(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011698
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】判定システム、判定方法、及び、判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113921
(22)【出願日】2022-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月2日 ウェブサイト<http://www.instabase.jp/>にて掲載
(71)【出願人】
【識別番号】518160964
【氏名又は名称】株式会社Rebase
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】石田貴心アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】掲載者の主観に基づいて指定されたタイプではなく客観的な視点に近いタイプの決定が可能であり、スペースの賃借を希望する検索者が、スペースを検索する際の精度を向上させる判定システム判定方法及び判定プログラムを提供する。
【解決手段】スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定システムであって、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付手段と、スペースの画像データ及び指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定システムであって、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付手段と、
スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、
受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、
を有する判定システム。
【請求項2】
前記スペースに対して、複数のタイプの中から1又は複数のタイプが指定され、
前記判定手段は、前記スペースが前記複数のタイプのそれぞれに該当するか否かを決定する請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記タイプに対する前記スペースの尤度が閾値以上であった場合、当該スペースに対して当該タイプを対応付ける請求項1に記載の判定システム。
【請求項4】
前記学習手段は、前記受付手段を介して受け付けた前記画像データ及び前記タイプを教師データとして学習を行う請求項1に記載の判定システム。
【請求項5】
前記受付手段は、スペースのメイン画像として送信された画像データ及び、サブ画像として送信された画像データを受け付け、
前記学習手段は、前記メイン画像として送信された画像データを教師データとして学習を行う請求項1に記載の判定システム。
【請求項6】
スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理手段を備え、
前記検索処理手段は、前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定する請求項1に記載の判定システム。
【請求項7】
スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定方法であって、
コンピュータが、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付ステップと、
スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習ステップと、
受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出ステップと、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定ステップと、
を実行する判定方法。
【請求項8】
スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定プログラムであって、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付手段と、
スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、
受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、
を有する判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定システム、判定方法、及び、判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンタルスペースの検索を行う人のうち、「貸し会議室」を探している人の割合が多いことが知られていることから、検索サイト等に掲載されているスペースの多くに「貸し会議室」ではないのに「貸し会議室」のフラグが付与されている。そのため、検索者が「貸し会議室」について検索を行った際に、利用者が求めている「貸し会議室」とは異なるスペースが検索結果に多数現れることが、検索を諦めることに繋がっていると考えられる。
【0003】
特許文献1では、ロボット装置が画像を撮像しセンサデータのログとして記憶し、当該センサデータのログをトレーニングデータセットとして用い、画像認識により部屋の種類を特定して、物体との衝突をより正確に予測するための発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明は、部屋画像からどのような部屋であるかを判定することについて開示されているが、「貸し会議室」等の具体的な部屋のタイプを判断することについては開示されておらず、また、部屋のタイプの判定結果により検索機能を向上させることについても同様に開示されていない。
