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特開2024-117061情報処理装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117061
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】情報処理装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240821BHJP
   G06Q 50/00 20240101ALI20240821BHJP
【FI】
G06Q30/0201
G06Q50/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219002
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2023022280の分割
【原出願日】2023-02-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】521366137
【氏名又は名称】株式会社COクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅弘
(57)【要約】
【課題】コミュニティの新たなプラットフォーム技術を提供する。
【解決手段】インターネットNW上でそれぞれオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティに対して専用のプラットフォームを提供する情報処理装置1である。この情報処理装置1は、対象コンテンツと、コミュニティ毎の行動方針に基づくオーナーおよびメンバーの時系列の行動内容とを取得し、行動方針および行動内容を分析してコミュニティ毎に個性化する。また、分析の結果に基づいて対象コンテンツへの関心予測値をコミュニティ毎に解析する。そして、解析の結果に応じて1つ以上のコミュニティを選定し、選定された1つ以上のコミュニティに対して対象コンテンツを提示するとともに該提示に起因する当該コミュニティの行動内容の変化を定性的又は定量的に評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワーク上でそれぞれオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティに対して専用のプラットフォームを提供する情報処理装置であって、
ミュニティ毎の行動方針に基づく前記オーナーおよび前記メンバーの時系列の行動内容と、前記オーナーおよび前記メンバーのそれぞれのメンバー属性と、を取得する取得手段と、
前記行動方針、前記オーナー属性、前記メンバー属性、時系列に取得した前記オーナーおよび前記メンバーの行動内容を分析し、分析結果に応じて、前記コミュニテイ、前記オーナーおよび前記メンバーを所定基準でグループ化、細分化又は階層化して新たなコミュニティに分類する分析手段と、
分類された新たな前記コミュニティを前記プラットフォームの新たな提供先として保存する管理手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記行動方針には、前記オーナーが当該コミュニティに与えたい価値と当該コミュニティにおける当該オーナーの行動履歴とが関連付けられている
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記管理手段は、複数のオーナー属性同士が所定基準で類似する場合、各オーナー属性に対応するオーナー同士を関連付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記管理手段は、複数のメンバー属性同士が所定基準で類似する場合、各メンバー属性に対応するメンバー同士を関連付ける、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定の対象コンテンツがいずれかの前記コミュニティに提示されたときの当該対象コンテンツに対する当該コミュニティの前記行動内容の変化を定性的又は定量的に評価する評価手段と、をさらに備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象コンテンツが、事業品目候補となる商品、役務又は商品および役務の組みあわせの事業の実現性を予測するために作成又は修正された1つ以上の仮説に関するコンテンツである
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
