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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116866
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022696
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】三島 海斗
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA30
2C056HA32
2C056HA38
(57)【要約】
【課題】キャリッジが有する複数のガイドローラと、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するキャリッジ保持部材に形成されるガイドレールとによって、主走査方向に移動するキャリッジが案内されるインクジェットプリンタにおいて、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】このインクジェットプリンタでは、キャリッジ4を主走査方向に案内するための複数のガイドローラ33~36は、インクジェットヘッド3が取り付けられるキャリッジ本体32に回転可能に取り付けられ、キャリッジ保持部材6に、ガイドローラ33~36が接触する接触面が形成されるガイドレール6a、6bが形成されている。複数のガイドローラ33~36のうちのガイドローラ33の外径は、ガイドローラ33を除いた残りのガイドローラ34~36の外径と異なっている
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に向かってインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、主走査方向に前記キャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構と、主走査方向に細長い細長形状に形成されるとともに主走査方向への移動が可能となるように前記キャリッジを保持するキャリッジ保持部材とを備え、
前記キャリッジは、前記インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジ本体と、前記キャリッジを主走査方向に案内するための複数のガイドローラとを備え、
複数の前記ガイドローラは、前記キャリッジ本体に回転可能に取り付けられ、
前記キャリッジ保持部材には、前記ガイドローラが接触する接触面が形成されるガイドレールが形成され、
複数の前記ガイドローラのうちの少なくとも1個の前記ガイドローラの外径と、このガイドローラを除いた残りの前記ガイドローラの外径とが異なっていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記キャリッジは、複数の前記ガイドローラからなるガイドローラ群を備え、
上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向の一方側を前側とし、副走査方向の他方側を後ろ側とすると、
前記キャリッジ本体は、前記キャリッジ保持部材の前側に配置され、
前記ガイドローラ群は、前記キャリッジ本体の上端側に取り付けられる前記ガイドローラとしての第1ガイドローラおよび第2ガイドローラと、前記キャリッジ本体の下端側に取り付けられる前記ガイドローラとしての第3ガイドローラおよび第4ガイドローラとを備えるとともに、主走査方向における前記キャリッジ本体の両端側のそれぞれの後端部に取り付けられ、
前記キャリッジ保持部材には、前記第1ガイドローラが前側から接触する前記接触面としての第1接触面と前記第2ガイドローラが斜め後ろ上側から接触する前記接触面としての第2接触面とが形成される前記ガイドレールとしての第1ガイドレールと、前記第3ガイドローラが前側から接触する前記接触面としての第3接触面と前記第4ガイドローラが斜め後ろ下側から接触する前記接触面としての第4接触面とが形成される前記ガイドレールとしての第2ガイドレールとが形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記第1ガイドローラおよび前記第2ガイドローラの少なくともいずれか一方の外径が残りの前記ガイドローラの外径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記キャッリッジは、外径が異なる2種類の前記ガイドローラを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して媒体に印刷を行うインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを吐出して媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、媒体に向かってインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、主走査方向にキャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するYレールとを備えている。Yレールは、主走査方向にキャリッジが移動するときにガイドとして機能する。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、キャリッジは、取付構造部を介してYレールに取り付けられている。取付構造部は、主走査方向におけるキャリッジの両端部に取り付けられている。取付構造部は、Yレールに接触して転がる複数のガイドローラ(ベアリング)と、複数のガイドローラが回転可能に取り付けられる支持ベースとを備えている。支持ベースは、キャリッジに固定されている。