【0006】
上記事情を鑑みて、本発明は、判定システムに係る新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定システムであって、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付手段と、スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、を有することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、掲載者の主観に基づいて指定されたタイプではなく客観的な視点に近いタイプの決定が可能であり、スペースの賃借を希望する検索者が、スペースを検索する際の精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記スペースに対して、複数のタイプの中から1又は複数のタイプが指定され、前記判定手段は、前記スペースが前記複数のタイプのそれぞれに該当するか否かを決定することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、1のスペースが複数の用途で使用可能である場合、検索者が賃借を希望するスペースを検索する際に、検索漏れが起き難くすることができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記判定手段は、前記タイプに対する前記スペースの尤度が閾値以上であった場合、当該スペースに対して当該タイプを対応付けることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、所定のタイプにおける尤度が閾値を超えているスペースだけを検索者に提示することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記学習手段は、前記受付手段を介して受け付けた前記画像データ及び前記タイプを教師データとして学習を行うことを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、機械学習モデルに再学習を行わせ、より客観的な視点に近いタイプの判定を下すことが可能な機械学習モデルを生成することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記受付手段は、スペースのメイン画像として送信された画像データ及び、サブ画像として送信された画像データを受け付け、前記学習手段は、前記メイン画像として送信された画像データを教師データとして学習を行うことを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、複数の画像データを受け付けた場合において、学習の際のノイズとなり得る画像データを除くことができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理手段を備え、前記検索処理手段は、前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、検索者の要求により近いスペースを提示することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定方法であって、コンピュータが、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付ステップと、スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習ステップと、受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出ステップと、前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定ステップと、を実行することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、スペースに対して掲載者の主観に基づき指定されたタイプから、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定プログラムであって、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、前記スペースに対するタイプの指定を受け付ける受付手段と、スペースの画像データ及び、指定されたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、受け付けた前記スペースの画像データ、前記スペースに対して指定されたタイプ及び、学習済モデルに基づき、前記タイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、判定システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態における、判定システムの構成図を示す。
【
図2】本発明の実施形態における、掲載者端末2A及び検索者端末2Bのハードウェア構成図を示す。
【
図3】本発明の実施形態における、管理サーバ1のハードウェア構成図を示す。
【
図4】本発明の実施形態における、会場ラベルの例を示す。
【
図5】本発明の実施形態における、検索用会場ラベルの決定手順の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書は、本発明の一実施形態にかかる構成や作用効果等について、図面を交えて、以下に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。また、本発明の実施形態は、各実施形態のそれぞれにおける構成の一部を、本発明が目的とする作用効果の実現を阻害しない範囲で互いに採用してよい。
【0018】
