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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116968
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/84 20060101AFI20240821BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
E06B9/84 D
E06B9/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022862
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CA15
2E042CB05
2E042CC10
(57)【要約】
【課題】負荷感知方式の障害物感知装置の負荷感知能力を最適化する。
【解決手段】負荷感知方式のシャッター装置の場合、強風が開閉体に吹き付けることによって発生する風圧の影響によって負荷が増大し、障害物と誤認識してしまう可能性がある。気象情報が負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、負荷感知の感度を低くなるように制御し、負荷感知能力を最適化する。負荷の感知に影響を与える情報として、開閉体装置の近傍に風速計が設置されている場合は、その風速計からの風速・風向情報を用いる。また、インターネットを経由して取得可能な気象庁や気象情報提供会社などから提供される多種の気象情報の中で風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉するように動作する開閉手段と、
モータに供給されるモータ電流をトルク電流及び励磁電流に分割し、前記励磁電流が一定となるようにモータ電圧を調整しながら前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、
前記開閉手段の開閉動作時における前記モータ電流の平均値を求め、前記平均値にプラスマイナスの所定の数値を乗じて、所定巾を持ったしきい値波形を生成し、前記モータ電流の値が前記しきい値波形の所定巾の内側から突出した時点で前記モータに負荷を感知し前記開閉手段に障害物が接触したことを検出する障害物検出手段とを備えた開閉体装置において、
前記制御手段は、前記開閉体装置の設置箇所における気象情報を取得し、前記気象情報が前記負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、前記所定の数値を変更し、負荷感知の感度を低くなるように制御することを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、
前記負荷の感知に影響を与える情報として、前記開閉体装置の設置箇所の近傍に設けられた風速計から得られる風速及び/又は風向情報を用いることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉体装置において、
前記負荷の感知に影響を与える情報として、インターネットを介して外部のサーバーから入手した風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いることを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
開口部を開閉するように動作する開閉手段と、
開閉停の各信号の入力に応じてモータ電圧を調整しながら前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、
前記開閉手段の開閉動作時における前記モータ電流の平均値を求め、前記平均値にプラスマイナスの所定の数値を乗じて、所定巾を持ったしきい値波形を生成し、前記モータ電流の値が前記しきい値波形の所定巾の内側から突出した時点で前記モータに負荷を感知し前記開閉手段に障害物が接触したことを検出する障害物検出手段とを備えた開閉体装置の開閉体制御方法において、
前記制御手段は、前記開閉体装置の設置箇所における気象情報を取得し、前記気象情報が前記負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、前記所定の数値を変更し、負荷感知の感度を低くなるように制御することを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉体制御方法において、
前記負荷の感知に影響を与える情報として、前記開閉体装置の設置箇所の近傍に設けられた風速計から得られる風速及び/又は風向情報を用いることを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の開閉体制御方法において、
前記負荷の感知に影響を与える情報として、インターネットを介して外部のサーバーから入手した風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いることを特徴とする開閉体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体制御方法に係り、特に負荷感知方式にて障害物を感知する開閉体装置及び開閉体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部や窓部あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し降下させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
特許文献1には、シャッターの開閉機に加わった負荷を感知する障害物感知装置として、開閉機の電流値を感知する方式のものやタコジェネレータあるいはエンコーダを用いて回転量を検出して、この回転量の低下に基づいて障害物を感知し、シャッターを安全方向、即ち、停止あるいは反転上昇させるようにしたものが記載してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-300916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の負荷感知方式の障害物感知装置は、開閉機(モータ)の過負荷を検出して停止、又は反転上昇させている。