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、複数のガイドローラとYレールとによってキャリッジが主走査方向に案内されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-221540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載のインクジェットプリンタのように、媒体に向かってインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、主走査方向にキャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するキャリッジ保持部材とを備えるインクジェットプリンタを開発している。開発中のインクジェットプリンタでは、キャリッジは、インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジ本体と、キャリッジ本体に回動可能に取り付けられる複数のガイドローラとを備えている。
【0006】
また、開発中のインクジェットプリンタでは、キャリッジ保持部材に、ガイドローラが接触する接触面が形成されるガイドレールが形成されている。このインクジェットプリンタでは、複数のガイドローラとガイドレールとによって主走査方向に移動するキャリッジが案内されている。かかるインクジェットプリンタの開発過程において、主走査方向に移動するキャリッジに周期的な振動が発生することが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、キャリッジが有する複数のガイドローラと、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するキャリッジ保持部材に形成されるガイドレールとによって、主走査方向に移動するキャリッジが案内されるインクジェットプリンタにおいて、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本願発明者は、種々の検討を行った。その結果、本願発明者は、主走査方向に移動する際のキャリッジに生じる振動の周期とガイドローラの回転周期(ガイドローラが1回転する時間)とに関係性があることを知見するに至った。また、開発中のインクジェットプリンタでは、キャリッジが有する複数のガイドローラの外径は全て同じ大きさになっていて、全てのガイドローラの回転周期が一致していたが、本願発明者は、さらなる検討によって、キャリッジが有する複数のガイドローラの中に外径の異なるガイドローラを含めることで(すなわち、複数のガイドローラの中に回転周期の異なるガイドローラを含めることで)、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を抑制することが可能になることを知見するに至った。
【0009】
本発明のインクジェットプリンタは、かかる新たな知見に基づくものであり、媒体に向かってインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、主走査方向にキャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構と、主走査方向に細長い細長形状に形成されるとともに主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するキャリッジ保持部材とを備え、キャリッジは、インクジェットヘッドが取り付けられるキャリッジ本体と、キャリッジを主走査方向に案内するための複数のガイドローラとを備え、複数のガイドローラは、キャリッジ本体に回転可能に取り付けられ、キャリッジ保持部材には、ガイドローラが接触する接触面が形成されるガイドレールが形成され、複数のガイドローラのうちの少なくとも1個のガイドローラの外径と、このガイドローラを除いた残りのガイドローラの外径とが異なっていることを特徴とする。
【0010】
本発明のインクジェットプリンタでは、複数のガイドローラのうちの少なくとも1個のガイドローラの外径と、このガイドローラを除いた残りのガイドローラの外径とが異なっている。すなわち、本発明では、キャリッジが有する複数のガイドローラの中に外径の異なるガイドローラが含まれている。そのため、本発明では、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、キャリッジは、複数のガイドローラからなるガイドローラ群を備え、上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向の一方側を前側とし、副走査方向の他方側を後ろ側とすると、キャリッジ本体は、キャリッジ保持部材の前側に配置され、ガイドローラ群は、キャリッジ本体の上端側に取り付けられるガイドローラとしての第1ガイドローラおよび第2ガイドローラと、キャリッジ本体の下端側に取り付けられるガイドローラとしての第3ガイドローラおよび第4ガイドローラとを備えるとともに、主走査方向におけるキャリッジ本体の両端側のそれぞれの後端部に取り付けられ、キャリッジ保持部材には、第1ガイドローラが前側から接触する接触面としての第1接触面と第2ガイドローラが斜め後ろ上側から接触する接触面としての第2接触面とが形成されるガイドレールとしての第1ガイドレールと、第3ガイドローラが前側から接触する接触面としての第3接触面と第4ガイドローラが斜め後ろ下側から接触する接触面としての第4接触面とが形成されるガイドレールとしての第2ガイドレールとが形成されている。
【0012】