また、本実施形態では判定システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、判定システムでその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0019】
また、本実施形態において「手段」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0020】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0021】
本実施形態では、スペースを時間貸しするためのスペース貸出プラットフォームにおいて、スペースの検索を行う場合について説明する。判定システムでは、掲載者が貸出を行いたいスペースを登録し、検索者が利用したいスペースの検索・予約を行う。
なお、判定システムの利用方法は、これに限らない。例えば、不動産仲介プラットフォームや、公共施設予約システムにも利用することが可能であってよい。
【0022】
<システム構成>
図1は、実施形態1における判定システムの概要図である。判定システムは、管理サーバ1と、掲載者が貸与を希望するスペースに関する情報の登録を行うための掲載者端末2Aと、検索者が賃借を希望するスペースの検索及び予約を行うための検索者端末2Bと、を備える。管理サーバ1と掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
【0023】
通信ネットワークNWは、インターネットなどのIP(Internet Protocol)網などから構成される。なお、以下の説明では、不明確にならない限り通信ネットワークNWの介在を省略する。
【0024】
なお、
図1において、管理サーバ1、掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、それぞれ1つずつ図示しているが、それぞれ複数存在してもよい。
【0025】
<管理サーバ1>
管理サーバ1として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、本実施形態において、複数のコンピュータを用いて管理サーバ1を構成することも可能である。
【0026】
<掲載者端末2A及び検索者端末2B>
各掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット端末等であってよい。掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、管理サーバ1に対してリクエストを行い、レスポンスを受け取るためのアプリケーション(典型的には、ウェブブラウザ)を有する。
【0027】
<管理サーバ1のハードウェア構成>
図2は、管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。管理サーバ1は、ハードウェア構成として、演算装置(CPU(Central Processing Unit))11と、作業用メモリとしての主記憶装置(RAM(Random Access Memory))12と、を備える。
【0028】
管理サーバ1は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納するHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置13と、通信制御部16と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部17などと、を更に備える。
【0029】
<掲載者端末2A及び検索者端末2Bのハードウェア構成>
図3は、掲載者端末2A及び検索者端末2Bのハードウェア構成の一例を示す図である。掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、ハードウェア構成として、演算装置(CPU(Central Processing Unit))21と、作業用メモリとしての主記憶装置(RAM(Random Access Memory))22と、を備える。
【0030】
掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納するHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置23と、通信制御部26と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部27などと、を更に備える。
【0031】
また、掲載者端末2A及び検索者端末2Bは、マウスやキーボード、タッチパネル等の、操作入力が可能なインタフェースである入力部24と、例としてモニタやディスプレイ等の、掲載者及び検索者に対して後述の画面を表示するためのインタフェースである出力部25などと、を更に備える。
【0032】
<機能構成要素>
図2に例示されるように、管理サーバ1は、受付手段101、学習手段102、算出手段103、判定手段104、検索処理手段105、出力処理手段106及びデータベースDBを有する。
【0033】
管理サーバ1において上述した機能構成要素を論理的に実現するには、補助記憶装置13に判定プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、管理サーバ1においては、電源投入を契機に、演算装置11が、補助記憶装置13に記憶されている判定プログラムを主記憶装置(RAM)12に展開して実行することによって、上述した機能構成が実現される。
【0034】
<タイプの定義>
