(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117035
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】包装方法及び包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65B 31/04 20060101AFI20240821BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B65B31/04 Z
B65D85/50 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022969
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】516359403
【氏名又は名称】津田宇水産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】津田 侑典
(72)【発明者】
【氏名】原 光広
【テーマコード(参考)】
3E035
3E053
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA02
3E035BB01
3E035BC02
3E035DA01
3E053AA02
3E053BA06
3E053BA07
3E053CA00
3E053FA01
3E053JA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半身の状態の牡蠣のように上側と下側との硬さや形状が異なる食品その他内容物の位置をずれにくくし、かつ所望の鮮度を保つことで、商品価値の向上に寄与する。
【解決手段】包装用容器の容器本体1に収容された内容物の上から5000~45000Paの真空領域でフィルム2を覆う。フィルムは、オレフィン系樹脂製であり、厚さ60μm以上であることが望ましく、また、容器本体は、内容物を載置する底部11と、内容物の厚みより高くなるように底部の周端縁から連続して上方に形成された側部12とを備え、フィルムを底部に密着させず、側部の内面に密着させることが望ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を載置する底部と、底部の周端縁から連続して上方に形成された側壁部とを備える包装用容器を用意する工程と、
前記包装用容器に内容物を載置する工程と、
5000~45000Paの真空領域において、内容物が載置された包装用容器をトップフィルムで覆うとともに、側壁部の上端部に対してトップフィルムを接着する工程と
を含むことを特徴とする包装方法。
【請求項2】
前記トップフィルムは、オレフィン系樹脂製であり、厚さ60μm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
前記トップフィルムを前記底部に密着させず、前記側壁部の内面に密着させる
ことを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項4】
請求項1に記載の包装方法に用いられる包装用容器の容器本体であって、
内容物を載置する底部と、
底部の周端縁から連続して上方に形成された側部とを備え、
側部は、高さ20mm以上で、底部に対して角度40~90°である
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項5】
請求項1に記載の包装方法に用いられる包装用容器の容器本体であって、
内容物を載置する底部と、
底部の周端縁から連続して上方に形成された側部と、
底部から上方に形成されて内容物を立て掛ける第1突出部と、
第1突出部の上端部から連続して上方に形成されて前記内容物の両側に位置する一対の第2突出部とを備えた
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項6】
第1突出部の側部の一方及び下端部と連続して直線状かつ底部から上方に形成された第3突出部と、
第1突出部と、第2突出部と、第3突出部とで構成された内容物の載置部とをさらに備え、
第1突出部の長手方向の幅と第3突出部の長手方向の幅とで載置部に載置される内容物の大きさが決定される
ことを特徴とする請求項5に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば部位によって硬さの異なる食品のような内容物を位置ずれしにくくする包装方法及び包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される精肉や魚介類といった生鮮品等の食品は、所定の形状の容器本体に載置されたり収容されたりし、その後に所定の形状の蓋体で上記容器本体の開口を閉じたり、上記容器本体内の空気を除去して窒素や二酸化炭素等又はこれらの混合気を充填してトップシールで上記開口を密閉したり、加熱したスキンパックフィルムを上記食品ごと上記容器本体の内面に真空状態で貼り付けて上記食品を密封したりしていた。
【0003】
