IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図1
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図2
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図3
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図4
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図5
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図6
  • 特開-制御基板、及び対基板作業機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116917
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】制御基板、及び対基板作業機
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20240821BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H02P5/46 B
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022792
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】坂上 諒
(72)【発明者】
【氏名】児玉 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】坂西 和樹
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 智広
【テーマコード(参考)】
5E353
5H572
【Fターム(参考)】
5E353CC01
5E353CC30
5E353EE90
5E353GG02
5E353GG29
5E353JJ21
5E353KK01
5E353KK11
5E353NN20
5H572AA14
5H572CC05
5H572DD07
5H572HC01
5H572HC04
5H572HC07
(57)【要約】
【課題】対基板作業機の構成に応じた制御を対基板作業機に実行させることができる制御基板、及び対基板作業機を提供すること。
【解決手段】本開示の制御基板は、少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの電源基板と、を備える対基板作業機に設けられる。対基板作業機は、制御基板の制御に基づいて、少なくとも1つのモータを制御可能である。電源基板は、制御基板が制御する少なくとも1つのモータに対応する電源として機能する。制御基板は、制御基板に接続された電源基板の電力値、及び制御基板に接続された電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つのモータに対する対基板作業機の制御内容を変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの電源基板と、を備える対基板作業機に設けられる制御基板であって、
前記対基板作業機は、
前記制御基板の制御に基づいて、少なくとも1つの前記モータを制御可能であり、
前記電源基板は、
前記制御基板が制御する少なくとも1つの前記モータに対応する電源として機能し、
前記制御基板は、
前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの前記モータに対する前記対基板作業機の制御内容を変更する、制御基板。
【請求項2】
前記対基板作業機は、
基板を搬送するレーンを少なくとも1つ備え、
少なくとも1つの前記モータは、
前記レーンに係る部材を動作させる駆動源として用いられ、
前記制御基板は、
前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、前記対基板作業機が認識する前記レーンの数を変更することで、前記対基板作業機が制御する前記モータの数を前記レーンの数に応じて変更し、前記対基板作業機の制御内容を変更する、請求項1に記載の制御基板。
【請求項3】
前記電源基板は、
前記レーンの数と同一数だけ設けられ、
前記制御基板は、
前記電源基板を着脱可能に装着される電源用コネクタを複数備え、前記電源基板を接続された前記電源用コネクタの数を前記電源基板の数として取得し、取得した前記電源基板の数を前記レーンの数として前記対基板作業機に認識させる、請求項2に記載の制御基板。
【請求項4】
前記対基板作業機は、
前記モータと一対で設けられ、前記モータに電力を供給して駆動する駆動基板を備え、
前記制御基板は、
前記駆動基板を着脱可能に装着される駆動用コネクタを複数有し、前記駆動用コネクタに接続された前記駆動基板を介して前記モータを制御する、請求項1又は請求項2に記載の制御基板。
【請求項5】
前記制御基板は、
複数の前記駆動用コネクタのうち、前記駆動基板が接続された前記駆動用コネクタと前記駆動基板が接続されていない前記駆動用コネクタとが混在する状態において、前記駆動用コネクタに接続された前記駆動基板を介して前記モータを制御可能である、請求項4に記載の制御基板。
【請求項6】
前記モータは、
少なくとも3つ設けられ、基板を搬送するコンベアベルトを回転させる駆動源、前記コンベアベルトを支持する可動壁を移動させ前記基板を搬送するレーンの幅を変更する駆動源、及び前記基板をクランプして保持するための駆動源として用いられる、請求項4に記載の制御基板。
【請求項7】
前記対基板作業機は、
基板を搬送するレーンを少なくとも1つ備え、
前記制御基板は、
前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、前記対基板作業機が認識する前記レーンの数を設定可能であり、複数の前記駆動用コネクタに接続された前記駆動基板の接続状態に基づいて、設定する前記レーンの数に必要な前記駆動基板及び前記モータが接続されているか否かを判断する、請求項4に記載の制御基板。
【請求項8】
少なくとも1つのモータと、
少なくとも1つの電源基板と、
制御基板と、
を備える対基板作業機であって、
前記対基板作業機は、
前記制御基板の制御に基づいて、少なくとも1つの前記モータを制御可能であり、
前記電源基板は、
前記制御基板が制御する少なくとも1つの前記モータに対応する電源として機能し、
