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特開2024-117083発泡部品を製造するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117083
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】発泡部品を製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20240821BHJP
   A43B 5/00 20220101ALI20240821BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240821BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20240821BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20240821BHJP
【FI】
B29C44/00 Z
A43B5/00
B29C64/129
B29C64/40
B29C64/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021191
(22)【出願日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】63/446,128
(32)【優先日】2023-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ボナン,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン,パトリック ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4F050
4F213
4F214
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA02
4F050BA38
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA60
4F050HA85
4F050JA02
4F050JA04
4F050JA05
4F050JA06
4F050JA09
4F050JA13
4F050JA17
4F050LA01
4F050LA03
4F050LA09
4F050LA10
4F050NA57
4F213AA31
4F213AB02
4F213AG18
4F213AH67
4F213AR02
4F213AR06
4F213WA25
4F213WA67
4F213WA83
4F213WA87
4F213WA92
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL62
4F213WL67
4F213WL87
4F213WL96
4F213WW38
4F214AA31
4F214AB02
4F214AH67
4F214UA37
4F214UB01
4F214UF01
4F214UG02
4F214UG29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より広い範囲の材料を使用して、発泡部品、例えば、履物具のソール構造の三次元印刷を可能にするシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】発泡部品を製造する方法は、三次元プリンタを用いてプリフォームを印刷することを含む。プリフォームは、発泡剤で少なくとも部分的に飽和された基材の予め飽和された混合物から形成される。プリフォームは、プリフォームを基材のガラス転移温度以上に加熱することによって発泡され、それによって発泡剤を核形成させ、発泡部品を形成するように膨張させる。発泡は、大気圧で起こる。プリフォームは、発泡部品の最終格子構造に対応する予備格子構造を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡部品の製造方法であって、前記方法は、
基材と発泡剤とを含む予め飽和された混合物からプリフォームを印刷することと、
前記プリフォームを発泡させて前記発泡部品を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記プリフォームが、前記発泡部品の最終格子構造に対応する予備格子構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材が熱可塑性材料であり、前記発泡剤が化学的発泡剤および物理的発泡剤の少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物理的発泡剤が、窒素または二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む超臨界流体であり、前記予め飽和された混合物が単相溶液である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予め飽和された混合物が粉末である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記プリフォームは、デジタルライトプリンタを用いて印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プリフォームが、前記発泡部品の縮尺モデルに基づいて印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォームを発泡させることは、前記プリフォームを前記基材のガラス転移温度以上に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
熱が、大気圧に維持される内部容積を有する熱トンネルによって供給される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発泡部品が、履物具のためのミッドソールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
二次部品を前記発泡部品に固定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プリフォームを硬化させること、および、前記プリフォームから支持構造を取り除くことのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
履物具のためのソール構造を製造する方法であって、前記方法は、
熱可塑性材料と超臨界流体との単相溶液を用いてプリフォームを印刷し、前記プリフォームが予備格子構造を含むことと、
前記プリフォームを前記熱可塑性材料のガラス転移温度以上に加熱し、前記プリフォーム内の前記超臨界流体の核形成を引き起こし、前記プリフォームを膨張させて、前記予備格子構造に対応する発泡された材料からなる最終格子構造を有するミッドソールを形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
アッパーおよびアウトソールの少なくとも一方を前記ミッドソールに固定することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱可塑性材料が熱可塑性ポリウレタンを含み、前記超臨界流体が窒素を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プリフォームから支持構造を取り除くこと、前記プリフォームを洗浄すること、前記プリフォームを乾燥させること、および前記プリフォームを硬化させることのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
基材と発泡剤とを含む予め飽和された混合物からプリフォームを印刷するように構成されたプリンタと、
前記プリンタから前記プリフォームを受け取るように構成された熱トンネルであって、前記熱トンネルは、大気圧であり、前記プリフォームを前記基材のガラス転移温度以上に加熱し、前記プリフォームの発泡を引き起こすように構成されている前記熱トンネルと、を含む、発泡システム。
【請求項18】
前記基材が熱可塑性材料であり、前記発泡剤が、化学的発泡剤および物理的発泡剤のうちの少なくとも1つであり、
前記予め飽和された混合物が、粉末および単相溶液のうちの1つである、請求項17に記載の発泡システム。
【請求項19】
支持体除去システム、洗浄システム、乾燥システム、および硬化システムのうちの少なくとも1つを含む仕上げシステムをさらに含む、請求項17に記載の発泡システム。
【請求項20】
前記熱トンネルは、前記プリフォームを加熱するように構成された1つ以上のエミッタを含む、請求項17に記載の発泡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2023年2月16日に出願された米国仮出願第63/446,128号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[連邦政府が支援する研究開発に関するリファレンス]
該当事項はない。
【0003】
[配列表]
該当事項はない。
【0004】
本開示は、概して、発泡部品、例えば、履物具に使用するための発泡部品を製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0005】