例えば特許文献1には、容器本体の側壁の略半分の高さの仕切り壁で形成されて二枚貝の両方の殻を取り除いた剥き身の生牡蠣を収容する収納室を複数有する箱状の容器本体と、上記収納室を覆うように載置される中蓋と、上記容器本体の開口を密閉する密閉シートとを備え、上記中蓋と上記密閉シートとの間に空間を有する包装用容器が開示されており、これによれば電子レンジにより美味しく加熱調理された蒸し牡蠣を得られるというものである。
【0004】
また特許文献2には、収納壁部で形成されて殻付きの牡蠣(二枚貝の両方の殻に収容された生牡蠣)を収納する収納凹部を複数有するトレーを備え、上記収納凹部に貫通孔を有するトレーが開示されており、これによれば搬送時に振動が生じても牡蠣が不均一に移動することを抑えたり、牡蠣から生じた水分を上記収納凹部の外部に排水したり、上記トレーの上方に配置した保冷材からの冷気を下方に流したりできるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-85162号公報
【特許文献2】実用新案登録第3224346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように殻を取り除いて剥き身で包装すると、牡蠣の鮮度が落ちたり見た目的な新鮮さが欠けたりするおそれがある。また特許文献2のように殻付きで包装すると、同じような形状及びサイズの殻の牡蠣の選別に手間がかかるのみならず、不揃いのサイズの身を不意に選んでしまうおそれがある。しかしながら生牡蠣の包装は、特許文献1のような剥き身か特許文献2のような殻付きかのいずれかを選択せざるを得なかった。
【0007】
一般的に、生牡蠣が食されるときには、蓋である上側の殻が取り外され、下側の殻のみ備わった半身(二枚貝の片方の殻を取り除いたハーフシェルの生牡蠣)の状態で提供される。こうすることで上述した特許文献1や特許文献2のような問題を回避すると共に、商品価値の向上が期待できるからである。同様に、下側に固くて鋭利な部位がある殻と上側にやわらかくて滑らかな部位がある身とのそれぞれに適した仕様であれば、半身の状態で包装しても商品価値の向上が期待できると、発明者等は考えた。
【0008】
また、上述したスキンパックフィルムによる包装は、真空状態で密着する上記フィルムで潰されたり変形されたりしにくい食品に採用されていた。一方、上記食品よりも賞味(又は消費)期限が短くても所望の期間だけ鮮度を保てればよい食品は、真空状態の度合いが軽減されてもよく、換言すると、スキンパックフィルムで加圧される度合いが軽減された状態で包装されてもよく、このような状態が上記仕様に相当することに、発明者等は辿り着いた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、半身の状態の牡蠣(二枚貝の片方の殻を取り除いたハーフシェルの生牡蠣)のように上側と下側との硬さや形状が異なる食品その他内容物の位置をずれにくくし、かつ所望の鮮度を保つことで、商品価値の向上に寄与する包装方法及び包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明における包装方法は、内容物を載置する底部と、底部の周端縁から連続して上方に形成された側壁部とを備える包装用容器を用意する工程と、前記包装用容器に内容物を載置する工程と、5000~45000Paの真空領域において、内容物が載置された包装用容器をトップフィルムで覆うとともに、側壁部の上端部に対してトップフィルムを接着する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
上記トップフィルムは、オレフィン系樹脂製であり、厚さ60μm以上であることが望ましい。
【0012】
上記フィルムを上記底部に密着させず、上記側壁部の内面に密着させることが望ましい。
【0013】
また、本発明における包装用容器の容器本体は、上記包装方法に用いられるものであって、内容物を載置する底部と、底部の周端縁から連続して上方に形成された側部とを備え、側部は、高さ20mm以上で、底部に対して角度40~90°であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明における別の包装用容器の容器本体は、上記包装方法に用いられるものであって、内容物を載置する底部と、底部の周端縁から連続して上方に形成された側部と、底部から上方に形成されて内容物を立て掛ける第1突出部と、第1突出部の上端部から連続して上方に形成されて上記内容物の両側に位置する一対の第2突出部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、上容器本体は、第1突出部の側部の一方及び下端部と連続して直線状かつ底部から上方に形成された第3突出部と、第1突出部と、第2突出と、第3突出部とで構成された内容物の載置部とをさらに備え、第1突出部の長手方向の幅と第3突出部の長手方向の幅とで載置部に載置される内容物の大きさが決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半身の状態の牡蠣(二枚貝の片方の殻を取り除いたハーフシェルの生牡蠣)のように上側と下側との硬さや形状が異なる食品その他内容物の位置をずれにくくし、かつ所望の鮮度を保つことで、配送時の荷崩れを解消し、且つ商品陳列の自由度が高まることで商品価値の向上に寄与する効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の斜視図である。
