(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011707
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240118BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240118BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20240118BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240118BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
G02B13/00
G03B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113938
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】塩田 了
【テーマコード(参考)】
2H087
2K005
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087LA01
2H087MA05
2H087MA07
2H087MA13
2H087MA16
2H087MA17
2H087NA07
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB14
2H087PB17
2H087PB18
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA29
2H087SA32
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB04
2H087SB05
2H087SB13
2H087SB16
2H087SB24
2H087SB26
2H087SB27
2H087SB31
2H087SB34
2H087SB42
2H087SB44
2H087UA06
2K005CA04
2K005CA23
(57)【要約】
【課題】各レンズ群を構成するレンズの硝材を適切に使用することで、色収差などの諸収差を補正しつつ軽量化を達成した光学系を提供する。
【解決手段】物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、所定の条件式を満足するレンズLAを有することを特徴とする光学系を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFは全体で負の屈折力を有し、前記像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、
少なくとも前記物体側レンズ群GF又は前記像面側レンズ群GRのいずれか一方に、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する光学系。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【請求項2】
請求項1に記載された光学系において、
前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする光学系。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【請求項3】
請求項1に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項4】
請求項1に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項5】
請求項1に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項6】
請求項1に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項7】
請求項1に記載された光学系において、
前記レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、
前記光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFの最も像面側に配置され、又は、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFと同一であり、
前記光学系が変倍しない場合は、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFと同一であり、
前記レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることを特徴とする光学系。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された光学系において、
前記物体側レンズ群GFが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が強くなる、又は、負の屈折力が弱くなる非球面を有することを特徴とする光学系。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された光学系において、
前記像面側レンズ群GRが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が弱くなる、又は、負の屈折力が強くなる非球面を有することを特徴とする光学系。
【請求項10】
物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、前記物体側レンズ群GFは全体で正又は負の屈折力を有し、前記像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、
少なくとも前記物体側レンズ群GF又は前記像面側レンズ群GRのいずれか一方に、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する光学系。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【請求項11】
請求項10に記載された光学系において、
前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする光学系。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【請求項12】
請求項10に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項13】
請求項10に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする光学系。
【請求項14】
請求項10に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより高いことを特徴とする光学系。
【請求項15】
請求項10に記載された光学系において、
前記レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、
前記光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、
前記光学系が変倍しない場合は、合焦に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、
前記レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることを特徴とする光学系。
【請求項16】
請求項10乃至請求項15のいずれかに記載された光学系において、
前記物体側レンズ群GFが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が強くなる、又は、負の屈折力が弱くなる非球面を有することを特徴とする光学系。
【請求項17】
請求項10乃至請求項15のいずれかに記載された光学系において、
前記像面側レンズ群GRが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が弱くなる、又は、負の屈折力が強くなる非球面を有することを特徴とする光学系。
【請求項18】
物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、開口絞りを有し、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する光学系。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【請求項19】
請求項18に記載された光学系において、
前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする光学系。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【請求項20】
請求項18又は19に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする光学系。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項21】
請求項18又は19に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする光学系。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項22】