一般的に、履物具は、ユーザの足を受け入れるように構成された内部空間を画定するアッパーを含む。ソール構造は、典型的には、アッパーの下端に取り付けられて、アッパーと支持面、例えば、地面との間に延びる。結果として、ソールは、典型的には、靴が着用されている及び/又は使用されているときに、安定性及びクッション性をユーザに提供する。いくつかの例では、ソールは、アウトソール、ミッドソール、およびインソールなどの複数の構成要素を含むことができる。アウトソールは、ソールの底面に牽引力を提供することができ、ミッドソールは、一般的に、アウトソールとアッパーとの間に延びるようにアウトソールの上面に取り付けることができる。
【0006】
多くの場合、ソール構造の少なくとも一部分、例えばミッドソールは、1つ以上の金型を使用して形成される発泡部品であり得る。従来のプロセスでは、そのような発泡部品は、典型的には、射出成形プロセスまたは圧縮成形プロセスのいずれかを使用して形成される。射出成形プロセスでは、液体材料、典型的にはポリマー材料が、金型キャビティ内に射出され、硬化されて発泡部品を形成する。圧縮成形プロセスでは、プリフォームを型内に配置し、次いで加熱して、型内でプリフォームを膨張させて、発泡部品を形成する。しかしながら、これらのタイプの従来の成形プロセスは、大型で高価な金型を必要とし、また、製造することができる幾何学的形状のタイプを制限する可能性がある。結果として、従来の圧縮および射出成形技術で形成されたソール構造は、一般に、特定のユーザにカスタマイズ可能ではなく、様々な性能特性、例えば、クッション性、弾性、安定性、密度、および重量に関しても制限され得る。
【0007】
より最近では、三次元印刷における新しい技術は、射出成形および圧縮成形を用いて、以前は不可能であった、または製造するにはコストがかかりすぎた複雑な幾何学的形状、例えば、アンダーカット、オーバーハング、格子構造などの製造を可能にしている。それに対応して、これらの三次元印刷技術は、特定のユーザまたは使用の必要性および所望の性能特性に従ってカスタマイズすることができるソール構造の製造を可能にした。しかしながら、現在の三次元プロセスは、他の方法、特に、使用することができる材料のタイプにおいて制限される。例えば、従来の三次元印刷技術は、一般に、固体の非発泡部品を生成することに限定されている。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、従来の三次元印刷技術と比較して、より広い範囲の材料を使用して、発泡部品、例えば、履物具のソール構造の三次元印刷を可能にする。特に、そのようなシステムおよび方法は、基材と埋め込まれたまたは溶解された超臨界流体、すなわち発泡剤との混合物を使用して発泡部品のプリフォームを印刷することができる超臨界発泡部品の印刷を可能にすることができる。印刷されたプリフォームを、超臨界流体を膨張させてプリフォームを発泡させることができるオートクレーブに入れることができ、それによって所望の発泡部品を形成することができる。
【0009】
本開示の一態様によれば、発泡部品を製造する方法は、三次元プリンタを用いてプリフォームを印刷することと、発泡部品を形成するためにプリフォームを発泡させることとを含むことができる。プリフォームは、基材および発泡剤を含む予め飽和された混合物から印刷することができる。
【0010】
本開示の別の態様によれば、履物具のためのソール構造を製造する方法は、三次元プリンタを用いてプリフォームを印刷することを含むことができる。プリフォームは、熱可塑性材料および超臨界流体の単相溶液を用いて印刷することができ、予備格子構造を含むことができる。プリフォームは、熱可塑性材料のガラス転移温度以上に加熱され、プリフォーム内の超臨界流体の核形成を引き起こし、プリフォームを膨張させてミッドソールを形成することができる。ミッドソールは、予備格子構造に対応する発泡材料で作られた最終格子構造を有することができる。
【0011】
本開示の別の態様によれば、発泡システムは、プリフォームを印刷することができる三次元プリンタを含むことができる。プリフォームは、基材および発泡剤を含む予め飽和された混合物から印刷することができる。発泡システムは、三次元プリンタからプリフォームを受け取ることができる熱トンネルを含むことができる。熱トンネルは、大気圧であってもよく、プリフォームを加熱して、プリフォームの発泡を引き起こすために、基材のガラス転移温度以上にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の態様による履物具の上面および側面斜視図である。
図2図1の履物具の側面図である。
図3図1の履物具の内側側面図である。
図4図1の履物具の平面図である。
図5図1の履物具の上面図であり、アッパーが取り除かれ、使用者の骨格足構造が履物具上に重ねられている。
図6】発泡部品の製造方法のフローチャートである。
図7】本開示による発泡システムの概略図のレンダリングである。
図8図7による発泡システムの別の概略図のレンダリングである。
図9A図6の方法および図7および図8の発泡システムを用いて形成することができる発泡部品配置の例を示す。
図9B図6の方法および図7および図8の発泡システムを用いて形成することができる発泡部品配置の例を示す。
図9C図6の方法および図7および図8の発泡システムを用いて形成することができる発泡部品配置の例を示す。
図9D図6の方法および図7および図8の発泡システムを用いて形成することができる発泡部品配置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明および添付の図面は、靴の様々な実施形態または構成を開示する。実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズに関連して開示されるが、靴の実施形態に関連する概念は、例えば、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーブーツおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、ならびにトラッククリートを含む、広範囲の履物および履物スタイルに適用され得る。靴の概念はまた、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、およびヒールを含む、非運動用であると考えられる履物の物品に適用されてもよい。履物に加えて、本明細書に記載される特定の概念はまた、ヘルメット、パッドもしくは保護パッド、脛ガード、および手袋などの、衣服または他の運動器具を含む、他のタイプの物品に適用され、組み込まれ得る。さらに、本明細書で説明される特定の概念は、クッション、バックパック、スーツケース、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の消費者製品もしくは工業製品に組み込まれ得る。したがって、本明細書で説明される概念は、様々な製品において利用され得る。
【0014】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、本明細書の開示の実施形態を含み得る、履物または他の製品のために使用される典型的な測定および製造手順、これらの手順における不注意な誤り、組成物または混合物を作製するため、または方法を実行するために使用される材料の製造、供給源、または純度の差異、および同等物を介して生じ得る数値量の変動を指す。本開示を通して、「近い」、「約」、および「およそ」という用語は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0015】
また、本明細書で使用される場合、他に限定または定義されない限り、「または」は、互いの代替としてのみ存在し得る構成要素の排他的なリストではなく、任意の様々な組合せで存在し得る構成要素または動作の非排他的なリストを示す。例えば、「A、B、またはC」のリストは、A、B、C、AとB、BとC、ならびにA、BおよびCのオプションを示す。これに対応して、本明細書で使用される「または」という用語は、「のいずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」などの排他性という用語が先行する場合にのみ、排他的代替を示すことが意図される。例えば、「A、B、またはCのうちの1つ」のリストは、BおよびCではなく、A、AおよびCではなく、B、そして、A、Bではなく、Cのオプションを示す。別々の列挙された要素を含む「または」を含むリストは、列挙された要素のいずれかまたはすべてである。「1つ以上」が前に付くリスト(およびそのバリエーション)およびリスト化された要素を区切る「または」を含むリストは、リストされた要素のいずれかまたはすべての1つ以上のオプションを示す。例えば、「A、B、またはCの1つ以上」および「A、B、またはCの少なくとも1つ」という語句は、1つ以上のA、1つ以上のB、1つ以上のC、1つ以上のAおよび1つ以上のB、1つ以上のBおよび1つ以上のC、1つ以上のAおよび1つ以上のC、ならびに1つ以上のA、1つ以上のBおよび1つ以上のCのオプションを示す。同様に、リスト化された要素を分離するために「複数」(およびその変形)が先行し、「または」を含むリストは、リスト化された要素のいずれかまたはすべての複数の例のオプションを示す。例えば、「複数のA、B、またはC」および「2つ以上のA、B、またはC」という語句は、AとB、BとC、AとC、ならびにA、B、およびCのオプションを示す。
【0016】
さらに、本明細書で使用される場合、別段の定義または限定がない限り、方向用語は、特定の図または例の議論のための参照の便宜のために使用される。例えば、「下方」、または他の方向、または「下」、または他の位置への言及は、特定の例または図の態様を論じるために使用され得るが、すべての設備または構成において、必ずしも同様の配向または幾何学的形状を必要としない。
