を出力する。第2補間処理部100Bは、無偏光画像センサ70Bの画素数が偏光画像センサ20の画素数と異なる場合、モノクロ画像をリサイズし、第1処理部92の出力画像と縦横の画素数が一致するモノクロ画像を生成する。なお、リサイズが不要な場合、第2処理部94Bは、第2補間処理部100Bを備えなくてもよい。
【0095】
高周波抽出部102Bは、第2信号取得部98Bまたは第2補間処理部100Bから出力されるモノクロ画像の各画素の輝度値(Y値)の高周波成分を抽出し、高周波モノクロ画像を生成する。高周波抽出部102Bは、第2信号取得部98Bまたは第2補間処理部100Bから出力されるモノクロ画像から低周波成分を抽出し、元のモノクロ画像から低周波成分を減算することにより、高周波成分を算出することができる。低周波成分を抽出するためのLPFとして、
図10に示される第2実施形態と同様のフィルタを用いることができる。
【0096】
図13は、第2処理部94Bによる画像処理の流れを模式的に示す図である。
図13は、説明を簡略化するために、縦横で4×4の16画素のみを切り出して示している。入力画像110は、第2画像信号86Bに基づくRAWデータの画素配列に相当し、各画素に1つの画素値のみが設定されている。入力画像110は、各画素の輝度値(Y値)を示すモノクロ画像である。
【0097】
高周波抽出部102Bは、入力画像110であるモノクロ画像から高周波モノクロ画像112を生成する。高周波モノクロ画像112は、各画素に輝度値の高周波成分を示す高周波輝度値(Yh)が設定されたモノクロ画像である。
【0098】
図12に戻り、加算処理部96Bは、第1処理部92の合成処理部48から出力される合成RGB値(RGBm)と、第2処理部94Bから出力される高周波輝度値(Yh)とを画素ごとに加算して高解像度カラー画像を生成する。
【0099】
高解像度カラー画像の各画素のRGB値(RGBhr)は、合成RGB値(RGBm)に高周波輝度値(Yh)を加算したものであり、RGBhr=RGBm+Yhである。例えば、合成RGB値(RGBm)の各色の値(Rm,Gm,Bm)のそれぞれに共通の高周波輝度値Yhを加算することにより、高解像度RGB値(RGBhr)の各色の値(Rhr,Ghr,Bhr)を算出する。つまり、Rhr=Rm+Yh,Ghr=Gm+Yh,Bhr=Bm+Yhである。
【0100】
加算処理部96Bは、重み付け係数hを用いることにより、RGBhr=RGBm+h・RGBhの式を用いて、高解像度RGB値(RGBhr)を算出してもよい。重み付け係数hは、各色で共通であってもよいし、各色で異なってもよい。後者の場合、各色の重み付け係数hR,hG,hBを用いて、Rhr=Rm+hR・Yh,Ghr=Gm+hG・Yh,Bhr=Bm+hB・Yhとすることができる。各色の重み付け係数hR、hG、hBは、ITU-R BT.709に基づいて、hR=0.2126、hG=0.7152、hB=0.0722としてもよい。
【0101】
加算処理部96Bは、第1処理部92の第1補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、第2処理部94Bから出力される高周波輝度値(Yh)とを画素ごとに加算して高解像度カラー画像を生成してもよい。加算処理部96Bは、第1偏光成分のRGB値(RGBa)に高周波輝度値(Yh)を加算して、第1偏光成分の高解像度RGB値(RGBhra=RGBa+Yh)を算出してもよい。加算処理部96Bは、第2偏光成分のRGB値(RGBb)に高周波輝度値(Yh)を加算して、第2偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrb=RGBb+Yh)を算出してもよい。加算処理部96Bは、第3偏光成分のRGB値(RGBc)に高周波輝度値(Yh)を加算して、第3偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrc=RGBc+Yh)を算出してもよい。加算処理部96Bは、第4偏光成分のRGB値(RGBd)に高周波輝度値(Yh)を加算して、第4偏光成分の高解像度RGB値(RGBhrd=RGBd+Yh)を算出してもよい。加算処理部96Bは、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)に高周波輝度値(Yh)を加算する場合に、重み付け係数hを用いてもよいし、各色の重み付け係数hR、hG、hBを用いてもよい。
【0102】
本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。本実施形態によれば、無偏光モノクロ画像センサの出力信号から得られる高周波成分を加算するため、無偏光画像センサ70Bや第2処理部94Bのコストを下げることができる。
【0103】
第3実施形態に係る加算処理部96Bは、第2実施形態と同様、合成RGB値(RGBm)を用いる高解像度RGB値(RGBhr)を算出せず、4つの偏光成分の高解像度RGB値(RGBhra~RGBhrd)の少なくとも一つのみを算出してもよい。この場合、第1処理部92は、輝度算出部42、ランク処理部44、基準生成部46および合成処理部48を備えなくてもよい。第1処理部92は、第1信号取得部38および第1補間処理部40のみを備えてもよい。
【0104】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る撮像装置10Cの構成を模式的に示す図である。第3実施形態に係る撮像装置10Cは、撮像ユニット12Cと、画像処理装置14Cとを備える。以下、第4実施形態について、上述の実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。図面において、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する。
【0105】
撮像ユニット12Cは、撮像レンズ18と、偏光画像センサ20と、光分割素子80Cと、距離画像センサ120と、照明装置122とを備える。撮像レンズ18および偏光画像センサ20は、第1実施形態と同様に構成される。
【0106】
