(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117089
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用包装フィルム及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20240821BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240821BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20240821BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240821BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240821BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240821BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240821BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240821BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240821BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/124
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M10/04 Z
H01G11/84
H01G11/78
H01M50/548 301
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037613
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2024021682の分割
【原出願日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021198728
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021213495
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021213405
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021213427
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021213322
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021213423
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】天野 真
(72)【発明者】
【氏名】立沢 雅博
(72)【発明者】
【氏名】坂元 宏年
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝典
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA02
5E078HA13
5E078HA21
5E078HA25
5H011AA09
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC10
5H011DD13
5H011FF04
5H011GG08
5H011HH01
5H028AA07
5H028BB01
5H028CC02
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA13
5H043HA06D
5H043KA07D
5H043KA08D
5H043KA09D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CO
2透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムを使用した蓄電デバイスの製造方法、及び蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】蓄電デバイス30の製造方法であって、前記蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子32と蓄電デバイス素子を収容する内側包装体10aと、を備え、内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルム10によって構成されており、蓄電デバイス用包装フィルムによって、蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、内側包装工程の後に実施され、蓄電デバイス用包装フィルムによって蓄電デバイス素子が密封されるように、蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、内側シール工程の後に実施され、蓄電デバイス素子から発生したガスを蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程と、を含む蓄電デバイスの製造方法である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓄電デバイスは、
蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、
前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、
前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、
前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程と、を含む
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む
請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される
蓄電デバイス。
【請求項4】
前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、
前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、透明性をさらに有する
請求項3~7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイス用包装フィルム及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて、電極や電解質などの蓄電デバイス素子を封止するために外装材が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用包装フィルムとして金属製の外装材が多用されていた。
【0003】
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用包装フィルムでは、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
【0004】
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用包装フィルムとして、基材層/金属層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
このような蓄電デバイス用包装フィルムにおいては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの蓄電デバイス素子を配し、熱融着性樹脂層を熱融着させることにより、蓄電デバイス用包装フィルムの内部に蓄電デバイス素子が収容された蓄電デバイスが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(第1の態様)
蓄電デバイスの製造工程においては、一般に、蓄電デバイス素子を蓄電デバイス用包装フィルム内に収容した後、仮封止され、初回充放電工程、エージング工程などが行われる。これらの工程においては、蓄電デバイス素子からCO2などのガスが発生することが知られており、仮封止された包装体(蓄電デバイス用包装フィルムから構成されたもの)の内側にガスを保持するためのスペースを設けるため、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いて、蓄電デバイスが製造されていることが現状である。
【0008】
本開示の発明者等は、蓄電デバイス用包装フィルムにCO2透過性を付与することで、新たな価値を提供する課題を創出した。
【0009】
本開示の第1の態様は、所定のCO2透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムを提供することを主な目的とする。
【0010】
(第2の態様)
また、蓄電デバイス用包装フィルムのヒートシール部分からは、金属端子が突出しており、蓄電デバイス用包装フィルムによって封止された蓄電デバイス素子は、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子によって外部と電気的に接続される。すなわち、蓄電デバイス用包装フィルムがヒートシールされた部分のうち、金属端子が存在する部分は、金属端子が熱融着性樹脂層に挟持された状態でヒートシールされている。金属端子と熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。
【0011】
また、蓄電デバイス用包装フィルムに金属層を設けないことで、より薄型化、軽量化された包装フィルムとすることができるという利点がある。
【0012】
本開示の発明者等は、蓄電デバイス用包装フィルムにおいて、金属に対する接着性という利点と、金属層を設けないという利点とを組み合わせることで、新たな価値を提供する課題を創出した。
【0013】
本開示の第2の態様は、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有していない、蓄電デバイス用包装フィルムを提供することを主な目的とする。
【0014】
(第3の態様)
蓄電デバイスの製造工程においては、一般に、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルム内に収容された後、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁がシールされることによって、仮封止される。その後、初回充放電工程、及び、エージング工程等が行われる。上記二次電池が備える蓄電デバイス用包装フィルムは、金属層を含むため、遮蔽性を有する。このため、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルムによって封止された状態では、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁が適切にシールされているか否かを確認することができない。このため、蓄電デバイスを好適に製造できない。
【0015】
本開示の第3の態様は、蓄電デバイスを好適に製造できる蓄電デバイスの製造方法、及び、この製造方法によって製造される蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【0016】
(第4の態様)
蓄電デバイスの製造工程においては、一般に、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルム内に収容された後、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁がシールされることによって、仮封止される。その後、初回充放電工程、及び、エージング工程等が行われる。これらの工程においては、蓄電デバイス素子からCO2等のガスが発生することが知られており、仮封止された包装体(蓄電デバイス用包装フィルムから構成されたもの)の内側にガスを保持するためのスペースを設けるため、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いて、蓄電デバイスが製造されていることが現状である。このため、蓄電デバイスの製造工程が煩雑である。
【0017】
本開示の第4の態様は、蓄電デバイスを容易に製造できる蓄電デバイスの製造方法、及び、この製造方法によって製造される蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【0018】
(第5の態様)
蓄電デバイスにおいては、蓄電デバイスが通常有する機能に加えて、付加価値が高い機能を有していることが好ましい。
【0019】
本開示の第5の実施態様は、付加価値の高い機能を有する蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(第1の態様)
本開示の第1の態様は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、
温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である、蓄電デバイス用包装フィルム。
【0021】
(第2の態様)
本開示の第2の態様は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しない、蓄電デバイス用包装フィルム。
【0022】
(第3の態様)
本開示の第3の態様の第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、を含む。
【0023】
本開示の第3の態様の第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有し、前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程をさらに備える。
【0024】
本開示の第3の態様の第3観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む。
【0025】
本開示の第3の態様の第4観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される。
【0026】
本開示の第3の態様の第5観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0027】
本開示の第3の態様の第6観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0028】
本開示の第3の態様の第7観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0029】
本開示の第3の態様の第8観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0030】
本開示の第3の態様の第9観点に係る蓄電デバイスは、第3観点~第8観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有する。
【0031】
(第4の態様)
本開示の第4の態様の第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程と、を含む。
【0032】
本開示の第4の態様の第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む。
【0033】
本開示の第4の態様の第3観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される。
【0034】
本開示の第4の態様の第4観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0035】
本開示の第4の態様の第5観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0036】
本開示の第4の態様の第6観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0037】
本開示の第4の態様の第7観点に係る蓄電デバイスは、第3観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、透明性をさらに有する。
【0038】
(第5の態様)
本開示の第5の態様の第1観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、衝撃吸収性を有する。
【0039】
本開示の第5の態様の第2観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、難燃性を有する。
【0040】
本開示の第5の態様の第3観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、冷却性を有する。
【0041】
本開示の第5の態様の第4観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、消火性を有する。
【0042】
本開示の第5の態様の第5観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体及び前記外側包装体の少なくとも一方は、衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つを有する。
【0043】
本開示の第5の態様の第6観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第5観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記内側包装体は、透明性及びガス透過性の少なくとも一方を有する。
【0044】
本開示の第5の態様の第7観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0045】
本開示の第5の態様の第8観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0046】
本開示の第5の態様の第9観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0047】
本開示の第5の態様の第10観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【発明の効果】
【0048】
本開示の第1の態様によれば、所定のCO2透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムを提供することができる。また、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムは、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、内側包装体と外側包装体を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子が収容された蓄電デバイスにおいて、内側包装体の形成に本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを好適に利用することができる。例えば、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを内側包装体とし、外側包装体中に収容する前に、内側包装体中に蓄電デバイス素子を封止し、初回充放電工程、エージング工程を行うことで、蓄電デバイス素子から発生するガス(特にCO2)をこれらの工程中において好適に外部に放出することができる。このため、従来のバリア層を備える蓄電デバイス用外装材を用いる場合のように、仮封止された蓄電デバイス用包装フィルムの内側にガスを保持するためのスペースを設けること、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いることが不要となる。
【0049】
さらに、本開示の第1の態様によれば、当該蓄電デバイス用包装フィルムを利用した蓄電デバイスを提供することもできる。
【0050】
本開示の第2の態様によれば、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有していない、蓄電デバイス用包装フィルムを提供することができる。本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えることから、例えば金属端子に対して接着させることができる。具体的には、金属端子が熱融着性樹脂層に挟持された状態で蓄電デバイス素子を密封することができる。また、金属により形成された金属層を有していないことから、蓄電デバイス用包装フィルムを軽量化、薄膜化することができる。また、例えば、本開示の第2の態様によれば、蓄電デバイスを収容する包装体を、内側包装体と外側包装体の二重構造とし、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムを内側包装体として好適に利用することも可能となる。本開示によれば、当該蓄電デバイス用包装フィルムを利用した蓄電デバイスを提供することもできる。
【0051】
本開示の第3の態様に関する蓄電デバイスの製造方法、及び、蓄電デバイスによれば、蓄電デバイスを好適に製造できる。
【0052】
本開示の第4の態様に関する蓄電デバイスの製造方法、及び、蓄電デバイスによれば、蓄電デバイスを容易に製造できる。
【0053】
本開示の第5の態様に関する蓄電デバイスによれば、付加価値の高い機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図2】本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図3】本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図4】本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図5】本開示の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する方法を説明するための模式図である。
【
図6】本開示の蓄電デバイスの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図7】本開示の蓄電デバイスの断面構造の一例を示す模式図である。
【
図8】第1の態様及び第2の態様の実施の形態A1、B1及びC1、並びに第3の態様、第4の態様及び第5の態様の蓄電デバイスの平面図である。
【
図9】
図8の第1の態様及び第2の態様の実施の形態A1,B1、第3の態様、並び第4の態様について、D2-D2線に沿う断面図である。
【
図10】
図8の第1の態様及び第2の態様の実施の形態A1,B1、第3の態様並びに第4の態様について、蓄電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図10の内側包装工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C1、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図12】
図10の第1内側シール工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C1、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図13】
図10の第2内側シール工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C1、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図14】第1の態様及び第2の態様の実施の形態A2,B2、第3の態様並びに第4の態様の蓄電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図14の内側包装工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図16】
図14の第1内側シール工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図17】
図14の第2内側シール工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図18】
図14の内側密封工程に関する図であり、第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、第3の態様、第4の態様及び第5の態様についても同様である。
【
図19】第1の態様及び第2の態様の実施の形態A2,B2、第3の態様並びに第4の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【
図20】第1の態様及び第2の態様の実施の形態A3,B3、第3の態様並びに第4の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【
図21】第1の態様及び第2の態様の実施の形態A3,B3、第3の態様並びに第4の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【
図22】
図8の第1の態様及び第2の態様の実施の形態C1、並びに第5の態様について、D2-D2線に沿う断面図である。
【
図23】
図8の第1の態様及び第2の態様の実施の形態C1、並びに第5の態様について、蓄電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図24】第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、並びに第5の態様の蓄電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図25】第1の態様及び第2の態様の実施の形態C2、並びに第5の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【
図26】第1の態様及び第2の態様の実施の形態C3、並びに第5の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【
図27】第1の態様及び第2の態様の実施の形態C3、並びに第5の態様の蓄電デバイスの端子シール部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムは、少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることを特徴とする。
【0056】
本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムは、少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有しないことを特徴とする。
【0057】
以下、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムについて詳述する。なお、本開示において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、別個に記載された、上限値と上限値、上限値と下限値、又は下限値と下限値を組み合わせて、それぞれ、数値範囲としてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0058】
また、本開示において、遮蔽層とは、光透過を遮蔽する層を意味しており、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムが遮蔽層を有する場合、遮蔽層によって蓄電デバイスの内容物(例えば蓄電デバイス素子)が見えにくくなる。また、金属層とは、金属により形成された層を意味しており、例えば、金属箔や金属板などが挙げられ、金属箔の厚みは例えば10~200μm程度、金属板の厚みは例えば200μmから数mm程度が挙げられる。
【0059】
本開示の説明において、本開示の第1の態様から第5の態様の各態様に特有の事項については、いずれの態様に関する説明であるかを明示し、各態様に共通する事項については、特に明示せずに本開示に関する事項として包括的に説明する。なお、はじめに、本開示全体に共通する内容と、本開示の第1の態様及び第2の態様に関する内容とについて説明を行い、続いて、第3の態様から第5の態様に関する内容を説明する。
【0060】
1.蓄電デバイス用包装フィルムの積層構造と物性
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10は、例えば
図1~4に示すように、少なくとも、熱融着性樹脂層1を備える。蓄電デバイス用包装フィルム10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用包装フィルム10の熱融着性樹脂層1同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。
【0061】
蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図1に示されるように、熱融着性樹脂層1のみから構成されていてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム10が、熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有することが好ましい。
【0062】