通信機能を有するコンピュータを、請求項1に記載の情報処理装置として動作させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンピュータネットワーク上のコミュニティに対してプラットフォームを提供する情報処理装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータネットワーク上の交流の場であるコミュニティ(オンライン・コミュニティ)をビジネスに活用することがよく行われている。例えば特許文献1に、コミュニティをマーケティングに活用する技術が開示されている。この技術では、コミュニティ内で行動態様が変化したユーザに着目し、そのユーザがコミュニティで反応していた他のユーザのコメント情報を抽出することにより何らかの要因によってユーザの行動態様に影響を与えるコメント情報を抽出し、この内容を分析してマーケティングに用いている。
【0003】
特許文献2には、コミュニティを利用する複数のユーザが対象店舗の来店に向けて起こしたアクションを示すユーザアクション情報を取得し、このユーザアクション情報に基づいて、複数のキャンセル待ち店舗ユーザそれぞれの、コミュニティにおけるこだわり度を推定し、こだわり度が低いほど、いずれかの予約可能店舗への予約変更の案内を受ける対象ユーザとして選定されやすくする技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、コミュニティごとに当該コミュニティの活動情報を取得し、取得した活動情報からコミュニティ特性を抽出し、このコミュニティ特性に基づいてターゲットコミュニティに対して少なくとも1つのカテゴリーを推薦する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5815168号公報
【特許文献2】特開2022-80621号公報
【特許文献3】特開2022-87835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネットワーク技術の普及に伴う消費者等の生活様式の多様化に伴い、事業品目に対する市場ニーズの変化が顕著となっている。また、デジタル技術が進化する中で、以前にはなかった新たな市場ニーズないし新たな市場がしばしば生まれている。そのため、特許文献1~3に開示されている従前の事実等の分析結果に基づくコミュニティの活用形態では、絶えず変化する市場ニーズを適確に把握しにくくなっており、改善が求められていた。
【0007】
本発明の課題の一つは、事業品目の市場ニーズの流動化に柔軟に対応したマーケティングを容易にするコミュニティのプラットフォーム技術を提供することにある。本発明の他の課題は、本開示により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様は、コンピュータネットワーク上でそれぞれオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティに対して専用のプラットフォームを提供する情報処理装置であって、ミュニティ毎の行動方針に基づく前記オーナーおよび前記メンバーの時系列の行動内容と、前記オーナーおよび前記メンバーのそれぞれのメンバー属性と、を取得する取得手段と、前記行動方針、前記オーナー属性、前記メンバー属性、時系列に取得した前記オーナーおよび前記メンバーの行動内容を分析し、分析結果に応じて、前記コミュニテイ、前記オーナーおよび前記メンバーを所定基準でグループ化、細分化又は階層化して新たなコミュニティに分類する分析手段と、分類された新たな前記コミュニティを前記プラットフォームの新たな提供先として保存する管理手段と、を備える情報処理装置である。
この情報処理装置は、例えば、通信機能を有するコンピュータが、コンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現が可能である。
【発明の効果】
【0009】
上記態様の発明によれば、商品や役務の市場ニーズの流動化に柔軟に対応したマーケティングを容易にするコミュニティのプラットフォーム技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の情報処理装置の全体構成図である。
図2】属性が類似するオーナーのグループ化の例示図である。
図3】情報処理装置からみたインターネット上のコミュニティの例示図である。
図4】ある登録コミュニティに固有となるトップ画面の例示図である。
図5】情報処理装置による仮説処理の手順説明図である。
図6】0次仮説処理の詳細説明図である。
図7】1次仮説処理の詳細説明図である。
図8】2次仮説処理の詳細説明図である。
図9】3次仮説処理の詳細説明図である。
