(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011692
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】運動伝達ユニット、扉用シャッタ装置、扉
(51)【国際特許分類】
E06B 7/18 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E06B7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113914
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】坂村 光一
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA08
2E036BA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036FA02
2E036FB01
2E036GA02
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】 従来の扉シャッタ装置よりも解錠操作を楽に行えるようにする。
【解決手段】 本発明の運動伝達ユニットは、取付けステーと、取付けステーにスライド可能に設けられたジョイントと、取付けステーにスライド可能に設けられた足部材と、ジョイントと足部材の間に設けられたロッドバーと、ロッドバーの長さ方向に伸縮自在な弾性体を備えた運動伝達ユニットであって、扉の解錠時にジョイントを解錠方向に付勢可能な補助弾性体を備えたものである。本発明の扉用シャッタ装置は、錠と本発明の運動伝達ユニットと遮蔽ユニットを備えたものである。本発明の扉は、扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置として本発明の扉用シャッタ装置を備えたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付けステーと、当該取付けステーにスライド可能に設けられたジョイントと、当該取付けステーにスライド可能に設けられた足部材と、当該ジョイントと足部材の間に設けられたロッドバーと、当該ロッドバーの長さ方向に伸縮自在な主弾性体を備えた運動伝達ユニットにおいて、
前記ジョイントを解錠方向に付勢可能な補助弾性体を備えた、
ことを特徴とする運動伝達ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の運動伝達ユニットにおいて、
補助弾性体は取付けステーとジョイントに跨る位置に設けられた、
ことを特徴とする運動伝達ユニット。
【請求項3】
請求項1記載の運動伝達ユニットにおいて、
補助弾性体は、扉の施錠時にはジョイントを施錠方向に付勢することができる、
ことを特徴とする運動伝達ユニット。
【請求項4】
請求項1記載の運動伝達ユニットにおいて、
補助弾性体としてトーションバネが設けられた、
ことを特徴とする運動伝達ユニット。
【請求項5】
錠と運動伝達ユニットと遮蔽ユニットを備え、当該錠の回転運動を運動伝達ユニットを介して遮蔽ユニットに伝達することによって、当該遮蔽ユニットで扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置において、
運動伝達ユニットが請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運動伝達ユニットである、
ことを特徴とする扉用シャッタ装置。
【請求項6】
扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置を備えた扉において、
前記扉用シャッタ装置が請求項5記載の扉用シャッタ装置である、
ことを特徴とする扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉用シャッタ装置の構成部品である運動伝達ユニットと、当該運動伝達ユニットを備えた扉用シャッタ装置と、当該扉用シャッタ装置を備えた扉に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレなどの個室においては、衛生上の観点等から通気性の確保が求められ、扉を閉じた際に扉の周囲に隙間が生じるようにする必要がある。一方で、使用時に生じる音や臭気を気にする人も多く、扉の周囲の隙間から音や臭気が漏れないようにしてほしいという要請がある。
【0003】
このような事情に鑑み、本件出願人は、本件出願に先立ち、必要に応じて扉と床面との間に生じる隙間を遮蔽することのできる扉用シャッタ装置を開発し、特許を取得した(特許文献1)。
【0004】
この扉用シャッタ装置は、ラッチ錠とシャッタ装置と運動伝達ユニットを備えており、ラッチ錠の施解錠時に生じる動力を、運動伝達ユニットを介してシャッタ装置に伝達することで、シャッタ装置が昇降し、扉と床面の隙間が開閉されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の扉用シャッタ装置では、運動伝達ユニットの足部材に伸長方向に付勢されたコイルばねが内蔵され、解錠時には当該コイルばねを圧縮する力が必要であるため、解錠時の操作が重く、この点に改善の余地があった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、従来の扉用シャッタ装置よりも解錠操作を楽に行うことのできる運動伝達ユニットと、当該運動伝達ユニットを備えた扉用シャッタ装置と、当該扉用シャッタ装置を備えた扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[運動伝達ユニット]
