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▶ パイオニア精工株式会社の特許一覧

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  • 特開-風車 図1
  • 特開-風車 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116915
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】風車
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/06 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022788
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】512167493
【氏名又は名称】パイオニア精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】高尾 利幸
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB73
3H178BB75
3H178CC03
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い精度での加工を要求されることなく、回転軸に平行な風によって所望の回転力を発生させることのできるようにした風車を提供する。
【解決手段】回転軸と該回転軸の中心軸線に対して横方向外方に延びる複数のブレード20とを備え、複数の各ブレードは一定厚さの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げた断面形状がブレード長手方向に連続された立体形状をなし、ブレード長手方向の一端は取付け端部、他端は自由端となっており、ブレードの取付け端部は断面形状の前縁と後縁との間を結ぶ直線が風の流れる方向30に垂直な方向に対して0°を越えて15°以下の範囲内の角度だけ傾斜されて回転軸に取付けられることによって、複数の各ブレード20には0°を越えて15°以下の範囲内の迎角αが付与されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(15)と該回転軸(15)の中心軸線に対して横方向外方に延びる複数のブレード(20)とを備え、
上記複数の各ブレード(20)は一定厚さの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げた断面形状がブレード長手方向に連続された立体形状をなし、ブレード長手方向の一端は取付け端部、他端は自由端となっており、
上記ブレード(20)の取付け端部は断面形状の前縁と後縁との間を結ぶ直線が風の流れる方向(30)に垂直な方向に対して0°を越えて15°以下の範囲内の角度だけ傾斜されて上記回転軸に取付けられることによって、上記複数の各ブレード(20)には0°を越えて15°以下の範囲内の迎角が付与されていること特徴とする風車。
【請求項2】
上記ブレート(20)は2枚又は3枚以上回転軸(15)に設けられている請求項1記載の風車。
【請求項3】
一定厚さの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げた断面形状がブレード長
手方向に連続された立体形状をなし、ブレード長手方向の一端は取付け端部、他端は自由端となっており、上記取付け端部は0°を越えて15°以下の範囲内の迎角αが付与されていること特徴とする風車用ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風車に関し、特に回転軸に平行な風によって回転力を発生させることのできるようにした風車に関する。
【背景技術】
【0002】
都市等では建造物の屋上に空調設備の冷却塔(クーリングタワー)が多数設置されており、膨大な量の空調の排気流エネルギーが大気に放出されている。また、工場の設備等からは排気流及び排熱流などが局所的に放出されているのが現状である。
【0003】
かかるエネルギーは余剰のエネルギーであり、これをコンパクトな風力発電機によって合理的に回収して再生エネルギー化できれば、空調の設備やシステム全体としての効率を向上できることとなり、SDGsや環境配慮の観点からも有用である。
【0004】
通常、冷却塔は屋外に設置されることが多く、排出される気流は自然風による影響を受けるので、垂直軸型風力発電機を冷却塔の気流吐出口の前に設置し、冷却塔が運転されているときは送風機の風で回転し、冷却塔が停止している場合は自然の風でも回転する風車が提案されている(特許文献1)。
【0005】
ところで、風車を実用化するにあたっては低コスト化が最重点課題の1つであり、特に風車の主要要素であるブレード(翼)の低コスト化は重要である。
【0006】
例えば、厚みが均一な板状を折り曲げてブレードを製作し、ブレードの自由端がブレードの基部に対して、ブレード回転方向にずれるように製作して迎角を与えることによって、ブレードの形状を簡略化しながら同時に回転効率を高めるようにした風車が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-100583号公報
【特許文献2】特開2013-189970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2記載の風車ではブレードの自由端を固定端部に対して外側に延設し折り返すとともに、ねじれさせることによって迎角を付与するようにしているので、所望の回転力を得るためには高い精度で加工する必要があった。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、高い精度での加工を要求されることなく、回転軸に平行な風によって所望の回転力を発生させることのできるようにした風車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る風車は、回転軸と該回転軸の中心軸線に対して横方向外方に延びる複数のブレードとを備え、上記複数の各ブレードは一定厚さの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げた断面形状がブレード長手方向に連続された立体形状をなし、ブレード長手方向の一端は取付け端部、他端は自由端となっており、上記ブレードの取付け端部は断面形状の前縁と後縁との間を結ぶ直線が風の流れる方向に垂直な方向に対して0°を越えて15°以下の範囲内の角度だけ傾斜されて上記回転軸に取付けられることによって、上記複数の各ブレードには0°を越えて15°以下の範囲内の迎角が付与されていること特徴とする。
