(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117071
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】地域の調査データ分析システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20240821BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013765
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2023022325
(32)【優先日】2023-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597062650
【氏名又は名称】技研商事インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】真中 淳也
(72)【発明者】
【氏名】竹花 賢太郎
(57)【要約】
【課題】 地域毎に収集された調査データのアンケート結果を地域クラスタ毎に再集計し、全体平均に対する重み付けを行って地域の人々の意識等を分析する地域の調査データ分析システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】 分析サーバ1が、エリア毎に住民又は勤務者の人々の意識に関するアンケート結果を集計し、そのアンケート結果をクラスタ単位に再集計し、全クラスタに基準にして各クラスタでのアンケート結果の数値を重み付けし、クラスタ毎にエリアにおける地域の人々の意識を数値として分析するものであり、統計分析によるデモグラフィック要素と意識分析によるサイコグラフィック要素と地理的なジオ要素を掛け合わせた分析が可能となる分析システム及びプログラムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査に基づいて地域における人々の意識を分析する分析サーバを有する分析システムであって、
統計データを記憶する統計データ記憶部と、
調査によって行われるアンケートの質問に対する回答をアンケート結果データとして記憶するアンケート結果データ記憶部と、を有し、
前記分析サーバは、前記統計データを基に地域をクラスタ分析しており、当該地域毎に前記アンケート結果データの数値を集計し、当該地域が対応するクラスタ単位で前記集計した数値を再集計し、全てのクラスタを基準にして各クラスタの前記再集計した数値を重み付けし、接続するユーザ端末に、前記クラスタ単位に重み付けした数値を地域における人々の意識の数値として出力することを特徴とする分析システム。
【請求項2】
前記分析サーバは、複数の種類の質問に対する回答のアンケート結果データについて、地域における人々の意識の数値を複数の種類で得て、前記ユーザ端末に出力することを特徴とする請求項1記載の分析システム。
【請求項3】
地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、
前記分析サーバは、前記地図データ記憶部から前記地図データを読み込んで前記ユーザ端末に出力する際に、表示する地域を人々の意識の数値を反映させた色で表示させることを特徴とする請求項1又は2記載の分析システム。
【請求項4】
前記分析サーバは、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、質問に応じて人々の意識の数値を切り替えて、当該切り替えた人々の意識の数値を反映させた色で地域を表示させることを特徴とする請求項3記載の分析システム。
【請求項5】
前記分析サーバは、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、人々の意識の数値に統計データの数値を重み付けした数値を反映させた色で地域を表示させることを特徴とする請求項3記載の分析システム。
【請求項6】
前記分析サーバは、前記ユーザ端末に表示される地図データに商圏エリアが設定されると、当該商圏エリアに含まれる地域の人数又は世帯数に応じて前記商圏エリアの人々の意識の数値を調整することを特徴とする請求項3記載の分析システム。
【請求項7】
前記分析サーバは、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、表示する商圏エリアを人々の意識の数値を反映させた色で表示させることを特徴とする請求項6記載の分析システム。
【請求項8】
調査に基づいて地域における人々の意識を分析する分析サーバで動作する処理プログラムであって、
前記分析サーバを、統計データを基に地域をクラスタ分析して、調査によって行われるアンケートの質問に対するアンケート結果データの数値を当該地域毎に集計し、当該地域が対応するクラスタ単位で前記集計した数値を再集計し、全てのクラスタを基準にして各クラスタの前記再集計した数値を重み付けし、接続するユーザ端末に、前記クラスタ単位に重み付けした数値を地域における人々の意識の数値として出力するよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記分析サーバを、複数の種類の質問に対する回答のアンケート結果データについて、地域における人々の意識の数値を複数の種類で得て、前記ユーザ端末に出力するよう機能させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