前記制御基板は、
前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの前記モータに対する前記対基板作業機の制御内容を変更する、対基板作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータを制御する制御基板、及び制御基板を備える対基板作業機の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動源として備え、モータを駆動して基板に対する作業を実行する対基板作業機について種々提案されている。下記特許文献1の電子部品実装機は、基板を搬送するレーン(回路基板搬送路)を2つ備えている。電子部品実装機は、レーンにおいて基板を搬送する基板搬送装置、レーンの幅の変更やレーンを搬送される基板のクランプを実行する基板クランプ装置、基板を下方から支持するバックアップピンを昇降させる基板昇降装置などを備えている。電子部品実装機は、上記した基板搬送装置などの各装置の駆動源としてモータを備えており、制御装置によって各モータを制御し、各装置の動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-80003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した電子部品実装機などの対基板作業機は、要求される生産能力や機能などに応じて、モータを駆動源とする装置の数やモータの数が変更される。一方で、対基板作業機の構成が変更された場合、例えば、異なるシリーズの対基板作業機であっても、共通の制御基板を用いることができれば、開発コストや製造コストの低減を図ることができる。しかしながら、共通の制御基板が使用できたとしても、対基板作業機の構成に合った設定を制御基板に対して手作業で行うと、設定ミスが発生する恐れがある。このため、対基板作業機側で装置の構成を検出できる技術が求められている。
【0005】
本開示は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、対基板作業機の構成に応じた制御を対基板作業機に実行させることができる制御基板、及び対基板作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの電源基板と、を備える対基板作業機に設けられる制御基板であって、前記対基板作業機は、前記制御基板の制御に基づいて、少なくとも1つの前記モータを制御可能であり、前記電源基板は、前記制御基板が制御する少なくとも1つの前記モータに対応する電源として機能し、前記制御基板は、前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの前記モータに対する前記対基板作業機の制御内容を変更する、制御基板を開示する。
【0007】
また、本明細書は、少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの電源基板と、制御基板と、を備える対基板作業機であって、前記対基板作業機は、前記制御基板の制御に基づいて、少なくとも1つの前記モータを制御可能であり、前記電源基板は、前記制御基板が制御する少なくとも1つの前記モータに対応する電源として機能し、前記制御基板は、前記制御基板に接続された前記電源基板の電力値、及び前記制御基板に接続された前記電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つの前記モータに対する前記対基板作業機の制御内容を変更する、対基板作業機を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の制御基板、対基板作業機によれば、制御基板に接続された電源基板の電力値、及び制御基板に接続された電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、モータに対する対基板作業機の制御内容を変更する。これにより、対基板作業機の電源の構成に応じた制御を対基板作業機に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の電子部品実装機1の斜視図。
図2】電子部品実装機1の上面図。
図3】電子部品実装機1の右側面図。
図4】電子部品実装機1のブロック図。
図5】第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rに係るブロック図であり、ダブルコンベアのブロック図。
図6】別実施例のシングルコンベアのブロック図。
図7】別実施例のダブルコンベアのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の対基板作業機を具体化した一実施例である電子部品実装機を、図を参照しつつ詳しく説明する。まず、本実施例の電子部品実装機(以下、実装機という)1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1図3に示すように、第1及び第2基板Bf,Brの搬送方向を左右方向と称して説明する。左側は、搬送方向の上流側である。また、実装機1を正面から見た方向を基準とし、搬送される第1及び第2基板Bf,Brの平面に平行で左右方向に垂直な方向を前後方向、左右方向及び前後方向の両方に垂直な方向を上下方向と称して説明する。
【0011】
尚、図1図2は、電子部品Pf、Pr(図3参照)の図示を省略している。また、図1は、モジュール3のハウジング内を透過的に図示する。図2は、モジュール3のハウジングを省略して示す。また、Y方向スライダ310、Y方向ガイドレール312、X方向ガイドレール313を一点鎖線で示す。また、吸着位置B1、第1基板Bf、第2基板Brに、ハッチングを施す。
【0012】
図1図3に示すように、実装機1は、ベース90と、モジュール3と、部品供給装置4と、を備えている。部品供給装置4は、ベース90の前部上方に配置され、複数のフィーダ45を備えている。フィーダ45は、吸着位置B1において電子部品Pf、Pr(図3参照)を供給する。モジュール3は、基板クランプ装置30と、XYロボット31と、装着ヘッド32と、パーツカメラ34と、基板昇降装置35と、基板搬送装置36と、制御装置7(図4参照)と、画像処理装置8(図4参照)と、を備えている。
【0013】