本実施形態において、タイプは、スペースに対して主観的に指定される指標である。主観的に指定される指標の例として、スペースの用途、スペースの質、テイスト、コンセプト及び雰囲気等である。タイプは、定性的な設定が困難な指標の場合がある。本実施形態では、レンタルスペースの用途を表すタイプ(以後、「会場タイプ」とする)として、「貸し会議室」「レンタルスペース」「セミナー」「レンタルスタジオ」「音楽スタジオ」「レンタルサロン」「撮影スタジオ」「パーティールーム」「コワーキングスペース」「貸切カフェ・飲食店」「展示会場・ギャラリー」「ポップアップストア」「ライブハウス・劇場」「スポーツ施設」「イベントスペース」「古民家」「ハウススタジオ」「屋上・屋外」「ワークスペース」「アミューズメント施設」及び「ホテル」等が設定される。また、部屋のテイストをタイプとして設定する場合、例えば「ブルックリンスタイル」「ホテルライクインテリア」「ミッドセンチュリー」「和モダン」及び「シャビーシック」等が設定される。
【0035】
<掲載情報の入力>
受付手段101は、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ及び、スペースに対するタイプの指定を受け付ける。本実施形態では、掲載者は、掲載者端末2Aに表示された後述のスペース情報登録画面(不図示)を操作して、貸与を目的として登録するスペースの名称、最寄り駅、住所、時間当たりの賃貸料、貸与可能な日時や曜日、広さ、収容人数、説明文、スペースの画像データ及び、掲載者が指定した当該スペースの用途を表す会場タイプを管理サーバ1に送信する。受付手段101は、これらの情報をスペースIDに対応付けるとともに、指定された会場タイプに基づいてラベル(以後、「指定会場ラベル」とする)を付与し、スペース情報としてデータベースDBに格納する。
【0036】
本実施形態では、受付手段101が受け付ける画像データは1又は複数であってよく、複数の画像データを受け付ける場合、メイン画像として送信される画像データとサブ画像として送信される画像データを受け付けてよい。また、掲載者は予め定められた数以内であれば会場ラベルを複数指定可能である。なお、本実施形態において、会場ラベルは、画像データに写るスペースが該当する会場ラベルを掲載者が指定した指定会場ラベルと、後述の判定手段104によってスペース情報に対応付けられる検索用会場ラベルと、を含んでよい。
【0037】
<指定会場ラベルの一例>
図4(a)は、受付手段101を介して受け付けたスペース情報毎の指定会場ラベルの一例を示す図である。図示例では、掲載者によって指定された会場タイプが「1」として記憶され、これにより指定会場ラベルが定義される。一方、指定されていない会場タイプは「0」として記憶されている。
【0038】
<機械学習モデルの生成>
学習手段102は、スペースの画像データと、当該画像データと対応付けられた会場タイプを教師データとして、機械学習モデルの生成を行う。上記教師データは例として、データベースDBが予め有する画像データ及び当該画像データと対応付けられた会場タイプである。ここで、データベースDBが予め有する画像データは、管理サーバ1の所有者等が予め用意した画像データ及び当該画像データと対応付けられた会場タイプであってよく、機械学習モデルの生成を行う以前に掲載者から受付手段101を介して受け付けた画像データ及び当該画像データと対応付けられた会場タイプでであってよい。
【0039】
また、受付手段101を介して複数の画像データを含むスペース情報を受け付けた場合、学習手段102は、当該スペース情報を受け付ける際にメイン画像として送信された画像データを入力値とし、当該スペース情報が含む会場タイプを出力値とする教師データにより機械学習モデルの生成を行う。
【0040】
<尤度の算出>
算出手段103は、受付手段101を介して受け付けた画像データ、当該画像データに対応付けられる会場タイプ、及び、学習済モデルに基づき、会場タイプに対するスペースの尤度を算出する。算出手段103は、学習済モデルに基づく画像認識によって、スペースの各会場タイプに対する「それっぽさ」を示す数値である尤度を算出する。
【0041】
判定手段104は、1のスペースの全ての会場タイプに対する尤度を算出してよく、予め定められた会場タイプに対する尤度のみを算出してよい。例として、「貸し会議室」ではないのに「貸し会議室」の指定会場ラベルが付与されているスペースが多い場合、検索者による検索が行われる際に、「貸し会議室」ではないスペースが検索結果として表示されないように、「貸し会議室」の会場タイプに対する尤度のみが算出される。
【0042】
<会場タイプに対する尤度の例>
図4(b)は、算出手段103が算出した、或るスペースの各会場タイプに対する尤度を示す。ここで、本実施形態において、算出手段103が算出する尤度は0~1の間の数値であるが、尤度の幅は任意であってよい。
【0043】
<会場タイプの決定>
判定手段104は、算出手段103が算出した尤度に基づき、スペースに対応付ける会場タイプを決定する。本実施形態では、或るスペースの或る会場タイプに対する尤度が閾値よりも大きい場合、当該スペースが当該会場タイプに該当することを決定する。
【0044】
例として、閾値が0.7であるとすると、
図4(b)における「スペースID:0002」のスペースは、「貸し会議室」、「レンタルキッチン」及び「セミナー会場」の3つのタイプに該当するが、「レンタルスペース」及び「レンタルスタジオ」の2つのタイプには該当しないことが決定される。なお、閾値は、一部又は全ての会場タイプで同一の値が利用されてもよいし、会場タイプ毎に異なってもよい。
【0045】
<検索用会場ラベルの付与>
また、判定手段104は、決定された会場タイプに基づいてラベル(以後、「検索用会場ラベル」とする)を付与し、スペース情報に対応付けてデータベースDBに格納する。
【0046】
なお、スペース情報に対して付与される検索用会場ラベルの数は、予め定められた数以下である。尤度が閾値よりも大きな会場タイプが予め定められた数より多かった場合、尤度の大きい順に上記数と同数以内の検索用会場ラベルをスペース情報に対応付けてよい。また、算出手段103が算出した或るスペースにおける全ての尤度が閾値よりも小さかった場合、判定手段104は、算出された尤度が最も大きい会場タイプに基づき検索用会場ラベルを付与し、スペース情報に対応付けてデータベースDBに格納してよい。
【0047】
