(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117011
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20240821BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H02B1/40 D
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022922
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 敬士
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030EA00
5G030XX20
5G030YY04
5G211AA11
5G211AA12
5G211DD02
(57)【要約】
【課題】リンク機構による規制を解除しやすい端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤を提供すること。
【解決手段】端子装置B1は、端子板1とばね部材2と調整部材3とリンク機構4とを備える。ばね部材2は電線W1に接圧力を付与する。調整部材3は、軸方向に移動することで、ばね部材2の変形量を変化させる。リンク機構4は、調整部材3の軸方向の移動の規制及び規制の解除を行う。調整部材3はばね部材2を軸方向の第1向きDR1に押す。ばね部材2は、調整部材3を第2向きDR2に押す調整部材押し部201と導体を第2向きDR2に押す導体押し部202とを有する。リンク機構4は、調整部材3又は調整部材押し部201の移動の規制部401と、工具により移動される解除部(表示部403)と、を有する。調整部材3の第2向きDR2への移動を規制する第2状態において解除部が移動すると、規制部401による規制が解除される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次側端子との間の電路と電気的に接続される端子板と、
1次側の電線の導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、
軸方向に移動することで、前記ばね部材の変形量を変化させる調整部材と、
前記調整部材の前記軸方向の移動の規制及び前記規制の解除を行うリンク機構と、
前記端子板、前記ばね部材、前記調整部材、及び前記リンク機構を収容するケースと、を備え、
前記軸方向のうちの一方の向きを第1向きとすると共に他方の向きを第2向きとし、
前記調整部材は、
前記軸方向における第1位置と、前記第1位置よりも前記第1向き側の位置である第2位置と、の間を移動可能であり、
前記ばね部材を前記第1向きに押すと共に前記ばね部材により前記第2向きに押されることが可能であり、
前記ばね部材は、
前記調整部材を前記第2向きに押す調整部材押し部と、
前記導体を前記第2向きに押す導体押し部と、を有し、
前記調整部材押し部及び前記導体押し部は連動して前記軸方向に移動可能であり、
前記ケースは、
前記電線が挿入される電線挿入孔と、
前記電線挿入孔とは別の開口部と、
を有し、
前記リンク機構は、
前記調整部材又は前記調整部材押し部の前記第2向きへの移動を規制可能な規制部と、
前記開口部から挿入された工具により移動される解除部と、を有し、
前記第1位置に位置する前記調整部材の前記第1向きへの移動を規制しない第1状態と、前記第2位置に位置する前記調整部材又は前記調整部材を押す前記調整部材押し部の前記第2向きへの移動を前記規制部が規制する第2状態と、の間で状態変化が可能であり、
前記第2状態において前記解除部が工具により移動すると、前記第2状態における前記規制部による規制が解除される、
端子装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、
前記電線挿入孔から挿入された前記電線に押される押され部材と、
前記押され部材に押される第1レバーと、
前記規制部の動きを規制する第2レバーと、
前記第1レバーと前記第2レバーとを連結する連結部材と、を有し、
前記規制部は、規制部材に形成され、
前記第1レバーは、
前記ケースに回転可能に支持される軸部を中間部に有し、
前記第1向き側の端部に前記押され部材に押される押され部を有し、
前記第2レバーは、
前記ケースに回転可能に支持される軸部を前記第2向き側の端部に有し、
前記規制部材は、
前記ケースに回転可能に支持される軸部を中間部に有し、
一端部に前記規制部を有し、
他端部が前記第2レバーに動きを規制される端部となり、
前記連結部材の一端部は、前記第1レバーの前記軸部よりも前記第1向き側の部分に連結され、
前記連結部材の他端部は、前記第2レバーの前記軸部よりも前記第1向き側の部分に連結される、
請求項1に記載の端子装置。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記第1状態であるか又は前記第2状態であるかを表示する表示部を更に有する、
請求項1又は2に記載の端子装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の端子装置と、
前記端子装置と2次側端子の間の電路に挿入された接点部と、
前記接点部を開閉する開閉機構部と、
を備える、
開閉器。
【請求項5】
請求項4の開閉器と、
前記開閉機構部を介して前記接点部を強制的に開極させる引外し装置と、
を備える、
回路遮断器。
【請求項6】
請求項5の回路遮断器と、
前記回路遮断器を収容するボックスと、
を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤に関し、より詳細には、ばね部材を有する端子装置、当該端子装置を有する開閉器、当該開閉器を有する回路遮断器及び当該回路遮断器を有する分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電線接続用ねじ端子を備えた主幹用ブレーカ(以下、従来例という)と、電線接続用ねじ端子に接続されるねじ無し端子ユニットを開示する。
【0003】
ねじ無し端子ユニットは、主幹用ブレーカの電線接続用ねじ端子に接続されるねじ端子挿入バーと、ねじ端子挿入バーに電気的に接続されるねじ無し端子と、ねじ端子挿入バー及びねじ無し端子を外装する樹脂ケースとを有している。主幹用ブレーカの電線接続用ねじ端子にはねじ無し端子ユニットのねじ端子挿入バーが接続され、ねじ無し端子ユニットのねじ無し端子に電線が接続される。
【0004】
作業者は、電線をねじ無し端子に接続するにあたり、まず、樹脂ケースに形成された工具挿入口より工具を挿入して、工具によりねじ無し端子を押して移動させる。ねじ無し端子には電線挿入孔が形成されており、作業者が工具でねじ無し端子を押して移動させることにより、電線挿入孔が樹脂ケースに形成された電線挿入口と重なる。この状態で、作業者が電線を電線挿入口及び電線挿入孔に挿入して、工具を工具挿入口より抜くことにより、ねじ無し端子の復元力により電線挿入孔の内縁が電線を押して、電線がねじ端子挿入バーに押し付けられて電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例の主幹用ブレーカでは、結線作業を行うにあたり、作業者は、工具を樹脂ケースに挿入しながら電線を樹脂ケースに挿入する必要があり、結線作業がしにくかった。
【0007】
そこで、ねじ無し端子を動かして電線挿入孔と電線挿入口とが重なる状態を保持しておくことが考えられるが、一旦この状態とした後、電線をすぐに挿入しない場合などに再度ねじ無し端子を動かして電線挿入孔と電線挿入口とが重ならない状態に戻すのが面倒であった。
【0008】