【0017】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために本明細書で使用され得る。これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用され得る。「第1の」、「第2の」、および他の数値用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序を含意しない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、例示的な構成の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ぶことができる。
【0018】
本開示は、アッパーまたはソールまたはソール構造などの履物具または履物具の特定の構成要素、ならびにそれらを作製するための方法に関する。アッパーは、ニット構成要素、織布、不織布、皮革、メッシュ、スエード、または前述の材料のうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよい。ニット構成要素は、糸の編み物、糸の製織による織布、および単一の不織ウェブの製造による不織布によって作製されてもよい。ニット織物は、縦編み、横編み、平編み、丸編み、または他の適切な編み作業によって形成される織物を含む。ニット織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、またはリブニット構造を有してもよい。織布としては、限定されるものではないが、例えば、平織り、綾織り、サテン織り、ドビン織り、ジャカード織り、二重織り、または二重布織りなどの多数の織り形態のいずれかによって形成された織物が挙げられる。不織布は、例えば、エアレイド法またはスパンレイド法によって製造された布地を含む。アッパーは、様々な特性または様々な視覚特性を有し得る、第1の糸、第2の糸、または第3の糸などの様々な材料を備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、アッパーは、伸縮性と安定性との混合物を提供することができる内層と外層とを含むことができる。内層および外層は、縫合、接着、溶接、または当技術分野で知られている他の接続方法によって互いに取り付けられてもよい。内側層は、アッパーがぴったりと快適であり、かつ使用者の足に適合することができるように、アッパーが多方向に延伸することを可能にする材料、例えば、4方向延伸材料から作製されてもよい。アッパーに、可撓性であり、使用者の足により良く適合することができる層を提供することに加えて、内側層は、使用者の足とアッパーとの間の摩擦又は他の摩擦を低減する、より快適なアッパーを提供することができる。外層は、伸張に抵抗し得る弾性織布材料から作製される。
【0020】
いくつかの場合では、アッパーは、使用者の踵に連結され、実質的に取り囲むヒールカップをさらに含むことができる。ヒールカップは、使用者の足に追加の支持を提供することができる剛性または半剛性構造である。ヒールカップは、プラスチック、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、または複合材料から作製されてもよい。いくつかの場合において、ヒールカップは透明または半透明である。
【0021】
さらに、本開示は、アッパーに取り付けられたソール構造を有する履物具に関する。ソール構造は、アッパーに取り付けられ得るミッドソールと、ミッドソールの下に取り付けられ、履物具の底部を画定するアウトソールと、いくつかのソール要素とを含む。いくつかの実施形態では、ミッドソールおよびアウトソールは、地面に衝突するときに、ユーザの足を緩衝し、ユーザに牽引力を与える発泡体またはゴム材料から作製された単一の本体であってもよい。他の実施形態では、ミッドソールおよびアウトソールは、のりまたは他の接着剤によって共成形または接着され得る異なる構成要素を構成し得る。ミッドソールは、ユーザにクッション性を提供する発泡熱可塑性要素であってもよい。いくつかの特定の例として、ミッドソールは、熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ナイロンポリアミド、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリアミドなどの1つまたは複数の熱可塑性材料から作製され得る。いくつかの場合では、ミッドソールは、非熱可塑性材料を含む他のタイプの材料を含むことができる。アウトソールは、牽引力および耐久性を高めるためのゴム材料であってもよい。いくつかの場合において、ミッドソールは、調整されたクッション特性を提供するために異なる密度を有する2つ以上の層を有する多密度ミッドソールであり得る。さらに、アウトソールは、ミッドソールの底部に形成された対応する凹部内に受け入れることができる1つ以上のアウトソールセクションから形成することができる。
【0022】
図1図5は、アッパー102およびソール構造104を含む履物具100の例示的な実施形態を示す。以下でさらに詳細に説明するように、アッパー102は、ソール構造104に結合され、ソール構造104とともに、ユーザの足が挿入され得る内部キャビティ106(図4参照)を画定する。アッパー102はまた、履物具100の内面に接続され得るか、またはそれと接触し得る、内部キャビティ106内に配置されたインソール108(図4参照)を含み得る。インソール108は、履物具100が着用されている間、ユーザの足に直接接触することができる。いくつかの実施形態では、アッパーは、履物具100を、例えば、履物具100が着用されているときに、ユーザの足と履物具100との間の摩擦を低減することによって、または水分吸い上げ特性を提供することによって、着用するのをより快適にするライニング110を含んでもよい。ライニング110は、内部キャビティ106全体または内部キャビティ106の一部分のみを裏打ちしてもよい。他の実施形態では、カラーまたはビンディング111は、ライニング110をアッパー102に固定するために、または履物具100上に審美的要素を提供するために、内部キャビティ106の開口部を囲んでもよい。さらに、ソール構造104は、ミッドソール112と、ミッドソール112に結合され、一般的にその下方に配置されたアウトソール114とを含む。アウトソール114は、地面に接触するように構成された履物具100の底面116を画定する。いくつかの実施形態では、ラグ(図示せず)または他の牽引要素が、底面116に沿って提供されて、ユーザに増加した牽引力を提供することができる。
【0023】
履物具100は、概して、前足領域120、中足領域122、および踵領域124を画定する。前足領域120は、一般に、足指、母指球、および中足骨を足指または指骨に接続する関節を含む、足の部分を包む履物具100の部分に対応する。中足領域122は、前足領域120に近接して隣接し、一般に、足のブリッジとともに、足のアーチを包む履物具100の部分に対応する。踵領域124は、中足領域122に近接して隣接し、一般に、踵または踵骨、足首、またはアキレス腱を含む、足の後部を包む履物具100の部分に対応する。
【0024】
履物具100はまた、外側126(図2参照)および内側128(図3参照)を画定する。さらに、履物具100は、前足領域120の遠位端に位置するつま先端部132から、つま先端部132とは反対側の踵領域124の遠位端に位置する踵端部134まで延びる長手方向軸130(図3参照)を画定する。長手方向軸130は、履物具100の中央を画定し、外側126は、長手方向軸130の片側から延在し、内側128は、他方の側から延在する。言い換えれば、外側126および内側128は、長手方向軸130に沿って互いに隣接する。特に、外側126は履物具100の外側部分に対応し、内側128は履物具100の内側部分に対応する。したがって、左右の履物具は、対向する外側126および内側128の側部を有し、その結果、使用者が履物具100を着用しているとき、内側128は互いに最も近く、一方、外側126は、着用している間、互いから最も遠い側部として画定される。
【0025】
前足領域120、中足領域122、踵領域124、内側128、および外側126は、履物具100の境界または領域を画定することを意図し、まとめて、つま先端部132から踵端部134まで、履物具100の全長に及ぶ。本開示の態様は、前足領域120、中足領域122、踵領域124、内側128、または外側126のうちの1つまたは複数と同一の広がりを有する部分または要素を指し得ることを理解されたい。前足領域120は、つま先端部132から履物具100の最も幅広の部分136、すなわちソール構造104の内側128と外側126との間の距離まで延在する。中足領域122は、最も幅広の部分136から履物具100の最も細身の部分138、すなわち、ソール構造104の内側128と外側126との間の距離まで延在する。踵領域124は、履物具100の最も細身の部分138から踵端部134まで延在する。
【0026】
外側126は、つま先端部132が長手方向軸130と交差し、前足領域120に沿って中足領域122に向かって外側に、すなわち長手方向軸130から離れて湾曲するところから始まる。最も幅広の部分136において、外側126は、内側に、すなわち、長手方向軸130に向かって、最も細身の部分138に向かって湾曲し、中足領域122に入る。最も細身の部分138に達すると、外側126は外側に湾曲し、踵領域124内に延びる。外側126は、踵端部134に向かって内側に湾曲し、踵端部134が長手方向軸130と交差するところで終了する。
【0027】