光分割素子80Cは、撮像レンズ18の後段に配置される。光分割素子80Cは、撮像レンズ18を通過した入射光16を可視光16vと赤外光16nに分割する。可視光16vは、偏光画像センサ20に入射し、赤外光16nは、距離画像センサ120に入射する。光分割素子80Cは、例えば、ダイクロイックプリズムであり、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射させるダイクロイックミラーを備える。ダイクロイックミラーは、例えば誘電体多層膜で構成される。ダイクロイックミラーは、偏光依存性のない無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。無偏光ダイクロイックミラーを採用することにより、偏光画像センサ20に入射する可視光の偏光状態の変化を抑制できる。光分割素子80Cは、可視光を選択的に反射し、赤外光を選択的に透過させるように構成されてもよい。この場合、偏光画像センサ20と距離画像センサ120の配置が入れ替わる。
【0107】
偏光画像センサ20および距離画像センサ120は、入射光16の光軸を基準として同軸となるように配置される。撮像レンズ18は、入射光16を偏光画像センサ20および無偏光画像センサ70のそれぞれの受光面に結像させるよう配置される。
【0108】
距離画像センサ120は、照明装置122から被写体に照射される赤外照明光124の反射光を検出する。距離画像センサ120は、赤外光を選択的に透過する赤外光フィルタが設けられる複数の画素を備える。距離画像センサ120は、例えば、LIDAR(Light Detection And Ranging)センサであり、ToF(Time of Flight)方式によって被写体までの距離を計測する。距離画像センサ120は、距離処理部126から供給されるパルス信号116のトリガタイミングから各画素の受光タイミングまでの経過時間に基づく距離値を出力する。距離画像センサ120は、例えば、各画素で検出される距離値のシリアルデータを距離画像信号118として出力する。
【0109】
照明装置122は、被写体に向けて赤外照明光124を照射する。照明装置122は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などのレーザダイオードアレイを備える。照明装置122は、距離処理部126から供給されるパルス信号116に基づいてレーザダイオードアレイを駆動し、パルス信号116のトリガタイミングに同期したパルス照明光を照射する。
【0110】
画像処理装置14Cは、第1処理部92と、距離処理部126と、点群データ生成部128とを備える。第1処理部92は、第2実施形態と同様に構成される。距離処理部126は、タイミング制御部130と、距離信号取得部132と、三次元位置算出部134とを備える。
【0111】
タイミング制御部130は、距離画像センサ120および照明装置122を駆動するためのパルス信号116を生成する。距離信号取得部132は、距離画像センサ120から距離画像信号118を取得する。三次元位置算出部134は、距離画像信号118を入力として用いて、被写体の三次元位置を示す座標値(x,y,z)を算出する。三次元位置算出部134は、距離画像センサ120の各画素で検出される距離値から、三次元位置を示す座標値(x,y,z)を画素ごとに算出する。各画素に対応する座標値(x,y,z)は、各画素に入射する赤外光の被写体表面上での各反射点の三次元位置に相当する。
【0112】
点群データ生成部128は、第1処理部92から出力されるRGB値と、距離処理部126から出力される座標値とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する。点群データ生成部128は、PLY(Polygon File Format)のファイル形式に準拠した点群データを生成することができる。PLYのファイル形式では、画素ごとに(x,y,z,R,G,B)の配列データが設定される。
【0113】
点群データ生成部128は、第1処理部92の合成処理部48から出力される合成RGB値(RGBm)と、距離処理部126から出力される座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成してもよい。この場合、例えばPLYのファイル形式を用いて、画素ごとに(x,y,z,Rm,Gm,Bm)の配列データが設定される。
【0114】
点群データ生成部128は、第1処理部92の第1補間処理部40から出力される4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と、距離処理部126から出力される座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成してもよい。この場合の点群データは、座標値(x,y,z)と、第1偏光成分のRGB値(Ra,Ga,Ba)と、第2偏光成分のRGB値(Rb,Gb,Bb)と、第3偏光成分のRGB値(Rc,Gc,Bc)と、第4偏光成分のRGB値(Rd,Gd,Bd)とを画素ごとに対応付ける。例えばPLYのファイル形式を用いて、画素ごとに(x,y,z,Ra,Ga,Ba,Rb,Gb,Bb,Rc,Gc,Bc,Rd,Gd,Bd)の配列データが設定される。4つの偏光成分の設定順は、昇順(例えば、0度、45度、90度、135度の順)であってもよいし、降順(例えば、135度、90度、45度、0度の順)であってもよい。
【0115】
本実施形態によれば、合成RGB値(RGBm)と座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成することができ、白飛びや黒つぶれが抑制された点群データを提供できる。このような点群データに基づいて仮想空間上に被写体の三次元形状をモデリングすることにより、仮想空間上で被写体に仮想照明を適用した場合であっても違和感の少ない三次元モデルを提供することができる。
【0116】
本実施形態によれば、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)と座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成することができる。このような点群データを利用することにより、4つの偏光成分から画素ごとの法線ベクトルを算出することができる。これにより、画素ごとの法線ベクトルと距離情報の点群を利用して被写体の三次元モデルの生成することができる。
