(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116888
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ブラスト装置
(51)【国際特許分類】
B24C 7/00 20060101AFI20240821BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20240821BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20240821BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B24C7/00 F
G01G11/00 Z
B24C9/00 B
B24C9/00 L
B24C5/02 A
B24C9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022747
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】516017444
【氏名又は名称】株式会社カルテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】平塚 勝朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノズルに送り込まれる研削材の重量を把握することが可能であり、また従来に比べノズルに送り込まれる研削材の重量の安定化を図ることが可能なブラスト装置を提供する。
【解決手段】ブラスト装置(100)は、ブラスト部(10)と、研削材収容部(20)と、研削材収容部(20)から供給された研削材(22)を搬送する研削材搬送部(30)と、研削材搬送部(30)によって搬送された研削材(22)をブラスト部(10)に導入するための研削材導入部(40)と、を有し、研削材収容部(40)に収容された研削材(22)を研削材搬送部に供給するための、研削材供給口が設けられ、前記研削材供給口から前記研削材導入部まで間において研削材の重量を測定するための荷重計(60)が設けられていることを特徴とするブラスト装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト部と、
研削材収容部と、
前記研削材収容部から供給された研削材を搬送する研削材搬送部と、
前記研削材搬送部によって搬送された研削材をブラスト部に導入するための研削材導入部と、を有し、
前記研削材収容部に収容された研削材を前記研削材搬送部に供給するための、研削材供給口が設けられ、
前記研削材供給口から前記研削材導入部まで間において研削材の重量を測定するための荷重計が設けられていることを特徴とするブラスト装置。
【請求項2】
前記研削材搬送部は研削材を載置可能な搬送面を有し、
前記研削材供給口が、前記研削材搬送部の前記搬送面に対し所定の距離を開けて配置されている請求項1に記載のブラスト装置。
【請求項3】
前記研削材搬送部の前記搬送面に対向する前記研削材供給口の高さ位置を調整する高さ調整手段を有する請求項2に記載のブラスト装置。
【請求項4】
前記荷重計が、前記粉体搬送部の下方に設けられている請求項1または2に記載のブラスト装置。
【請求項5】
前記研削材搬送部がベルトコンベアまたは振動コンベアである請求項1または2に記載のブラスト装置。
【請求項6】
前記荷重計による計測値と前記研削材搬送部の搬送速度によって算出された、研削材の単位時間当たりの搬送量を表示する表示部を備える請求項1または2に記載のブラスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブラスト装置に関し、より詳しくはノズルに対し供給される研削材の量を把握可能なブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラスト装置は、たとえば噴射ノズルに対し研削材を供給する手段として研削材収容部に収容された研削材を、圧縮空気による空気流と負圧によりノズルまで加速させて流動させる方式が知られる(例えば特許文献1)。
【0003】
図5を用い、より具体的に従来のブラスト装置200の研削材収容部210からノズル250への研削材22の流動に関し、従来の機構について説明する。