このような負荷感知方式のシャッター装置の場合、強風が開閉体に吹き付けることによって発生する風圧の影響による負荷の増大を障害物と誤認識してしまい、停止、反転上昇を行い、全閉できなくなる可能性があり、好ましくなかった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、負荷感知方式の障害物感知装置の負荷感知能力を最適化することのできる開閉体装置及び開閉体制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部を開閉するように動作する開閉手段と、モータに供給されるモータ電流をトルク電流及び励磁電流に分割し、前記励磁電流が一定となるようにモータ電圧を調整しながら前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、前記開閉手段の開閉動作時における前記モータ電流の平均値を求め、前記平均値にプラスマイナスの所定の数値を乗じて、所定巾を持ったしきい値波形を生成し、前記モータ電流の値が前記しきい値波形の所定巾の内側から突出した時点で前記モータに負荷を感知し前記開閉手段に障害物が接触したことを検出する障害物検出手段とを備えた開閉体装置において、前記制御手段は、前記開閉体装置の設置箇所における気象情報を取得し、前記気象情報が前記負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、前記所定の数値を変更し、負荷感知の感度を低くなるように制御することにある。
負荷感知方式のシャッター装置の場合、強風が開閉体に吹き付けることによって発生する風圧の影響によって負荷が増大し、障害物と誤認識してしまう可能性があるので、この発明は、気象情報が負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、所定の数値を変更し、負荷感知の感度を低くなるように制御し、負荷感知能力を最適化できるようにしたものである。
【0008】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記負荷の感知に影響を与える情報として、前記開閉体装置の設置箇所の近傍に設けられた風速計から得られる風速及び/又は風向情報を用いることにある。
これは、負荷の感知に影響を与える情報として、開閉体装置の近傍に風速計が設置されている場合は、その風速計からの風速情報及び/又は風向情報を用いるようにしたものである。
【0009】
本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記負荷の感知に影響を与える情報として、インターネットを介して外部のサーバーから入手した風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いることにある。
これは、負荷の感知に影響を与える情報として、インターネットを経由して取得可能な気象庁や気象情報提供会社などから提供される多種の気象情報の中で風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いるようにしたものである。また、注意報・警報に加えて風速計から得られる風速及び/又は風向情報を用いることによってより精度を上げることができる。また、風速計が開閉体装置の近傍に設置されていない場合でも、開閉体装置の近隣に設置されている他の開閉体装置などに設置されている風速計からの風速及び/又は風向情報を用いることも可能である。
【0010】
本発明の開閉体制御方法の第1の特徴は、開口部を開閉するように動作する開閉手段と、開閉停の各信号の入力に応じてモータ電圧を調整しながら前記開閉手段の開閉停の各動作を制御する制御手段と、前記開閉手段の開閉動作時における前記モータ電流の平均値を求め、前記平均値にプラスマイナスの所定の数値を乗じて、所定巾を持ったしきい値波形を生成し、前記モータ電流の値が前記しきい値波形の所定巾の内側から突出した時点で前記モータに負荷を感知し前記開閉手段に障害物が接触したことを検出する障害物検出手段とを備えた開閉体装置の開閉体制御方法において、前記制御手段は、前記開閉体装置の設置箇所における気象情報を取得し、前記気象情報が前記負荷の感知に影響を与える情報に該当する場合は、前記所定の数値を変更し、負荷感知の感度を低くなるように制御することにある。
これは、前記開閉体装置の第1の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0011】
本発明の開閉体制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記負荷の感知に影響を与える情報として、前記開閉体装置の設置箇所の近傍に設けられた風速計から得られる風速及び/又は風向情報を用いることにある。
これは、前記開閉体装置の第2の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0012】
本発明の開閉体制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記負荷の感知に影響を与える情報として、がインターネットを介して外部のサーバーから入手した風、雨、雪の関連する注意報・警報を用いることにある。
これは、前記開閉体装置の第3の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、負荷感知方式の障害物感知装置の負荷感知能力を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の開閉制御システムが適用される複数のシャッター装置が設置された建物の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る開閉体装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図1の開閉制御システムが離間した場所の建物にそれぞれ設置された開閉体装置群の開閉動作を効率的に制御する開閉制御システムの好ましい実施の形態の一例を示す図である。
図4】シャッターの降下動作時(ベクトル制御時)におけるモータ電流値(トルク)の変化に基づいて障害物を感知するモータ負荷感知方式の障害物検出部の処理の一例を示す波形図である。
図5】障害物検出部のモータ負荷感知の感度を気象情報に応じて変更する負荷感知変更処理の一例を示すフローチャート図である。
図6】降下中に図4の障害物検出方法によって障害物を感知した場合の処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉制御システムの好ましい実施の形態について説明する。実施の形態では、開閉制御システムとして上下に開閉制御されるシャッター装置群を例に説明する。図1は、本発明の開閉制御システムが適用される複数のシャッター装置が設置された建物及びその近傍の構造物の概略構成を示す図である。
【0016】