【0117】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態に係る撮像装置10Dの構成を模式的に示す図である。撮像装置10Dは、撮像ユニット12Dと、画像処理装置14Dとを備える。以下、第5実施形態について、上述の実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。図面において、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する。
【0118】
撮像ユニット12Dは、撮像レンズ18と、光分割素子140と、第1画像センサ142と、第2画像センサ144と、第3画像センサ146と、照明装置122とを備える。撮像ユニット12Dは、いわゆる三板式カメラであり、撮像レンズ18を通過した入射光16を光分割素子140を用いて3つの光16a,16b,16cに分割する。撮像ユニット12Dは、入射光16を第1画像センサ142、第2画像センサ144および第3画像センサ146のそれぞれで撮像するよう構成される。
【0119】
光分割素子140は、いわゆる三板式プリズムである。第1画像センサ142、第2画像センサ144および第3画像センサ146は、偏光画像センサ、無偏光画像センサまたは距離画像センサである。具体的には、第1画像センサ142、第2画像センサ144および第3画像センサ146の一つが偏光画像センサであり、第1画像センサ142、第2画像センサ144および第3画像センサ146の別の一つが無偏光画像センサであり、第1画像センサ142、第2画像センサ144および第3画像センサ146のさらに別の一つが距離画像センサである。
【0120】
撮像ユニット12Dが備える偏光画像センサは、上述の実施形態に係る偏光画像センサ20と同様に構成される。偏光画像センサは、第1画像信号36を出力する。撮像ユニット12Dが備える無偏光画像センサは、上述の第2実施形態に係る無偏光画像センサ70または第3実施形態に係る無偏光画像センサ70Bと同様に構成される。無偏光画像センサは、第2画像信号86を出力する。撮像ユニット12Dが備える距離画像センサは、上述の第4実施形態に係る距離画像センサ120と同様に構成される。距離画像センサは、パルス信号116に同期して動作し、距離画像信号118を出力する。
【0121】
照明装置122は、上述の第4実施形態と同様に構成される。照明装置122は、パルス信号116に同期して動作し、被写体に向けて赤外照明光124を照射する。
【0122】
画像処理装置14Dは、第1処理部92と、第2処理部94と、加算処理部96と、距離処理部126と、点群データ生成部128Dとを備える。第1処理部92、第2処理部94および加算処理部96は、上述の第2実施形態または第3実施形態と同様に構成されることができる。距離処理部126は、上述の第4実施形態と同様に構成されることができる。
【0123】
点群データ生成部128Dは、加算処理部96から出力される高解像度RGB値(RGBhrまたはRGBhra~RGBhrd)と、距離処理部126から出力される座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する。
【0124】
点群データ生成部128Dは、合成RGB値(RGBm)を用いる高解像度RGB値(Rhr,Ghr,Bhr)と、座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成してもよい。この場合、例えばPLYのファイル形式を用いて、画素ごとに(x,y,z,Rhr,Ghr,Bhr)の配列データが設定される。
【0125】
点群データ生成部128Dは、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)を用いる高解像度RGB値(RGBhra~RGBhrd)と、座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成してもよい。この場合の点群データは、座標値(x,y,z)と、第1偏光成分の高解像度RGB値(Rhra,Ghra,Bhra)と、第2偏光成分の高解像度RGB値(Rhrb,Ghrb,Bhrb)と、第3偏光成分の高解像度RGB値(Rhrc,Ghrc,Bhrc)と、第4偏光成分の高解像度RGB値(Rhrd,Ghrd,Bhrd)とを画素ごとに対応付ける。例えばPLYのファイル形式を用いて、画素ごとに(x,y,z,Rhra,Ghra,Bhra,Rhrb,Ghrb,Bhrb,Rhrc,Ghrc,Bhrc,Rhrd,Ghrd,Bhrd)の配列データが設定される。4つの偏光成分の設定順は、昇順(例えば、0度、45度、90度、135度の順)であってもよいし、降順(例えば、135度、90度、45度、0度の順)であってもよい。
【0126】
本実施形態によれば、合成RGB値(RGBm)を用いた高解像度RGB値(RGBhr)と座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成することができる。点群データのRGB値に高周波成分が加算されているため、高解像度であり、折り返しひずみが抑制され、かつ、白飛びや黒つぶれが抑制されたより好適な点群データを提供できる。このような点群データに基づいて仮想空間上に被写体の三次元形状をモデリングすることにより、仮想空間上で被写体に仮想照明を適用した場合であっても違和感の少ない三次元モデルを提供することができる。
【0127】
本実施形態によれば、4つの偏光成分のRGB値(RGBa~RGBd)を用いた高解像度RGB値(RGBhra~RGBhrd)と座標値(x,y,z)とを画素ごとに対応付けた点群データを生成することができる。点群データの4つの偏光成分のRGB値のそれぞれに高周波成分が加算されているため、高解像度であり、折り返しひずみが抑制されたより好適な点群データを提供できる。このような点群データを利用することにより、4つの偏光成分から画素ごとの法線ベクトルを算出することができる。これにより、画素ごとの法線ベクトルと距離情報の点群を利用して被写体の三次元モデルを生成することができる。
【0128】
図16は、第5実施形態の第1構成例に係る撮像ユニット136を模式的に示す図である。