図10】4次仮説処理の詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をコンピュータネットワーク上でそれぞれ属性や関心が共通するオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティ(オンライン・コミュニティ)に対してプラットフォームを提供する情報処理装置に適用した場合の実施の形態例を説明する。コミュニティは、例えば、オーナーが集めた、もしくはオーナーの影響下(地域、思想、事象、価値感)におかれているメンバーの集団又はそれぞれの属性の集合をいう。
【0012】
本実施形態の情報処理装置は、コミュニティを通じて、例えば、POC(Proof of Concept)処理、テストマーケティング処理、ファンマーケティング処理等の支援を容易にする。
POCは、商品(製品又はその部品、製品群、部品群を含む)や役務(無形のサービスを含む)等を事業品目としたときに、それが実際に事業として成り立つかどうかについてさまざまな仮説処理を行い、その仮説処理の結果を現実の市場環境にできるだけ近いコミュニティ環境で実証し、実証結果についてさまざまな観点で評価する過程を含む。
テストマーケティング処理は、新商品・役務のリリース前に消費者に利用してもらい、その反応を分析する処理である。ファンマーケティング処理は、商品・役務のファンを増やすためのマーケティング処理である。
【0013】
[全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理装置1の機能構成例を含むコンピュータネットワーク環境の説明図である。情報処理装置1は、コンピュータネットワークの一例となるインターネットNWに接続される、通信機能を有するコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)等のストレージおよびこれらの入出力インタフェースを有するコンピュータユニットを有する。このコンピュータユニットが本発明のコンピュータプログラムを実行することにより、本発明の実施が可能となる。
【0014】
インターネットNWには、複数のコミュニティが構築されている。そのため、インターネットNWには複数のメンバー端末MTと複数のオーナー端末OTとが接続されている。メンバー端末MTはメンバーが操作する通信端末であり、オーナー端末OTはオーナーが操作する通信端末である。いずれも上記のコンピュータユニットを有する通信機能付の情報端末である。
【0015】
情報処理装置1は、CPUが本発明のコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、上記のコンピュータユニットを、通信制御部11、登録部12、情報取得部13、分析部14、解析部15、管理部16,評価部17、情報提示部18、主制御部19として動作させる。また、ストレージ内に、コミュニティDB21、オーナーDB22、メンバーDB23、コンテンツDB24、POC情報DB25を構築する。
【0016】
通信制御部11は、インターネットNWとの間の通信を制御する。登録部12は、インターネットNWに構築されたコミュニティおよび掲載コンテンツをコミュニティDB21に登録する。登録されたコミュニティを登録コミュニティと呼ぶ場合がある。登録部12は、また、各コミュニティへの提示対象となる対象コンテンツ、例えば事業品目候補となる商品又は役務の内容、あるいは商品および役務の組みあわせの内容とその提供条件に関するコンテンツをコンテンツDB24に、その内容の変更が可能な態様で登録する。
【0017】
登録部12は、オーナー登録処理およびメンバー登録処理をも行う。
オーナー登録処理は、コミュニティの開設を受け付けるとともに、当該コミュニティの行動方針(目的・方向性・不足点、当該コミュニティに与えたい価値など)と、オーナーの属性であるオーナー属性と、そのオーナーからの情報発信等の行動履歴などを、そのオーナーのメールアドレスと共に、当該コミュニティの識別情報と関連付けてオーナーDB22に登録する。
【0018】
個人情報保護の観点から、オーナー属性は、それぞれ個人名を除く現実のヒューマン属性(生年月日、血液型、性別等)を1対1に擬似した擬似人格属性であることが望ましい。擬似人格属性は、例えば、ヒューマン属性に基づく占い情報を基に決定される。これにより、オーナー属性を詳細に知得しなくとも、個々のコミュニティにおけるオーナーの行動予測等ができるようになる。
【0019】
メンバー登録処理は、コミュニティに参加しているメンバーの属性であるメンバー属性を当該メンバーのメールアドレスや当該コミュニティの参加時に入力したオーナー側が要求した要求情報と共に、コミュニティ毎に登録する。コミュニティ毎とは、当該コミュニティの識別情報と関連付けることをいう。要求情報は、例えば、オーナーからの設問、好きな食べ物、好きな動物等である。
【0020】
メンバーDB23には、また、当該コミュニティにおけるメンバーの行動履歴も登録される。このメンバー属性も上述した擬似人格属性であることが望ましい。これにより、メンバー属性を詳細に知得しなくとも、当該メンバーの行動予測等ができるようになる。