【
図2】上記包装用容器の部分拡大端面図(A)及び(B)である。
【
図3】上記包装用容器を用いて本発明の一実施形態における包装方法が実行された状態の部分拡大斜視概念図である。
【
図4】上記包装用容器の平面図(A)及び正面図(B)である。
【
図5】上記包装用容器の部分拡大斜視概念図(A)、部分拡大断面図(B)及び(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図5を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装方法(以下「本包装方法」もという。)及び包装用容器(以下「本包装用容器」もという。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きで包装用容器を設置した状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。
【0019】
<本包装方法に用いられる本包装用容器の基本構成>
図1に示すとおり、本包装用容器は、内容物としてスーパーマーケット等の小売店内で販売される魚介類・精肉・果物といった食品Fを包装するものであり、容器本体1と、容器本体1の開口を覆うように装着されるトップフィルム2とを備えている。容器本体1は、平面視で略四角形だが、長方形でも円形でも楕円形でもよく、また、小売店内の陳列棚に載置できる程度のサイズであればよく、縦・横・高さといった寸法を限定しない。本包装用容器は、容器本体1のみを示してもよく、この場合のトップフィルム2は、本包装用容器の蓋体に相当する。
【0020】
<容器本体1の概要>
容器本体1は、食品Fを載置する底部11と、底部11の周端縁から連続して上方に拡がりながら立ち上がる側壁部12とで形成される付番しない収容部と、収容部の上端縁でもある側壁部12の上端縁から連続して外方に延出するフランジ部13とを備えており、さらに個々の食品Fが載置される位置に相当する載置部1aを備えていると好ましい。側壁部12の上端縁が、容器本体1の開口に相当する。底部11は、平面視で容器本体1の平面視形状と同形だが、異形でもよい。側壁部12は、平面状だが、上側がさらに外側に拡がるような湾曲形状でもよい。
【0021】
食品Fは、容器本体1に接する下側が硬く、トップフィルム2に接する上側が柔らかければいずれも該当するが、例えば、下側が殻で上側が身である生牡蠣といった貝類、下側が甲羅で上側が身である蟹といった甲殻類、下側が骨で上側が身である肉類、下側が厚めの皮(皮脂相当部)で上側が果肉(可食部)である果物(一部の草本性の植物を含む)である。食品Fは、載置部1aに載置された状態で、側壁部12の上端を超えないか、上記上端と同等か、上記上端をわずかに超える厚みのものであればいずれもよく、上記上端を超えない厚みの場合、少なくとも側壁部12の高さのうち半分の高さを超える程度の厚みがあればよい。
【0022】
図2(A)は、側壁部12の一部及びフランジ部13の拡大端面図である。
図2(A)に示すように、側壁部12は、平坦な付番しない側壁平坦部と、側壁平坦部の上端から上方に連続して形成された湾曲状(平坦状でもよい)の側壁上端部12aを有する。フランジ部13は、側壁上端部12aの最上端である側壁最上端部12bから外方に連続して形成された表面かつ周方向全周に平坦な付番しないフランジ平坦部と、フランジ平坦部から外方かつ下方に連続して形成された付番しないフランジ側部と、フランジ側部から外方に連続して形成されたフランジ先端部とを有している。フランジ部13は、フランジ平坦部ではなく、上方向に湾曲したフランジ湾曲部を有していてもよい。
図2(B)は、
図2(A)からフランジ部13を除いた拡大端面図であり、容器本体1は、フランジ部13が形成されていなくてもよい。
【0023】
トップフィルム2は、フランジ部13のみに接着されても、フランジ部13と側壁上端部12aとに接着されてもよく、フランジ部13が形成されていない場合は、側壁上端部12aのみに接着されてよい。フランジ部13のうちトップフィルム2が密着するのはフランジ平坦部のみでもフランジ平坦部とフランジ側部とでもよい。側壁上端部12のうちトップフィルムが密着するのは側壁最上端部12bから10mm以上あればよく、20mm以上、25mm以上、30mm以上でもよい。
【0024】
<容器本体1の素材・形成方法・寸法等>
容器本体1は、合成樹脂シートを基材として成型したものである。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製のポリスチレンペーパー(PSP)、GPポリスチレンにブタジエン共重合体などの弾性体を配合して耐衝撃性を改良した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂製であり、単層又は複数層で構成されてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、耐熱性を有する素材で形成されてもよい。合成樹脂シートは、真空成型・熱板圧空成型・真空圧空成型・両面真空成型等といった熱成型法により所望の容器本体の形状に形成される。合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで積層してもよい。合成樹脂フィルムは、耐熱性・耐油性・印刷層との積層適性・ガスバリア性等を有する単層又は複数層で構成されてもよく、合成樹脂シートの表面を積層した場合は印刷層を含んでもよい。