図1におけるシャッター装置群は、車庫などのガレージに設けられるガレージシャッター装置1と、建物のそれぞれの開口部である窓に設けられる窓シャッター装置2~4とで構成される。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、基本的にシャッターケース、シャッターカーテン、ガイドレール、モータ、制御装置、送受信機、リモコン操作スイッチなどから構成される。なお、図1では、モータやこれ以外の構成部品となる巻取シャフトやチェーンなどについては図示を省略してある。
【0017】
ガレージシャッター装置1が車両用開閉体装置であり、窓シャッター装置2~4が複数の開口部に対応して設けられた複数の開閉体装置である。この実施の形態に係る開閉制御システムでは、図1のようなシャッター装置群の設置された建物の他に図1とは異なる態様のシャッター装置群の設置された建物等がそれぞれ離間した場所に複数存在するものとして説明する。図1は、これらの建物の中の一例を示すものであり、建物の中には、図1以外の開閉体装置が設置されている場合がある。
【0018】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置3には、人感センサ14,34が接続されている。ガレージシャッター装置1の人感センサ14は、ガレージ開口部の後側に、すなわちガレージ内に設置され、人が存在するか否かを検知する。ガレージ内に人が存在する場合に、自動でガレージシャッター装置1が閉鎖すると、ガレージ内に人が閉じ込められる可能性があるので、それを防止するためである。
【0019】

窓シャッター装置3の人感センサ34は、掃き出し窓の開口部の後側、すなわち建物の外側に設置され、ベランダ35に人が存在するか否かを検知する。ベランダ35に人が存在する場合に、自動で窓シャッター装置3が閉鎖すると、ベランダ上に人が追い出される可能性があるので、それを防止するためである。
【0020】
人感センサは、これ以外にも閉じ込められる可能性のある領域及び/又は追い出される可能性のある領域に設置される場合もある。また、人感センサは、赤外線、超音波、可視光などを用いられて人の存在を検知するものであり、監視カメラ等を用いて検知してもよい。人感センサは1又は複数のセンサで構成してもよい。なお、人感センサは、シャッター装置に設けられている危害防止用の障害物センサとは異なるものであり、開閉体装置からある程度離間した距離の所定領域に人が存在するか否かを検知するものである。
【0021】
シャッターケースはそれぞれの開口部の上方に設けられている。ガイドレールは、シャッターカーテンの両端部に接するようにガレージの開口部及び窓の両端側に設けられ、まぐさ部から床面及び窓枠下まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテンは、このガイドレールの各案内溝に沿って上昇下降し、開口部及び窓の開閉停又は途中停止(半開若しくは半閉)の各動作を行う。本明細書において、半開とは開動作の途中で停止した状態のことを、半閉とは閉動作の途中で停止した状態のことを意味する。
【0022】
図示していない巻取りシャフトは、シャッターケースの両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテンを巻き取ったり巻き戻したりする。図示していないチェーンは、モータの回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取りシャフトの回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータの回転駆動力はチェーンを介して巻取りシャフト側に伝達され、モータが回転すると、チェーンを介して巻取りシャフトが回転し、シャッターカーテンの開閉停又は途中停止の各動作が制御されるようになっている。
【0023】
制御装置11,21,31,41は、図示していないが、それぞれのシャッターケース内に設けられている。制御装置11,21,31,41は、マイクロコンピュータ構成になっており、外部の電源ラインから電圧200[V]の電力がモータに供給されている。制御装置11,21,31,41は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42の操作状態に対応した制御信号やモータに設けられた位置検出装置からの信号やプロテクタからの信号などに基づいてモータの回転を制御してシャッターカーテンの開閉停又は途中停止などの各動作を制御している。
【0024】
モータの回転軸にはエンコーダが結合されていて、エンコーダはモータの回転位置を検出して、それを制御装置11,21,31,41に出力している。このモータの回転位置に基づいてHA信号(閉状態又は開状態を示す信号)が出力される。図1では、制御装置11,21,31,41は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42からの制御信号を受信するアンテナを内蔵している。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子手段である。
【0025】
モータには、制御装置11,21,31,41からモータに供給される駆動電流及び駆動電圧を検出する電流検出器(電流センサ)及び電圧検出器(電圧センサ)が設けられており、検出された駆動電流及び駆動電圧の値が制御装置11,21,31,41にフィードバックされる。さらに、モータには温度検出器(温度センサ)が設けられており、その検出温度も制御装置11,21,31,41にフィードバックされる。制御装置11,21,31,41は、エンコーダから出力されるモータの回転位置(シャッター位置)を示す検出信号、電流検出器及び電圧検出器並びに温度検出器から出力されるモータの駆動電流、駆動電圧及び駆動時の温度を示す検出信号に基づいてモータの回転速度を制御している。電流検出器によって駆動電流が検出された場合、モータは駆動状態にあり、駆動電流が検出されないゼロの場合、モータは非駆動状態にあると判断できる。
【0026】
この実施の形態では、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4に対して、それぞれリモコン操作スイッチ12,22,32,42及び送受信子機13,23,33,43を設け、送受信親機50及びアクセスポイント60を建物内の所定の場所に設置し、携帯通信端末70などのユーザー端末や後述するクラウドサーバーをネットワーク経由にて接続することによって、集中制御可能な開閉制御システムを構築している。
【0027】
図1では、送受信子機13,23,33,43に、リモコン操作スイッチ12,22,32,42及び送受信親機50に接続されるアンテナが図示してある。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子手段である。ガレージシャッター装置1の送受信子機13とリモコン操作スイッチ12とは所定の周波数帯(例えば、426[MHz])で接続され、所定のIDを介してそれぞれ接続されるようになっている。