【0021】
なお、一人のオーナーが、あるコミュニティを主催しながら、他のコミュニティではメンバーとして参加することがある。この場合、そのオーナーはオーナーDB22とメンバーDB23の双方に登録されることになる。
【0022】
情報取得部13は、各オーナー端末OT、各メンバー端末MTおよび登録コミュニティその他のWebサイト、各DB21~24から各種情報を取得する。例えば、対象コンテンツを、インターネットNWに接続された依頼端末(図示省略)又はオーナー端末OT、あるいは、POC情報DB25から取得する。POCに使用するときの対象コンテンツの一つは、例えば、事業品目候補について事業の実現性を予測するために作成又は修正された1つ以上のPOC仮説とその結果を反映したPOC結果である。
情報取得部13は、また、コミュニティ毎の行動方針に基づくオーナーおよびメンバーの時系列の行動内容を、オーナー端末OT、メンバー端末MT、あるいは、オーナーDB22又はメンバーDB23から取得する。
【0023】
分析部14は、コミュニティの内容を分析する。例えば、コミュニティ毎の行動方針、オーナー属性、メンバー属性、時系列に取得したオーナーおよびメンバーの行動内容を分析し、分析結果に応じて、コミュニティ、オーナー、メンバーのグループ化、細分化、階層化等を行う。また、グループ化したときは、それぞれのグループを個性化した上で、各グループを新たなコミュニティとしてコミュニティDB21に追加登録する。
なお、「個性化」とは、例えば当該コミュニティ等に特有の文化や価値を表すカテゴリーに分類することをいう。カテゴリーは、当該コミュニティ等の識別情報の一つとなるものであり、定量的な数値等であることが望ましいが、定性的な語句等であってもよい。
【0024】
図2は、コミュニティ等のグループ化の例示図である。ここではオーナー属性に着目し、実際に存在する複数のコミュニティのうち、「所得」が所定基準を超えて類似する複数のオーナーが所属するグループG10と、「趣味、嗜好」が所定基準を超えて類似する別のグループG20が示されている。そのほかにも、「性別」、「年代」「組織」、「思想」等が所定基準を超えて類似するオーナーをグループ化してもよい。コミュニティあるいはメンバーについても同様である。細分化は、例えば一つのコミュニティ内のメンバーのうち、例えば「所得」、「趣味、嗜好」、「性別」、「年代」「組織」、「思想」等が一致又は類似するメンバー同士を分離することであり、階層化は、例えばグループ化あるいは細分化されたコミュニティ等をジャンル毎に階層的にすることである。
【0025】
グループ化、細分化、階層化等により、情報処理装置1からみたインターネットNW上に存在するコミュニティは、図3に例示するものとなる。すなわち、図示の例では、グループ化された「PTA」コミュニティG30、「勉強会」コミュニティG40、「会社A」コミュニティG50、柔道等の「道場」コミュニティG60、複数のコミュニティから細分化され、さらに階層化された階層化G#1、階層化G#2等が示されている。
【0026】
分析部14は、コミュニティ毎の行動方針のほか、オーナーが当該コミュニティにおいて発信した発信情報のメンバーへの通達率、および/又は、発信情報に対するメンバーの反応内容を例えばコミュニティDB22等から取得して分析し、この分析の結果に基づいて当該コミュニティを個性化してもよい。通達率は、例えばオーナーの発信数に対するメンバーの反応数の比率、あるいは、オーナーの1回の発信情報に呼応したメンバー数等により計算が可能である。
【0027】
分析部14は、コミュニティ毎の行動方針および各コミュニティの行動内容のほか、オーナー属性、メンバー属性、オーナー属性とメンバー属性、および、オーナーとメンバーの人的関係性を表す関係性情報の組みあわせの少なくともいずれかを分析し、この分析の結果に基づいて当該コミュニティを個性化してもよい。
あるいは、分析部14は、インターネットNWの該当Webサイトから取得された各種商品等の市場状況等に基づく市場ニーズを分析する態様であってもよい。
【0028】
解析部15は、各コミュニティの関心時やメンバー等の動向を解析する。例えば分析部14による分析の結果に基づいて、対象コンテンツが提示されたときの当該対象コンテンツに対する関心予測値をコミュニティ毎に解析する。関心予測値は、例えば1%~99%のいずれかの数値であり、インターネットNWに存在する多数のコミュニティサイトやWebサイト、オーナーDB22、メンバーDB23から取得した行動履歴等の統計値を機械学習することにより導出される。
【0029】
管理部16について説明する。管理部16は、主として、コミュニテイ管理、オーナー管理、メンバー管理、コンテンツ管理、仮説管理を行う。
【0030】