【0025】
合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
【0026】
発泡樹脂製の場合、坪量(単位面積あたりの質量)は120~220g/m2であればよいが、重くなると樹脂量が多くなるので相対的に所望の強度が得られやすく好ましいが、その分材料コストが高くなるのでそのバランスを鑑みて選択する必要がある。トップフィルム2が容器本体1の内側表面に貼り付いた際に、それまで伸ばされていたトップフィルム2に容器本体1が引っ張られるため比較的高い強度が要求されることから、その坪量は好ましくは130~220g/m2、さらに好ましくは140~200g/m2、より好ましくは150~200g/m2である。
【0027】
<載置部1aの概要>
載置部1aは、収容部内に6か所あるが、底部11の広さ及び/又は食品Fの大きさに応じて1か所でも2か所以上あってもよく、いずれの面積でもよい。載置部1aは、平面視で短手側と長手側とを有する長方形状であるが、正方形状でも円形状でも楕円形状でもよい。載置部1aは、底部11から隆起した部位の各々で形成されており、上記部位は1つでも2つ以上でもよく、載置された食品Fの全周を囲むように配置されても半分など一部を囲むように配置されてもよく、隆起した部位ではない平坦な箇所でも底部11から下方に窪んだ箇所であってもよい。載置部1aは、
図1A上の手前側に位置する側壁部12を基準にして長手側がいずれの角度で斜めになるように配置されてもよく、例えば側壁部12に対して30°~60°傾いており、長手側が平行になるように配置されても直交するように配置されてもよい。
【0028】
<本包装方法の一例>
まず、容器本体1を準備する(以下「容器準備工程」ともいう。)。次に、食品Fを載置部1aに載置する(以下「食品載置工程」ともいう。)。次に、容器本体1の内部が5000~45000Paの真空領域になるように空気を吸引しつつ、トップフィルム2を容器本体1の開口を覆ってフランジ部13(フランジ部13がない場合は側壁上端部12a)に掛かるように載せて接着する(以下「トップフィルム装着工程」ともいう。)。このような工程によれば、トップフィルム2で食品Fが潰れない程度に容器本体1に押さえつけられるため、食品Fが位置ずれしにくくなる効果を期待できる。トップフィルム装着工程後、トップフィルム2を切断する。
【0029】
ここで、上述したトップフィルム装着工程において、トップフィルムは加熱されて柔らかくなっていることが好ましい。加熱温度は、例えば90~250℃であればよく、140~220℃であってもよく、160~200℃、170~190℃であってもよい。
【0030】
トップフィルム装着工程における真空領域とは、いわゆる食品の真空パックを生成する圧力を意味し、従来の食品の真空パックを生成する1~103Paより低い圧力であればよく、好ましくは5000~45000Pa、より好ましくは7500~38000Paであり、さらに好ましくは10000~30000Pa、よりさらに好ましくは10000~25000Paであり、5000Paより低いと食品Fがトップフィルム2に押し潰されてしまい、45000Paより高いとトップフィルム2で押さえ切れず食品Fが位置ずれしてしまうおそれがあるためである。
【0031】
<トップフィルム2の素材・寸法等>
トップフィルム2は、いわゆるスキンパックフィルムであり、これを形成する素材や層構成を限定しないが、好ましくは伸びやすくて切れにくいオレフィン系樹脂製であり、厚さは60μm以上であればよく、好ましくは70~400μmであり、より好ましくは80~300μmであり、さらに好ましくは100~200μmであり、オレフィン系樹脂製であっても60μmより薄いと切れやすくなり、400μmより厚いと伸びにくく食品Fが潰れてしまうおそれがある。
【0032】
トップフィルム2においては、その種類によらず、透明性を有していることが好ましい。トップフィルムを介して、内容物を容易に視認できるからである。
【0033】
トップフィルム2は、複数の層からなる多層フィルムでもよく、容器本体1の内側表面及び食品Fの表面に接する内層と、内層に積層された外層とを備えていてもよい。外層は、加熱されて軟化した状態で容器本体1の内側表面及び/又は食品Fの表面の形状に沿って立体的に延伸し、冷却したときにその形状を保持する形状保持性を有していてもよい。トップフィルム2は、内層と外層との間には中間層としてのガスバリア層や補強層といった機能性を有する層を有してもよい。
【0034】
<トップフィルム装着工程の詳細>