図16の撮像ユニット136は、
図15の撮像ユニット12Dとして用いることができる。撮像ユニット136は、撮像レンズ138と、光分割素子140と、第1画像センサ142と、第2画像センサ144と、第3画像センサ146と、位相差板148とを備える。
【0129】
光分割素子140は、第1プリズム152と、第2プリズム154と、第3プリズム156とを備える。第1プリズム152は、第1入射面158と、第1分割面160と、第1出射面162とを備える。第2プリズム154は、第2入射面164と、第2分割面166と、第2出射面168とを備える。第3プリズム156は、第3入射面170と、第3出射面172とを備える。第1分割面160と第2入射面164の間にはエアギャップが設けられる。
【0130】
第1入射面158に入射する入射光180は、第1分割面160にて第1反射光182と第1透過光184に分割される。第1分割面160にて反射した第1反射光182は、第1入射面158にて内部全反射した後、第1出射面162を透過して第1画像センサ142に向かう。第1分割面160を透過した第1透過光184は、第2分割面166にて第2反射光186と第2透過光188に分割される。第2分割面166にて反射した第2反射光186は、第2入射面164にて内部全反射した後、第2出射面168を透過して第2画像センサ144に向かう。第2分割面166を透過した第2透過光188は、第3入射面170および第3出射面172を透過して第3画像センサ146に向かう。
【0131】
図16の第1構成例において、第1画像センサ142を偏光画像センサ20とすることができる。第1画像センサ142に向かう第1反射光182は、第1分割面160および第1入射面158にて反射することにより、第1反射光182の偏光状態が変化しうる。つまり、第1反射光182の偏光状態は、入射光180の偏光状態から変化しうる。特に、プリズムと空気の界面である第1入射面158にて第1反射光182が内部全反射するときに、第1反射光182の偏光状態が顕著に変化しうる。第1反射光182の偏光状態が入射光180の偏光状態から変化してしまうと、偏光画像センサ20は、入射光180の偏光状態を正しく計測することができない。
【0132】
図16の第1構成例では、光分割素子140に起因する第1反射光182の偏光状態の変化を補償するため、第1画像センサ142と光分割素子140の間に位相差板148が設けられる。位相差板148は、第1分割面160での反射および第1入射面158での反射の少なくとも一方により生じる第1反射光182のs偏光成分とp偏光成分の位相差を低減または相殺するように位相差が設定される。位相差板148により与えられる位相差の大きさは特に限られないが、例えば、120度程度である。
【0133】
第1画像センサ142を偏光画像センサ20とする場合、第1分割面160は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。ここで「無偏光」とは、偏光への影響が無視できる程度に小さいことをいう。無偏光ビームスプリッタは、ビームスプリッタでの反射前後および透過前後の偏光状態の変化が無視できる程度に小さくなるように構成される。波長依存性のない無偏光ビームスプリッタとして、例えば、金属薄膜を用いることができる。波長依存性のない無偏光のビームスプリッタとして、偏光状態の変化を抑制するように設計された誘電体多層膜を用いることもできる。第1分割面160に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面160にて反射する第1反射光182の偏光状態の変化を抑制できる。
【0134】
第1画像センサ142を偏光画像センサ20とする場合、第2画像センサ144および第3画像センサ146の一方が無偏光画像センサ70または70Bであり、第2画像センサ144および第3画像センサ146の他方が距離画像センサ120である。この場合、第2分割面166は、可視光と赤外光を分離するダイクロイックミラーを備えることが好ましい。ダイクロイックミラーとして、例えば、誘電体多層膜を用いることができる。第2画像センサ144が無偏光画像センサ70または70Bである場合、第2分割面166に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に反射し、赤外光を選択的に透過するように設計される。第2画像センサ144が距離画像センサ120である場合、第2分割面166に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。なお、第2分割面166は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のないビームスプリッタを備えてもよい。
【0135】
図16の第1構成例によれば、光分割素子140を用いることにより、偏光画像センサ20、無偏光画像センサ70または70Bおよび距離画像センサ120のそれぞれを用いて入射光180を撮像し、偏光画像、無偏光画像および距離画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1画像センサ142を偏光画像センサ20とすることにより、偏光画像センサ20に向かう光路上にダイクロイックミラーが配置されない構成とすることができる。これにより、ダイクロイックミラーにおける偏光状態の変化に影響されない偏光画像を得ることができる。また、光分割素子140と偏光画像センサ20(第1画像センサ142)の間に位相差板148を設けることにより、第1分割面160および第1入射面158の少なくとも一方にて生じる第1反射光182の偏光状態の変化を抑制できる。これにより、入射光180に対する偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。
【0136】
図17は、第5実施形態の第2構成例に係る撮像ユニット136Aを模式的に示す図である。第2構成例では、第2画像センサ144と光分割素子140の間に位相差板148Aが設けられる点で、上述の第1実施形態と相違する。以下、第2構成例について、第1構成例との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。
【0137】