図5に示すように従来のブラスト装置200では、研削材収容部210に収容された研削材22は、研削材収容部210の側壁211を貫通する両端開口の第一パイプ212が設けられるとともに、第一パイプ212が貫通する側壁211に対向する側の側壁211を貫通して両端開口の圧力気体導入管201が設けられている。圧力気体導入管201の、第一パイプ212側の端部は先細状の先端開口部202が設けられており、第一パイプ212の端部に入り込んでいる。第一パイプ212の当該端部の内周と、圧力気体導入管201の先端開口部202の外周との間には隙間203が確保されおり、一方、圧力気体導入管201の他端は、図示省略するコンプレッサーが連通している。第一パイプ212は、ノズル250まで伸長し当該ノズル250と連通している。
また図示省略する他の従来例として、
図5における圧力気体導入管201に替えて、圧縮空気の導入の機能を有しないニードル弁様のピンが設けられているとともに、ノズル250において圧縮空気が導入される機構を有し、これによって負圧を発生させ、研削材収容部210から研削材22を吸引する態様も知られる。
【0004】
上記従来の機構は、研削材収容部210からノズル250までが実質的に閉鎖された閉鎖系になっており、コンプレッサーから圧縮空気が噴射されると、当該圧縮空気は、圧力気体導入管201の先端開口部202の端部開口から第一パイプ212に流れ、この結果、第一パイプ212の内部が負圧になるため、研削材収容部210に収容された研削材22は、隙間203を通って第一パイプ212に流れ込む。第一パイプ212に流れ込んだ研削材22は、圧力気体導入管201から流れる空気流によって第一パイプ212を流動しノズル250まで運ばれ、ノズル250の先端から噴射される。
また上述する他の従来例も同様に研削材収容部210からノズル250までが実質的に閉鎖された閉鎖系になっており、ノズル250において導入された圧縮空気により生じた負圧により研削材収容部210に収容された研削材22は、隙間203を通って第一パイプ212に流れ込み、ノズル250に運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述する従来の機構では、研削材22は、研削材収容部210からノズル250に至るまでの流路が閉鎖系であるため、ノズル250に送り込まれる研削材22の重量を確認することが困難であった。
また、従来の機構では、研削材収容部210に収容された研削材22は、圧縮空気によって生じる負圧による吸引力によって隙間203を通過して流動するため、研削材22の粒径によっては、ノズル250に対し送り込まれる研削材22の重量が安定しない場合があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、ノズルに送り込まれる研削材の重量を把握することが可能であり、また従来に比べノズルに送り込まれる研削材の重量の安定化を図ることが可能なブラスト装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブラスト装置は、ブラスト部と、研削材収容部と、上記研削材収容部から供給された研削材を搬送する研削材搬送部と、上記研削材搬送部によって搬送された研削材をブラスト部に導入するための研削材導入部と、を有し、上記研削材収容部に収容された研削材を上記研削材搬送部に供給するための、研削材供給口が設けられ、上記研削材供給口から上記研削材導入部まで間において研削材の重量を測定するための荷重計が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述する構成を備える本発明のブラスト装置は、ノズルに送り込まれる研削材の重量を把握することが可能であり、また従来に比べノズルに送り込まれる研削材の重量の安定化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかるブラスト装置を説明するための概念図である。
【
図2】本発明の第二実施形態にかかるブラスト装置を説明するための概念図であり、搬送が行われる前の状態を示している。
【
図3】本発明の第二実施形態にかかるブラスト装置を説明するための概念図であり、搬送が行われている状態を示している。
【
図4】本発明の第二実施形態に用いられる振動コンベアの斜視図である。
【
図5】従来のブラスト装置における研削材の流動の機構を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