本開示の目的は、リンク機構による規制を解除しやすい端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の端子装置は、端子板と、ばね部材と、調整部材と、リンク機構と、ケースと、を備える。前記端子板は、2次側端子との間の電路と電気的に接続される。前記ばね部材は、1次側の電線の導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与する。前記調整部材は、軸方向に移動することで、前記ばね部材の変形量を変化させる。前記リンク機構は、前記調整部材の前記軸方向の移動の規制及び前記規制の解除を行う。前記ケースは、前記端子板、前記ばね部材、前記調整部材、及び前記リンク機構を収容する。前記軸方向のうちの一方の向きを第1向きとすると共に他方の向きを第2向きとする。前記調整部材は、前記軸方向における第1位置と、前記第1位置よりも前記第1向き側の位置である第2位置と、の間を移動可能である。前記調整部材は、前記ばね部材を前記第1向きに押すと共に前記ばね部材により前記第2向きに押されることが可能である。前記ばね部材は、前記調整部材を前記第2向きに押す調整部材押し部と、前記導体を前記第2向きに押す導体押し部と、を有する。前記調整部材押し部及び前記導体押し部は、連動して前記軸方向に移動可能である。前記ケースは、前記電線が挿入される電線挿入孔と、前記電線挿入孔とは別の開口部と、を有する。前記リンク機構は、規制部と、解除部と、を有する。前記規制部は、前記調整部材又は前記調整部材押し部の前記第2向きへの移動を規制可能である。前記解除部は、前記開口部から挿入された工具により移動される。前記リンク機構は、前記第1位置に位置する前記調整部材の前記第1向きへの移動を規制しない第1状態と、前記第2位置に位置する前記調整部材又は前記調整部材を押す前記調整部材押し部の前記第2向きへの移動を前記規制部が規制する第2状態と、の間で状態変化が可能である。前記第2状態において前記解除部が工具により移動すると、前記第2状態における前記規制部による規制が解除される。
【0010】
本開示の一態様の開閉器は、前記端子装置と、前記端子装置と2次側端子の間の電路に挿入された接点部と、前記接点部を開閉する開閉機構部と、を備える。
【0011】
本開示の一態様の回路遮断器は、前記開閉器と、前記開閉機構部を介して前記接点部を強制的に開極させる引外し装置と、を備える。
【0012】
本開示の一態様の分電盤は、前記回路遮断器と、前記回路遮断器を収容するボックスと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤によれば、リンク機構による規制を解除しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る回路遮断器の正面図である。
【
図2】
図2は、同上の回路遮断器の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の回路遮断器の回路ブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の実施形態に係る分電盤の正面図である。
【
図5】
図5は、同上の回路遮断器が有する端子装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の端子装置が有するリンク機構の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図8】
図8は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図9】
図9は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図10】
図10は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図11】
図11は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図12】
図12は、同上の端子装置の前面側から見た斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2実施形態に係る端子装置が有するリンク機構の斜視図である。
【
図14】
図14は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図15】
図15は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図16】
図16は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図17】
図17は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図18】
図18は、本開示の第3実施形態に係る端子装置が有するリンク機構の斜視図である。
【
図19】
図19は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図20】
図20は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【
図21】
図21は、同上の端子装置に対する結線作業を説明するための端子装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る端子装置、開閉器、回路遮断器及び分電盤について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
(1)概要
図7に示すように、本開示に係る端子装置B1は、端子板1(以下、第1端子板1と言う)と、ばね部材2と、調整部材3と、リンク機構4と、ケース5と、を備える。
【0017】
第1端子板1は、2次側端子A15との間の電路A16と電気的に接続される。
【0018】
ばね部材2は、1次側の電線W1の導体W10に対して第1端子板1に接する向きの接圧力を付与する。
【0019】
調整部材3は、軸方向に移動することで、ばね部材2の変形量を変化させる。
【0020】
リンク機構4は、調整部材3の軸方向の移動の規制及び規制の解除を行う。
【0021】
ケース5は、第1端子板1、ばね部材2、調整部材3、及びリンク機構4を収容する。
【0022】
軸方向のうちの一方の向きを第1向きDR1とすると共に他方の向きを第2向きDR2とする。
【0023】
調整部材3は、軸方向における第1位置(
図7参照)と、第1位置よりも第1向きDR1側の位置である第2位置(
図9参照)と、の間を移動可能である。調整部材3は、ばね部材2を第1向きDR1に押すと共にばね部材2により第2向きDR2に押されることが可能である。
【0024】
ばね部材2は、調整部材3を第2向きDR2に押す調整部材押し部201と、導体W10を第2向きDR2に押す導体押し部202と、を有する。ばね部材2は、調整部材押し部201及び導体押し部202は連動して軸方向に移動可能である。
【0025】
ケース5は、電線W1が挿入される電線挿入孔500と、電線挿入孔500とは別の開口部505と、有する。
【0026】
リンク機構4は、規制部401と、開口部505から挿入された工具により移動される解除部(例えば表示部403)と、を有する。規制部401は、調整部材3又は調整部材押し部201の第2向きDR2への移動を規制可能である。押され部402は、電線挿入孔500から挿入された電線W1に押される。リンク機構4は、第1位置に位置する調整部材3の第1向きDR1への移動を規制しない第1状態(
図7参照)と、第2位置に位置する調整部材3又は調整部材3を押す調整部材押し部201の第2向きDR2への移動を規制部401が規制する第2状態(
図9参照)と、の間で状態変化が可能である。
【0027】
第2状態において解除部が工具により移動すると、第2状態における規制部401による規制が解除される(
図10参照)。
【0028】
ここにおいて、2つの部品が「接続」されるとは、2つの部品が直接接続される接続態様に限定されず、2つの部品が1又は複数の回路部品を介して接続される接続態様も含み得る。
【0029】
