(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116999
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】隔て装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/00 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
E04B1/00 502N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022902
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】500489015
【氏名又は名称】建装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 皇
(72)【発明者】
【氏名】千葉 紀一郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 麻里絵
(57)【要約】
【課題】すでに設置された既存の破壊可能な隔壁を残しつつ、その隔壁の一部に開閉可能に設置することができる隔て装置を提供する。
【解決手段】
隔て装置は、柱となる柱部と、柱となる第2柱部と、柱部に開閉可能に取り付けるとともに、当該柱部と第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有するというものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱となる柱部と、
柱となる第2柱部と、
前記柱部に開閉可能に取り付けるとともに、当該柱部と前記第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有する隔て装置。
【請求項2】
既存の破壊可能な隔壁部の一方の柱となる柱部材と、前記隔壁部の他方の柱となる第2柱部材との間に設置するために、
前記柱部材に取り付ける柱となる柱部と、
前記第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、
前記柱部と前記第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、
前記扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けた隔て装置。
【請求項3】
既存の破壊可能な隔壁部の柱となる一方の柱部材と、前記隔壁部の他方の柱となる第2柱部材との間に設置するために、
前記柱部材に取り付ける柱となる柱部と、
前記第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、
前記柱部と前記第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、
前記扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けるとともに、
前記扉部は、前記第2柱部とロックするためのサムターンと、を有する隔て装置。
【請求項4】
既存の破壊可能な隔壁部の柱となる一方の柱部材と、前記隔壁部の柱となる他方の第2柱部材との間に設置するために、
前記柱部材に取り付ける柱となる柱部と、
前記第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、
前記柱部と前記第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、
前記扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けるとともに、
前記扉部は、前記第2柱部とロックするためのサムターンと、
前記サムターンの回転を防止するサムターンカバーと、をさらに有する隔て装置。
【請求項5】
前記柱部と、前記扉部と、を開閉可能に取り付けるための蝶番と、をさらに有する請求項1から4のいずれかに記載の隔て装置。
【請求項6】
前記柱部と、前記扉部と、を開閉可能に取り付けるための蝶番と、
前記扉部の開閉時の衝撃を吸収するための戸当たりゴムと、を有し、
前記戸当たりゴムは、前記第2柱部材に有する請求項1から4のいずれかに記載の隔て装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に建築物の共用部分に配置する隔壁として使用される隔て装置に関するものである。この共用部分は、通常時には、独立性を確保しつつ、火災などの緊急時には、その隔て装置を破壊してその共用部分の通行を許容するものであり、例えばマンションなどの建築物の場合にベランダなどの共用部分において、隣室が面するベランダとの境界に配置されるものである。
【0002】
建築物特にマンションなどの集合住宅や店舗、オフィスビルなどでは、入居区画の独立性や、不法侵入される犯罪からの防犯の観点から安全性を確保するためにベランダ、バルコニーなどの共用部分に隔壁が設置されている。この共用部分は、通常時には、独立性を確保しつつ、火災などの緊急時には、その隔壁を破壊してその共用部分を通行することにより避難することを許容するものであり、例えばマンションなどの建築物の場合にベランダ、バルコニーなどの共用部分において、隣室が面するベランダ、バルコニーとの境界に配置されている。
【0003】