内側128は、つま先端部132が長手方向軸130と交差し、前足領域120に沿って中足領域122に向かって外側に、すなわち長手方向軸130から離れて湾曲するところから始まる。最も幅広の部分136において、内側128は、内側に、すなわち、長手方向軸130に向かって、最も細身の部分138に向かって湾曲し、中足領域122に入る。最も細身の部分138に達すると、内側128は外側に湾曲し、踵領域124内に延びる。内側128は、次いで、踵端部134に向かって内側に湾曲し、踵端部134が長手方向軸130と交差するところで終了する。
【0028】
前述の説明を考慮すると、当業者には数多くの修正が明らかであり、その個々の構成要素は、数多くの履物具に組み込まれ得ることを理解されたい。したがって、履物具100およびその構成要素の態様は、本明細書に記載されるように、前足領域120、中足領域122、踵領域124、外側126、および/または内側128の境界を理解しながら、履物具100の一般的な領域または部分を参照して説明され得る。さらに、履物具およびその個々の構成要素の態様はまた、履物具100の正確な領域または部分を参照して説明され得、本明細書の添付の請求の範囲の範囲は、本明細書で論じられる前足領域120、中足領域122、踵領域124、外側126、および/または内側128のこれらの境界に関連する制限を組み込み得る。
【0029】
引き続き図1図5を参照すると、アッパーは、ユーザの足を少なくとも部分的に囲むように構成され、1つ以上の材料から作製され得る。図示の実施形態では、アッパー102は、ソール構造104の上方に配置され、結合され、ユーザの足を受け入れて固定する内部キャビティ106を画定する。アッパー102は、足領域140および足首領域142によって画定されてもよい。一般的に、足領域140は、ソール構造104から上方に、前足領域120および中足領域122を通って、いくつかの実施形態では、踵領域124内に延びる。足首領域142は、主に踵領域124に位置するが、いくつかの実施形態では、足首領域142は、中足領域122内に部分的に延在してもよい。
【0030】
アッパー102は、内側128及び外側126のそれぞれの全体に沿って延在し、並びに前足領域120の上部及び踵領域124の周りに延在する。アッパーは、1つ以上の層から形成することができる。例えば、多くの従来のアッパーは、複数の要素、例えば、織物、ポリマー発泡体、ポリマーシート、皮革、および合成皮革から形成され、これらは、接合または縫合での縫い合わせによって接合される。様々な実施形態では、ニット構成要素は、アッパーに異なる特性を提供することができる様々なタイプの糸を組み込むことができる。他の実施形態では、アッパーは、それぞれが異なる特性、例えば、増加した通気性または水分吸い上げを有する、異なる材料の複数の層を組み込んでもよい。
【0031】
アッパー102を含む材料に関して、特定のタイプの糸がニット構成要素の領域に与える特定の特性は、糸の様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、綿は、ニット材料に柔らかい効果、生分解性、または自然な美観を提供することができる。エラスタンおよびストレッチポリエステルは、それぞれ、所望の弾性および回復を有するニット構成要素を提供することができる。レーヨンは、高い光沢および吸湿性材料を提供し得、ウールは、増加した吸湿性を有する材料を提供し得、ナイロンは、耐摩耗性である耐久性材料であり得、ポリエステルは、疎水性、耐久性のある材料を提供し得る。
【0032】
ニット構成要素の他の態様もまた、ニット構成要素の特性に影響を及ぼし、所望の属性を提供するように変更され得る。例えば、ニット構成要素を形成する糸は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸を含むことができ、または糸は、それぞれ2つ以上の異なる材料から形成されるフィラメントを含むことができる。加えて、ニット構成要素は、特定の特性を有するニット構成要素の領域を付与するために、特定の編みプロセスを使用して形成され得る。したがって、糸を形成する材料および糸の他の態様の両方は、アッパー102の特定の領域に様々な特性を付与するように選択され得る。
【0033】
いくつかの他の特徴も、アッパーに結合されるか、またはアッパーに含まれて、アッパーの特定の特性を提供または強化することができる。例えば、アッパー102は、快適性を高めるためにタンライニングおよび/または発泡体パッドをさらに含むことができるシュータン148を含むことができる。シュータン148は、アッパー102に取り付けられる別個の構成要素であってもよく、又はアッパー102の1つ以上の層と一体的に形成されてもよい。
【0034】
加えて、アッパーはまた、ユーザがアッパーを調節してユーザの足にフィットさせることを可能にする張力システム、例えば、靴ひも150を含むことができる。張力システムは、アッパーの中足領域および/または前足領域を通って延在することができ、取り付け構造によってアッパーに取り付けることができる。例えば、図示の実施形態では、アッパー102は、靴ひも150を摺動可能に受容するように構成された複数の穴152、例えばパンチ穴又はアイレットを含み、それにより、ユーザは、例えば、靴ひも150を締め付けて結ぶことによって、履物100を足に固定することができる。他の実施形態では、張力システムは、レースレス締結システム、または当技術分野で知られている他のタイプの張力システムであってもよい。
【0035】
さらに、いくつかの場合では、他の要素、例えば、プラスチック材料、ロゴ、商標などもまた、のりまたは熱成形プロセスを使用して、アッパー102の外面に適用され、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、アッパー102に関連する特性、例えば、ステッチタイプ、糸タイプ、または異なるステッチタイプもしくは糸タイプに関連する特性、例えば、弾性、審美的外観、厚さ、通気性、または耐擦傷性を変えることができる。
【0036】
引き続き図1図5を参照すると、アッパー102は、アッパー102と地面との間に延在するソール構造104と接合される。ソール構造104は、ミッドソール112およびアウトソール114を含む。他の実施形態では、ソール構造はまた、ミッドソールとアッパーとの間に配置された、ラスティングボード、プレート、またはストローベルボード(図示せず)を含み得る1つまたは複数の他の構成要素を含み得る。加えて、いくつかの場合において、ソール構造は、接着剤または縫合を介して踵領域のアッパーと結合し、ユーザの踵に追加の支持を提供するヒールカップをさらに含み得る。より具体的には、ヒールカップは、剛性または半剛性材料、例えばTPU、またはユーザが走っているときまたは他の活動を行っているときに必要に応じてヒールカップが屈曲するまたは弾力性を与えることを可能にするが、そうでなければユーザの踵に対してより剛性の支持を提供する複合材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、ヒールカップは、半透明または透明のTPUから作製することができ、審美的魅力を高めるために使用することができる。
【0037】
アウトソール114は、履物具100が着用されたときに、例えば地面などの外面に少なくとも部分的に接触するソール構造104の一部分として画定される。ミッドソール112と同様に、アウトソール114は、ソール構造104の長さに沿って、前足領域120、中足領域122、および踵領域124の全体にわたって、外側126から内側128までソール構造104の幅にわたって延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、アウトソールは、前足領域120、中足領域122、および踵領域124のいずれかの部分を通って延在するだけの別個のアウトソール部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アウトソール114は、牽引力の増加に加えて、地面との接触から生じる摩耗に耐えることができる射出成形された熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン、EVA、ポリオレフィンエラストマー、ゴム材料、またはそれらの混合物から製造されてもよい。
【0038】
ミッドソール112は、アッパー102とアウトソール114との間に延在するソール構造104の部分として画定される。すなわち、ミッドソール112は、ミッドソール112の上面において、例えばインソール108を介してアッパー102と結合することができ、アッパー102とは反対側のミッドソール112の下面においてアウトソール114と結合することができる。ミッドソール112は、ソール構造104の長さに沿って、前足領域120、中足領域122、および踵領域124全体にわたって延在する。加えて、ミッドソール112は、ソール構造104の幅を横切って外側126から内側128まで延在する。しかしながら、他の実施形態では、ミッドソールは、前足領域120、中足領域122、および踵領域124のいずれかの部分を通ってのみ延在する別個のミッドソール部分を含んでもよい。
【0039】
ミッドソール112は、一般に、ユーザの足が地面に接触することに起因する衝撃力を吸収することによって、ユーザのクッションとして作用する。所望のクッション特性を提供するために、ミッドソール112の厚さ、例えば、底面116に垂直な方向に沿った寸法は、変化させることができ、より厚い領域は、より大きいクッション性および安定性を提供し、例えば、踵領域124およびより薄い領域は、より小さいクッション性およびより大きい可撓性を提供し、例えば、前足領域120である。
【0040】
