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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117048
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】帳票のデータ入力を支援する方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/12 20220101AFI20240821BHJP
   G06V 30/412 20220101ALI20240821BHJP
   G06F 16/38 20190101ALI20240821BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20240821BHJP
【FI】
G06V30/12 J
G06V30/412
G06V30/12 B
G06F16/38
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100404
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2023022965の分割
【原出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】510077277
【氏名又は名称】ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭統
【テーマコード(参考)】
5B029
5B064
5B175
5L099
【Fターム(参考)】
5B029AA01
5B029BB02
5B029BB17
5B029CC22
5B029CC26
5B064AA01
5B064AB02
5B064AB13
5B064BA01
5B064EA08
5B064EA11
5B064EA27
5B064FA02
5B175DA01
5B175DA02
5B175GA03
5B175HB03
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】健康診断票等の帳票のデータ入力に際し、さらに作業効率を向上させるデータ入力を支援する方法を提供する。
【解決手段】サーバ端末と、複数のユーザ端末がネットワークを介して接続するシステムにおいて、帳票のデータ入力を支援する方法は、サーバ端末の制御部は、帳票の画像データを解析することにより、前記画像データに含まれる複数の入力項目及び当該複数の入力項目の各々の入力値を認識し、前記認識された入力項目及び入力値を入力データとして表示させ、ユーザ端末から、前記帳票のリファレンスデータの抽出要求を受け付け、前記抽出要求に応じて、前記帳票の入力項目の一致度に基づいてリファレンスデータを抽出し、前記抽出した一または複数のリファレンスデータを表示させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票のデータ入力を支援する方法であって、
サーバ端末の制御部は、
帳票の画像データを解析することにより、前記画像データに含まれる複数の入力項目及び当該複数の入力項目に対応する各々の入力値を認識し、
前記認識された入力項目及び入力値を入力データとして表示させ、
ユーザ端末から、前記帳票のリファレンスデータの抽出要求を受け付け、
前記抽出要求に応じて、前記帳票の入力項目の一致度に基づいてリファレンスデータを抽出し、
前記抽出した一または複数のリファレンスデータを表示させる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記抽出したリファレンスデータに対して、一のリファレンスデータを選択する要求を受け付け、
前記選択したリファレンスデータに含まれる入力項目及び入力値に基づいて、前記画像データを解析し、前記画像データに含まれる複数の入力項目及び当該複数の入力項目の各々の入力値を認識する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記制御部は
前記認識結果として、前記リファレンスデータに含まれる入力値と前記画像データに含まれる入力値との入力形式が不一致となる場合に、エラーとして通知する方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記制御部は、
前記リファレンスデータに基づいて認識した入力項目及び入力値を入力データとして表示させる方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、
前記制御部は、
前記リファレンスデータに基づいて認識した入力値に対してさらに入力を受け付ける方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記制御部は、
前記認識された入力項目及び入力値をマスキングして表示させる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記画像データに含まれる複数の入力項目及び当該複数の入力項目に対応する各々の入力値を、各々の入力項目及び入力値の画像内の位置座標に基づいて認識し、
前記位置座標に基づいて認識された順序で、前記入力項目及び入力値を入力データとして表示させる、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記表示された入力項目及び入力値に対し、ユーザがユーザ端末上で選択した位置に基づいて、重畳的に表示させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に健康診断の帳票等のデータ入力を支援する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康診断を始めとした帳票のデータ入力の作業効率向上のために、OCR技術を利用した自動データ入力方法が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1において、健康診断票に記載されたデータをOCR等の処理で認識することで、データを正確に記憶し管理することを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-64870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、入力項目についてOCRによる文字認識結果と認識率を表示させ、ユーザによる文字の変更結果を記憶する旨開示しているものの、ユーザは、認識率の低い入力項目に対するデータ入力が必要とされるため、作業負担の課題は依然として生じ得る。また、特に、健康診断の帳票として、多くのフォーマットが提供されているため、入力項目に対する入力値として認識された文字列の紐づけの認識率の精度が低い、という課題もある。