前記分析サーバを、地図データ記憶部から地図データを読み込んで前記ユーザ端末に出力する際に、表示する地域を人々の意識の数値を反映させた色で表示させるよう機能させることを特徴とする請求項8又は9記載のプログラム。
【請求項11】
前記分析サーバを、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、質問に応じて人々の意識の数値を切り替えて、当該切り替えた人々の意識の数値を反映させた色で地域を表示させるよう機能させることを特徴とする請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
前記分析サーバを、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、人々の意識の数値に統計データの数値を重み付けした数値を反映させた色で地域を表示させるよう機能させることを特徴とする請求項10記載のプログラム。
【請求項13】
前記分析サーバを、前記ユーザ端末に表示される地図データに商圏エリアが設定されると、当該商圏エリアに含まれる地域の人数又は世帯数に応じて前記商圏エリアの人々の意識の数値を調整するよう機能させることを特徴とする請求項10記載のプログラム。
【請求項14】
前記分析サーバを、前記地図データを前記ユーザ端末に出力する際に、表示する商圏エリアを人々の意識の数値を反映させた色で表示させるよう機能させることを特徴とする請求項13記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域に関する調査データを分析するシステムに係り、特に、地域クラスタ毎に地域の人々の意識等を分析する地域の調査データ分析システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、地域住民を国勢調査等の統計データでクラスタ分析して地図上に表示する分析システムがあった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2020-042523号公報「地域産業活性化システムおよびプログラム」(特許文献1)、特開2020-086591号公報「情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム」(特許文献2)、特許第6320353号公報「デジタルマーケティングシステム」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、地域住民の生活者意識をアンケートにより取得し、ペルソナ又は潜在ニーズで住民を分類して、提供する商品又はサービスを分析することが示されている。
【0005】
特許文献2には、機器を使用するユーザからのアンケート回答情報を保存し、当該機器のイベント情報のログを用いてアンケート回答者の条件を満たすユーザを特定して、ユーザ回答情報を集計することが示されている。
【0006】
特許文献3には、データマネジメントプラットフォーム(DMP)を用いたデジタルマーケティングと現実の市場調査を組み合わせて、人々の意識、価値観、行動をも分析要素に加えたマーケティングシステムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-042523号公報
【特許文献2】特開2020-086591号公報
【特許文献3】特許第6320353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のシステムでは、アンケート結果を用いてユーザの意識調査を行うものではあったが、地域(エリア)の特性に関連付けて住民又は勤務者の意識を分析するものとはなっていないという問題点があった。
【0009】
尚、特許文献1~3には、アンケート結果を地域の特性に応じて、その地域の人々の意識を分析する構成についての記載がない。
【0010】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、地域毎に収集された調査データのアンケート結果を地域クラスタ毎に再集計し、全体平均に対する重み付けを行って地域の人々の意識等を分析する地域の調査データ分析システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、調査に基づいて地域における人々の意識を分析する分析サーバを有する分析システムであって、統計データを記憶する統計データ記憶部と、調査によって行われるアンケートの質問に対する回答をアンケート結果データとして記憶するアンケート結果データ記憶部と、を有し、分析サーバが、統計データを基に地域をクラスタ分析しており、当該地域毎にアンケート結果データの数値を集計し、当該地域が対応するクラスタ単位で集計した数値を再集計し、全てのクラスタを基準にして各クラスタの再