尚、本発明の説明において、上流側および下流側とは、ブラスト装置100において研削材が流動する流れに関し、任意の箇所からノズル12側を下流側といい、当該任意の箇所から上記下流側とは反対側を上流側と呼ぶ場合がある。
【0012】
<第一実施形態>
以下に本発明の第一実施形態であるブラスト装置100について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかるブラスト装置100を説明するための概念図であり、ブラスト装置100を側面方向から観察したものである。
【0013】
図1に示すとおり、本実施形態にかかるブラスト装置100は、ブラスト部10と、研削材収容部20と、研削材収容部20から供給された研削材22を搬送する研削材搬送部30と、研削材搬送部30によって搬送された研削材22をブラスト部10に導入するための研削材導入部40と、を備えている。ブラスト部10の内部にはノズル12が配置されており、コンプレッサー14から排出された高圧の圧縮空気が流路141を通じてノズル12に送られることでノズル12内部に負圧が生じる。かかる負圧により研削材導入部40内においてノズル12に向かう流れが生じ、研削材導入部40より上流側から研削材22が吸引されてノズル12に導入される。導入された研削材22は、ノズル12の先端から噴射される。即ち、本実施形態のブラスト装置100はエアーブラスト装置である。
ブラスト装置100は、研削材収容部20に収容された研削材22を研削材搬送部30に供給するための研削材供給口52が設けられている。かかる研削材供給口52から研削材導入部40までの間において研削材22の重量を測定するための荷重計60が設けられている。
【0014】
上記構成を備えるブラスト装置100は、研削材収容部20に収容された研削材22が、研削材供給口52から研削材導入部40までの間の領域において、圧縮空気の力に拠らず、研削材搬送部30の動力に拠って所定方向に搬送される。この圧縮空気に影響を受けない研削材供給口52から研削材導入部40までの間に設けられた荷重計60によって研削材22の重量を計測し、ノズル12に送られる研削材22の重量を把握することが可能である。
また、研削材収容部210から圧縮空気により生じた負圧によって吸引された研削材22がノズル250に送られる従来のブラスト装置200とは異なり、ブラスト装置100は、研削材収容部20から研削材供給口52を通じて供給された研削材22は研削材搬送部30の動力によって搬送され、その後にノズル12に送られるため、研削材22の粒径によらずノズル12に対し供給される研削材の重量を安定化させやすい。
以下においてブラスト装置100についてさらに詳細に説明する。
【0015】
ブラスト装置100におけるブラスト部10は、ノズル12を備える。本実施形態のブラスト装置100はエアーブラスト装置であり、ノズル12にはコンプレッサー14が連結されている。コンプレッサー14から圧縮空気がノズル12に流れ込むことで、研削材導入部40の上流側から研削材22が吸引されてブラスト部10に送り込まれ、ノズル12の先端から研削材22が噴射される。本実施形態のブラスト部10は、筐体の内部にノズル12が設けられており、筐体の壁面に腕挿入口16が二か所設けられている。作業者は腕挿入口16に腕を挿入し、筐体内においてブラスト作業を行うことができる。本実施形態では、ノズル12から噴射された研削材22は、研削材収容部20に回収される。
【0016】
本発明に関し、エアーブラスト装置とは、コンプレッサーから排出された圧縮空気を利用して研削材をノズル先端から噴射させる装置を指し、たとえばサクション式、直圧式、ブロワー式などのエアーブラスト装置が知られる。
【0017】
研削材収容部20は、ノズル12から噴射された研削材22の一部または全部を収容可能であればよく、その形態は特に限定されないが、本実施形態では、円錐形のホッパーが研削材収容部20として設けられている。また研削材収容部20は、ブラスト装置100の使用前において未使用の研削材22を予め収容することもできる。研削材収容部20には、研削材供給口52が設けられている。より具体的には本実施形態では、ホッパーの下部に上下方向に伸長する研削材供給管50が設けられており、その研削材供給管50の下端に研削材供給口52が設けられている。本実施形態における研削材供給口52は、下方に向けて開口している。研削材収容部20に収容された研削材22は、研削材供給口52を通過し、研削材収容部20よりも下流側に配置された研削材搬送部30に流動する。
【0018】