また、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図2~4に示すように、少なくとも、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になる。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましい。
【0063】
さらに、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図3~4に示すように、少なくとも、樹脂層2、基材3及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になり、基材3が樹脂層2と熱融着性樹脂層1の間に位置する。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましい。
【0064】
図2,
図4に示すように、樹脂層2と基材3又は熱融着性樹脂層1との間、熱融着性樹脂層1と基材3又は樹脂層2との間には、それぞれ、接着剤層4,5を設けることができる。
【0065】
本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であり、好ましくは約200cc・100μm/m2/24hr/atm以上、より好ましくは約300cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらに好ましくは約500cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10の当該CO2透過量は、例えば約2000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、好ましくは約1000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、より好ましくは約800cc・100μm/m2/24hr/atm以下であり、好ましい範囲としては、100~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度が挙げられる。蓄電デバイス用包装フィルムの当該CO2透過量は、以下の通りである。
【0066】
<CO2透過量の測定>
JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定する。
【0067】
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽性を付与する場合、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる少なくとも1層について、遮蔽性を備える遮蔽層Sとすればよい。例えば
図4には、樹脂層2と基材3との間を接着する接着剤層4を遮蔽層Sとした構成を図示している。本開示においては、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる任意の層を遮蔽層Sとすることができる。
【0068】
また、図示を省略するが、樹脂層2の外側(熱融着性樹脂層1側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層などがさらに設けられていてもよい。
【0069】
蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、例えば190μm以下、好ましくは約180μm以下、約170μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用包装フィルムの機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~180μm程度、35~170μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~170μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~170μm程度、が挙げられ、特に45~170μm程度が好ましい。
【0070】
蓄電デバイス用包装フィルム10において、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1を含む場合、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、熱融着性樹脂層1を含む積層体である場合にも、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上とすることができる。
【0071】
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下等とすることができる。また、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、80%以上、85%以上、90%以上等とすることもできる。全光線透過率が低いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い遮蔽性を発揮できる。一方、全光線透過率が高いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い透光性を発揮できる。全光線透過率の下限値は0%であり、上限は100%である。蓄電デバイス用包装フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に規定された測定方法に準拠し、市販の分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用い、可視光領域(400~700nm)における透過率測定を行い、平均値を全光線透過率とする。測定条件は、光源としてハロゲンランプを使用し、UV/Visバンド幅:5.0nm、走査速度:1000nm/min、レスポンス:Medium、データ取り込み間隔:1.0nmとする。
【0072】
蓄電デバイス用包装フィルム10は、黒色とすることができる。蓄電デバイス用包装フィルム10を黒色にすると、遮蔽性が高く、偽造防止効果が高い蓄電デバイス用包装フィルム10となる。また、蓄電デバイスの製造工程において、センサーによる位置の把握をより高精度で行うことが可能となり、蓄電デバイス用包装フィルム10の搬送や、蓄電デバイス素子の封止などをより正確に行うことが可能となる。さらに、蓄電デバイスと他の電装品を共に黒色で統一して、製品としての高級感を付与することも可能となる。
【0073】
本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、好ましくは100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であり、より好ましくは約200cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらに好ましくは約300cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらに好ましくは約500cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10の当該CO2透過量は、例えば約2000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、好ましくは約1000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、より好ましくは約800cc・100μm/m2/24hr/atm以下であり、好ましい範囲としては、100~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度が挙げられる。蓄電デバイス用包装フィルムの当該CO2透過量は、以下の通りである。
【0074】
<CO2透過量の測定>
JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定する。
【0075】
2.蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層
[熱融着性樹脂層1]
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10において、熱融着性樹脂層1は、最内層に該当し、蓄電デバイスの組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮する層(シーラント層)である。
【0076】
本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、金属に対する接着性を有していてもよいし、有していなくてもよいが、金属に対する接着性を有することが好ましい。例えば第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有することが好ましい。第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましい。また、第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与すればよい。
【0077】
また、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽層Sを設ける場合、蓄電デバイス用包装フィルム10の前記熱融着性樹脂層1は透明とし、熱融着性樹脂層1とは別の層で構成する遮蔽層Sと積層して用いることが好ましいが、熱融着性樹脂層1に前述する着色剤などを配合して遮蔽層Sを構成してもよい。
【0078】
また、本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有する。第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与すればよい。また、第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与すればよい。
【0079】
第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽層Sを設ける場合、熱融着性樹脂層1は透明とし、熱融着性樹脂層1とは別の層で構成する遮蔽層Sと積層して用いることが好ましいが、熱融着性樹脂層1に前述する着色剤などを配合して遮蔽層Sを構成してもよい。
【0080】
第1の態様の熱融着性樹脂層1を構成する樹脂については、熱融着可能であり、かつ、蓄電デバイス用包装フィルム10の前記CO2透過量が100cc・100μm/m2/24hr/atm以上になることを限度として特に制限されないが、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。ポリオレフィンは、熱融着性を有することに加えて、前記CO2透過量が非常に高いという点でも好ましい。
【0081】
また、第2の態様の熱融着性樹脂層1を構成する樹脂については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。
【0082】
熱融着性樹脂層1を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。また、熱融着性樹脂層1を構成している樹脂を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。熱融着性樹脂層1が無水マレイン酸変性ポリオレフィンより構成された層である場合、赤外分光法にて測定すると、無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
【0083】
ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
また、ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
【0085】
ポリオレフィンは酸変性ポリオレフィンであってもよい。酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、前記のポリオレフィンや、前記のポリオレフィンにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、又は、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。また、酸変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
【0086】
酸変性ポリオレフィンは、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、酸成分に代えて共重合することにより、または環状ポリオレフィンに対して酸成分をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、酸変性に使用される酸成分としては、前記のポリオレフィンの変性に使用される酸成分と同様である。
【0087】
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0088】
熱融着性樹脂層1は、1種の樹脂単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層1は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂によって2層以上で形成されていてもよい。
【0089】
蓄電デバイス用包装フィルム10の内側表面の少なくとも一部を金属(例えば、金属端子)などに接着させる場合には、熱融着性樹脂層1の内側表面が、金属に対する接着性を有する。熱融着性樹脂層1の内側表面に対して、金属接着性を付与するためには、例えば、熱融着性樹脂層1の内側表面を酸変性ポリオレフィン(酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンなど)によって構成することが好ましい。前述した酸変性されていないポリオレフィンは、金属に対する接着性を有していないため、熱融着性樹脂層1の内側表面に金属接着性を付与する場合には、熱融着性樹脂層1の内側表面を構成する樹脂として適してない。
【0090】
また、熱融着性樹脂層1は、必要に応じて滑剤などを含んでいてもよい。熱融着性樹脂層1が滑剤を含む場合、蓄電デバイス用包装フィルムの成形性を高め得る。滑剤としては、特に制限されず、公知の滑剤を用いることができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。滑剤の具体例としては、樹脂層2で例示したものが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。滑剤を2種類以上組み合わせることにより、滑剤同士の相互作用などから、蓄電デバイス用包装フィルム10を金型で冷間成形する場合に、金型に対して滑剤が付着することを低減し、蓄電デバイスの連続生産性を好適に高め得る。これは、後述する樹脂層2に滑剤を用いる場合についても同様である。
【0092】
熱融着性樹脂層1の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、蓄電デバイス用包装フィルムの成形性を高める観点からは、好ましくは10~50mg/m2程度、さらに好ましくは15~40mg/m2程度が挙げられる。
【0093】
熱融着性樹脂層1の表面に存在する滑剤は、熱融着性樹脂層1を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、熱融着性樹脂層1の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
【0094】
また、熱融着性樹脂層1の厚みとしては、熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば約150μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~85μm程度、さらに好ましくは35~85μm程度が挙げられる。
【0095】
[樹脂層2]
本開示において、樹脂層2は、蓄電デバイス用包装フィルムの基材としての機能を発揮させることなどを目的として設けられる層である。蓄電デバイス用包装フィルム10が樹脂層2を有する場合、樹脂層2は、蓄電デバイス用包装フィルムの外層側に位置する。
【0096】
第1の態様の樹脂層2を形成する素材については、少なくとも絶縁性を備え、かつ、蓄電デバイス用包装フィルム10の前記CO2透過量が100cc・100μm/m2/24hr/atm以上になることを限度として特に制限されない。第1の態様の樹脂層2は、樹脂を用いて形成することができ、樹脂には後述の添加剤が含まれていてもよい。第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽層Sを設ける場合、樹脂層2は透明とし、樹脂層2とは別の層で構成する遮蔽層Sと積層して用いることが好ましいが、樹脂層2に後述する着色剤などを配合して遮蔽層Sを構成してもよい。
【0097】
また、第2の態様の樹脂層2を形成する素材については、少なくとも絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されない。第2の態様の樹脂層2は、樹脂を用いて形成することができ、樹脂には後述の添加剤が含まれていてもよい。第2の態様の樹脂層2は透明とし、樹脂層2とは別の層で構成する遮蔽層Sと積層して用いることが好ましいが、樹脂層2に後述する着色剤などを配合して遮蔽層Sを構成してもよい。
【0098】
本開示において、樹脂層2は、例えば、樹脂により形成された樹脂フィルムであってもよいし、樹脂を塗布して形成したものであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。樹脂を塗布する方法としては、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、押出コーティング法などが挙げられる。
【0099】
本開示において、樹脂層2を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、樹脂層2を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。
【0100】
本開示において、樹脂層2を形成する樹脂としては、これらの中でも、好ましくはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが挙げられる。
【0101】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0102】
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジパミド)等の脂環式ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等のポリアミドが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0103】
また、ポリオレフィンとしては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。ポリオレフィンは、樹脂層2の外側表面に熱融着性を付与する観点から好ましい。ポリオレフィンの具体例としては、前述した熱融着性樹脂層1で例示したポリオレフィンと同じものが例示される。
【0104】
本開示において、樹脂層2は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、酸変性ポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエステルフィルム、及び延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリオレフィンフィルム及び延伸酸変性ポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸酸変性ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸酸変性ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。
【0105】
本開示において、蓄電デバイス用包装フィルム10の外側表面の少なくとも一部を金属などに接着させる場合には、樹脂層2を最外層とし、樹脂層2の外側表面が、金属に対する接着性を有する。樹脂層2の外側表面に対して、金属接着性を付与するためには、例えば、樹脂層2の外側表面を酸変性ポリオレフィン(酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンなど)によって構成することが好ましい。熱融着性樹脂層4について説明したとおり、前述した酸変性されていないポリオレフィンは、金属に対する接着性を有していないため、樹脂層2の外側表面に金属接着性を付与する場合には、樹脂層2の外側表面を構成する樹脂として適してない。なお、前記のように、基材層1の外側表面に金属に対する接着性を付与した場合には、蓄電デバイス用包装フィルム10を内側包装体として、蓄電デバイス用包装フィルム10の外側表面を、金属(例えば金属箔、金属缶など)により構成された外側包装体に好適に接着させることができる。
【0106】
本開示において、樹脂層2は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。樹脂層2が2層以上により構成されている場合、樹脂層2は、樹脂フィルムを接着剤又は接着促進剤などで積層させた積層体であってもよいし、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体であってもよい。また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を、未延伸のまま樹脂層2としてもよいし、一軸延伸または二軸延伸して樹脂層2としてもよい。
【0107】
本開示の樹脂層2において、2層以上の樹脂フィルムの積層体の具体例としては、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとの積層体、2層以上のナイロンフィルムの積層体、2層以上のポリエステルフィルムの積層体などが挙げられ、好ましくは、延伸ナイロンフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層体、2層以上の延伸ナイロンフィルムの積層体、2層以上の延伸ポリエステルフィルムの積層体が好ましい。例えば、樹脂層2が2層の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムとポリエステル樹脂フィルムの積層体、ポリアミド樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体、またはポリエステル樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体が好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体、ナイロンフィルムとナイロンフィルムの積層体、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層体がより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、樹脂層2が2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムが樹脂層2の最外層に位置することが好ましい。
【0108】
また、本開示の樹脂層2の外側表面に熱融着性を付与する観点からは、2層以上の樹脂フィルムの積層体の具体例としては、ポリオレフィンとポリエステルの積層体、ポリオレフィンとポリオレフィンの積層体、ポリオレフィンとポリアミドの積層体が好ましい。例えば、ポリオレフィンとポリエステルの積層体の場合、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンナフタレートフィルムとの積層体、ポリプロピレンフィルムとポリブチレンテレフタレートフィルムとの積層体、酸変性ポリプロピレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体、酸変性ポリプロピレンフィルムとポリエチレンナフタレートフィルムとの積層体、酸変性ポリプロピレンフィルムとポリブチレンテレフタレートフィルムとの積層体が好ましい。また、例えば、ポリオレフィンとポリオレフィンの積層体の場合、ポリプロピレンとポリプロピレンの積層体、酸変性ポリプロピレンと酸変性ポリプロピレンの積層体、酸変性ポリプロピレンとポリプロピレンの積層体が好ましい。ポリオレフィンとポリアミドの積層体の場合、ポリプロピレンとナイロンとの積層体、酸変性ポリプロピレンとナイロンとの積層体が好ましい。
【0109】
本開示において、樹脂層2が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、2層以上の樹脂フィルムは、接着剤又は接着促進剤を介して積層させてもよい。好ましい接着剤及び接着促進剤については、それぞれ、後述の接着剤層4,5で例示する接着剤及び接着促進剤と同様のものが挙げられる。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着剤としてポリウレタン接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着剤の厚みとしては、例えば2~5μm程度が挙げられる。また、樹脂フィルムにアンカーコート層を形成し積層させても良い。アンカーコート層は、後述の接着剤層4,5で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。このとき、アンカーコート層の厚みとしては、例えば0.01~1.0μm程度が挙げられる。アンカーコート層を接着剤層4,5として使用することができる。
【0110】
本開示において、樹脂層2の表面及び内部の少なくとも一方には、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0111】
本開示において、蓄電デバイス用包装フィルムの成形性を高める観点からは、樹脂層2の表面には、滑剤が存在していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0112】
本開示において、樹脂層2の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4~15mg/m2程度、さらに好ましくは5~14mg/m2程度が挙げられる。
【0113】
本開示において、樹脂層2の表面に存在する滑剤は、樹脂層2を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、樹脂層2の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
【0114】
本開示において、樹脂層2の厚みについては、特に制限されないが、例えば、3~50μm程度、好ましくは10~35μm程度が挙げられる。樹脂層2が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、各層を構成している樹脂フィルムの厚みとしては、それぞれ、好ましくは2~25μm程度が挙げられる。
【0115】
[基材3]
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10において、基材3は、支持体として機能する層である。蓄電デバイス用包装フィルム10が樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える場合、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になり、基材3が樹脂層2と熱融着性樹脂層1の間に位置する。
【0116】
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10において、基材3に着色剤などを配合して、遮蔽層Sとすることができる。
【0117】
本開示の基材3を形成する素材については、特に制限されるものではない。基材3を形成する素材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられ、これらの中でも、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。すなわち、基材3を形成する素材は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。基材3を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。
【0118】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0119】
ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、より好ましくはポリプロピレンが挙げられる。また、耐電解液性に優れることから、基材3は、ホモポリプロピレンを含むことが好ましく、ホモポリプロピレンにより形成されていることがより好ましく、未延伸ホモポリプロピレンフィルムであることがさらに好ましい。
【0120】
ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0121】
また、本開示の基材3は、上記の樹脂で形成された不織布により形成されていてもよい。基材3が不織布である場合、基材3は、前述のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等で構成されていることが好ましい。
【0122】
本開示の基材3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0123】