集計した数値を重み付けし、接続するユーザ端末に、クラスタ単位に重み付けした数値を地域における人々の意識の数値として出力することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記分析システムにおいて、分析サーバが、複数の種類の質問に対する回答のアンケート結果データについて、地域における人々の意識の数値を複数の種類で得て、ユーザ端末に出力することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記分析システムにおいて、地図データを記憶する地図データ記憶部を備え、分析サーバが、地図データ記憶部から地図データを読み込んでユーザ端末に出力する際に、表示する地域を人々の意識の数値を反映させた色で表示させることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記分析システムにおいて、分析サーバが、地図データをユーザ端末に出力する際に、質問に応じて人々の意識の数値を切り替えて、当該切り替えた人々の意識の数値を反映させた色で地域を表示させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記分析システムにおいて、分析サーバが、地図データをユーザ端末に出力する際に、人々の意識の数値に統計データの数値を重み付けした数値を反映させた色で地域を表示させることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記分析システムにおいて、分析サーバが、ユーザ端末に表示される地図データに商圏エリアが設定されると、当該商圏エリアに含まれる地域の人数又は世帯数に応じて商圏エリアの人々の意識の数値を調整することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記分析システムにおいて、分析サーバが、地図データをユーザ端末に出力する際に、表示する商圏エリアを人々の意識の数値を反映させた色で表示させることを特徴とする。
【0018】
本発明は、調査に基づいて地域における人々の意識を分析する分析サーバで動作する処理プログラムであって、分析サーバを、統計データを基に地域をクラスタ分析して、調査によって行われるアンケートの質問に対するアンケート結果データの数値を当該地域毎に集計し、当該地域が対応するクラスタ単位で集計した数値を再集計し、全てのクラスタを基準にして各クラスタの再集計した数値を重み付けし、接続するユーザ端末に、クラスタ単位に重み付けした数値を地域における人々の意識の数値として出力するよう機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、複数の種類の質問に対する回答のアンケート結果データについて、地域における人々の意識の数値を複数の種類で得て、ユーザ端末に出力するよう機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、地図データ記憶部から地図データを読み込んでユーザ端末に出力する際に、表示する地域を人々の意識の数値を反映させた色で表示させるよう機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、地図データをユーザ端末に出力する際に、質問に応じて人々の意識の数値を切り替えて、当該切り替えた人々の意識の数値を反映させた色で地域を表示させるよう機能させることを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、地図データをユーザ端末に出力する際に、人々の意識の数値に統計データの数値を重み付けした数値を反映させた色で地域を表示させるよう機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、ユーザ端末に表示される地図データに商圏エリアが設定されると、当該商圏エリアに含まれる地域の人数又は世帯数に応じて商圏エリアの人々の意識の数値を調整するよう機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明は、上記プログラムにおいて、分析サーバを、地図データをユーザ端末に出力する際に、表示する商圏エリアを人々の意識の数値を反映させた色で表示させるよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、調査に基づいて地域における人々の意識を分析する分析サーバを有する分析システムであって、統計データを記憶する統計データ記憶部と、調査によって行われるアンケートの質問に対する回答をアンケート結果データとして記憶するアンケート結果データ記憶部と、を有し、分析サーバが、統計データを基に地域をクラスタ分析しており、当該地域毎にアンケート結果データの数値を集計し、当該地域が対応するクラスタ単位で集計した数値を再集計し、全てのクラスタを基準にして各クラスタの再集計した数値を重み付けし、接続するユーザ端末に、クラスタ単位に重み付けした数値を地域における人々の意識の数値として出力する分析システムとしているので、エリアにおける人々の意識を容易に認識できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】クラスタ単位の人々の意識を示す表の図である。