撮像ユニット136Aは、撮像レンズ138と、光分割素子140と、第1画像センサ142と、第2画像センサ144と、第3画像センサ146と、位相差板148Aとを備える。第2実施形態では、第2画像センサ144が偏光画像センサ20である。第2実施形態では、第1画像センサ142および第3画像センサ146の一方が無偏光画像センサ70または70Bであり、第1画像センサ142および第3画像センサ146の他方が距離画像センサ120である。
【0138】
第1画像センサ142が無偏光画像センサ70または70Bであり、第3画像センサ146が距離画像センサ120である場合、第1分割面160は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第1分割面160に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面160を透過する第1透過光184の偏光状態の変化を抑制できる。第1画像センサ142が無偏光画像センサ70または70Bであり、第3画像センサ146が距離画像センサ120である場合、第2分割面166は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第2分割面166に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に反射し、赤外光を選択的に透過するように設計される。第2分割面166に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第2分割面166にて反射した第2反射光186の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第2分割面166は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。
【0139】
第1画像センサ142が距離画像センサ120であり、第3画像センサ146が無偏光画像センサ70または70Bである場合、第1分割面160は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。無偏光ダイクロイックミラーとして、例えば、可視域から赤外域にわたって偏光状態の変化を抑制するように設計された誘電体多層膜を用いることができる。第1分割面160に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第1分割面160に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第1分割面160を透過する第1透過光184の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第1分割面160は、ダイクロイックミラーではなく、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。第1画像センサ142が距離画像センサ120であり、第3画像センサ146が無偏光画像センサ70または70Bである場合、第2分割面166は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第2分割面166に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第2分割面166にて反射する第2反射光186の偏光状態の変化を抑制できる。
【0140】
位相差板148Aは、第1分割面160の透過、第2分割面166での反射および第2入射面164での反射の少なくとも一つにより生じる第2反射光186のs偏光成分とp偏光成分の位相差を低減または相殺するように位相差が設定される。位相差板148Aは、光分割素子140に起因する第2反射光186の偏光状態の変化を補償する。特に、プリズムと空気の界面である第2入射面164にて第2反射光186が内部全反射するときに、第2反射光186の偏光状態が顕著に変化しうる。位相差板148Aにより与えられる位相差の大きさは特に限られないが、例えば、120度程度である。
【0141】
図17の第2構成例においても、光分割素子140を用いることにより、偏光画像センサ20、無偏光画像センサ70または70Bおよび距離画像センサ120のそれぞれを用いて入射光180を撮像し、偏光画像、無偏光画像および距離画像を得ることができる。本実施形態によれば、光分割素子140と偏光画像センサ20(第2画像センサ144)の間に位相差板148Aを設けることにより、第1分割面160、第2分割面166および第2入射面164の少なくとも一つにて生じる第2反射光186の偏光状態の変化を抑制することができる。本実施形態によれば、第1分割面160または第2分割面166に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、ダイクロイックミラーにおける偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1分割面160または第2分割面166に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、ビームスプリッタにおける偏光状態の変化が抑制された偏光画像を得ることができる。
【0142】
図18は、第5実施形態の第3構成例に係る撮像ユニット136Bを模式的に示す図である。第3構成例では、位相差板148,148Aが設けられない点で、上述の第1構成例および第2構成例と相違する。以下、第3構成例について、第1構成例および第2構成例の相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。
【0143】
撮像ユニット136Bは、第1画像センサ142と、第2画像センサ144と、第3画像センサ146と、光分割素子140とを備える。第3実施形態では、第3画像センサ146が偏光画像センサ20である。第3実施形態では、第1画像センサ142および第2画像センサ144の一方が無偏光画像センサ70または70Bであり、第1画像センサ142および第2画像センサ144の他方が距離画像センサ120である。
【0144】