請求項18に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする光学系。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項23】
請求項18に記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする光学系。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項24】
請求項22又は23に記載された光学系において、
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする光学系。
(5) 0.40 > DFR/LT > 0.10
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DFR:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
前記光学系が変倍する場合、
DFR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
【請求項25】
物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する光学系。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【請求項26】
請求項25に記載された光学系において、
前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする光学系。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【請求項27】
請求項25に記載された光学系において、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする光学系。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項28】
請求項25に記載された光学系において、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする光学系。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【請求項29】
請求項25乃至請求項28のいずれかに記載された光学系において、
前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより低いことを特徴とする光学系。
【請求項30】
請求項29に記載された光学系において、
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする光学系。
(6) 0.70 > HS/HR1 > 0.20
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
HS:無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
前記光学系が変倍する場合、
HS:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置や、投影装置などに用いられるレンズに好適な光学系に関し、色収差を効果的に補正することが可能な光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラ等の高画素化に伴い、撮像装置や、投影装置などに用いられる光学系に対して諸収差を厳しく補正することが求められるようになってきている。
【0003】
そこで、従来提案されてきた光学系においては、特殊低分散ガラスを使用し、波長域のC線からg線にかけて色収差を補正したものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-101750号公報
【特許文献2】国際公開2019―07344号公報
【特許文献3】特開2019-152887号公報
【特許文献4】特開2019-020450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では以下のような問題点があった。
【0006】
特許文献1において、HOYA社のFCD1に相当する特殊低分散ガラスを使用することで、広角端において広画角でありかつ軸上色収差の抑制を図った変倍光学系が提唱されている。しかしながら、特許文献1に記載の光学系は特に広角端において倍率色収差の補正が十分でない問題がある。
【0007】
また、特許文献2において、広画角でありながら軸上色収差を抑制した光学系が提唱されている。しかしながら、特許文献2に記載の光学系は中間画角から画面周辺にかけてC線からF線の光軸方向の結像点のずれによる色のフレアが残りやすい問題がある。
【0008】
また、特許文献3において、フッ化カルシウムに相当する特殊低分散ガラスを使用することで軸上色収差の抑制を図った光学系が提唱されている。しかしながら、特許文献3に記載の光学系はg線からh線にかけての倍率色収差の補正が十分でない問題がある。
【0009】
また、特許文献4において、HOYA社のFCD1に相当する特殊低分散ガラスを使用することで、望遠端において軸上色収差を抑制した変倍光学系が提唱されている。しかしながら、特許文献4に記載の変倍光学系は広角端においては軸上色収差の補正が、望遠端においては倍率色収差の補正が十分でない問題がある。
【0010】
本発明はこのような問題のうち少なくとも1つに鑑みてなされたものであり、レンズ材料を適切に使用することで、色収差などの諸収差を補正した光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る光学系は、物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFは全体で負の屈折力を有し、前記像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、
少なくとも前記物体側レンズ群GF又は前記像面側レンズ群GRのいずれか一方に、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【0012】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【0013】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、
前記光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFの最も像面側に配置され、又は、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFと同一であり、
前記光学系が変倍しない場合は、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFと同一であり、
前記レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記物体側レンズ群GFが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が強くなる、又は、負の屈折力が弱くなる非球面を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記像面側レンズ群GRが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が弱くなる、又は、負の屈折力が強くなる非球面を有することを特徴とする。
【0020】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る光学系は、物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、前記物体側レンズ群GFは全体で正又は負の屈折力を有し、前記像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、
少なくとも前記物体側レンズ群GF又は前記像面側レンズ群GRのいずれか一方に、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【0021】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【0022】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより高いことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、
前記光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、
前記光学系が変倍しない場合は、合焦に際し変化する空気間隔の全てを境界として前記物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、前記レンズ群GFAは前記物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、