管理部16が行うコミュニティ管理は、登録コミュニティのほか、インターネットNW上に存在する多数のコミュニティのうち所定条件に適合するコミュニティの探索を行い、探索により特定されたコミュニテイのオーナーのオーナー属性とメンバーのメンバー属性とを特定する。また、特定したオーナー属性をオーナDB22に追加登録し、特定したメンバー属性をメンバーDB23に追加登録する。また、分析部15によりグループ化、細分化、階層化された新たなコミュニティを生成し、これをコミュニティDB21に追加登録する。また、登録又は追加登録されたコミュニティの情報を適宜修正又は削除する。
【0031】
管理部16が行うオーナー管理は、例えば、オーナーDB22へのコミュニティ毎のオーナー属性の登録、追加登録、修正、削除、同一人のメンバー属性およびコミュニティの関連付けである。また、オーナー属性に基づいて属性が類似するオーナーを特定し、特定したオーナー属性同士を関連付けるのもオーナー管理の一態様である。オーナー属性の類否の判別は、例えば、協調フィルタリング(collaborative filtering)アルゴリズム等を利用することにより行うことができる。協調フィルタリングの他にも、公知のクラスタリングアルゴリズムや機械学習アルゴリズムを利用することもできる。
【0032】
管理部16が行うメンバー管理は、メンバーDB22へのコミュニティ毎のメンバー属性の登録、追加登録、修正、削除、同一人のオーナー属性およびコミュニティの関連付けである。また、メンバー属性に基づいて属性が類似するメンバーを特定し、特定したメンバー属性同士を関連付けるのもメンバー管理の一態様である。メンバー属性の類否の手法は、オーナー属性の類否判別と同じ手法を用いることができる。
【0033】
管理部16が行うコンテンツ管理は、例えば登録コミュニティのメンバーの行動履歴に基づいて、上記の関心予測値が一定値以上となることが予想される固有コンテンツやオリジナルのアプリケーションを生成し、あるいは、オーナー端末OTから取得し、それらをコンテンツDB24へ登録するとともに、適宜、編集や削除を受け付ける。
固有コンテンツの一つは、当該コミュニティに固有となるトップ画面やその下位層画面にリンクされている動画、静止画、アプリケーション又はこれらが保管されているWebサイトのURL等である。上記対象コンテンツも固有コンテンツの一つである。
【0034】
図4は、固有コンテンツの例示図である。図4の例では、ある登録コミュニティに固有となるトップ画面が示されている。図示の例では、すべての登録コミュニティに対する「お知らせ」201、202、「コミュニティオーナーからのお知らせ」203のほか、当該登録コミュニティのオーナーとメンバーだけが閲覧ないし利用可能なコンテンツ群200が掲示されている。
【0035】
管理部16が行う仮説管理は、対象コンテンツのテストマーケティング、ファンマーケティング、POCのための仮説を生成する。仮説は最も確からしいと考えられる仮の答えであり、分析部14の分析結果、および/又は、解析部15の解析結果を用いて生成することができる。例えばある商品に対する上記の関心予測値が低いときに、「価格が高すぎる」、「不要な機能が多すぎる」等が仮説の一つとなり得る。
仮説には「現状仮説」と「実行仮説」とがある。現状仮説とは、「現状はこのようになっているのではないか」という現状推測に基づく仮説である。現状仮説は、誰に何を聞けばよいのかが明確になる利点がある。他方、実行仮説とは、「現状仮説がそのようなものであれば、このような戦略をとれば、うまくいくのではないか」という実行策に基づく戦略的な仮説である。
【0036】
評価部17について説明する。評価部17は、各コミュニティの目的に応じた様々な評価を行う。評価のための情報は、例えば、コミュニティDB21、オーナーDB22、メンバーDB23、コンテンツDB24から取得し、および/又は、管理部16を通じて取得される解析部15の解析結果を用いることができる。
【0037】
一つの態様では、評価部17は、上記仮説の検証を行う。また、一つの態様では、評価部17は、解析部16の解析の結果に応じて、対象コンテンツを投入する1つ以上のコミュニティを選定し、選定された1つ以上のコミュニティに対して対象コンテンツを提示するとともに該提示に起因する当該コミュニティの行動内容の変化を定性的又は定量的に評価する。提示先となる1つ以上のコミュニティの選定は、例えば、上記の関心予測値が相対的に高い1つ以上のコミュニティを特定することで行う。あるいは、対象コンテンツへの関心予測値が一定値を超えるすべてのコミュニティを特定することで行う。
【0038】
情報提示部18は、評価部17によって選定されたコミュニティに対し、通信制御部11を通じて提示コンテンツを提示する。
主制御部19は、上述した通信制御部11、登録部12、情報取得部13、分析部14、解析部15、管理部16,評価部17、情報提示部18の動作を統括的に制御する。
【0039】
[運用形態]