【0028】
窓シャッター装置2~4も同じくリモコン操作スイッチ22,32,42に対して特定の周波数帯で接続され、所定のIDを介して1対1で接続される。この実施の形態では、所定のIDとしてリモコン操作スイッチ12にはid12が、リモコン操作スイッチ22にはid22が、リモコン操作スイッチ32にはid32が、リモコン操作スイッチ42にはid42が、それぞれ固有のリモコンIDとして割り当てられているので、送受信子機13,23,33,43はこれらのリモコンIDを利用して制御する。
【0029】
なお、図示していないが、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4には、リモコン操作スイッチ12,22,32,42以外にも有線の操作子手段である壁スイッチがそれぞれの開口部近傍に備えられている場合がある。壁スイッチは、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の有線方式の操作子手段(専用スイッチ)であり、元々ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の制御装置11,21,31,41に直接接続されており、開閉停の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号を制御装置11,21,31,41に送信するものである。
【0030】
制御装置11,21,31,41は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42及び壁スイッチなどの操作状態に対応した制御信号に応じて、シャッターカーテンの開閉停の各動作を制御する。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、壁スイッチの操作に応じて、この開閉制御システムとは無関係にガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停の各動作を直接制御することができるようになっている。なお、壁スイッチが途中停止用のボタンを備えている場合もある。
【0031】
送受信子機13,23,33,43は、それぞれの制御装置11,21,31,41に有線にて電気的に接続されるように設置される。送受信子機13,23,33,43は、特定小電力無線(例えば、周波数429[MHz])によって送受信親機50に無線接続されている。送受信親機50は、それぞれのリモコン操作スイッチ12,22,32,42からの信号を受信するアンテナを内蔵している。アクセスポイント60(Wireless LAN access point)は、送受信親機50にWiFiを介して接続されている。さらに、このアクセスポイント60に携帯通信端末70などのユーザー端末がWiFiを介して接続可能となっている。このアクセスポイント60には、携帯通信端末70以外にもノートパソコンやデスクトップパソコンなどのユーザー端末がWiFiを介して又はLANケーブルなどの各種ケーブルを介して接続可能となっている
【0032】
送受信子機13,23,33,43とリモコン操作スイッチ12,22,32,42との間を接続する特定の周波数帯と、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との間を接続する特定の周波数帯は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、特定の周波数帯が異なる場合、送受信子機13,23,33,43は、受信信号の周波数をソフト的に切り替えて受信している。
【0033】
送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置について、この実施の形態においては、少なくともどちらかは(好ましくは両者とも)どのシャッターケース内にも収容されておらず、シャッターケース外に設置されている。さらに、送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置がいずれかのシャッターケース(すなわち、このシャッターケースを備えているシャッター装置)の近傍に設置されているために、例えば目視等やその他の理由により、その高低が判断できる場合には、設置や保守の容易性等を考慮すると、当該シャッターケースよりも下方の位置に設置することが好ましい。勿論、例えばシャッターケース内部等であっても、通信が可能な範囲でかつシャッターカーテンの開閉や巻き取り等の移動動作と干渉しない位置であればその設置位置は任意である。
【0034】
携帯通信端末70は、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン(多機能型携帯電話)、PDA等の携帯型の通信端末である。この実施の形態では、携帯通信端末70は、スマートフォンで構成され、通常の通話機能だけでなく、タッチパネル式の表示画面を備え、各種アプリケーションの起動に応じて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42の各ボタンと同等の機能を備えたリモコン操作スイッチが表示画面上に表示され、これらの各ボタンを操作することによって、リモコン操作スイッチとして機能するようになっている。
【0035】
携帯通信端末70のタッチパネル式の表示画面には、通話を含む複数のアプリケーションを起動するための各種アイコンが表示されており、所望のアイコンをタッチ操作することによって所望のアプリケーションを起動できるように構成されている。図1では、開閉体制御用リモコンのアプリケーションが起動され、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンの各操作ボタンが表示された状態が示されている。携帯通信端末70は、WiFi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えているが、この実施の形態では、アクセスポイント60にWiFiで接続され、さらにアクセスポイント60を介して送受信親機50や外部のインターネットに接続されるように構成されている。なお、図では1個の携帯通信端末70を示しているが、これは複数存在するようになっていてもよい。
【0036】
