(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117060
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】電子契約支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0633 20230101AFI20240821BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20240821BHJP
【FI】
G06Q10/0633
G06F21/62 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216564
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2023022872
(32)【優先日】2023-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 政人
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の管理者に応じて権限強化を図ると共に関係者のグループ管理を強化し、契約のワークフローの機能を強化して契約業務を推進する。
【解決手段】電子契約支援システムにおいて、契約処理サーバには、電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者を設定し、契約書データの送信に関する送信情報をワークフローから設定すると、契約書データに関連付けて記憶し、複数の関係者の端末で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、当該承認後に送信情報に基づいて契約書データを送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為されたか否かを判定し、契約締結者であれば、契約締結を完了させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関係者が関与して電子契約を行う電子契約支援システムであって、
契約書データの締結を行うためのワークフローを前記関係者の端末で利用可能な形で提供する契約処理サーバを備え、
前記契約処理サーバは、前記電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、前記ワークフローの申請者によって前記契約書データの送信承認者が設定され、前記契約書データの送信に関する送信情報が前記ワークフローから設定されると、前記契約書データに関連付けて記憶し、前記複数の関係者の端末で前記契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が前記送信承認者であるか否かを判定し、前記送信承認者であれば、当該承認後に前記送信情報に基づいて前記契約書データを送信し、前記契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が前記契約締結者によって為されたか否かを判定し、前記契約締結者であれば、契約締結を完了させることを特徴とする電子契約支援システム。
【請求項2】
前記契約処理サーバは、関係者のグループ及び当該グループにおける前記関係者がアクセスできるフォルダを作成、編集及び削除する権限を管理者に付与することを特徴とする請求項1記載の電子契約支援システム。
【請求項3】
前記契約処理サーバは、前記契約締結者を前記管理者に設定させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子契約支援システム。
【請求項4】
前記契約処理サーバは、前記管理者を除き、前記関係者のワークフローの画面では、承認しない契約書データ及び関連データが表示されないよう制限することを特徴とする請求項2記載の電子契約支援システム。
【請求項5】
前記契約処理サーバは、前記複数の関係者を役職に対応付け、人事異動があれば、前記役職に対応する関係者を人事異動のデータによって変更することを特徴とする請求項1記載の電子契約支援システム。
【請求項6】
電子契約の契約書データの締結を行うためのワークフローを複数の関係者の端末で利用可能な形で提供する契約処理サーバで動作するプログラムであって、
前記契約処理サーバを、
前記電子契約を締結する権限を有する契約締結者を予め設定させ、前記ワークフローの申請者によって前記契約書データの送信承認者を設定させ、前記契約書データの送信に関する送信情報が前記ワークフローから設定されると、前記契約書データに関連付けて記憶し、前記複数の関係者の端末で前記契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が前記送信承認者であるか否かを判定し、前記送信承認者であれば、当該承認後に前記送信情報に基づいて前記契約書データを送信し、前記契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が前記契約締結者によって為されたか否かを判定し、前記契約締結者であれば、契約締結を完了させるよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記契約処理サーバを、関係者のグループ及び当該グループにおける前記関係者がアクセスできるフォルダを作成、編集及び削除する権限を管理者に付与するよう機能させることを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記契約処理サーバを、前記契約締結者を前記管理者に設定させるよう機能させることを特徴とする請求項6又は7記載のプログラム。
