IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図1
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図2
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図3
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図4
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図5
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図6
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図7
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図8
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図9
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図10
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図11
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図12
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図13
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図14
  • 特開-メモリシステム及び電源制御回路 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116848
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】メモリシステム及び電源制御回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/14 20060101AFI20240821BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G11C5/14 320
H02M3/00 B
G11C5/14 100
G11C5/14 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022669
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】日部 雄太
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 建吾
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB82
5H730XC00
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制しつつ適時に電源オフ状態にさせる。
【解決手段】一実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラと、不揮発性メモリと、主電源から電力を供給されるように構成された電源制御回路と、を備える。電源制御回路は、バックアップ電源と、主電源又はバックアップ電源から供給される電力に基づいて、メモリコントローラに電力を供給するように構成された第1コンバータと、主電源又はバックアップ電源から供給される電力に基づいて、不揮発性メモリに電力を供給するように構成された第2コンバータと、主電源及びバックアップ電源からの電力の供給が停止された後、バックアップ電源に残留する電力に基づいて、第2コンバータに残留する電力を放電するように構成された放電回路と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリコントローラと、
不揮発性メモリと、
主電源から電力を供給されるように構成された電源制御回路と、を備え、
前記電源制御回路は、
バックアップ電源と、
前記主電源又は前記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、前記メモリコントローラに電力を供給するように構成された第1コンバータと、
前記主電源又は前記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、前記不揮発性メモリに電力を供給するように構成された第2コンバータと、
前記主電源及び前記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、前記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、前記第2コンバータに残留する電力を放電するように構成された放電回路と、
を含む、メモリシステム。
【請求項2】
前記放電回路は、
前記バックアップ電源に接続された第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第1トランジスタと、
前記第1コンバータと前記不揮発性メモリとの間に接続された第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第2トランジスタと、
を含む、請求項1記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記第1抵抗の抵抗値は、10kΩ以上100kΩ以下である、
請求項2記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記第2抵抗の抵抗値は、100Ω以上1kΩ以下である、