本開示の基材3が樹脂フィルムにより構成されている場合、基材3の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の易接着手段が施されていてもよい。
【0124】
本開示の効果をより好適に奏する観点から、基材3の厚さは、好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下である。また、基材3の厚さは、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約8μm以上、さらに好ましくは約10μm以上である。基材3の厚さの好ましい範囲としては、5~80μm程度、5~60μm程度、5~50μm程度、5~40μm程度、8~80μm程度、8~60μm程度、8~50μm程度、8~40μm程度、10~80μm程度、10~60μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度が挙げられる。
【0125】
[接着剤層4,5]
本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10において、接着剤層4,5は、それぞれ、樹脂層2と基材3又は熱融着性樹脂層1との間、熱融着性樹脂層1と基材3又は樹脂層2との間の接着性を高めることを目的として、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。接着剤層4は、樹脂層2と、基材3又は熱融着性樹脂層1とを接着する。接着剤層5は、熱融着性樹脂層1と、樹脂層2又は基材3とを接着する。前記のアンカーコート層を接着剤層4,5として使用することもできる。
【0126】
蓄電デバイス用包装フィルム10において、接着剤層4,5に着色剤などを配合して、遮蔽層Sとすることができる。例えば接着剤層4を形成する接着剤に着色剤を配合し、1度のコーティングで遮蔽層を形成すれば、接着剤層4以外の箇所に別途遮蔽層を設ける必要が無い。そうすると、例えば、別途、着色層を遮蔽層として設ける場合と比較して、工程数が削減され、生産効率の向上、及び異物混入リスクの軽減が図られる。また、樹脂層2と接着剤層4の間に着色層を設けた場合、樹脂層2と着色層の間、および、着色層と接着剤層4の間の界面強度が低下する恐れがある。よって、長期使用の観点からも、接着剤層4に着色剤を配合することが好ましい。
【0127】
接着剤層4,5は、樹脂層2又は熱融着性樹脂層1と接着可能である接着剤又は接着促進剤によって形成される。接着剤層4,5の形成に使用される接着剤は限定されないが、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。また、2液硬化型接着剤(2液性接着剤)であってもよく、1液硬化型接着剤(1液性接着剤)であってもよく、硬化反応を伴わない樹脂でもよい。また、接着剤層4,5は単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0128】
接着剤に含まれる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル;ポリエーテル;ポリウレタン;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド;ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;セルロース;(メタ)アクリル樹脂;ポリイミド;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン接着剤が挙げられる。また、これらの接着成分となる樹脂は適切な硬化剤を併用して接着強度を高めることができる。前記硬化剤は、接着成分の持つ官能基に応じて、ポリイソシアネート、多官能エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリアミン樹脂、酸無水物などから適切なものを選択する。
【0129】
ポリウレタン接着剤としては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタン接着剤が挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。接着剤層4,5がポリウレタン接着剤により形成されていることで蓄電デバイス用包装フィルムに優れた電解液耐性が付与され、側面に電解液が付着しても樹脂層2が剥がれることが抑制される。
【0130】
また、接着剤層4,5の形成に使用される接着促進剤についても限定されない。接着促進剤としては、例えば、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の周知の接着促進剤を用いることができるが、実験の結果では、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものがラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少なかった。特にトリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200~700mPa・s)からなる接着促進剤を用いた場合に最も良好な結果を得ることができた。次いで、同じくトリイソシアネートモノマーであるトリス(p-イソシアネートフェニル)チオフォスフェイトや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤が良好な結果を示すものであった。接着促進剤を用いた接着剤層4,5は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができ、塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20~100mg/m2、好ましくは40~60mg/m2であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40~150mg/m2、好ましくは60~100mg/m2であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5~50mg/m2、好ましくは10~30mg/m2である。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式(1)で示されるものである。
【0131】
【0132】
また、接着剤層4,5は、接着性を阻害しない限り他成分の添加が許容され、着色剤や熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、フィラーなどを含有してもよい。接着剤層4,5が着色剤を含んでいることにより、蓄電デバイス用包装フィルムを着色することができる。蓄電デバイス用包装フィルムに遮蔽性を付与できる程度に接着剤層4,5を着色すれば、接着剤層4,5は遮蔽層Sとすることができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0133】
顔料の種類は、接着剤層4,5の接着性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン-ペリレン系、イソインドレニン系、ベンズイミダゾロン系等の顔料が挙げられ、無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化クロム系、鉄系、銅系等の顔料が挙げられ、その他に、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等が挙げられる。
【0134】
着色剤の中でも、例えば蓄電デバイス用包装フィルムの外観を黒色とするためには、黒色の着色剤が好ましく、黒色の着色剤の中でもカーボンブラックが好ましい。黒色の着色剤を使用して黒色の蓄電デバイス用包装フィルム10とすることにより、遮蔽性が高く、偽造防止効果が高い蓄電デバイス用包装フィルム10となる。また、蓄電デバイスの製造工程において、センサーによる位置の把握をより高精度で行うことが可能となり、蓄電デバイス用包装フィルム10の搬送や、蓄電デバイス素子の封止などをより正確に行うことが可能となる。さらに、蓄電デバイスと他の電装品を共に黒色で統一して、製品としての高級感を付与することも可能となる。カーボンブラックは、遮蔽性が高い点において、より好ましい着色剤である。
【0135】
顔料の平均粒子径としては、特に制限されず、例えば、0.05~5μm程度、好ましくは0.08~2μm程度が挙げられる。また、カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内が挙げられる。なお、顔料の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
【0136】
接着剤層4,5における顔料の含有量としては、蓄電デバイス用包装フィルムが着色されれば特に制限されず、例えば5~60質量%程度、好ましくは10~40質量%が挙げられる。
【0137】
接着剤層4,5の厚みは、樹脂層2と熱融着性樹脂層1とを接着できれば、特に制限されないが、例えば、約1μm以上、約2μm以上である。また、接着剤層4,5の厚みは、例えば、約10μm以下、約5μm以下である。また、接着剤層4,5の厚みの好ましい範囲については、1~10μm程度、1~5μm程度、2~10μm程度、2~5μm程度が挙げられる。
【0138】
[着色層C]
本開示において、図示はしないが、着色層Cは、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間、樹脂層2の外側に、必要に応じて設けられる層である。接着剤層4,5を有する場合には、樹脂層2と接着剤層4,5との間に着色層Cを設けてもよい。着色層Cを設けることにより、蓄電デバイス用包装フィルムを着色することができる。蓄電デバイス用包装フィルムに遮蔽性を付与できる程度に着色層Cを着色すれば、着色層Cは遮蔽層Sとすることができる。蓄電デバイス用包装フィルム10において、着色層Cを遮蔽層Sとすることが好ましい。樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間の着色層C内側着色層ということがあり、また、樹脂層2の外側の着色層Cを外側着色層ということがある。着色層Cは、樹脂層2の少なくとも一方の表面に設ける(すなわち、樹脂層2と着色層Cとは接触している)ことが好ましい。
【0139】
本開示において、着色層Cは、例えば、着色剤を含むインキを樹脂層2の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0140】
本開示において、着色層Cに含まれる着色剤の具体例としては、[接着剤層4,5]の欄で例示したものと同じものが例示される。
【0141】
本開示において、着色層Cの厚みは、蓄電デバイス用包装フィルム10が着色されれば、特に制限されないが、例えば、約1μm以上、約2μm以上である。また、着色層Cの厚みは、例えば、約10μm以下、約5μm以下である。また、着色層Cの厚みの好ましい範囲については、1~10μm程度、1~5μm程度、2~10μm程度、2~5μm程度が挙げられる。
【0142】
[表面被覆層]
本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、意匠性、耐電解液性、耐傷性、成形性などの向上の少なくとも一つを目的として、必要に応じて、樹脂層2の上(樹脂層2の熱融着性樹脂層1側とは反対側)に、表面被覆層(図示せず)を備えていてもよい。表面被覆層は、蓄電デバイス用包装フィルムを用いて蓄電デバイスを組み立てた時に、蓄電デバイス用包装フィルムの最外層側に位置する層である。表面被覆層は、前述の着色剤などを配合して遮蔽層Sを構成してもよい。
【0143】
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。樹脂は、好ましくは硬化性樹脂である。すなわち、表面被覆層は、硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から構成されていることが好ましい。
【0144】
表面被覆層を形成する樹脂が硬化型の樹脂である場合、当該樹脂は、1液硬化型及び2液硬化型のいずれであってもよいが、好ましくは2液硬化型である。2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ポリウレタン、2液硬化型ポリエステル、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも2液硬化型ポリウレタンが好ましい。
【0145】
2液硬化型ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタンが挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタンが挙げられる。また、ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタンが挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。なお、脂肪族イソシアネート系化合物とは脂肪族基を有し芳香環を有さないイソシアネートを指し、脂環式イソシアネート系化合物とは脂環式炭化水素基を有するイソシアネートを指し、芳香族イソシアネート系化合物とは芳香環を有するイソシアネートを指す。表面被覆層がポリウレタンにより形成されていることで蓄電デバイス用包装フィルムに優れた電解液耐性が付与される。
【0146】
表面被覆層は、表面被覆層の表面及び内部の少なくとも一方には、該表面被覆層やその表面に備えさせるべき機能性等に応じて、必要に応じて、前述した滑剤や、アンチブロッキング剤、艶消し剤、難燃剤、酸化防止剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、平均粒子径が0.5nm~5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
【0147】
添加剤は、無機物及び有機物のいずれであってもよい。また、添加剤の形状についても、特に制限されず、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、鱗片状などが挙げられる。
【0148】
添加剤の具体例としては、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロナイト、マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、高融点ナイロン、アクリレート樹脂、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施してもよい。
【0149】
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、表面被覆層を形成する樹脂を塗布する方法が挙げられる。表面被覆層に添加剤を配合する場合には、添加剤を混合した樹脂を塗布すればよい。
【0150】
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されず、例えば0.5~10μm程度、好ましくは1~5μm程度が挙げられる。
【0151】
3.蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法
蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法については、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムが得られる限り、特に制限されない。例えば、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える場合、外側から順に、少なくとも、樹脂層及び熱融着性樹脂層が積層された積層体を得る工程を備えており、積層体は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、例えば、本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える場合、外側から順に、少なくとも、樹脂層及び熱融着性樹脂層が積層された積層体を得る工程を備えており、積層体は、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有しない。
【0152】
本開示の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1をこの順に備える積層体により構成されている場合の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、各層を構成する材料をそれぞれ用意する。次いで、接着剤層4を介して樹脂層2と基材3とを積層すると共に、接着剤層5を介して基材3と熱融着性樹脂層1とを積層する。具体的には、接着剤層4を形成する接着剤を用いて、樹脂層2と基材3とをドライラミネート法などにより積層することで、樹脂層2、接着剤層4、基材3が積層され、さらに、接着剤層5を形成する接着剤を用いて、基材3と熱融着性樹脂層1をドライラミネート法などにより積層することで、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。また、樹脂層2と基材3と熱融着性樹脂層1とを接着剤層4,5を介さずに積層する場合には、基材3の一方側に樹脂層2を構成する樹脂を溶融押出し、基材3の他方側に熱融着性樹脂層1を構成する樹脂を溶融押出しする方法などにより、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。着色層を設ける場合には、樹脂層2の表面に着色層を形成してから、基材3や熱融着性樹脂層1と積層すればよい。表面被覆層を設ける場合には、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂組成物を樹脂層2の表面に塗布し、硬化させることにより形成することができる。
【0153】
接着剤層4,5の接着性を強固にするために、さらに、蓄電デバイス用包装フィルム10を加熱処理に供してもよい。
【0154】
4.蓄電デバイス用包装フィルムの用途
本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、正極、負極、電解質等の蓄電デバイス素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムによって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を収容して、蓄電デバイスとすることができる。
【0155】
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムで、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子を外側に突出させた状態で、蓄電デバイス素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、蓄電デバイス用包装フィルムを使用した蓄電デバイスが提供される。なお、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する場合、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの熱融着性樹脂部分が内側(蓄電デバイス素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。2つの蓄電デバイス用包装フィルムの熱融着性樹脂層同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた蓄電デバイス用包装フィルムの周縁部を熱融着して包装体を形成してもよく、また、
図5に示す例のように、1つの蓄電デバイス用包装フィルムを折り返して重ね合わせ、周縁部を熱融着して包装体を形成してもよい。折り返して重ね合わせる場合は、
図5に示す例のように、折り返した辺以外の辺を熱融着して三方シールにより包装体を形成してもよいし、フランジ部が形成できるように折り返して四方シールしてもよい。また、蓄電デバイス用包装フィルムには、蓄電デバイス素子を収容するための凹部が、深絞り成形または張出成形によって形成されてもよい。
図5に示す例のように、一方の蓄電デバイス用包装フィルムには凹部を設けて他方の蓄電デバイス用包装フィルムには凹部を設けなくてもよいし、他方の蓄電デバイス用包装フィルムにも凹部を設けてもよい。
【0156】
また、
図7に示されるように、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10は、内側包装体10aと外側包装体20の二重構造を有する容器に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30の内側包装体10aとして、好適に利用することができる。すなわち、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子32を、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10によって形成された内側包装体10a中に収容し、さらに内側包装体10aを外側包装体20中に収容することで、内側包装体10a及び外側包装体20の二重構造を有する容器に蓄電デバイス素子が収容された蓄電デバイス30が得られる。本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10によって形成された内側包装体10a中に蓄電デバイス素子32が収容された部材を1個又は2個以上用意し、1個又は2個以上の部材を外側包装体20中に収容して蓄電デバイス30とすることができる。なお、
図5~7において、各角部を直角に描いているが、各角部や稜線部の角度は限定されず、各角部や稜線部は丸みをおびていてもよい。
【0157】
図7の蓄電デバイス30においては、蓄電デバイス素子32の正極及び負極の各々に接続された金属端子31を外側に突出させた状態で、蓄電デバイス素子32の周縁に、蓄電デバイス用包装フィルム10によって形成された内側包装体10aのフランジ部(熱融着性樹脂層1同士が接触する領域であり、内側包装体10aの周縁部30a)が形成できるようにして被覆し、フランジ部の熱融着性樹脂層1同士をヒートシールして密封させることによって、金属端子10に熱融着性樹脂層1が接着しつつ、蓄電デバイス素子32が内側包装体10aで密封されている。本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10の熱融着性樹脂層1の内側表面が金属に対する接着性を有する場合、金属端子31に接着するようにして、蓄電デバイス素子32を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。
図7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。金属端子31と包装フィルムの熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、一般に、金属端子31と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。このため、金属端子と、包装フィルムの熱融着性樹脂層との間には、接着性フィルムが配置されることが一般的であるが、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10は、金属に対する接着性を備えているため、このような接着性フィルムを用いることなく、金属端子31に接着しながら蓄電デバイス素子32を密封することができる。
【0158】
外側包装体20については、特に制限されず、基材層/金属層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体により構成された包装フィルム、金属缶などを使用することができる。
【0159】
本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、電池(コンデンサー、キャパシター等を含む)などの蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池に使用される。本開示の蓄電デバイス用包装フィルムが適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムの好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
【0160】
さらに、本開示の第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルム(少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である、蓄電デバイス用包装フィルム)及び本開示の第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルム(少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しない、蓄電デバイス用包装フィルム)は、それぞれ、以下に示す、実施の形態A(実施の形態A1-A5及びこれらの変形例)に係る蓄電デバイス又はその製造方法、実施の形態B(実施の形態B1-B5及びこれらの変形例)に係る蓄電デバイス又はその製造方法、及び実施の形態C(実施の形態C1-C5及びこれらの変形例)に係る蓄電デバイス又はその製造方法に対して、好適に適用することができる。以下、第1の態様及び第2の態様におけるこれらの実施の形態A、B、Cについて詳述する。
【0161】
<実施の形態A>
前記の通り、蓄電デバイスの製造工程においては、一般に、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルム内に収容された後、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁がシールされることによって、仮封止される。その後、初回充放電工程、及び、エージング工程等が行われる。これらの工程においては、蓄電デバイス素子からCO2等のガスが発生することが知られており、仮封止された包装体(蓄電デバイス用包装フィルムから構成されたもの)の内側にガスを保持するためのスペースを設けるため、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いて、蓄電デバイスが製造されていることが現状である。このため、蓄電デバイスの製造工程が煩雑である。
【0162】
実施の形態Aに係る発明は、蓄電デバイスを容易に製造できる蓄電デバイスの製造方法、及び、この製造方法によって製造される蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【0163】
実施の形態Aに係る発明の第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程と、を含む。
【0164】
実施の形態Aに係る発明の第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む。
【0165】
実施の形態Aに係る発明の第3観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される。
【0166】
実施の形態Aに係る発明の第4観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0167】
実施の形態Aに係る発明の第5観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0168】
実施の形態Aに係る発明の第6観点に係る蓄電デバイスは、第3観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0169】
実施の形態Aに係る発明の第7観点に係る蓄電デバイスは、第3観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、透明性をさらに有する。
【0170】
[実施の形態A1]
図8に、本実施の形態A1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図9は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図9の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0171】
蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0172】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0173】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0174】
図9に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図9では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図9では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0175】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を容易に製造する観点から、ガス透過性を有する。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0176】
内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態A1の内側包装体210は、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0177】
外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0178】