また、算出手段103が予め定められた会場タイプに対する尤度のみを算出する場合、判定手段104はスペースが当該会場タイプに該当するかを決定し、当該会場タイプ以外の検索用会場ラベルは、掲載者の指定に基づく指定会場ラベルと同一であってよい。
【0048】
<スペース情報の検索>
検索処理手段105は、入力部24を介して検索要求を受け付け、検索処理結果を検索者端末2Bに送信する。本実施形態では、検索処理手段105は、後述のスペース検索画面(不図示)において、入力部24を介して入力された検索条件と検索要求を受け付け、当該検索条件に基づきデータベースDBから当該検索条件に該当するスペース情報を取得する。なお、検索条件は検索者が賃借を希望するスペースに係る条件であり、検索者によって指定された検索用会場ラベル、最寄り駅や時間当たりの賃貸料等のその他条件に係る情報である。
【0049】
<スペース情報登録画面及びスペース検索画面の表示処理>
出力処理手段106は、スペース情報登録画面(不図示)及びスペース検索画面(不図示)を表示処理し、処理結果を掲載者端末2A及び検索者端末2Bに送信する。
【0050】
スペース情報登録画面では、掲載者による画像データのアップロード、掲載者の主観に基づく当該画像データが該当する会場タイプの選択、及び、当該画像データに係るその他の情報の入力が可能である。この際、スペース情報登録画面では、メイン画像とサブ画像をアップロードする枠をそれぞれ設けてよく、アップロードする画像の中からメイン画像とする画像データを決定可能な構成であってよい。また、複数の画像の中で最初にアップロードされた画像がメイン画像であってよい。
【0051】
スペース検索画面では、検索者が賃借を希望するスペースに係る条件である検索条件の入力を受け付け、当該スペースの検索を行うことが可能である。スペース検索画面は、指定会場ラベルの指定を受け付けるラベル指定部、その他条件に係る情報の指定(入力)が可能な条件指定部、及び、検索条件を確定し検索要求を送信する条件確定部を有する。また、スペース検索画面は、上記検索条件に従い検索処理手段105が取得したスペース情報を表示可能である。ここで、検索処理手段105は、スペース検索画面において表示される同一の会場ラベルが付与されたスペース情報の表示の順序を、当該会場ラベルにおける会場タイプに対する尤度の多寡によって決定する。また、検索条件において複数の指定会場ラベルが指定される場合、優先度の高い指定会場ラベル又は会場タイプに対する尤度の合計が高い順に表示されるスペース情報が決定される。
【0052】
<検索用会場ラベルの決定手順のフローチャート>
図5を用いて、判定システムを用いた検索用会場ラベルの決定の全体手順の例を説明する。本実施例では、検索者が賃借を希望するスペースの検索を行う際に、掲載者の主観に基づき指定される指定会場ラベルではなく、機械学習モデルに基づいたより客観的な視点に近い判定に基づき決定される検索用会場ラベルを用いた検索を可能とすることを目的として利用される。なお、
図5に示される各ステップの順序は一例であり、指定がない限り適宜、当該順序は変更され得る。
【0053】
受付手段101は、入力部24を介して、掲載者が貸与を希望するスペースの画像データ、掲載者が当該スペースが当てはまると考える会場タイプを示す会場ラベルの指定、及び、当該スペースに関連するその他の情報を含むスペース情報の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0054】
算出手段103は、学習済モデルと、ステップS101で受け付けたスペースの画像データ及び指定会場ラベルと、に基づき、当該スペースの各会場タイプに対する尤度を算出する(ステップS102)。
【0055】
判定手段104は、ステップS102で算出された尤度に基づき、上記スペースが該当する検索用会場ラベルを決定する(ステップS103)。判定手段104は、ステップS103で決定された検索用会場ラベルと、スペース情報を対応付けてデータベースDBに記憶する(ステップS104)。
【0056】
本実施形態では、ステップS103で決定された検索用会場ラベルを、ステップS104でスペース情報と対応付けてデータベースDBに記憶しているが、スペース検索画面を介したスペースの検索が行われる際に、検索処理手段105が検索条件として指定された検索用会場ラベルにおける尤度が閾値よりも高いスペースの情報を取得するとともに、判定手段104は、当該スペース情報に対し検索用会場ラベルを付与してよい。
【0057】
判定システムは、図示しない予約手段を備え、検索者は、スペース検索画面を介したスペース情報の検索後、予約手段を介して検索したスペースを予約することが可能である。
【0058】
また、学習手段102は、前回の学習時から予め定められた期間が経過した後、或いは予め定められた数のスペース情報が受け付けられた場合において、受付手段101を介して受け付けた画像データ及び当該画像データに対応付けられた会場タイプを教師データとして、学習済モデルを再度学習させてよい。算出手段103は更に、学習済モデルの再学習が行われた際に、再学習以前に会場タイプに対する尤度を算出したスペースについて、再学習後の学習済モデルを用いて当該スペースの各会場タイプに対する尤度を再度算出してよい。
【0059】
本発明によれば、判定システムに係る新規な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :管理サーバ
2A :掲載者端末
2B :検索者端末
11、21:演算装置
12、22:主記憶装置
13、23:補助記憶装置
24 :入力部
25 :出力部
16、26:通信制御部
17、27:通信IF部
101 :受付手段
102 :学習手段
103 :算出手段
104 :判定手段
105 :検索処理手段
106 :出力処理手段
【手続補正書】
【提出日】2023-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースに対して、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定システムであって、