基板クランプ装置30は、固定壁300と、第1可動壁301fと、第2可動壁302f、第3可動壁301rと、左右一対のガイドレール303L、303Rと、前後一対の第1クランプ部材304fと、前後一対の第2クランプ部材304rと、基部305と、を備えている。基部305は、ベース90の上面に配置されている。左右一対のガイドレール303L、303Rの各々は、基部305の上面における左縁及び右縁のそれぞれに配置され、前後方向に延在している。固定壁300、第1可動壁301f、第2可動壁302f、及び第3可動壁301rは、下方に開口するC字板状をなし、基部305の上面に配置され、前方から後方に向かってこの順に並んでいる。固定壁300は、左右一対のガイドレール303L、303Rの前端において位置を固定されている。第1可動壁301f、第2可動壁302f及び第3可動壁301rの各々は、左右一対のガイドレール303L、303Rに対して、前後方向に摺動可能に取り付けられている。
【0014】
前後一対の第1クランプ部材304f、前後一対の第2クランプ部材304rの各々は、左右方向に長い角柱状を呈している。前方の第1クランプ部材304fは固定壁300の上縁に配置され、後方の第1クランプ部材304fは第1可動壁301fの上縁に配置されている。また、前方の第2クランプ部材304rは第2可動壁302fの上縁に配置され、後方の第2クランプ部材304rは第3可動壁301rの上縁に配置されている。
【0015】
基板搬送装置36は、第1基板Bfを搬送する第1レーンLfと、第2基板Brを搬送する第2レーンLrを備えている。基板搬送装置36は、第1レーンLfに設けられた一対の第1コンベアベルト360fと、第2レーンLrに設けられた一対の第2コンベアベルト360rと、を備えている。前方の第1コンベアベルト360fは固定壁300の後面に配置され、後方の第1コンベアベルト360fは第1可動壁301fの前面に配置されている。基板搬送装置36は、第1搬送モータ369f(図4参照)を駆動し一対の第1コンベアベルト360fを回転させることで、第1レーンLfにおいて第1基板Bfを左から右に向かって搬送させる。同様に、前方の第2コンベアベルト360rは第2可動壁302fの後面に配置され、後方の第2コンベアベルト360rは第3可動壁301rの前面に配置されている。基板搬送装置36は、第2搬送モータ369r(図4参照)を駆動し一対の第2コンベアベルト360rを回転させることで、第2レーンLrにおいて第2基板Brを左から右に向かって搬送させる。
【0016】
また、実装機1は、第1及び第2レーンLf,Lrのレーン幅(前後方向における幅)を変更可能となっている。第1可動壁301fは、第1レーン幅変更モータ309a(図4参照)により、第2可動壁302fは、第2レーン幅変更モータ309b(図4参照)により、第3可動壁301rは第3レーン幅変更モータ309c(図4参照)により、それぞれ独立して移動させられる。第1可動壁301f、第2可動壁302f、及び第3可動壁301rは、各レーン幅変更モータ(第1レーン幅変更モータ309aなど)の駆動に基づいて前後方向の位置を変更される。これにより、位置を固定された固定壁300の位置を基準として、第1可動壁301f、第2可動壁302f、及び第3可動壁301rの位置を変更し、第1及び第2レーンLf,Lrのレーン幅を変更することができる。
【0017】
基板昇降装置35は、第1基板昇降部350fと、第2基板昇降部350rと、を備えている。第1基板昇降部350fは、第1ボールねじ機構351fと、第1バックアップテーブル352fを備え、前後方向において前後一対の第1クランプ部材304fの間に配置されている。第1基板昇降部350fは、第1昇降モータ359f(図4参照)により第1ボールねじ機構351fを駆動し、第1バックアップテーブル352fを上下方向に移動させる。第1バックアップテーブル352fの上面には、複数の第1バックアップピン353fが配置可能となっている。第1基板昇降部350fは、第1バックアップテーブル352fを上昇させることで、前後一対の第1クランプ部材304fと、複数の第1バックアップピン353fとにより、上下方向の両側から第1基板Bfをクランプして固定する。また、第1基板昇降部350fは、第1バックアップテーブル352fを下降させることで、第1基板Bfのクランプを解除する。
【0018】
また、第2基板昇降部350rの構成は、第1基板昇降部350fと同様の構成となっている。第2基板昇降部350rは、前後方向において前後一対の第2クランプ部材304rの間に配置されている。第2基板昇降部350rは、第2昇降モータ359r(図4参照)により第2ボールねじ機構351rを駆動し、第2バックアップテーブル352rを上昇させることで、前後一対の第2クランプ部材304rと複数の第2バックアップピン353rで第2基板Brをクランプする。
【0019】
XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。尚、X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。左右一対のY方向ガイドレール312は、モジュール3のハウジング内部空間の上面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に対して、Y軸モータ319b(図4参照)の駆動により、Y方向(前後方向)に移動する。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。X方向スライダ311は、左右一対のY方向ガイドレール312に対して、X軸モータ319a(図4参照)の駆動により、X方向(左右方向)に移動する。
【0020】
装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31の駆動により、前後方向及び左右方向の任意の位置へ移動可能である。また、装着ヘッド32は、X方向スライダ311に対して、Z軸モータ329a(図4参照)の駆動により、上下方向に移動する。装着ヘッド32の下面からは、円筒状のホルダ(図略)が突設されている。このホルダは、θ軸モータ329b(図4参照)により、上下方向と平行な軸回り(θ方向)に回転可能である。ホルダには、電子部品Pf、Prを吸着保持する吸着ノズル320が取り付けられている。パーツカメラ34は、固定壁300の前方に配置され、上方を向いた状態で取り付けられている。制御装置7(図4参照)は、パーツカメラ34により、吸着ノズル320に吸着された電子部品Pf、Prを下方から撮像し、撮像した画像データを画像処理装置8(図4参照)で画像処理し、電子部品Pf、Prの吸着状態を検出する。
【0021】