外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態A1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0179】
外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態A1の容器110Aは、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0180】
図9に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0181】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0182】
外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0183】
蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0184】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0185】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0186】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0187】
[蓄電デバイスの製造方法]
図10は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0188】
ステップS11の内側包装工程では、
図11に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態A1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0189】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0190】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0191】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図16に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0192】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態A1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0193】
ステップS20の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0194】
ステップS21の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0195】
[蓄電デバイスの特徴]
本実施の形態A1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。
【0196】
[実施の形態A2]
実施の形態A2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有していない点において、実施の形態A1と異なり、その他の構成は、実施の形態A1と同様である。以下では、実施の形態A2の蓄電デバイス100について、実施の形態A2と異なる部分を中心に説明する。
【0197】
[蓄電デバイスの製造方法]
図11は、実施の形態A2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0198】
ステップS31の内側包装工程では、
図12に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態A2の蓄電デバイス100では、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214が形成される。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0199】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0200】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0201】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0202】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0203】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0204】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0205】
ステップS42の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0206】
ステップS43の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0207】
[実施の形態A3]
実施の形態A3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態A1と異なり、その他の構成は、実施の形態A1と同様である。以下では、実施の形態A3の蓄電デバイス300について、実施の形態A1と異なる部分を中心に説明する。
【0208】
図19は、実施の形態A3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0209】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0210】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0211】
[実施の形態A4]
実施の形態A4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態A1と異なり、その他の構成は、実施の形態A1と同様である。以下では、実施の形態A4の蓄電デバイス400について、実施の形態A1と異なる部分を中心に説明する。
【0212】
図20は、実施の形態A4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0213】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0214】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0215】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0216】
[実施の形態A5]
実施の形態A5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態A4と異なり、その他の構成は、実施の形態A4と同様である。以下では、実施の形態A5の蓄電デバイス500について、実施の形態A4と異なる部分を中心に説明する。
【0217】
図21は、実施の形態A5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0218】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0219】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0220】
[変形例]
上記各実施の形態は本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0221】
実施の形態A1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0222】
実施の形態A1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、透明性を有していなくてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、少なくとも、ガス透過性を有していればよい。
【0223】
実施の形態A1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【0224】
<実施の形態B>
蓄電デバイスの製造工程においては、一般に、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルム内に収容された後、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁がシールされることによって、仮封止される。その後、初回充放電工程、及び、エージング工程等が行われる。上記二次電池が備える蓄電デバイス用包装フィルムは、金属層を含むため、遮蔽性を有する。このため、蓄電デバイス素子が蓄電デバイス用包装フィルムによって封止された状態では、蓄電デバイス用包装フィルムの周縁が適切にシールされているか否かを確認することができない。このため、蓄電デバイスを好適に製造できない。
【0225】
実施の形態Bに係る発明は、蓄電デバイスを好適に製造できる蓄電デバイスの製造方法、及び、この製造方法によって製造される蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【0226】
実施の形態Bに係る発明の第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、を含む。
【0227】
実施の形態Bに係る発明の第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第1観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有し、前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程をさらに備える。
【0228】
実施の形態Bに係る発明の第3観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、第2観点に係る蓄電デバイスの製造方法であって、前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む。
【0229】
実施の形態Bに係る発明の第4観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される。
【0230】
実施の形態Bに係る発明第5観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0231】
実施の形態Bに係る発明の第6観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0232】
実施の形態Bに係る発明の第7観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0233】
実施の形態Bに係る発明の第8観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0234】
実施の形態Bに係る発明の第9観点に係る蓄電デバイスは、第3観点~第8観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有する。
【0235】
[実施の形態B1]
図8に、本実施の形態B1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図9は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図9の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0236】
蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0237】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0238】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0239】
図9に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図9では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図9では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0240】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を好適に製造する観点から、全体として、透明性を有する。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0241】
内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態B1の内側包装体210は、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0242】
外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0243】
外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態B1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0244】
外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態B1の容器110Aは、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0245】
図9に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0246】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0247】
外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0248】
蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0249】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0250】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0251】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0252】
[蓄電デバイスの製造方法]
図10は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0253】
ステップS11の内側包装工程では、
図11に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態B1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0254】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0255】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0256】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図10に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0257】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態B1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0258】
ステップS20の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0259】
ステップS21の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0260】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。
【0261】
[実施の形態B2]
実施の形態B2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有していない点において、あるいは、実施の形態B1に比べて、前述したステップS18のガス抜き工程を行う程度のガス透過性を備えない点において、実施の形態B1と異なり、その他の構成は、実施の形態B1と同様である。以下では、実施の形態B2の蓄電デバイス100について、実施の形態B2と異なる部分を中心に説明する。
【0262】
[蓄電デバイスの製造方法]
図11は、実施の形態B2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0263】
ステップS31の内側包装工程では、
図15に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態B2の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有さないため、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214を形成することが好ましい。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0264】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0265】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0266】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0267】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0268】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0269】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0270】
ステップS42の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0271】
ステップS43の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0272】
[蓄電デバイスの特徴]
実施の形態B3の蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、実施の形態B1の蓄電デバイス100と同様の効果が得られる。
【0273】
[実施の形態B3]
実施の形態B3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態B1と異なり、その他の構成は、実施の形態B1と同様である。以下では、実施の形態B3の蓄電デバイス300について、実施の形態B1と異なる部分を中心に説明する。
【0274】
図19は、実施の形態B3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0275】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0276】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0277】
[実施の形態B4]
実施の形態B4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態B1と異なり、その他の構成は、実施の形態B1と同様である。以下では、実施の形態B4の蓄電デバイス400について、実施の形態B1と異なる部分を中心に説明する。
【0278】
図20は、実施の形態B4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0279】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0280】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0281】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0282】
[実施の形態B5]
実施の形態B5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態B4と異なり、その他の構成は、実施の形態B4と同様である。以下では、実施の形態B5の蓄電デバイス500について、実施の形態B4と異なる部分を中心に説明する。
【0283】
図21は、実施の形態B5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0284】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0285】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0286】
[変形例]
上記各実施の形態Bは本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0287】
実施の形態B1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0288】
実施の形態B1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有していなくてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、少なくとも、透明性を有していればよい。
【0289】
実施の形態B1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【0290】
<実施の形態C>
蓄電デバイスにおいては、蓄電デバイスが通常有する機能に加えて、付加価値が高い機能を有していることが好ましい。
【0291】
実施の形態Cに係る発明は、付加価値の高い機能を有する蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【0292】
実施の形態Cに係る発明の第1観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、衝撃吸収性を有する。
【0293】
実施の形態Cに係る発明の第2観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、難燃性を有する。
【0294】
実施の形態Cに係る発明の第3観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、冷却性を有する。
【0295】
実施の形態Cに係る発明の第4観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、前記機能性物体は、消火性を有する。
【0296】
実施の形態Cに係る発明の第5観点に係る蓄電デバイスは、蓄電デバイス素子と、前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、前記内側包装体及び前記外側包装体の少なくとも一方は、衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つを有する。
【0297】
実施の形態Cに係る発明の第6観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第5観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記内側包装体は、透明性及びガス透過性の少なくとも一方を有する。
【0298】
実施の形態Cに係る発明の第7観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0299】
実施の形態Cに係る発明の第8観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0300】
実施の形態Cに係る発明の第9観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している。
【0301】
実施の形態Cに係る発明の第10観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている。
【0302】
[実施の形態C1]
図8に、本実施の形態C1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図22は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図22の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0303】
蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0304】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0305】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0306】
図22に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図22では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図22では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0307】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を好適に製造する観点から、全体として、透明性を有することが好ましい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を容易に製造する観点から、ガス透過性を有することが好ましい。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0308】
内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態C1の内側包装体210は、
図22のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0309】
外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0310】
外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態C1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0311】
外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態C1の容器110Aは、
図22のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0312】
図22に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0313】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0314】
外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0315】
蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0316】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0317】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0318】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0319】
本実施の形態C1に係る蓄電デバイス100は、一般的な蓄電デバイスが有する機能に加えて、付加価値の高い機能を有するように機能性物体230を備える。機能性物体230は、衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つの機能を有する。機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間に配置される。機能性物体230の具体的な形態は、任意に選択可能である。機能性物体230は、フィルム等のシート状であってもよく、フィルムに塗布可能な液体であってもよく、所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状であってもよい。
【0320】
機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230は、内側包装体210の表面の少なくとも一部を覆うように内側包装体210と接合されていればよいが、内側包装体210表面の概ね全体を覆うように内側包装体210と接合されることが好ましい。
【0321】