なお、以下の説明では、添付図面に矢印で示す前後、上下、左右の各方向を回路遮断器A1及び端子装置B1の前後、上下、左右の各方向と定める。ただし、これらの方向は、回路遮断器A1及び端子装置B1の使用状態を限定するものではない。
【0030】
図1-
図4に示すように、本開示に係る開閉器D1は、端子装置B1と、端子装置B1と2次側端子A15の間の電路A16に挿入された接点部A11と、接点部A11を開閉する開閉機構部A12と、を備える。
【0031】
本開示に係る回路遮断器A1は、開閉器D1と、開閉機構部A12を介して接点部A11を強制的に開極させる引外し装置A14と、を備える。本開示に係る回路遮断器A1は、例えば、住宅用分電盤(以下、住宅盤という。)の主開閉器(主幹ブレーカとも呼ばれる。)に用いられる。回路遮断器A1が主開閉器として用いられる場合、回路遮断器A1の2次側端子A15は、住宅盤に収容される複数の分岐開閉器に接続される。
【0032】
本開示に係る分電盤C1は、回路遮断器A1と、回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える。
【0033】
本開示に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1にあっては、リンク機構による規制を解除しやすい。
【0034】
(2)第1実施形態に係る回路遮断器の詳細
第1実施形態に係る回路遮断器A1(以下、回路遮断器A1と略す。)は、
図1-
図3、
図5に示すように、3つの端子装置B1と、3つの接点部A11と、開閉機構部A12と、を備える。また、回路遮断器A1は、引外し装置A14と、外ケース7とを更に備える。外ケース7は、端子装置B1、接点部A11、及び開閉機構部A12を収容する。より詳細には、外ケース7は、3つの端子装置B1、3つの接点部A11、開閉機構部A12、及び引外し装置A14を収容する。回路遮断器A1は、3極の中性線欠相保護機能付の漏電遮断器であり、単相3線式の住宅盤における主開閉器として用いられる。ただし、回路遮断器A1は、3極未満又は4極以上の回路遮断器であってもよいし、中性線欠相保護機能及び漏電遮断機能の一方又は両方を有しない回路遮断器であってもよいし、断路器であってもよい。
【0035】
接点部A11は、端子装置B1の第1端子板1と電気的に接続された固定接点と、2次側端子A15と電気的に接続された可動接点と、を有する(
図3参照)。なお、端子装置B1の第1端子板1に可動接点が設けられ、2次側端子A15に固定接点が設けられていてもよい。可動接点は、固定接点に接触導通する閉極の状態と、固定接点に対して十分な絶縁距離をとって離れた開極の状態との間を移動可能である。
【0036】
開閉機構部A12は、操作ハンドルA17の操作に応じて可動接点を移動させることで接点部A11を開閉可能である。端子装置B1、接点部A11及び開閉機構部A12により、開閉器D1が構成される。
【0037】
引外し装置A14は、過負荷電流、短絡電流、及び漏電電流などの異常な電流が電路A16に流れていることを検出すると、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。また、引外し装置A14は、中性線が欠相していることを検出した場合も、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。
【0038】
外ケース7は、外ケース7を第2突き合わせ面PL2で分割した第3筐体71と第4筐体72とを備える。より詳細には、外ケース7は、外ケース7の前面と平行な第2突き合わせ面PL2に沿って外ケース7を前後に二分割した第3筐体71と第4筐体72とを結合して構成される(
図1-
図3参照)。ここにおいて、2つの面が「平行」であるとは、2つの面が完全に平行であることに限定されず、2つの面が数度程度の角度で交差している状態を含み得る。また、第2突き合わせ面PL2は1つの平面であることに限定されず、外ケース7の前面と平行な複数の平面が段々に連なったような突き合わせ面でもよい。
【0039】
第3筐体71及び第4筐体72は、いずれも電気絶縁性を有する合成樹脂の成形体で形成されている。第3筐体71は、前面が開放された箱形に形成されている。第4筐体72は、後面が開放された箱形に形成されている。第3筐体71の前面に第4筐体72が被せられ、ねじ止めなどの適宜の方法で第3筐体71と第4筐体72が結合されて外ケース7が構成される。
【0040】
上述のように、外ケース7を構成する第3筐体71及び第4筐体72には、3つの端子装置B1、3つの接点部A11、開閉機構部A12、引外し装置A14、2次側端子A15、電路A16、及び操作ハンドルA17等が収容される。第3筐体71の上部の前面には、3つの凹所711が横並びに設けられている(
図2参照)。これら3つの凹所711には、端子装置B1が一つずつ収められる。第4筐体72の上部の前面には、3つの窓孔7220が横並びに設けられている(
図1及び
図2参照)。これら3つの窓孔7220から3つの端子装置B1の一部が露出する(
図1及び
図2参照)。また、第4筐体72の上面には3つの電線挿入孔(不図示)が設けられており、これら3つの電線挿入孔から3つの端子装置B1の一部が露出する。ここで、端子装置B1のケース5には、1次側の電線W1の導体W10を挿入するための電線挿入孔500が設けられており、3つの電線挿入孔から3つの端子装置B1の電線挿入孔500が露出する。しかして、第4筐体72の電線挿入孔に通した電線W1が端子装置B1の電線挿入孔500から端子装置B1の内部に挿入され、第1端子板1に接続される。
【0041】
なお、外ケース7には、外ケース7をそれぞれ前後方向に貫通する複数の開口部74が設けられている(
図1参照)。また、外ケース7の後面には、DINレール等の取り付けレールに取り付けるための取付部材が設けられていてもよく、作業者は、外ケース7を取付レールの所望の位置に取り付けることができる。
【0042】
(2-1)端子装置
以下に説明する端子装置B1の構成は、3つの端子装置B1に共通する構成である。
【0043】
端子装置B1は、上述のように、第1端子板1と、ばね部材2と、調整部材3と、リンク機構4と、ケース5と、を備える。端子装置B1は、表示部材8と、を更に備える。
【0044】
(2-1-1)第1端子板
第1端子板1は、2次側端子A15との間の電路A16と電気的に接続されるものである。第1端子板1は、長方形状の接触片10を有している。
【0045】
(2-1-2)ばね部材
ばね部材2は、1次側の電線W1の導体W10に対して端子板1に接する向きの接圧力を付与するものである。ばね部材2は、U字状の主部21と、主部21の一方の先端から他方の先端に向かって突出する弧状の接圧部22と、を有する。なお、主部21と接圧部22は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって一体に形成されている。
【0046】
接圧部22には電線挿通口23が設けられている。電線挿通口23は、接圧部22における主部21寄りの部分を厚み方向に貫通している。第1実施形態に係る電線挿通口23は、電線W1の通る方向に見て矩形状をしている。また、電線挿通口23には、主部21の他方の先端部分と第1端子板1の接触片10の上端部分が挿通される。しかして、ばね部材2は、外力が加えられていないとき、接圧部22における電線挿通口23の後端縁に接触片10が当たった状態に維持される(
図10参照)。以下、この状態をばね部材2の第1の状態と呼ぶことがある。
【0047】
ばね部材2は、調整部材3を第2向きDR2に押す調整部材押し部201を有する。調整部材押し部201は、主部21の前端部により構成される。
【0048】
ばね部材2は、導体W10を第2向きDR2に押す導体押し部202を有する。導体押し部202は、接圧部22に形成された電線挿通口23の後側の内端縁により構成される。
【0049】
調整部材押し部201及び導体押し部202は連動して軸方向に移動可能である。すなわち、主部21の調整部材押し部201が形成された部分と、導体押し部202が形成された接圧部22は、ばね部材2の弾性変形により、ともに第1向きDR1又は第2向きDR2に移動する。