図4は、実装機1のブロック図を示している。図4に示すように、実装機1は、上記した各装置の他に、制御装置7、電源装置9、複数の駆動基板10を備えている。上記したように、実装機1は、第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369r、X軸モータ319a、Y軸モータ319b、Z軸モータ329a、θ軸モータ329bの各モータを備えている。制御装置7は、複数の駆動基板10を介して、これらの各モータ(第1レーン幅変更モータ309aなど)にそれぞれと接続されている。複数の駆動基板10は、例えば、制御装置7のモータ指令信号CI2(図5参照)に基づいて各モータへ供給する電力を変更するドライバ回路である。具体的には、例えば、対象のモータがステッピングモータであれば、駆動基板10は、制御装置7から入力したパルス信号(モータ指令信号CI2)に基づいてステッピングモータの巻き線に供給する電流を変更する。また、例えば、対象のモータがサーボモータであれば、駆動基板10は、制御装置7から入力した目標トルク等(モータ指令信号CI2)と、モータに取り付けられたエンコーダのエンコーダ情報に基づいて、サーボモータに供給する三相交流電流をフィードバック制御する。尚、駆動基板10は、ステッピングモータにおいても、ステッピングモータに取り付けられたエンコーダのエンコーダ情報に基づいてステッピングモータに対するフィードバック制御を実行しても良い。また、各モータは、ステッピングモータ、サーボモータに限らず、他の種類のモータ(リニアモータなど)でも良い。
【0022】
制御装置7は、上位装置51と、制御基板52を備えている。上位装置51は、例えば、CPU51a、メモリ(RAM、ROMなど)51bを備える処理基板である。上位装置51は、メモリ51bに記憶された制御プログラムをCPU51aで実行することで、画像処理装置8、電源装置9、駆動基板10、制御基板52等を制御し、実装機1の動作を統括的に制御する。尚、メモリは、RAM、ROMに限らず、HDDやSSDなどの他の種類の記憶装置、あるいはこれらを組み合わせたものでも良い。
【0023】
実装機1は、上記した構成によって、電子部品Pf、Prを第1及び第2基板Bf,Brに装着する装着作業を実行する。制御装置7は、上記したように、第1及び第2レーンLf,Lrの各々で第1及び第2基板Bf,Brに対する装着作業を実行できる。以下の説明では、説明が煩雑となるのを避けるため、主に第1基板Bfの装着作業について説明し、第2基板Brの装着作業についての説明を適宜省略する。尚、制御装置7は、第1基板Bfと同じ種類の第2基板Brに対する装着作業を実行しても良く、別の種類の第2基板Brに対する装着作業を実行しても良い。
【0024】
制御装置7は、例えば、装着作業を実行(生産)する基板種の変更に応じて、新たな基板種の第1基板Bfに対する装着作業を実行するための生産プログラム(所謂、レシピ)を、生産ラインを管理する装置から取得する。この生産プログラムには、基板の種類、装着する電子部品Pfの種類、電子部品Pfの装着位置の情報などの他に、第1基板Bfの基板幅の情報が設定されている。制御装置7は、生産プログラムに設定された基板幅に基づいて第1レーン幅変更モータ309aを駆動し、第1可動壁301fを前後方向へ移動させることで第1レーンLfのレーン幅を変更する。尚、制御装置7は、第1レーンLfと同様に、第2基板Brの基板種の変更などに応じて、第2可動壁302f、第3可動壁301rを移動させ、第2レーンLrのレーン幅を変更する。
【0025】
制御装置7は、第1レーンLfのレーン幅を変更すると、第1搬送モータ369fを駆動して、生産ラインの上流側の装置から第1基板Bfを搬入し、搬入した第1基板Bfを所定の作業位置まで搬送する。制御装置7は、第1昇降モータ359fを駆動して第1バックアップテーブル352fを上昇させ、第1バックアップピン353fと第1クランプ部材304fで第1基板Bfをクランプする。制御装置7は、部品供給装置4、XYロボット31、装着ヘッド32等を制御し、電子部品Pfを第1基板Bfに装着する作業を実行する。この際、制御装置7は、パーツカメラ34によって電子部品Pfを撮像し、画像処理装置8の画像処理の結果に基づいてXYロボット31や装着ヘッド32を制御し、電子部品Pfの位置や向きの補正などを実行する。制御装置7は、位置等を補正しつつ、Z軸モータ329aを駆動して吸着ノズル320を下降させ、第1基板Bfに電子部品Pfを装着させる。制御装置7は、上記した作業を繰り返し実行し、生産プログラムに設定された電子部品Pfについて第1基板Bfに装着する作業を実行する。制御装置7は、全ての電子部品Pfの装着を完了させると、第1バックアップテーブル352fを下降させてクランプを解除し、第1搬送モータ369fを駆動して第1基板Bfを、生産ラインの下流側の装置へ搬出する。このようにして、実装機1は、電子部品Pf、Prを第1及び第2基板Bf,Brに装着する装着作業を実行する。
【0026】
(モータの制御と電力系統について)
次に、第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rの制御と、電源系統について説明する。制御装置7の制御基板52は、上位装置51の制御に基づいて、第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rを制御する。第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rは、本開示のモータの一例である。尚、本開示のモータは、上記したモータに限らず、他のモータ(X軸モータ319aなど)でも良い。
【0027】
図5は、第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rに係るブロック図を示している。尚、図5では、他のX軸モータ319a等の図示を省略している。図5に示すように、第1レーン幅変更モータ309a、第1昇降モータ359f、第1搬送モータ369fは、第1レーンLfで用いるモータである。また、第2及び第3レーン幅変更モータ309b,309c、第2昇降モータ359r、第2搬送モータ369rは、第2レーンLrで用いるモータである。以下の説明では、これらの図5に示す全てのモータを説明するときはレーン用モータと称し、各レーンで用いるモータをそれぞれ説明するときは、第1レーンLfのレーン用モータ、第2レーンLrのレーン用モータと称して説明する。
【0028】