請求項2記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記放電回路は、前記主電源及び前記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、前記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、前記第1コンバータに残留する電力を更に放電するように構成される、
請求項1記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記放電回路は、
前記バックアップ電源に接続された第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第1トランジスタと、
前記第1コンバータと前記不揮発性メモリとの間に接続された第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第2トランジスタと、
前記第2コンバータと前記メモリコントローラとの間に接続された第1端を有する第3抵抗と、
前記第3抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第3トランジスタと、
を含む、請求項5記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記主電源又は前記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、前記第1コンバータ及び前記第2コンバータに電力を供給するように構成された制御回路を更に備え、
前記放電回路は、前記主電源及び前記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、前記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、前記制御回路に残留する電力を更に放電するように構成される、
請求項1記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記放電回路は、
前記バックアップ電源に接続された第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第1トランジスタと、
前記第1コンバータと前記不揮発性メモリとの間に接続された第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第2トランジスタと、
前記制御回路と前記第1コンバータ及び前記第2コンバータとの間に接続された第1端を有する第4抵抗と、
前記第4抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第4トランジスタと、
を含む、請求項7記載のメモリシステム。
【請求項9】
バックアップ電源と、
外部の主電源又は前記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、外部のデバイスに電力を供給するように構成されたコンバータと、
前記主電源及び前記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、前記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、前記コンバータに残留する電力を放電するように構成された放電回路と、
を含む、電源制御回路。
【請求項10】
前記放電回路は、
前記バックアップ電源に接続された第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第1トランジスタと、
前記コンバータと前記デバイスとの間に接続された第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第2トランジスタと、
を含む、請求項9記載の電源制御回路。
【請求項11】
前記主電源又は前記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、前記コンバータに電力を供給するように構成された制御回路を更に備え、
前記放電回路は、前記主電源及び前記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、前記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、前記制御回路に残留する電力を更に放電するように構成される、
請求項9記載の電源制御回路。
【請求項12】
前記放電回路は、
前記バックアップ電源に接続された第1端を有する第1抵抗と、
前記第1抵抗に直列接続される第1トランジスタと、
前記コンバータと前記デバイスとの間に接続された第1端を有する第2抵抗と、
前記第2抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第2トランジスタと、
前記制御回路と前記コンバータとの間に接続された第1端を有する第4抵抗と、
前記第4抵抗に直列接続され、前記第1抵抗と前記第1トランジスタとの間に接続される制御端を有する第4トランジスタと、
を含む、請求項11記載の電源制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、メモリシステム及び電源制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリと、メモリコントローラと、電源制御回路と、を備えるメモリシステムが知られている。不揮発性メモリは、データを不揮発に記憶する。メモリコントローラは、不揮発性メモリを制御する。電源制御回路は、不揮発性メモリ及びメモリコントローラに電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8233346号明細書