研削材搬送部30は、研削材22を機械的な動力により所定方向に搬送できる手段であればよく、搬送速度を調整可能であることが好ましい。研削材搬送部30の例としては、たとえばベルトコンベア、振動コンベアまたはスクリューコンベアなどが挙げられ、特にベルトコンベアおよび振動コンベアは、構造がシンプルでありメンテナンスが容易である上、経済性も良好であるため、研削材搬送部30として好ましい。本実施形態ではベルトコンベア32を採用した例を図示している。ベルトコンベア32は、研削材22を載置可能な搬送面34を有し、搬送面34を周回させるための回転部321が設けられた搬送装置である。本実施形態では搬送面34は水平である。
【0019】
本実施形態にかかるブラスト装置100における研削材供給口52は、研削材搬送部30(ベルトコンベア32)の搬送面34に対し所定の距離d1を開けて配置されている。たとえば研削材供給口52は、図示するとおり下方に向けて開口しており、当該開口と、搬送面34とが所定の距離d1を開けて離間している。そのため研削材収容部20に収容されている研削材22は、重力落下で研削材搬送部30の搬送面34に落下する。ただし、搬送面34が稼働していない状態では、搬送面34上において研削材22が安息角θを示す状態(
図2参照)となった後は、上記重力落下は停止する。一方、搬送面34が稼働している場合には、搬送面34に自重落下した研削材22は搬送面34の搬送方向に追従して移動する(つまり搬送される)。このように本実施形態では、研削材供給口52を境に、上流側と下流側とは縁切りされており、当該上流側と当該下流側とにおいて、互いの内圧が影響を及ぼさない構造となっている。そのため、研削材収容部20に収容された研削材22は、下流側(即ち、研削材導入部40)の内圧に影響されることなく、自重落下および研削材搬送部30の搬送のための動力によって所定方向に搬送される。
尚、本実施形態では、研削剤供給口52が図示するように下方に向けて開口する水平な開口面を有している。ただし本発明において研削材供給口52の開口面の開口方向はこれに限定されない。上記開口面は、たとえば水平方向と直交する方向に開口していても良く、研削材22が自重を利用して下方に落下可能な範囲で、適宜変更することができる。開口面が下方に向けて水平方向に開口する以外の態様では、上述する距離d1は、搬送面34と、開口面を区画する開口の搬送面34と最も近い部分との距離を指す。
【0020】
研削材搬送部30の下流側には、研削材搬送部30によって搬送された研削材22を一旦収容する受け部36が設けられている。受け部36は、研削材22を貯留可能な所定容積の空間を確保可能な構造であればよい。本実施形態の受け部36は、上面開口であって、研削材搬送部30によって搬送され研削材搬送部30の端部から自重落下する研削材22を受け止める容器である。研削材搬送部30から直接に研削材導入部40に連続させるよりも、本実施形態のように、研削材搬送部30と研削材導入部40との間に受け部36を設けることによって、研削材搬送部30が研削材導入部40における内圧(負圧)の影響を受けることなく搬送を終了することができる。
【0021】
受け部36により受け止められた研削材22は、受け部36に連通して設けられた研削材導入部40により、ノズル12に導入され圧縮空気とともにノズル12の先端から噴射される。本実施形態では、研削材導入部40は両単開口の管状体であり、一端は、受け部36の側壁を貫通して受け部36と連通しており、他端はノズル12に連通している。ここで管状体とは、金属等により形成された硬質な管、あるいは軟質の樹脂により形成された樹脂パイプなどの種々の態様を含む。
【0022】
上述するとおりノズル12から噴射された研削材22の少なくとも一部は、研削材収容部20に収容され、再度、研削材搬送部30、研削材導入部40を通過してノズル12に導入される。このようにブラスト装置100は、研削材22が一巡可能な循環路が構築されており、当該循環路の一部(即ち、研削材供給口52から研削材導入部40までの間)において、ノズル12側の負圧に影響を受けない領域が確保されている。
【0023】
ブラスト装置100は、研削材供給口52から研削材導入部40まで間において研削材22の重量を測定するための荷重計60が設けられている。
図1に示すとおり本実施形態では、荷重計60は、研削材搬送部30の下流側に配置された受け部36の下方に配置されている。
荷重計60は、研削材22の重量を測定可能な装置であればよく、アナログ表示により荷重を示すアナログ荷重計、ロードセルなどの荷重の大きさを電気信号に変換可能なデジタル荷重計などいずれの態様であってもよいが、初期値をゼロに設定可能なゼロボタンを備えるデジタル荷重計が好ましい。