【0006】
そこで、本発明は、健康診断票等の帳票のデータ入力に際し、さらに作業効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、帳票のデータ入力を支援する方法であって、サーバ端末の制御部は、帳票の画像データを解析することにより、前記画像データに含まれる複数の入力項目及び当該複数の入力項目の各々の入力値を認識し、前記認識された入力項目及び入力値を入力データとして表示させ、ユーザ端末から、前記帳票のリファレンスデータの抽出要求を受け付け、前記抽出要求に応じて、前記帳票の入力項目の一致度に基づいてリファレンスデータを抽出し、前記抽出した一または複数のリファレンスデータを表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、健康診断票等の帳票のデータ入力に際し、さらに作業効率を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援システムを示すブロック構成図である。
図2図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
図3図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。
図4】サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
図5】サーバ100に格納される帳票データの一例を示す図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援方法の処理の他の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の一例を説明する図である。
図9】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図10】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図11】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図12】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図13】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図14】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図15】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図16】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
図17】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示されるユーザーインターフェース画面の他の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援システムを示すブロック構成図である。本システム1は、例えば、ユーザが撮影またはスキャンした健康診断票等の帳票をOCR等の画像処理により、文字認識し、入力データとして記憶部に格納し、リファレンスデータに基づいてさらに文字認識処理を実行し、ユーザによるデータ入力により、最終的な入力データとして格納する、サーバ端末100と、従業員等の健康診断等の帳票の上記撮影等を行うユーザに係るユーザ端末200A、200Bを含む。なお、説明の便宜上、各端末を単一または特定数のものとして記載しているが、各々数は制限されない。
【0012】
サーバ端末100、ユーザ端末200A、200B、及び企業端末300A、300Bは、ネットワークNW1を介して各々接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
ユーザ端末200A、200Bは、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。また、ユーザ端末200A、200Bは、健康診断票等の帳票をスキャンするスキャナーと、インターネットや近距離無線通信等のネットワークを介して接続することもできる。
【0015】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100、及びユーザ端末200A、200Bを備え、各端末のユーザが各々の端末を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各ユーザが直接操作を行う機能を備えても良い。以下、必要に応じ、ユーザ端末200A、200Bを総称してユーザ端末200として説明する。
【0016】
図2は、図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0017】
通信部110は、ネットワークNW1を介してユーザ端末200と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0018】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、ユーザに関連する各種データを格納する、ユーザデータ格納部121、及びユーザにより提供された健康診断票等の帳票に関連する各種データを格納する、帳票データ格納部122を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0019】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、各種端末からの情報を受け付ける情報受付部131と、健康診断票等の帳票に係る画像データに対し、OCR等の画像処理を実行する、画像処理部132と、ユーザにより提供された健康診断票等の帳票を含むリファレンスデータデータを参照し、処理する、帳票データ処理部133とを有する。この情報受付部131、画像処理部132及び帳票データ処理部133は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0020】