一方で、建築物特にマンションなどの集合住宅や店舗、オフィスビルなどでの修繕工事においては、その隔壁を一時的に撤去することで、その共用部分の自由な通行を許容すると、その修繕工事の際に、この建築物の居住者にとって独立性を担保することができない。また、その居住者の独立性を担保するためにこの隔壁を撤去せずに修繕工事を行うと、その隔壁を回避するために、外部に組んだ足場を経由して移動しなければならず、その修繕工事における作業者の安全性を担保することができないのみならず作業効率も低下する。
【0004】
一方で、開閉可能な隔壁として特開2005-2643号公報において、集合住宅のバルコニー隔壁を、建物にレリーズ機構を介して固定され、当該レリーズ機構を作動させることより躯体側面に形成した収納空間に収納し得るスライド自在な壁状収納庫によって構成したことを特徴とする収納部付きバルコニー隔壁が開示されている。
【0005】
このバルコニー隔壁は、ベランダなどの共用部分に設置されるものであるが、特にその収納空間は建物の新築時に設置しなければならず、既存の建物に適用するためには大規模な工事となり多大に支出を強いられるために適切ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、すでに設置された既存の破壊可能な隔壁を残しつつ、その隔壁の一部に開閉可能に設置することができる隔て装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、第1観点の隔て装置は、柱となる柱部と、柱となる第2柱部と、柱部に開閉可能に取り付けるとともに、当該柱部と第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有するというものである。
【0009】
また、第2観点の隔て装置は、既存の破壊可能な隔壁部の一方の柱となる柱部材と、隔壁部の他方の柱となる第2柱部材との間に設置するために、柱部材に取り付ける柱となる柱部と、第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、柱部と第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けたというものである。
【0010】
また、第3観点の隔て装置は、既存の破壊可能な隔壁部の一方の柱となる柱部材と、隔壁部の他方の柱となる第2柱部材との間に設置するために、柱部材に取り付ける柱となる柱部と、第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、柱部と第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けるとともに、扉部は、第2柱部とロックするためのサムターンと、を有するというものである。
【0011】
また、第4観点の隔て装置は、既存の破壊可能な隔壁部の一方の柱となる柱部材と、隔壁部の他方の柱となる第2柱部材との間に設置するために、柱部材に取り付ける柱となる柱部と、第2柱部材に取り付ける柱となる第2柱部と、柱部と第2柱部との間に配置した扉となる扉部と、を有し、扉部は、前記柱部に開閉可能に取り付けるとともに、扉部は、第2柱部とロックするためのサムターンと、サムターンの回転を防止するサムターンカバーと、をさらに有するというものである。
【0012】
また、第5観点の隔て装置は、第1観点から第4観点において、柱部と、扉部と、を開閉可能に取り付けるための蝶番と、をさらに有するというものである。
【0013】
また、第6観点の隔て装置は、第1観点から第4観点において、柱部と、扉部と、を開閉可能に取り付けるための蝶番と、扉部の開閉時の衝撃を吸収するための戸当たりゴムと、を有し、戸当たりゴムは、第2柱部材に有するというものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、すでに設置された既存の破壊可能な隔壁を残しつつ、その隔壁の一部に開閉可能に設置することができる隔て装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】隔壁の一部に取り付けた隔て装置の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図示の実施形態を参照して、本実施例の隔て装置10について説明する。本実施例の隔て装置10は、例えば、建物100の共用部分であるバルコニー150に設けられた既存の破壊可能な隔壁200の一部に設けられるものである、例えば、隔壁200は、既存の破壊可能な隔壁部201と隔壁部202と隔壁部203とを有している。本来は、上部横桟230の下方に配置した隔壁部203のさらに下方D方向に図示しない隔壁部が存在していたが、隔壁200全体に開閉機構を持たせることが困難な場合に、その図示しない隔壁部に代えて本実施例の隔て装置10を取り付けることができる(
図1参照)。
【0017】
本実施例の隔て装置10は、隔壁200における隔壁部203の一方の柱となる柱部材210と、その隔壁部203の他方の柱となる第2柱部材220との間であって、かつ、横桟310と第2横桟320との間に設置することが好ましい。また、本実施例の隔て装置10は、隔壁200の一部に開閉可能に取り付けるものである。この既存の隔壁部201と、隔壁部202と、隔壁部203は破壊可能なものであるが、災害時は、それらを破壊しなくても、本実施例の隔て装置10を開閉することによって通行可能となるものである。また、本実施例の隔て装置10は、後述するサムターン56、56によって扉部50を閉じた状態で鍵をかけることができるので、居住者の独立性すなわちプライバシーを担保することができる。
【0018】