本発明の運動伝達ユニットは、取付けステーと、取付けステーにスライド可能に設けられたジョイントと、取付けステーにスライド可能に設けられた足部材と、ジョイントと足部材の間に設けられたロッドバーと、ロッドバーの長さ方向に伸縮自在な主弾性体を備えたユニットであって、ジョイントを解錠方向に付勢可能な補助弾性体を備えたものである。
【0009】
[扉用シャッタ装置]
本発明の扉用シャッタ装置は、錠と運動伝達ユニットと遮蔽ユニットを備え、錠の回転運動を運動伝達ユニットを介して遮蔽ユニットに伝達することによって、遮蔽ユニットで扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する装置であって、運動伝達ユニットとして本発明の運動伝達ユニットを備えたものである。
【0010】
[扉]
本発明の扉は、扉の周囲に生じる隙間を遮蔽する扉用シャッタ装置を備えた扉であって、扉用シャッタ装置として本発明の扉用シャッタ装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補助弾性体を備えているため、その作用によって、従来の扉用シャッタ装置に比べて解錠操作を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の扉用シャッタ装置を備えた扉(開き戸)の一例を示す説明図。
【
図5】(a)は
図2の錠の解錠時の内部構造と可動アームの位置関係を示す説明図、(b)は
図2の錠の施錠時の内部構造と可動アームの位置関係を示す説明図。
【
図10】(a)~(c)は補助弾性体の動作説明図。
【
図11】(a)~(c)は遮蔽ユニットの動作説明図。
【
図14】(a)は
図12の錠の解錠時の内部構造と可動アームの位置関係を示す説明図、(b)は
図12の錠の施錠時の内部構造と可動アームの位置関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の扉用シャッタ装置は扉Dに実装して使用される。この実施形態の扉用シャッタ装置は、錠10と、運動伝達ユニット30と、遮蔽ユニット50を備えている。
【0014】
<錠>
前記錠10は、扉Dを施錠又は解錠するためのユニットである。
図2~
図4に示すように、この実施形態の錠10は、ケース本体11、ケース蓋12、前板部13、サムタン14、可動アーム15を備えている。
【0015】
錠10を構成する各構成は、扉Dに実装されたときに、ケース本体11、ケース蓋12及び可動アーム15が扉Dの内部に、前板部13が扉Dの木口面に露出する位置に、サムタン14が扉Dの表面に露出する位置に配置される。前板部13には、ラッチ出入口29a及びトリガ出入口29bを備えた取付け板29が取り付けられている。
【0016】
前記ケース本体11は片面開放の浅底の筐体であり、その内部には、ドアハンドルHの操作によって扉Dを開閉する開閉機構と、サムタン14の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構が設けられている。
【0017】
この実施形態の開閉機構は、ラッチボルト16、ラッチ付勢バネ17、ガイドフレーム18、回動ハブ19、ハブ押さえ20、ハブ付勢バネ21を主要構成として備えている。
【0018】
ラッチボルト16は、戸枠Fに設置されるストライクの嵌入孔に嵌入する部材であり、前板部13のボルト出入口13aから突出するようにラッチ付勢バネ17で付勢されている。この実施形態では、ラッチ付勢バネ17としてコイルばねを用いているが、ラッチ付勢バネ17はコイルばね以外であってもよい。
【0019】
ラッチボルト16の根元側には、下向きコ字状のガイドフレーム18が設けられている。
図3に示すように、ラッチボルト16の根元側にはボルト溝16aが設けられている。ボルト溝16aは、ガイドフレーム18の一端側に設けられた切欠き凹部18aの周縁に係止されている。
【0020】
ラッチボルト16は、ガイドフレーム18のスライド動作に伴って、ラッチボルト16がボルト出入口13aから出没するように構成されている。
【0021】
ガイドフレーム18の他端側には、ドアハンドルHの操作によって回転する回動ハブ19が設けられている。回動ハブ19の中央部には挿入孔19aが設けられ、当該挿入孔19aにドアハンドルH(
図1)の取付け軸が挿入されている。回動ハブ19は、ケース本体11に形成されたハブ装着孔11dに嵌合するようにしてある。
【0022】
回動ハブ19の幅方向一端側にはガイドフレーム18に係止する第一係止部19bが、幅方向他端側には連動プレート27と係止する第二係止部19cが、下端側にはハブ押さえ20と係止する第三係止部19dが設けられている。
【0023】
ハブ押さえ20は、回動ハブ19を抑えて回動を規制する部材である。この実施形態のハブ押さえ20は、戸先側に突設されたバネ係止突起20aと、ケース蓋12に係止する側面突起20bを備えている。
【0024】
バネ係止突起20aには、回動ハブ19を押さえる方向に付勢されたハブ付勢バネ21が連結されている。回動ハブ19は、ハブ付勢バネ21の付勢力によってハブ押さえ20が第三係止部19dに押し当てられることで、所定位置に保持されるようにしてある。
【0025】
以上のように構成された開閉機構は、ドアハンドルHを下げると回動ハブ19が回転し、当該回動ハブ19に係止したガイドフレーム18が後方(戸尻側)に移動する。ガイドフレーム18が後方に移動すると、この移動に伴ってラッチボルト16が退避方向に移動し、扉Dが開放できる状態となる。
【0026】
一方、下げられたドアハンドルHを戻す(離す)と回動ハブ19が逆方向に回転し、当該回動ハブ19に係止したガイドフレーム18が前方(戸先側)に移動する。ガイドフレーム18が前方に移動すると、この移動に伴ってラッチボルト16が突出方向に移動し、ラッチボルト16がストライクの嵌入孔に嵌入して扉Dが閉じられる。
【0027】