前記レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記物体側レンズ群GFが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が強くなる、又は、負の屈折力が弱くなる非球面を有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記像面側レンズ群GRが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が弱くなる、又は、負の屈折力が強くなる非球面を有することを特徴とする。
【0028】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、開口絞りを有し、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【0029】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【0030】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0031】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間隔が変化し、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0032】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0033】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、
前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0034】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、以下の条件式(5)を満足することを特徴とする。
(5) 0.40 > DFR/LT > 0.10
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DFR:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
前記光学系が変倍する場合、
DFR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
【0035】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【0036】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAが以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【0037】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAは、前記物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有し、
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0038】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記レンズLAは、前記像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有し、
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0039】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、前記光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、前記光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより低いことを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係る光学系は、好ましくは、以下の条件式(6)を満足することを特徴とする。
(6) 0.70 > HS/HR1 > 0.20
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
HS:無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
前記光学系が変倍する場合、
HS:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る光学系によれば、各レンズ群を構成するレンズの硝材を適切に使用することで、色収差などの諸収差を補正しつつ軽量化を達成した光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施例1の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図2】実施例1の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図3】実施例1の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図4】実施例1の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図5】実施例1の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図6】実施例1の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図7】実施例1の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図8】実施例2の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図9】実施例2の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図10】実施例2の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図11】実施例2の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図12】実施例2の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図13】実施例2の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図14】実施例2の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図15】実施例3の光学系の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図16】実施例3の光学系の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図17】実施例3の光学系の撮影距離245mmにおける縦収差図である。
【
図18】実施例3の光学系の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図19】実施例3の光学系の撮影距離245mmにおける横収差図である。
【
図20】実施例4の光学系の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図21】実施例4の光学系の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図22】実施例4の光学系の撮影距離230mmにおける縦収差図である。
【
図23】実施例4の光学系の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図24】実施例4の光学系の撮影距離230mmにおける横収差図である。
【
図25】実施例5の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図26】実施例5の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図27】実施例5の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図28】実施例5の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図29】実施例5の変倍光学系の広角端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図30】実施例5の変倍光学系の中間焦点距離の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図31】実施例5の変倍光学系の望遠端の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図32】実施例6の光学系の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図33】実施例6の光学系の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図34】実施例6の光学系の撮影距離2675mmにおける縦収差図である。
【
図35】実施例6の光学系の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図36】実施例6の光学系の撮影距離2675mmにおける横収差図である。