予め用意されたスペースの画像データ及び、前記予め用意されたスペースの画像データに対応付けられたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データを受け付ける受付手段と、
受け付けた前記スペースの画像データ、及び、学習済モデルに基づき、前記検索に用いるタイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、
スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理手段と、を備え、
前記検索処理手段は、前記判定手段によって決定された前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定する判定システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記タイプに対する前記スペースの尤度が閾値以上であった場合、当該スペースに対して当該タイプを対応付ける請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記受付手段はさらに、複数のタイプの中から、前記掲載者が貸与を希望する前記スペースに対する1又は複数のタイプの指定を受け付け、
前記学習手段は、前記受付手段を介して受け付けた前記画像データ及び前記タイプを教師データとして学習を行う請求項1に記載の判定システム。
【請求項4】
前記受付手段は、複数の前記画像データを受け付け、
前記受付手段は、スペースのメイン画像として送信された画像データ及び、サブ画像として送信された画像データを受け付け、
前記学習手段は、前記メイン画像として送信された画像データを教師データとして学習を行う請求項1に記載の判定システム。
【請求項5】
スペースに対して、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定方法であって、
コンピュータが、
予め用意されたスペースの画像データ及び、前記予め用意されたスペースの画像データに対応付けられたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習ステップと、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データを受け付ける受付ステップと、
受け付けた前記スペースの画像データ、及び、学習済モデルに基づき、前記検索に用いるタイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出ステップと、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定ステップと、
スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理ステップと、を実行し、
前記検索処理ステップは、前記判定手段によって決定された前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定する判定方法。
【請求項6】
スペースに対して、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定プログラムであって、
コンピュータを、
予め用意されたスペースの画像データ及び、前記予め用意されたスペースの画像データに対応付けられたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習手段と、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データを受け付ける受付手段と、
受け付けた前記スペースの画像データ、及び、学習済モデルに基づき、前記検索に用いるタイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出手段と、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定手段と、
スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理手段と、として機能させ、
前記検索処理手段は、前記判定手段によって決定された前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定する判定プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
算出手段103は、1のスペースの全ての会場タイプに対する尤度を算出してよく、予め定められた会場タイプに対する尤度のみを算出してよい。例として、「貸し会議室」ではないのに「貸し会議室」の指定会場ラベルが付与されているスペースが多い場合、検索者による検索の結果として「貸し会議室」ではないスペースが表示されないように、「貸し会議室」の会場タイプに対する尤度のみが算出される。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
スペースに対して、スペースの検索に用いるタイプを対応付ける判定方法であって、
コンピュータが、
予め用意されたスペースの画像データ及び、前記予め用意されたスペースの画像データに対応付けられたタイプを教師データとして機械学習モデルの学習を行う学習ステップと、
掲載者が貸与を希望するスペースの画像データを受け付ける受付ステップと、
受け付けた前記スペースの画像データ、及び、学習済モデルに基づき、前記検索に用いるタイプに対する前記スペースの尤度を算出する算出ステップと、
前記尤度に基づき、前記スペースに対応付けるタイプを決定する判定ステップと、
スペースの検索要求を受け付け、検索処理結果を送信する検索処理ステップと、を実行し、
前記検索処理ステップは、前記判定ステップによって決定された前記タイプに基づきフィルタされた前記スペースの表示順序を、前記尤度の多寡に基づき決定する判定方法。