また、制御基板52は、CPU53、メモリ54、電力検出回路55を備えている。メモリ54は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等であり、各種のプログラムや設定値が記憶されている。制御基板52は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU53で実行し、上位装置51の制御情報CI1を入力し、制御情報CI1に基づく制御を実行する。例えば、上位装置51は、生産ラインの上流側の装置から第1基板Bfが搬出されたことを検出すると、第1レーンLfを駆動させることを指示する制御情報CI1を制御基板52に出力する。制御基板52は、制御情報CI1に基づいて第1搬送モータ369fを駆動し第1コンベアベルト360fを回転させ、第1基板Bfを第1レーンLfに搬入する。
【0029】
また、制御基板52は、複数(本実施例では2つ)の電源用コネクタ56a,56bを備えている。また、電源装置9は、第1AC/DCコンバータ57、第2AC/DCコンバータ58を備えている。第1AC/DCコンバータ(以下、第1コンバータという)57は、第1レーンLf用の電源であり、第1レーン幅変更モータ309a、第1昇降モータ359f、第1搬送モータ369fへ電力を供給する電源として機能する。また、第2AC/DCコンバータ(以下、第2コンバータという)58は、第2レーンLr用の電源であり、第2レーン幅変更モータ309b、第3レーン幅変更モータ309c、第2昇降モータ359r、第2搬送モータ369rへ電力を供給する電源として機能する。
【0030】
第1コンバータ57は、電源60の交流電力から第1レーンLfのレーン用モータ(第1レーン幅変更モータ309aなど)で必要な直流電力を生成する。同様に、第2コンバータ58は、電源60の交流電力から第2レーンLrのレーン用モータ(第2レーン幅変更モータ309bなど)で必要な直流電力を生成する。電源60は、例えば、生産工場の電源装置である。第1及び第2コンバータ57,58の各々は、電源ケーブルを介して電源用コネクタ56a,56bに接続可能となっている。図5に示す例では、第1コンバータ57が電源用コネクタ56aに接続され、第2コンバータ58が電源用コネクタ56bに接続されている。
【0031】
ここで、本実施例の実装機1は、第1及び第2レーンLf,Lrの2つのレーンを備える構成(以下、ダブルコンベアという場合がある)である。一方で、実装機1に要求される生産能力や機能などによっては、レーン数が増減する。図6は、別実施例の実装機1の構成を示しており、第1レーンLfの1つのレーンのみを備える構成(以下、シングルコンベアという場合がある)を示している。
【0032】
図5に示すダブルコンベア、図6に示すシングルコンベア、あるいは、3つのレーンを備えるトリプルコンベアなど、レーンの数が変更された場合、モータの数、可動壁(第1可動壁301fなど)の数は、変更されるが、共通の制御基板52を用いることができれば、開発コストや製造コストの低減を図ることができる。また、レーンの数に限らず、実装機1のモータの数は変更される可能性があるが、このような場合にも制御基板52を共通の部材として用いることができれば、開発コストや製造コストの低減を図ることができる。
【0033】
また、上位装置51は、シングルコンベアやダブルコンベアなど、レーンの数やモータの数に応じて制御内容が異なってくる。例えば、シングルコンベアを制御する場合の制御プログラムと、ダブルコンベアを制御する場合の制御プログラムの両方を、上位装置51のメモリ51bに記憶しておけば、上位装置51は、2つの構成の両方に対応可能となる。具体的には、上位装置51は、制御基板52に接続された構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるかを検出・認識できれば、構成に合った制御プログラムを実行することで適切な制御を実行できる。
【0034】
一方で、シングルコンベア又はダブルコンベアの設定を、実装機1の製造工場の作業者が手作業で行うと、作業ミスが発生し、上位装置51が構成の認識を誤る可能性がある。具体的には、例えば、制御基板52にディップスイッチを設け、上位装置51が、ディップスイッチの位置に応じた信号を制御基板52から入力し、入力した信号の違いに基づいてシングルコンベア又はダブルコンベアの構成を判断するものとする。この場合、作業者がディップスイッチの設定を間違える、あるいは忘れるなどすると、上位装置51は、ダブルコンベアであるにも関わらず、シングルコンベアだと誤認識してしまう。
【0035】
そこで、本実施例の実装機1では、シングルコンベア又はダブルコンベアの認識を自動で実行できる構成となっている。詳述すると、制御基板52は、制御基板52に接続された電源基板(本実施例では第1及び第2コンバータ57,58)の電力値、及び制御基板52に接続された電源基板の数に基づいて、レーン用モータに対する実装機1の制御内容を変更する。制御基板52の電力検出回路55は、例えば、検出抵抗やコンパレータ等を備える電圧計であり、電源用コネクタ56a,56bに入力される電圧の合計電圧の電圧値に応じた信号をCPU53に出力する。CPU53は、電力検出回路55から入力した信号に基づいて、第1コンバータ57だけが接続されているか、あるいは第1及び第2コンバータ57,58の両方が接続されているのかを判断し、判断結果を示す電源情報SIを上位装置51に出力する。電力検出回路55及びCPU53は、上記した処理を、例えば、実装機1のシステムの起動時に実行する。これにより、上位装置51は、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアであるのかを電源情報SIに基づいて正しく認識できる。
【0036】
上位装置51は、例えば、認識した構成に合った制御プログラムを実行し、制御情報CI1を制御基板52に出力する。上位装置51は、シングルコンベアと認識・判断した場合には、第1レーンLfのレーン用モータを動作させる制御情報CI1だけを制御基板52に出力する。また、上位装置51は、ダブルコンベアと認識・判断した場合には、第1及び第2レーンLf,Lrの両方のレーン用モータを動作させる制御情報CI1を制御基板52に出力する。
【0037】