図1に示す開閉制御システムにおいては、開閉体装置専用のリモコン操作スイッチ12,22,32,42以外の携帯通信端末70などのユーザー端末を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停の各動作を適宜制御することができる。携帯通信端末70などのユーザー端末は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4共用の、無線方式の操作子手段として機能する。また、送受信親機50と携帯通信端末70などのユーザー端末とは、アクセスポイント60を介して接続されているので、WEP(WPA,WPA2でもよい)の認証を受けた携帯通信端末70などのユーザー端末のみが送受信親機50に接続されるので、高いセキュリティを構築することができる。
【0037】
実施の形態では、気象庁や民間の気象情サービス会社などから発表される多種の気象情報(大雨警報、洪水警報、大雪警報、暴風警報、暴風雪警報、波浪警報及び潮警報の7種類、並びに大雨注意報、洪水注意報、大雪注意報、強風注意報、風雪注意報、波浪注意報、高潮注意報、濃霧注意報、雷注意報、乾燥注意報、なだれ注意報、着氷注意報、着雪注意報、融雪注意報、霜注意報及び低温注意報の16種類)の中で特にモータの負荷感知に影響を与える可能性のある風、雨、雪の関連する情報(大雨警報、洪水警報、大雪警報、暴風警報及び暴風雪警報、並びに、大雨注意報、大雪注意報、強風注意報、風雪注意報、着氷注意報及び着雪注意報)に応じてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の閉動作時の負荷感知の感度を自動的に制御する。気象庁や民間の気象情サービス会社などから発表される多種の気象情報は、インターネットを介して外部のサーバーなどから入手する。
【0038】
なお、この実施の形態では、建物のベランダ35に風速計16が設けられている。図1の風速計16は、風車型風速計で構成されている。なお、これ以外の風杯型風速計、超音波式風速計、三次元超音波風向風速計、ダインス式風速計、熱線式風速計等の種々のものを1又は複数設置してもよい。風速計16と送受信親機50は予め無線方式又は有線方式にて接続されており、風速計16の風速及び/又は風向情報はリアルタイムで送受信親機50に送信される。なお、風速計16の風速及び/又は風向情報を個別の気象情報として送受信子機33経由にて送受信親機50に送信し、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の閉動作時の負荷感知の感度を自動的に制御するようにしてもよい。実施の形態では、風速計16は窓シャッター装置3の近傍のベランダ35に設置されている場合を示したが、これ以外のガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2,4の近傍にもそれぞれ設けても良いし、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の設置箇所以外の建物に設けても良い。また、図1の建物以外の近隣の建物に設置されている風速計の風速及び/又は風向情報をインターネット経由で受信しても良い。
【0039】
例えば、風速計16から風速情報が所定値(例えば風速15[m])を超える状態が所定時間内(例えば5分以内)にn回(例えば2~4回)以上発生した場合には、送受信親機50は自動的にガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を負荷感知の感度を低く設定する。なお、全閉する前に、所定の風速になった時点で半閉動作を実行し、その後の風速の強弱に応じて、全開又は全閉動作を実行するようにしてもよい。負荷感知の感度の設定変更については後述する。
【0040】
図2は、実施の形態に係る開閉体装置の概略構成を示すブロック図である。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の構成はそれぞれ共通するので、図2では、ガレージシャッター装置1の構成を示す。図2において、ガレージシャッター装置1は、ガレージシャッター装置1の制御装置11は、マイクロコンピューターを備えて構成されている。なお、図示していないが、制御装置11は、モータ17を駆動制御するモータドライブ回路や操作者に異常を報知するLED・ブザーなどを備えている。
【0041】
リモコン操作スイッチ12は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして機能する開ボタン12A、停止ボタン12B及び閉ボタン12Cを備えている。リモコン操作スイッチ12は、各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置11に出力する。
【0042】
上限リミットスイッチ15A及び下限リミットスイッチ15Bは、モータ17の回転位置に応じてオン・オフ状態を維持するものであり、シャッターカーテンが上限又は下限位置に達すると、上限リミットスイッチ15A又は下限リミットスイッチ15Bの接点が開いて、シャッターカーテンがこの上限位置又は下限位置に達したことを制御装置11に通知する。制御装置11は、シャッターカーテンが上限又は下限位置に達すると、シャッターカーテンを上限又は下限位置で停止させる。
【0043】
気象情報16aは、風速計16の風速及び/又は風向情報であり、気象情報16bはインターネットを介して外部のサーバーなどから入手される上述の注意報・警報などである。これらの各種の気象情報16a,16bが制御装置11にインターネット回線及びその他の通信回線を介して入力される。
【0044】
障害物検出部18は、ベクトル制御時におけるモータ負荷すなわちモータ電流値(トルク)を検出しながら、そのモータ電流値の変化に基づいて、シャッターカーテン10の先端部に障害物が接触したことを感知するものである。従来から知られている負荷感知方式にて障害物を感知するものである。
【0045】
制御装置11は、リモコン操作スイッチ12上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号、上限リミットスイッチ15A及び下限リミットスイッチ15Bからの接点信号、気象情報16a,16bに基づいて、開閉機を構成するモータ17にモータ運転指令信号を出力し、ブレーキにブレーキ作動指令信号を出力し、モータ17の回転を制御する。モータ17には、過熱保護装置のひとつであるサーマルプロテクタ(図示せず)が接続されている。モータ運転指令信号は、モータ17に供給されるモータ電流をトルク電流及び励磁電流に分割し、励磁電流が一定となるようにモータ電圧を調整しながら制御するベクトル制御信号である。
【0046】
図3は、図1の開閉制御システムが離間した場所の建物にそれぞれ設置された開閉体装置群の開閉動作を効率的に制御する開閉制御システムの好ましい実施の形態の一例を示す図である。図3に示す開閉制御システムは、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、風速計16、送受信親機50、アクセスポイント60、ISP90~92及びネットワーク(インターネット)95、クラウドサーバー100、ユーザー端末(携帯通信端末手段70、タブレット端末101、ノートPC端末102など)及び気象情報16bから構成される。図3では、図1に示したガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4のみを便宜上示しているが、実際にはこのような開閉体装置群の設置された建物がそれぞれ離間した場所に複数存在する。