次に、上記のように構成される情報処理装置1をPOCプラットフォームとして運用する場合の例を説明する。ここでは、図5に示す通り、情報処理装置1が、0次仮説処理S0、1次仮説処理S1、2次仮説処理S2、3次仮説処理S3,4次仮説処理S4,POC処理S5の順に処理を行う場合の例を説明する。
【0040】
図6は、情報処理装置1が実行する0次仮説処理(S0)の詳細手順説明図である。
0次仮説処理では、POC準備のための現状仮説処理を行う。情報処理装置1は、まず、対象コンテンツの例として事業品目候補となる複数の商品のセットレンタルの情報入力を受け付ける(S01)。そして、対象コンテンツ分析(S02)とコミュニティ分析(S03)とを行う。対象コンテンツ分析は、本例では、複数の商品の内容とセットレンタルの提供価格であるものとする。コミュニティ分析は、例えば商品セットレンタルに関する話題がなされているコミュニティを探索する処理である。
【0041】
情報処理装置1は、そのようなコミュニティが存在する場合、商品セットレンタルのターゲット顧客(想定顧客)を決定する(S04)。ターゲット顧客は、購入者、購入予定者、購入検討者等が含まれる。ターゲット顧客が決定された場合、情報処理装置1は、注目するコミュニティ、すなわち商品セットレンタルに関するコンテンツ(カタログや提案書等)の提示先となるコミュニティを選定し、該コンテンツを提示する(S05)。情報処理装置1は、コミュニティ反応度合いを検出し(S06)、検出結果をPOC情報DB25に保存(登録)する(S07)。コミュニティ反応度合いは、例えば、オーナーおよびメンバーの発言回数、発言内容(肯定的/否定的)、オーナーの発言に対するメンバーの反応率(肯定的/否定的/無視)、所定の基準値に対する上記の関心予測値の比率等により検出することができる。
【0042】
図7は、情報処理装置1が実行する1次仮説処理(S1)の詳細手順説明図である。
1次仮説処理では、コミュニティの各メンバーの意識や行動に大きく影響を与えやすいという法則性を利用してオーナーの属性に着目した仮説処理を行う。
情報処理装置1は、まず、0次仮説処理の検出結果を分析する(S11)。分析結果によっては、商品セットレンタルの提供条件を変える。次に、提示先のコミュニティを主導するオーナーのオーナー属性を取得し(S12)、そのオーナー属性に基づいて商品セットレンタルに対するオーナーの行動が予測済かどうかを判定する(S13)。行動予測済の場合(S13:Y)、そのオーナーを商品セットレンタルのペルソナとして登録する(S14)。「ペルソナ」は、個性を持った仮想人格であり、さまざまな購買活動や行動履歴をもとに作成される。本実施形態では、ペルソナを購買予測や嗜好予測のための仮想人格として使用する。
【0043】
情報処理装置1は、上記のペルソナとなるオーナーの行動履歴に基づいて商品セットレンタルの購入者等を推定し(S15)、当該商品セットレンタルについての市場ニーズを、例えばインターネットNWの該当Webサイトにアクセスすることにより検出する(S17)。また、そのオーナーのオーナー属性と類似する属性をもつオーナーが所属する他のコミュニティを類似コミュニティとして検出する(S18)。類似コミュニティの情報は、次の仮説処理のために用いるコミュニティ又は類似市場ニーズの検出に用いることができる。S13において、オーナーの行動が予測されていない場合(S13:N)は、そのオーナーに対して電子メールでヒアリングする等、行動情報を別途の手法で取得し、予測処理をした後(S16)、市場ニーズの検出の処理に移る(S17)。情報処理装置1は、1次仮説処理の結果を、POC情報DB25に保存(登録)する(S19)。
【0044】
図8は、情報処理装置1が実行する2次仮説処理(S2)の詳細手順説明図である。
2次仮説処理では、コミュニティの各メンバーの属性に着目した仮説処理を行う。すなわち、情報処理装置1は、まず、1次仮説処理の結果を分析し、新たな課題が発見された場合は、対象コンテンツである商品セットレンタルの提供条件を変える(S21)。また、商品セットレンタルの情報の提示先のコミュニティのメンバーのメンバー属性を取得し(S22)、メンバー属性に基づいて対象コンテンツに対する行動が予測済かどうかを判定する(S23)。行動予測済の場合(S23:Y)、そのメンバーを商品セットレンタルのペルソナとして登録する(S24)。ペルソナについては上述の通りである。
【0045】
ペルソナとなるメンバーの行動履歴に基づいて商品セットレンタルの購入者等を推定し(S25)、当該商品セットレンタルについての市場ニーズを検出する(S27)。また、そのメンバーのメンバー属性と類似する属性をもつ類似メンバーおよびその類似メンバーが所属する他のコミュニティを類似コミュニティとして検出する(S28)。類似メンバーの情報は、新たなコミュニティのためのプラットフォーム提供あるいは、類似市場ニーズの検出などに用いることができる。