【
図4】意識の数値を地図上に表示した例を示す概略図である。
【
図5】テレビCMの影響を可視化した例を示す概略図である。
【
図6】意識の数値を商圏エリアで表示した例を示す概略図である。
【
図7】商圏エリア内の意識の数値を一覧表示した例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る地域の調査データ分析システム(本システム)は、例えば、郵便番号、行政界等の地域(エリア)が統計データを用いて予めクラスタ分析されており、エリア毎に住民又は勤務者の人々の意識に関するアンケート結果を集計し、そのアンケート結果をクラスタ単位に再集計し、全クラスタに基準にして各クラスタでのアンケート結果の数値を重み付けし、クラスタ毎にエリアにおける地域の人々の意識を数値として分析するものであり、統計によるエリアのクラスタ分析の要素(デモグラフィック要素)と、人々の意識分析の要素(サイコグラフィック要素)と、クラスタ毎に集計して重み付けした人々の意識の数値で各エリアの地域特性を認識する地理的な要素(ジオ要素)を掛け合わせた分析が可能となり、エリアの人々の意識を容易に把握できるものである。
【0028】
ここで、地域における住民又は勤務者の人々の意識とは、生活全般に関する意識、買い物に関する意識、食に関する意識、健康に関する意識等であり、趣味嗜好や考え方が反映されたものとなる。
【0029】
つまり、エリア毎に集計されたアンケート結果をクラスタ単位で再集計し、個々のエリアを一度離れてクラスタ単位でのアンケート結果を分析し、その分析結果を各エリアに戻すことで、特定のエリアでのアンケート結果が少なくても、クラスタ毎に集計されれば、ある程度の規模の数値となり、その規模の数値で人々の意識を分析し、その分析した結果を用いて同じクラスタのエリアを認識するというものである。
【0030】
従って、分析されたエリアについて人々の意識の分析結果を地図上にクラスタに応じて色分けして表示すれば、地域の人々の意識や行動、趣味嗜好、感情等を地図上で容易に認識することができる。
【0031】
[本システム:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、
図1に示すように、分析サーバ1と、統計データ記憶部21と、アンケート結果データ記憶部22と、地図データ記憶部23と、ネットワーク3と、ユーザ端末4とを備えている。
【0032】
分析サーバ1に統計データ記憶部21、アンケート結果データ記憶部22、地図データ記憶部23が接続され、更に、ユーザ端末4がネットワーク3を介して分析サーバ1に接続している。
【0033】
[本システムの各部]
本システムの各部について説明する。
[分析サーバ1]
分析サーバ1は、統計データからエリアのクラスタ分析を行い、エリア毎に集計された人々の意識に関するアンケートの回答結果をクラスタ単位に再集計し、全体のクラスタを基準にして各クラスタでの数値に重み付けを行って、クラスタが対応するエリアについて重み付けされた数値で地域における人々の意識を認識可能とする処理を行うものである。分析サーバ1での処理の詳細は、後述する。
【0034】
また、分析サーバ1は、
図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備えている。
制御部11は、記憶部12に記憶された処理プログラムを実行し、後述する機能を実現している。
記憶部12は、処理プログラムを記憶すると共に処理に必要なデータを記憶している。
インタフェース部13は、分析サーバ1をネットワーク3に接続すると共に統計データ記憶部21、アンケート結果データ記憶部22及び地図データ記憶部23に接続するためのインタフェースである。
【0035】
[統計データ記憶部21]
統計データ記憶部21は、国勢調査等の統計データを記憶し、郵便番号単位の地域又は行政区の地域等のエリアについてクラスタ分析を行い、エリアをクラスタで分類してエリア番号に対応付けてクラスタ番号を付与したエリア情報も記憶している。
【0036】
[アンケート結果データ記憶部22]
アンケート結果データ記憶部22は、人々の意識に関するアンケートの回答データ(アンケート結果データ)をエリア単位で記憶している。アンケート結果データ記憶部22に記憶されるのは、エリア番号に対応した回答データの集計された数値であってもよい。
【0037】
[地図データ記憶部23]
地図データ記憶部23は、地図データを記憶しており、地図データは、エリア単位に管理され、エリア毎に色分け表示可能となっている。地図データにおけるエリアにも上記エリア番号が付与されている。
【0038】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、インターネットを想定しており、分析サーバ1とユーザ端末4との通信を接続している。
【0039】
[ユーザ端末4]
ユーザ端末4は、地域の人々の意識を調査したいユーザが使用するパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット又はスマートフォン等の情報処理装置である。