【0047】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、図1に示す開閉体装置群であり、制御信号や検出信号などの各種信号(電流検出器、電圧検出器、温度検出器、傾きセンサ、振動センサ、風速計の風速及び/又は風向情報(気象情報16a)、気象情報16b、人感センサなどで検出された信号等)を送受信親機50に送信する。ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、上述したように特定小電力無線によって送受信親機50に接続されている。なお、家屋、ビル、工場、倉庫などの建物の構造物躯体によっては、有線で接続されている場合や有線と無線が混在して接続されている場合もある。図3では、図1に対応して開閉体装置群は全て無線にて接続されている場合を示す。
【0048】
送受信親機50は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4からの各種信号を受信して、それを所定の開閉体装置に関するデータに変換して記録すると共にアクセスポイント60並びに外部のネットワーク95を経由して、クラウドサーバー100に送信する。クラウドサーバー100には、送受信親機50から送信されて来た開閉体装置データをライブ表示するモニタが設けられている。このモニタを視認することで、どこの地域のどの建物の開閉体装置がどのような状態にあり、そこの地域で発生した地震の震度等について、あらゆる情報を容易に取得し認識し、離間した場所にそれぞれ設置された複数の開閉体装置の開閉動作を効率的かつ集中的に制御することができるようになっている。風速計16の設置されていない建物の場合、近く建物に設置されている風速計からの風速及び/又は風向情報(気象情報16a)をネットワーク経由で受信したり、クラウドサーバー100から受信することができる。
【0049】
ISP(Internet Service Provider)90,91,92、ネットワーク95は、移動体通信網(無線網)及び有線通信網(有線網)から構成される。移動体通信網(無線網)は、携帯電話やPHSなどの携帯電話サービス会社などによって提供される通信サービス網であり、有線通信網(有線網)は、固定電話などの公衆電話サービス会社などによって提供される通信サービス網である。有線通信網(有線網)には、ISPを介して接続されるネットワーク95を含むものとする。
【0050】
アクセスポイント60は、送受信親機50をISP90経由にてネットワーク95に接続するものであり、WiFi機能を備えている。クラウドサーバー100は、ISP91経由にてネットワーク95に接続されている。ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)は、アクセスポイント60にWiFiにて接続可能になっている。
【0051】
また、ユーザー端末(携帯通信端末70、タブレット端末101、ノートPC端末102)は、ISP90とは別のISP92を経由してネットワーク95に接続されることもある。すなわち、ISP90は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、送受信親機50及びアクセスポイント60の設置された建物などの場所に存在し、そこで接続されものである。一方、ISP91,92は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4、送受信親機50及びアクセスポイント60の設置された場所から遠く離れた管理センターやユーザーの会社や出先などの遠隔地から接続可能なものである。
【0052】
ユーザー端末は、WiFiを経由してアクセスポイント60に接続可能な状態にあるので、アクセスポイント60を経由して送受信親機50に接続可能である。また、ユーザー端末は、建物外のISP92に接続された場合には、ISP92、ネットワーク95、ISP90及びアクセスポイント60を経由して送受信親機50に接続可能である。
【0053】
さらに、ユーザー端末は、アクセスポイント60、ISP90、ネットワーク95及びISP91を経由して、又はISP92、ネットワーク95及びISP91を経由して、それぞれクラウドサーバー100に接続可能である。一方、送受信親機50は、アクセスポイント60、ISP90、ネットワーク95及びISP91を経由してクラウドサーバー100に接続可能となっている。
【0054】
送受信親機50は、アクセスポイント60及びISP90経由にてネットワーク95に接続するためのサーバー情報部、ユーザー情報部、ISP情報部及び電子メール送信部などを備えている。サーバー情報部は、クラウドサーバー100のURL、ログインID、パスワードなどの各種情報を格納しており、クラウドサーバー100への接続を実行するものである。
【0055】
ユーザー情報部は、ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)に関するID、パスワードなどの各種情報を格納しており、ユーザー端末と送受信親機50とを接続するものである。ISP情報部は、ISP90を介してネットワーク95に接続するために必要な情報を格納しており、ネットワーク95への接続を実行するものである。
【0056】
なお、送受信親機50は、電子メール送信部を備え、ユーザー端末や遠隔監視センターなどから入力した電子メールアドレスを格納し、その電子メールアドレス宛にネットワーク95を経由して各種情報や画像データなどを送信することも可能である。また、送受信親機50は、ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)からの要求に応じて各種データをネットワーク95経由にて送信することもできる。また、送受信親機50は、所定のタイミング又はガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態が変化したタイミング若しくは検出信号が検出されたタイミングなどに、その各種データをネットワーク95経由にてクラウドサーバー100に送信する。
【0057】