【
図37】実施例7の光学系の無限遠に合焦した状態におけるレンズ構成図である。
【
図38】実施例7の光学系の無限遠に合焦した状態における縦収差図である。
【
図39】実施例7の光学系の撮影距離800mmにおける縦収差図である。
【
図40】実施例7の光学系の無限遠に合焦した状態における横収差図である。
【
図41】実施例7の光学系の撮影距離800mmにおける横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る光学系の実施例について詳細に説明する。なお、本実施例の説明は、本発明に係る光学系の一例を説明したものであり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において本実施例に限定されるものではない。
【0044】
本発明は色収差などの諸収差を良好に補正した光学系の提供を目的としており、光学系を構成するそれぞれのレンズに適切な硝材を使用することが重要となる。
【0045】
従来、軸上色収差と倍率色収差を同時に補正するための手段として、屈折率の波長分散が小さく、かつ、g線付近の短波長側の異常分散性が大きい硝材を当てはめることが知られている。しかし、このような硝材は、屈折率が低い硝材が多いため、短波長の収差の制御には不利に作用する。
【0046】
また、従来の屈折率の波長分散が小さく、かつ、g線付近の短波長側の異常分散性が大きい硝材を使用する場合、軸上色収差と倍率色収差を同時に補正すること、若しくは、変倍光学系の場合において変倍域全域において色収差を補正することは困難であった。
【0047】
例えば、フッ化カルシウム単結晶や、HOYA社FCD100に相当する低分散・異常分散ガラスは、アッベ数やg線異常分散性などが高く、1次スペクトル2次スペクトルの色収差補正において有効であったが、これらを単独で使用することによりC線からg線までの色収差を補正することは困難だった。
【0048】
そこで、本発明に係る光学系は、国際公開2017-124612号公報に記載されている低分散オキシフッ化物ガラスや、SUMITA社の超低分散フッ化物ガラスK-FIR100UVなどに相当するガラスを使用することにより、軸上色収差やC線からg線までの色収差を補正しつつ、また、特殊低分散ガラスの採用枚数を抑制して他の箇所で高屈折率のガラスを採用し易くし、非点収差等の諸収差をも抑制することを可能とした。
【0049】
本発明に係る光学系は、以下の条件式(1)を満足するレンズLAを有する。
(1) VD_A > 96.00
ただし、
VD_A:前記レンズLAのd線を基準とするアッベ数
【0050】
条件式(1)は、本発明に係る光学系が有するレンズLAのd線におけるアッベ数について好ましい範囲を規定するものである。
【0051】
条件式(1)の下限値を超え、レンズLAのd線におけるアッベ数が小さくなると、レンズLAの色収差を補正する能力が十分でないため、色収差を補正しつつ他のレンズに単波長の収差を補正する効果を振り分けることが困難になる。
【0052】
また、条件式(1)の下限値を97.00にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0053】
さらに、本発明に係る光学系は、レンズLAが以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) ΔθgF_A > 0.057
ただし、
ΔθgF_A:前記レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値
ここで、g線に対する部分分散比の偏差ΔθgFは、g線に対する部分分散比をθgF、d線におけるアッベ数をVDとしたとき、
ΔθgF=θgF-(0.648285-0.00180123×VD)
としてレンズごとに計算される。
【0054】
条件式(2)は、本発明に係る光学系が有するレンズLAのg線に対する部分分散比について好ましい範囲を規定するものである。
【0055】
条件式(2)の下限値を超え、レンズLAのg線に対する部分分散比の偏差ΔθgFの平均値が小さくなると、2次スペクトルの色収差を補正することが困難になる。
【0056】
また、条件式(2)の下限値を0.061にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0057】
以下、上述した所定の条件式を満足するレンズLAを有する広角から標準タイプ及び望遠タイプの光学系の実施例について説明する。本実施例において、実施例1乃至実施例4はレンズLAを有する広角から標準タイプの光学系の実施例であり、実施例5乃至実施例6はレンズLAを有する望遠タイプの光学系の実施例である。
【0058】
[第1の実施形態(広角から標準タイプの光学系)]
レンズLAを有する広角から標準タイプの光学系の実施例1乃至実施例4について説明する。
【0059】
本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、物体側レンズ群GFは全体で負の屈折力を有し、像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、少なくとも物体側レンズ群GF又は像面側レンズ群GRのいずれか一方に、上述した条件式を満足するレンズLAを有する。
【0060】
このようなレンズ構成とすることで、特に広画角を有する光学系において、バックフォーカスの確保が容易になり、周辺減光を抑制し易くすることができる。
【0061】
または、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、物体側から順に、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、物体側レンズ群GFは全体で正又は負の屈折力を有し、像面側レンズ群GRは全体で正の屈折力を有し、少なくとも物体側レンズ群GF又は像面側レンズ群GRのいずれか一方に、上述した条件式を満足するレンズLAを有する。
【0062】
このようなレンズ構成とすることで、特に広角から標準域の画角を有する光学系において、バックフォーカスを確保したうえで、画面周辺に入射する光線の収差を抑制し易くすることができる。
【0063】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間隔が変化し、レンズLAは、物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することが望ましい。
【0064】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の各変倍状態においても、倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0065】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間隔が変化し、レンズLAは、像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することが望ましい。
【0066】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の各変倍状態においても、軸上色収差と倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0067】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、レンズLAは、物体側レンズ群GFに配置され、かつ、負の屈折力を有することが望ましい。
【0068】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の広角端においても、倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0069】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、レンズLAは、像面側レンズ群GRに配置され、かつ、正の屈折力を有することが望ましい。
【0070】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の広角端においても、軸上色収差と倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0071】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も広角状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより高いことが望ましい。
【0072】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の広角端においても、バックフォーカスの確保がさらに容易になり、また、周辺減光を抑制し易くすることができる。
【0073】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、レンズ群GFAは物体側レンズ群GFの最も像面側に配置され、又は、レンズ群GFAは物体側レンズ群GFと同一であり、光学系が変倍しない場合は、レンズ群GFAは物体側レンズ群GFと同一であり、レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることが望ましい。
【0074】