尚、ユーザ端末4は、ネットワーク3に有線又は無線で接続する。
【0040】
また、ユーザ端末4は、人々の意識に関するアンケートの調査についてクラスタ毎の回答結果の数値に重み付けされたものを表示するもので、クラスタ毎の人々の意識の状況を容易に認識できるものである。
【0041】
また、ユーザ端末4は、複数のエリアを含む広域エリアを指定して、当該広域エリアにおける各エリアの人々の意識の状況を地図上に表示させるものである。
【0042】
[処理内容:
図2]
本システムにおける分析サーバ1における処理を具体的に説明する。
図2は、分析サーバの処理フロー図である。
分析サーバ1における処理は、クラスタ分析処理、アンケート結果演算処理、地図表示処理等がある。
【0043】
[クラスタ分析処理]
クラスタ分析処理は、分析サーバ1の制御部11が統計データ記憶部21にアクセスして、対象となる全てのエリア(これらエリアにはエリア番号が付与されている)について統計データを用いてクラスタ分析を行い(S1)、それらエリアをクラスタで分類し、エリア番号にクラスタ番号を付与する(S2)。
【0044】
尚、クラスタには、それを示すタイトル、例えば、「都心のセレブ」、「都心のファミリー」、「独身貴族」、「一戸建てファミリー」等のタイトルが付与され、特徴を示す説明も付与されている。
【0045】
本システムでは、分析サーバ1でクラスタ分析処理を行って統計データ記憶部21にクラスタ分析処理された結果を記憶するようにしているが、既にクラスタ分析処理された結果データを統計データ記憶部21にインポートしてもよい。
この場合、統計データ記憶部21には統計データが記憶されている必要はない。
【0046】
[アンケート結果演算処理]
アンケート結果演算処理は、エリア毎に人々の意識に関するアンケートについて、その結果を集計し、集計した数値を算出する(S3)。
そして、エリア毎に集計した数値をクラスタ単位に再集計(合計)する(S4)。
【0047】
クラスタ単位で再集計した数値は、エリア毎に集計した数値の合計値となる。各エリアではアンケート結果のデータが少なくても、クラスタ単位でアンケート結果の数値を分析すれば、数値が大きくなる分、安定するので、分析が適正に為されることになる。
【0048】
次に、クラスタにおける人々の意識を表す数値を算出する(S5)。
具体的には、クラスタ単位の数値を全クラスタの数値として合計し、当該合計をクラスタ数で除算して平均値を算出する。その平均値を「1.00」とした場合の各クラスタでの人数の比を算出する。クラスタでの人数の比は、例えば「1.14」、「0.87」などとして算出される。つまり、平均値「1.00」を中心に上下の数値が算出される。
上記では、平均値を用いたが、偏差値を用いて計算してもよい。偏差値であれば、「50」を中心に上下の数値が算出される。
【0049】
このように、アンケートに対してクラスタ毎に算出された上記数値がクラスタにおける人々の意識を表す数値となる。
この人々の意識の数値を、質問に対応付けてクラスタ毎に表示する表を生成し、ユーザ端末4に表示させる(S6)。
例えば、人々の意識に関するアンケートの質問Qに対して、該当すると回答した人を集計した場合に、クラスタにおける数値が平均値より高ければ、当該質問Qに関する意識が高いことを示しており、平均値より低ければ、質問Qに関する意識が低いことを示している。
【0050】
ここで、人々の意識に関して、例えば「食に対する意識」をテーマとして調査する場合には、テーマに対する異なる観点からの複数の質問をアンケートとして提供し、その複数の質問に対する回答によって質問毎に食に対する意識を数値化すれば、複合的な人々の意識を把握することが可能となる。
【0051】
例えば、テーマについて、質問Q1で「Aに該当しますか?」と聞いて、質問Q2で「Bに該当しますか?」を聞いた場合に、クラスタXにおいて、質問Q1に対する意識の数値が非常に高く、質問Q2に対する意識の数値が低い場合は、「クラスタXではAについて非常に関心が高く、Bについては関心が薄い」と複合的な分析が可能となる。
【0052】
[地図表示処理]
地図表示処理は、クラスタ単位に算出された人々の意識の数値を当該クラスタが対応するエリアについて、ユーザ端末4の表示部に地図上に色分け又は色の濃淡で表示させる(S7)。例えば、数値が高い場合は、濃い色を用い、数値が低い場合は、淡い色を用いてエリアを表示する。
そして、テーマについて複数の質問がある場合には、質問によってエリアの色分け等の表示を切り替えるようにする。
【0053】
また、質問とは関係なく、本来のクラスタ分析の結果を参照するために、数値が反映されたエリアをクラスタの色で表示するよう切り替えてもよい。
【0054】
[クラスタ単位の意識:
図3]
次に、エリアにおける人々の意識をクラスタ単位で分析した例について
図3を参照しながら説明する。
図3は、クラスタ単位の人々の意識を示す表の図である。
ここでは、クラスタ単位に人々の意識を数値化する処理が既に為されており、その数値が表示されている。
【0055】
図3に示すように、調査によってアンケートの質問Q1と質問Q2に対してクラスタ単位で数値が示されている。