【0024】
たとえば、本実施形態では、研削材22を搬送する前の状態、即ち、受け部36が空の状態で荷重計60を使用することにより受け部36の重量が測定される。この状態を、ゼロボタンにより荷重ゼロに設定し、その後に、研削材22の搬送を開始することによって、受け部36に一時的に貯留された研削材22の重量の計測値を把握することができる。また、研削材22の搬送を開始し、かつコンプレッサー14を作動させてノズル12に圧縮空気を送り込みブラスト装置100の使用を開始すると、次第に荷重計60に示される重量が安定し、微量な上下の変動はあるものの、概ね一定の値を示すようになる。このように荷重計60に概ね一定の値が示されることによって、ブラスト装置100の使用者は、ノズル12から噴射される研削材22の量が安定していることを確認することができる。
また、使用時間が長くなり、循環する研削材の粒径が変化するなどして搬送量に変化が生じた場合には、荷重計60の値が増減する場合があるが、その場合には、研削材搬送部30の搬送スピードを調整するなどして、荷重計60に示される研削材22の重量を調整することでノズル12からの噴射量が一定になるよう調整することも可能である。
【0025】
尚、研削材22の噴射量をより具体的に把握するという観点からは、荷重計60による研削材22の重量の計測値と研削材搬送部30の搬送速度によって算出された、研削材22の単位時間当たりの搬送量を表示する表示部62を備えることが好ましい。表示部30により使用者は、ブラスト装置100の使用中に、研削材22の噴射量を容易にモニターすることができる。
【0026】
本発明において用いられる研削材22は、一般的なブラスト装置に用いられる研削材から適宜選択することができる。具体的には、アルミナや炭素ケイ素などの粒状物、ガラスビーズ、珪砂(サンドビーズ)などが挙げられるがこれに限定されない。
【0027】
ブラスト装置100は、ブラスト部10に隣接して集塵機18が設けられており、たとえばブラスト部10において発生した研削材22の粉砕物などの微粉を空気とともに集塵することができる。集塵機18は、集塵された気体を排出するための排出口19と、集塵された微粉を貯留するための貯留部181が設けられている。
【0028】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態にかかるブラスト装置120について、
図2~
図4を用いて説明する。
図2、
図3は、ブラスト装置120を説明するための概念図であり、
図2は研削材22の搬送が行われる前の状態を示しており、
図3は、研削材22の搬送が行われブラスト装置120の使用中の状態を示している。
図4は、ブラスト装置20に用いられる振動コンベア33の斜視図である。
【0029】
ブラスト装置120は、ブラスト部10と、研削材収容部20と、研削材収容部20から供給された研削材22を搬送する研削材搬送部30と、研削材搬送部30によって搬送された研削材22をブラスト部10に導入するための研削材導入部40と、を有し、研削材収容部20に収容された研削材22を研削材搬送部30に供給するための研削材供給口52が設けられ、研削材供給口52から研削材導入部40まで間において研削材22の重量を測定するための荷重計60が設けられている点で、第一実施形態のブラスト装置100と共通する。したがって、以下ではブラスト装置120に特有の構成について主として説明する。ブラスト装置120の第一実施形態と同様の構成については、適宜第一実施形態の説明が参照される。
【0030】
本実施形態にかかるブラスト装置120は、ブラスト部10と研削材収容部20との間に、ノズル12から噴射された研削材22を、再利用可能な大径の研削材22と大径の研削材22に対し相対的に小径の小粒子とに分離する分離部70を備えている。分離部70を備えることによって、一旦噴射された研削材22の再利用を良好に行うことができる。
分離部70は、たとえば、サイクロン方式(風力選別)やトロンメルなどを用いたふるい式選別などが例示される。
【0031】
分離部70において粒径によって分離された粒子のうち、再利用可能な大径の研削材22は、研削材収容部20に収容され再利用される。一方、大径の研削材22に対し相対的に小径の小粒子は集塵機18に集塵される。上記小粒子は、ノズル12から噴射されて砕けた研削材22の一部だけでなく、たとえば研削材22で研削(研磨)した際に生じる被研磨物の削りカスのようなダスト等も含む。