図5に示すように、制御基板52は、7つのレーン用モータの各々を接続する駆動用コネクタ61a、61b、61c、61d、61e、61f、61gを備えている。7つの駆動用コネクタ61a~61gの各々には、駆動基板10を介して7つのレーン用モータの各々が接続されている。例えば、7つの駆動用コネクタ61a~61gの各々には、この順番に、第1レーン幅変更モータ309a、第1昇降モータ359f、第1搬送モータ369f、第2レーン幅変更モータ309b、第3レーン幅変更モータ309c、第2昇降モータ359r、第2搬送モータ369rがそれぞれ接続されている。制御基板52は、第1レーンLfのレーン用モータを動作させる制御情報CI1だけを上位装置51から入力した場合、駆動用コネクタ61a~61cのみを使用して制御を実行する。また、制御基板52は、第1及び第2レーンLf,Lrの両方のレーン用モータを動作させる制御情報CI1を上位装置51から入力した場合、駆動用コネクタ61a~61gの全てのコネクタを使用して制御を実行する。これにより、電力検出回路55によって電源基板の電圧値を検出し、シングルコンベア又はダブルコンベアの何れかを上位装置51に認識させ、レーン数に応じた制御を制御基板52に実行させることができる。
【0038】
尚、電源基板の電力値に基づいて上位装置51の制御内容を変更する方法は、上記した方法に限らない。例えば、電力検出回路55が検出した情報(合計電圧値など)を、CPU53が上位装置51に直接出力しても良い。そして、上位装置51は、電力検出回路55で検出した合計電圧値に基づいてシングルコンベア又はダブルコンベアの判断を実行しても良い。また、電力検出回路55、CPU53、及び上位装置51は、電圧値ではなく、電流値に基づいてシングルコンベア又はダブルコンベアを判断・認識しても良い。例えば、電力検出回路55は、電源用コネクタ56a,56bから入力した合計電流値の情報をCPU53に出力しても良い。
【0039】
また、制御基板52は、制御基板52に接続された電源基板の数を検出し、検出結果に応じた電源情報SIを上位装置51に出力する。例えば、電力検出回路55は、電源用コネクタ56a,56bのそれぞれについて電圧値を検出し、検出した電圧値が所定の電圧値以上であるか否かを判断する。ここでいう所定の電圧値とは、例えば、第1及び第2コンバータ57,58から供給される定格電圧に応じた電圧値であり、第1及び第2コンバータ57,58が電源用コネクタ56a,56bに接続されているか否かを検出可能な値である。電力検出回路55は、所定の電圧値以上の電圧値を検出した電源用コネクタ56a,56bの数、即ち、電源基板の数をCPU53に出力する。CPU53は、例えば、上記した合計電圧値の場合の処理と同様に、電力検出回路55から入力した数の値に基づいて、第1コンバータ57だけが接続されているか、あるいは第1及び第2コンバータ57,58の両方が接続されているのかを判断し、判断結果を示す電源情報SIを上位装置51に出力する。あるいは、CPU53は、入力した数の情報をそのまま電源情報SIとして上位装置51に出力しても良い。これにより、上位装置51は、合計電圧値と同様に、電源基板の数に基づいて、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるのかを認識できる。また、上位装置51は、上記した電源基板の電力値に加え、電源基板の数も確認することで、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるのかをより精度良く検出できる。
【0040】
尚、電力検出回路55は、上記した電源基板の電力値、及び電源基板の数のうち、少なくとも一方のみを実行する構成でも良い。従って、上位装置51は、電源基板の電力値、又は電源基板の数の一方のみで、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるのかを認識しても良い。
【0041】
従って、上記したように、本実施例の制御基板52は、電源基板の電力値、及び電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、実装機1が認識するレーンの数を変更することで、実装機1が制御するレーン用モータの数をレーンの数に応じて変更し、実装機1の制御内容を変更する。これにより、電力値及び電源基板の数に基づいて、制御すべきレーンの数を上位装置51に認識させることができる。
【0042】
また、図5図6に示す実施例では、第1及び第2コンバータ57,58は、レーンの数と同一数だけ設けられている。そして、制御基板52は、第1及び第2コンバータ57,58を着脱可能に装着される電源用コネクタ56a,56bを備える。電力検出回路55は、第1及び第2コンバータ57,58を接続された電源用コネクタ56a,56bの数を電源基板の数として取得し、取得した電源基板の数をレーンの数として上位装置51に認識させても良い。これにより、電源用コネクタ56a,56bの接続状況に基づいて、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるのかを上位装置51に正しく認識させることができる。
【0043】
尚、制御基板52は、1つの電源用コネクタに複数のAC/DCコンバータが接続される構成でも良い。例えば、図7の別実施例に示すように、制御基板52は、電源用コネクタ56bを備えず、電源用コネクタ56aだけを備える構成でも良い。そして、第1及び第2コンバータ57,58の両方を電源用コネクタ56aに接続しても良い。この場合にも、電力検出回路55によって、電源用コネクタ56aの電圧値や電流値を検出して判断し、判断結果を上位装置51に通知することで、上位装置51は、自装置の構成がシングルコンベア又はダブルコンベアの何れであるのかを認識できる。
【0044】
また、制御基板52は、例えば、第1コンバータ57から供給された直流電力を、第1レーン幅変更モータ309a、第1昇降モータ359f、第1搬送モータ369fの各々に接続された駆動基板10に、即ち、第1レーンLfの駆動基板10に供給する。同様に、制御基板52は、第2コンバータ58から供給された直流電力を、第2レーン幅変更モータ309b、第3レーン幅変更モータ309c、第2昇降モータ359r、第2搬送モータ369rの各々に接続された駆動基板10に、即ち、第2レーンLrの駆動基板10に供給する。尚、第1及び第2コンバータ57,58と7つの駆動基板10を直接接続し、第1及び第2コンバータ57,58の直流電力を、制御基板52を介さずに各駆動基板10に供給しても良い。
【0045】
制御基板52は、駆動基板10を介してレーン用モータの各々を制御する。例えば、レーン用モータがステッピングモータであれば、制御基板52は、レーン用モータの回転動作を指示するパルス信号を、モータ指令信号CI2として駆動基板10に出力する。駆動基板10は、制御基板52から入力したモータ指令信号CI2のパルス信号に基づいてレーン用モータの巻き線に供給する電流を変更する。
【0046】