【特許文献2】米国特許第9819223号明細書
【特許文献3】米国特許第11302401号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消費電力を抑制しつつ、適時に電源オフ状態にさせるメモリシステム及び電源制御回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラと、不揮発性メモリと、主電源から電力を供給されるように構成された電源制御回路と、を備える。上記電源制御回路は、バックアップ電源と、上記主電源又は上記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、上記メモリコントローラに電力を供給するように構成された第1コンバータと、上記主電源又は上記バックアップ電源から供給される電力に基づいて、上記不揮発性メモリに電力を供給するように構成された第2コンバータと、上記主電源及び上記バックアップ電源からの電力の供給が停止された後、上記バックアップ電源に残留する電力に基づいて、上記第2コンバータに残留する電力を放電するように構成された放電回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図。
図4】第1実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図。
図5】第1実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図。
図6】第2実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図。
図7】第2実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図。
図8】第2実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図。
図9】第2実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図。
図10】第2実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図。
図11】第3実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図。
図12】第3実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図。
図13】第3実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図。
図14】第3実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図。
図15】第3実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。説明に際し、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、以下に示す実施形態は、技術的思想を例示するものである。実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0008】
1.第1実施形態
1.1 構成
1.1.1 情報処理システム
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム1は、ホスト2及びメモリシステム3を含む。ホスト2及びメモリシステム3は、ホストバスHBを介して接続される。ホストバスHBは、例えば、SATA(Serial advanced technology attachment)、又はPCIeTM(PCI express)等に準拠したバスである。
【0009】
ホスト2は、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、またはサーバ等の電子機器である。ホスト2は、主電源4を含む。主電源4は、電源線LINを介して電力をメモリシステム3に供給する。
【0010】
メモリシステム3は、メモリカード、またはSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体である。メモリシステム3は、メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、及び電源制御回路30を含む。メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、及び電源制御回路30は、同一の基板上に設けられる。メモリコントローラ10及び不揮発性メモリ20は、メモリバスMBを介して接続される。メモリバスMBは、例えば、SDR(Single data rate)インタフェース、トグルDDR(Double data rate)インタフェース、又はONFI(Open NAND flash interface)等に準拠したバスである。
【0011】
メモリコントローラ10は、SoC(System-on-a-Chip)のようなIC(Integrated Circuit)チップである。メモリコントローラ10は、受信した要求に基づいて不揮発性メモリ20を制御する。
【0012】
不揮発性メモリ20は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。不揮発性メモリ20は、不揮発にデータを記憶する。
【0013】
電源制御回路30は、メモリコントローラ10及び不揮発性メモリ20に電力を供給するように構成されたICチップである。
【0014】
1.1.2 電源制御回路
次に、電源制御回路30の内部構成について、引き続き図1を用いて説明する。電源制御回路30は、バックアップ電源31、制御回路32、コンバータ33、コンバータ34、及び放電回路35を備える。