加えて、ミッドソールは、一般的に、圧縮することによって衝撃を吸収し、次いで、その元の形状に戻り、それによって、吸収されたエネルギーをユーザに戻すことができる弾性材料から作製される。概して中実断面を有する従来のミッドソールでは、クッション性および衝撃吸収性は、典型的には、ミッドソール自体の材料によって提供され、より柔らかく、より容易に圧縮可能な材料は、より硬く、より圧縮性の低い材料よりも大きなクッション性を提供する。対応して、従来のミッドソールは、一般に、1つまたは複数の熱可塑性発泡材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ナイロン、ナイロンポリアミド、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性ポリアミド、ポリオレフィンエラストマー(POE)など、またはそれらの組合せから形成される発泡部品である。例えば、第1の材料は、約70%のTPUと約30%のTPEEとの混合物、または約78%のEVA、約10%のTPEE、および約12%のPOEの混合物であり得る。
【0041】
しかしながら、従来のミッドソールは、主に、それが作られる材料の圧縮に依存し得るが、三次元構造の選択された変形によってエネルギーを吸収することによってクッション性を提供する、三次元印刷構造、例えば、三次元格子を使用することも可能である。すなわち、格子状構造のコンテキストにおいて、クッション性は、主にミッドソール材料の微細構造を介してエネルギーを吸収するのではなく、格子マクロ構造の曲げ、伸張、またはねじりによって提供され得る。これに対応して、衝撃力を推進力に変換してユーザを前方に移動させるのを助けるように格子構造を配置することも可能である。さらに、そのような格子構造は、特定のユーザによって所望される特定のクッション特性を提供するように、または特定の使用に従ってカスタマイズすることができる。
【0042】
図1図4に示すように、ミッドソール112は、幾何学的パターンに配列された複数の連結ビームを有する三次元格子構造118として構成される。ミッドソール112の三次元格子構造は、使用可能な構造の1つのタイプに過ぎない。他の場合には、他のタイプ又は他のタイプの三次元構造の組み合わせ、例えば、ビーム又はストラット、プレート、平面、ジャイロイド、確率的、又は格子構造を含まない部分(例えば、固体部分)と組み合わせることもできる他のタイプの格子構造を使用することもできる。それに対応して、そのような格子構造は、繰り返し単位セル構造を有する周期的格子と、繰り返し単位セルを有さないランダム格子構造との両方を含む。
【0043】
格子構造118は、三次元印刷によって形成することができる。しかしながら、従来の三次元印刷プロセスでは、一般的に、固体の未発泡材料からのみ印刷構造を作成することができる。結果として、従来の三次元印刷構成要素、例えばミッドソールは、典型的には、比較的硬く、より密度の高い材料から作製される。これは、三次元的に印刷されたミッドソールを、それらの従来の発泡体の対応物よりも重くすることが多く、また、発泡材料のように圧縮してさらなるクッション性を提供することもできない。
【0044】
本開示は、三次元印刷構造、例えば、ミッドソールを有する発泡部品を形成または製造するための改善されたシステムおよび方法を提供する。より具体的には、本開示のシステムおよび方法は、超臨界発泡部品、特に、従来の方法を使用して製造することが不可能であるか、または法外に複雑であるか、または費用がかかる可能性がある、複雑な形状幾何学的形状、例えば、三次元格子構造、アンダーカット、封入ボイドなどを有するものの三次元印刷を可能にする製造プロセスを提供する。発泡部品の三次元印刷を可能にすることによって、発泡材料自体の圧縮性だけでなく、三次元格子マクロ構造の変形の両方を生かすことによって、改善されたクッション特性を達成することができる。さらに、三次元印刷の使用は、例えば、材料のブロックから格子または格子状構造をフライス加工することと比較して、無駄を減らすこともできる。
【0045】
図6は、発泡部品を製造するための方法200を示す。例えば、発泡部品は、ミッドソール(例えば、ミッドソール112)、又は履物具(例えば、履物具100)の別の構成要素として構成することができる。方法200は、様々なステップを参照して以下で説明されるが、すべてのステップが必要とされるわけではないことが理解される。さらに、ステップは、以下に示される順序で実行されなくてもよく、いくつかのステップは、同時に実行されてもよい。さらに、方法は、図7および図8に示される例示的な発泡システム300に関連して説明されるが、方法200はまた、他のタイプの発泡システムを使用して実行されてもよい。
【0046】
方法200は、ステップ204で、発泡プロセスで膨張させて発泡部品306、例えばミッドソール112を形成することができる三次元印刷プロセス304(例えば、三次元プリンタ)を使用してプリフォーム302を印刷することによって開始することができる。一般的に、プリフォーム302は、発泡中の膨張を可能にするように、最終的な発泡部品の実質的に小型化されたバージョンとなるようなサイズ及び形状にすることができる。すなわち、プリフォーム302は、形成される最終発泡部品の実質的に同じ幾何学的形状、例えば、外側プロファイル、表面テクスチャ、または格子構造(例えば、格子構造118を参照)などの他の装飾要素もしくは性能要素を共有することができる。例えば、プリフォーム302は、製造される最終発泡部品の最終的な生産意図サイズ、例えば、体積に対してスケールファクタだけ縮小されてもよい。プリフォームは、発泡部品の縮尺モデルに基づいて印刷することができる。いくつかの場合では、プリフォーム302のサイズは、最終的な、例えば、製造意図の最終発泡部品のサイズよりも約70%小さくても、約65%小さくても、約60%小さくても、約55%小さくても、約50%小さくても、約45%小さくても、約40%小さくても、約35%小さくても、または約30%小さくてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、プリフォームの初期サイズは、発泡部品の所望の最終サイズよりも約70%~約30%小さくても、約65%~約35%小さくても、または約60%~約40%小さくてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、プリフォーム302の初期サイズは、発泡部品の最終サイズよりも約70%~約60%小さくても、約50%~約40%小さくても、または約30%~約20%小さくてもよい。したがって、プリフォーム302の初期サイズと最終発泡部品306のサイズとの間のスケールファクタは、プリフォーム302のサイズを所定の量だけ減少させることができ、その結果、プリフォーム302は、以下で論じられる、ステップ228における膨張または発泡プロセスにおいて発泡部品306を形成するように膨張され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、プリフォーム302は、発泡部品の最終サイズに対して、記載されるスケールファクタによって均一にスケーリングされてもよい。例えば、プリフォーム302のスケーリングは、ソールアセンブリによって画定される全ての座標軸の周りで体積が均一であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるスケールファクタは、ソールアセンブリにわたって変化し得ることも可能である。例えば、ソールアセンブリのいくつかの部分は、ソールアセンブリの他の部分よりも大きいまたは小さい体積で縮尺されてもよい。その点に関して、最終発泡部品306の質量特性は、プリフォーム302の様々な部分に沿ったスケールファクタの大きさを決定することができ、発泡部品においてより大きい厚さまたは体積を有する領域を形成するプリフォーム302の部分は、最終発泡部品306においてより小さい厚さまたは体積を有する領域を形成するプリフォーム302の部分よりも縮小される。すなわち、いくつかの実施形態では、スケールファクタによって画定される勾配は、最終発泡部品306の幾何学的特性、例えば、厚さ、体積、または少なくとも1つの座標軸に沿って画定される別の幾何学的特性に相関され得、より大きい幾何学的特性を画定する領域は、より小さい幾何学的特性を画定する領域よりも縮小される。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するスケールファクタは、プリフォーム302を一方向に、または1つの座標軸、例えば、ユーザが歩く地面に垂直なy軸もしくは座標軸に沿って、または履物具100に対して、履物具100の底面に垂直な軸に沿って縮小することができる。プリフォーム302は、一方向に縮小されたサイズを有し、次いで、一方向に沿って膨張され得る。したがって、プリフォームを発泡部品の最終サイズにスケーリングすることは、所望の発泡部品に形成するためにプリフォームを発泡させることによって達成することができる。所望の発泡部品は、任意の形状またはサイズであり得る。
【0048】