図5及び図6に示すように、制御基板52には、シングルコンベア及びダブルコンベアの何れの場合にもレーン用モータを接続可能な数(本実施例では7つ)の駆動用コネクタ61a~61gが設けられている。ここで、実装機1のレーンの数は、上記したように、要求される生産能力や機能などに応じて変更される。レーンの数に応じてレーン用モータの数も異なってくる。一方で、図7に示す別実施例のように、例えば、駆動基板10と同じ処理が可能な駆動回路10aを制御基板52上に実装した場合、ダブルコンベアにも対応しようとすると、7つの駆動回路10aを制御基板52に実装する必要がある。従って、対応可能なレーン数のうち、最大レーン数のレーン用モータの数と同数の駆動回路10aを制御基板52に実装する必要が生じる。その結果、シングルコンベアの場合にも、7個の駆動回路10aを実装した制御基板52を用いる必要が生じ、製造コストの増加、制御基板52における不要な消費電力の増加を招く恐れがある。
【0047】
そこで、本実施例の制御基板52は、駆動基板10を制御基板52とは別の基板(部材)とし、制御基板52と駆動基板10とを駆動用コネクタ61a~61gを介して接続可能(着脱可能)に構成している。図5に示すように、複数の駆動基板10は、7つのレーン用モータと一対で設けられ、レーン用モータに電力を供給して駆動する。そして、制御基板52は、駆動用コネクタ61a~61gに接続された駆動基板10を介してレーン用モータを制御する。これにより、製造コストの低減と、消費電力の低減を図ることができる。また、制御基板52の汎用性を高めることができる。尚、1つの駆動基板10で、複数のレーン用モータを駆動する構成としても良い。
【0048】
また、制御基板52は、図6に示すように、複数の駆動用コネクタ61a~61gのうち、駆動基板10が接続された駆動用コネクタ61a~61cと、駆動基板10が接続されていない駆動用コネクタ61d~61gとが混在する状態において使用可能である。上記したように、上位装置51は、電力検出回路55の情報に基づいてシングルコンベアであるのかダブルコンベアであるのかを認識でき、認識した構成に応じた制御情報CI1を制御基板52に指示する。従って、上位装置51は、図6に示す構成では、シングルコンベアに合った制御情報CI1を制御基板52に指示する。これにより、制御基板52は、図6の接続構成において、駆動用コネクタ61a~61cに接続された駆動基板10を介して第1レーンLfのレーン用モータを制御できる。その結果、ダブルコンベアで必要な数だけ駆動用コネクタ61a~61gを準備した制御基板52をシングルコンベアに用いた場合に、不要な駆動用コネクタ61d~61gを空けた状態で制御を実行できる。
【0049】
尚、どのレーン用モータをどの駆動用コネクタ61a~61gに接続すべきかを、予め制御基板52に設定しても良い。この場合、制御基板52は、例えば、シングルコンベアの場合には、駆動用コネクタ61a~61cだけ使用し、ダブルコンベアの場合には、駆動用コネクタ61a~61gを使用するといった制御を実行できる。あるいは、制御基板52は、駆動用コネクタ61a~61gから入力した情報に基づいて、どのレーン用モータがどの駆動用コネクタ61a~61gに接続されているのか種類を検出しても良い。制御基板52は、例えば、レーン用モータに型番等を問い合わせて使用目的を判断し、制御情報CI1に基づくモータ指令信号CI2をどの駆動用コネクタ61a~61gから出力すべきか決定しても良い。この場合、7つのレーン用モータを、駆動用コネクタ61a~61gの何れにも接続することができる。
【0050】
また、本実施例では、本開示のモータとして、第1及び第2搬送モータ369f,369r、第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359rを採用している。第1及び第2搬送モータ369f,369rは、第1及び第2基板Bf,Brを搬送する第1及び第2コンベアベルト360f,360rを回転させる駆動源である。第1~第3レーン幅変更モータ309a~309cは、第1及び第2コンベアベルト360f,360rを支持する第1~第3可動壁301f,302f,301rを移動させ第1及び第2レーンLf,Lrの幅を変更する駆動源である。第1及び第2昇降モータ359f,359rは、第1及び第2基板Bf,Brをクランプして保持するための駆動源である。このような構成では、レーンの増減に応じて増減するレーン用モータの電源の構成に応じた制御を実装機1に実行させることができる。
【0051】
また、制御基板52は、複数の駆動用コネクタ61a~61gに接続された駆動基板10の接続状態に基づいて、設定するレーンの数(シングルコンベア又はダブルコンベア)に必要な駆動基板10が接続されているか否かを判断する。例えば、制御基板52は、駆動用コネクタ61a~61gを介して駆動基板10と通信を実行する。制御基板52は、7つの駆動基板10に問い合わせを実行し、駆動基板10から応答があった駆動用コネクタ61a~61gについては駆動基板10が接続されていると判断する。制御基板52は、電力検出回路55で検出した情報に基づいてシングルコンベアであるのかダブルコンベアであるのかを判断し、判断結果のコンベア数(シングルコンベア又はダブルコンベア)で必要な駆動基板10及びレーン用モータが接続されているか否かを判断する。
【0052】
例えば、制御基板52は、電力検出回路55の検出情報に基づいてシングルコンベアと判断した場合には、駆動用コネクタ61a~61cに接続された駆動基板10及びレーン用モータへ問い合わせを実行し、正常に接続されているか否かを判断する。また、制御基板52は、電力検出回路55の検出情報に基づいてダブルコンベアと判断した場合には、駆動用コネクタ61a~61gに接続された駆動基板10及びレーン用モータへ問い合わせを実行し、正常に接続されているか否かを判断する。これにより、制御基板52は、例えば、シングルコンベアであるにも関わらず、駆動用コネクタ61a~61cに、合計で3組の駆動基板10及びレーン用モータが接続されていない場合、エラーを報知できる。制御基板52は、駆動用コネクタ61a~61cのうち、駆動基板10及びレーン用モータの少なくとも1方が未接続の駆動用コネクタ61a~61cを作業者に通知しても良い。これにより、駆動基板10やレーン用モータの接続ミスを作業者に通知し、接続の確認などの適切な対応を作業者に実行させることができる。尚、制御基板52は、シングルコンベアと判断した場合に、駆動用コネクタ61d~61gに駆動基板10及びレーン用モータが未接続であるか確認し、不要な駆動基板10等が接続されていればエラー等を通知しても良い。即ち、シングルコンベアの場合に、駆動用コネクタ61d~61gが空いているか確認しても良い。また、上記したように、7つのレーン用モータを、駆動用コネクタ61a~61gの何れにも接続できる構成とした場合には、制御基板52は、駆動基板10やレーン用モータに識別情報(機種やID)を問い合わせ、問い合わせ結果に基づいて必要な駆動基板10やレーン用モータが正しく接続されているか確認しても良い。また、制御基板52は、上記したシングルコンベア又はダブルコンベアで必要な駆動基板10及びレーン用モータが接続されているか否かを確認・判断しなくとも良い。