【請求項9】
前記契約処理サーバを、前記管理者を除き、前記関係者のワークフローの画面では、承認しない契約書データ及び関連データが表示されないよう制限するよう機能させることを特徴とする請求項7記載のプログラム。
【請求項10】
前記契約処理サーバを、前記複数の関係者を役職に対応付け、人事異動があれば、前記役職に対応する関係者を人事異動のデータによって変更するよう機能させることを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン契約における電子契約支援システムに係り、特に、契約における関係者の権限管理、グループ管理及び契約のワークフローの機能強化を実現する電子契約支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来のオンライン契約システムにおいて、複数の権限を契約の関係者に付与して、契約の秘匿性を保持し、適正な権限のある者によって契約締結が実現できるようになっていた。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2007-042011号公報「業務システムの管理装置および方法」(特許文献1)、特開2008-140411号公報「契約管理システム」(特許文献2)、特開2022-028531号公報「情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、受託者と委託者が締結した合意事項に受託業務の制御権限を規定し、権限の範囲内で受託業務を受託者の判断で制御する管理装置が示されている。
【0005】
特許文献2には、ユーザが契約内容データベース、収支データベース、契約関連書類データベースの内容を、与えられたアクセス権限の範囲で見ることができる契約管理システムが示されている。
【0006】
特許文献3には、契約ユーザが連携元のサービスから連携先のサービスへの連携機能を有効化又は無効化する機能を備え、ログインユーザによって連携機能の有効化又は無効化を制御する情報処理装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-042011号公報
【特許文献2】特開2008-140411号公報
【特許文献3】特開2022-028531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記システムでは、契約の関係者に権限を付与する仕組みを備えているものの、関係者のグループの管理を強化し、契約のワークフローの機能を強化して契約業務を推進させるものになっていないという問題点があった。
【0009】
特に、関係者の権限を強化すると、権限を持つ関係者が増え、チェック項目も増えるため、契約業務が煩雑となり、契約業務を効率的に推進させることが困難になっていた。
【0010】
尚、特許文献1~3には、複数の管理者に応じて権限強化を図ると共に契約に関連するグループの関係者のグループ管理を強化し、契約のワークフローの機能を強化して契約業務を推進する構成の記載がない。
【0011】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、複数の管理者に応じて権限強化を図ると共に関係者のグループ管理を強化し、契約のワークフローの機能を強化して契約業務を推進できる電子契約支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数の関係者が関与して電子契約を行う電子契約支援システムであって、契約書データの締結を行うためのワークフローを関係者の端末で利用可能な形で提供する契約処理サーバを備え、契約処理サーバが、電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者が設定され、契約書データの送信に関する送信情報がワークフローから設定されると、契約書データに関連付けて記憶し、複数の関係者の端末で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、当該承認後に送信情報に基づいて契約書データを送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為されたか否かを判定し、契約締結者であれば、契約締結を完了させることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記電子契約支援システムにおいて、契約処理サーバが、