【0050】
(2-1-3)調整部材
図7に示すように、調整部材3は、軸方向(第1向きDR1又は第2向きDR2)に移動することで、ばね部材2の変形量を変化させるものである。第1実施形態では、調整部材3は、ねじからなるもので、ケース5に回転可能な状態で配置されている。調整部材3は、回転に応じて軸方向に移動し、軸方向に移動することによって、ばね部材2を変形させる向き(
図7における下向き)に移動して接圧力を調整する。
【0051】
調整部材3は、円柱状の本体30と、本体30の外周面に本体30と一体に形成されたねじ山31と、を有している。また、本体30は、本体30の軸方向に沿った六角穴300(
図12参照)を有している。
【0052】
調整部材3は、軸方向における第1位置(
図7参照)と、第1位置よりも第1向きDR1側の位置である第2位置(
図9参照)と、の間を移動可能である。調整部材3は、六角穴300に挿入された工具に回転させられることで、ばね部材2を第1向きDR1に押すことができる。また、調整部材3は、六角穴300に工具が挿入されていない状態で、ばね部材2の調整部材押し部201により第2向きDR2に押されることが可能である。
【0053】
なお、第1実施形態に係る調整部材3はねじからなるものであったが、調整部材3は、ねじからなるものでなくてもよい。すなわち、調整部材3は、螺旋状に動きながら軸方向を移動せず、直線的に軸方向を移動してもよい。また、調整部材3には、六角穴300の代わりに、別の形状の穴、凹部及び凸部等、工具により操作される部位が形成されてもよい。
【0054】
(2-1-4)ケース
ケース5は、第1端子板1、ばね部材2、調整部材3、及びリンク機構4を収容するものである。
図5に示すように、ケース5は、左右の幅が前後の幅及び上下の高さよりも十分に短い箱状に形成されている。ケース5は、ケース5を第1突き合わせ面PL1で分割した第1筐体5Aと第2筐体5Bとを備える。より詳細には、ケース5は、ケース5を左右方向の中央を通る第1突き合わせ面PL1で2分割した第1筐体5Aと第2筐体5Bを有する。なお、第1突き合わせ面PL1は、ケース5の前面に開口する電線挿入孔500の中央を通ってもよいし、ケース5の左右方向の中央位置からずれていてもよい。また、第1実施形態では、第1突き合わせ面PL1の法線方向と第2突き合わせ面PL2の法線方向が交差している。
【0055】
ケース5は、第2筐体5Bに設けられた複数の係合部(不図示)を第1筐体5Aに設けられた複数の被係合部(不図示)にスナップイン結合させて組み立てられる。係合部は、先端に爪が設けられた引掛フックである。被係合部は、係合部の先端の爪が引っ掛かる段部が設けられた係合孔である。第1筐体5Aと第2筐体5Bとを第1突き合わせ面PL1で付き合わせると、複数の係合部が複数の被係合部にそれぞれスナップイン結合することで、第1筐体5Aと第2筐体5Bとが結合される。
【0056】
図7に示すように、ケース5内には、第1収容空間501、第2収容空間502、及び第3収容空間503が設けられている。第1収容空間501は、第1端子板1を収容する。第1収容空間501は、ケース5内の上後方部分に設けられた案内路50によって、ケース5の上面に開口した電線挿入孔500とつながっている。案内路50は、電線挿入孔500から挿入される電線W1の導体W10を、第1端子板1が配置された空間に案内する。
【0057】
第2収容空間502は、ばね部材2を収容する。第2収容空間502には、ばね部材2を支持するばね支持部53が設けられている。ばね支持部53は、左右方向から見て、円柱の周面から長方形の板状の部分が突出する形状に形成されている。ばね支持部53は、ばね部材2の主部21の内側に配置されることによってばね部材2を支持する。
【0058】
第3収容空間503は、調整部材3と表示部材8を収容する。第3収容空間503は、円筒状に形成されている。また、第3収容空間503の内周面には、調整部材3のねじ山31とはまり合うねじ溝504が形成されている。
【0059】
さらに、ケース5の左側面(第2筐体5Bの側面)には、接続導体が挿通される挿通穴55が設けられている(
図5参照)。
【0060】
第3収容空間503に収容された調整部材3は、ケース5の外から左回り(反時計回り)に回転させられると、第3収容空間503から第2収容空間502に向かって移動する。
【0061】
(2-1-5)リンク機構
図6及び
図7に示すように、リンク機構4は、調整部材3の軸方向の移動の規制及び規制の解除を行う。リンク機構4は、規制部401と、押され部402と、を有する。規制部401は、調整部材3又は調整部材押し部201の第2向きDR2への移動を規制可能である。押され部402は、電線挿入孔500から挿入された電線W1に押される。
【0062】
リンク機構4は、電線W1に押される第1レバー41と、規制部401の動きを規制するか又は規制部401を有する第2レバー42と、第1レバー41と第2レバー42とを連結する連結部材43と、を有する。
【0063】
第1実施形態においては、第1レバー41は、ケース5に回転可能に支持される軸部410Aを中間部に有する第1レバー41Aである。押され部402は、第1レバー41Aとは別体の押され部材により構成されている。第1レバー41Aは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に押され部402に押される押され部411Aを有し、第2向きDR2側の端部に表示部403を有する。
【0064】
表示部403は、ケース5に形成された開口部505(
図5参照)を介してケース5の外部に臨む。表示部403は、押され部402の移動に連動して移動して、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されたことを表示するものである。表示部403は、ケース5の開口部505及び外ケース7の開口部74(
図1、
図12参照)を介して外ケース7の外部に臨む。表示部403により、第1状態であるか又は第2状態であるかも分かる。
【0065】
第2レバー42は、第1状態において、ケース5に回転可能に支持される軸部420Aを第2向きDR2側の端部に有する第2レバー42Aである。
【0066】
規制部401は、規制部材40Aに形成される。規制部材40Aは、ケース5に回転可能に支持される軸部404Aを中間部に有し、一端部に規制部401を有し、他端部が第2レバー42Aに動きを規制される端部405Aとなる。
【0067】
連結部材43は、棒状をした連結部材43Aであり、連結部材43Aの一端部は、第1レバー41Aの軸部410Aよりも第1向きDR1側の部分に形成された溝部412Aに挿入され、第1レバー41Aに対して回転可能に連結される。連結部材43Aの他端部は、第2レバー42Aの軸部420Aよりも第1向きDR1側の部分に形成された溝部421Aに挿入され、第2レバー42Aに対して回転可能に連結される。
【0068】
リンク機構4は、第1レバー41に力を付与する弾性部材44と、第2レバー42に力を付与する弾性部材45と、規制部401に力を付与する弾性部材46と、を有する。
【0069】
第1実施形態においては、弾性部材44は、第1レバー41Aの軸部410Aよりも第1向きDR1側の部分に上向きの力(
図7において第1レバー41Aに時計回りのモーメント)を加えるコイルばね44Aにより構成される。弾性部材45は、第2レバー42Aの軸部420Aよりも第1向きDR1側の部分に上向きの力(
図7において第2レバー42Aに時計回りのモーメント)を加えるねじりコイルばね45Aにより構成される。弾性部材46は、規制部材40Aの規制部401に第1向きDR1の力(
図7において規制部材40Aに反時計回りのモーメント)を加えるねじりコイルばね46Aにより構成される。
【0070】
リンク機構4は、第1状態と、第2状態と、の間で状態変化が可能である。第1状態は、
図7に示すように、第1位置に位置する調整部材3の第1向きDR1への移動を規制しない状態をいう。