本発明において、第1ガイドローラおよび第2ガイドローラの少なくともいずれか一方の外径が残りのガイドローラの外径よりも大きくなっていることが好ましい。本願発明者の検討によれば、主走査方向に移動するキャリッジでは、キャリッジの下端側の振動よりもキャリッジの上端側の振動が大きくなりやすいが、キャリッジ本体の上端側に取り付けられる第1ガイドローラおよび第2ガイドローラの少なくともいずれか一方の外径が残りのガイドローラの外径よりも大きくなっていると、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を効果的に抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、キャッリッジは、外径が異なる2種類のガイドローラを備えることが好ましい。このように構成すると、外径が異なる3種類以上のガイドローラをキャリッジが備えている場合と比較して、ガイドローラの部品管理が容易になるとともに、キャリッジを組み立てるときのガイドローラの取付の間違いを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、キャリッジが有する複数のガイドローラと、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジを保持するキャリッジ保持部材に形成されるガイドレールとによって、主走査方向に移動するキャリッジが案内されるインクジェットプリンタにおいて、主走査方向に移動するキャリッジの周期的な振動を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの斜視図である。
図2図1に示すプラテン、本体フレーム、支持脚の上端部および第2側板を抜き出して示す斜視図である。
図3図1のE部の構成を説明するための拡大図である。
図4図3のF-F方向からキャリッジ保持部材、媒体搬送機構、プラテン、本体フレームおよび第2側板を示す側面図である。
図5図2のG部の拡大図である。
図6図2のH-H断面の断面図である。
図7図4のJ部の拡大図である。
図8図4のK部の、第2側板を取り外した状態の拡大図である。
図9図1に示すインクジェットヘッド、キャリッジおよびキャリッジ保持部材を抜き出して示す側面図である。
図10図9に示すガイドローラおよびローラ保持部材を抜き出して示す背面斜視図である。
図11図9に示すガイドレールおよびガイドローラを抜き出して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(インクジェットプリンタの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の斜視図である。図2は、図1に示すプラテン8、本体フレーム9、支持脚10の上端部および側板12を抜き出して示す斜視図である。図3は、図1のE部の構成を説明するための拡大図である。図4は、図3のF-F方向からYバー6、媒体搬送機構7、プラテン8、本体フレーム9および側板12を示す側面図である。
【0018】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、インクを吐出して媒体2(図4参照)に印刷を行う。媒体2は、たとえば、印刷用紙、布帛または樹脂製のフィルム等である。プリンタ1は、媒体2に向かってインクを吐出するインクジェットヘッド3(図3参照、以下、「ヘッド3」とする。)と、ヘッド3が搭載されるキャリッジ4と、媒体2の幅方向である主走査方向(図1等のY方向)にキャリッジ4を移動させるキャリッジ駆動機構5と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ4を保持するキャリッジ保持部材としてのYバー6とを備えている。
【0019】
また、プリンタ1は、上下方向(鉛直方向、図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(図1等のX方向)に媒体2を搬送する媒体搬送機構7と、印刷時の媒体2が載置されるプラテン8と、プラテン8を下側から支持するための本体フレーム9と、本体フレーム9が上端部に固定される複数の支持脚10と、本体フレーム9に固定される側板11、12とを備えている。本形態のプリンタ1は、2個の支持脚10と2枚の側板11と2枚の側板12とを備えている。本形態の側板12は、第2側板である。
【0020】
以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、副走査方向(X方向)を「前後方向」とする。また、左右方向の一方側である図1等のY1方向側を「右」側とし、右側の反対側である図1等のY2方向側を「左」側とし、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、前側の反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態の左右方向(Y方向)は、媒体2の幅方向である。
【0021】
ヘッド3は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド3の下面には、インクを吐出する複数のノズルが形成されている。ヘッド3は、ノズルからインクを吐出させる圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。キャリッジ4には、複数のヘッド3が搭載されている。キャリッジ駆動機構5は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ4に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。キャリッジ4の具体的な構成については後述する。
【0022】
プラテン8は、左右方向に細長い細長形状に形成されている。プラテン8の左右方向の長さは、たとえば、1600mm程度となっている。プラテン8は、ヘッド3の下側に配置されている。プラテン8には、印刷時の媒体2を吸引するための複数の吸引穴8a(図5参照)が形成されている。吸引穴8aは、プラテン8のほぼ全域に亘って多数形成されている。Yバー6は、左右方向に細長い細長形状に形成されている。Yバー6は、プラテン8よりも後ろ側に配置されるとともに、プラテン8よりも上側に配置されている。Yバー6の具体的な構成については後述する。