または、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、レンズLAを含み負の屈折力を有するレンズ群GFAを有し、光学系が変倍する場合は、変倍に際し変化する空気間隔の全てを境界として物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、レンズ群GFAは物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、光学系が変倍しない場合は、合焦に際し変化する空気間隔の全てを境界として物体側レンズ群GFをレンズ群に分割するとき、レンズ群GFAは物体側レンズ群GFに含まれる負の屈折力を有するレンズ群のうち最も物体側に配置され、レンズ群GFAはレンズ4枚以上のレンズにより構成されることが望ましい。
【0075】
このようなレンズ構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の各変倍状態においても、倍率色収差と同時に非点収差などの諸収差を効果的に補正することができる。
【0076】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、物体側レンズ群GFが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が強くなる、又は、負の屈折力が弱くなる非球面を有することが望ましい。
【0077】
このようなレンズ構成とすることで、歪曲収差を効果的に補正することができる。
【0078】
さらに、本発明に係る広角から標準タイプの光学系は、像面側レンズ群GRが、光軸中心に対して有効光線径の周辺において正の屈折力が弱くなる、又は、負の屈折力が強くなる非球面を有することが望ましい。
【0079】
このようなレンズ構成とすることで、歪曲収差や像面湾曲などの諸収差を効果的に補正することができる。
【0080】
[第2の実施形態(望遠タイプの光学系)]
レンズLAを有する望遠タイプの光学系の実施例5乃至実施例7について説明する。
【0081】
本発明に係る望遠タイプの光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、開口絞りを有し、上述した条件式を満足するレンズLAを有する。
【0082】
または、本発明に係る望遠タイプの光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRを配置して構成され、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間には開口絞りが配置され、上述した条件式を満足するレンズLAを有する。
【0083】
このようなレンズ構成とすることで、特に望遠系の光学系において、全長を縮めつつ光束径を小さくして、小型化軽量化することが容易となる。
【0084】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間隔が変化し、レンズLAは、物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有することが望ましい。
【0085】
このような構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の各変倍状態においても、軸上色収差と倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0086】
また、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) DAF/f > 0.270
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAF:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAF:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFに配置された前記レンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0087】
条件式(3)は、物体側レンズ群GFに配置されたレンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔について好ましい範囲を規定するものである。
【0088】
条件式(3)の下限値を超え、物体側レンズ群GFに配置されたレンズLAの像面側の面と開口絞りとの光軸上の間隔が小さくなると、軸上色収差と倍率色収差を効果的に補正することが困難になる。
【0089】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、変倍の際に少なくとも物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRの間隔が変化し、レンズLAは、像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有することが望ましい。
【0090】
このような構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の各変倍状態においても、倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0091】
また、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) DAR/f > 0.120
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DAR:無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
前記光学系が変倍する場合、
DAR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、開口絞りと前記像面側レンズ群GRに配置された前記レンズLAの物体側の面との光軸上の間隔
f:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の焦点距離
【0092】
条件式(4)は、開口絞りと像面側レンズ群GRに配置されたレンズLAの物体側の面との光軸上の間隔について好ましい範囲を規定するものである。
【0093】
条件式(4)の下限値を超え、開口絞りと像面側レンズ群GRに配置されたレンズLAの物体側の面との光軸上の間隔が小さくなると、倍率色収差を効果的に補正することが困難になる。
【0094】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、レンズLAは、物体側レンズ群GFに配置され、かつ、正の屈折力を有することが望ましい。
【0095】
このような構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の望遠端においても、軸上色収差と倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0096】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、光学系の隣接するレンズ間の空気間隔のうち、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRのレンズ群間隔が最大であり、レンズLAは、像面側レンズ群GRに配置され、かつ、負の屈折力を有することが望ましい。
【0097】
このような構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の望遠端においても、倍率色収差を効果的に補正することができる。
【0098】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 0.40 > DFR/LT > 0.10
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
DFR:無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
前記光学系が変倍する場合、
DFR:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記物体側レンズ群GFと前記像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔
LT:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の面と像面との光軸上の間隔
【0099】
条件式(5)は、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔について好ましい範囲を規定するものである。
【0100】
条件式(5)の上限値を超え、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔が大きくなると、限られた光学全長の中でこの空気間隔が占める部分を収差補正に有効に利用することが困難になり、光学系の全長の小型化を達成しつつ歪曲収差などの諸収差を補正することが困難になる。
【0101】
条件式(5)の下限値を超え、物体側レンズ群GFと像面側レンズ群GRとの光軸上の空気間隔が小さくなると、光線高さの高い箇所に多数のレンズを配置することとなるため、光学系の重量を軽量化することが困難になる。
【0102】
また、条件式(5)の上限値を0.36にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0103】