情報受付部131は、ユーザ端末200から通信部110を介して情報を受付ける。例えば、ユーザ端末200からは、健康診断票等の帳票を撮影することで生成される帳票に係る画像データを受信する。
【0021】
画像処理部132は、ユーザ端末200から受信した帳票に係る画像データに対し、OCR等の画像処理を実行し、文字認識を行う。
【0022】
帳票データ処理部133は、ユーザ端末200から受信した帳票等に関する帳票データ及び帳票データ格納部122に格納されたリファレンスデータを参照し、所定の処理を行う。
【0023】
また、制御部130は、図示しない、画面生成部を有することもでき、求めに応じて、ユーザ端末200のユーザーインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された(図示しない)画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザーインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザーインターフェースを生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0024】
図3は、図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。ユーザ端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0025】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0026】
表示操作部220は、ユーザが指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザーインターフェースであり、ユーザ端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、ユーザ端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるユーザ端末200により実行される。
【0027】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0028】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、ユーザ端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0029】
カメラ250は、健康診断票等の帳票を撮影し、制御部240が、撮影した帳票を画像データとして記憶部230に格納し、及び/または、通信部210を介してサーバ端末100に送信する。なお、ユーザ端末200は、通信部210を介して外部装置として(図示しない)スキャナと接続することもでき、スキャナが健康診断票等の帳票をスキャンし、スキャンされた画像データをユーザ端末200が受信し、ユーザ端末200が画像データをサーバ端末100に送信することもできる。
【0030】
図4は、サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
【0031】
図4に示すユーザデータ1000は、ユーザに関連する各種データを格納する。図4において、説明の便宜上、一ユーザ(ユーザID「10001」で識別されるユーザ)の例を示すが、複数のユーザの情報を格納することができる。ユーザに関連する各種データとして、例えば、ユーザに関する基本情報(例えば、企業名、住所、担当者名、部署名、連絡先等)、健康診断票等の帳票データ(健康診断票に対応する各社員の社員ID、帳票を画像処理して生成された画像データ、帳票に含まれる各入力項目及び入力値を含む、構造化された入力データ)を含むことができるがこれに限定されない。
【0032】
図5は、サーバ100に格納される帳票データの一例を示す図である。
【0033】
帳票データ2000は、ユーザにより提供された帳票に係る各種データを格納する。特に、健康診断票の帳票について、複数パターンのフォーマットで作成される健康診断票があるところ、ユーザにより提供された健康診断票を各々のフォーマットの帳票データとして蓄積し、後に別の健康診断票等の帳票の文字認識を行う際に、入力項目に対する、認識された入力値としての文字列の紐づけを含む、データの構造化処理に際して、リファレンスデータとして参照できるよう管理することができる。図5において、説明の便宜上、一帳票(帳票ID「20001」で識別される帳票)の例を示すが、複数の帳票に関連する情報を格納することができる。ここで、帳票単位でリファレンスデータとして帳票データを格納することもできるし、格納領域の容量を軽減するために帳票フォーマット単位で帳票データを格納することも可能である。また、帳票データは、特定ユーザまたは特定企業に属するユーザに関わらず管理されるため、個人情報を削除または表示しない形式で格納されることが好ましい。帳票に関連する各種データとして、例えば、帳票を撮影することで生成された画像データ、画像データをOCR等の画像処理することにより、文字認識されることで生成される、帳票に含まれる入力項目及び入力値を含む、構造化された入力データ等を含むことができるがこれに限定されない。また、帳票データとして、健康診断票等の帳票のOCR処理に際して、文字認識を実行するために必要な、上記リファレンスデータを含む帳票データを含め、帳票データとして格納された帳票を基に、各帳票データに含まれる入力項目及び入力値の位置座標及び文字認識結果を学習することで生成された学習モデルを格納することもできる。
【0034】