第1画像センサ142が無偏光画像センサ70または70Bであり、第2画像センサ144が距離画像センサ120である場合、第1分割面160は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第1分割面160に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第1分割面160を透過する第1透過光184の偏光状態の変化を抑制できる。第1画像センサ142が無偏光画像センサ70または70Bであり、第2画像センサ144が距離画像センサ120である場合、第2分割面166は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第2分割面166に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第2分割面166に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第2分割面166を透過する第2透過光188の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第2分割面166は、ダイクロイックミラーではなく、ハーフミラーなどの波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。
【0145】
第1画像センサ142が距離画像センサ120であり、第2画像センサ144が無偏光画像センサ70または70Bである場合、第1分割面160は、無偏光ダイクロイックミラーであることが好ましい。第1分割面160に設けられるダイクロイックミラーは、可視光を選択的に透過し、赤外光を選択的に反射するように設計される。第1分割面160に無偏光ダイクロイックミラーを設けることにより、第1分割面160を透過する第1透過光184の偏光状態の変化を抑制できる。なお、第1分割面160は、ダイクロイックミラーではなく、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えてもよい。第1画像センサ142が距離画像センサ120であり、第2画像センサ144が無偏光画像センサ70または70Bである場合、第2分割面166は、波長依存性のない無偏光ビームスプリッタを備えることが好ましい。第2分割面166に無偏光ビームスプリッタを設けることにより、第2分割面166を透過する第2透過光188の偏光状態の変化を抑制できる。
【0146】
第3構成例においても、光分割素子140を用いることにより、偏光画像センサ20、無偏光画像センサ70または70Bおよび距離画像センサ120をそれぞれ用いて入射光180を撮像し、偏光画像、無偏光画像および距離画像を得ることができる。本実施形態によれば、第3画像センサ146を偏光画像センサ20とすることにより、偏光画像センサ20に向かう光路上で内部全反射が生じない構成とすることができる。これにより、内部全反射による偏光状態の変化に影響されない偏光画像を得ることができる。本実施形態によれば、第1分割面160および第2分割面166に無偏光のダイクロイックミラーまたはビームスプリッタを設けることにより、第1分割面160および第2分割面166の透過による第2透過光188の偏光状態の変化を抑制できる。これにより、光分割素子140と偏光画像センサ20(第3画像センサ146)の間に位相差板を設けなくても、適切な偏光画像を得ることができる。
【0147】
(第6実施形態)
図19は、第6実施形態に係る内視鏡システム200の構成を模式的に示す図である。内視鏡システム200は、内視鏡202と、画像処理装置204とを備える。内視鏡202は、先端部210を有する挿入部212と、操作部214と、接続部216とを備える。
【0148】
挿入部212は、観察対象の内部に挿入される部分である。挿入部212は、例えば、可撓性を有する部材で構成され、先端部210の近傍を屈曲させることにより先端部210の向きが調整可能となるよう構成される。この場合、内視鏡202は、軟性鏡として構成される。挿入部212は、可撓性を有しない部材で構成されてもよい。この場合、内視鏡202は、硬性鏡として構成される。
【0149】
先端部210は、観察対象の内部の被写体に向けられる部分であり、挿入部212の先端に設けられる。先端部210の内部には撮像ユニット220が設けられる。
【0150】
操作部214は、内視鏡202を使用するユーザが把持する部分である。操作部214は、先端部210の向きを変化させるための操作ノブ(不図示)などが設けられる。
【0151】
接続部216は、内視鏡202を画像処理装置204に接続するためのインターフェースである。撮像ユニット220から出力される画像信号は、挿入部212および操作部214の内部に設けられる伝送ケーブル230を通って接続部216を介して画像処理装置204に伝送される。
【0152】
画像処理装置204は、撮像ユニット220から出力され、伝送ケーブル230を通じて伝送される画像信号を入力として用いる画像処理を実行する。
【0153】
内視鏡システム200は、上述の実施形態に係る撮像装置10,10A,10B,10C,10Dのいずれかを備えることができる。撮像ユニット220は、上述の実施形態に係る撮像ユニット12,12A,12B,12C,12D,136,136A,136Bと同様に構成されることができる。画像処理装置204は、上述の実施形態に係る画像処理装置14,14A,14B,14C,14Dのいずれかと同様に構成されることができる。
【0154】
伝送ケーブル230は、撮像ユニット220から出力される第1画像信号36、第2画像信号86,86Bおよび距離画像信号118の少なくともいずれかを画像処理装置204に伝送することができる。伝送ケーブル230は、画像処理装置204から撮像ユニット220に向けてパルス信号116を伝送することができる。
【0155】
本実施形態によれば、内視鏡202の先端部210に設けられる撮像ユニット220から取得する画像信号を用いて、より明瞭なカラー画像を生成することができる。例えば、4つの偏光成分のRGB値を合成することにより、白飛びや黒つぶれが抑制されたカラー画像を生成できる。また、偏光画像センサ20の出力信号から得られるカラー画像に無偏光画像センサ70,70Bの出力信号から得られる高周波成分を加算することにより、高解像度のカラー画像を生成できる。これにより、高解像度であり、かつ、折り返しひずみが抑制されたカラー画像を生成できる。また、4つの偏光成分のそれぞれのカラー画像に高周波成分を加算することにより、高解像度であり、かつ、折り返しひずみが抑制されたより好適な偏光カラー画像を生成できる。また、距離画像センサをさらに用いることにより、被写体の三次元位置を示す座標値と明瞭なカラー画像に基づくRGB値とを対応付けた点群データを生成できる。これにより、被写体のより好適な三次元モデルを生成することができる。