機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。機能性物体230は、内側包装体210の表面の少なくとも一部に塗布されていればよいが、内側包装体210の表面の概ね全体に塗布されていることが好ましい。なお、機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体とは、スプレー等によって、内側包装体210及び外側包装体220に吹き付けることが可能な状態を含む。
【0322】
機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間の空間に充填される。機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間の空間の少なくとも一部に充填されていればよいが、内側包装体210と外側包装体220との間の空間の概ね全体に充填されていることが好ましい。
【0323】
衝撃吸収性を有する機能性物体230は、例えば、無架橋高発泡ポリエチレンシート、電子線架橋高発泡ポリエチレンシート、熱溶着複合高発泡ポリエチレンシート、又は、ニトリルゴムである。
【0324】
難燃性を有する機能性物体230は、例えば、難燃ポリカーボネートフィルム又は難燃ポリエチレンテレフタレートである。
【0325】
冷却性を有する機能性物体230は、例えば、高熱伝導フィルム、高熱伝導性接着シート、又は、超高熱伝導グラファイトシートである。
【0326】
消火性を有する機能性物体230は、例えば、消火剤、又は、消火剤を含有するフィルム(以下では、「防火性フィルム」という)である。消火剤は、例えば、カリウム塩、炭酸水素ナトリウム、リン酸塩等の一般的な粉末系消火剤、ABC消火剤、BC消火剤、又は、砂である。機能性物体230として消火剤を用いる場合、蓄電デバイス100の機能の低下を抑制する観点から、水を含んでいない消火剤が好ましい。
【0327】
防火性フィルムは、公知の防火フィルムを用いることが出きる。防火性フィルムは、例えば、基材(基材層)と、消火剤含有層とをこの順に備える積層フィルムである。消火剤含有層は、基材の一方の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、基材の表面の全面に設けられることが好ましい。基材は、基材内であり、かつ、消火剤含有層側に消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域を有する。
【0328】
防火性フィルムは、その消火剤含有層が発火する虞のある対象物に対面するようにして用いることができる。本実施の形態C1では、防火性フィルムは、消火剤含有層が内側包装体210の表面に面するように、外側包装体220の内面に接合される。例えば、蓄電デバイス素子120が発火した場合、消火剤含有層から生じるエアロゾルにより初期消火が行われる。
【0329】
基材は空隙を有しており、例えば、不燃性又は難燃性の繊維を絡ませてなる不織布、あるいは、不燃性若しくは難燃性の繊維を編み込む等してなる織布形状を有している。不燃性又は難燃性の繊維としては、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、熱硬化性樹脂繊維等が挙げられる。優れた不燃性を有する観点からは、ガラス繊維及びセラミック繊維を用いることができる。基材としては、ガラスクロス、不燃紙等が挙げられる。基材としては、JIS Z 2150-1966で定める防炎1級に該当する不燃性基材を用いることもできる。
【0330】
基材における担持領域は、消火剤成分及びバインダー樹脂を含む塗液を用いて基材の表面上に塗膜を形成する際に、塗液の一部が基材中に浸入することにより形成される。基材は、消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域と、それらの非担持領域とを備えるということができる。
【0331】
消火剤含有層は、消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む層である。消火剤成分は、燃焼によってエアロゾルを発生するものである。消火剤成分は、例えば、無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含む。ラジカル発生剤は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
【0332】
[蓄電デバイスの製造方法]
図23は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0333】
ステップS11の内側包装工程では、
図24に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態C1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0334】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0335】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0336】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図23に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0337】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態C1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0338】
ステップS20の配置工程は、本充填工程の後に実施される。配置工程では、機能性物体230の具体的な形態に応じて、機能性物体230が内側包装体210と外側包装体230との間に配置される。機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。
【0339】
ステップS21の外側包装工程は、配置工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0340】
ステップS22の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。なお、機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、配置工程は、外側シール工程において、例えば、周縁シール部150のうちのトップシール部151、サイドシール部152、153が形成された後、ボトムシール部154が形成される部分の開口から充填されてもよい。
【0341】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス100によれば、機能性物体230を備えるため、付加価値が高い。
【0342】
[実施の形態C2]
実施の形態C2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有していない点において、あるいは、実施の形態C1に比べて、前述したステップS18のガス抜き工程を行う程度のガス透過性を備えない点において、実施の形態C1と異なり、その他の構成は、実施の形態C1と同様である。以下では、実施の形態C2の蓄電デバイス100について、実施の形態C2と異なる部分を中心に説明する。
【0343】
[蓄電デバイスの製造方法]
図24は、実施の形態C2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0344】
ステップS31の内側包装工程では、
図15に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態C2の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有さないため、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214を形成することが好ましい。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0345】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0346】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0347】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0348】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0349】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0350】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0351】
ステップS42の配置工程は、本充填工程の後に実施される。配置工程では、機能性物体230の具体的な形態に応じて、機能性物体230が内側包装体210と外側包装体230との間に配置される。機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。
【0352】
ステップS43の外側包装工程は、配置工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0353】
ステップS44の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。なお、機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、配置工程は、外側シール工程において、例えば、周縁シール部150のうちのトップシール部151、サイドシール部152、153が形成された後、ボトムシール部154が形成される部分の開口から充填されてもよい。
【0354】
[蓄電デバイスの特徴]
実施の形態C3の蓄電デバイス100によれば、機能性物体230を備えるため、実施の形態C1の蓄電デバイス100と同様の効果が得られる。
【0355】
[実施の形態C3]
実施の形態C3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態C1と異なり、その他の構成は、実施の形態C1と同様である。以下では、実施の形態C3の蓄電デバイス300について、実施の形態C1と異なる部分を中心に説明する。
【0356】
図25は、実施の形態C3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0357】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0358】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0359】
[実施の形態C4]
実施の形態C4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態Cと異なり、その他の構成は、実施の形態C1と同様である。以下では、実施の形態C4の蓄電デバイス400について、実施の形態C1と異なる部分を中心に説明する。
【0360】
図26は、実施の形態C4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0361】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0362】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0363】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0364】
[実施の形態C5]
実施の形態C5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態C4と異なり、その他の構成は、実施の形態C4と同様である。以下では、実施の形態C5の蓄電デバイス500について、実施の形態C4と異なる部分を中心に説明する。
【0365】
図27は、実施の形態C5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0366】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0367】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0368】
[変形例]
上記各実施の形態Cは本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0369】
実施の形態C1の蓄電デバイス100において、機能性物体230は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212、又は、外装フィルム221、222の少なくとも一方に含有されていてもよい。すなわち、この変形例の蓄電デバイス100は、内側包装体210及び外側包装体220の少なくとも一方が衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つを有するように構成される。
【0370】
実施の形態C1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0371】
実施の形態C1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、透明性及びガス透過性を有していなくてもよい。
【0372】
実施の形態C1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【0373】
<第3の態様>
[実施の形態1]
図8に、本実施の形態1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図9は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図9の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0374】
蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0375】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0376】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0377】
図9に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図9では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図9では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0378】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を好適に製造する観点から、全体として、透明性を有する。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0379】
[第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの積層構造と物性]
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、例えば
図1~4に示すように、少なくとも、熱融着性樹脂層1を備える。蓄電デバイス用包装フィルム10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用包装フィルム10の熱融着性樹脂層1同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。
【0380】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図1に示されるように、熱融着性樹脂層1のみから構成されていてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム10が、熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有することが好ましい。
【0381】
また、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図2~4に示すように、少なくとも、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になる。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0382】
さらに、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図3~4に示すように、少なくとも、樹脂層2、基材3及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になり、基材3が樹脂層2と熱融着性樹脂層1の間に位置する。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0383】
図2に示すように、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間に接着剤層4を、
図4に示すように、熱融着性樹脂層1と基材3との間に接着剤層5を設けることができる。
【0384】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましく、より好ましくは約200cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約300cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約500cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10の当該CO2透過量は、例えば約2000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、好ましくは約1000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、より好ましくは約800cc・100μm/m2/24hr/atm以下であり、好ましい範囲としては、100~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度が挙げられる。蓄電デバイス用包装フィルムの当該CO2透過量の測定方法は、以下の通りである。
【0385】
[CO2透過量の測定]
JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定する。
【0386】
また、図示を省略するが、樹脂層2の外側(熱融着性樹脂層1側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層などがさらに設けられていてもよい。
【0387】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、例えば190μm以下、好ましくは約180μm以下、約170μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用包装フィルムの機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~180μm程度、35~170μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~170μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~170μm程度、が挙げられ、特に45~170μm程度が好ましい。
【0388】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10において、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1を含む場合、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、熱融着性樹脂層1を含む積層体である場合にも、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上とすることができる。
【0389】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、80%以上、85%以上、90%以上等とすることができる。全光線透過率が低いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い遮蔽性を発揮できる。一方、全光線透過率が高いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い透光性を発揮するので、全光線透過率がある程度の下限を保つことで所望の透明性を維持することができる。全光線透過率の下限値は0%であり、上限は100%である。蓄電デバイス用包装フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に規定された測定方法に準拠し、市販の分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用い、可視光領域(400~700nm)における透過率測定を行い、平均値を全光線透過率とする。測定条件は、光源としてハロゲンランプを使用し、UV/Visバンド幅:5.0nm、走査速度:1000nm/min、レスポンス:Medium、データ取り込み間隔:1.0nmとする。
【0390】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、黒色系とすることで黒色系の有色透明とすることができる。蓄電デバイス用包装フィルム10を黒色系にすると、独特の色を呈することで識別性が高く、意匠性が高い蓄電デバイス用包装フィルム10となる。また、蓄電デバイスの製造工程において、センサーによる位置の把握をより高精度で行うことが可能となり、蓄電デバイス用包装フィルム10の搬送や、蓄電デバイス素子の封止などをより正確に行うことが可能となる。さらに、蓄電デバイスと他の電装品を共に黒色系で統一して、製品としての高級感を付与することも可能となる。
【0391】
<第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層>
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層については、第1の態様及び第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムと共通するため記載を省略する。
【0392】
[第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法]
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法については、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが得られる限り、特に制限されない。例えば、第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える場合、外側から順に、少なくとも、樹脂層及び熱融着性樹脂層が積層された積層体を得る工程を備えており、積層体は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましい。
【0393】
第3の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1をこの順に備える積層体により構成されている場合の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、各層を構成する材料をそれぞれ用意する。次いで、接着剤層4を介して樹脂層2と基材3とを積層すると共に、接着剤層5を介して基材3と熱融着性樹脂層1とを積層する。具体的には、接着剤層4を形成する接着剤を用いて、樹脂層2と基材3とをドライラミネート法などにより積層することで、樹脂層2、接着剤層4、基材3が積層され、さらに、接着剤層5を形成する接着剤を用いて、基材3と熱融着性樹脂層1をドライラミネート法などにより積層することで、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。また、樹脂層2と基材3と熱融着性樹脂層1とを接着剤層4,5を介さずに積層する場合には、基材3の一方側に樹脂層2を構成する樹脂を溶融押出し、基材3の他方側に熱融着性樹脂層1を構成する樹脂を溶融押出しする方法などにより、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。着色層を設ける場合には、樹脂層2の表面に着色層を形成してから、基材3や熱融着性樹脂層1と積層すればよい。表面被覆層を設ける場合には、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂組成物を樹脂層2の表面に塗布し、硬化させることにより形成することができる。
【0394】
接着剤層4,5の接着性を強固にするために、さらに、蓄電デバイス用包装フィルム10を加熱処理に供してもよい。
【0395】
第3の態様の内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の内側包装体210は、
図2のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0396】
第3の態様の外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0397】
第3の態様の外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0398】
第3の態様の外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の容器110Aは、
図2のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0399】
図2に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0400】
第3の態様の外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0401】
第3の態様の外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0402】
第3の態様の蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0403】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0404】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0405】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0406】
[第3の態様の蓄電デバイスの製造方法]
図10は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0407】
ステップS11の内側包装工程では、
図11に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0408】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0409】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0410】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図13に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0411】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0412】
ステップS20の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0413】
ステップS21の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0414】
[第3の態様の蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。
【0415】
[第3の態様の実施の形態2]
実施の形態2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有していない点において、あるいは、実施の形態1に比べて、前述したステップS18のガス抜き工程を行う程度のガス透過性を備えない点において、実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2の蓄電デバイス100について、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0416】
[蓄電デバイスの製造方法]
図14は、実施の形態2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0417】
ステップS31の内側包装工程では、