【0015】
バックアップ電源31は、例えば、電池及び/又はキャパシタである。バックアップ電源31は、電源線LPLPを介して電力を制御回路32に供給する。
【0016】
制御回路32は、電源制御回路30を制御する回路である。制御回路32は、主電源4から電力が供給される場合、主電源4から供給される電力を用いて、バックアップ電源31を充電すると共に、電源線Lを介してコンバータ33及びコンバータ34に電力を供給する。制御回路32は、主電源4から電力が供給されない場合、バックアップ電源31に充電された電力を用いて、電源線Lを介してコンバータ33及びコンバータ34に電力を供給する。
【0017】
コンバータ33は、DC/DCコンバータである。コンバータ33は、制御回路32から供給される電力を用いて、電源線LOUT1を介してメモリコントローラ10に電力を供給する。
【0018】
コンバータ34は、DC/DCコンバータである。コンバータ34は、制御回路32から供給される電力を用いて、電源線LOUT2を介して不揮発性メモリ20に電力を供給する。
【0019】
放電回路35は、放電動作を実行するように構成された回路である。第1実施形態における放電動作は、コンバータ34に残留する電力を、電源線LOUT2を介して放電する動作である。放電回路35は、バックアップ電源31から供給される電力を用いて、駆動される。
【0020】
1.1.3 放電回路
図2は、第1実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図である。放電回路35は、抵抗R1、抵抗R2、トランジスタTR1、及びトランジスタTR2を含む。
【0021】
抵抗R1は、例えば、10kΩ以上100kΩ以下の値を有する抵抗である。抵抗R1は、電源線LPLPに接続される第1端と、ノードN1に接続される第2端とを有する。
【0022】
トランジスタTR1は、例えば、N型の電界効果トランジスタである。トランジスタTR1は、ノードN1に接続される第1端と、電圧VSSに接地される第2端と、信号PGが印加される制御端とを有する。電圧VSSは、例えば、0Vである。信号PGは、制御回路32によって生成される。
【0023】
抵抗R2は、例えば、100Ω程度(100Ω以上1kΩ以下)の値を有する抵抗である。抵抗R2は、電源線LOUT2に接続される第1端と、トランジスタTR2の第1端に接続される第2端とを有する。
【0024】
トランジスタTR2は、例えば、N型の電界効果トランジスタである。トランジスタTR2は、第1端と、電圧VSSに接地される第2端と、ノードN1に接続される制御端とを有する。
【0025】
1.2 動作
1.2.1 放電動作
図3は、第1実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図である。
【0026】
放電動作が実行される前の期間において、制御回路32は、“H”レベルの信号PGを生成する。“H”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オン状態となる。これに伴い、抵抗R1及びトランジスタTR1を介して、電流I1が流れる。電流I1が流れる場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧から、トランジスタTR2をオフ状態にさせる程度に低下する。このため、トランジスタTR2がオフ状態であるので、抵抗R2及びトランジスタTR2には、電流が流れない。なお、電流I1によって抵抗R1及びトランジスタTR1で消費される電力は、無視できる程度に小さい。
【0027】
次に、放電回路35における放電動作について、図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図である。
【0028】
放電動作が実行される期間において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGを生成する。“L”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オフ状態となる。これにより、抵抗R1及びトランジスタTR1には、電流I1が流れない。電流I1が流れない場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧と同程度となる。電源線LPLPの電圧は、トランジスタTR2をオン状態にする。これに伴い、抵抗R2及びトランジスタTR2を介して、電流I2が流れる。このため、コンバータ34に残留する電力が、電源線LOUT2を介して、抵抗R2及びトランジスタTR2で消費される。
【0029】
1.2.2 電源オフ動作
図5は、第1実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図である。電源オフ動作とは、メモリシステム3を電源オン状態から電源オフ状態へと遷移させる動作である。図5では、メモリシステム3が電源オン状態から電源オフ状態へと遷移する期間における電源線LIN、LPLP、L、LOUT1、及びLOUT2の電圧、並びに信号PGのレベルの波形の一例が示される。図5に示される波形図の縦軸は、電圧を意味する。図5に示される波形図の横軸は、時間を意味する。
【0030】
メモリシステム3が電源オン状態から電源オフ状態へと遷移する期間は、時刻T1、T2、及びT3を含む。時刻T1は、制御回路32への電力供給元が主電源4からバックアップ電源31に切り替わる時刻である。時刻T2は、バックアップ電源31から制御回路32への電力供給が停止される時刻である。時刻T3は、放電動作が開始する時刻である。
【0031】