関係者のグループ及び当該グループにおける関係者がアクセスできるフォルダを作成、編集及び削除する権限を管理者に付与することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記電子契約支援システムにおいて、契約処理サーバが、契約締結者を管理者に設定させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記電子契約支援システムにおいて、契約処理サーバが、管理者を除き、関係者のワークフローの画面では、承認しない契約書データ及び関連データが表示されないよう制限することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記電子契約支援システムにおいて、契約処理サーバが、複数の関係者を役職に対応付け、人事異動があれば、役職に対応する関係者を人事異動のデータによって変更することを特徴とする。
【0017】
本発明は、電子契約の契約書データの締結を行うためのワークフローを複数の関係者の端末で利用可能な形で提供する契約処理サーバで動作するプログラムであって、契約処理サーバを、電子契約を締結する権限を有する契約締結者を予め設定させ、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者を設定させ、契約書データの送信に関する送信情報がワークフローから設定されると、契約書データに関連付けて記憶し、複数の関係者の端末で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、当該承認後に送信情報に基づいて契約書データを送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為されたか否かを判定し、契約締結者であれば、契約締結を完了させるよう機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約処理サーバを、関係者のグループ及び当該グループにおける関係者がアクセスできるフォルダを作成、編集及び削除する権限を管理者に付与するよう機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約処理サーバを、契約締結者を管理者に設定させるよう機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約処理サーバを、管理者を除き、関係者のワークフローの画面では、承認しない契約書データ及び関連データが表示されないよう制限するよう機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約処理サーバを、複数の関係者を役職に対応付け、人事異動があれば、役職に対応する関係者を人事異動のデータによって変更するよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の関係者が関与して電子契約を行う電子契約支援システムであって、契約書データの締結を行うためのワークフローを関係者の端末で利用可能な形で提供する契約処理サーバを備え、契約処理サーバが、電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者が設定され、契約書データの送信に関する送信情報がワークフローから設定されると、契約書データに関連付けて記憶し、複数の関係者の端末で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、当該承認後に送信情報に基づいて契約書データを送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為されたか否かを判定し、契約締結者であれば、契約締結を完了させる電子契約支援システム及びプログラムとしているので、契約締結の権限を明確にして強化すると共に送信承認者による契約書データの自動送信を実現し、契約締結を推進して利便性を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】本システムの契約書データ送信処理を示すフロー図である。
【
図4】本システムの契約書データ締結処理を示すフロー図である。
【
図5】応用例の管理者等と役職と個人とを関連付ける構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る電子契約支援システム(本システム)は、契約の複数の関係者の立場に応じて権限を付与し、関係者のグループの管理を強化して、契約のワークフロー(単に「ワークフロー」)の機能を強化するものであり、これにより、電子契約の秘匿性を向上させ、契約締結を推進して、利便性を向上させるものである。
【0025】