【0071】
第2状態は、
図9に示すように、第2位置に位置する調整部材3又は調整部材3を押す調整部材押し部201の第2向きDR2への移動を規制部401が規制する状態をいう。
【0072】
第2状態において押され部402が電線W1に押されて移動すると、第2状態における規制部401による規制が解除され(
図10参照)、導体押し部202が第2向きDR2へ移動して導体W10を第2向きDR2へ押す(
図11参照)。
【0073】
(2-2)端子装置に対する結線作業の手順
次に、端子装置B1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0074】
図7に示すように、第1状態では、ばね部材2の電線挿通口23の後端縁の導体押し部202に接触片10が当たった状態に維持される。また、第1状態では、ばね部材2の接圧部22の電線挿通口23よりも第1向きDR1側の部分が案内路50を横切って、案内路50の奥への電線W1の進入ができないと共に、案内路50の奥へのごみや異物の進入が抑制される。すなわち、ばね部材2の接圧部22の電線挿通口23よりも第1向きDR1側の部分が、閉塞部(蓋)として機能する。
【0075】
この状態から第1端子板1に電線W1の導体W10を接続するために、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。
図8に示すように、調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう第1向きDR1に移動する。調整部材3は、第1向きDR1に移動しながらばね部材2をたわませる。このとき、ねじりコイルばね46Aにより、規制部材40Aの規制部401は調整部材3に押し付けられており、調整部材3の前端部が第1向きDR1に移動すると、規制部401は調整部材3の前端部を第1向きDR1に押す。
【0076】
続いて、作業者は、工具を使って調整部材3を更に反時計回りに回転させる。そうすると、
図9に示すように、規制部材40Aの端部405Aが第2レバー42Aの軸部420Aよりも第1向きDR1側の部分を下側に押し、第2レバー42Aに形成された段部422Aに引っ掛かり、端部405Aの第1向きDR1への移動が規制されると共に規制部401の第2向きDR2への移動が規制され、第2状態となる。
【0077】
ばね部材2の主部21は第1向きDR1側に押され、接圧部22に形成された電線挿通口23は、ケース5の案内路50内に位置するようになる。
【0078】
続いて、作業者は、電線W1をケース5の電線挿入孔500より案内路50に挿入すると、
図10に示すように、ばね部材2の電線挿通口23を通って電線W1が案内路50の奥に進入する。そうすると、電線W1の先端が押され部402を押すと共に、押され部402が押され部411Aを下側に押し、第1レバー41Aの軸部410Aよりも第1向きDR1側の部分が下側に移動するように、第1レバー41Aが回転する。第2レバー42Aは、連結部材43Aを介して第1レバー41Aにより下側に移動し、段部422Aが規制部材40Aの端部405Aから外れ、端部405Aの第1向きDR1への移動が可能となる。
【0079】
ばね部材2の調整部材押し部201が第2向きDR2に調整部材3を押すことにより、
図11に示すように、調整部材3が規制部401を押しながら第2向きDR2に移動する。ばね部材2の接圧部22の導体押し部202が導体W10を第2向きDR2に押し、導体押し部202と第1端子板1とで導体W10が挟まれ、電線W1が第1端子板1に電気的かつ機械的に接続された状態で固定され、電線W1の抜け止めがなされる。
【0080】
表示部403に、マーカ等の表示を付しておくことで、表示の位置により、第1レバー41Aの角度がわかり、押され部411Aの位置、すなわち、押され部402を介して押され部411Aを押す電線W1(導体W10)の端部の位置が分かる。これにより、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されたことを確認することができる。
【0081】
以上の手順で端子装置B1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0082】
また、作業者は、第2状態となるまで作業を行った後、結線作業を取り止める場合がある。このとき、第2状態では、ばね部材2の電線挿通口23が案内路50に位置しているため、電線挿入孔500から進入したごみや異物が案内路50の奥まで進入するおそれがある。このため、作業者は、第2状態を解除して第1状態とする作業を行う必要がある。
【0083】
第2状態を解除して第1状態とするにあたり、作業者は、電線W1にて押され部402を押して第1レバー41Aを動かす代わりに、工具により第1レバー41Aを動かすことができる。作業者は、外ケース7の開口部74(
図1、
図12参照)及びケース5の開口部505(
図5参照)を介して工具を挿入して、第1レバー41Aの一部、例えば表示部403か、あるいは第1レバー41Aの軸部410Aよりも第1向きDR1側の部分を動かすことにより、第2状態を解除することができる。すなわち、第1レバー41Aのうち、表示部403等、外ケース7の開口部74及びケース5の開口部505を介して挿入された工具により操作される部分は、解除部として機能する。
【0084】
(2-3)第1実施形態に係る端子装置の利点
上述のように端子装置B1において、第2状態にしておき、電線W1を電線挿入孔500から挿入して、電線W1で押され部402を押すことにより、リンク機構4の働きにより、第2状態における規制部401による規制が解除される(
図10参照)。これにより、導体押し部202が第2向きDR2へ移動して導体W10を第2向きDR2へ押して(
図11参照)、結線がなされるため、作業者は、電線W1を電線挿入孔500から挿入するだけで、他の作業を要することなく、結線を完了することができる。第1実施形態においては、従来のように、作業者が、工具と電線W1の両方を扱う必要がなく、結線作業がしやすいものである。
【0085】
また、第1実施形態においては、第2レバー42Aは、軸部420Aを第2向きDR2側の端部に有し、連結部材43Aの他端部が挿入される溝部421Aを第1向きDR1側の端部に有するため、支点と力点との間を長くとりやすくなる。このため、押され部402への電線W1の押し込み力に対する、規制部401の規制を解除するのに要する力を小さくしやすく、電線W1を挿入しても規制部401による規制が解除されないといった事態が発生しにくい。
【0086】
また、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されたことを表示する表示部403を有するため、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されないまま結線作業を終了してしまうといった事態が発生しにくい。
【0087】
(3)第2実施形態に係る回路遮断器の詳細
次に、第2実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1について、
図13~
図17に基づいて説明する。なお、第2実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1は、第1実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1と大部分において同じであるため、重複する構成要素には同じ符号を付与し、詳細な説明については援用する。
【0088】
(3-1)リンク機構
第2実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1は、第1実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1におけるリンク機構4について相違し、その他の点は同じである。
【0089】
図13及び