【0032】
上述のとおり研削材収容部20に収容された研削材22は、研削材供給口52を通じて研削材搬送部30に移動する。
本実施形態では、研削材搬送部30の搬送面34に対向する研削材供給口52の高さ位置を調整する高さ調整手段が設けられている。高さ調整手段は研削材供給口52の高さ位置を相対的に高い位置と低い位置とに調整できるいかなる手段であってもよい。
研削材22の粒径や材質によって好ましい距離d1は異なる場合があるが、たとえば搬送面34と研削材供給口52との距離d1は、1mm以上20mm以下であることが好ましく、2mm以上10mm以下であることがより好ましく、3mm以上8mm以下であることがさらに好ましい。したがって搬送面34に対する研削材供給口52の高さを上記範囲に調整できる高さ調整手段を備えることが好ましい。
上記高さ調整手段により研削材供給口52の高さを調整することで、研削材22の単位時間当たりの搬送量を調整することが可能である。たとえば搬送面34に対し、研削材供給口52を高くするほど研削材22が搬送面34上に落下する量が増え、結果として搬送量を増加させることができる。一方、搬送面34に対し、研削材供給口52を低くするほど研削材22が搬送面34上に落下する量が減り、結果として搬送量を減少させることができる。したがって、たとえば、ブラスト装置120の使用中に、荷重計60で測定される研削材22の量が有意に変化した場合、適宜距離d1を調整することで、かかる研削材22の量を変化前の重量となるよう調整することが可能である。尚、研削材22の搬送量の調整は、上述する高さ調整手段に限定されず、たとえば研削材搬送部30の搬送速度を調整することによって研削材22の搬送量を調整することもでき、また高さ調整手段と搬送速度の調整を組み合わせて搬送量を調整することもできる。また研削材22の搬送量の調整の他の手段として、図示省略する以下の態様を実施してもよい。即ち、研削材供給管50を上下方向に分割し、下方(研削材供給口52を有する側)を着脱可能な着脱部とし、研削供給口52の径の異なる複数の着脱部を準備して、搬送量を増量させたい場合には、大きい径の着脱部を装着し、また搬送量を減量させたい場合には、小さい径の着脱部に付け替えてもよい。かかる着脱部は、たとえば、
図2、3に示す外管502と兼用し、高さ調整手段と研削材供給口52の径の変更の手段を両方備える態様とすることもできる。
【0033】
本実施形態では具体的には、研削材収容部20の下方に設けられた研削材供給管50が、内菅501と、内管の外径と同等の内径を有する外管502とから構成されており、内管501の端部領域に外管502の一部が篏合されて一連の供給路を構成している。図示する研削材供給管50は、研削材供給管50の研削材搬送部30側に外管502が配置されており、外管502の上端領域が、研削材収容部20の下端から連続し下方に伸長する内管501の下端領域に篏合している。本実施形態では外管502の下端開口が研削材供給口52となっている。
ここで、内管501と外管502とは、図示省略する固定ねじなどの固定手段によって固定されており、当該固定手段を開放することによって、互い相対的な位置関係を変動させることができる。
【0034】
本実施形態における研削材搬送部30は、振動コンベア33である。振動コンベア33は、研削材22を載置可能であり所定の長さを有する搬送面34を備え、搬送面34を振動させる振動発生装置331が設けられている。例えば振動コンベア33は、
図4に示すように搬送面34と、搬送面34の幅方向両端から上方に起立する側壁332と、搬送面34の研削材22の搬送方向とは反対側の端部から上方に起立する終端壁333が設けられるとよい。また搬送面34の研削材22の搬送方向側の端部は、下方に屈曲した屈曲面334を有し、搬送面34を搬送された研削材22がスムーズに受け部36に導かれるよう構成されている。屈曲面334の幅方向両端部にも側壁332が連続していることが好ましい。尚、本実施形態では、振動コンベア33における搬送面34は水平面であるが、図示省略する搬送面34の変形例として、搬送面34が下方に湾曲した断面U字状の形状などであってもよく、研削材22の搬送を阻害しない範囲で適宜の形状を採用しうる。尚、搬送面34が平面ではなく立体的である場合には、上述する搬送面34と研削材供給口52との距離d1は、研削材供給口52と、搬送面34の最も近い距離を距離d1と認識すればよい。
【0035】