図15に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態2の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有さないため、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214を形成することが好ましい。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0418】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0419】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0420】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0421】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0422】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0423】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0424】
ステップS42の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0425】
ステップS43の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0426】
[蓄電デバイスの特徴]
実施の形態3の蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、実施の形態1の蓄電デバイス100と同様の効果が得られる。
【0427】
[第3の態様の実施の形態3]
実施の形態3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態3の蓄電デバイス300について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0428】
図19は、実施の形態3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0429】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0430】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0431】
[第3の態様の実施の形態4]
実施の形態4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態4の蓄電デバイス400について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0432】
図20は、実施の形態4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0433】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0434】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0435】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0436】
[第3の態様の実施の形態5]
実施の形態5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態4と異なり、その他の構成は、実施の形態4と同様である。以下では、実施の形態5の蓄電デバイス500について、実施の形態4と異なる部分を中心に説明する。
【0437】
図21は、実施の形態5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0438】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0439】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0440】
[第3の態様の変形例]
第3の態様の各実施の形態は本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0441】
第3の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0442】
第3の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有していなくてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、少なくとも、透明性を有していればよい。
【0443】
第3の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【0444】
<第4の態様>
[実施の形態1]
図8に、第4の態様の実施の形態1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図9は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図9の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0445】
第4の態様の蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0446】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0447】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0448】
図9に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図9では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図9では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0449】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を容易に製造する観点から、ガス透過性を有する。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0450】
[第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの積層構造と物性]
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、例えば
図1~4に示すように、少なくとも、熱融着性樹脂層1を備える。蓄電デバイス用包装フィルム10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用包装フィルム10の熱融着性樹脂層1同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。
【0451】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図1に示されるように、熱融着性樹脂層1のみから構成されていてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム10が、熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0452】
また、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図2~4に示すように、少なくとも、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になる。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0453】
さらに、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図3~4に示すように、少なくとも、樹脂層2、基材3及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になり、基材3が樹脂層2と熱融着性樹脂層1の間に位置する。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましい。
【0454】
図2に示すように、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間に接着剤層4を、
図4に示すように、熱融着性樹脂層1と基材3との間に接着剤層5を設けることができる。
【0455】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましく、より好ましくは約200cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約300cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約500cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10の当該CO2透過量は、例えば約2000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、好ましくは約1000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、より好ましくは約800cc・100μm/m2/24hr/atm以下であり、好ましい範囲としては、100~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度が挙げられる。蓄電デバイス用包装フィルムの当該CO2透過量の測定方法は、以下の通りである。
【0456】
[CO2透過量の測定]
JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定する。
【0457】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽性を付与する場合、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる少なくとも1層について、遮蔽性を備える遮蔽層Sとすればよい。例えば
図2には、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間を接着する接着剤層4を遮蔽層Sとした構成を、
図4には、樹脂層2と基材3との間を接着する接着剤層4を遮蔽層Sとした構成を図示している。第4の態様においては、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる任意の層を遮蔽層Sとすることができる。
【0458】
また、図示を省略するが、樹脂層2の外側(熱融着性樹脂層1側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層などがさらに設けられていてもよい。
【0459】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、例えば190μm以下、好ましくは約180μm以下、約170μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用包装フィルムの機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~180μm程度、35~170μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~170μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~170μm程度、が挙げられ、特に45~170μm程度が好ましい。
【0460】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10において、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1を含む場合、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、熱融着性樹脂層1を含む積層体である場合にも、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上とすることができる。
【0461】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下等とすることができる。また、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、80%以上、85%以上、90%以上等とすることもできる。全光線透過率が低いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い遮蔽性を発揮できる。一方、全光線透過率が高いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い透光性を発揮できる。全光線透過率の下限値は0%であり、上限は100%である。蓄電デバイス用包装フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に規定された測定方法に準拠し、市販の分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用い、可視光領域(400~700nm)における透過率測定を行い、平均値を全光線透過率とする。測定条件は、光源としてハロゲンランプを使用し、UV/Visバンド幅:5.0nm、走査速度:1000nm/min、レスポンス:Medium、データ取り込み間隔:1.0nmとする。
【0462】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、黒色とすることができる。蓄電デバイス用包装フィルム10を黒色にすると、遮蔽性が高く、偽造防止効果が高い蓄電デバイス用包装フィルム10となる。また、蓄電デバイスの製造工程において、センサーによる位置の把握をより高精度で行うことが可能となり、蓄電デバイス用包装フィルム10の搬送や、蓄電デバイス素子の封止などをより正確に行うことが可能となる。さらに、蓄電デバイスと他の電装品を共に黒色で統一して、製品としての高級感を付与することも可能となる。
【0463】
<第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層>
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層については、第1の態様及び第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムと共通するため記載を省略する。
【0464】
[第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法]
蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法については、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが得られる限り、特に制限されない。例えば、第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える場合、外側から順に、少なくとも、樹脂層及び熱融着性樹脂層が積層された積層体を得る工程を備えており、積層体は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましい。
【0465】
第4の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1をこの順に備える積層体により構成されている場合の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、各層を構成する材料をそれぞれ用意する。次いで、接着剤層4を介して樹脂層2と基材3とを積層すると共に、接着剤層5を介して基材3と熱融着性樹脂層1とを積層する。具体的には、接着剤層4を形成する接着剤を用いて、樹脂層2と基材3とをドライラミネート法などにより積層することで、樹脂層2、接着剤層4、基材3が積層され、さらに、接着剤層5を形成する接着剤を用いて、基材3と熱融着性樹脂層1をドライラミネート法などにより積層することで、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。また、樹脂層2と基材3と熱融着性樹脂層1とを接着剤層4,5を介さずに積層する場合には、基材3の一方側に樹脂層2を構成する樹脂を溶融押出し、基材3の他方側に熱融着性樹脂層1を構成する樹脂を溶融押出しする方法などにより、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。着色層を設ける場合には、樹脂層2の表面に着色層を形成してから、基材3や熱融着性樹脂層1と積層すればよい。表面被覆層を設ける場合には、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂組成物を樹脂層2の表面に塗布し、硬化させることにより形成することができる。
【0466】
接着剤層4,5の接着性を強固にするために、さらに、蓄電デバイス用包装フィルム10を加熱処理に供してもよい。
【0467】
内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の内側包装体210は、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0468】
外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0469】
外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0470】
外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の容器110Aは、
図9のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0471】
図9に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0472】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0473】
外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0474】
蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0475】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0476】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0477】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0478】
[第4の態様の蓄電デバイスの製造方法]
図10は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0479】
ステップS11の内側包装工程では、
図11に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0480】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0481】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0482】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図13に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0483】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0484】
ステップS20の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0485】
ステップS21の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0486】
[蓄電デバイスの特徴]
本実施の形態1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。
【0487】
[第4の態様の実施の形態2]
実施の形態2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有していない点において、実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2の蓄電デバイス100について、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0488】
[蓄電デバイスの製造方法]
図14は、実施の形態2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0489】
ステップS31の内側包装工程では、
図15に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態2の蓄電デバイス100では、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214が形成される。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0490】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0491】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0492】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0493】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0494】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0495】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0496】
ステップS42の外側包装工程は、本充電工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0497】
ステップS43の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。
【0498】
[第4の態様の実施の形態3]
実施の形態3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態3の蓄電デバイス300について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0499】
図19は、実施の形態3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0500】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0501】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0502】
[第4の態様の実施の形態4]
実施の形態4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態4の蓄電デバイス400について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0503】
図20は、実施の形態4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0504】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0505】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0506】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0507】
[第4の態様の実施の形態5]
実施の形態5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態4と異なり、その他の構成は、実施の形態4と同様である。以下では、実施の形態5の蓄電デバイス500について、実施の形態4と異なる部分を中心に説明する。
【0508】
図21は、実施の形態5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0509】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0510】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0511】
[第4の態様の変形例]
第4の態様の上記各実施の形態は本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0512】
第4の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0513】
第4の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、透明性を有していなくてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、少なくとも、ガス透過性を有していればよい。
【0514】
第4の態様の実施の形態1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【0515】
<第5の態様>
[第5の態様の実施の形態1]
図8に、第5の態様の実施の形態1に係る蓄電デバイス100の平面図を示す。
図22は、
図8のD2-D2線に沿う断面図である。
図8では、本来外部から視認できない部位が、参考のため、部分的に点線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、
図8の上下方向を「前後方向」と称し、左右方向を「左右方向」と称し、
図22の上下方向を「上下方向」と称する。ただし、蓄電デバイス100の使用時の向きは、これに限定されない。また、
図8では、図面の簡略化のため、内側包装体210と外側包装体220との相対的な位置関係を簡略化している。
【0516】
蓄電デバイス100は、収容体110、蓄電デバイス素子120、一対の金属端子130、及び、一対のタブフィルム140を備える。収容体110は、内部空間S1及び周縁シール部150を備える。蓄電デバイス素子120は、収容体110の内部空間S1に収容される。金属端子130は、その一端が蓄電デバイス素子120と接合しており、その他端が収容体110の周縁シール部150から外側に突出している。金属端子130の一端と他端との間の一部は、タブフィルム140を介して周縁シール部150に融着されている。
【0517】
収容体110は、容器110Aを含む。容器110Aは、内側包装体210及び外側包装体220を含む。内側包装体210は、蓄電デバイス素子120を収容する。外側包装体220は、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210を収容する。内部空間S1は、内側包装体210の内部に形成される。内側包装体210は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を含む。外側包装体220は、外装フィルム221、222を含む。平面視における容器110Aの外周部分においては、内側包装体210及び外側包装体220がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部150が形成されている。そして、この周縁シール部150によって、外部空間から遮断された容器110Aの内部空間S1が内側包装体210に形成される。周縁シール部150は、容器110Aの内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部150とは、内側包装体210及び外側包装体220が融着され、一体化している部分を意味する。
【0518】
周縁シール部150は、トップシール部151、一対のサイドシール部152、153、及び、ボトムシール部154を含む。トップシール部151は、金属端子130とタブフィルム140とを挟んでシールされる部分(以下では、「端子シール部151A」という)を含み、前後方向に延びる。一対のサイドシール部152、153は、左右方向に延びる。サイドシール部152とサイドシール部153とは、内部空間S1を介して対向する。ボトムシール部154は、内部空間S1を介してトップシール部151と対向する。ボトムシール部154は、前後方向に延びる。
【0519】
図22に示されるように、トップシール部151のうちの端子シール部151Aは、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。このため、トップシール部151を容易に形成できる。なお、トップシール部151のうちの端子シール部151A以外の部分、換言すれば、内側包装体210及び外側包装体220によって一対のタブフィルム140のみが挟まれる部分は、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、他方のタブフィルム140、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。さらに、トップシール部151のうちの端子シール部151Aの外側部分(
図22では、段差を境界とする左側の部分)は、上から順に、蓄電デバイス用包装フィルム211、一方のタブフィルム140、金属端子130、他方のタブフィルム140、及び蓄電デバイス用包装フィルム212が積層され、これらが一体化されている。したがって、外装フィルム221、222が存在しない端子シール部151Aの外側部分と、外装フィルム221、222が存在する端子シール部151Aの内側部分(