図14に示すように、リンク機構4は、電線W1に押される第1レバー41と、規制部401の動きを規制するか又は規制部401を有する第2レバー42と、第1レバー41と第2レバー42とを連結する連結部材43と、を有する。この点は第1実施形態と同じである。
【0090】
第2実施形態においては、第1レバー41は、ケース5に回転可能に支持される軸部410Bを中間部に有する第1レバー41Bである。第1レバー41Bは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に押され部402を有する。すなわち、第1実施形態では、押され部402と第1レバー41Aとは別体であったが、第2実施形態では、第1レバー41Bに押され部402が形成されて第1レバー41Bと押され部402とが一体に構成されている。
【0091】
また、第1レバー41Bは、第1状態において、第2向きDR2側の端部に表示部403を有する。
【0092】
第2レバー42Bは、第1アーム421Bと、第2アーム422Bと、を有する。第1アーム421Bは、第1状態において、第2向きDR2側の端部にケース5に回転可能に支持される軸部423Bを有する。第1アーム421Bは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に第2アーム422Bと回転可能に連結される連結部424Bを有する。
【0093】
第2アーム422Bは、第1状態において、第2向きDR2側の端部に第1アーム421Bと回転可能に支持される連結部425Bを有する。第2アーム422Bは、第1状態において、第1向きDR1側の端部にばね部材と連結されて調整部材押し部201の移動を規制可能な規制部401を有する。すなわち、第1実施形態では、規制部401と第2レバー42Aとは別体であったが、第2実施形態では、第2レバー42B(第2アーム422B)に規制部401が形成されて第2レバー42Bと規制部401とが一体に構成されている。
【0094】
連結部材43Bは、棒状をしたものである。連結部材43Bの一端部は、第1レバー41Bの軸部410Bよりも第1向きDR1側の部分に形成された溝部411Bに挿入され、第1レバー41Bに対して回転可能に連結される。
【0095】
連結部材43Bの他端部は、第1状態において、第1アーム421Bの第1向きDR1側の端部と第2アーム422Bの第2向きDR2側の端部の少なくとも一方に連結される。第2実施形態では、連結部材43Bの他端部は、第1状態において、第1アーム421Bの第1向きDR1側の端部に形成された貫通孔(不図示)か、と第2アーム422Bの第2向きDR2側の端部に形成された貫通孔(不図示)の少なくとも一方に挿入され、第2レバー42Bに対して回転可能に連結される。
【0096】
リンク機構4は、第1レバー41Bに力を付与する弾性部材44を有する。弾性部材44は、第1レバー41Bの軸部410Bの回りに配置され、第1レバー41Bに
図13において時計回りのモーメントを加えるコイルばね44Bにより構成される。
【0097】
リンク機構4は、第2レバー42Bに力を付与する弾性部材45を有する。弾性部材45は、第2レバー42Bの第1アーム421Bの軸部423Bの回りに配置され、第1アーム421Bに
図13において時計回りのモーメントを加えるねじりコイルばね45Bにより構成される。
【0098】
(3-2)端子装置に対する結線作業の手順
次に、端子装置B1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0099】
図14に示すように、第1状態では、ばね部材2の電線挿通口23の後端縁の導体押し部202に接触片10が当たった状態に維持される。
【0100】
この状態から第1端子板1に電線W1の導体W10を接続するために、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう第1向きDR1に移動する。調整部材3は、第1向きDR1に移動しながらばね部材2をたわませる。このとき、ばね部材2の主部21が第1向きDR1に移動することで、主部21に連結されている規制部401が第1向きDR1に移動する。そうすると、第2アーム422Bは下端部(規制部401)が第1向きDR1に移動して反時計回りに回転し、第1アーム421Bも下端部が第1向きDR1に移動して時計回りに回転する。
【0101】
続いて、作業者は、工具を使って調整部材3を更に反時計回りに回転させる。そうすると、
図15に示すように、連結部材43Bの第2レバー42Bと連結されている端部は、第1アーム421B及び第2アーム422Bの思案点を超えて上方へ移動する。しかしながら、連結部材43Bの第2レバー42Bと連結されている端部のそれ以上の上方への移動は、調整部材3の周りに位置する部材(第2実施形態ではケース5)により阻止される。ねじりコイルばね45Bにより、連結部材43Bの第2レバー42Bと連結されている端部は上方へ力が加えられるため、この状態が保持される。この状態は、調整部材押し部201の第2向きDR2への移動が規制されており、第2状態となる。
【0102】
ばね部材2の主部21は第1向きDR1側に押され、接圧部22に形成された電線挿通口23は、ケース5の案内路50内に位置するようになる。
【0103】
続いて、作業者は、電線W1をケース5の電線挿入孔500より案内路50に挿入すると、
図16に示すように、ばね部材2の電線挿通口23を通って電線W1が案内路50の奥に進入する。そうすると、電線W1の先端が押され部402を押し、第1レバー41Bの軸部410Bよりも第1向きDR1側の部分が下側に移動する。第2レバー42Bの連結部材43Bが連結された部分は、下方へ移動して第1アーム421B及び第2アーム422Bの思案点を超える。そうすると、ばね部材2の調整部材押し部201が第2向きDR2に調整部材3を押すことにより、
図17に示すように、調整部材3が規制部401を押しながら第2向きDR2に移動する。ばね部材2の接圧部22の導体押し部202が導体W10を第2向きDR2に押し、導体押し部202と第1端子板1とで導体W10が挟まれ、電線W1が第1端子板1に電気的かつ機械的に接続された状態で固定され、電線W1の抜け止めがなされる。
【0104】
表示部403により、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されたことを確認することができる。
【0105】
以上の手順で端子装置B1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0106】
また、作業者は、外ケース7の開口部74及びケース5の開口部505を介して工具を挿入して、第1レバー41Aの解除部を動かすことにより、第2状態を解除することができる。
【0107】
(3-3)第2実施形態に係る端子装置の利点
上述のように端子装置B1において、第2状態にしておき、電線W1を電線挿入孔500から挿入して、電線W1で押され部402を押すことにより、リンク機構4の働きにより、第2状態における規制部401による規制が解除される(
図16参照)。これにより、導体押し部202が第2向きDR2へ移動して導体W10を第2向きDR2へ押して(
図17参照)、結線がなされるため、作業者は、電線W1を電線挿入孔500から挿入するだけで、他の作業を要することなく、結線を完了することができる。第1実施形態においては、従来のように、作業者が、工具と電線W1の両方を扱う必要がなく、結線作業がしやすいものである。
【0108】
また、第2実施形態においては、第1レバー41Bと押され部402とが一体に構成されると共に、第2レバー42Bと規制部401とが一体に構成されている。これにより、第1実施形態と比較して、部材点数が少なくてすむ。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1レバー41Bと押され部402とが別体に構成されてもよい。
【0109】
(4)第3実施形態に係る回路遮断器の詳細