クラスタとしては、「都心のセレブ」、「都心のファミリー」、「独身貴族」、「一戸建てファミリー」等が示されている。
【0056】
ここで、例えば、意識のテーマを「食」とし、質問Q1を「値段より品質を気にしますか?」、質問Q2を「地元の食材を購入する方ですか?」として、クラスタ単位の人々の意識を数値化した場合に、都心では質問Q1の数値が高く、質問Q2の数値が低く、地方・郊外では質問Q1の数値が低く、質問Q2の数値が高いという結果となったとする。
この場合、「地方・郊外のセグメントでは地元の食材を購入する意識が強く、都市部では高くても品質の高い食材を購入する意識が強い」と認識することが可能である。
【0057】
[意識の数値の地図表示:
図4]
次に、意識の数値を地図上に表示した例について
図4を参照しながら説明する。
図4は、意識の数値を地図上に表示した例を示す概略図である。
図4に示すように、エリア(エリアA~D)毎にクラスタの数値を反映した色又は色の濃淡で表示している。エリア毎に意識の数値を表示してもよく、当該エリアにクラスタ番号を表示してもよい。
【0058】
また、意識のテーマと質問が複数ある場合には、
図4に示すように、地図表示の左上に意識のテーマをプルダウンメニューで選択させ、選択された意識のテーマに関連付けられた質問をプルダウンメニューで選択させるようにする。
そして、選択された意識のテーマと質問に対応する意識の数値を地図に表示させる。つまり、意識のテーマと質問の組合せが変更になる度に意識の数値が地図上で切り替えられて表示されるものである。
【0059】
[テレビCMの影響を可視化:
図5]
次に、本システムを利用してテレビCMの影響を可視化した例について
図5を参照しながら説明する。
図5は、テレビCMの影響を可視化した例を示す概略図である。
図5では、左上に示す摘要にあるように、横軸がテレビCMの影響を受けた影響力(意識の数値)を高低の2段階(左が低く、右が高い)で、縦軸が年収(統計データの数値)の高低を2段階(下が低く、上が高い)で色分けしており、エリア(エリアA~D)毎の表示も該当する色で表示している。
【0060】
図5の例では、エリアにおける意識の数値(サイコグラフィック要素)とエリアにおける統計データの数値(デモグラフィック要素)の2軸で、クラスタに対応するエリアを色分け表示したが、エリアにおける2種類の意識の数値(サイコグラフィック要素×サイコグラフィック要素)を2軸としてエリアを表示してもよい。
【0061】
[潜在意識と購入実績の例]
また、本システムでは、意識の数値と統計データの数値の組合せで、潜在意識と購入実績を地図上に表示することができる。
具体的には、商品又はサービスの購入について、エリアにおける人々の購入の可能性についての意識(潜在意識)を調査してクラスタ単位の数値を取得し、また、当該エリアにおける商品等の購入実績のデータを店舗等の売上データから取得し、潜在意識の数値と購入実績の数値との相関を演算することで、潜在意識と購入実績との関係を認識できるものである。
【0062】
上記の例では、購入実績を店舗等の売上データから得るようにしているが、商品等を実際に購入したか否かのアンケートの質問をエリア内に人々に行い、その回答の数値によって購入結果のデータ(顕在意識の数値)として、潜在意識の数値と購入の顕在意識の数値との関係を認識できるようにしてもよい。
【0063】
[本システムの用途]
本システムは、地域の人々の意識を分析するものであるから、例えば、店舗でのマーチャンダイジング、販促のプロモーション(計画や効果測定等に利用)、出店計画、顧客分析等の用途に活用できる。
【0064】
[本システムの応用例]
次に、本システムの応用例について
図6,7を参照しながら説明する。
図6は、意識の数値を商圏エリアで表示した例を示す概略図であり、
図7は、商圏エリア内の意識の数値を一覧表示した例を示す概略図である。
本システムでは、地域の人々の意識を分析するものであって、応用例では、その意識を「ブランド意識」、「メディア意識」まで拡張するものである。
【0065】
更に、本システムでは、郵便願号、行政界等のエリア毎に地域の人々の意識を分析しているが、応用例では、
図6に示すように、商圏エリアを設定して、その商圏エリアにおける人々の意識を分析するようにしたものである。
尚、アンケート対象のテーマ(意識分析のテーマ)としては、ライフスタイルに関連するもの、趣味嗜好に関連するもの、余暇レジャーに関するもの、お金に関連するものなど様々テーマが取り上げられる。
【0066】
[ブランド意識]
意識分析のテーマとして、特定の商品やサービスにおける特定のブランドについて、アンケートにより好き嫌いの程度、購入・利用の頻度等の回答を得て、特定のブラントに対する意識(ブランド意識)を分析するようにしてもよい。
ブランド意識の分析では、ダイレクトに特定のブランドについて地域の人々の意識を把握することができるので、販促や商品・サービス展開を有効に行うことができる。
【0067】
[メディア意識]
次に、意識分析のテーマとして、地域の人々が利用するメディアについて、アンケートにより利用するメディアの手段(テレビ、ラジオ、SNS等)と、その利用の頻度等の回答を得て、特定のメディアに対する意識(メディア意識)を分析するようにしてもよい。