次に、施解錠機構について説明する。この実施形態の施解錠機構は、トリガ22、ガイドプレート23、トリガ付勢バネ24、回動カム25、カム付勢バネ26、連動プレート27及びリンク28を主要構成として備えている。
【0028】
トリガ22は、扉Dが開いた状態でサムタン14を操作できないようにするための部材である。トリガ22によって開いた状態でサムタン14の操作をできないようにすることで、後述するシール材52が床面に接した状態で扉Dが開閉されるのを防止することができる。
【0029】
図4に示すように、この実施形態のトリガ22は、トリガ本体部22aと、トリガ本体部22aの前方側に突設された平面視三角形状の頭部22bを備えている。トリガ22はトリガ付勢バネ24で付勢され、頭部22aが前板部13のトリガ出入口13bから突出するようにしている。
【0030】
図中、トリガ22の背面側には、ガイドプレート23が設けられている。この実施形態のガイドプレート23は横長の部材であり、戸先側の面にガイドプレート23の長手方向に細長いガイド孔23aが、戸尻側の端部に突き当て凸部23bが設けられている。
【0031】
ガイド孔23aにはケース本体11の内面に突設されたガイドピン11aが配置され、ガイド孔23aのガイドピン11aよりも戸先側の位置には、トリガ22をトリガ出入口13b方向に付勢するトリガ付勢バネ24が配置されている。
【0032】
突き当て凸部23bは、トリガ付勢バネ24の付勢力により回動カム25に押し当てられ、その付勢力によって回動カム25の回転を規制する部分である。
【0033】
ガイドプレート23の戸尻側の手前側には、連動プレート27が設けられている。この実施形態の連動プレート27は縦長の部材である。連動プレート27の下端側には第一規制部27aが、上端側には第二規制部27bが設けられている。
【0034】
第一規制部27aは回動ハブ19の第二係止部19cに当接して回動ハブ19の回転を規制する部分、第二規制部27bは回動カム25の円筒部25bに当接して回動カム25の回転を規制する部分である。
【0035】
連動プレート27の前面側には、回動カム25が設けられている。この実施形態の回動カム25は、サムタン14の取付け軸14aを挿入する挿入孔25aを備えた円筒部25bと、円筒部25bの下側に設けられたブロック部25cと、円筒部25bの外側に突出する突出部25dを備えている。円筒部25bは、ケース本体11に形成されたカム装着孔11cに嵌合するようにしてある。
【0036】
ブロック部25cの表面には、第一突起25e及び第二突起25fが突設されている。第一突起25eはブロック部25cの前面側に配置されたカム付勢バネ26の一端側が係止される部分、第二突起25fはブロック部25cの手前側に配置されたリンク28の一端側が係止される部分である。
【0037】
この実施形態では、カム付勢バネ26としてトーションバネを用いている。トーションバネの一端側はブロック部25cの第一突起25eに、他端側はケース本体11内に突設されたバネ掛け突起11bに係止されている。
【0038】
この実施形態のリンク28は、上端及び下端に円形部を備えた縦長の薄板材であり、上端の円形部に第一貫通孔28aが、下端の円形部に第二貫通孔28bが設けられている。第一貫通孔28aにはブロック部25cの第二突起25fが嵌合し、第二貫通孔28bには後述する可動アーム15の連結突起15aが嵌合している。
【0039】
前記可動アーム15は後述する運動伝達ユニット30のジョイント32に接触して、運動伝達ユニット30を上下動させるための部材である。
【0040】
この実施形態の可動アーム15は、横長の梯子状部材であり、戸先側の端部にはリンク28の第二貫通孔28bに嵌合する連結突起15aが設けられている。可動アーム15の表面には、ケース蓋12に形成された蓋側ガイド溝12aに嵌合する突条15bが縦向きに設けられている。
【0041】
以上のように構成された運動変換機構は、
図5(a)の状態でサムタン14(
図1)を施錠方向(時計回り方向)に回すと、回動カム25が同方向に回転し、当該回動カム25の回転に伴って回動カム25に係止したリンク28が反時計回りに回転しながら引き上げられる。リンク28が引き上げられると、リンク28の下端側に連結された可動アーム15が引き上げられ、可動アーム15と接触した運動伝達ユニット30(後述する)が引き上げられる。
【0042】
一方、
図5(b)の状態でサムタン14(
図1)を解錠方向(反時計回り方向)に回すと、回動カム25が同方向に回転し、当該回動カム25の回転に伴って回動カム25に係止したリンク28が時計回りに回転しながら押し下げられる。リンク28が押し下げられると、リンク28の下端側に連結された可動アーム15が押し下げられ、可動アーム15と接触した運動伝達ユニット30が押し下げられる。
【0043】
前記各構成が収められたケース本体11の前面側には、ケース蓋12が取り付けられている。ケース蓋12のうち、ケース本体11のカム装着孔11c及びハブ装着孔11dのそれぞれに対向する位置には、蓋側カム装着孔12c及び蓋側ハブ装着孔12dが設けられている。
【0044】
また、ケース蓋12のうち、可動アーム15の突条15bに対向する位置及びハブ押さえ20の側面突起20bのそれぞれに対向する位置には、蓋側ガイド溝12a及び蓋側係止溝12bが設けられている。
【0045】
ここで説明した錠の構成は一例である。錠の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではなく、所期の目的を達成できる範囲で、省略や追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0046】
<運動伝達ユニット>
次に、運動伝達ユニット30について説明する。