【0023】
本体フレーム9は、左右方向に細長い細長形状に形成されている。2個の支持脚10は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。2個の支持脚10は、本体フレーム9の左右方向の両端部を下側から支持している。2個の支持脚10は、本体フレーム9の左右方向の両端より左右方向の内側に配置されている。側板11は、本体フレーム9の左右方向の両端のそれぞれに固定されている。側板12は、本体フレーム9の左右方向の両端部のそれぞれに固定されている。2枚の側板12は、左右方向において2枚の側板11の内側に配置されている。本体フレーム9および側板12の具体的な構成については後述する。
【0024】
媒体搬送機構7は、前後方向に媒体2を搬送するための搬送ローラ(グリッドローラ)16と、搬送ローラ16に対向配置される複数のピンチローラ17と、搬送ローラ16を回転させる回転駆動機構とを備えている。媒体搬送機構7は、たとえば、20個程度のピンチローラ17を備えている。搬送ローラ16およびピンチローラ17は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。搬送ローラ16は、プラテン8の後ろ側に配置されている。ピンチローラ17は、搬送ローラ16の上側に配置されており、搬送ローラ16に上側から対向している。回転駆動機構は、モータと、モータの動力を搬送ローラ16に伝達する動力伝達機構とを備えている。
【0025】
媒体2は、上下方向において搬送ローラ16とピンチローラ17とに挟まれた状態で搬送される。また、媒体搬送機構7は、複数のピンチローラ17と搬送ローラ16との間に媒体2の一部が挟まる媒体保持位置と、複数のピンチローラ17が搬送ローラ16から離れる退避位置との間でピンチローラ17を移動させるピンチローラ移動機構18を備えている。ピンチローラ移動機構18の具体的な構成については後述する。
【0026】
また、プリンタ1は、ヘッド3の下面に形成される複数のノズルの目詰まりを防止するためのメンテナンスユニット19を備えている。メンテナンスユニット19では、ヘッド3の複数のノズルに目詰まりが発生しないように、ヘッド3のクリーニングが行われる。たとえば、メンテナンスユニット19では、ヘッド3のノズル内のインクを強制的に吸引するパージング、ヘッド3のノズルからインクを強制的に吐出させるフラッシング、および、所定のワイパー部材によってヘッド3の下面を拭うワイピングが行われる。メンテナンスユニット19は、本体フレーム9の右端部に取り付けられている。
【0027】
(本体フレームおよび本体フレームの周辺部分の構成)
図5は、図2のG部の拡大図である。図6は、図2のH-H断面の断面図である。
【0028】
本体フレーム9は、左右方向に細長い細長形状に形成される第1フレーム21および第2フレーム22を備えている。第1フレーム21および第2フレーム22は、金属材料によって形成されている。また、第1フレーム21および第2フレーム22は、薄い平板状の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。
【0029】
第1フレーム21は、2個の支持脚10に載置されて固定される平板状の被固定部21aを備えている。被固定部21aは、左右方向に細長い平板状に形成されている。具体的には、被固定部21aは、左右方向に細長い長方形の平板状に形成されている。被固定部21aの厚さ方向は上下方向と一致している。また、長方形状に形成される被固定部21aの長辺の方向は左右方向と一致し、被固定部21aの短辺の方向は前後方向と一致している。
【0030】
第1フレーム21は、被固定部21aに加えて、被固定部21aの前後方向の両端から上側に向かって立ち上がる側面部21bと、側面部21bの上端から前後方向の内側に向かって伸びる上面部21cとを備えている。側面部21bおよび上面部21cは、左右方向に細長い長方形の平板状に形成されている。側面部21bの厚さ方向は前後方向と一致し、上面部21cの厚さ方向は上下方向と一致している。
【0031】
本形態の第1フレーム21は、被固定部21aと2個の側面部21bと2個の上面部21cとによって構成されており、左右方向の両側および上側が開口するリップ溝形鋼形状に形成されている(図6参照)。第1フレーム21の断面形状は、上側が開口する略コの字状(略U形状)となっている。被固定部21aは、支持脚10の上面に固定されている。支持脚10には、被固定部21aの左右方向の両端部が固定されている。第1フレーム21の左右方向の長さは、2個の支持脚10の左右方向の間隔よりも長くなっている。第1フレーム21の左右方向の両端面は、2個の支持脚10よりも左右方向の外側に配置されている。
【0032】
第2フレーム22は、左右方向に細長い細長形状に形成されるとともに左右方向の両側および下側が開口する溝形鋼形状に形成されるメインフレーム部22aを備えている。メインフレーム部22aは、メインフレーム部22aの前後方向の側面を構成する2個の側面部22bと、2個の側面部22bの上端を繋ぐ上面部22cとによって構成されており、メインフレーム部22aの断面形状は、下側が開口するコの字状(U形状)となっている。側面部22bおよび上面部22cは、左右方向に細長い長方形の平板状に形成されている。側面部22bの厚さ方向は前後方向と一致し、上面部22cの厚さ方向は上下方向と一致している。側面部22bの高さは、側面部21bの高さよりも高くなっている。
【0033】