【0068】
メディア意識分析のテーマの中には、メディアの手段に限らず、インターネットにおける閲覧サイト、スマートフォンにおける閲覧アプリ、店舗におけるデジタル広告等のテーマを含め、アンケートで回答を得て分析すれば、エリアに応じてどのメディアを利用するのが効果的であるかを理解することができる。
【0069】
[商圏における意識:
図6,7]
また、応用例では、
図6に示すように、ユーザ端末4の表示画面に表示した地図上に中心点を置き、半径1km以内、半径5km以内等の円で描画される商圏エリアを形成し、当該商圏エリアにおける地域の人々の意識分析を行うようにしてもよい。
【0070】
具体的には、本システムと同様に郵便番号、行政界等の地域(当該地域を「行政界エリア」と称する)で人々の意識分析を行い、商圏エリアと行政界エリアの関係によって商圏エリアの意識の数値を算出するものである。
【0071】
商圏エリアが一つの行政界エリアに含まれる場合には、当該行政界エリアのクラスタの意識の数値を商圏エリアの意識の数値として用いる。
また、
図6に示すように、商圏エリア内に複数の行政界エリアが含まれている場合、商圏エリアに含まれる行政界エリアの人数又は世帯数に応じて、行政界エリアの意識の数値を乗算し、それら乗算した数値を合計して商圏エリアの人数又は世帯数で割って商圏エリアの意識の数値を算出する。
尚、行政界エリアの人数又は世帯数に加えて、商圏エリアに含まれる行政界エリアの面積の割合も参照して商圏エリアの意識の数値を算出してもよい。
【0072】
例えば、行政界エリアの面積の割合と人数に基づき意識の数値を算出する方法は、
図6に示すように、行政界エリアA,B,C,Dに商圏エリアXがまたがる場合、商圏エリアXにおける行政界エリアAの割合が3割で人数が100人で、行政界エリアBの割合が1割で人数が200人で、行政界エリアCの割合が4割で人数が400人で、行政界エリアDの割合が2割で人数が300人だとすると、商圏エリアXの意識の数値xは、以下の式で表すことができる。
【0073】
商圏エリアXの意識の数値x=(行政界エリアAの意識の数値a×1.2×100+行政界エリアBの意識の数値b×0.7×200+行政界エリアCの意識の数値c×1.4×400+行政界エリアDの意識の数値d×0.9×300)/1000(商圏エリア内の総人数)
【0074】
つまり、商圏エリアXのクラスタとしての特色は、行政界エリアCのクラスタが4割、行政界エリアAのクラスタが3割、行政界エリアDのクラスタが2割、行政界エリアBのクラスタが1割で混じり合ったものとなっている。
【0075】
また、
図7に示すように、商圏エリアにおける意識分析テーマ(カテゴリー)に対する回答(詳細)の商圏内の意識の数値を一覧表示するようにしている。
図7では、回答に対して意識の数値を数字で表すと共に、平均値「1」を中心にプラス部分は右側に、マイナス部分は左側に棒グラフで表示する。更に、数値の数字部分もプラスの数値に応じて暖色の濃淡で背景を表示し、マイナスの数値に応じて寒色の濃淡で背景を表示している。尚、
図7では、数字部分の背景色の暖色又は寒色の濃淡までは表現していない。
これにより、回答に対する意識の数値を分かりやすくユーザ端末4に提供できる。
【0076】
商圏エリアにおける人々の意識の数値は、店舗が存在する場所又は将来店舗を設置する場所を中心とする商圏エリアを設定して、人々の意識の数値を求めて分析することにより、商圏に絡めた人々の意識の数値を把握することができる。更に、商圏エリアにおける競合店舗に対する意識の数値も把握することができる。
【0077】
[定期的な変化把握]
意識調査のアンケートを定期的に行って、意識分析の結果を蓄積すれば、エリアにおける人々の意識の数値の変化を時間の経過に伴って分析して把握できるものとなっている。
【0078】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、分析サーバ1が、エリア毎に住民又は勤務者の人々の意識に関するアンケート結果を集計し、そのアンケート結果をクラスタ単位に再集計し、全クラスタに基準にして各クラスタでのアンケート結果の数値を重み付けし、クラスタ毎にエリアにおける地域の人々の意識を数値として分析するものであり、統計分析によるデモグラフィック要素と意識分析によるサイコグラフィック要素と地理的なジオ要素を掛け合わせた分析が可能となり、エリアのクラスタ毎の意識を容易に把握できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、地域毎に収集された調査データのアンケート結果を地域クラスタ毎に再集計し、全体平均に対する重み付けを行って地域の人々の意識等を分析する地域の調査データ分析システム及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0080】
1…分析サーバ、 3…ネットワーク、 4…ユーザ端末、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部、 21…統計データ記憶部、 22…アンケート結果データ記憶部、 23…地図データ記憶部