搬送面34を振動させる振動発生装置331は振動量を調整可能であることが好ましい。振動量の調整によって、搬送面34に載った研削材22の搬送速度を調整することができる。振動コンベア33と振動発生装置331を備える装置の例としては、たとえば電磁フィーダーやオシレートコンベア等が挙げられる。また振動コンベア33を振動させるための駆動方法は、特に限定されず、超音波により振動コンベア33を振動させる方法、振動バネの振動により振動コンベア33を振動させる方法、可動台の可動により振動コンベア33を振動させる方法等、種々の方法を包含する。
【0036】
本実施形態では、荷重計60が、粉体搬送部30の下方に設けられている。本実施形態でも荷重計60は、第一実施形態と同様の理由から、初期値をゼロに設定可能なゼロボタンを備えるデジタル荷重計が好ましい。
以下に、荷重計60としてゼロボタンを備えるデジタル荷重計を利用した研削材22の重量の確認方法の一例について説明する。ただし以下の説明は、本発明のブラスト装置の使用方法や重量の確認方法を何ら限定するものではなく、またゼロボタンを有しない荷重計を排除するものではない。
【0037】
まず、
図2に示すように、デジタル荷重計である荷重計60のスイッチをオンにし、かつ研削材搬送部30の動作を停止した状態で、予め研削材収容部20に研削材22を収容し、研削材22を自重で下方に落下させる。そして研削材22が搬送面34上において安息角θを示し、研削材収容部20から下方への研削材22の移動が停止するのを確認する。この状態で、荷重計60の表示部62には、搬送面34に載っている研削材22、振動コンベア33および振動発生装置331の重量の和が示されており、これをゼロボタンにより荷重ゼロに設定し、表示部62における表示をゼログラムとする。
尚、ブラスト装置120におけるブラスト部10、分離部70、研削材収容部20等の装置部分は図示省略する支持部によって支持され、荷重計60による測定に影響を与えないよう構成されている。
【0038】
その後、研削材搬送部30の搬送を開始すると、搬送面34の動きに追従して研削材22が搬送され始め、搬送面34の下流側の端部まで到達した研削材22は、下方に落下し始める。落下した研削材22は、受け部36に収容される。この状態で荷重計60の表示部62に示される重量Xは、搬送面34上において、
図3に示すとおり安息角θを示す山の端部から搬送面34の下流側の端部までの搬送領域Sに存在する研削材22の重量に略等しい。そしてこの重量Xは、研削材搬送部30の搬送速度に変更がなく、かつ研削材22の粒径が有意に変化しない範囲で、概ね維持される。また、受け部36において一時的に貯留された研削材22の量が一定となるようコンプレッサー14の圧縮空気の排出量を調整すれば、ブラスト部10におけるノズル12から噴射される研削材22は概ね同じ値となるよう調整することができる。このときのノズル12からの研削材22の噴射量(噴射速度)は、上述する搬送領域Sの端から端までの距離d2を研削材が移動する移動時間Tで、重量Xを割る(重量X/移動時間T)ことで求められる。
上述するとおり、研削材搬送部30の下方に荷重計60が設けられた態様では、搬送面34に載った研削材22の量と、かかる研削材22が搬送される時間を容易に把握することができ、ブラスト装置120の使用中の噴射量を把握することができ、好ましい。
【0039】
たとえば、荷重計60において、移動時間Tを入力する入力部、当該入力部に入力された移動時間Tと、ゼログラムに設定した後において測定される搬送面34上に存在する研削材22の重量Xと、から研削材22の搬送速度(重量X/時間T)を算出する演算部、および上記演算部により計算された搬送速度を表示する表示部62を備えることは好ましい態様の一つである。
【0040】
研削材22はブラスト装置120内において何回も循環することで、割れなどが生じ粒子径が小さくなる場合があり、径の変化が大きくなると、安息角θも変化し、荷重計60に示される重量Xが変動する場合がある。そのためブラスト装置120の連続運転において、初期の噴射量(噴射速度)を維持したい場合には、研削材搬送部30の搬送速度を変化させるか、上述する研削材供給口52の高さ位置を調整する高さ調整手段により、研削材供給口52と搬送面34との距離d1を変更するなどの搬送量の調整を行うとよい。
【0041】
また、本発明者の検討によれば、
図2の状態でゼロボタンを押すまでの荷重計60に示される値は、搬送面34上に存在する安息角θを示す研削材22の山の重量と概ね同程度であり、当該山よりも上方に存在する研削材22の重量は荷重計60に示されないことがわかった。したがって、