プリフォーム302の発泡を可能にするために、プリフォーム302は、基材と、その中に埋め込まれたまたは溶解された発泡剤との予め飽和された混合物308から作製され得る。基材は、発泡剤で完全にまたは部分的に飽和させることができる。ある場合には、プリフォームの基材は、液体または粉末状の熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ナイロン、ナイロンポリアミド、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、熱可塑性ポリアミド、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)など、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、第1の材料は、約70%のTPUと約30%のTPEEとの混合物、または約78%のEVA、約10%のTPEE、および約12%のPOEの混合物であり得る。いくつかの場合では、基材は、三次元印刷および発泡後に硬化プロセスを受けることができる熱硬化性ポリマーであり得る。硬化は、熱または他のタイプの放射線によって誘発されて、基材の不可逆的硬化を引き起こすことができ、これは、最終的な発泡部品の形状を恒久的に設定することができる。熱硬化性ポリマーは、例えば、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、ABS、ポリカーボネートなどを含むことができる。熱硬化性ポリマーは、ヒールカップ、ソールプレート、クリートのフレーム、またはシャーシなどの比較的硬質で軽量の発泡部品を形成するために使用することができ、一方、熱可塑性ポリマーは、ミッドソールまたはアッパーの一部などのより弾性のある構成要素を提供することができる。そのような基材はまた、他のタイプの衣類、例えば、肩パッド、肘パッド、脛ガード、ヘルメットなどを形成するために有用であり得る。いくつかの場合では、基材は、最終構成要素の材料特性を制御するために、カーボンファイバーまたはガラス繊維などの他の種類の材料(すなわち、添加剤)を含んでもよい。
【0049】
相応して、発泡剤は、基材内に溶解された物理的発泡剤、化学的発泡剤、またはそれらの混合物であり得る。いくつかの場合では、物理的発泡剤は、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、または超臨界流体、例えば、窒素、二酸化炭素、またはそれらの混合物であり得る。いくつかの場合では、化学発泡剤は、イソシアネート、ポリウレタン、アゾジカルボンアミド、ヒドラジン、重炭酸ナトリウム、および他の窒素系材料、または化学反応においてガスを生成して発泡を引き起こす材料であり得る。さらに、いくつかの場合では、予め飽和された混合物308は、着色剤をさらに含むことができる。
【0050】
いくつかの場合では、液体形態である予め飽和された混合物を使用することが有利であり得る。予め飽和された混合物は、高粘性の単一部樹脂として提供することができる。例えば、予め飽和された混合物は、約2,000センチポアズ(cP)以上の粘度を有することができる。いくつかの場合において、粘度は、約2,000cP~約600,000cP、約50,000cP~400,000cP、および約100,000cP~300,000cPの範囲(両端を含む)であり得る。粘度の特定の範囲は、基材、発泡剤、および任意の含まれる添加剤に応じて変わり得る。
【0051】
いくつかの場合では、基材は、光に曝露されたときにその特性を変化させる光活性化樹脂またはフォトポリマーである。いくつかのフォトポリマー樹脂は、耐久性があり、寸法精度の高い独立気泡発泡部品を、いかなる体積においても、ツーリングなしで製造する。いくつかのフォトポリマー樹脂は、三次元的に印刷することができる熱活性化発泡剤を含有する。熱活性化発泡剤が印刷された後、フォトポリマー樹脂は、発泡剤が、厳密に制御されたプロセスで材料内部に独立気泡を生成するオーブンなどの加熱システムに入れることができる。フォトポリマー樹脂は、その元のサイズの2~7倍に膨張するようにプログラムすることができる。いくつかの例では、フォトポリマー樹脂は、その元のサイズの3~6倍に膨張することができる。いくつかの例では、フォトポリマー樹脂は、その元のサイズの2~4倍に膨張することができる。いくつかの例では、フォトポリマー樹脂は、その元のサイズの5~7倍に膨張することができる。これにより、フォトポリマー樹脂が、コンパクトな形態で輸送され、最終的な使用地点または組み立て地点に近い熱システムで膨張することが可能になる。いくつかの例では、三次元プリンタは、本明細書でさらに説明するように、フォトポリマーを格子設計に加工することができる。
【0052】
予め飽和された混合物308が液体基材と、その中に溶解された物理的発泡剤とを含む場合、予め飽和された混合物308は、発泡剤が超臨界状態にあるように、環境条件下で維持され得る。超臨界状態では、物理的発泡剤は、物質の別個の液体または気体状態で存在せず、固体でもない。相応して、混合物は、基材が物理的発泡剤で飽和されている単相溶液であってもよい。混合物が、基材と、その中に溶解または捕捉または配置された化学発泡剤とを含む場合、混合物は、化学発泡剤が未反応状態に維持されるように、環境条件下で維持することができる。
【0053】
印刷前に基材を発泡剤で予め飽和させることによって、プリフォーム302内の発泡剤のより制御可能な濃度および均一な分布を達成することができ、これは、超臨界流体でプリフォームを飽和させる従来の方法と比較して、最終発泡部品306における気泡サイズの均一性および密度の改善を明らかにすることができる。すなわち、例えば、従来の飽和技術では、超臨界発泡剤は、固体基材のブランクを有するオートクレーブに入れられ、ゆっくりと溶解し、外側からブランクに浸透する。いくつかの場合において、これは、ブランク内の発泡剤の比較的不均一で制御不能な分布をもたらし得、特に、厚さに大きなばらつきがあり、これは、次に、不均一な発泡をもたらし得る。さらに、従来の飽和方法を使用して発泡剤をブランクに浸透させるには、しばしば長い滞留時間が必要であり、全体のサイクル時間が増加する。
【0054】
ステップ204でプリフォーム302を作成するために、予め飽和された混合物308を用いて印刷することは、様々な三次元印刷技術を使用して行うことができる。例えば、いくつかの場合では、プリフォーム302は、デジタルライトプリンティング(DLP)または他のバット重合技術を使用して印刷することができ、ここで、液体樹脂、すなわち、基材と発泡剤との混合物は、選択的に固化され、例えば、紫外線(UV)光源を例とする光源を使用して層ごとに固化され、樹脂を硬化させ、プリフォームを作製する。別の例として、結合剤を利用して動力付き樹脂、すなわち、基材と発泡剤との混合物を融合するマルチジェット融合印刷も使用することができる。プリフォーム302は、プリフォーム自体、または最終発泡部品306のいずれかの対応する三次元コンピュータモデル、すなわちCADモデル、および倍率に基づいて印刷することができる。したがって、プリフォーム302は、例えば、図1図4に示すように、ミッドソール112の最終格子構造118に対応する予備構造、例えば予備格子構造を含むことができる。予備構造は、格子自体であってもなくてもよい。いくつかの場合では、プリフォーム302は、別の構成要素、例えば、シャンクまたはプレートの周りに形成することができ、これは、得られる発泡部品306内に少なくとも部分的にまたは完全に埋め込むことができる。
【0055】
印刷中、周囲の環境条件が、ステップ204中の発泡剤の膨張または他の活性化を抑制するように選択されることが一般的に好ましく、発泡剤の膨張または他の活性化は、印刷中にプリフォームの早すぎる発泡または他の意図しない発泡をもたらし得る。例えば、DLPの場合、液体樹脂の温度は、約180℃未満、より具体的には、約100℃未満、約50℃未満、または約30℃未満に維持され得る。同様に、発泡剤の活性化を阻害するように、圧力および他の環境条件を選択し、維持することができる。したがって、発泡剤は、ステップ204において印刷中に発泡を引き起こすように膨張しないので、得られた固化プリフォーム302は、基材内に封入された発泡剤を含有することができる。
【0056】
任意選択で、プロセスは、プリフォームの洗浄、乾燥、および硬化を含むことができる仕上げシステムと、支持体除去システムとを含むことができる。仕上げシステムは、手動でも自動でもよい。さらに図6を参照すると、いくつかの場合では、方法200は、ステップ208において、仕上げシステム310を介してプリフォーム302に対して1つまたは複数の仕上げプロセスを実行することを含むことができる。例えば、いくつかの場合では、プリフォーム302の特定の設計は、ステップ204においてプリフォーム302で印刷される一時的な支持構造を必要とすることがあり、一時的な支持構造は、印刷中に一時的な支持を提供することができるが、発泡部品306に組み込まれない。したがって、このような一時的な支持構造は、ステップ212でプリフォーム302から取り外すことができる。支持体の取り外しは、手で、または1つ以上の手動または自動ツールを使用して行うことができる。したがって、仕上げシステム310は、任意選択で、支持体除去システム330を含むことができる。いくつかの場合では、プリフォーム302は、ステップ216において、例えば超音波または撹拌洗浄システムによって洗浄されて、過剰な予め飽和された混合物308をプリフォーム302から取り除くことができる。したがって、仕上げシステム310は、任意選択で洗浄システム332を含むことができる。対応して、いくつかの場合では、プリフォーム302は、例えば、空気乾燥システムまたは熱乾燥システムなどの乾燥システムにプリフォーム302を配置することによって、ステップ220で乾燥させることができる。したがって、仕上げシステム310は、任意選択で乾燥システム334を含むことができる。さらに、いくつかの場合では、プリフォームは、ステップ224で硬化されてもよい。例えば、プリフォームは、プリフォーム302全体が硬化されることを確実にするように、二次硬化ステップにおいてUV硬化デバイスを使用して硬化され得る。したがって、仕上げシステム310は、任意選択で硬化システム336を含むことができる。仕上げシステム310における動作は、手動動作と自動動作(例えば、機械実行)の両方を含むことができる。輸送システム338は、仕上げシステム310の様々なステーション間でプリフォーム302を移動させるために提供され得る。輸送システム338は、コンベヤまたはロボットアームなどの自動輸送システム、ならびに手動システムを含むことができる。