【0156】
(第7実施形態)
図20は、第7実施形態に係る内視鏡システム200Aの構成を模式的に示す図である。第7実施形態に係る内視鏡システム200Aは、二眼式となるように構成される点で、上述の第6実施形態と相違する。以下、第7実施形態について、第6実施形態との相違点を中心に説明し、共通点については適宜省略する。図面において、第6実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する。
【0157】
内視鏡システム200Aは、内視鏡202Aと、画像処理装置204Aとを備える。内視鏡202Aは、先端部210を有する挿入部212と、操作部214と、接続部216とを備える。
【0158】
先端部210の内部には、第1撮像ユニット222と、第2撮像ユニット224とが設けられる。第1撮像ユニット222および第2撮像ユニット224は、例えば、左右に並列するように設けられる。第1撮像ユニット222および第2撮像ユニット224のそれぞれは、上述の実施形態に係る撮像ユニット12,12A,12B,12C,12D,136,136A,136Bと同様に構成されることができる。
【0159】
挿入部212および操作部214の内部には、第1伝送ケーブル232と、第2伝送ケーブル234とが設けられる。第1伝送ケーブル232は、第1撮像ユニット222から出力される画像信号等を伝送する。第2伝送ケーブル234は、第2撮像ユニット224から出力される画像信号等を伝送する。
【0160】
画像処理装置204Aは、第1画像処理部242と、第2画像処理部244とを備える。第1画像処理部242は、第1撮像ユニット222から出力され、第1伝送ケーブル232を通じて伝送される画像信号を入力として用いる画像処理を実行する。第2画像処理部244は、第2撮像ユニット224から出力され、第2伝送ケーブル234を通じて伝送される画像信号を入力として用いる画像処理を実行する。第1画像処理部242および第2画像処理部244のそれぞれは、上述の実施形態に係る画像処理装置14,14A,14B,14C,14Dのいずれかと同様に構成されることができる。
【0161】
本実施形態によれば、内視鏡202Aの先端部210に設けられる第1撮像ユニット222および第2撮像ユニット224から取得する画像信号を用いて、ステレオ画像を生成することができる。本実施形態によれば、ステレオ画像を構成する左右のカラー画像のそれぞれをより明瞭なカラー画像とすることができる。
【0162】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、各表示例に示す構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。
【0163】
以下、本開示のいくつかの態様について述べる。
【0164】
本開示の第1の態様は、画素ごとに異なる4つの偏光成分を検出する2×2の画素を備える画素群が二次元配列され、RGBのカラーフィルタが前記画素群ごとにベイヤー配列される偏光画像センサと、前記偏光画像センサから出力される画素値を偏光成分ごとに分離して前記4つの偏光成分に対応する4つのベイヤー配列画像を生成し、前記4つのベイヤー配列画像のそれぞれをディベイヤーおよびアップコンバートすることにより、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する補間処理部と、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値から前記4つの偏光成分のそれぞれの輝度値を画素ごとに算出する輝度算出部と、前記4つの偏光成分の輝度値の大きさ順に前記4つの偏光成分を画素ごとに順位付けするランク処理部と、少なくとも2位および3位を含む複数の偏光成分の輝度値を合成した基準輝度値を画素ごとに算出する基準生成部と、a)前記輝度値が所定の閾値に一致する場合、前記複数の偏光成分のRGB値を合成した基準RGB値を出力し、b)前記基準輝度値が前記閾値よりも小さい場合、1位および2位の偏光成分のRGB値を合成した上位RGB値と前記基準RGB値とを合成した合成RGB値を出力し、c)前記基準輝度値が前記閾値よりも小さい場合、3位および4位の偏光成分のRGB値を合成した下位RGB値と前記基準RGB値とを合成した合成RGB値を出力する合成処理部と、を備える撮像装置である。
【0165】
第1の態様において、前記合成処理部は、b)前記基準輝度値が前記閾値より小さい画素の場合、前記基準輝度値が小さくなるにつれて前記上位RGB値の合成の重み付けを大きくし、c)前記基準輝度値が前記閾値より大きい画素の場合、前記基準輝度値が大きくなるにつれて前記下位RGB値の合成の重み付けを大きくしてもよい。
【0166】
第1の態様において、前記撮像装置は、前記偏光画像センサの前記画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサと、入射光を前記偏光画像センサに向かう光と、前記無偏光画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、前記画像センサの出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部と、前記合成処理部から出力されるRGB値に前記高周波成分を画素ごとに加算し、高解像度画像を生成する加算処理部と、さらに備えてもよい。
【0167】
第1の態様において、前記撮像装置は、被写体までの距離を計測する距離画像センサと、入射光を前記偏光画像センサに向かう光と、前記距離画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、前記距離画像センサの出力信号を用いて前記被写体の三次元位置を示す座標値を画素ごとに算出する三次元位置算出部と、前記合成処理部から出力されるRGB値と、前記三次元位置算出部によって算出される座標値とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する点群データ生成部と、をさらに備えてもよい。