図22では段差を境界とする右側部分)との間には、段差が存在するが、
図8では、周縁シール部150の領域を俯瞰的に説明するものであり、境界となる段差を図示していない。
【0520】
内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を好適に製造する観点から、全体として、透明性を有することが好ましい。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、蓄電デバイス100を容易に製造する観点から、ガス透過性を有することが好ましい。以下、内側包装体210を構成する蓄電デバイス用包装フィルム211、212の好ましい例について説明する。なお、以下において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を特に区別しない場合には、蓄電デバイス用包装フィルム211、212をまとめて、蓄電デバイス用包装フィルム10と称する場合がある。
【0521】
[第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの積層構造と物性]
第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、例えば
図1~4に示すように、少なくとも、熱融着性樹脂層1を備える。蓄電デバイス用包装フィルム10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用包装フィルム10の熱融着性樹脂層1同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。
【0522】
蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図1に示されるように、熱融着性樹脂層1のみから構成されていてもよい。蓄電デバイス用包装フィルム10が、熱融着性樹脂層1のみから構成されている場合、熱融着性樹脂層1の少なくとも一方側の表面が金属に対する接着性を有することが好ましい。
【0523】
また、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図2~4に示すように、少なくとも、樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になる。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0524】
さらに、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、
図3~4に示すように、少なくとも、樹脂層2、基材3及び前記熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されていることが好ましい。このような蓄電デバイス用包装フィルム10において、樹脂層2が外側になり、熱融着性樹脂層1は内側(最内層)になり、基材3が樹脂層2と熱融着性樹脂層1の間に位置する。蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、基材3及び熱融着性樹脂層1を備える積層体から構成されている場合についても、樹脂層2の外側表面及び熱融着性樹脂層1の内側表面の少なくとも一方について、金属に対する接着性を付与することが好ましく、金属端子130と対向する熱融着性樹脂層1の内側表面について、金属に対する接着性を付与することが、より好ましい。
【0525】
図2に示すように、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間に接着剤層4を、
図4に示すように、熱融着性樹脂層1と基材3との間に接着剤層5を設けることができる。
【0526】
第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましく、より好ましくは約200cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約300cc・100μm/m2/24hr/atm以上、さらにより好ましくは約500cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。また、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10の当該CO2透過量は、例えば約2000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、好ましくは約1000cc・100μm/m2/24hr/atm以下、より好ましくは約800cc・100μm/m2/24hr/atm以下であり、好ましい範囲としては、100~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、100~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、200~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、300~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~2000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~1000cc・100μm/m2/24hr/atm程度、500~800cc・100μm/m2/24hr/atm程度が挙げられる。蓄電デバイス用包装フィルムの当該CO2透過量の測定方法は、以下の通りである。
【0527】
[CO2透過量の測定]
JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定する。
【0528】
第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10に遮蔽性を付与する場合、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる少なくとも1層について、遮蔽性を備える遮蔽層Sとすればよい。例えば
図2には、樹脂層2と熱融着性樹脂層1との間を接着する接着剤層4を遮蔽層Sとした構成を、
図4には、樹脂層2と基材3との間を接着する接着剤層4を遮蔽層Sとした構成を図示している。第5の態様においては、蓄電デバイス用包装フィルム10に含まれる任意の層を遮蔽層Sとすることができる。
【0529】
また、図示を省略するが、樹脂層2の外側(熱融着性樹脂層1側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層などがさらに設けられていてもよい。
【0530】
蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、例えば190μm以下、好ましくは約180μm以下、約170μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用包装フィルムの機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~180μm程度、35~170μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~170μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~170μm程度、が挙げられ、特に45~170μm程度が好ましい。
【0531】
蓄電デバイス用包装フィルム10において、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1を含む場合、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10が、樹脂層2、接着剤層4、熱融着性樹脂層1を含む積層体である場合にも、蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上とすることができる。
【0532】
第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下等とすることができる。また、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルム10を構成する積層体は、JIS K7361-1:1997の規定に準拠して測定される全光線透過率を、例えば、80%以上、85%以上、90%以上等とすることもできる。全光線透過率が低いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い遮蔽性を発揮できる。一方、全光線透過率が高いほど、蓄電デバイス用包装フィルム10が高い透光性を発揮できる。全光線透過率の下限値は0%であり、上限は100%である。蓄電デバイス用包装フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に規定された測定方法に準拠し、市販の分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計V-670)を用い、可視光領域(400~700nm)における透過率測定を行い、平均値を全光線透過率とする。測定条件は、光源としてハロゲンランプを使用し、UV/Visバンド幅:5.0nm、走査速度:1000nm/min、レスポンス:Medium、データ取り込み間隔:1.0nmとする。
【0533】
蓄電デバイス用包装フィルム10は、黒色とすることができる。蓄電デバイス用包装フィルム10を黒色にすると、遮蔽性が高く、偽造防止効果が高い蓄電デバイス用包装フィルム10となる。また、蓄電デバイスの製造工程において、センサーによる位置の把握をより高精度で行うことが可能となり、蓄電デバイス用包装フィルム10の搬送や、蓄電デバイス素子の封止などをより正確に行うことが可能となる。さらに、蓄電デバイスと他の電装品を共に黒色で統一して、製品としての高級感を付与することも可能となる。
【0534】
<第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層>
第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルムを形成する各層については、第1の態様及び第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムと共通するため記載を省略する。
【0535】
[蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法]
蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法については、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが得られる限り、特に制限されない。例えば、第5の態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2及び熱融着性樹脂層1を備える場合、外側から順に、少なくとも、樹脂層及び熱融着性樹脂層が積層された積層体を得る工程を備えており、積層体は、温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上であることが好ましい。
【0536】
第5の実施態様の蓄電デバイス用包装フィルムが樹脂層2、接着剤層4、基材3、接着剤層5、熱融着性樹脂層1をこの順に備える積層体により構成されている場合の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、各層を構成する材料をそれぞれ用意する。次いで、接着剤層4を介して樹脂層2と基材3とを積層すると共に、接着剤層5を介して基材3と熱融着性樹脂層1とを積層する。具体的には、接着剤層4を形成する接着剤を用いて、樹脂層2と基材3とをドライラミネート法などにより積層することで、樹脂層2、接着剤層4、基材3が積層され、さらに、接着剤層5を形成する接着剤を用いて、基材3と熱融着性樹脂層1をドライラミネート法などにより積層することで、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。また、樹脂層2と基材3と熱融着性樹脂層1とを接着剤層4,5を介さずに積層する場合には、基材3の一方側に樹脂層2を構成する樹脂を溶融押出し、基材3の他方側に熱融着性樹脂層1を構成する樹脂を溶融押出しする方法などにより、蓄電デバイス用包装フィルム10を製造することができる。着色層を設ける場合には、樹脂層2の表面に着色層を形成してから、基材3や熱融着性樹脂層1と積層すればよい。表面被覆層を設ける場合には、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂組成物を樹脂層2の表面に塗布し、硬化させることにより形成することができる。
【0537】
接着剤層4,5の接着性を強固にするために、さらに、蓄電デバイス用包装フィルム10を加熱処理に供してもよい。
【0538】
内側包装体210の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の内側包装体210は、
図22のような形状を有し、トレイ状に成形された蓄電デバイス用包装フィルム212と、同じくトレイ状に成形され、蓄電デバイス用包装フィルム212の上から重ね合わされた蓄電デバイス用包装フィルム211とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。蓄電デバイス用包装フィルム212は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部212Aと、フランジ部212Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部212Bとを含む。同様に、蓄電デバイス用包装フィルム211は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部211Aと、フランジ部211Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する211Bとを含む。蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、それぞれの成形部211B、212Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の一方は、シート状であってもよい。
【0539】
外側包装体220を構成する外装フィルム221、222は、例えば、樹脂成形品又はフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔又は金属板に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
【0540】
外装フィルム221、222は様々に構成することができるが、本実施の形態1では、ラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層、バリア層、及び、熱融着性樹脂層を積層した積層体とすることができる。基材層は、外装フィルム221、222の基材として機能し、典型的には、外側包装体220の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層は、外装フィルム221、222の強度向上の他、蓄電デバイス100内に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、外側包装体220の最内層を形成する。
【0541】
外側包装体220の形状は、特に限定されず、例えば、袋状(パウチ状)とすることができる。ここでいう袋状には、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等が考えられる。本実施の形態1の容器110Aは、
図22のような形状を有し、トレイ状に成形された外装フィルム222と、同じくトレイ状に成形され、外装フィルム222の上から重ね合わされた外装フィルム221とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。外装フィルム222は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部222Aと、フランジ部222Aの内縁に連続し、そこから下方に膨出する成形部222Bとを含む。同様に、外装フィルム221は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部221Aと、フランジ部221Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する221Bとを含む。外装フィルム221、222は、それぞれの成形部221B、222Bが互いに反対方向に膨出するように重ね合わされる。この状態で、外装フィルム221のフランジ部221Aと、外装フィルム222のフランジ部222Aとが、一体化するようにヒートシールされ、周縁シール部150の一部を構成する。なお、外装フィルム221、222の一方は、シート状であってもよい。
【0542】
図22に示されるように、端子シール部151Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0543】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0544】
外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0545】
蓄電デバイス素子120は、少なくとも正極、負極、及び、電解質を備えており、例えば、リチウムイオン電池(二次電池)、又は、キャパシタ等の蓄電部材である。
【0546】
金属端子130は、蓄電デバイス素子120の電力の入出力に用いられる金属端子である。金属端子130は、例えば、容器110Aのトップシール部151に配置されており、一方が正極側の端子を構成し、他方が負極側の端子を構成する。各金属端子130の左右方向の一方の端部は、容器110Aの内部空間S1において蓄電デバイス素子120の電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は、周縁シール部150から外側に突出している。以上の蓄電デバイス100の形態は、例えば、蓄電デバイス100を多数直列接続して高電圧で使用する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両で使用するのに特に好ましい。なお、正極及び負極の端子を構成する2つの金属端子130の取付け位置は特に限定されず、例えば、周縁シール部150のサイドシール部152、153、又はボトムシール部154に配置されてもよい。
【0547】
金属端子130を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。蓄電デバイス素子120がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される金属端子130は、典型的には、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される金属端子130は、典型的には、銅、ニッケル等によって構成される。
【0548】
タブフィルム140は、いわゆる接着性フィルムであり、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130との両方に接着するように構成されている。タブフィルム140を介することによって、金属端子130と、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の最内層(熱融着性樹脂層)とが異素材であっても、両者を固定することができる。なお、タブフィルム140は、金属端子130に予め融着して固定することで一体化しておき、このタブフィルム140が固定された金属端子130に対して、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が融着される。
【0549】
第5の実施態様の実施の形態1に係る蓄電デバイス100は、一般的な蓄電デバイスが有する機能に加えて、付加価値の高い機能を有するように機能性物体230を備える。機能性物体230は、衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つの機能を有する。機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間に配置される。機能性物体230の具体的な形態は、任意に選択可能である。機能性物体230は、フィルム等のシート状であってもよく、フィルムに塗布可能な液体であってもよく、所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状であってもよい。
【0550】
機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230は、内側包装体210の表面の少なくとも一部を覆うように内側包装体210と接合されていればよいが、内側包装体210表面の概ね全体を覆うように内側包装体210と接合されることが好ましい。
【0551】
機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。機能性物体230は、内側包装体210の表面の少なくとも一部に塗布されていればよいが、内側包装体210の表面の概ね全体に塗布されていることが好ましい。なお、機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体とは、スプレー等によって、内側包装体210及び外側包装体220に吹き付けることが可能な状態を含む。
【0552】
機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間の空間に充填される。機能性物体230は、内側包装体210と外側包装体220との間の空間の少なくとも一部に充填されていればよいが、内側包装体210と外側包装体220との間の空間の概ね全体に充填されていることが好ましい。
【0553】
衝撃吸収性を有する機能性物体230は、例えば、無架橋高発泡ポリエチレンシート、電子線架橋高発泡ポリエチレンシート、熱溶着複合高発泡ポリエチレンシート、又は、ニトリルゴムである。
【0554】
難燃性を有する機能性物体230は、例えば、難燃ポリカーボネートフィルム又は難燃ポリエチレンテレフタレートである。
【0555】
冷却性を有する機能性物体230は、例えば、高熱伝導フィルム、高熱伝導性接着シート、又は、超高熱伝導グラファイトシートである。
【0556】
消火性を有する機能性物体230は、例えば、消火剤、又は、消火剤を含有するフィルム(以下では、「防火性フィルム」という)である。消火剤は、例えば、カリウム塩、炭酸水素ナトリウム、リン酸塩等の一般的な粉末系消火剤、ABC消火剤、BC消火剤、又は、砂である。機能性物体230として消火剤を用いる場合、蓄電デバイス100の機能の低下を抑制する観点から、水を含んでいない消火剤が好ましい。
【0557】
防火性フィルムは、公知の防火フィルムを用いることが出きる。防火性フィルムは、例えば、基材(基材層)と、消火剤含有層とをこの順に備える積層フィルムである。消火剤含有層は、基材の一方の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、基材の表面の全面に設けられることが好ましい。基材は、基材内であり、かつ、消火剤含有層側に消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域を有する。
【0558】
防火性フィルムは、その消火剤含有層が発火する虞のある対象物に対面するようにして用いることができる。本実施の形態1では、防火性フィルムは、消火剤含有層が内側包装体210の表面に面するように、外側包装体220の内面に接合される。例えば、蓄電デバイス素子120が発火した場合、消火剤含有層から生じるエアロゾルにより初期消火が行われる。
【0559】
基材は空隙を有しており、例えば、不燃性又は難燃性の繊維を絡ませてなる不織布、あるいは、不燃性若しくは難燃性の繊維を編み込む等してなる織布形状を有している。不燃性又は難燃性の繊維としては、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、熱硬化性樹脂繊維等が挙げられる。優れた不燃性を有する観点からは、ガラス繊維及びセラミック繊維を用いることができる。基材としては、ガラスクロス、不燃紙等が挙げられる。基材としては、JIS Z 2150-1966で定める防炎1級に該当する不燃性基材を用いることもできる。
【0560】
基材における担持領域は、消火剤成分及びバインダー樹脂を含む塗液を用いて基材の表面上に塗膜を形成する際に、塗液の一部が基材中に浸入することにより形成される。基材は、消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域と、それらの非担持領域とを備えるということができる。
【0561】
消火剤含有層は、消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む層である。消火剤成分は、燃焼によってエアロゾルを発生するものである。消火剤成分は、例えば、無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含む。ラジカル発生剤は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
【0562】
[蓄電デバイスの製造方法]
図23は、蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0563】
ステップS11の内側包装工程では、
図11に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態1の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有するため、後述する初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室を形成する必要がない。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212と実質的に同じ大きさの蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。このため、蓄電デバイス100の製造工程を簡略化できる。また、蓄電デバイス100に使用する材料を少なくできる。実質的に同じ大きさとは、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも、副室を形成できない程度に大きい場合を含む。なお、蓄電デバイス素子120には、予め、金属端子130が接続され、金属端子130には、タブフィルム140が接合されている。
【0564】
ステップS12の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図12に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分がシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS13の真空乾燥工程が実施される。
【0565】
ステップS14の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図12参照)を介して電解液が注入される。
【0566】
ステップS15の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図18に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分がシールされることによって、開口213が閉じられる。蓄電デバイス100によれば、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が透明性を有するため、第1内側シール工程又は第2内側シール工程が完了した後、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされているか否かを容易に確認できる。このため、蓄電デバイス100を好適に製造できる。なお、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが適切にシールされていない状態とは、例えば、第1状態、第2状態、又は、第3状態を含む。第1状態は、蓄電デバイス用包装フィルム211と蓄電デバイス用包装フィルム212とが異物を噛んだ状態でシールされている状態である。第2状態は、シールされるべき部分の一部がシールされていない状態である。第3状態は、シールされてはいけない部分がシールされている状態である。第2内側シール工程の後に、ステップS16の初回充放電工程、及び、ステップS17のエージング工程が順に実施される。
【0567】
ステップS18のガス抜き工程は、初回充放電工程、及び、エージング工程と平行して実施される。本実施の形態1では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、ガス透過性を有するため、初回充放電工程及びエージング工程を実施しているときに、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212を介して外部に排出される。ガス抜き工程の後にステップS19の本充電工程が実施される。
【0568】
ステップS20の配置工程は、本充填工程の後に実施される。配置工程では、機能性物体230の具体的な形態に応じて、機能性物体230が内側包装体210と外側包装体230との間に配置される。機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。