図6は、本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援方法の処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS101の前処理として、企業担当者等のユーザは、当該企業の従業員の健康診断票を、ユーザ端末200に内蔵されたカメラ、または、ユーザ端末200と、インターネットまたは近距離無線通信等のネットワークで接続されたスキャナにより、撮影(またはスキャン)を行い、画像データとしてサーバ端末100に送信(アップロード)する。サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、ユーザ端末200から送信された健康診断票の画像データを受信し、帳票データ処理部133は、受信した画像データを、記憶部120のユーザデータ格納部121に、ユーザ端末200から送信された画像データに対応する社員ID等のデータとともに、ユーザデータの帳票データとして格納する。
【0036】
次に、ステップS101の処理として、ユーザは、ユーザ端末200に表示されるユーザーインターフェース画面を介して、帳票データの読み込み要求を行ない、サーバ端末100の制御部130の帳票データ処理部133は、ユーザ端末200からの読み込み要求に応じて、記憶部120のユーザデータ格納部121を参照し、ユーザデータ格納部121に格納された、該当する帳票データの読み込み処理を行う。
【0037】
例えば、図8に示すように、ユーザは、ユーザ端末200に表示されるユーザーインターフェース画面を介して、ファイルの読み込みを要求し、送信した健康診断票の画像データを読み込むよう指示する。
【0038】
続いて、ステップS102の処理として、サーバ端末100の制御部130の帳票データ処理部133は、記憶部120のユーザデータ格納部121を参照し、読み込み要求のあった画像データを読み込み、画像処理部132は、読み込んだ画像データに対し、OCRによる画像処理を実行する。例えば、画像処理部132は、読み込んだ健康診断票の画像データの左上の所定の位置を頂点として定め、その頂点をゼロ座標として、ゼロ座標を基点として水平方向及び垂直方向に設定されるX軸、Y軸上の座標点により定義される矩形の領域(例えば、図9に示す健康診断票の画像データ上「身長」「177.0」と記載された領域)をOCRにより文字認識対象領域として定義し、画像データ上の各々の入力項目及び入力値に対応する文字認識対象領域において文字認識処理を実行する。また、本文字認識に際して、上記学習モデルに基づいた機械学習により、入力項目(「キー」ともいう)及び入力項目(キー)に対応する入力値(「バリュー」ともいう)の関係性(相対座標)を判定することもできる。図9は、各々の文字認識対象領域において文字認識処理がなされた結果を示しており、各々の文字認識対象領域において、例えば、「総合判定(医師所見)」、「5」、「身長」、「177.0」というように、入力項目及び入力項目に対応する入力値が文字として認識される。OCR処理により、例えば、「身長」という矩形を探索し、その矩形から見た相対距離、入力値であろう座標を推定し、推定に基づいて、上記「身長」という矩形内の文字列(入力項目またはキー)から「177.0」という入力値(またはバリュー)を取得し、「身長」という入力項目に対応する「177.0」という入力値として決定することができる。帳票データ処理部133は、認識した帳票の入力項目及び入力値を入力データとして、構造化されたデータとして、所定のファイル形式(例えば、スプレッドシート等)でユーザデータ格納部121に帳票データ(入力データ)として格納する。ここで、帳票データ処理部133は、上記ユーザデータ格納部121に格納された帳票データを、後述するリファレンスデータとして、自または他のユーザが別の健康診断票の入力処理を行う際に、入力項目及び入力項目に対応する入力値が整合するか、を参照可能とするように、帳票データ格納部122に格納することもできる。また、帳票データ処理部133は、図9に示すように、文字認識結果として入力データをユーザ端末200に表示させる。ここで、OCRにより認識されない入力項目及び/または入力値があり、また、入力値において、事前にルールベースに基づいて設定された形式(数値等)の入力項目と異なる形式で認識されたもの(例えば、「視力」の入力項目において、「(0.70)」と、数値以外の文字列を含むものとして認識されたもの)について、帳票データ処理部133は、エラーと判定し、ユーザ端末200に対し、識別表示をしたり、アラートを通知することができる。また、帳票データ処理部133は、正しく文字認識され、入力済と判定された入力項目及び入力値についてはマスキングして表示し、エラーと判定された入力項目及び入力値のみ表示させるようにすることもできる。
【0039】
ユーザは、文字認識結果として、正常に入力データが生成された場合、修正等の入力を行うことなく、最終的なデータとして構造化された入力データを保存することで一連の処理を完了することができるが、上記の通り、認識されない入力項目及び/または入力値が存在する場合、または、エラーが通知された場合に、手入力または自動入力によりデータを追加で入力したり、修正したりすることもできるが、このような手入力は時間と労力を要する。かかる場合、ユーザは、今回読み込んだ健康診断票に類似するフォーマットの健康診断票の入力データを有する帳票データをリファレンスデータとして参照し、リファレンスデータに基づいて、帳票データにおける入力項目及び入力項目に対応する入力値を構造化データとして取得する意味で、文字認識の精度を高めながら、今回の読み込み対象とする健康診断票の入力データを取得することができる。
【0040】
上記のように、ステップS103の処理として、例えば、図10に示すように、ユーザが、ユーザ端末200に表示されるユーザーインターフェース画面上で「リファレンス探索」を選択することで、リファレンスデータの抽出要求を行なうと、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、リファレンスデータの抽出要求を受け付ける。
【0041】