時刻T1に至るまで、主電源4は、制御回路32に電力を供給する。制御回路32は、主電源4から供給される電力に基づき、バックアップ電源31を充電しつつ、コンバータ33及びコンバータ34に電力を供給する。これに伴い、電源線LINには、電圧VINが印加される。電源線LPLPには、電圧VPLP_ONが印加される。電源線Lには、電圧VB_ONが印加される。電圧VINは、例えば、12Vである。電圧VPLP_ONは、例えば、28Vである。電圧VB_ONは、例えば、12Vである。また、制御回路32は、“H”レベルの信号PGによってコンバータ33及びコンバータ34をオン状態にする。コンバータ33は、制御回路32から供給される電力を用いて、メモリコントローラ10に電力を供給する。コンバータ34は、制御回路32から供給される電力を用いて、不揮発性メモリ20に電力を供給する。これに伴い、電源線LOUT1には、電圧VOUT1_ONが印加される。電源線LOUT2には、電圧VOUT2_ONが印加される。電圧VOUT1_ONは、例えば、0.8Vである。電圧VOUT2_ONは、例えば、2.6Vである。
【0032】
時刻T1において、主電源4は、制御回路32への電力の供給を停止する。これに伴い、電源線LINには、電圧VSSが印加される。
【0033】
時刻T1から時刻T2の間、バックアップ電源31は、制御回路32に電力を供給する。制御回路32は、バックアップ電源31から供給される電力を用いて、コンバータ33及びコンバータ34に電力を供給する。これに伴い、電源線LPLPの電圧は、バックアップ電源31に充電された電力の消費に応じて、電圧VPLP_ONから電圧VPLP_OFFに低下する。電源線Lの電圧は、電圧VB_ONを維持する。電圧VPLP_OFFは、例えば、6Vである。
【0034】
時刻T2において、電源線LPLPの電圧が電圧VPLP_OFFに達したことに応じて、制御回路32は、コンバータ33及びコンバータ34への電力の供給を停止する。これに伴い、電源線Lの電圧は、電圧VB_OFFに速やかに低下する。電圧VB_OFFは、例えば、3Vである。時刻T2以降、電源線Lの電圧は、電圧VB_OFFから電圧VSSの間に維持される。
【0035】
時刻T3において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGによってコンバータ33及びコンバータ34をオフ状態にする。放電回路35は、電源線LOUT2に放電経路を形成する。これに伴い、電源線LOUT2の電圧は、電圧VSSに速やかに低下する。電源線LOUT1の電圧は、電圧VOUT1_OFFに速やかに低下する。電圧VOUT1_OFFは、例えば、0.5Vである。時刻T3以降、電源線LOUT1の電圧は、電圧VOUT1_OFFから電圧VSSの間に維持される。
【0036】
1.3 第1実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、放電回路35は、主電源4からの電力の供給が停止された後、バックアップ電源31に残留する電力を用いて、コンバータ34に残留する電力を放電するように構成される。これにより、電源オフ動作の後、コンバータ34に残留する電力に起因して不揮発性メモリ20が電源オン状態を維持することを回避できる。このため、電源オン動作の際に、電源オン状態が維持されている不揮発性メモリ20と、電源オフ状態のメモリコントローラ10との間の通信にエラーが発生することを抑制できる。
【0037】
また、第1実施形態によれば、放電回路35は、2個の抵抗と、2個のトランジスタにより構成される。これにより、放電回路35は、リレー等を用いた複雑な回路構成を有する放電回路よりも、製造コストを抑制できる。
【0038】
また、第1実施形態によれば、抵抗R1は、高抵抗となるように設計される。これにより、抵抗R1で消費される電力を無視できる程度に小さくすることができる。このため、電源制御回路30で消費される電力を抑制できる。
【0039】
また、第1実施形態によれば、抵抗R2は、低抵抗となるように設計される。これにより、コンバータ34に残留する電力を速やかに放電できる。
【0040】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係るメモリシステムについて説明する。第2実施形態では、電源線LOUT2に加えて、電源線LOUT1にも放電経路が形成される点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び動作については、説明を適宜省略する。
【0041】
2.1 電源制御回路
図6は、第2実施形態に係る情報システムの構成の一例を示すブロック図である。図6は、第1実施形態における図1に対応する。
【0042】
第2実施形態に係る情報処理システム1は、ホスト2及びメモリシステム3を含む。第2実施形態に係るメモリシステム3は、メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、及び電源制御回路30を含む。第2実施形態に係る電源制御回路30は、バックアップ電源31、制御回路32、コンバータ33、コンバータ34、及び放電回路35Aを備える。ホスト2、メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、バックアップ電源31、制御回路32、コンバータ33、及びコンバータ34の構成は、第1実施形態と同等である。
【0043】
放電回路35Aは、放電動作を実行するように構成された回路である。第2実施形態における放電動作は、電源線LOUT1を介してコンバータ33に残留する電力を放電すると共に、電源線LOUT2を介してコンバータ34に残留する電力を放電する動作である。放電回路35Aは、バックアップ電源31から供給される電力に基づき、駆動される。
【0044】
2.2 放電回路
図7は、第2実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図である。図7は、第1実施形態における図2に対応する。放電回路35Aは、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、トランジスタTR1、トランジスタTR2、及びトランジスタTR3を含む。抵抗R1、抵抗R2、トランジスタTR1、及びトランジスタTR2の構成は、第1実施形態と同等である。