図3に示すように、トップフィルム装着工程にて、トップフィルム2を加熱して溶融軟化したのち、フランジ部13(フランジ部13がない場合は側壁上端部12a)に対してトップフィルム2を溶着して接着する。このとき、トップフィルム2を容器本体1の底部11に密着させず、側壁部12の内面に接着しないが密着させる。このような工程により、トップフィルム2の張り具合が緩みにくく、トップフィルム2で食品Fのやわらかい上側を所定の範囲でのみ下方向に加圧できるため、硬い下側を含め全体として厚めの食品Fも位置ずれしにくくなる効果を期待できる。トップフィルム2が側壁部12の内面に密着している縦幅は、食品Fの上端から側壁部12の上端までの高さと略同等である。
【0035】
<容器本体1の詳細>
図4(A)及び(B)に示すように、底部11の表面から側壁部12の最上端部までの高さに相当する側壁部12の高さh1は好ましくは20mm以上であればよく、30mm以上、40mm以上であってもよい。側壁部12の高さh1の上限に特に制限はないが、150mmであってもよく、100であってもよい。底部11に対して角度dは40~90°であり、好ましくは50~85°であり、より好ましくは60~80°であり、さらに好ましくは70~80°であり、高さh1が20mm未満だと収容できる食品Fが限られてしまい、また、角度dが40°より小さいと側壁部12が寝過ぎて高さh1の条件を満たしにくく、90°より大きいと側壁部12が立ち過ぎてトップフィルム2が貼り付きにくくなるおそれがある。
【0036】
<載置部1aの詳細>
図5(A)及び(B)に示すように、載置部1aは、底部11から上方に形成されて食品Fを立て掛ける第1突出部14と、第1突出部14の上端部から連続して上方に形成されて食品Fの両側に位置する一対の第2突出部15、15とを備えている。換言すると、第1突出部14は底部11から山状に隆起した部位であり、また、第2突出部15、15は第1突出部14の上端部の両端から同じ高さ又は異なる高さで隆起した部位である。この構成によれば、第1突出部14で食品Fを斜めに立て掛け、かつ第2突出部15、15で食品Fの両側を支えるため、牡蠣の殻のような細長く複雑で位置ずれしやすい食品Fを盛り付けやすい効果を期待できる。
【0037】
図5(B)に示すように、底部11の表面から第1突起部14の上端部までの高さh2と上記上端部から第2突起部15の頂点までの高さh3との比率は4:1程度だが、食品Fの厚みや形状に応じて3:1程度でも2:1程度でもよく、高さh3が4:1より高くても2:1より低くてもよい。第2突起部15の頂点の高さh4は、
図4(B)に示す側壁部12の高さh1の5分の1程度だが、食品Fの厚みに応じて10分の1程度でも2分の1程度でもよく、10分の1より低くても2分の1より高くてもよい。第2突出部15、15は、下方に反って湾曲した第1突出部14の上端部の両端部分であってもよい。
【0038】
図5(A)及び(C)に示すように、載置部1aは、第1突出部14の側部14aの一方及び下端部14bと連続して直線状かつ底部11から上方に形成された第3突出部16をさらに備えている。換言すると、第3突出部16は底部11から山状に隆起した部位である。この構成によれば、第1突出部14及び第2突出部15、15に立て掛けるように盛り付けられた食品Fに対して第3突出部16が壁となるため、食品Fが横滑りしにくくなる効果を期待できる。
【0039】
図5(B)及び(C)に示すように、第3突出部16の高さh5は、第1突起部14の上端部までの高さh2及び第2突起部15の頂点の高さh4より低く、食品Fの厚みに応じてそれぞれの9分の1程度でも5分の1程度でもよく、9分の1より低くても5分の1より高くてもよく、第1突起部14の上端部までの高さh2又は第2突起部15の頂点の高さh4と同等でもよい。第3突出部16の直線部分の長さW1は、第1突起部14の直線部分の長さW2の3倍程度だが、食品Fの長さに応じて4倍程度でも2倍程度でもよく、4倍より長くても2倍より短くてもよく、第1突起部14の直線部分の長さW2と同等でもよい。第3突出部16は、第1突起部14と連続しておらず所定の間隔を介して形成されてもよい。
【0040】
図5(A)に示すように、第3突出部16は、載置部1aの前方に位置する別の載置部1bを構成する第1突出部14の側部14aの一方及び下端部14bと連続して形成されている。この構成によれば、載置部1aと載置部1bとがそれぞれ干渉し合わないため、食品Fを載置する面積を効率よく確保できる効果を期待できる。
【0041】
なお、本実施形態に示した包装方法及びこの包装方法に用いられる包装用容器は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる工程の順序及び工程同士の関係や、部位の位置・形状・寸法及び部位同士の関係を含む。
【0042】
また、
図1に示すように、食品Fが容器本体1に収容されてトップフィルム2で包装された状態が商品として扱われるが、表面の全部又は一部が透明なフィルム状の箱に上記商品を入れて小売店等で販売する場合、例えば陳列棚に対して底部11が下側になるように横置きしても、側壁部12が下側になるように縦置きしてもよく、上記縦置きの場合、第1突起部1が下側になる向きであれば、より食品Fの視認性の向上が期待できる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器本体
1a 載置部
11 底部
12 側部
13 フランジ部
14 第1突起部、14a 第1突起側部、14b 第1突起下端部
15 第2突起部
16 第3突起部
2 フィルム