特に、本システムの契約処理サーバが、電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者が設定され、ワークフローで契約書データの送信に関する送信情報を保持し、複数の関係者の端末で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、承認後に保持した送信情報に基づいて契約書データを自動送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為された場合に、契約締結を完了させるものであり、契約締結の権限を明確にして強化すると共に送信承認者による契約書データの自動送信を実現し、契約締結を推進して利便性を向上させるものである。
【0026】
ここで、ワークフローと契約書データの関係について説明する。
関係者が関係者端末でワークフローのプログラムにアクセスすると、関係者が立場に応じて関係する1つ又は複数の契約書データを参照(閲覧)することができる。
関係者が以下に説明する5段階の権限者のいずれかであるかによって、ワークフローにおける機能利用の権限に制限が設けられている。
【0027】
そして、関係者のワークフローで契約書データ毎に承認が行われると、その承認が次の関係者のワークフローに引き継がれる。承認をワークフローの申請者によって設定された「送信承認者」が行うと、承認後に契約書データが契約相手の送信先に自動送信される。
尚、送信承認者は「締結・文書管理者」である必要はなく、ワークフローの申請者が予め設定した者であればよい。
また、契約書が複数の相手に対して同じ文面である場合には、当該複数の契約書データを一括承認して、一括送信することも可能である。
【0028】
[本システム:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの構成概略図である。
本システムは、
図1に示すように、契約処理サーバ1と、契約関係者端末2a、2bと、ネットワーク3とから構成されている。
以下に説明する各種の権限者は、契約関係者端末2a、2b(以下、単に「関係者端末2」と称することがある)を利用するものであるから、実際は更に複数の関係者端末2が接続されるものである。
【0029】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[契約処理サーバ1]
契約処理サーバ1は、
図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備え、記憶部12に記憶された処理プログラムを制御部11で実行することで本実施形態の特徴的な処理を実現している。
【0030】
[制御部11]
制御部11は、処理プログラムの実行により、関係者の立場に応じて権限を付与して権限管理を強化し、関係者が属するグループについてグループ内のフォルダへのアクセス権限の制御等によりグループ管理を強化し、関係者にワークフローを提供すると共にワークフローの閲覧権限によりワークフローの閲覧を制御すると共にワークフロー承認後に契約書データの自動送信を行うなど機能強化を実現している。処理の詳細については後述する。
【0031】
[記憶部12]
記憶部12は、処理プログラムを記憶し、関係者の氏名、ID(識別子)、パスワード、メールアドレスを記憶し、後述するグループの関係を記憶し、グループにおいてアクセス可能なフォルダを記憶している。
当該フォルダには、契約書データ、関連資料等が記憶される。
また、関係者において「全権管理者」、「締結・文書管理者」、「文書管理者」、「作成・送信者」、「作成者」の5段階の権限設定を記憶している。当該権限設定については後述する。
【0032】
[インタフェース部13]
インタフェース部13は、契約処理サーバ1をネットワーク3に接続するためのインタフェースである。
【0033】
[関係者端末2]
関係者端末2は、契約の関係者が使用する情報処理装置(PC:パーソナルコンピュータ)である。
契約の一方の当事者では、複数の関係者が関与し、他方の当事者でも、複数の関係者が関与している。また、契約内容によって関係者のグループが異なり、そのグループ内では少なくとも契約締結の権限がある「締結・文書管理者」が含まれる。
関係者端末2は、ワークフローが利用可能で、関連文書を作成し、締結・文書管理者であれば、契約の締結を行うことができる。
【0034】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、インターネットを想定している。尚、ネットワーク3を介して送受信されるデータは暗号化されている。
【0035】
[関係者の権限]
次に、関係者の立場に応じた権限について説明する。
本システムでは、権限者として、「全権管理者」、「締結・文書管理者」、「文書管理者」、「作成・送信者」、「作成者」の5段階のパターンがあり、各権限者に応じて権限が設定されている。以下、各権限者について説明する。
【0036】
[全権管理者]
全権管理者は、関係者端末2で契約処理サーバ1に、全てのグループを設定でき、設定した全てのグループ一覧を閲覧でき、当該グループにおけるフォルダを設定でき、グループの作成・編集・削除を行えるよう権限が許可されている。
つまり、全権管理者は、グループの仕組みを自在に設計できる権限を有する。
【0037】
また、全権管理者は、設定したグループに締結・文書管理者、文書管理者、作成・送信者及び作成者を設定する権限を有する。ここで、締結・文書管理責任者等の設定は、招待によって為される。