図2に示す状態でゼロボタンにより荷重ゼロに設定すれば、ブラスト装置10を作動させて研削材22を循環させた際、研削材収容部20における研削材22の量が変動しても、当該変動が、搬送される研削材22の量の測定に与える影響は無視しうる。
【0042】
尚、本実施形態では研削材搬送部30として振動コンベア33が採用されている。そのため、振動コンベア33の振動により、荷重計60において測定される重量が振れてしまい、表示部62において重量が確認しにくい場合がある。そのため、たとえば荷重計60において測定された重量を連続的に表示部60に示すのではなく所定時間間隔で重量表示を行ってもよいし、あるいは、荷重計60に所定時間(例えば数秒間)において測定された重量の平均値を求める演算部を設け、演算された平均値を所定時間ごとに表示部60に表示するよう設定してもよい。
【0043】
上述において本発明の第一実施形態および第二実施形態について説明したが、これらは本発明を何ら限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜設計変更をすることができる。
たとえば、本発明のブラスト装置は、研削材搬送部としてベルトコンベアを採用し、そのベルトコンベアの下方に荷重計を設置してもよい。ベルトコンベアは振動コンベアのような振動が発生しないため、搬送領域における研削材の重量が荷重計に反映され易く表示し易い。
たとえば上述する実施形態はエアーブラスト装置を例に本発明を説明したが、本発明の機構は、エアーブラスト装置以外のブラスト装置に適用することもできる。たとえば、研削材導入部から研削材の自重落下を利用してショットブラスト装置におけるローターに研削材を導入してもよい。
【0044】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)ブラスト部と、
研削材収容部と、
前記研削材収容部から供給された研削材を搬送する研削材搬送部と、
前記研削材搬送部によって搬送された研削材をブラスト部に導入するための研削材導入部と、を有し、
前記研削材収容部に収容された研削材を前記研削材搬送部に供給するための、研削材供給口が設けられ、
前記研削材供給口から前記研削材導入部まで間において研削材の重量を測定するための荷重計が設けられていることを特徴とするブラスト装置。
(2)前記研削材搬送部は研削材を載置可能な搬送面を有し、
前記研削材供給口が、前記研削材搬送部の前記搬送面に対し所定の距離を開けて配置されている上記(1)に記載のブラスト装置。
(3)前記研削材搬送部の前記搬送面に対向する前記研削材供給口の高さ位置を調整する高さ調整手段を有する上記(2)に記載のブラスト装置。
(4)前記荷重計が、前記粉体搬送部の下方に設けられている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のブラスト装置。
(5)前記研削材搬送部がベルトコンベアまたは振動コンベアである上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のブラスト装置。
(6)前記荷重計による計測値と前記研削材搬送部の搬送速度によって算出された、研削材の単位時間当たりの搬送量を表示する表示部を備える上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のブラスト装置。
【符号の説明】
【0045】
10・・・ブラスト部
12・・・ノズル
14・・・コンプレッサー
141・・・流路
16・・・腕挿入口
18・・・集塵機
181・・・貯留部
19・・・排気口
20・・・研削材収容部
22・・・研削材
30・・・研削材搬送部
32・・・ベルトコンベア
321・・・回転部
33・・・振動コンベア
331・・・振動発生装置
332・・・側壁
333・・・終端壁
334・・・屈曲面
34・・・搬送面
36・・・受け部
40・・・研削材導入部
50・・・研削材供給管
501・・・内菅
502・・・外管
52・・・研削材供給口
60・・・荷重計
62・・・表示部
70・・・分離部
100、120、200・・・ブラスト装置
201・・・圧力気体導入管
202・・・先端開口部
203・・・隙間
210・・・研削材収容部
211・・・側壁
212・・・第一パイプ
250・・・ノズル
d1、d2・・・距離
θ・・・安息角
S・・・搬送領域