送受信親機50は、アクセスポイント60を経由して受信したアクセス要求がユーザーとしてあらかじめ設定登録されたID及びパスワードに一致するか照合すると共にIDに対応する電子メールアドレスを抽出する。送受信親機50は、照合の結果、ID及びパスワードが設定登録されたものに一致する場合は、グローバルIPアドレス又はこのグローバルIPアドレスを含んだURLに関する情報をユーザー端末などに送信する。タブレット端末101、携帯通信端末70などは、端末自体に通知機能を備えているので、受信したデータをユーザーに瞬時に通知可能となっている。なお、ノートPC端末102などのように通知機能がないものに対しては、電子メールなどを用いて送信する。また、送受信親機50は、アクセスポイント60を経由して気象情報16bを受信する。送受信親機50、ガレージシャッター装置1の制御装置11又は窓シャッター装置2~4の制御装置21,31,41,51は、気象情報16a及び気象情報16bに基づいて負荷感知の感度の設定を変更制御する。
【0058】
ユーザー端末(ノートPC端末102、タブレット端末101、携帯通信端末70)を使用して、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態を確認する場合、ISP90から割り振られたグローバルIPアドレスあるいはグローバルIPアドレスを含むURLに基づいて、ユーザー端末から送受信親機50に対してアクセスを行う。送受信親機50は、ユーザー情報部に格納されているユーザーID、パスワード等を使用し、ユーザー端末に接続許可を与える。これによって、ユーザー端末は、送受信親機50にアクセスし、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを確認することができる。
【0059】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどの確認が終わると、ユーザー端末から終了要求を送受信親機50に送信する。この終了要求を受け取ると、送受信親機50は、ISP90との接続を切断する。また、一定時間以上、ユーザー端末の通信端末から送受信親機50に対するアクセスがない場合にも、ISP90との接続を切断する。これにより、ユーザーは簡単な操作で送受信親機50からのガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを取得し確認することができる。上述の実施の形態では、送受信親機50を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態や検出データなどを複数のユーザー端末から同時にアクセス可能である。
【0060】
なお、上述の実施の形態では、送受信親機50は、所定のタイミングに各種データをネットワーク95経由にてクラウドサーバー100に送信する場合について説明したが、電流検出器、電圧検出器、温度検出器、傾きセンサ、振動センサなどの検出信号については、日単位、週単位などの長い間隔で検出信号に関するデータを纏めて送信するようにして、傾きセンサ、振動センサ及び風速計の検出信号については、検出した時点で瞬時に送信する。これは、電流検出器、電圧検出器、温度検出器などの検出信号に基づいて開閉体装置のメンテナンス時期や各機器の寿命等を判断するために使用しているので、瞬時の送信は必要ないが、傾きセンサ、振動センサ及び風速計によって検出された情報は瞬時に送信する必要性が高いので、検出時に送信するようにした。
【0061】
上述の実施の形態は、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4と送受信親機50とで構成される開閉体装置システムがスタンドアローン型で設けられている場合を例に説明したが、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4が個々に送受信親機50と同様の機能を備えており、移動体通信網などの通信媒体を利用してインターネット経由にて各種データを常時記録できるようにしたクラウド型のデータ記録サービスにも応用することもできる。この場合、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4に備えられた送受信親機が個々に、バッファメモリとして機能する記録媒体を有し、この送受信親機が各種データを記録媒体に記録すると共にクラウドサーバー100から各種データの転送要求があった場合、その要求に応じてネットワーク95経由にてクラウドサーバー100に順次各種データを転送するように構成すればよい。
【0062】
図4は、シャッターの降下動作時(ベクトル制御時)におけるモータ電流値(トルク)の変化に基づいて障害物を感知するモータ負荷感知方式の障害物検出部の処理の一例を示す波形図である。障害物検出部18は、ベクトル制御時におけるモータ負荷すなわちモータ電流値(トルク)を検出しながら、そのモータ電流値の変化に基づいて、シャッターカーテン10の先端部に障害物が接触したことを感知するものである。
【0063】
図4において、縦軸は制御装置11がモータ17に出力するモータ運転指令信号すなわちベクトル制御時のモータ電流値(トルク)の波形を示し、横軸はベクトル制御時の時間経過を示す。シャッターカーテン10の降下時に、モータ電流値(トルク)は、図4に示すように、一定間隔で脈動しながら右肩上がりの曲線に沿って徐々に大きくなるという実線の波形w1のようになる。モータ電流値(トルク)の波形w1が脈動しているのは、巻取シャフトに巻き取られていたシャッターカーテン10が巻き戻される際のスラットの形状に依存するからである。また、モータ電流値(トルク)の波形w1が徐々に大きくなるのは、シャッターカーテン10が巻き戻されることによって、巻取シャフトに架かるスラットの重量が徐々に増加するためである。
【0064】
この障害物検出方法では、シャッターカーテン10の開閉動作を繰り返し実行し、図4のように変化する波形w1を複数サンプリングし、そのサンプリングした波形の平均値を算出し、図4に示すような点線の平均波形waを生成する。この平均波形waに±1.1を乗じて閾値波形w11U,w11Lを生成する。閾値波形w11U,w11Lは一点鎖線で示される。すなわち、この閾値波形w11U,w11Lは、Δ1の所定巾を持つこととなる。また、この平均波形waに±1.2を乗じて閾値波形w12U,w12Lを生成する。閾値波形w12U,w12Lは二点鎖線で示される。すなわち、この閾値波形w12U,w12Lは、Δ1の2倍となるΔ2の所定巾を持つこととなる。この閾値波形w12U,w12Lは、上述の負荷感知の感度の設定変更に該当する。所定巾Δ1の閾値波形w11U,w11Lの方が負荷感知の感度が高く、所定巾Δ2の閾値波形w12U,w12Lの方が負荷感知の感度が低い。
【0065】