また、第2フレーム22は、側面部22bの下端から前後方向の外側に向かって伸びる底面部22dと、底面部22dの前後方向の外側端から上側に向かって立ち上がる外側面部22eとを備えている。底面部22dおよび外側面部22eは、左右方向に細長い長方形の平板状に形成されている。底面部22dの厚さ方向は上下方向と一致し、外側面部22eの厚さ方向は前後方向と一致している。また、第2フレーム22は、メインフレーム部22aから左右方向の外側に向かって伸びる補強部22fを備えている。
【0034】
補強部22fは、メインフレーム部22aの右側において前後方向の2箇所に形成されるとともに、メインフレーム部22aの左側において前後方向の2箇所に形成されている。すなわち、第2フレーム22は、4個の補強部22fを備えている。補強部22fは、底面部22dに繋がる底面部22gと、底面部22gの前後方向の外側端に繋がるとともに外側面部22eに繋がる外側面部22hと、底面部22gの前後方向の内側端に繋がるとともに側面部22bの下端部に繋がる内側面部22jとによって構成されており、上側が開口する溝形鋼形状に形成されている(図5参照)。
【0035】
第1フレーム21の左右方向の長さは、第2フレーム22の左右方向の長さよりも長くなっている。すなわち、第1フレーム21の左右方向の長さは、メインフレーム部22aの左右方向の長さよりも長くなっている。また、被固定部21aの左右方向の長さは、メインフレーム部22aの左右方向の長さよりも長くなっている。第1フレーム21の前後方向の幅は、第2フレーム22の前後方向の幅よりも広くなっている。すなわち、被固定部21aの前後方向の幅は、メインフレーム部22aの前後方向の幅よりも広くなっている。
【0036】
第2フレーム22は、被固定部21aの上面に固定されている。具体的には、被固定部21aの上面に接触する底面部22d、22gが複数のネジによって被固定部21aの上面に固定されている。すなわち、メインフレーム部22aが底面部22dを介して被固定部21aの上面に固定されるとともに、補強部22fが被固定部21aの上面に固定されている。第2フレーム22の左右方向の両端面は、第1フレーム21の左右方向の両端面よりも左右方向の内側に配置されている。外側面部22e、22hの高さは、側面部21bの高さよりも低くなっている。
【0037】
メインフレーム部22aの左右方向の長さは、2個の支持脚10の左右方向の間隔よりも短くなっている。2個の支持脚10は、左右方向においてメインフレーム部22aの外側に配置されている。すなわち、メインフレーム部22aは、左右方向において2個の支持脚10の間に配置されている。また、第2フレーム22の左右方向の長さは、2個の支持脚10の左右方向の間隔よりも長くなっている。第2フレーム22の左右方向の両端面は、2個の支持脚10よりも左右方向の外側に配置されている。すなわち、補強部22fは、メインフレーム部22aから左右方向の外側に向かって伸びるとともに、支持脚10の上側よりも左右方向の外側まで伸びている。
【0038】
メインフレーム部22aには、搬送ローラ16を回転可能に支持するローラ支持部25が取り付けられている(図6参照)。すなわち、プリンタ1は、搬送ローラ16を回転可能に支持するローラ支持部25を備えている。ローラ支持部25は、後ろ側に配置される側面部22bの後面に固定されている。メインフレーム部22aには、左右方向において一定の間隔で配列される複数のローラ支持部25が取り付けられている(図2参照)。ローラ支持部25は、搬送ローラ16を回転可能に支持する軸受を備えている。
【0039】
ローラ支持部25には、プラテン8が固定されるプラテン支持部25aが形成されている(図6参照)。すなわち、プリンタ1は、第2フレーム22に固定されるとともにプラテン8が固定されるプラテン支持部25aを備えている。また、第2フレーム22には、プラテン8が固定されるプラテン支持部22kが形成されている。すなわち、プリンタ1は、第2フレーム22に形成されるとともにプラテン8が固定されるプラテン支持部22kを備えている。
【0040】
第2フレーム22には、左右方向において一定の間隔で配列される複数のプラテン支持部22kが形成されている(図2参照)。プラテン支持部22kは、メインフレーム部22aの上面部22cの前端側の一部分が上側に向かって切り起こされることで形成されている。プラテン支持部22k、25aの上端面は、上下方向に直交する平面となっている。プラテン支持部22kの上端面には、プラテン8の前端部が載置されて固定され、プラテン支持部25aの上端面には、プラテン8の後端部が載置されて固定されている(図6参照)。
【0041】
プラテン8の左右方向の幅は、メインフレーム部22aの左右方向の幅とほぼ等しくなっている。プラテン8は、メインフレーム部22aの上側に配置されている。上述のように、プラテン8には、印刷時の媒体2を吸引するための複数の吸引穴8aが形成されている。メインフレーム部22aの上面(すなわち、上面部22cの上面)とプラテン8の下面との間には、複数の吸引穴8aに通じる空間Sが形成されている(図6参照)。空間Sは、密閉性が比較的高い空間となっている。
【0042】
メインフレーム部22aには、空間Sから空気を排出するためのファン23が取り付けられている。具体的には、上面部22cの下面にファン23が取り付けられている。図6に示すように、上面部22cには、空間Sから排出される空気が通過する開口部22pが形成されている。プリンタ1では、ファン23が作動して空間Sから空気が排出されると、複数の吸引穴8aに媒体2が吸引される。空間Sは、媒体2を吸引するための空気室となっている。なお、プラテン8の前端部および後端部の下側には、空間Sの密閉性を高めるためのスポンジ24が配置されている(図6参照)。
【0043】
上述のように、メンテナンスユニット19は、本体フレーム9の右端部に取り付けられている。メンテナンスユニット19は、メインフレーム部22aの右側に配置されている。すなわち、メンテナンスユニット19は、左右方向においてメインフレーム部22aの一方側に配置されている。メンテナンスユニット19は、第1フレーム21の上面側に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、メンテナンスユニット19は、2個の上面部21cの上面に固定されている。