次に、第3実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1について、
図18~
図21に基づいて説明する。なお、第3実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1は、第1実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1と大部分において同じであるため、重複する構成要素には同じ符号を付与し、詳細な説明については援用する。
【0110】
(4-1)リンク機構
第3実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1は、第1実施形態に係る端子装置B1、開閉器D1、回路遮断器A1及び分電盤C1におけるリンク機構4について相違し、その他の点は同じである。
【0111】
図18及び
図19に示すように、リンク機構4は、電線W1に押される第1レバー41と、規制部401の動きを規制するか又は規制部401を有する第2レバー42と、第1レバー41と第2レバー42とを連結する連結部材43と、を有する。この点は第1実施形態と同じである。
【0112】
第3実施形態においては、第1レバー41は、ケース5に回転可能に支持される軸部410Cを中間部に有する第1レバー41Cである。第1レバー41Cは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に押され部402を有する。すなわち、第1実施形態では、押され部402と第1レバー41Aとは別体であったが、第3実施形態では、第1レバー41Cに押され部402が形成されて第1レバー41Cと押され部402とが一体に構成されている。これにより、第1実施形態と比較して、部材点数が少なくてすむ。なお、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1レバー41Cと押され部402とが別体に構成されてもよい。
【0113】
また、第1レバー41Cは、第1状態において、第2向きDR2側の端部に表示部403を有する。
【0114】
第2レバー42Cは、第1アーム421Cと、第2アーム422Cと、を有する。第1アーム421Cは、第1状態において、第2向きDR2側の端部にケース5に回転可能に支持される軸部423Cを有する。第1アーム421Cは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に第2アーム422Cと回転可能に連結される連結部424Cを有する。
【0115】
第2アーム422Cは、第1状態において、第2向きDR2側の端部に第1アーム421Cと回転可能に支持される連結部425Cを有する。第2アーム422Cは、第1状態において、第1向きDR1側の端部に、規制部401を有する規制部材40Cが回転可能に連結される。
【0116】
連結部材43Cは、棒状をしたものである。連結部材43Cの一端部は、第1レバー41Cの軸部410Cよりも第1向きDR1側の部分に形成された溝部411Cに挿入され、第1レバー41Cに対して回転可能に連結される。
【0117】
連結部材43Cの他端部は、第1状態において、第1アーム421Cの第1向きDR1側の端部と第2アーム422Cの第2向きDR2側の端部の少なくとも一方に連結される。第3実施形態では、連結部材43Cの他端部は、第1状態において、第1アーム421Cの第1向きDR1側の端部と、第2アーム422Cの第2向きDR2側の端部とに、これらに対して回転可能に連結される。
【0118】
リンク機構4は、第1レバー41Cに力を付与する弾性部材44を有する。弾性部材44は、第1レバー41Cの軸部410Cの回りに配置され、第1レバー41Cに
図18において時計回りのモーメントを加えるねじりコイルばね44Cにより構成される。
【0119】
リンク機構4は、第2レバー42Cに力を付与する弾性部材45を有する。弾性部材45は、第2レバー42Cの第1アーム421Cの軸部423Cの回りに配置され、第1アーム421Cに
図18において時計回りのモーメントを加えるねじりコイルばね45Cにより構成される。
【0120】
(4-2)端子装置に対する結線作業の手順
次に、端子装置B1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0121】
図19に示すように、第1状態では、ばね部材2の電線挿通口23の後端縁の導体押し部202に接触片10が当たった状態に維持される。
【0122】
この状態から第1端子板1に電線W1の導体W10を接続するために、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう第1向きDR1に移動する。調整部材3は、第1向きDR1に移動しながらばね部材2をたわませる。
【0123】
続いて、作業者は、工具を使って調整部材3を更に反時計回りに回転させる。そうすると、
図20に示すように、連結部材43Cの第2レバー42Cと連結されている端部は、第1アーム421C及び第2アーム422Cの思案点を超えて第2向きDR2へ移動する。第2アーム422Cの規制部材40Cと連結されている端部は、上側に移動し、規制部材40Cは反時計回りに回転して、規制部401が調整部材3の後端部を第1向きDR1に抑える。ねじりコイルばね45Cにより、連結部材43Cの第2レバー42Cと連結されている端部は第2向きDR2へ力が加えられるため、この状態が保持される。この状態は、調整部材押し部201の第2向きDR2への移動が規制されており、第2状態となる。
【0124】
ばね部材2の主部21は第1向きDR1側に押され、接圧部22に形成された電線挿通口23は、ケース5の案内路50内に位置するようになる。
【0125】
続いて、作業者は、電線W1をケース5の電線挿入孔500より案内路50に挿入すると、
図21に示すように、ばね部材2の電線挿通口23を通って電線W1が案内路50の奥に進入する。そうすると、電線W1の先端が押され部402を押し、第1レバー41Cの軸部410Cよりも第1向きDR1側の部分が下側に移動する。第2レバー42Cの連結部材43Cが連結された部分は、第1向きDR1へ移動して第1アーム421C及び第2アーム422Cの思案点を超える。そうすると、ばね部材2の調整部材押し部201が第2向きDR2に調整部材3を押すことにより、調整部材3が規制部401を押しながら第2向きDR2に移動する。ばね部材2の接圧部22の導体押し部202が導体W10を第2向きDR2に押し、導体押し部202と第1端子板1とで導体W10が挟まれ、電線W1が第1端子板1に電気的かつ機械的に接続された状態で固定され、電線W1の抜け止めがなされる。
【0126】
表示部403により、電線W1が電線挿入孔500から所定長さ挿入されたことを確認することができる。
【0127】
以上の手順で端子装置B1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0128】
また、作業者は、外ケース7の開口部74及びケース5の開口部505を介して工具を挿入して、第1レバー41Aの解除部を動かすことにより、第2状態を解除することができる。
【0129】
(4-3)第3実施形態に係る端子装置の利点
上述のように端子装置B1において、第2状態にしておき、電線W1を電線挿入孔500から挿入して、電線W1で押され部402を押すことにより、リンク機構4の働きにより、第2状態における規制部401による規制が解除される(
図21参照)。これにより、導体押し部202が第2向きDR2へ移動して導体W10を第2向きDR2へ押して、結線がなされるため、作業者は、電線W1を電線挿入孔500から挿入するだけで、他の作業を要することなく、結線を完了することができる。第1実施形態においては、従来のように、作業者が、工具と電線W1の両方を扱う必要がなく、結線作業がしやすいものである。
【0130】
(5)実施形態に係る分電盤の詳細