図6に示すように、この実施形態の運動伝達ユニット30は、取付けステー31、ジョイント32、補助弾性体33、ロッドバー34及び足部材35を主要構成として備えている。
【0047】
取付けステー31は、運動伝達ユニット30の背骨の役割を果たす部材である。一例として
図7に示す取付けステー31は上下方向に長い樋状のステー本体31aと、ステー本体31aの上端に装着されたステーキャップ31bを備えている。
【0048】
図7に示すように、この実施形態のステーキャップ31bはステー本体31a内に収まる薄板状の部材であり、前面側には、補助弾性体33の一部が配置される弾性体配置部31cが設けられている。弾性体配置部31cは対向する二枚の突片31d間に形成されている。
【0049】
前記ジョイント32は可動アーム15の動作に伴ってスライド(上下動)する部材である。ジョイント32は取付けステー31の前面側上方に配置され、ステー本体31aの長手方向に沿ってスライドできるように当該ステー本体31aに連結されている。
【0050】
この実施形態のジョイント32は、可動アーム15が収まるアーム収まり部32aと、ステーキャップ31bの突片31dが収まる突片収まり部32bと、補助弾性体33の一部が収まる弾性体収まり部32cと、ロッドバー34が収まるロッドバー収まり部(図示しない)と、取付けステー31に嵌入するインナーレール32dを備えている。
【0051】
補助弾性体33は、施錠又は/及び解錠の操作を補助する部材である。この実施形態では、補助弾性体33としてトーションバネを用いている。補助弾性体33は取付けステー31とジョイント32に跨る位置、具体的には、ステーキャップ31bとジョイント32に跨る位置に設けられている。
【0052】
より具体的には、補助弾性体33の一端側は二枚の突片31d間に配置されて両突片31d間に架設された第一係止ピン31eによって軸支され、他端側はジョイント32の弾性体収まり部32cを構成する二枚の対向片32e、32f間に配置されて両対向片32e、32f間に架設された第二係止ピン32gによって軸支されている。
【0053】
補助弾性体33をステーキャップ31bとジョイント32に跨る位置に設けることで、解錠時には補助弾性体33の付勢力がジョイント32を押し下げる方向に掛かり、施錠時には補助弾性体33の付勢力がジョイント32を引き上げる方向に掛かるようになり、解錠操作及び施錠操作を楽に行うことができる。なお、補助弾性体33には、コイルスプリングをはじめとするトーションバネ以外のバネ、あるいは、バネ以外の各種弾性体を用いることもできる。
【0054】
ジョイント32と取付けステー31は、ジョイント32のインナーレール32dをステー本体31a内に嵌合させることで連結され、ジョイント32とロッドバー34は、ジョイント32のロッドバー収まり部(図示しない)に収容されたロッドバー34を連結ピン36で軸支することで連結されている。
【0055】
前記ロッドバー34は上下方向に長いパイプ状の部材である。ロッドバー34の下端側には、足部材35の下側から挿入された連結軸37の挿入部37aが挿入され、連結ピン38によって連結されている。
【0056】
連結軸37の外周には、主弾性体39として伸長方向に付勢されたコイルスプリングが設けられている。連結軸37と主弾性体39は、後述する足部材35の連結軸収まり部35a内に収められている。
【0057】
前記足部材35は後述する遮蔽ユニット50の揺動体53に接触する部材である。足部材35はステー本体31aの前面側下方に配置され、ステー本体31aの長手方向に沿ってスライドできるように当該ステー本体31aに連結されている。
【0058】
この実施形態の足部材35は側面視ブーツ状の部材であり、ブーツの踵に相当する位置に切欠き空間(図示しない)が設けられている。
【0059】
切欠き空間の上側には有底の連結軸収まり部35aが設けられている。図示は省略しているが、連結軸収まり部35aの床部材には、連結軸37(後述する抜止め鍔37bを除く部分)が通過し、且つ、主弾性体39が通過しないサイズの貫通孔が設けられている。
【0060】
連結軸収まり部35aに収められた連結軸37の下端側には、連結軸37の他の部分よりも大径の抜止め鍔37bが設けられている。連結軸37はロッドバー34に連結されることで上端側が保持され、下端側の抜止め鍔37bが連結軸収まり部35aの床面の底面に係止することで下端側が保持されている。
【0061】
足部材35の背面側には、取付けステー31内に嵌入する足部材インナーレール35bが設けられている。足部材インナーレール35bは取付けステー31の下端側から嵌入され、これにより足部材35と取付けステー31が連結される。
【0062】
以上のように構成された運動伝達ユニット30は、取付けステー31の下端側がL字状の固定部材40を介して扉Dの横框(図示しない)に固定され、ステーキャップ31bが扉Dの縦框(図示しない)に固定されることで、扉D内に設置できるようにしてある。
【0063】
ここで説明した運動伝達ユニット30の構成は一例である。運動伝達ユニット30の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではなく、所期の目的を達成できる範囲で、省略や追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0064】
<遮蔽ユニット>
次に、遮蔽ユニット50について説明する。
図8及び
図9に示すように、この実施形態の遮蔽ユニット50は、シャッタ本体51、シール材52、揺動体53、シャッタガイド54、シャッタケース55及びシャッタキャップ56を主要構成として備えている。
【0065】
シャッタ本体51は、扉Dの下側の隙間を遮蔽する部材である。この実施形態のシャッタ本体51は扉Dの幅方向に長い部材であり、下面側に長溝状のシール材収まり部51aが、上面側に長溝状の収容溝51bが設けられている。
【0066】