また、条件式(5)の下限値を0.14にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0104】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、光学系が変倍する場合は、最も望遠状態で無限遠に合焦した状態において、又は、光学系が変倍しない場合は、無限遠に合焦した状態において、開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さより低いことが望ましい。
【0105】
このような構成とすることで、変倍しない光学系においても、また、変倍する光学系の望遠端においても、光学系の全長や開口絞りの径を抑制し易くすることができる。
【0106】
さらに、本発明に係る望遠タイプの光学系は、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 0.70 > HS/HR1 > 0.20
ただし、
前記光学系が変倍しない場合、
HS:無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
前記光学系が変倍する場合、
HS:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
HR1:最も望遠状態で無限遠に合焦した状態における、前記光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さ
【0107】
条件式(6)は、開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さと光学系の最も物体側の光学面を通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さとの比について好ましい範囲を規定するものである。
【0108】
条件式(6)の上限値を超え、開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが相対的に高くなると、可変絞りなどの機構が大型化する他、焦点距離に対して光学系の全長を抑制することが困難になる。
【0109】
条件式(6)の下限値を超え、開口絞りを通過する軸上マージナル光線の光軸からの高さが相対的に低くなると、軸上マージナル光線を強く屈折させるために極端に強い屈折力を持つ面が必要になり、球面収差などの諸収差が悪化する他、偏芯などによる性能低下が発生しやすくなる。
【0110】
また、条件式(6)の上限値を0.60にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0111】
また、条件式(6)の下限値を0.25にすることで、本発明の効果をより確実に達成することができる。
【0112】
以下に、本発明に係る広角から標準タイプの光学系及び望遠タイプの光学系について、各実施例のレンズ構成、数値実施例及び条件式対応値について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像面側の順番で記載する。
【0113】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面または開口絞りの番号、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数、θgFはg線(波長435.84nm)とF線(波長486.13nm)の部分分散比を示している。
【0114】
面番号に付した*(アスタリスク)は、そのレンズ面形状が非球面であることを示している。また、BFはバックフォーカス、物面の距離は被写体からレンズ第1面までの距離を示している。
【0115】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面又は開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0116】
[非球面データ]には、[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数の値を示している。非球面の形状は、下記の式で表される。以下の式において、光軸に直交する方向への光軸からの変位をy、非球面と光軸の交点から光軸方向への変位(サグ量)をz、基準球面の曲率半径をr、コーニック係数をKで表している。また、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16次の非球面係数をそれぞれA3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16で表している。
【0117】
【0118】
[各種データ]には、各焦点距離状態または各撮影距離合焦状態における焦点距離等の値を示している。
【0119】
[可変間隔データ]には、各焦点距離状態または各撮影距離合焦状態における可変間隔及びBFの値を示している。
【0120】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号及び群全体の合成焦点距離を示している。
【0121】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、△S、△Mはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。
【0122】
なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【実施例0123】
図1は、本発明の実施例1の変倍光学系のレンズ構成図である。
【0124】
実施例1の変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1、負の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、正の屈折力の第4レンズ群G4、負の屈折力の第5レンズ群G5、及び正の屈折力の第6レンズ群G6から構成される。広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間隔が増大した後減少し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6の間隔が増大する。第6レンズ群G6は変倍に際し像面に対し固定される。
【0125】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成群は請求項1乃至請求項6における物体側レンズ群GFに、第3レンズ群G3乃至第6レンズ群G6の合成群は請求項1乃至請求項6における像面側レンズ群GRに、第2レンズ群G2は請求項7におけるレンズLAを含むレンズ群GFAにそれぞれ相当する。
【0126】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成群は請求項10乃至請求項14における物体側レンズ群GFに、第3レンズ群G3乃至第6レンズ群G6の合成群は請求項10乃至請求項14における像面側レンズ群GRに、第2レンズ群G2は請求項15におけるレンズLAを含むレンズ群GFAにそれぞれ相当する。
【0127】
第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間には開口絞りSが配置される。
【0128】
第1レンズ群G1は、物体側から順に物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と両凸レンズL2からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3とから構成されている。
【0129】
第2レンズ群G2は、物体側から順に物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL4と、両凹レンズL5と両凸レンズL6からなる接合レンズと、両凸レンズL7と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8とから構成されており、負メニスカスレンズL4の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。負メニスカスレンズL8は本発明におけるレンズLAに相当する。
【0130】
第3レンズ群G3は、物体側から順に体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL9と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL10と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11からなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13からなる接合レンズとから構成されており、正メニスカスレンズL9の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。正メニスカスレンズL13は本発明におけるレンズLAに相当する。
【0131】
第4レンズ群G4は、物体側から順に物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14と両凸レンズL15からなる接合レンズと、両凸レンズL16とから構成されており、両凸レンズL16の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。両凸レンズL15は本発明におけるレンズLAに相当する。