実施形態に係る分電盤C1(以下、分電盤C1と略す。)は、主幹ブレーカとして使用される回路遮断器A1と、回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(
図4参照)。なお、分電盤C1は住宅盤を例示するが、住宅盤以外の分電盤、例えば、事務所、店舗、工場などで使用されるキャビネット型の分電盤であっても構わない。
【0131】
ボックスC10は、合成樹脂によって前面が開放された長方形の箱状に形成されている。なお、ボックスC10は合成樹脂製に限定されず、金属製でもよい。ボックスC10は、屋内の造営材、例えば、住宅内の壁に取り付けられる。なお、図示は省略しているが、ボックスC10の前面は、ボックスC10に取り付けられるドアによって開閉可能に塞がれる。
【0132】
回路遮断器A1は、ボックスC10内の左右方向の中央から左寄りの位置に収容される。ボックスC10内において、回路遮断器A1の右側のスペースに3つの母線及び複数の分岐ブレーカ(分岐開閉器)が収容される。
【0133】
3つの母線は、それぞれ銅又は銅合金によって長方形の板状に形成された導電バーで構成されている。3つの母線は、ボックスC10内における上下方向の中央に、ボックスC10の奥行き方向に沿って等間隔に並べて配置される。なお、3つの母線は、回路遮断器A1の3つの2次側端子A15と一つずつ電気的に接続される。
【0134】
複数の分岐ブレーカは、3つの母線の上方と下方に配置され、3つの母線のうちのいずれか2つの母線に電気的に接続される。
【0135】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0136】
第1の態様の端子装置(B1)は、端子板(1)と、ばね部材(2)と、調整部材(3)と、リンク機構(4)と、ケース(5)と、を備える。端子板(1)は、2次側端子(A15)との間の電路(A16)と電気的に接続される。ばね部材(2)は、1次側の電線(W1)の導体(W10)に対して端子板(1)に接する向きの接圧力を付与する。調整部材(3)は、軸方向に移動することで、ばね部材(2)の変形量を変化させる。リンク機構(4)は、調整部材(3)の軸方向の移動の規制及び規制の解除を行う。ケース(5)は、端子板(1)、ばね部材(2)、調整部材(3)、及びリンク機構(4)を収容する。軸方向のうちの一方の向きを第1向き(DR1)とすると共に他方の向きを第2向き(DR2)とする。
【0137】
調整部材(3)は、軸方向における第1位置と、第1位置よりも第1向き(DR1)側の位置である第2位置と、の間を移動可能である。調整部材(3)は、ばね部材(2)を第1向き(DR1)に押すと共にばね部材(2)により第2向き(DR2)に押されることが可能である。ばね部材(2)は、調整部材(3)を第2向き(DR2)に押す調整部材押し部(201)と、導体(W10)を第2向き(DR2)に押す導体押し部(202)と、を有する。調整部材押し部(201)及び導体押し部(202)は、連動して軸方向に移動可能である。ケース(5)は、電線(W1)が挿入される電線挿入孔(500)と、電線挿入孔(500)とは別の開口部(505)と、を有する。
【0138】
リンク機構(4)は、規制部(401)と、開口部(505)から挿入された工具により移動される解除部と、を有する。規制部(401)は、調整部材(3)又は調整部材押し部(201)の第2向き(DR2)への移動を規制可能である。押され部(402)は、電線挿入孔(500)から挿入された電線(W1)に押される。リンク機構(4)は、第1位置に位置する調整部材(3)の第1向き(DR1)への移動を規制しない第1状態と、第2位置に位置する調整部材(3)又は調整部材(3)を押す調整部材押し部(201)の第2向き(DR2)への移動を規制部(401)が規制する第2状態と、の間で状態変化が可能である。第2状態において解除部が工具により移動すると、第2状態における規制部(401)による規制が解除される。
【0139】
この態様によれば、第2状態を解除する場合、作業者は、ケース(5)の開口部(505)を介して工具を挿入して、第1レバー(41A)の解除部を動かすことにより、第2状態を解除することができる。
【0140】
第2の態様の端子装置(B1)では、第1の態様において、リンク機構(4)は、電線挿入孔(500)から挿入された電線(W1)に押される押され部材(押され部402)と、押され部材(押され部402)に押される第1レバー(41A)と、規制部(401)の動きを規制する第2レバー(42A)と、第1レバー(41A)と第2レバー(42A)とを連結する連結部材(43A)と、を有する。規制部(401)は、規制部材(40A)に形成される。第1レバー(41A)は、ケース(5)に回転可能に支持される軸部(410A)を中間部に有し、第1向き(DR1)側の端部に押され部(402)に押される押され部(411A)を有する。第2レバー(42A)は、ケース(5)に回転可能に支持される軸部(420A)を第2向き(DR2)側の端部に有する。規制部材(40A)は、ケース(5)に回転可能に支持される軸部(404A)を中間部に有し、一端部に規制部(401)を有し、他端部が第2レバー(42A)に動きを規制される端部(405A)となる。連結部材(43A)の一端部は、第1レバー(41A)の軸部(410A)よりも第1向き(DR1)側の部分に連結される。連結部材(43A)の他端部は、第2レバー(42A)の軸部(420A)よりも第1向き(DR1)側の部分に連結される。
【0141】
この態様によれば、第2レバー(42A)の第2向き(DR2)側の端部に軸部(420A)を有したことで、第2レバー(42A)の第1向き(DR1)側の部分に連結部材(43A)を連結したことで、支点と力点の間を長くとることができる。
【0142】
第3の態様の端子装置(B1)では、第1又は第2の態様において、リンク機構(4)は、第1状態であるか又は第2状態であるかを表示する表示部(403)更に有する。
【0143】
この態様によれば、第1状態であるか又は第2状態であるかが作業者にわかりやすい。
【0144】
第4の態様に係る開閉器(D1)は、第1~第3のいずれかの態様に係る端子装置(B1)と、端子装置(B1)と2次側端子(A15)の間の電路(A16)に挿入された接点部(A11)と、接点部(A11)を開閉する開閉機構部(A12)と、を備える。
【0145】
この態様によれば、作業者は、電線(W1)を電線挿入孔(500)から挿入するだけで結線を完了することができ、結線作業がしやすい。
【0146】
第5の態様に係る回路遮断器(A1)は、第4の態様に係る開閉器(D1)と、開閉機構部(A12)を介して接点部(A11)を強制的に開極させる引外し装置(A14)と、を備える。
【0147】
この態様によれば、作業者は、電線(W1)を電線挿入孔(500)から挿入するだけで結線を完了することができ、結線作業がしやすい。
【0148】
第6の態様に係る分電盤(C1)は、第5の態様に係る回路遮断器(A1)と、回路遮断器(A1)を収容するボックス(C10)と、を備える。
【0149】
この態様によれば、作業者は、電線(W1)を電線挿入孔(500)から挿入するだけで結線を完了することができ、結線作業がしやすい。
【0150】
第2、第3の態様に係る構成については、端子装置(B1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 第1端子板(端子板)
2 ばね部材
201 調整部材押し部
202 導体押し部
3 調整部材
4 リンク機構
401 規制部
402 押され部
403 表示部
404A 軸部
405A 端部
40A 規制部材
410A 軸部
411A 押され部
41A(41) 第1レバー
420A 軸部
42A(42) 第2レバー
43A(43) 連結部材
5 ケース
500 電線挿入孔
505 開口部
A1 回路遮断器
A11 接点部
A12 開閉機構部
A14 引外し装置
A15 2次側端子
A16 電路
B1 端子装置
C1 分電盤
C10 ボックス
D1 開閉器
DR1 第1向き
DR2 第2向き
W1 電線
W10 導体