シール材収まり部51aにはシール材52が収められている。シール材52は、ゴムやシリコンといった各種弾性材で構成することができる。この実施形態のシール材52はシャッタ本体51と同程度の長さの部材であり、下端側がシャッタ本体51の下端よりも下側に突出するように、当該シャッタ本体51のシール材収まり部51aに設けられている。
【0067】
シャッタ本体51の収容溝51bには、シャッタ本体51を昇降させるための揺動体53が設けられている。この実施形態の揺動体53は横長の部材であり、長手方向一端側には上向きに突出する突出片53aが、他端側にはシャッタ本体51の一部に係止する係止突起53bが設けられている。
【0068】
揺動体53の長手方向中央よりも突出片53a側に偏芯した位置の上部には、支持ピン挿通孔53cが設けられている。この支持ピン挿通孔53cは、揺動体53をシャッタケース55内に支持する際に用いる揺動体支持ピン57を挿通するための筒状の部材である。
【0069】
シャッタ本体51の収容溝51bのうち、揺動体53の長手方向両外側にはシャッタガイド54が一つずつ設けられている。シャッタガイド54は、シャッタ本体51を水平に上下動させるためのガイド部材である。
【0070】
各シャッタガイド54は、ビス孔54aを有する筒状部54bと、ガイド長孔54cを有するガイド部54dを備えている。各シャッタガイド54は図示しないビスによって、シャッタ本体51の収容溝51b内に固定されている。
【0071】
前記シャッタケース55はシャッタ本体51や揺動体53等が収まる空間を備えた長尺部材である。この実施形態のシャッタケース55は対向面55a、55bを有する下向きコ字状の部材であり、下側にはシャッタ本体51が出入りするための開口が設けられている。
【0072】
シャッタケース55内に収められた揺動体53は、シャッタケース55の両対向面55a、55bの間に配置され、一方の対向面55aの第一面第一挿通孔55c、揺動体53の支持ピン挿通孔53c及び他方の対向面55bの第二面第一挿通孔55dに挿通された揺動体支持ピン57で揺動可能に支持されている。
【0073】
また、シャッタケース55内に収められたシャッタ本体51は、シャッタケース55の両対向面55a、55bの間に配置され、一方の対向面55aの第一面第二挿通孔55e、各シャッタガイド54のガイド長孔54c、他方の対向面55bの第二面第二挿通孔55fに挿通されたガイド支持ピン58で軸支されている。
【0074】
なお、シャッタケース55には、当該シャッタケース55内に収められた揺動体53の突出片53aが通過可能な通過用開口55gが設けられている。通過用開口55gの周縁には、方形状のリング材55hが装着されている。リング材55hはゴムやシリコン等の弾性材で構成される。
【0075】
シャッタ本体51、揺動体53、シャッタガイド54が収められたシャッタケース55の長手方向両端部には、シャッタケース55の長手方向両端の開口を閉塞するシャッタキャップ56が設けられている。
【0076】
両シャッタキャップ56の上端側の位置には、扉D縦框(図示しない)への固定部56aが設けられている。シャッタ本体51、揺動体53、シャッタガイド54が収められ、シャッタキャップ56が装着されたシャッタケース55は、固定部56aが扉Dの端面に宛がわれるように配置され、図示しない止めネジで止めることで扉Dに固定することができる。
【0077】
ここで説明した遮蔽ユニット50の構成は一例である。遮蔽ユニット50の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではなく、所期の目的を達成できる範囲で、省略や追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0078】
(動作)
次に、本実施形態のシャッタ装置の動作について説明する。ここでは、施錠状態の扉Dを解錠して扉Dの下の隙間を開放する場合の動作と、解錠状態の扉Dを施錠して扉Dの下の隙間をシャッタ本体51で遮蔽する場合の動作に分けて説明する。
【0079】
<扉の下の隙間を開放する場合の動作>
はじめに、扉Dの下の隙間を開放する場合の動作について説明する。
図10(a)は施錠時の可動アーム15とジョイント32の位置関係を示すものである。この状態では、
図11(a)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35は揺動体53から離れた位置にあり、揺動体53の係止突起53b側が最下方位置まで下がっている。このとき、扉Dの下側の隙間は、シャッタ本体51で遮蔽されている。
【0080】
この状態からサムタン14を解錠方向に回すと、
図10(b)のように可動アーム15が下方向に下がり始める。この状態では、
図11(b)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35が下がり始めると共に揺動体53の係止突起53b側が上がり始め、シャッタ本体51が上がり始める。
【0081】
この状態からサムタン14を更に解錠方向に回すと、
図10(c)のように可動アーム15が最下方位置まで下がる。この状態では、
図11(c)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35によって揺動体53が最下方位置まで押し下げられ、シャッタ本体51がシャッタケース55内に収まる。
【0082】
この過程においては、ジョイント32に働く補助弾性体33の解錠方向の付勢力によって、解錠操作時の付加を軽減することができる。したがって、補助弾性体33のない従来の扉用シャッタ装置に比べて、解錠操作が軽くなり、操作性が向上する。
【0083】
<扉の下の隙間をシャッタ本体で遮蔽する場合の動作>
次に、扉Dの下の隙間をシャッタ本体51で遮蔽する場合の動作について説明する。