【0053】
因みに、上記実施例において、電子部品実装機1は、対基板作業機の一例である。第1及び第2コンバータ57,58は、電源基板の一例である。第1~第3レーン幅変更モータ309a~309c、第1及び第2昇降モータ359f,359r、第1及び第2搬送モータ369f,369rは、モータの一例である。第1及び第2バックアップテーブル352f,352r、第1及び第2コンベアベルト360f,360rは、レーンに係る部材の一例である。第1~第3可動壁301f,302f,301rは、レーンに係る部材、可動壁の一例である。
【0054】
以上、上記実施例によれば以下の効果を奏する。
上記実施例の一態様の制御基板52は、制御基板52に接続された電源基板(第1及び第2コンバータ57,58)の電力値、及び制御基板52に接続された電源基板の数のうち、少なくとも一方に基づいて、レーン用モータに対する実装機1の制御内容を変更する(シングルコンベア又はダブルコンベアに合った制御内容に変更する)。これにより、作業者の作業ミス(ディップスイッチの設定忘れ等)や、誤った設定の発生を抑制できる。また、作業者によるディップスイッチの設定等の作業工程を減らすことができる。結果として、実装機1の電源の構成を自動で検出し、検出した構成内容に応じた制御を実装機1に実行させることができる。
【0055】
尚、本開示は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施例の実装機1の構成は、一例である。上記実施例では、実装機1は、本開示のモータとして、図5に示す7個のモータ、又は図6に示す3つのモータを備えたが、モータを1個だけ備える構成や、2個、4個などの他の複数個を備える構成でも良い。例えば、実装機1は、本開示のモータとして、第1搬送モータ369fだけを備える構成(シングルコンベア)、又は第1及び第2搬送モータ369f,369rを備える構成(ダブルコンベア)に変更可能であっても良い。
また、上記実施例では、第1コンバータ57が、第1レーンLfに対応し、第2コンバータ58が第2レーンLrに対応したが、これに限らない。例えば、図7に示す別実施例において、第1及び第2コンバータ57,58を1つに、即ち、電源基板を1つにしても良い。そして、1つの電源基板からダブルコンベアの7つのレーン用モータに電力を供給しても良い。
また、実装機1は、3つ以上のレーンを備え、制御基板52は、3つ以上のレーンで必要なレーン用モータや電源基板を接続可能な構成でも良い。
電源基板は、AC/DCコンバータに限らず、DC/DCコンバータやAC電源でも良く、これらを組み合わせた構成でも良い。
【0056】
また、上記実施例では、本開示のモータとして、第1及び第2レーンLf,Lrで用いるレーン用モータを採用したが、これに限らない。例えば、実装機1は、XYロボット31及び装着ヘッド32の組み合わせを複数組(ダブルヘッドやトリプルヘッドなど)とする構成、あるいは、1組だけ備える構成(シングルヘッド)でも良い。この場合にも、レーン用モータと同様に、X軸モータ319a、Y軸モータ319b、Z軸モータ329a、θ軸モータ329bの電源基板の電圧値や数に応じて上位装置51が認識するヘッドの数などを変更し、上位装置51の制御内容を変更しても良い。ここでいう上位装置51の制御内容とは、XYロボット31及び装着ヘッド32を制御する内容である。従って、上位装置51は、制御基板52で検出された電圧値や基板数に応じてシングルヘッドの制御内容とするか、ダブルヘッドの制御内容とするかを決定しても良い。また、X軸モータ319a、Y軸モータ319b、Z軸モータ329a、θ軸モータ329bの駆動基板10を、コネクタを介して制御基板52に接続する構成としても良い。
制御基板52は、シングルコンベアの場合、未接続の駆動用コネクタ61d~61gが存在してもレーン用モータを制御可能であったが、これに限らない。制御基板52は、未接続の駆動用コネクタ61d~61gに短絡させる治具等を接続しなければレーン用モータを制御できない構成でも良い。
また、上記実施例では、本開示の対基板作業機として、電子部品実装機1を採用したが、これに限らない。本開示の対基板作業機としては、基板にクリームはんだを塗布するスクリーン印刷機、基板に装着された電子部品を検査する検査装置、基板に塗布されたクリームはんだを加熱して溶融させるリフロー炉など、基板に各種の作業を実行する作業機を採用できる。このような各対基板作業機においてもシングルコンベア又はダブルコンベアの構成を取り得るため、本開示の対基板作業機の電源の構成に応じた制御を対基板作業機に実行させる技術は極めて有効である。
【0057】
尚、本開示の内容は、請求項に記載の従属関係に限定されない。例えば、請求項4において「請求項1又は請求項2に記載の制御基板」を「請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御基板」に変更した技術思想についても、本明細書は開示している。また、例えば、請求項6において「請求項4に記載の制御基板」を「請求項4又は請求項5に記載の制御基板」に変更した技術思想についても、本明細書は開示している。また、例えば、請求項7において「請求項4に記載の制御基板」を「請求項4~請求項6の何れか1項に記載の制御基板」に変更した技術思想についても、本明細書は開示している。
【符号の説明】
【0058】
1 電子部品実装機(対基板作業機)、10 駆動基板、52 制御基板、56a,56b 電源用コネクタ、57,58 第1及び第2コンバータ(電源基板)、61a~61g 駆動用コネクタ、301f,302f,301r 第1~第3可動壁(レーンに係る部材、可動壁)、309a~309c 第1~第3レーン幅変更モータ(モータ)、352f,352r 第1及び第2バックアップテーブル(レーンに係る部材)、359f,359r 第1及び第2昇降モータ(モータ)、360f,360r 第1及び第2コンベアベルト(レーンに係る部材)、369f,369r 第1及び第2搬送モータ(モータ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7