【0045】
抵抗R3は、例えば、抵抗R2と同程度の値を有する低抵抗である。抵抗R3は、電源線LOUT1に接続される第1端と、トランジスタTR3の第1端に接続される第2端とを有する。
【0046】
トランジスタTR3は、例えば、N型の電界効果トランジスタである。トランジスタTR3は、第1端と、電圧VSSに接地される第2端と、ノードN1に接続される制御端とを有する。
【0047】
2.3 放電動作
図8は、第2実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図である。
【0048】
放電動作が実行される前の期間において、制御回路32は、“H”レベルの信号PGを生成する。“H”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オン状態となる。これに伴い、抵抗R1及びトランジスタTR1を介して、電流I1が流れる。電流I1が流れる場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧から、トランジスタTR2及びトランジスタTR3をオフ状態にさせる程度に低下する。このため、トランジスタTR2及びトランジスタTR3がオフ状態であるので、抵抗R2、トランジスタTR2、抵抗R3、及びトランジスタTR3には、電流が流れない。
【0049】
次に、放電回路35Aにおける放電動作について、図9を用いて説明する。図9は、第2実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図である。
【0050】
放電動作が実行される期間において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGを生成する。“L”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オフ状態となる。これにより、抵抗R1及びトランジスタTR1には、電流I1が流れない。電流I1が流れない場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧と同程度となる。電源線LPLPの電圧は、トランジスタTR2及びトランジスタTR3をオン状態にする。これに伴い、抵抗R2及びトランジスタTR2を介して電流I2が流れると共に、抵抗R3及びトランジスタTR3を介して電流I3が流れる。このため、コンバータ33に残留する電力が電源線LOUT1を介して抵抗R3及びトランジスタTR3で消費されると共に、コンバータ34に残留する電力が電源線LOUT2を介して抵抗R2及びトランジスタTR2で消費される。
【0051】
2.4 電源オフ動作
図10は、第2実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図である。図10に示される波形図の縦軸は、電圧を意味する。図10に示される波形図の横軸は、時間を意味する。図10は、第1実施形態における図5に対応する。
【0052】
時刻T3に至るまでの第2実施形態に係る電源オフ動作は、第1実施形態に係る電源オフ動作と同等である。
【0053】
時刻T3において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGによってコンバータ33及びコンバータ34をオフ状態にする。放電回路35は、電源線LOUT1及び電源線LOUT2に放電経路を形成する。これに伴い、電源線LOUT1及び電源線LOUT2の電圧は、電圧VSSに速やかに低下する。
【0054】
2.5 第2実施形態に係る効果
放電回路35Aは、主電源4及びバックアップ電源31からの電力の供給が停止された後、バックアップ電源31に残留する電力を用いて、コンバータ33に残留する電力を放電するように構成される。これにより、電源オフ動作の後、コンバータ33に残留する電力に起因してメモリコントローラ10が電源オン状態を維持することを回避できる。このため、電源オン動作の際に通信エラーが発生する可能性を更に抑制できる。
【0055】
また、第2実施形態によれば、放電回路35Aは、3個の抵抗と、3個のトランジスタにより構成される。これにより、放電回路35Aは、リレー等を用いた複雑な回路構成を有する放電回路よりも、製造コストを抑制できる。
【0056】
また、第2実施形態によれば、抵抗R3は、低抵抗となるように設計される。これによりコンバータ33に残留する電力を速やかに放電できる。
【0057】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るメモリシステムについて説明する。第3実施形態では、電源線LOUT2に加えて、電源線Lにも放電経路が形成される点において、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び動作については、説明を適宜省略する。
【0058】
3.1 電源制御回路
図11は、第3実施形態に係る情報システムの構成の一例を示すブロック図である。図11は、第1実施形態における図1に対応する。
【0059】
第3実施形態に係る情報処理システム1は、ホスト2及びメモリシステム3を含む。第3実施形態に係るメモリシステム3は、メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、及び電源制御回路30を含む。第3実施形態に係る電源制御回路30は、バックアップ電源31、制御回路32、コンバータ33、コンバータ34、及び放電回路35Bを備える。ホスト2、メモリコントローラ10、不揮発性メモリ20、バックアップ電源31、制御回路32、コンバータ33、及びコンバータ34の構成は、第1実施形態と同等である。