図10(c)は解錠時の可動アーム15とジョイント32の位置関係を示すものである。この状態では、
図11(c)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35によって揺動体53が最下方位置まで押し下げられ、シャッタ本体51がシャッタケース55内に収まっている。
【0084】
この状態からサムタン14を施錠方向に回しはじめると、
図10(b)のように可動アーム15が上がり始める。この状態では、
図11(b)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35が上がり始めると共に揺動体53の係止突起53b側が下がり始め、シャッタ本体51が下がり始める。
【0085】
この状態からサムタン14を更に施錠方向に回すと、
図10(a)のように可動アーム15が最上方位置まで引き上げられる。この状態では、
図11(a)に示すように、運動伝達ユニット30の足部材35が揺動体53の突出片53aから離れ、揺動体53の係止突起53b側が最下方位置まで下がる。これにより、シャッタ本体51が最下方位置まで下がり、当該シャッタ本体51によって扉Dの下側の隙間が遮蔽される。
【0086】
この実施形態では、補助弾性体33としてトーションバネを用いているため、施錠操作時においても、補助弾性体33の施錠方向の付勢力がジョイント32に働くことで、施錠操作の付加が軽減される。
【0087】
(その他の実施形態)
【0088】
前記実施形態では、扉Dの下方に生じる隙間を遮蔽する場合を一例としているが、本発明の運動伝達ユニット30及び扉用シャッタ装置は、扉Dの戸先側や扉Dの上方に生じる隙間を遮蔽するユニット及び装置として用いることもできる。
【0089】
前記実施形態では、扉Dが開き戸の場合を一例としているが、本発明の運動伝達ユニット30及び扉用シャッタ装置は、引戸等、開き戸以外の扉Dにも実装して用いることができる。
【0090】
本発明の運動伝達ユニット30及び扉用シャッタ装置を引戸に実装する場合、
図2~
図4に示す錠10に代えて、
図12及び
図13に示すような錠100を用いることができる。
【0091】
図12及び
図13に示す錠100は、錠箱111、錠蓋112、前板部113及び操作部114を主要構成として備えている。扉Dへの実装時には、錠箱111及び錠蓋112は扉Dの内部に、前板部113は扉Dの木口面に露出する位置に、操作部114は扉Dの表面に露出する位置に配置される。
【0092】
錠箱111は片面開放の浅底の筐体である。錠箱111には、後述する第一縦ガイド溝111a、バネ掛けピン111b、トリガ部材支持突起111c、へ字状ガイド溝111d、第一円弧溝111e、第二円弧溝111f、第二縦ガイド溝111g、規制ピン111h~111j、位置決め凹部111kが設けられている。錠箱111の内部には、操作部114の操作によって施解錠する施解錠機構が設けられている。
【0093】
この実施形態の施解錠機構は、鎌部材121、第一リンク部材122、第二リンク部材123、第三リンク部材124、スライド体125、トーションバネ126、操作板127及びトリガ部材128を主要構成として備えている。
【0094】
前記鎌部材121は、ストライクの嵌入孔に嵌入する部材であり、胴体部121aと、胴体部121aの上端側に設けられた係止アーム部121bと、胴体部121aの下端側に設けられた下端側連結部121cと、胴体部121aの中段位置に設けられた中段連結部121dを備えている。下端側連結部121cには第一連結孔121eが、中段連結部121dには第二連結孔121fが設けられている。
【0095】
鎌部材121の手前側には、第一リンク部材122が配置されている。この実施形態の第一リンク部材122は上端及び下端に円形部を備えた縦長の薄板材であり、上端の円形部に第一リンク上側孔122aが、下端の円形部に第一リンク下側孔122bが設けられている。
【0096】
第一リンク部材122の裏側には、第二リンク部材123が配置されている。第二リンク部材123は第一リンク部材122と同形状の薄板材であり、上端の円形部に第二リンク上側孔123aが、下端の円形部に第二リンク下側孔123bが設けられている。
【0097】
第二リンク部材123の手前側には、第三リンク部材124が配置されている。この実施形態の第三リンク部材124は、両端部が弧状に形成された縦長方形状の薄板材であり、第二リンク側の端部(上端)側には第三リンク孔124aが設けられ、他端(下端)側にはスライド体125の横長孔125cに係止する係止突起124bが設けられている。
【0098】
第三リンク部材124の中央付近には、錠蓋112の切欠き長孔112mにスライド可能に挿通されるガイド突起124cが突設されている。ガイド突起124cは錠蓋112側に向けて突設されている。
【0099】
第三リンク部材124の裏側には、スライド体125が設けられている。この実施形態のスライド体125は、三角形状のベース部125aとベース部125aの一角にベース部125aと一体に設けられた方形部のアーム部125bを備えている。
【0100】
アーム部125bはジョイント32のアーム収まり部32aに収まる部分であり、施錠操作時又は解錠操作時にアーム収まり部32aの内面に接触してジョイント32に力を伝える役割を果たす部分である。
【0101】
ベース部125aの裏面側には裏面突条(図示しない)が設けられ、アーム部125bには肉厚方向に貫通する横長孔125cが設けられている。裏面突条は、錠箱111の第一縦ガイド溝111aにスライド可能に嵌合される。
【0102】
第二リンク部材123及び第三リンク部材124の裏側には、操作部114の操作によって昇降する操作板127が設けられている。この実施形態の操作板127は薄板材であり、基体部127aと、基体部127aの一端側から上向きに突設された第一係止部127bと、基体部127aの幅方向他端側から上向きに突設された上突片127cを備えている。操作板127の中央付近には、挿通孔127dが設けられている。