尚、ワークフローにおける契約書データの送信承認者は、当該ワークフローの申請者によって設定されるもので、上記権限者のいずれかの関係者が設定される。
そして、全権管理者は、設定したグループ内の文書を閲覧でき、当該グループ内に文書を作成でき、当該グループ内の文書を送信できるよう権限が許可されている。
【0038】
[締結・文書管理者]
締結・文書管理者は、関係者端末2で契約処理サーバ1に、グループを設定することができず、グループ一覧を閲覧することができないよう権限が制限され、全権管理者によって許可されたグループ(権限のあるグループ)内でフォルダを設定できるよう権限が許可されている。
【0039】
また、締結・文書管理者は、契約締結者であり、契約の相手側から返信された署名済の契約書データを確認して契約締結を完了させる者である。当該契約締結者が確認しないと契約締結が完了しないものである。よって、契約処理サーバ1は、署名された契約書データについて契約締結者によって確認が為されたか否かを判定して、契約締結者による確認が為されると契約締結を完了するものである。
【0040】
更に、締結・文書管理者は、権限のあるグループに文書管理者、作成・送信者及び作成者を招待によって設定する権限を有する。
そして、締結・文書管理者は、権限のあるグループ内の文書を閲覧でき、当該グループ内に文書を作成でき、当該グループ内の文書を送信でき、契約を締結できるよう権限が許可されている。
【0041】
[文書管理者]
文書管理者は、契約処理サーバ1にグループを設定することができず、グループ一覧を閲覧することができないよう権限が制限されている。
そして、文書管理者は、所属するグループ内の文書を閲覧でき、当該グループ内に文書を作成でき、当該グループ内の文書を送信できるよう権限が許可されている。
しかしながら、文書管理者は、契約を締結する権限が設定されていない。
【0042】
[作成・送信者/作成者]
作成・送信者は、所属するグループ内の文書を閲覧でき、当該グループ内に文書を作成でき、作成した文書を送信できるよう権限が許可されている。
作成者は、所属するグループ内の文書を閲覧でき、当該グループ内に文書を作成できるよう権限が許可されているが、作成した文書を送信できないよう権限が制限されている。
【0043】
[機能毎の権限者]
権限者における許可された機能と禁止された機能について説明する。
上記全てのパターンの権限者は、関係者端末2でワークフローを利用でき、文書の作成の権限が付与されている。
【0044】
但し、作成者及び作成・送信者は、本人が申請・承認のルートに入っている契約書のワークフローのみを閲覧でき、その他の契約書のワークフローは閲覧できないようになっている。
また、文書管理者及び締結・文書管理者も本人が申請・承認のルートに入っている契約書のワークフローのみを閲覧できるようにしてもよいが、文書管理の立場からワークフローの閲覧の制限を設けないようにしてもよい。
【0045】
そして、文書管理者、締結・文書管理者、全権管理者には、保管管理の機能に関する「テンプレート登録・管理」、「フォルダ登録・管理」、「PDFアップロード」、「検索項目・関連文書の付与」の権限が与えられている。
尚、上記の権限の一つ又は複数をワークフローに紐付けても紐付けなくてもよい。
【0046】
テンプレート登録・管理の機能は、契約のテンプレートに登録し、そのテンプレートの修正、削除の管理を行うものである。
フォルダ登録・管理の機能は、権限のあるグループにおいてフォルダに登録し、そのフォルダの削除、当該フォルダの名称変更の管理を行うものである。
【0047】
PDFアップロードの機能は、契約関連の資料をPDF化して契約書データに関連付けてアップロードするものである。
検索項目・関連文書の付与の機能は、契約書データ及びテンプレートを検索するための検索項目を設定可能にするものであり、また、契約書データ及びテンプレートに関連する文書を紐付けるものである。
【0048】
また、全権管理者には、チーム(会社)全体の設定の機能に関する「チーム設定」「グループ管理」等の権限が与えられている。このチーム全体の設定の機能は、文書管理者、締結・文書管理者には権限が付与されていない。そして、全権管理者は、全ての権限が付与されるものである。
上述したように、チーム設定の機能は、チームを設定するもので、グループ管理の機能は、グループの作成・編集・削除を行うものである。
【0049】
[グループ管理:
図2]
次に、本システムにおけるグループ管理の例について
図2を参照しながら説明する。
図2は、グループ管理の例を示す概略図である。
全権管理者は、
図2に示すように、グループA~Gを設定でき、フォルダA&B、フォルダC&D、フォルダA、フォルダB、フォルダCを作成して設定できる。
全権管理者は、グループの作成・編集・削除、当該グループに関連するフォルダの作成・編集・削除を行うことができ、グループの仕組みを制御している。
【0050】
そして、例えば、締結・文書管理者(1)が、グループAとグループBに権限が全権管理者から付与されている場合にフォルダA&B、フォルダA、フォルダBにアクセス可能であり、締結・文書管理者(2)が、グループCとグループDに権限が全権管理者から付与されている場合にフォルダC&D、フォルダCにアクセス可能である。