【0044】
(Yバーおよび側板の構成)
図7は、図4のJ部の拡大図である。
【0045】
Yバー6は、アルミニウム合金製の押出し材によって構成されている。Yバー6は、上述のように、左右方向に細長い細長形状に形成されている。Yバー6の前面側には、キャリッジ4を左右方向(主走査方向)に案内するためのガイドレール6a、6bが形成されている。ガイドレール6a、6bの具体的な構成については後述する。
【0046】
側板11、12は、薄い平板状の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。上述のように、側板11は、本体フレーム9の左右方向の両端のそれぞれに固定されている。側板11は、本体フレーム9の左右方向の両端において、第1フレーム21の上面側に取り付けられている。具体的には、側板11は、本体フレーム9の左右方向の両端において、2個の上面部21cの上面に固定されている。側板11には、Yバー6の左右方向の両端部のそれぞれが固定されている。
【0047】
上述のように、側板12は、本体フレーム9の左右方向の両端部のそれぞれに固定されている。また、2枚の側板12は、左右方向において2枚の側板11の内側に配置されている。左右方向における2枚の側板12の間隔は、プラテン8およびメインフレーム部22aの左右方向の長さよりも若干、広くなっている。側板12は、プラテン8およびメインフレーム部22aの左右方向の両側のそれぞれに配置されている。すなわち、プラテン8およびメインフレーム部22aは、左右方向において2枚の側板12の間に配置されている。
【0048】
側板12は、本体フレーム9の左右方向の両端部において、第1フレーム21の上面側に取り付けられている。具体的には、側板12は、本体フレーム9の左右方向の両端部において、2個の上面部21cの上面に固定されている。すなわち、側板12は、本体フレーム9の左右方向の両端部において、2個の側面部21bの上端側に固定されている。プリンタ1の右端部では、メンテナンスユニット19は、左右方向において側板11と側板12との間に配置されている。
【0049】
側板12には、Yバー6の左右方向の両端部のそれぞれが固定されている。すなわち、Yバー6は、2枚の側板12に固定されている。側板12には、Yバー6が固定される固定面12a、12bが形成されている(図5図7参照)。固定面12aは、上下方向に直交する平面となっている。固定面12bは、前後方向に直交する平面となっている。固定面12bは、固定面12aよりも後ろ側かつ上側に配置されている。
【0050】
側板12の後端部には、Yバー6の左右方向の両端部が載っている。固定面12aには、Yバー6の前下端部が載っている、固定面12aには、Yバー6の前下端部が固定されている。具体的には、Yバー6の前下端部がネジによって固定面12aに固定されている。固定面12bには、Yバー6の後ろ下端部が前側から接触している。固定面12bには、Yバー6の後ろ下端部が固定されている。具体的には、Yバー6の後ろ下端部がネジによって固定面12bに固定されている。
【0051】
(ピンチローラ移動機構)
図8は、図4のK部の、側板12を取り外した状態の拡大図である。
【0052】
ピンチローラ移動機構18は、ピンチローラ17を回転可能に保持するピンチローラ保持部28と、ピンチローラ保持部28が固定される回動軸29と、回動軸29を回動させる駆動機構とを備えている。ピンチローラ17は、ピンチローラ保持部28の前端部に回転可能に保持されている。回動軸29には、ピンチローラ保持部28の後端部が固定されている。回動軸29には、複数のピンチローラ保持部28が固定されている。回動軸29は、左右方向を回動の軸方向として回動可能になっている。回動軸29の両端部は、2枚の側板12に回動可能に支持されている。
【0053】
駆動機構は、モータ等の駆動源と、駆動源の動力を回動軸29に伝達する動力伝達機構とを備えている。駆動機構は、回動軸29を回動させて、複数のピンチローラ17と搬送ローラ16との間に媒体2の一部が挟まる媒体保持位置(図8に示す位置)と、複数のピンチローラ17が搬送ローラ16から離れる退避位置との間でピンチローラ17を移動させる。プリンタ1に媒体2がセットされるときには、ピンチローラ17が退避位置に移動し、プリンタ1に媒体2がセットされると、ピンチローラ17が媒体保持位置に移動する。
【0054】
なお、ピンチローラ保持部28は、回動軸29に対して手動で左右方向に移動可能になっている。ピンチローラ保持部28は、クランプ機構30に取り付けられている(図8参照)。クランプ機構30は、ピンチローラ保持部28が回動軸29に固定されるクランプ状態と、ピンチローラ保持部28が回動軸29に対して左右方向に移動可能となるアンクランプ状態とに切り替え可能になっている。クランプ機構30は、左右方向への移動が可能となるようにYバー6の下端部に保持されている。
【0055】
(キャリッジ、ガイドレールの構成)
図9は、図1に示すヘッド3、キャリッジ4およびYバー6を抜き出して示す側面図である。図10は、図9に示すガイドローラ33~36およびローラ保持部材37を抜き出して示す背面斜視図である。図11は、図9に示すガイドレール6a、6bおよびガイドローラ33~36を抜き出して示す側面図である。
【0056】
キャリッジ4は、ヘッド3が取り付けられるキャリッジ本体32と、キャリッジ4を左右方向(主走査方向)に案内するための複数のガイドローラ33~36とを備えている。キャリッジ本体32は、Yバー6の前側に配置されている。すなわち、キャリッジ本体32に取り付けられてキャリッジ4に搭載されるヘッド3は、Yバー6の前側に配置されている。キャリッジ本体32は、複数のガイドローラ33~36を回転可能に保持するローラ保持部材37を備えている。すなわち、複数のガイドローラ33~36は、キャリッジ本体32に回転可能に取り付けられている。ローラ保持部材37は、樹脂材料で形成されている。ローラ保持部材37は、キャリッジ本体32の後端部を構成している。