続いて、ステップS104の処理として、サーバ端末100の制御部130の帳票データ処理部133は、今回読み込み対象とする健康診断票の入力データに類似する健康診断票の帳票データを検索し、一または複数の帳票データをリファレンスデータとして抽出する。図11に示すように、リファレンスリストとして、帳票IDに対応したリファレンスデータが、リファレンスデータに含まれる入力項目(Ref)と、今回読み込み対象とする健康診断票の帳票データに含まれる入力項目(Key)とが一致する割合が高いもの(一致率)あるいは上記一致する入力項目(Key)の数が多いもの、及び/または、健康診断票のフォーマットとして、比較対象となる帳票に含まれる入力項目の位置関係が近いもの(各々の帳票の画像データをベクトル化し、比較結果として距離が近いもの)を抽出する。ここで、リファレンスデータを抽出するに際して、今回読み込み対象とする健康診断票のページ毎に、リファレンスデータを抽出することもできる。例えば、健康診断のうちオプションとなる健診については後続ページ以降に内容が充実しているものあり、そのような場合には、ページ毎に類似する帳票を抽出することができる。図11の例においては、帳票IDが「820」の帳票が、入力項目の一致率が最も高く、画像同士の距離が近い帳票(フォーマットが最も近い)として抽出されている。また、画像同士の距離(図11の例における「D閾値」)をユーザにより入力可能とし、距離に基づく画像データの自動選択により画像データを抽出可能にすることもできる。
【0042】
続いて、ステップS105の処理として、図12に示すように、ユーザは、ユーザ端末200に表示されるユーザーインターフェース画面において、上記距離順にリスト形式に並べて表示された、複数のリファレンスデータのうち、所望(例えば、最も類似する)リファレンスデータを選択すると(帳票ID「820」で識別されるリファレンスデータ)、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、リファレンスデータの選択要求を受け付ける。
【0043】
図7は、本発明の第一実施形態に係る、データ入力支援方法の処理の他の一例を示すフローチャートであり、特にリファレンスデータに基づいた、読み込み対象となる健康診断票の帳票データの解析処理及び入力支援処理について示したものである。
【0044】
ステップS201の処理として、サーバ端末100の制御部130の画像処理部132は、リファレンスデータの選択要求に基づいて抽出されたリファレンスデータを参照し、読み込み対象となる健康診断票の帳票データに対して、OCRによる画像解析処理を実行する。上記の通り、読み込み対象となる健康診断票の入力データと、リファレンスデータの入力データとは一致率が高く、また、帳票の入力項目及び入力項目に対する入力値の認識精度について、通常のOCR処理と比較して高い精度の文字認識を行うことが可能となる。
【0045】
続いて、ステップS202の処理として、サーバ端末100の制御部130の帳票データ処理部133は、画像解析結果を、読み込み対象となる健康診断票の、文字認識された画像データ及び入力項目及び入力値を構造化されたデータとして表示させる。図13に示すように、健康診断票の文字認識された入力項目及び入力値の各々について、入力項目と入力値とを異なる色の矩形で囲うなど、識別表示を行うことで、視認性に優れ、ユーザは容易に各項目の内容を把握することができる。また、図14に示すように、構造化されたデータとして、入力値の一覧を表示させることもできる。図14においては、各入力項目(キー(検査項目))に対し、入力値(バリュー)が対応づけられるように表示される。ここで、正常に文字認識された入力値と、他の入力値とは異なる形式で文字認識された入力値(入力フォーマットにエラーがあると判定された入力値)とを色分けするなど、異なる態様で識別表示させることもできる。これにより、ユーザは、確認すべき入力値を容易に把握し、対応することができる。また、図14の例に示す入力項目及び入力値の表示順序を、図13の例に示す帳票データ上で、画像処理において、各項目の位置座標に基づいて画像内で認識された入力項目及び入力値の表示順序に基づいて表示させることもできる。
【0046】
続いて、ステップS203の処理として、ユーザは、ユーザ端末200に表示されるユーザーインターフェース画面上で、エラーとして判定された入力値について、正しい入力値を入力する操作を行い、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、ユーザによる入力された情報(入力値)を受け付ける。例えば、図15に示すように、「視力」の入力項目において、入力値が、数値/単位以外の文字列が入力されているとしてエラー表示されており、ユーザは、これに対し、数値のみの入力操作を行うことで、入力値を更新することができる。サーバ端末100の制御部130の帳票データ処理部133は、受け付けた入力値を、記憶部120のユーザデータ格納部121に、帳票データの入力データとして更新するよう格納する。
【0047】
ここで、図16に示すように、図15においてユーザが参照し、入力を行う入力項目及び入力値を表示する入力領域に対応する、画像データの対応する入力項目及び入力値の箇所を矩形で囲うように重畳的に表示させることで、ユーザは、帳票の画像データと入力領域と相互に参照することもでき、また、エラーに該当する入力項目及び入力値に対応する箇所のみを矩形で囲うなど、識別的に表示させることもできる。また、図17に示すように、ユーザがユーザ端末上でマウスをポイントする等、画像データにおいて入力項目及び入力値が表示される矩形等の領域を選択すると、画像データ上に重畳的に入力項目及び入力値の情報やエラーを知らせるためにコメントを拡大表示させることもできる。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザの手作業による健康診断票等の帳票入力と、その手作業により蓄積された帳票データを活用し、作業を継続することで、後に行われる入力作業の省力化を実現することができる。また、膨大な帳票データに基づいて機械学習モデルを生成し、機械学習により文字認識を行うシステムと比較しても、記憶容量や計算処理コストの省力化を実現でき、システムリソースの経済化の観点からも効果が得られる。
なお、本実施形態の例示として、多種多様なフォーマットを有する帳票の一例として健康診断票の帳票のデータ入力の支援方法について説明したが、同様に多種多様なフォーマットを有する帳票データの入力支援に対しても本実施形態を適用することもできる。
【0049】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 ユーザ端末、NW1 ネットワーク
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