S23において、メンバーの行動が予測されていない場合(S23:N)は、そのメンバーに対して電子メールでヒアリングする等、行動情報を別途の手法で取得し、行動情報に基づく予測処理をした後(S26)、その結果を基に市場ニーズ検出の処理に移る(S27)。情報処理装置1は、2次仮説処理の結果を、POC情報DB25に保存(登録)する(S29)。
【0046】
図9は、情報処理装置1が実行する3次仮説処理(S3)の詳細手順説明図である。
3次仮説処理では、第1段階の実行仮説に関する処理を行う。すなわち、情報処理装置1は、1次仮説処理・2次仮説処理の結果を分析する(S31)。分析の結果に基づき、新たな課題が発見された場合は、商品セットレンタルの提供条件等を変える。
情報処理装置1は、次に、ペルソナとして登録されたオーナーおよびメンバーに対して、実際に商品のサンプルを提供して実際に使用してもらい、提供形態の改善点、購入の可能性、現状の価格、要望等を電子メール等を通じて収集する(S33)。
【0047】
情報処理装置1は、収集した内容を分析ないし解析し、サンプルとして提供した商品についてのペルソナ達の満足の度合いを上述した手法により定量的又は定性的に評価する(S34)。総合的に満足度が想定基準値よりも低い場合(S34:N)、情報処理装置1は、セットレンタルの価格や商品の組みあわせ等を変えた場合のセットレンタルの提供条件に対応する別のサンプルをペルソナに再提供した旨の情報を取得し、S33の処理に戻る(S35)。S34において、満足度が想定基準値を超えている場合(S34:Y)、情報処理装置1は、これまでの仮説処理で検出した市場ニーズの尤度すなわち確からしさを表す指標を高める処理を行う(S36)とともに、さらなる類似メンバーの検出を行う(S37)。情報処理装置1は、3次仮説処理の結果をPOC情報DB25に保存(登録)する(S38)。
【0048】
図10は、情報処理装置1が実行する4次仮説処理(S4)の詳細手順説明図である。4次仮説処理では、第2段階の実行仮説に関する処理を行う。すなわち、情報処理装置1は、3次仮説処理の結果を分析する(S41)。分析の結果により、新たな課題が発見された場合は、その課題を解決する方策候補を、例えば、それまでに発見された課題の解決手法に関する情報を入力とする機械学習により特定する。また、3次仮説処理で特定したペルソナが所属するコミュニティのオーナーおよびメンバーの人間関係バイアスを検出する(S42)。人間関係バイアスは、例えばメンバーの発言に対するオーナーに対する応答の内容(肯定/否定/無視)の程度によって推定される数値である。
【0049】
情報処理装置1は、人間関係バイアスに基づいて再決定した商品のサンプルあるいはそれと異なるサンプルの提供条件を決定するとともに(S43)、ペルソナが所属するコミュニティを含む複数のコミュニティのオーナー、および/又は、メンバーに対して、提供条件を変えたサンプルを同時提供し(S44)、各コミュニティからの応答を解析および評価する(S45)。情報処理装置1は、満足又は不満足とされたコミュニティの個性に合わせたマーケティング又はブランディングの内容を、例えばPOC情報DB25の登録情報と所定フォーマットとに基づいて作成し(S46)、これを4次仮説処理の結果として保存(登録)する(S47)。
【0050】
以上の説明の通り、本実施形態の情報処理装置1では、コミュニティ毎の行動方針に基づくオーナーおよびメンバーの時系列の行動内容を取得し、行動方針および行動内容を分析して分析結果をコミュニティ毎に個性化するとともに、分析の結果に基づいて対象コンテンツ(例えば事業品目の候補に関するコンテンツ)に対する関心予測値をコミュニティ毎に解析する。そして、解析の結果に応じて1つ以上のコミュニティを選定し、選定された1つ以上のコミュニティに対して対象コンテンツを提示するとともに該提示に起因する当該コミュニティの行動内容の変化を定性的又は定量的に評価する。そのため、事業品目の市場ニーズの流動化に柔軟に対応したマーケティングを容易にするコミュニティのプラットフォーム技術を提供することができる。
【0051】
なお、上記の運用形態では、POCを容易にする例について説明したが、テストマーケティング処理又はファンマーケティング処理についても、同様の手順で適用が可能である。また、上記の運用形態では、対象コンテンツとして、商品セットレンタルを事業品目とするときのコンテンツの例を挙げて説明したが、他の事業品目、例えば食品類、衣類、日用品あるいは金融商品やファンド等についても同様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・情報処理装置、11・・・通信制御部、12・・・登録部、13・・・情報取得部、14・・・分析部、15・・・解析部、16・・・管理部、17・・・評価部、18・・・情報提示部、19・・・主制御部、21・・・コミュニティDB、22・・・オーナーDB、23・・・メンバーDB、24・・・コンテンツDB、25・・・POC情報DB。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワーク上でそれぞれオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティに対して専用のプラットフォームを提供する情報処理装置であって、