【0051】
また、例えば、作成・送信者が、グループEに所属している場合には、フォルダA内の文書データを作成し、送信することができ、送信者が、グループGに所属している場合には、フォルダC内の文書データを作成することができる。
【0052】
[処理の概要]
本システムでは、ワークフローの画面で入力した契約書データの送信時に必要となる送信方法、送信先、メッセージ、その他選択項目の送信情報を保持した状態で、ワークフローで申請・承認を行えるようにしている。
ここで、送信方法は、契約締結の種類を示すもので、メール、SMS(Short Message System)又はURL(Uniform Resource Locator)のいずれかで、その他選択項目は、電子サイン又は電子署名の署名方法、締結の有効期限等がある。
【0053】
そして、本システムは、契約書データの送信承認依頼のワークフローが完了した時点で保持した送信情報に基づき設定された送信方法で、設定された送信先にメッセージを付加して契約書データを自動的に送信する。
尚、契約書データの自動送信の機能は、ワークフロー単位でオン(有)/オフ(無)を設定でき、また、会社(チーム)単位でオン/オフを設定できるようにしている。
【0054】
[契約書データ送信処理フロー:
図3]
本システムにおける処理について
図3を参照しながら説明する。
図3は、本システムの契約書データ送信処理を示すフロー図である。
尚、関係者端末2から電子契約締結のワークフローを新規に申請し、電子契約に係る契約書データの送信を承認する送信承認者が設定されている状態である。
そして、関係者端末2のワークフロー画面で、契約書データの送信方法、メールアドレス等の送信先、メッセージ等の送信情報が入力される(S1)と、契約処理サーバ1が記憶部12に送信情報を当該契約書データに関連付けて記憶する(S2)。
【0055】
次に、複数の関係者が関係者端末2で各自のワークフローにより契約書データの承認の操作を行う(S3)。
そして、その承認者が「送信承認者」であるか否かを判定し(S4)、「送信承認者」であれば(Yesの場合)、ワークフローに関連付けて記憶された送信情報に基づいて当該契約書データを送信し(S5)、処理を終了する。
承認者が「送信承認者」でなければ(Noの場合)、処理S3に戻って、次の関係者の承認が為される。
上述したように、送信承認者は必ずしも「締結・文書管理者」である必要はなく、予めワークフローの申請者によって設定された承認者(「作成者」を除く)であればよい。
【0056】
以上の処理は、契約書データの送信側を中心に説明したが、契約書データの受信側においてワークフロー類似の機能を提供するために、受信側における複数承認を必須として送信者が送信することで、受信者だけでなく第三者の承認も必須として契約書データの送付を行うことができる仕組みを備えるようにしてもよい。
【0057】
[契約書データ締結処理フロー:
図4]
次に、本システムにおける契約書データの締結処理について
図4を参照しながら説明する。
図4は、本システムの契約書データ締結処理を示すフロー図である。
図3の処理で、送信側から契約書データを契約の相手方に送信すると、受信側では、契約書データの確認、承認が為され、当該契約書データに電子的な署名が為されて送信側に返信される。
【0058】
その状態で、関係者端末2で、返信された署名済の契約書データについて確認処理を行う(S11)。
そして、契約処理サーバ1は、当該確認が「契約締結者」であるか否かを判定し(S12)、「契約締結者」でなければ(Noの場合)、処理S11に戻り、「契約締結者」であれば(Yesの場合)、契約締結を完了し(S13)、当該契約書データについての処理を終了する。
以上のようにして契約締結の処理が行われるものである。
【0059】
[その他権限強化処理]
全権管理者のみが、自分、自分以外のメールアドレスを変更できるよう権限が許可されている。
全権管理者が、チーム(グループ)設定、チームメンバー招待・権限管理で、二要素認証、シングルサインオンや他のサービスアカウントによるログインを設定しているか、確認できる権限が許可されている。
全権管理者が、チーム設定、チームメンバー招待・権限管理で、二要素認証、クラウドフォルダ連携を設定しているか、確認できる権限が許可されている。
【0060】
また、本システムでは、以下の制限を設けている。
テンプレート以外の文書を作成できないよう制限する。
テンプレート毎に初期設定のフォルダを紐づけるよう制限する。
ワークフローで作成した文書を格納するフォルダが指定されるよう制限する。
テンプレート毎に設定されるワークフロー(ワークフローの細分化)を制限する。例えば、テンプレートの形式又は内容によって、関与(承認)できる役職のルートが特定されるようワークフローを制限するものである。
ワークフローの閲覧共有を制限する。
補足資料の削除を制限する。
チームメンバーに、権限を指定してメンバー招待を許可する。
二要素認証をしていないユーザがログインした場合に、設定画面に移行させ、二要素認証をしていないと使用できないよう制限する。
【0061】