【0057】
特定の既知の製造方法は、それぞれが異なる機械及び関連するコンベヤを備えた複数の処理ステーションを使用して、これらのステーション間で完成までの様々な段階で材料を移動させる。いくつかの場合では、輸送システムは、コンベヤを含むことができる。一例では、コンベヤは、プリフォームが加熱システムを通って移動するラインに配置されてもよい。代替の実施形態では、コンベヤは、材料が同じ開口部に出入りすることを可能にする円形または半円形の配置で配置されてもよい。プリフォームは、コンベヤ上に手動で配置されてもよく、またはロボットアームなどの自動システムを使用して配置されてもよい。
【0058】
さらに図6を参照すると、方法200は、ステップ228でプリフォーム302を発泡させて、所望の発泡部品306を形成することをさらに含むことができる。すなわち、ステップ228において、発泡剤を活性化して、プリフォーム302の膨張および発泡を引き起こすことができる。いくつかの例では、発泡は、加熱システム312を介してプリフォーム302を加熱することによって引き起こされ得る。加熱システム312は、プリフォーム302に熱を加えて、その温度をガラス転移温度(例えば、約1%~約25%、約5%~約25%、約5%~約10%、約1%~約5%、または約10%~約25%のガラス転移温度(両端を含む)またはその中の他の範囲)または別の所定の温度以上に上昇させるように構成することができる。いくつかの場合では、特定の温度は、プリフォーム材料のガラス転移温度と溶融温度との間であり得、その結果、プリフォーム302は、構造的整合性および寸法的安定性を維持しながら、プリフォーム302の塑性変形を可能にするように軟化され得る。例えば、温度は、均一であっても不均一であってもよく、約80℃~約260℃、約140℃~約220℃、約115℃~約180℃の範囲であってもよく、膨張させる特定の材料に応じて多かれ少なかれ異なる。より具体的には、オートクレーブは、約120℃~約160℃、約120℃~約150℃、または約120℃~約135℃に加熱することができる。プリフォーム302を加熱することはまた、プリフォーム302材料内の発泡剤の物理的又は化学的反応を誘発することができ、これは、一般的に上述したように、プリフォーム302の制御された膨張及び発泡を引き起こす。
【0059】
加熱システムは、加熱システムを通してプリフォームを輸送する自動加熱システム、ならびに手動システムを含む、様々な方法で構成することができる。例えば、プリフォーム302は、熱トンネル314または他の加熱装置(例えば、加熱管またはオーブン)として構成され得る加熱システム312内で加熱されて、発泡剤を膨張させ、例えば、ガスを生成させ、それによってプリフォームを発泡させ、格子を有する最終発泡部品を生成することができる。以下でさらに説明するように、熱トンネル314は、(例えば、プリフォーム302の発泡中に大気圧に維持されるように)周囲大気に対して開放された内部容積316を有する開放トンネルであり得る。これは、内部容積を大気圧より高く上昇させることを可能にするために周囲環境に対して密封することができる圧力容器、例えばオートクレーブを利用する従来のシステムとは異なる。
【0060】
したがって、加熱システム312は、プリフォーム302を受容し、発泡部品306を取り除くための異なる数の開口部を有するように構成することができる。いくつかの例では、加熱システム312は、プリフォーム302を加熱システム312内に配置し、その後発泡部品306を取り除くために使用することができる単一の開口部を含むオーブンとすることができる。図示の例では、熱トンネル314は、プリフォーム302が加熱システム312に入ることを可能にする第1の端部320と、加熱システム312から発泡部品306を取り除くための第2の端部324とを有する開放端オーブンまたはトンネルとして構成される。熱トンネル314は、その端部320、324において大気に開放されている。さらに他の例では、加熱システム312は、1つまたは複数のプリンタ304からプリフォーム302を受け取るための複数の第1の端部、または発泡部品306が加熱システム312から出ることを可能にする複数の第2の端部324を含むことができる。
【0061】
加熱システム312に入るプリフォーム302は、発泡部品306の異なる膨張量または最終サイズをもたらすことが可能な異なる予め飽和された混合物またはサイズを有することができる。それに対応して、いくつかの場合では、第2の開口部のサイズは、異なるサイズの発泡部品306を収容するように変更することができる。一例では、熱トンネルは、第1の端部および第2の端部を有することができる。代替例では、熱トンネルは、プリフォームが入るための第1の端部を有することができ、最終構成要素は、同じ第1の端部を通って出る。別の例では、熱トンネルは、プリフォームが進入するための第1の端部と、最終構成要素の所望のサイズならびに必要とされる加熱持続時間および温度に応じて、最終構成要素が出るための第2の端部と、第3の端部と、第4の端部とを有することができる。例えば、第2の端部は、プリフォームの元のサイズの2~3倍である最終構成要素のためのものであり得る。第3の端部は、プリフォームの元のサイズの4~5倍である最終構成要素用であってもよい。第4の端部は、プリフォームの元のサイズの6~7倍である最終構成要素用であってもよい。
【0062】
熱トンネル312は、プリフォームを加熱する加熱システム315を含むことができる。図示の例では、熱トンネル314は、熱エネルギー(たとえば、熱)、または他のタイプのエネルギーをトンネルの内部容積内に放出してその中のプリフォーム302構成要素の加熱を引き起こすように構成された1つ以上のエミッタ318を含むことができる。例えば、プリフォーム302は、三次元プリンタ304から、内部容積316内に配置される熱トンネル314の第1の端部320内に受け入れることができる。一旦内部容積316内に入ると、エミッタ318によってエネルギーを放出することができ、従来の圧力容器システムで典型的に必要とされるように、プリフォーム302の温度を上昇させ、高圧を必要とすることなく発泡を可能にする。得られた発泡部品306は、次いで、熱トンネル314の第1の端部320または熱トンネル314の第2の端部324から出るか、またはそこから除去され得、そこで冷却され得る。いくつかの場合において、エミッタは、例えば、抵抗加熱要素または開放火炎バーナなどを含む熱エミッタであり得る。いくつかの場合では、エミッタは、異なるタイプのエミッタ、例えば、マイクロ波エミッタまたは赤外線エミッタとすることができる。いくつかの実施形態では、複数のタイプのエミッタを一緒に使用することができる。
【0063】
プリフォームが熱に曝露される時間は、熱トンネル内で費やされる時間に依存し得る。一実施形態では、プリフォームは、コンベヤベルト上の熱トンネル内に装填される。コンベヤベルトの速度は、熱トンネル内の時間に影響を与える。いくつかの例では、熱トンネルは、加熱の温度および持続時間が変化する熱ゾーンを有することができる。熱を加える強度、持続時間、または方向を変化させることによって、発泡の量(例えば、膨張)を制御して、発泡部品の特性を変化させることができる。例えば、1つのゾーンにおけるより高い温度または持続時間は、より低い温度または持続時間を有するゾーンと比較して発泡を増加させることができる。より具体的な例としては、図9A~Dに示したように、ミッドソール112に対して、踵領域124のような第1の領域において増加拡大を達成することができるが、一方、前足領域120においては比較的少ない拡大を達成することができる。同様の趣旨において、第1の熱ゾーンは、第1の領域において第1の格子構造の膨張を引き起こすように構成することができ、一方、第2の熱ゾーンは、第2の領域において第2の格子構造の膨張を引き起こすように構成することができる。第1および第2の格子構造は、ソール構造の長手方向または横方向に対して異なる領域に位置することができる。いくつかの場合では、各ゾーンにおける放出のタイプは、膨張のために異なる深さを標的とすることができる。すなわち、第1の外部領域は、第1の膨張量を受けることができ、一方、第2の内部領域は、第2の膨張量を受けることができる。このようにして、ミッドソール112は、第1の密度または他のクッション性を有する第1のミッドソール112A(例えば、外側ミッドソール)と、第2の密度または他のクッション性を有する第2のミッドソール112B(例えば、インサートまたは内側ミッドソール)とを有するデュアル密度ミッドソールとすることができる。いくつかの場合において、第1および第2のミッドソールは、上側および下側ミッドソールなど、または外側および内側ミッドソールとして、異なるように構成され得る。
【0064】
熱ゾーンは、1つまたは複数のエミッタに対応し得る。図示の例では、熱ゾーンは、第1のエミッタ318に対応し、第1の温度を有する第1の熱ゾーン317と、第1のエミッタ318に対応し、第1の熱ゾーン317とは異なるかまたは同じであり得る第2の温度を有する第2のゾーン319とを含み得る。一実施形態では、第1の熱ゾーン317の第1の温度は、第2の熱ゾーン319の第2の温度よりも高い。一実施形態では、第1の熱ゾーン317の第1の温度は、第2の熱ゾーン319の第2の温度よりも低い。一実施形態では、第1の熱ゾーン317の第1の温度は、第2の熱ゾーン319の第2の温度と同じである。別の例では、熱ゾーンは、第3の温度を有する第3のゾーンと、第4の温度を有する第4のゾーンなどをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ゾーンは、他のゾーンと同じ温度を有してもよく、ゾーンは、トンネル内のゾーンの位置、放出のタイプ、放出の持続時間、放出の方向などの他のパラメータによって定義されてもよい。いくつかの実施形態では、ゾーン内で費やされる時間は変化し得る。例えば、プリフォーム302が第1の熱ゾーン317に費やす時間は、第2の熱ゾーン319に費やす時間よりも長くてもよく、またはその逆であってもよい。いくつかの実施形態では、各ゾーンで費やされる時間は同じであってもよい。