【0060】
放電回路35Bは、放電動作を実行するように構成された回路である。第3実施形態における放電動作は、電源線Lを介して制御回路32に残留する電力を放電すると共に、電源線LOUT2を介してコンバータ34に残留する電力を放電する動作である。放電回路35Bは、バックアップ電源31から供給される電力に基づき、駆動される。
【0061】
3.2 放電回路
図12は、第3実施形態に係る放電回路の構成の一例を示す回路図である。図12は、第1実施形態における図2に対応する。放電回路35Bは、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、トランジスタTR1、トランジスタTR2、及びトランジスタTR4を含む。抵抗R1、抵抗R2、トランジスタTR1、及びトランジスタTR2の構成は、第1実施形態と同等である。
【0062】
抵抗R4は、例えば、抵抗R2と同程度の値を有する低抵抗である。抵抗R4は、電源線Lに接続される第1端と、トランジスタTR4の第1端に接続される第2端とを有する。
【0063】
トランジスタTR4は、例えば、N型の電界効果トランジスタである。トランジスタTR4は、第1端と、電圧VSSに接地される第2端と、ノードN1に接続される制御端とを有する。
【0064】
3.3 放電動作
図13は、第3実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される前の状態の一例を示す図である。
【0065】
放電動作が実行される前の期間において、制御回路32は、“H”レベルの信号PGを生成する。“H”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オン状態となる。これに伴い、抵抗R1及びトランジスタTR1を介して、電流I1が流れる。電流I1が流れる場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧から、トランジスタTR2及びトランジスタTR4をオフ状態にさせる程度に低下する。このため、トランジスタTR2及びトランジスタTR4がオフ状態であるので、抵抗R2、トランジスタTR2、抵抗R4、及びトランジスタTR4には、電流が流れない。
【0066】
次に、放電回路35Bにおける放電動作について、図14を用いて説明する。図14は、第3実施形態に係る放電回路における放電動作が実行される状態の一例を示す図である。
【0067】
放電動作が実行される期間において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGを生成する。“L”レベルの信号PGにより、トランジスタTR1は、オフ状態となる。これにより、抵抗R1及びトランジスタTR1には、電流I1が流れない。
電流I1が流れない場合、ノードN1における電圧は、電源線LPLPの電圧と同程度となる。電源線LPLPの電圧は、トランジスタTR2及びトランジスタTR4をオン状態にする。これに伴い、抵抗R2及びトランジスタTR2を介して電流I2が流れると共に、抵抗R4及びトランジスタTR4を介して電流I4が流れる。このため、制御回路32に残留する電力が電源線Lを介して抵抗R4及びトランジスタTR4で消費されると共に、コンバータ34に残留する電力が電源線LOUT2を介して抵抗R3及びトランジスタTR3で消費される。
【0068】
3.4 電源オフ動作
図15は、第3実施形態に係る電源制御回路における電源オフ動作の一例を示す波形図である。図15に示される波形図の縦軸は、電圧を意味する。図15に示される波形図の横軸は、時間を意味する。図15は、第1実施形態における図5に対応する。
【0069】
時刻T3に至るまでの第3実施形態に係る電源オフ動作は、第1実施形態に係る電源オフ動作と同等である。
【0070】
時刻T3において、制御回路32は、“L”レベルの信号PGによってコンバータ33及びコンバータ34をオフ状態にする。放電回路35は、電源線L及び電源線LOUT2に放電経路を形成する。これに伴い、電源線L及び電源線LOUT2の電圧は、電圧VSSに速やかに低下する。電源線LOUT1の電圧は、電圧VOUT1_OFFに速やかに低下する。時刻T3以降、電源線LOUT1の電圧は、電圧VOUT1_OFFから電圧VSSの間に維持される。
【0071】
3.4 第3実施形態に係る効果
放電回路35Bは、主電源4及びバックアップ電源31からの電力の供給が停止された後、バックアップ電源31に残留する電力を用いて、制御回路32に残留する電力を放電するように構成される。これにより、電源オフ動作の後、制御回路32に残留する電力に起因してコンバータ33及びコンバータ34が電源オン状態を維持することを回避できる。このため、電源オン動作の際に通信エラーが発生する可能性を更に抑制できる。
【0072】
また、第3実施形態によれば、放電回路35Bは、3個の抵抗と、3個のトランジスタにより構成される。これにより、放電回路35Bは、リレー等を用いた複雑な回路構成を有する放電回路よりも、製造コストを抑制できる。
【0073】
また、第3実施形態によれば、抵抗R4は、低抵抗となるように設計される。これにより制御回路32に残留する電力を速やかに放電できる。
【0074】
実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0075】
1…情報処理システム
2…ホスト
3…メモリシステム
4…主電源
10…メモリコントローラ
20…不揮発性メモリ
30…電源制御回路
31…バックアップ電源
32…制御回路
33,34…コンバータ
35,35A,35B…放電回路
HB…ホストバス
MB…メモリバス
IN,LPLP,L,LOUT1,LOUT2…電源線
R1,R2,R3,R4…抵抗
TR1,TR2,TR3,TR4…トランジスタ
PG…信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15