[応用例:
図5]
次に、本システムの応用例について
図5を参照しながら説明する。
図5は、応用例の管理者等と役職と個人とを関連付ける構成の概略図である。
本システムでは、全権管理者、締結・文書管理者、文書管理者、作成・送信者、作成者(これらの者を単に「管理者等」と記載することがある)は、社内の役職にある個人に紐付けられている。つまり、管理者等に対応する役職の個人情報(氏名、ID、メールアドレス等)が管理者等に直接紐付けられ、設定されている。
【0062】
しかしながら、社内の人事異動が発生すると、人事異動の度に権限を有する役職と個人情報との紐付けを手動で変更する作業が必要になり、その作業は大変で、誤りが発生することもある。
本システムは、権限を有する管理者と個人情報とを直接結び付けているが、本システムの応用例では、
図5に示すように、管理者等情報と役職情報を対応付ける管理者等情報・役職情報テーブル21と、役職情報と個人情報を対応付ける役職情報・個人情報テーブル22とを形成し、この2つのテーブルで管理者等と個人情報を結び付けるようにしている。尚、2つのテーブルは、契約処理サーバ1の記憶部12に記憶されている。
【0063】
具体的には、人事異動の際に従業員の人事を管理する従業員マスタ31を参照して、該当する役職に対応する従業員の個人情報(氏名、ID、メールアドレス等)を読み取り、役職情報・個人情報テーブル22の個人情報に設定する。
【0064】
また、管理者等に対する職制を変更する場合には、管理者等情報・役職情報テーブル21の役職を権限のある管理者が変更することになる。
更に、役職情報・個人情報テーブル22は、従業員マスタ31にリンクさせるようにし、従業員マスタ31が更新されたタイミングに同期して、役職情報・個人情報テーブル22も更新するようにすれば、更新の手間がなくなり、更新の誤りをなくすことができる。
【0065】
[本システムの応用例の処理:
図6]
本システムの応用例の処理について
図6を参照しながら説明する。
図6は、応用例の処理を示すフロー図である。
本システムの契約処理サーバ1の制御部11が記憶部12の処理プログラムを読み込んで実行することで実現するものであり、
図6に示すように、人事異動が発生すると従業員マスタ31が変更され、当該変更が従業員マスタ31を管理する人事管理システム30から契約処理サーバ1に通知される(S21)。
【0066】
次に、契約処理サーバ1は、従業員マスタ31に人事異動の変更分のデータを要求し(S22)、変更分のデータを受信する(S23)。ここでは、契約処理サーバ1が変更分のデータを要求するようにしているが、人事管理システム30から自動的に人事異動の変更分のデータを契約処理サーバ1に送信するようにしてもよい。
【0067】
そして、契約処理サーバ1の制御を11は、記憶部12の役職情報・個人情報テーブル22を受信した変更分のデータに従って更新する(S24)。具体的には、人事異動の変更分のデータには、役職名と対応する個人情報が含まれているので、該当する役職名に対応する個人情報を書き換える。
【0068】
人事異動により新しい職制の変更がある場合には、全権管理者によって管理者等情報・役職情報テーブル21を変更することになり、それに応じて役職情報・個人情報テーブル22も更新される。
このようにして、管理者等情報・役職情報テーブル21及び役職情報・個人情報テーブル22が更新され、人事異動の際の管理者等の変更を容易に行うことができるものである。
【0069】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、契約処理サーバ1が、電子契約を締結する権限を有する契約締結者が予め設定されており、ワークフローの申請者によって契約書データの送信承認者が設定され、ワークフローで契約書データの送信に関する送信情報を保持し、複数の関係者の端末2で契約書データの承認が為された場合に、当該承認をした者が送信承認者であるか否かを判定し、送信承認者であれば、承認後に保持した送信情報に基づいて契約書データを自動送信し、契約書データを受信した受信側から署名された契約書データが返送されると、当該契約書データの締結確認が契約締結者によって為された場合に、契約締結を完了させるものとしているので、契約締結の権限を明確にして強化すると共に送信承認者による契約書データの自動送信を実現し、契約締結を推進して利便性を向上させ、電子契約の秘匿性を向上させることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、複数の管理者に応じて権限強化を図ると共に関係者のグループ管理を強化し、契約のワークフローの機能を強化して契約業務を推進できる電子契約支援システム及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0071】
1…契約処理サーバ、 2(2a,2b)…契約関係者端末(関係者端末)、 3…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 21…管理者等情報・役職情報テーブル、 22…役職情報・個人情報テーブル、 30…人事管理システム、 31…従業員マスタ