【0065】
いくつかの場合では、熱システム312は、プリフォーム302を、加熱システム312を通して移動させるための輸送システム321を含むことができる。輸送システム321は、手動または自動輸送システムとすることができる。例えば、熱システム312は、ユーザがプリフォーム302を熱トンネル314またはオーブンの内側に手動で配置し、発泡後に最終構成要素306を取り除くことができるように手動で操作することができる。ユーザは、加熱システム312に沿って移動するカート上にプリフォームを配置し、加熱後にカートから最終構成要素306を取り除くことができる。いくつかの場合では、ユーザは、加熱前にプレフォームをコンベヤ上に配置し、加熱後にコンベヤから最終構成要素を取り除くことができる。ユーザは、このステップを繰り返し、最終構成要素を熱トンネル内に戻し、所望のサイズおよび形状が達成されるまでプロセスを繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、プリフォームを熱トンネルの各ゾーンに移動させることができる。いくつかの例では、熱トンネルは自動化されてもよい。例えば、ロボットアームは、プリフォームを加熱ゾーン間で移動させることができる。いくつかの例では、プリフォームは、コンベヤ上で熱トンネルを通って移動されてもよい。いくつかの実施形態では、輸送システム321は、発泡の持続時間を制御する(例えば、移動速度を変化させる)ことによって、発泡に影響を与え、発泡を制御することができる。いくつかの場合では、輸送システム321は、プリフォーム302とエミッタ318との間の距離を変化させることなどによって、他の方法で発泡を制御することができる。
【0066】
図示の例では、輸送システム321は、熱トンネル314を通してプリフォーム302を移動させるためのコンベヤシステム322として構成される。コンベヤシステム322は、プリンタ304または仕上げシステム310からプリフォーム302を受け取り、発泡のために熱トンネル314を通してプリフォーム302を輸送する。いくつかの場合では、第1の輸送システム321および第2の輸送システム338は、発泡システム300全体のためのより大きな輸送システムの一部とすることができる。このようにして、輸送システムは、発泡システム300全体を通してプリフォーム302および最終発泡部品304を移動させることができる。例えば、輸送システム321および輸送システム338は、より大きな輸送システムのセクションとすることができる。いくつかの場合では、輸送システム321および輸送システム338は、発泡システム300に沿って通過する連続コンベヤの一部とすることができる。
【0067】
また、上述したように、プリフォーム302は、熱トンネル314内で、基材のガラス転移温度以上に加熱することができる。化学発泡剤の場合、温度の上昇は、プリフォーム302内の発泡剤の化学反応を引き起こす可能性がある。化学反応は、プリフォーム302の発泡を引き起こすガスを生成することができる。物理的発泡剤の場合、温度の上昇は、発泡剤を基材内で核形成および膨張させ始め、それによって、プリフォーム302を発泡させ、発泡部品306を形成することができる。より具体的には、いくつかの場合では、発泡剤の核形成は、発泡部品306内に(閉じた)超臨界流体充填セルを形成することができ、超臨界流体充填セルは、膨張して、基材内に発泡剤のポケットを形成し、それによって、発泡部品306を形成するためにプリフォームの体積を増加させる。それに対応して、発泡部品306は、その中に発泡剤のポケット、例えば、窒素ガス、二酸化炭素ガス、またはそれらの混合物のポケットを含むことができる。いくつかの場合では、連続気泡構造を形成することができ、発泡剤によって生成されたガスは、気泡の一部または全部から逃げることができる。
【0068】
セルは、形成された発泡部品全体にわたってほぼ均一なサイズおよび分布を有することができる。セルサイズ、例えば平均セルサイズは、基材および発泡剤の種類、発泡剤の濃度、発泡中の温度および圧力、ならびに他の要因を含む混合物の特定の組成に依存し得る。気泡サイズおよび分布はほぼ均一であるので、発泡部品全体の密度もほぼ均一であり得る。その結果、寸法的安定性は、膨張中により良好に保存することができ、より微細で複雑な細部および構造、例えば、格子構造118に対応する細部および構造が、膨張後もそのままの状態を維持することを可能にする。したがって、プリフォーム302の上または内部に存在する任意のそのような装飾的または性能的特徴も、発泡部品306の上または内部に存在する。さらに、そのような特徴は、ステップ228における発泡後の最終サイズまたはその近くであり得るので、方法200は、発泡部品を最終の製造サイズに低減するための任意の後続の圧縮ステップの必要性を排除することができる。他の実施形態では、加熱システムは、上述のように、発泡部品の特性を制御するためにプリフォームの膨張率を変化させるように構成され得る。例えば、第1の領域が第2の領域とは異なる密度を有するように、または第1の領域が第2の領域とは異なる弾性を有するように、膨張率を制御して、密度を制御することができる。
【0069】
関連して、プリフォーム302は固体状態であり、発泡剤で予め飽和されているので、ステップ228での発泡は、上述の熱トンネル314などの大気圧で行うことができる。このようにして、方法200は、発泡中の正確な圧力制御および/または高められた圧力の必要性を低減または排除することによって、より複雑で費用のかかる圧力容器システム、例えばオートクレーブの必要性を排除することができる。その結果、システムコストを低減することができる。
【0070】
所望の製造物品、例えば、履物具100を形成するために、ステップ232において1つ以上の二次構成要素を発泡部品306に、またはステップ228において発泡する前にプリフォーム302に固定することができる。例えば、発泡部品306がミッドソール112である場合、第2の構成要素は、アウトソール、アッパー、プレート、例えば、別の三次元的に印刷された又は従来のクッション要素などのミッドソールインサートのいずれかを含むことができる。二次構成要素は、組立ステーション340で発泡部品304に固定することができる。したがって、いくつかの場合において、カスタマイズされたソール構造は、異なる領域において異なる性能特性を提供するために、複数の格子構造から形成され得る。例えば、踵領域は、ジャイロイド構造(例えば、第1の格子構造)を含むことができ、中足領域は、立方体構造(例えば、第2の格子構造)を含むことができ、前足は、中実構造を含むことができる。したがって、発泡部品は、単一の発泡部品内に異なるタイプの格子構造を含むことができる。これにより、発泡部材は、異なる特性(例えば、色、密度、硬度、バネ定数など)を有する領域を有することができる。例えば、第1の格子構造をヒールに設けることができ、第1の格子構造とは異なることができ第1の格子構造とは異なることができる第2の格子構造を前足部に設けることができる。第1の格子構造は、ヒールストライク中の衝撃吸収を改善するために、第2の格子構造よりも比較的軟らかくすることができる。第2の格子構造は、改善されたつま先離れのために増大されたエネルギーリターンを提供するように構成され得る。例えば、第2の格子は、ユーザを前方に推進するのを助けるように構成されてもよい。第2の構成要素は、例えば、縫合、オーバーモールド、接着剤を介して、または第1の構成要素を第2の構成要素に挿入することによってなどを含む多くの方法で発泡部品306に固定することができる。
【0071】
本明細書に記載される実施形態のいずれも、異なる実施形態に関連して開示される構造または方法のいずれかを含むように修正することができる。さらに、本開示は、具体的に示されるタイプの履物具に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物具の態様は、任意のタイプの履物、衣服、または他の運動用機器で機能するように修正されてもよい。
【0072】
前述のように、本開示は、特定の実施形態および実施例に関連して上述されているが、本開示は必ずしもそのように限定されず、多数の他の実施形態、実施例、使用、変形例、および実施形態、実施例、使用からの逸脱が、本明細書に添付される請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者によって理解されるであろう。本明細書に引用される各特許および公報の全開示は、そのような各特許または公報が参照により個々に本明細書に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0073】
前述の説明を考慮すると、本開示に対する多数の修正が当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を製造および使用することを可能にする目的で提示される。添付の請求の範囲内にあるすべての修正に対する排他的権利が留保される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
【外国語明細書】