【0132】
第5レンズ群G5は、物体側から順に物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL17のみから構成されている。第5レンズ群G5は、無限遠物体距離から近距離へのフォーカシングに際して全体が像面側へ移動する。
【0133】
第6レンズ群G6は、両凸レンズL18と、両凹レンズL19と、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL20とから構成されており、負メニスカスレンズL20の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
【0134】
以下に実施例1に係る光学系の諸元値を示す。
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd θgF
物面 ∞ (d0)
1 672.5318 2.5000 1.92286 20.88 0.638840
2 223.7090 8.2551 1.55032 75.50 0.539881
3 -354.6280 0.1500
4 72.3861 8.5434 1.75500 52.32 0.547242
5 225.2088 (d5)
6* 212.1689 2.3000 1.77250 49.50 0.551804
7* 23.4631 10.4743
8 -37.5554 1.6635 1.59282 68.62 0.544009
9 26.8746 7.2057 1.75500 52.32 0.547242
10 -259.9052 0.1500
11 770.2718 3.3191 2.00100 29.13 0.599373
12 -100.6859 3.1153
13 -29.5029 0.9000 1.41390 100.82 0.533605
14 -80.2315 (d14)
15(絞り) ∞ 1.5000
16* 54.1542 3.3572 1.55332 71.68 0.540167
17* 133.5316 0.1500
18 35.6379 5.4355 1.92286 20.88 0.638840
19 100.5624 1.1000 1.77047 29.74 0.594996
20 38.9981 0.3135
21 39.6115 1.1000 1.85451 25.15 0.610160
22 23.3180 7.4617 1.41390 100.82 0.533605
23 103.9434 (d23)
24 68.3190 1.2000 1.85451 25.15 0.610160
25 31.5332 7.7102 1.41390 100.82 0.533605
26 -151.3755 0.2323
27* 34.4957 10.1222 1.59201 67.02 0.535765
28* -38.5287 (d28)
29 84.1341 0.9000 1.91082 35.25 0.582104
30 29.1111 (d30)
31 139.8664 6.4702 2.00100 29.13 0.599373
32 -48.4533 0.1500
33 -62.5586 0.9000 1.73037 32.23 0.589819
34 153.1720 4.9045
35* -47.2352 1.3500 1.58313 59.46 0.540428
36* -145.3412 (BF)
像面 ∞
[非球面データ]
6面 7面 16面 17面
K 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
A4 2.51576E-07 -2.94360E-06 -3.49364E-06 7.49274E-08
A6 1.94291E-08 1.97402E-08 1.20715E-08 1.57632E-08
A8 -7.87263E-11 -2.23590E-11 -9.32398E-12 -7.62943E-12
A10 1.86394E-13 -8.03218E-14 -3.44187E-14 -3.63402E-14
A12 -2.35091E-16 3.29341E-16 0.00000E+00 0.00000E+00
A14 1.29558E-19 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
27面 28面 35面 36面
K 0.00000 0.00000 0.00000 0.00000
A4 -7.54571E-06 5.24520E-06 6.33827E-07 2.39126E-06
A6 -1.04713E-09 -9.06910E-09 -3.85594E-08 -4.11777E-08
A8 2.04182E-12 1.12469E-11 4.89128E-12 3.29571E-11
A10 -1.86264E-14 -1.87968E-14 5.03597E-14 -9.46789E-15
A12 2.67430E-17 1.57087E-17 -6.61740E-17 9.29198E-18
A14 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
[各種データ]
ズーム比 2.34
広角 中間 望遠
焦点距離 28.90 49.99 67.75
Fナンバー 2.07 2.07 2.07
全画角2ω 76.74 45.57 33.8
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全長 169.15 171.89 184.16
[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d0 ∞ ∞ ∞
d5 1.5000 17.2434 31.2233
d14 26.7966 6.2404 2.0000
d23 3.9900 2.5649 1.5000
d28 1.9500 3.6671 2.7564
d30 10.6818 17.9447 22.4440
BF 21.2980 21.2980 21.2980
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 117.28
G2 6 -29.60
G3 15 79.54
G4 24 31.19
G5 29 -49.26
G6 31 262.47
実施例2の変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1、正の屈折力の第2レンズ群G2、正の屈折力の第3レンズ群G3、及び正の屈折力の第4レンズ群G4から構成される。広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が増大した後減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が減少する。
第1レンズ群G1は請求項1乃至請求項6における物体側レンズ群GF及び請求項7におけるレンズLAを含むレンズ群GFAに、第2レンズ群G2乃至第4レンズ群G4の合成群は請求項1乃至請求項6における像面側レンズ群GRにそれぞれ相当する。
第1レンズ群G1乃至第3レンズ群G3の合成群は請求項10乃至請求項14における物体側レンズ群GFに、第1レンズ群G1は請求項15におけるレンズLAを含むレンズ群GFAに、第4レンズ群G4は請求項10乃至請求項14における像面側レンズ群GRにそれぞれ相当する。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3と、物体側に物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4とから構成されており、負メニスカスレンズL1の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。両凹レンズL3は本発明におけるレンズLAに相当する。
第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL5と両凸レンズL6とからなる接合レンズのみから構成されている。第2レンズ群G2は、無限遠物体距離から近距離へのフォーカシングに際して像面側へ移動する。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、像面側に凸面を向けた負メニスカスレンズL7と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL8と両凸レンズL9とからなる接合レンズとから構成されており、負メニスカスレンズL7の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL10と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12とからなる接合レンズと、両凹レンズL13と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14とからなる接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL15と両凸レンズL16とからなる接合レンズと、両凹レンズL17とから構成されており、両凹レンズL17の両側のレンズ面は所定の非球面形状となっている。両凸レンズL10は本発明におけるレンズLAに相当する。