【0011】
本発明の特徴の1つは板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げてブレードの基本的な形状とし、ブレードの断面形状の前縁と後縁を結ぶ直線が風の流れる方向に垂直な方向に対して0°~15°の範囲内の角度だけ傾斜させて回転軸に取付けることによって、複数の各ブレードに迎角を付与するようした点にある。
【0012】
これにより、流線形断面の上面外形状という単純な形状に折り曲げ加工すればよいので、特許文献2記載の風車のように、高い加工精度を求められることなく風車のブレードを製作することができる。
また、流線形断面の上面外形状は形状的に高強度であり、衝撃や変形等に対しても耐性がある。
【0013】
迎角を0°~15°の範囲内の角度にしたので、回転軸に平行な風、例えば空調設備の冷却塔や工場の設備等からの排気によって回転力を確実に発生させることができるからである。
【0014】
ここで、迎角を0°~15°の範囲内の角度としたのは迎角が15°~20°を越えると抗力係数が増大し、ブレードの境界層が剥離してブレード後方に渦流が発生し、失速が生じるからである。
【0015】
さらに、流線形断面の上面形状のブレードを回転軸に傾斜して取付けることによって必要な迎角を得るようにしたので、特許文献2記載の風車のような特定形状のブレードを正確に取付ける必要はなく、例えば下記の実施例に示されるように、回転軸の径方向にブレードを取付けてもよく、径方向に対して斜めに取付けることもできる。
【0016】
迎角は風車の使用状況に応じて0°~15°の角度範囲から選べばよい。また、ブレードの材料は特に限定されず、プラスチック材料や軽金属材料などから選択すればよい。
【0017】
ブレードの流線形断面は特に限定されず、風速などの条件に応じて流線形の曲率を選択すればよい。例えば、アメリカ航空諮問委員会(NACA)が開発したブレードの流線形状を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明に係る風車の好ましい実施形態を示す図である。
図2図2は上記実施形態における風車の要部を示す図である。
図3図3は上記実施形態における風車の要部の平面(a)、一部平面(b)、側面(c)を示す図である。
図4図3は上記実施形態におけるブレードの平面(a)、側面(b)及び基本とする流線形(c)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る風車の好ましい実施形態を示す。図において、風車は矩形状のベースフレーム10を備え、ベースフレーム10の底部四隅にキャスター10Aが取付けられて床面上を移動可能となっている。
【0020】
ベースフレーム10には矩形状の取付けフレーム11が取付けられ、取付けフレーム11には本例の風車が取付けられ、風車には円錐台状のダクトカバー12が設けられている。ダクトカバー12にはダクトパイプ13が接続され、ダクトパイプ13は直線状とL字状との間で可動できるようになっている。
【0021】
また、ダクトカバー12には取付けバー14が径方向に延びて取付けられ、取付けバー14には回転軸カバー40が回転自在に取付けられるとともに、回転軸カバー40内には回転軸15が収容され、又は取付けバー14には円錐形状の整流用ノーズコーン16が固着支持され、又回転軸カバー40には2枚のブレード20が回転軸15の中心軸に対して傾斜しかつ径方向外方に延びて取付けられている。
【0022】
ブレード20は例えば一定厚みの金属製板材を用い、ブレード20は図4(c)に示されるような流線形断面の上面外形状に折り曲げて製作された断面形状を図4(c)に示されるようにブレード長手方向に連続させた立体形状となっている。
【0023】
ブレード長手方向の一端は例えば取付けフランジを形成するなどして取付け端部が形成されており、他端は自由端となっている。
【0024】
また、ブレード20の取付け端部は断面形状の前縁と後縁との間を結ぶ直線が風の流れる方向30に垂直な方向に対して0°を越えて15°以下の範囲内の角度だけ傾斜されて回転軸15に取付けられ、これによって複数の各ブレード20には0°を越えて15°以下の範囲内の迎角αが付与されている。
【0025】
以上のように、本例の風車では一定厚みの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げてブレード20の基本的な形状とし、ブレード20の断面形状の前縁と後縁を結ぶ直線を風の流れる方向30に垂直な方向に対して0°~15°の範囲内の角度だけ傾斜させて回転軸カバー40に取付けることによって、複数の各ブレード20に迎角を付与するようしたので、流線形断面の上面外形状という単純な形状に折り曲げ加工すればよいので、特許文献2記載の風車のように、高い加工精度を求められることなく風車のブレードを製作することができる。
【0026】
また、本例の風車では一定厚みの板材を流線形断面の上面外形状に折り曲げてブレードの基本的な形状としているので、形状的に高強度であり、衝撃や変形等に対しても耐性がある。
【0027】
迎角αを0°~15°の範囲内の角度にしたので、回転軸に平行な風、例えば空調設備の冷却塔や工場の設備等からの排気によって回転力を確実に発生させることができるからである。
【0028】
さらに、流線形断面の上面形状のブレードを回転軸に傾斜して取付けることによって必要な迎角を得るようにしたので、特許文献2記載の風車のような特定形状のブレードを正確に取付ける必要はなく、例えば下記の実施例に示されるように、回転軸の径方向にブレードを取付けてもよく、径方向に対して斜めに取付けることもできる。
【0029】
上記の例では2枚のブレードによって風車を構成したが、3枚以上のブレードによって風車を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
15 回転軸
20 ブレード
30 風の流れる方向
40 回転軸カバー

図1
図2
図3
図4