【0103】
第一係止部127bの表面には、バネ掛け突起127eが設けられ、当該バネ掛け突起127eにトーションバネ126の一端が掛けられている。トーションバネ126の他端は、錠箱111内に突設されたバネ掛けピン111bに掛けられている。
【0104】
操作板127の戸先側の位置には、トリガ部材128が設けられている。前記実施形態のトリガ22と同様、この実施形態のトリガ部材128も、扉Dが開いた状態で操作部114を操作できないようにするための部材である。
【0105】
この実施形態のトリガ部材128は、横向きL字状の部材であり、横向きの端部にはトリガ突起128aが、下向きの端部にはトリガ側係止部128bが設けられている。
【0106】
トリガ部材128には、錠箱111内に突設されたトリガ部材支持突起111cが挿通される長孔128cが設けられ、その長孔128cのトリガ部材支持突起111cよりも戸先側の位置にはトリガバネ129が設けられている。
【0107】
トリガバネ129は伸長方向に付勢されたバネであり、トリガバネ129の付勢力によって、トリガ部材128のトリガ突起128aが前板部113のトリガ通過孔113aから突出するようにしてある。
【0108】
施解錠機構を構成するこれらの部材は、次のような配置で錠箱111に収められている。
【0109】
鎌部材121は下端側連結部121cの第一連結孔121eが、錠箱111のへ字状ガイド溝111dと重なる位置に配置され、第一連結具130aで錠箱111内に連結されている。
【0110】
また、鎌部材121の中段連結部121dは、第二連結孔121fが錠箱111の第一円弧溝111eと連通するように錠箱111内に配置され、第二連結孔121fと第一円弧溝111eの双方に挿通された第二連結具130bで錠箱111内に連結されている。
【0111】
第一リンク部材122の上端側は、第一リンク上側孔122aが第二リンク下側孔123bと連通するように第二リンク部材123の手前側に重ねられ、重ねられた両部材は第一リンク上側孔122a及び第二リンク下側孔123bが、錠箱111の第二円弧溝111fと連通するように重ねられ、第三連結具130cで錠箱111内に連結されている。
【0112】
第二リンク部材123の上端側は、前面側に配置された第三リンク124と背面側に配置された操作板127の間に配置されている。両部材は、第二リンク上側孔123a、第三リンク孔124a、挿通孔127d及び錠箱111の第二縦ガイド溝111gが連通するように重ねられ、第四連結具130dで錠箱111内に連結されている。
【0113】
なお、第四連結具130dには、後述する操作具114の可動体114cが連結され、可動体114cのスライド操作に連動して、第三リンク部材124が動作するようにしてある。
【0114】
第三リンク部材124は、下端側の係止突起124bがスライド体125の横長孔125cに係止され、ガイド突起124cが錠蓋112の切欠き長孔112mにスライド可能に挿通されている。
【0115】
操作板127の戸先側の位置にはトリガ部材128が配置され、トリガ突起128aが取付け板113の外側に突出した状態で、操作板127の第一係止部127bがトリガ部材128のトリガ側係止部128bが係止されるようにしてある。
【0116】
前記各構成が収められた錠箱111の前面側には、錠蓋112が取り付けられている。錠蓋112のうち、錠箱111のへ字状ガイド溝111d、第一円弧溝111e、第二円弧溝111f、第二縦ガイド溝111gのそれぞれに対向する位置には、蓋側へ字状ガイド溝112d、蓋側第一円弧溝112e、蓋側第二円弧溝112f、蓋側第二縦ガイド溝112gが設けられている。
【0117】
蓋側へ字状ガイド溝112dには第一連結具130aの軸部が、蓋側第一円弧溝112eには第二連結具130bの軸部が、蓋側第二円弧溝112fには第三連結具130cの軸部が、蓋側第二縦ガイド溝112gには第四連結具130dの軸部が係止されている。
【0118】
錠蓋112には、バネ掛けピン111bやトリガ部材支持突起111cのほか、錠箱111内に突設された規制ピン111h、111i、111jが係止する孔として、第一係止孔112b、第二係止孔112c、第三係止孔112h、第四係止孔112i、第五係止孔112jが設けられている。そのほか、錠蓋112の上辺及び下辺には位置決め凹部112kが、戸尻側の辺には切欠き長孔112mが設けられている。
【0119】
前記操作部114は、扉Dに固定されるベース部114aとベース部114aの凹部114b内を上下方向にスライド可能な可動体114cを備えている。ベース部114aの背面側には上下方向に間隔をあけて二本の位置決め突起114dが設けられている。
【0120】
ベース部114aは、二本の位置決め突起114dが、錠箱111の位置決め凹部111kと錠蓋112の位置決め凹部112kに収まるように位置決めされ、扉Dに固定される。
【0121】
以上のように構成された錠100は、
図14(a)の状態で操作部114を施錠方向(下方向に)に下げると、第三リンク部材124の係止突起124b側の端部が引き上げられ、その動きに伴って、操作板127及び第二リンク部材123の第二リンク上側孔123a側が押し下げられる。
【0122】
第二リンク部材123の第二リンク上側孔123a側が押し下げられると、第二リンク部材123と連結した第一リンク部材122が図中左方向にスライドし、その動きに伴って鎌部材121が前板部113の鎌部材通過孔113bを通過して図示しないストライクの嵌入孔に嵌入し、扉Dが施錠される。
【0123】
このとき、第三リンク部材124の係止突起124b側の端部が引き上げられるのに伴い、スライド体125が押し上げられ、スライド体125と接触した運動伝達ユニット30が押し上げられる。