通常の閉鎖時は、閾値波形w11U,w11Lを使用し、上述のように風速計16から風速情報が所定値(例えば風速15[m])を超える状態が所定時間内(例えば5分以内)にn回(例えば3回)以上発生した場合及び/又はモータの負荷感知に影響を与える可能性のある風、雨、雪の関連する注意報若しくは警報を受信した場合には、閾値波形w12U,w12Lを使用し、負荷感知の感度が低くとなるように設定を変更する。なお、風速計16が存在しない場合は、注意報若しくは警報に基づいて負荷感知の感度を変更する。また、注意報と警報とで平均波形waに乗じる数値を異ならせてもよい。例えば、注意報の場合は平均波形waに±1.2を乗じ、警報の場合は平均波形waに±1.3を乗じてもよい。これらの数値は一例であり、開閉体装置の設置される場所や実際の計測値に基づいて適切な数値を選択することが望ましい。
【0066】
所定巾Δ1の閾値波形w11U,w11Lの内側を波形w1が変化している場合は、正常な動作であると判断する。一方、シャッターカーテン10が障害物に接触した場合は、時刻T1,T0で波形w1が閾値波形w11U,w11Lの所定巾の内側からはみ出し、閾値波形w11Uの上側に突出する。この時刻T0,T1でシャッターカーテン10に障害物が接触したと判断する。一方、風速計16から風速情報、又は風、雨、雪の関連する注意報若しくは警報によって、モータの負荷感知に影響がでる可能性がある場合は、所定巾Δ2の閾値波形w12U,w12Lを障害物感知の判定に使用する。その結果、図4の波形w1は、閾値波形w12U,w12Lの内側を変化しているので、正常な動作であると判断する。
【0067】
なお、平均波形waは、開口部の大きさ(高さ、巾)、シャッターカーテン10の形状、重さなどに依存し、個々の開閉体装置で異なるものとなる。従って、シャッターカーテン10の開閉動作を繰り返し実行し、開閉体装置固有の波形を学習し取得することが重要となる。シャッター設置後に複数回(例えば、10~100回)の開閉動作時の波形の平均を平均波形waとし、それ以降はこの平均波形waを基準として、閾値波形w11U,w11Lを生成する。正常に動作していても長年の使用によって、波形w1が閾値波形w11U,w11Lの所定巾の内側からはみ出したりする場合には、経年劣化によるものと判断し、メンテナンスの実行を促す表示やアナウンスを行うようにしてもよい。また、平均波形waに乗じる数値は、±αのように同じ値αを乗じてもいいし、+α,-βのようにそれぞれ異なる値α,βを乗じるようにしてもよい。同様に、平均波形waに乗じる数値±αは実際の風速下におけるシャッターカーテン10の開閉動作を繰り返し実行し、開閉体装置固有の数値±αを学習し取得することが重要となる。
【0068】
図5は、障害物検出部のモータ負荷感知の感度を気象情報に応じて変更する負荷感知変更処理の一例を示すフローチャート図である。負荷感知変更処理は上述の平均波形waに乗じる数値を次のステップに従って決定する処理である。
ステップS51では、負荷感知に影響を与える気象情報有り又は無しの判定を行い、有り(yes)の場合は次のステップS52に進み、無し(no)の場合はリターンする。ここで、負荷感知に影響を与える気象情報有りの場合とは、上述の風速計16の風速及び/又は風向情報に基づいて負荷感知に影響を与えると判断した場合、及び/又は負荷感知に影響を与える可能性のある風、雨、雪の関連する情報(大雨警報、洪水警報、大雪警報、暴風警報及び暴風雪警報、並びに、大雨注意報、大雪注意報、強風注意報、風雪注意報、着氷注意報及び着雪注意報)を外部から入力した場合が該当する。
【0069】
ステップS52では、前のステップで負荷感知に影響を与える気象情報有りと判定されたので、負荷感知の閾値を大きくする。具体的には平均波形waに乗じる数値αのデフォルトが1.1の場合はこれを1.2と大きくする。数値βが存在する場合には同様に数値βも大きくする。開閉体装置の仕様によっては数値α又はβのいずれか一方を大きくしても良い。
【0070】
ステップS53では、負荷感知に影響を与える気象情報が終了したか否かの判定を行い、終了していない(no)場合はこの処理繰り返し、終了した(yes)場合は次のステップS54に進む。
ステップS54では、前のステップで負荷感知に影響を与える気象情報有りが継続中でないと判定されたので、負荷感知の閾値をデフォルトに戻し、リターンする。具体的には平均波形waに乗じる数値αをデフォルトの1.1とする。
【0071】
図6は、降下中に図4の障害物検出方法によって障害物を感知した場合の処理の一例を示すフローチャート図である。
ステップS61では、シャッターカーテン10が下降中であるか否かの判定を行い、下降中(yes)の場合は次のステップS62に進み、停止中又は上昇中(no)の場合はリターンする。
【0072】
ステップS62では、モータ電流値(トルク)の変化に異常があるか否かの判定を行い、異常あり(yes)の場合は次のステップS63に進み、異常なし(no)の場合はリターンする。ここで、モータ電流値(トルク)の変化に異常があるとは、図4に示すように波形w1が異常な変化を示した場合を言う。すなわち、モータ電流値(トルク)の変化に異常があったということは、シャッターカーテン10に障害物が接触し、それを感知したことを意味する。具体的には波形w1が閾値波形w11U,w11L又は閾値波形w12U,w12Lの所定巾の内側からはみ出した場合が該当する。
【0073】
ステップS63では、下降中のシャッターカーテン10を直ちに停止し、反転上昇させる。上昇の高さは、シャッターカーテン10を全開するように上昇してもよいし、障害物を感知した高さから所定の高さ(30~100[cm])だけ上昇させるようにしてもよい。
ステップS64では、モータ負荷感知方式の障害物検出部が障害物を感知していないので、下降中のシャッターカーテン10の下降をそのまま許可し、通常の下降速度で下降を続行してリターンする。
【0074】
上述の実施の形態では、モータ電流値(トルク)の変化の異常によって障害物を感知する障害物感知装置を例に説明したが、負荷感知方式の障害物感知装置と共に光電センサなどを別途設けて人や物体(自動車)を感知してもよい。また、従来から使用されている座板スイッチの移動によって障害物を感知する障害物感知装置を備えてもよい。
【0075】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…ガレージシャッター装置
2,3,4…窓シャッター装置
10…シャッターカーテン
100…クラウドサーバー
101…タブレット端末
102…ノートPC端末
11,21,31,41…制御装置
12,22,32,42…リモコン操作スイッチ
13,23,33,43…送受信子機
14,34…人感センサ
15A…上限リミットスイッチ
15B…下限リミットスイッチ
16…風速計
16a,16b…気象情報
17…モータ
18…障害物検出部
35…ベランダ
50…送受信親機
60…アクセスポイント
70…携帯通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5