【0057】
ガイドローラ33~36は、軸受(ベアリング)である。たとえば、ガイドローラ33~36は、ボールベアリングまたはローラベアリングである。本形態では、図10に示すように、キャリッジ4は、ローラ保持部材37の右端側に取り付けられる4個のガイドローラ33~36と、ローラ保持部材37の左端側に取り付けられる4個のガイドローラ33~36とを備えている。すなわち、本形態では、キャリッジ4は、2個のガイドローラ33と2個のガイドローラ34と2個のガイドローラ35と2個のガイドローラ36との合計8個のガイドローラ33~36を備えている。
【0058】
また、本形態では、キャリッジ4は、ローラ保持部材37の右端側に取り付けられる4個のガイドローラ33~36からなるガイドローラ群38と、ローラ保持部材37の左端側に取り付けられる4個のガイドローラ33~36からなるガイドローラ群39とを備えている(図10参照)。すなわち、ガイドローラ群38、39は、キャリッジ本体32の左右方向の両端側のそれぞれに取り付けられている。また、ガイドローラ群38、39は、キャリッジ本体32の後端部に取り付けられている。
【0059】
ガイドローラ33、34は、ローラ保持部材37の上端側(すなわち、キャリッジ本体32の上端側)に取り付けられている。2個のガイドローラ33は、2個のガイドローラ34よりも左右方向の内側に配置されている。ガイドローラ33は、ローラ保持部材37に対して上下方向を回転の軸方向とする回転が可能となっている。ガイドローラ34は、ローラ保持部材37に対して斜め後ろ下方向を回転の軸方向とする回転が可能となっている。ローラ保持部材37には、ガイドローラ33の回転中心となる固定軸と、ガイドローラ34の回転中心となる固定軸とが固定されている。
【0060】
ガイドローラ35、36は、ローラ保持部材37の下端側(すなわち、キャリッジ本体32の下端側)に取り付けられている。2個のガイドローラ35は、2個のガイドローラ36よりも左右方向の内側に配置されている。ガイドローラ35は、ローラ保持部材37に対して上下方向を回転の軸方向とする回転が可能となっている。ガイドローラ36は、ローラ保持部材37に対して斜め後ろ上方向を回転の軸方向とする回転が可能となっている。ローラ保持部材37には、ガイドローラ35の回転中心となる固定軸と、ガイドローラ36の回転中心となる固定軸とが固定されている。
【0061】
本形態のガイドローラ33は第1ガイドローラであり、ガイドローラ34は第2ガイドローラであり、ガイドローラ35は第3ガイドローラであり、ガイドローラ34は第4ガイドローラである。すなわち、ガイドローラ群38、39は、第1ガイドローラと第2ガイドローラと第3ガイドローラと第4ガイドローラとを備えている。
【0062】
ガイドローラ33の外径D1(図11参照)は、ガイドローラ34~36の外径D2~D4(図11参照)と異なっている。すなわち、8個のガイドローラ33~36のうちの2個のガイドローラ33の外径D1は、ガイドローラ33を除いた残りの6個のガイドローラ34~36の外径D2~D4と異なっている。具体的には、ガイドローラ33の外径D1は、残りのガイドローラ34~36の外径D2~D4よりも大きくなっている。
【0063】
また、ガイドローラ34の外径D2とガイドローラ35の外径D3とガイドローラ36の外径D4とは等しくなっている。すなわち、キャリッジ4は、外径の異なる2種類のガイドローラ33~36を備えている。たとえば、ガイドローラ33の外径D1は13mmとなっており、ガイドローラ34~36の外径D2~D4は12mmとなっている。すなわち、ガイドローラ33の外径D1は、ガイドローラ34~36の外径D2~D4よりも1mm大きくなっている。なお、ガイドローラ33の外径D1とガイドローラ34~36の外径D2~D4との差は、1mm未満であっても良いし、1mmを超えていても良い。
【0064】
上述のように、Yバー6の前面側には、ガイドレール6a、6bが形成されている。図11に示すように、ガイドレール6aには、ガイドローラ33が前側から接触する接触面6cと、ガイドローラ34が斜め後ろ上側から接触する接触面6dとが形成されている。すなわち、ガイドレール6aには、ガイドローラ33、34が接触する接触面6c、6dが形成されている。ガイドレール6bには、ガイドローラ35が前側から接触する接触面6eと、ガイドローラ36が斜め後ろ下側から接触する接触面6fとが形成されている。すなわち、ガイドレール6bには、ガイドローラ35、36が接触する接触面6e、6fが形成されている。
【0065】
接触面6c、6eは、前後方向に直交する平面である。接触面6c、6eは、左右方向に細長い長方形状の平面である。接触面6dは、斜め後ろ上方向に直交する平面である。接触面6fは、斜め後ろ下方向に直交する平面である。接触面6d、6fは、左右方向に細長い長方形状の平面である。ただし、接触面6d、6fは、曲率半径の大きい曲面であっても良い。本形態の接触面6cは第1接触面であり、接触面6dは第2接触面であり、接触面6eは第3接触面であり、接触面6fは第4接触面である。また、本形態のガイドレール6aは第1ガイドレールであり、ガイドレール6bは第2ガイドレールである。
【0066】
なお、ガイドローラ36は、図示を省略するネジリコイルバネ等のバネ部材によって接触面6fに向かって付勢されている。そのため、本形態では、ガイドレール6a、6b、ガイドローラ33~36およびローラ保持部材37等の部品寸法がばらついても、ガイドローラ33~36の全てを接触面6c~6eのそれぞれに接触させることが可能になっている。