コミュニティ毎の行動方針に基づく前記オーナーおよび前記メンバーの時系列の行動内容と、前記オーナーのオーナー属性および前記メンバーのメンバー属性と、を取得する取得手段と、
前記行動方針、前記オーナー属性、前記メンバー属性、時系列に取得した前記オーナーおよび前記メンバーの行動内容を分析し、分析結果に応じて、前記コミュニティ、前記オーナーおよび前記メンバーを所定基準でグループ化、細分化又は階層化して新たなコミュニティに分類する分析手段と、
分類された新たな前記コミュニティを前記プラットフォームの新たな提供先として保存する管理手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記行動方針には、前記オーナーが当該コミュニティに与えたい価値と当該コミュニティにおける当該オーナーの行動履歴とが関連付けられている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記管理手段は、複数のオーナー属性同士が所定基準で類似する場合、各オーナー属性に対応するオーナー同士を関連付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記管理手段は、複数のメンバー属性同士が所定基準で類似する場合、各メンバー属性に対応するメンバー同士を関連付ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定の対象コンテンツがいずれかの前記コミュニティに提示されたときの当該対象コンテンツに対する当該コミュニティの前記行動内容の変化を定性的又は定量的に評価する評価手段と、をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象コンテンツが、事業品目候補となる商品、役務又は商品および役務の組みあわせの事業の実現性を予測するために作成又は修正された1つ以上の仮説に関するコンテンツである、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
通信機能を有するコンピュータを、請求項1に記載の情報処理装置として動作させるコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一つの態様は、コンピュータネットワーク上でそれぞれオーナーとメンバーとが集まる複数のコミュニティに対して専用のプラットフォームを提供する情報処理装置であって、コミュニティ毎の行動方針に基づく前記オーナーおよび前記メンバーの時系列の行動内容と、前記オーナーのオーナー属性および前記メンバーのメンバー属性と、を取得する取得手段と、前記行動方針、前記オーナー属性、前記メンバー属性、時系列に取得した前記オーナーおよび前記メンバーの行動内容を分析し、分析結果に応じて、前記コミュニティ、前記オーナーおよび前記メンバーを所定基準でグループ化、細分化又は階層化して新たなコミュニティに分類する分析手段と、分類された新たな前記コミュニティを前記プラットフォームの新たな提供先として保存する管理手段と、を備える情報処理装置である。この情報処理装置は、例えば、通信機能を有するコンピュータが、コンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現が可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
管理部16について説明する。管理部16は、主として、コミュニティ管理、オーナー管理、メンバー管理、コンテンツ管理、仮説管理を行う。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
管理部16が行うコミュニティ管理は、登録コミュニティのほか、インターネットNW上に存在する多数のコミュニティのうち所定条件に適合するコミュニティの探索を行い、探索により特定されたコミュニティのオーナーのオーナー属性とメンバーのメンバー属性とを特定する。また、特定したオーナー属性をオーナDB22に追加登録し、特定したメンバー属性をメンバーDB23に追加登録する。また、分析部15によりグループ化、細分化、階層化された新たなコミュニティを生成し、これをコミュニティDB21に追加登録する。また、登録又は追加登録されたコミュニティの情報を適宜修正又は削除する。