【0124】
一方、
図14(b)の状態で操作部114を解錠方向(上方向)に上げると、第三リンク部材124の係止突起124b側の端部が押し下げられ、その動きに伴って、操作板127及び第二リンク部材123の第二リンク下側孔123b側が押し上げられる。
【0125】
第二リンク部材123の第二リンク下側孔123b側が押し上げられると、第二リンク部材123と連結した第一リンク部材122が図中右方向にスライドし、その動きに伴って前板部113の鎌部材通過孔113bの外側に突出していた鎌部材121が錠箱111内に引き戻され、扉Dが解錠される。
【0126】
このとき、第三リンク部材124の係止突起124b側の端部が押し下げられるのに伴い、スライド体125が押し下げられ、スライド体125と接触した運動伝達ユニット30が下降する。
【0127】
前記各実施形態の構成は一例であり、本発明の運動伝達ユニット30、扉用シャッタ装置及び扉Dの構成は前記各実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の運動伝達ユニット30、扉用シャッタ装置及び扉Dは、所期の目的を達成できる範囲で、構成の省略や追加、入れ替え等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の運動伝達ユニット30及び扉用シャッタ装置は、隙間の開放と遮蔽の切替えが必要な各種扉Dに実装して利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 錠
11 ケース本体
11a ガイドピン
11b バネ掛け突起
11c カム装着孔
11d ハブ装着孔
12 ケース蓋
12a 蓋側ガイド溝
12b 蓋側係止溝
12c 蓋側カム装着孔
12d 蓋側ハブ装着孔
13 前板部
13a ボルト出入口
13b トリガ出入口
14 サムタン
14a 取付け軸
15 可動アーム
15a 連結突起
15b 突条
16 ラッチボルト
16a ボルト溝
17 ラッチ付勢バネ
18 ガイドフレーム
18a 切欠き凹部
19 回動ハブ
19a 挿入孔
19b 第一係止部
19c 第二係止部
19d 第三係止部
20 ハブ押さえ
20a バネ係止突起
20b 側面突起
21 ハブ付勢バネ
22 トリガ
22a トリガ本体部
22b 頭部
23 ガイドプレート
23a ガイド孔
23b 突き当て凸部
24 トリガ付勢バネ
25 回動カム
25a 挿入孔
25b 円筒部
25c ブロック部
25d 突出部
25e 第一突起
25f 第二突起
26 カム付勢バネ
27 連動プレート
27a 第一規制部
27b 第二規制部
28 リンク
28a 第一貫通孔
28b 第二貫通孔
29 取付け板
29a ラッチ出入口
29b トリガ出入口
30 運動伝達ユニット
31 取付けステー
31a ステー本体
31b ステーキャップ
31c 弾性体配置部
31d 突片
31e 第一係止ピン
32 ジョイント
32a アーム収まり部
32b 突片収まり部
32c 弾性体収まり部
32d インナーレール
32e 対向片
32f 対向片
32g 第二係止ピン
33 補助弾性体
34 ロッドバー
35 足部材
35a 連結軸収まり部
35b 足部材インナーレール
36 連結ピン
37 連結軸
37a 挿入部
37b 抜止め鍔
38 連結ピン
39 主弾性体
40 固定部材
50 遮蔽ユニット
51 シャッタ本体
51a シール材収まり部
51b 収容溝
52 シール材
53 揺動体
53a 突出片
53b 係止突起
53c 支持ピン挿通孔
54 シャッタガイド
54a ビス孔
54b 筒状部
54c ガイド長孔
54d ガイド部
55 シャッタケース
55a 対向面
55b 対向面
55c 第一面第一挿通孔
55d 第二面第一挿通孔
55e 第一面第二挿通孔
55f 第二面第二挿通孔
55g 通過用開口
55h リング材
56 シャッタキャップ
56a 固定部
57 揺動体支持ピン
58 ガイド支持ピン
100 錠
111 錠箱
111a 第一縦ガイド溝
111b バネ掛けピン
111c トリガ部材支持突起
111d へ字状ガイド溝
111e 第一円弧溝
111f 第二円弧溝
111g 第二縦ガイド溝
111h 規制ピン
111i 規制ピン
111j 規制ピン
111k 位置決め凹部
112 錠蓋
112b 第一係止孔
112c 第二係止孔
112d 蓋側へ字状ガイド溝
112e 蓋側第一円弧溝
112f 蓋側第二円弧溝
112g 蓋側第二縦ガイド溝
112h 第三係止孔
112i 第四係止孔
112j 第五係止孔
112k 位置決め凹部
112m 切欠き長孔
113 前板部
113a トリガ通過孔
113b 鎌部材通過孔
114 操作部
114a ベース部
114b 凹部
114c 可動体
114d 位置決め突起
121 鎌部材
121a 胴体部
121b 係止アーム部
121c 下端側連結部
121d 中段連結部
121e 第一連結孔
121f 第二連結孔
122 第一リンク部材
122a 第一リンク上側孔
122b 第一リンク下側孔
123 第二リンク部材
123a 第二リンク上側孔
123b 第二リンク下側孔
124 第三リンク部材
124a 第三リンク孔
124b 係止突起
124c ガイド突起
125 スライド体
125a ベース部
125b アーム部
125c 横長孔
126 トーションバネ
127 操作板
127a 基体部
127b 第一係止部
127c 上突片
127d 挿通孔
127e バネ掛け突起
128 トリガ部材
128a トリガ突起
128b トリガ側係止部
128c 長孔
129 トリガバネ
130a 第一連結具
130b 第二連結具
130c 第三連結具
130d 第四連結具
D 扉
F 戸枠
H ドアハンドル