【0067】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、8個のガイドローラ33~36のうちの2個のガイドローラ33の外径D1と、ガイドローラ33を除いた残りの6個のガイドローラ34~36の外径D2~D4とが異なっている。すなわち、本形態では、キャリッジ4が有する複数のガイドローラ33~36の中に外径の異なるガイドローラ33が含まれている。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態では、主走査方向に移動するキャリッジ4の周期的な振動を抑制することが可能になる。
【0068】
また、本願発明者の検討によれば、主走査方向に移動するキャリッジ4では、キャリッジ4の下端側の振動よりもキャリッジ4の上端側の振動が大きくなりやすいが、本形態のように、キャリッジ本体32の上端側に取り付けられるガイドローラ33の外径D1が、残りのガイドローラ34~36の外径D2~D4よりも大きくなっていると、主走査方向に移動するキャリッジ4の周期的な振動を効果的に抑制することが可能になる。
【0069】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0070】
上述した形態において、ガイドローラ群38を構成するガイドローラ33の外径D1のみが、このガイドローラ33を除いた残りの7個のガイドローラ33~36の外径D1~D4より大きくなっていても良い。この場合には、ガイドローラ群39を構成するガイドローラ33の外径D1は、ガイドローラ34~36の外径D2~D4と等しくなっている。同様に、ガイドローラ群39を構成するガイドローラ33の外径D1のみが、このガイドローラ33を除いた残りの7個のガイドローラ33~36の外径D1~D4より大きくなっていても良い。この場合には、ガイドローラ群38を構成するガイドローラ33の外径D1は、ガイドローラ34~36の外径D2~D4と等しくなっている。これらの場合であっても、主走査方向に移動するキャリッジ4の周期的な振動を抑制することが可能になる。
【0071】
上述した形態において、ガイドローラ34の外径D2がガイドローラ33の外径D1と等しくなっていて、ガイドローラ33、34の外径D1、D2がガイドローラ35、36の外径D3、D4より大きくなっていても良い。この場合であっても、キャリッジ本体32の上端側に取り付けられるガイドローラ33、34の外径D1、D2が、ガイドローラ35、36の外径D3、D4よりも大きくなっているため、本願発明者の検討によれば、主走査方向に移動するキャリッジ4の周期的な振動を効果的に抑制することが可能になる。
【0072】
また、上述した形態において、ガイドローラ33の外径D1がガイドローラ35、36の外径D3、D4と等しくなっているとともに、ガイドローラ34の外径D2がガイドローラ33、35、36の外径D1、D3、D4より大きくなっていても良い。この場合であっても、キャリッジ本体32の上端側に取り付けられるガイドローラ34の外径D2が、残りのガイドローラ33、35、36の外径D1、D3、D4よりも大きくなっているため、本願発明者の検討によれば、主走査方向に移動するキャリッジ4の周期的な振動を効果的に抑制することが可能になる。
【0073】
上述した形態において、ガイドローラ35の外径D3がガイドローラ33、34、36の外径D1、D2、D4より大きくなっていても良い。また、上述した形態において、ガイドローラ36の外径D4がガイドローラ33~35の外径D1~D3より大きくなっていても良い。
【0074】
上述した形態では、キャリッジ4は、外径の異なる2種類のガイドローラ33~36を備えているが、キャリッジ4は、外径の異なる3種類以上のガイドローラ33~36を備えていても良い。たとえば、キャリッジ4は、外径の異なる3種類のガイドローラ33~36を備えていても良い。この場合には、たとえば、ガイドローラ33の外径D1がガイドローラ34の外径D2より大きくなっているとともに、ガイドローラ34の外径D2がガイドローラ35、36の外径D3、D4より大きくなっている。
【0075】
ただし、上述した形態のように、外径の異なる2種類のガイドローラ33~36をキャッリッジ4が備えている場合には、外径の異なる3種類以上のガイドローラ33~36をキャリッジ4が備える場合と比較して、ガイドローラ33~36の部品管理が容易になるとともに、キャリッジ4を組み立てるときのガイドローラ33~36の取付の間違いを抑制することが可能になる。
【0076】
上述した形態において、ガイドローラ群38、39は、3個のガイドローラによって構成されていても良いし、5個以上のガイドローラによって構成されていても良い。また、上述した形態では、キャリッジ4は、2個のガイドローラ群38、39を備えているが、キャリッジ4は、ガイドローラ群38またはガイドローラ群39のみを備えていても良い。この場合には、たとえば、ガイドローラ群38またはガイドローラ群39は、キャリッジ本体32の左右方向の中心部に取り付けられている。
【符号の説明】
【0077】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
2 媒体
3 ヘッド(インクジェットヘッド)
4 キャリッジ
5 キャリッジ駆動機構
6 Yバー(キャリッジ保持部材)
6a ガイドレール(第1ガイドレール)
6b ガイドレール(第2ガイドレール)
6c 接触面(第1接触面)
6d 接触面(第2接触面)
6e 接触面(第3接触面)
6f 接触面(第4接触面)
32 キャリッジ本体
33 ガイドローラ(第1ガイドローラ)
34 ガイドローラ(第2ガイドローラ)
35 ガイドローラ(第3ガイドローラ)
36 ガイドローラ(第4ガイドローラ)
38、39 ガイドローラ群
D1~D4 ガイドローラの外径
X 副走査方向
X1 前側
X2 後ろ側
Y 主走査方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11