本実施例の隔て装置10は、柱となる柱部20と、扉となる扉部50と、柱となる第2柱部80とを有するものである。これらを柱部材210と、柱となる第2柱部材220との間に設置することができる。このように本実施例の隔て装置10は、柱となる柱部20と、扉となる扉部50と、第2柱部80とを有するものであるので、後述するように、本実施例の隔て装置10を設置することは、比較的簡単な工事で済むために多大に支出を強いられることはない。
【0019】
柱となる柱部20は、文字通り本実施例の隔て装置10の柱となるものであり、例えば、既存の隔壁200の柱部材210に取り付けることができる。すなわち、本実施例の柱部20は、棒状であって、断面視コの字状を呈するものである。そのコの字状の内側に柱部材210を配置し、ボルト21とナット22でいわば柱部20を柱部材210とを共締することで固定する。このように、柱部材210を柱部20でカバーするように取り付ける。したがって、既存の柱部材210に容易に柱部20を固定することができる。なお、ボルト21とナット22に代えてビス止めでも好ましい。
【0020】
また、柱部20は、薄板状のブラケット25を有し、そのブラケット25は、開閉可能に取り付ける蝶番30の一方を有してる。すなわち、この蝶番30の一方は柱部20におけるブラケット25に取り付けられており、他方は、扉部50に配置されている薄板状のブラケット52に、この蝶番30の他方が取り付けられている。なお、ブラケット25は、螺子25a、25a、25aによって、柱部20に取り付けられている。
【0021】
扉部50は、正面視矩形状を呈し、上述の通り柱となる柱部材210に取り付けた柱部20と、柱となる第2柱部材220に取り付けた第2柱部80との間に配置するものである。扉部50の一方の縦枠に相当する側方51には、上述の薄板状のブラケット52を有し、蝶番30の他方がそのブラケット52に配置されている。なお、ブラケット52は、螺子52a、52a、52aによって、側方51に取り付けられている。
【0022】
したがって、柱部20のブラケット25に配置されている蝶番30の一方と、扉部50のブラケット52に配置されている蝶番30の他方を組み合わせることにより、その組み合わされた蝶番30は、ヒンジとして機能し、扉部50を開閉可能に設置することができる。なお、蝶番30そのものはすでに公知である(
図4参照)
【0023】
また、扉部50の他方の縦枠に相当するの側方54付近の両面にサムターン56、56を有し、この扉部50は、第2柱部80と、後述するように施錠あるいはその施錠を解除することができる。
【0024】
また、サムターン56、56には、サムターンカバー57、57を配置することもできる。サムターンカバー57、57は、サムターン56、56を回転させることを防止し、開錠されないようにするものであるのは言うまでもない。
【0025】
また、扉部50の他方の縦枠に相当する側方54に、扉部50の表面50aに薄板状の戸当たり部58、58を有する。その戸当たり部58、58が接する戸当たりゴム81は、第2柱部80に配置されている。なお、戸当たり部58は、扉部50の上端と下端付近にそれぞれ2か所配置している。したがって、その戸当たり部58が接する戸当たりゴム81も同様に、その戸当たり部58が接する位置に対応するように第2柱部80の上端と下端にそれぞれ配置されている。これにより扉部50の開閉時の衝撃を吸収することができる(例えば、
図1、
図5参照)。
【0026】
第2柱部80は、既存の隔壁200の第2柱部材220に取り付けるものであり、その取り付けは螺子を用いて取り付けられる。また、第2柱部80は、サムターン56を回すことによって突出する突起部59を受ける穴部82を有している。これによりサムターン56、56を回し、突起部59を突出させることによって穴部82に係合させることで扉部50を施錠することができる。
【0027】
本実施例の隔て装置10は、隔壁部203の下方に図示しない隔壁部の代わりに取り付けるものであって、上述の通り、柱部20と、第2柱部80とを取り付ければ容易に扉部50を配置することができるので比較的簡単な工事で、従来の隔壁200に、取り付けることができる。
【0028】
本実施例の隔て装置10の使用方法について簡単に説明する。本実施例の隔て装置10は、建物100の共用部分であるバルコニー150に設けられた既存の破壊可能な隔壁200の一部に設けられているので、その建物の外壁塗装などの工事においてはその扉部50を開いて通行可能とすることで、外部に組んだ足場を経由することなく各部屋間を移動することができるので、その修繕工事における作業者の安全性を担保することができるとともに作業効率の低下を防止することができる。
【0029】
また、工事作業終了後は、扉部50におけるサムターン56、56に、それぞれサムターンカバー57、57を配置しているので、容易にその扉部50を開閉することができず、その建物100の住人や使用者の独立性を担保することができる。
【0030】
また、非常時においては、サムターンカバー57を破壊し、サムターン56を回すことで扉50を開けて避難することができるので安全性をも担保することができる。これにより力のない女性や老人、子どもでも容易にサムターンカバー57を破壊することができるので、容易に避難経路を確保することができる。もっとも、隔壁200のうち、隔壁部201と隔壁部202と隔壁部203のいずれかを破壊すれば通行可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 隔て装置
20 柱部
50 扉部
56 サムターン
57 サムターンカバー
80 第2柱部
81 戸当たりゴム
100 建物
150 バルコニー
200 隔壁
201、202、203 隔壁部
210 柱部材
220 第2柱部材