【0168】
第1の態様において、前記撮像装置は、前記偏光画像センサの前記画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサと、被写体までの距離を計測する距離画像センサと、入射光を前記偏光画像センサに向かう光と、前記無偏光画像センサに向かう光と、前記距離画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、前記画像センサの出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部と、前記合成処理部から出力されるRGB値に前記高周波成分を画素ごとに加算し、高解像度画像を生成する加算処理部と、前記距離画像センサの出力信号を用いて前記被写体の三次元位置を示す座標値を画素ごとに算出する三次元位置算出部と、前記加算処理部によって生成される高解像度画像のRGB値と、前記三次元位置算出部によって算出される座標値とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する点群データ生成部と、をさらに備えてもよい。
【0169】
本開示の第2の態様は、画素ごとに異なる4つの偏光成分を検出する2×2の画素を備える画素群が二次元配列され、RGBのカラーフィルタが前記画素群ごとにベイヤー配列される偏光画像センサと、前記偏光画像センサの前記画素群の配列数よりも多い画素数の画素が二次元配列される無偏光画像センサと、入射光を前記偏光画像センサに向かう光と、前記無偏光画像センサに向かう光とに分割する光分割素子と、前記偏光画像センサから出力される画素値を偏光成分ごとに分離して前記4つの偏光成分に対応する4つのベイヤー配列画像を生成し、前記4つのベイヤー配列画像のそれぞれをディベイヤーおよびアップコンバートすることにより、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値を画素ごとに算出する補間処理部と、前記無偏光画像センサの出力画像を用いて画素ごとの高周波成分を抽出する高周波抽出部と、前記補間処理部から出力される前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に前記高周波成分を画素ごとに加算し、前記4つの偏光成分に対応する4つの高解像度画像を生成する加算処理部と、を備える撮像装置である。
【0170】
第1の態様または第2の態様において、前記無偏光画像センサは、RGBのカラーフィルタが画素ごとにベイヤー配列されるカラー画像センサであり、前記高周波抽出部は、前記無偏光画像センサから出力されるベイヤー配列画像をディベイヤーすることにより算出される画素ごとのRGB値から高周波成分を抽出し、前記加算処理部は、前記4つの偏光成分のそれぞれのRGB値に前記高周波成分を示すRGB値を画素ごとに加算してもよい。
【0171】
第1の態様または第2の態様において、前記無偏光画像センサは、カラーフィルタを備えないモノクロ画像センサであり、前記高周波抽出部は、前記モノクロ画像センサから出力される画素ごとの輝度値から高周波成分を抽出し、前記加算処理部は、前記4つの偏光成分のRGB値のそれぞれに前記高周波成分を示す輝度値を画素ごとに加算してもよい。
【0172】
第2の態様において、前記撮像装置は、被写体までの距離を計測する距離画像センサをさらに備え、前記光分割素子は、前記入射光を前記距離画像センサに向かう光にさらに分割し、前記距離画像センサの出力信号を用いて前記被写体の三次元位置を示す座標値を画素ごとに算出する三次元位置算出部と、前記加算処理部から出力される前記4つの高解像度画像のそれぞれのRGB値と、前記三次元位置算出部によって算出される座標値とを画素ごとに対応付けた点群データを生成する点群データ生成部と、をさらに備えてもよい。
【0173】
本開示の第3の態様は、第1の態様または第2の態様の撮像装置を備える内視鏡システムである。前記内視鏡システムは、被写体に向けられる先端部を有する挿入部を備え、前記挿入部内に伝送ケーブルが設けられる内視鏡と、前記伝送ケーブルを介して信号を取得する画像処理装置と、を備える。
【0174】
第3の態様において、前記先端部内に前記偏光画像センサが設けられ、前記伝送ケーブルは、前記偏光画像センサの出力信号を伝送し、前記画像処理装置は、前記補間処理部、前記輝度算出部、前記ランク処理部、前記基準生成部および前記合成処理部を備え、前記偏光画像センサの出力信号を取得してもよい。
【0175】
第3の態様において、前記先端部内に前記偏光画像センサ、前記無偏光画像センサおよび前記光分割素子が設けられ、前記伝送ケーブルは、前記偏光画像センサおよび前記無偏光画像センサの出力信号を伝送し、前記画像処理装置は、前記補間処理部、前高周波抽出部および前記加算処理部を備え、前記偏光画像センサおよび前記無偏光画像センサの出力信号を取得してもよい。
【符号の説明】
【0176】
10,10A,10B,10C,10D…撮像装置、12,12A,12B,12C,12D…撮像ユニット、14,14A,14B,14C,14D…画像処理装置、16…入射光、18…撮像レンズ、20…偏光画像センサ、22…光検出層、24…偏光子層、26…カラーフィルタ層、28…マイクロレンズ層、30…画素、32…画素群、34…画素組、38…信号取得部、40…補間処理部、42…輝度算出部、44…ランク処理部、46…基準生成部、48…合成処理部、60…基準合成部、62…上位合成部、64…下位合成部、66…係数算出部、68…出力合成部、70,70B…無偏光画像センサ、72…光検出層、76…カラーフィルタ層、78…マイクロレンズ層、80,80C…光分割素子、82…画素、84…画素群、96,96B…加算処理部、102,102B…高周波抽出部、120…距離画像センサ、128,128D…点群データ生成部、134…三次元位置算出部、140…光分割素子、200,200A…内視鏡システム、202,202A…内視鏡、204,204A…画像処理装置、210…先端部、212…挿入部、220…撮像ユニット、230…伝送ケーブル。