【0569】
ステップS21の外側包装工程は、配置工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0570】
ステップS22の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。なお、機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、配置工程は、外側シール工程において、例えば、周縁シール部150のうちのトップシール部151、サイドシール部152、153が形成された後、ボトムシール部154が形成される部分の開口から充填されてもよい。
【0571】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス100によれば、機能性物体230を備えるため、付加価値が高い。
【0572】
[第5の実施態様の実施の形態2]
実施の形態2の蓄電デバイス100は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有していない点において、あるいは、実施の形態1に比べて、前述したステップS18のガス抜き工程を行う程度のガス透過性を備えない点において、実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2の蓄電デバイス100について、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
【0573】
[蓄電デバイスの製造方法]
図24は、実施の形態2の蓄電デバイス100の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス100の製造方法は、複数の工程を含む。
【0574】
ステップS31の内側包装工程では、
図15に示されるように、成形された蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。本実施の形態2の蓄電デバイス100では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212がガス透過性を有さないため、初回充填工程等において蓄電デバイス素子120から発生するガスを一時的に溜める副室214を形成することが好ましい。このため、内側包装工程では、完成品の蓄電デバイス100の内側包装体210が備える蓄電デバイス用包装フィルム211、212よりも大きい蓄電デバイス用包装フィルム211、212によって、蓄電デバイス素子120が包まれる。蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214には、蓄電デバイス素子120から発生するより多くのガスを溜めるための収容室215が形成される。
【0575】
ステップS32の第1内側シール工程は、内側包装工程の後に実施される。第1内側シール工程では、
図16に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのトップシール部151、サイドシール部152、及び、ボトムシール部154に対応する部分が副室214まで延長するようにシールされる。第1内側シール工程が完了することによって、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216に開口213が形成される。第1内側シール工程の後に、ステップS33の真空乾燥工程が実施される。
【0576】
ステップS34の電解液注入工程は、真空乾燥工程の後に実施される。電解液注入工程では、開口213(
図16参照)を介して電解液が注入される。
【0577】
ステップS35の第2内側シール工程は、電解液注入工程の後に実施される。
図17に示されるように、第2内側シール工程では、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153が形成される予定の部分と副室214を介して対向する部分216がシールされることによって、開口213が閉じられる。第2内側シール工程の後に、ステップS36の初回充放電工程、及び、ステップS37のエージング工程が順に実施される。
【0578】
ステップS38のガス抜き工程は、エージング工程の後に実施される。ガス抜き工程では、蓄電デバイス素子120から発生した二酸化炭素等のガスは、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の副室214に一時的に溜められる。
【0579】
ステップS39の副室除去工程は、ガス抜き工程の後に実施される。副室除去工程では、完成品の蓄電デバイス100が備える内側包装体210と同じ大きさとなるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212が
図17に示される一点鎖線XAに沿って切断されることによって、副室214が除去される。
【0580】
ステップS40の内側密封工程は、副室除去工程の後に実施される。内側密封工程では、
図18に示されるように、蓄電デバイス用包装フィルム211、212の周縁のうちのサイドシール部153に対応する部分がシールされる。内側密封工程の後に、ステップS41の本充電工程が実施される。
【0581】
ステップS42の配置工程は、本充填工程の後に実施される。配置工程では、機能性物体230の具体的な形態に応じて、機能性物体230が内側包装体210と外側包装体230との間に配置される。機能性物体230がフィルム等のシート状である場合、機能性物体230は、例えば、内側包装体210に巻き付けられ、内側包装体210と接合される。機能性物体230がフィルム等に塗布可能な液体である場合、機能性物体230は、内側包装体210の表面、又は、外側包装体220の内面に塗布される。
【0582】
ステップS43の外側包装工程は、配置工程の後に実施される。外側包装工程では、蓄電デバイス素子120が収容された状態の内側包装体210が外装フィルム221、222によって包まれる。
【0583】
ステップS44の外側シール工程は、外側包装工程の後に実施される。外側シール工程では、外装フィルム221、222の周縁がシールされることによって、周縁シール部150が形成される。なお、機能性物体230が所定の流動性(粘度)を有する粒状又は液状である場合、配置工程は、外側シール工程において、例えば、周縁シール部150のうちのトップシール部151、サイドシール部152、153が形成された後、ボトムシール部154が形成される部分の開口から充填されてもよい。
【0584】
[蓄電デバイスの特徴]
実施の形態3の蓄電デバイス100によれば、機能性物体230を備えるため、実施の形態1の蓄電デバイス100と同様の効果が得られる。
【0585】
[第5の実施態様の実施の形態3]
実施の形態3の蓄電デバイス300は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態3の蓄電デバイス300について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0586】
図25は、実施の形態3の蓄電デバイス300が備える端子シール部351Aの断面図である。端子シール部351Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、一方のタブフィルム140と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、他方のタブフィルム140と接合している。
【0587】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、一方のタブフィルム140と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、他方のタブフィルム140と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0588】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス300によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。
【0589】
[第5の実施態様の実施の形態4]
実施の形態4の蓄電デバイス400は、端子シール部151Aの構成が異なる点において実施の形態1と異なり、その他の構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態4の蓄電デバイス400について、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0590】
図26は、実施の形態4の蓄電デバイス400が備える端子シール部451Aの断面図である。蓄電デバイス400は、タブフィルム140を有していない。蓄電デバイス400の端子シール部451Aにおいては、上から順に、外装フィルム221、蓄電デバイス用包装フィルム211、金属端子130、蓄電デバイス用包装フィルム212、及び、外装フィルム222が積層され、これらが一体化されている。
【0591】
フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部221Aの端部221Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0592】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aと接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aと接合している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の近くに位置している。このため、内側包装体210の外縁の少なくとも一部は、外側包装体220から露出している。なお、フランジ部222Aの端部222Xは、左右方向において、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xと同じ位置、又は、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120から遠くに位置していてもよい。
【0593】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス400によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス400の製造方法を簡略化できる。
【0594】
[第5の実施態様の実施の形態5]
実施の形態5の蓄電デバイス500は、端子シール部451Aの構成が異なる点において実施の形態4と異なり、その他の構成は、実施の形態4と同様である。以下では、実施の形態5の蓄電デバイス500について、実施の形態4と異なる部分を中心に説明する。
【0595】
図27は、実施の形態5の蓄電デバイス500が備える端子シール部551Aの断面図である。端子シール部551Aにおいて、蓄電デバイス用包装フィルム211のフランジ部211Aの一部は、金属端子130と接合している。蓄電デバイス用包装フィルム212のフランジ部212Aの一部は、金属端子130と接合している。
【0596】
外装フィルム221のフランジ部221Aは、金属端子130と接合している。外装フィルム222のフランジ部222Aは、金属端子130と接合している。フランジ部221Aの端部221Xは、蓄電デバイス用包装フィルム211の端部211Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。フランジ部222Aの端部222Xは、蓄電デバイス用包装フィルム212の端部212Xよりも蓄電デバイス素子120の遠くに位置している。このため、内側包装体210の全体は、外側包装体220によって覆われている。
【0597】
[蓄電デバイスの特徴]
蓄電デバイス500によれば、内側包装体210が外側包装体220によって覆われているため、内側包装体210の内部空間S1に外部から水分等が侵入することが抑制される。また、蓄電デバイス500によれば、タブフィルム140を介さずに、蓄電デバイス用包装フィルム211、212と、金属端子130とが接合されているため、部材点数が少ない。また、蓄電デバイス500の製造方法を簡略化できる。
【0598】
[第5の実施態様の変形例]
上記各実施の形態は第5の実施態様に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法は、各実施の形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施の形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、各実施の形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施の形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0599】
実施の形態1の蓄電デバイス100において、機能性物体230は、蓄電デバイス用包装フィルム211、212、又は、外装フィルム221、222の少なくとも一方に含有されていてもよい。すなわち、この変形例の蓄電デバイス100は、内側包装体210及び外側包装体220の少なくとも一方が衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つを有するように構成される。
【0600】
実施の形態1の蓄電デバイス100において、1つの外側包装体220は、蓄電デバイス素子120を収容した状態の複数の内側包装体210を収容するように構成されてもよい。この変形例において、複数の内側包装体210の大きさは、異なっていてもよく、同じであってもよい。この変形例によれば、複数の蓄電デバイス素子120を直列又は並列に接続できるため、電圧を容易に調整できる。
【0601】
実施の形態1の蓄電デバイス100において、蓄電デバイス用包装フィルム211、212は、透明性及びガス透過性を有していなくてもよい。
【0602】
実施の形態1の蓄電デバイス100において、内側包装体210は、1枚の蓄電デバイス用包装フィルム211を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。同様に、外側包装体220は、1枚の外装フィルム221を折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成されてもよい。
【実施例0603】
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し本開示は実施例に限定されるものではない。
【0604】
<第1の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造>
実施例1A
樹脂層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚み50μm)を用意した。樹脂層と熱融着性樹脂層とを、カーボンブラックを含む2液型ウレタン接着剤(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と熱融着性樹脂層とを黒色の接着剤層を介して接着させた。黒色の接着剤層を遮蔽層とした。以上の手順により、樹脂層/接着剤層(遮蔽層)/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例1Aの熱融着性樹脂層のPPには、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0605】
実施例2A
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、同じ接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例2Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0606】
実施例3A
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ9μm)を用いたこと以外は、実施例2Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例3Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0607】
実施例4A
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例3Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例4Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0608】
実施例5A
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ25μm)を用いたこと以外は、実施例3Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例5Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0609】
実施例6A
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと以外は、実施例4Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例6Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0610】
実施例7A
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例4Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例7Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0611】
実施例8A
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例8Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0612】
実施例9A
実施例9Aは、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、実施例4Aと同じである。
【0613】
実施例10A
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例4Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例10Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0614】
実施例11A
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(PEa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例9Aと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例11Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaとPEaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0615】
実施例12A
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ100μm)を、熱融着性樹脂層のみからなる蓄電デバイス用包装フィルムとした。実施例12Aの熱融着性樹脂層のPPaには、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0616】
実施例13A
基材としての未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ60μm)の一方面に、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出し、CPPフィルムの他方面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出しして、樹脂層/基材/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例13Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0617】
実施例14A
基材としての両面コロナ放電処理を施したPET(12μm)の一方の面に、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネートの接着促進剤(以下、T1と呼称する)を固形分として50mg/m2塗布乾燥し、その後、カーボンブラックを0.15重量部添加した無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を溶融押し出しし、その後にPET(12μm)の他方の面にT1を固形分として50mg/m2塗布乾燥し、その後、カーボンブラックを0.15重量部添加した無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を溶融押し出しして、蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0618】
実施例15A
基材としての両面コロナ放電処理を施したPET(12μm)の一方の面に、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートの接着促進剤(以下、T2と呼称する)を固形分として50mg/m2塗布乾燥し、その後、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ30μm)を溶融押し出しし、その後にPET(12μm)の他方の面にT2を固形分として50mg/m2塗布乾燥し、その後、ポリプロピレン(PP)フィルム((厚さ30μm)を溶融押し出しして、蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0619】
実施例16A
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ30μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ30μm)を準備した。酸変性ポリプロピレン(PPa)からなる主剤と、イソシアヌレートからなる硬化剤の2液型接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、酸変性ポリプロピレン(PPa)からなる主剤と、イソシアヌレートからなる硬化剤の2液型接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例16Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0620】
比較例1A
基材層として、延伸ナイロン(ONy)フィルム(厚さ25μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ40μm)を準備した。また、接着層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、基材層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体のバリア層の表面に、接着層(厚さ23μm)及び熱融着性樹脂層(厚さ23μm)を溶融押し出しして、基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用外装材を得た。比較例1Aの熱融着性樹脂層のPPには、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。比較例1Aの蓄電デバイス用外装材は、外側包装体として好適に使用できる。
【0621】
比較例2A
樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ35μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層を形成する樹脂として無水マレイン酸変性ポリプロピレを準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体のバリア層の表面に、熱融着性樹脂層(厚さ20μm)を溶融押し出しして、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0622】
比較例3A
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ35μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、同じ接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0623】
比較例4A
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと以外は、比較例3Aと同様にして、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例4Aの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0624】
比較例5A
比較例5Aは、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、比較例4Aと同じである。
【0625】
<CO2透過量の測定>
蓄電デバイス用包装フィルムの温度30℃環境におけるCO2透過量(cc・100μm/m2/24hr/atm)を以下の方法により測定し、得られたCO2透過量に応じて以下の基準でCO2透過性を評価した。JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定した。結果を表1Aに示す。なお、比較例1A~5Aの蓄電デバイス用包装フィルムにはALM層が積層されているため、温度30℃環境におけるCO2透過量は0cc・100μm/m2/24hr/atmであった。
A+:温度30℃環境におけるCO2透過量が2000cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。
A:温度30℃環境におけるCO2透過量が400cc・100μm/m2/24hr/atm以上2000cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
B:温度30℃環境におけるCO2透過量が200cc・100μm/m2/24hr/atm以上400cc・100cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
C:温度30℃環境におけるCO2透過量が100cc・100μm/m2/24hr/atm以上200cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
D:温度30℃環境におけるCO2透過量が0cc・100μm/m2/24hr/atm以上100cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
【0626】
【0627】
表1Aに記載された「≦1μm」は、1μm以下を示している。また、表1Aに示された積層構成の「/」は層の区切りを示している。また、( )内の数値(μm)は、層の厚みを示している。
【0628】
実施例1A~13Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、温度30℃環境におけるCO
2透過量が、100cc・100μm/m
2/24hr/atm以上であることから、蓄電デバイス用包装フィルムから構成された包装体を用いて蓄電デバイス素子を封止した場合、蓄電デバイスから発生するガス(特にCO
2)を好適に外部に放出することができる。また、実施例1A~13Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、
図7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。例えば、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を内側包装体10aとし、外側包装体20中に収容する前に、内側包装体10a中に蓄電デバイス素子を封止し、初回充放電工程、エージング工程を行うことで、蓄電デバイス素子から発生するガス(特にCO
2)をこれらの工程中において好適に外部に放出することができる。このため、従来のバリア層を備える蓄電デバイス用外装材を用いる場合のように、仮封止された蓄電デバイス用包装フィルムの内側にガスを保持するためのスペースを設けること、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いることが不要となる。
【0629】
また、実施例1Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しないが、遮蔽層を備えることで複雑な形状の蓄電デバイス素子を見えにくくし、偽造を抑制できると考えられる。
【0630】
実施例2A~7A、実施例9A~13Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有しない。実施例2A~7A、実施例9A~13Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えていることから、例えば、金属端子に対して好適に接着させることができる。すなわち、実施例2A~7A、実施例9A~13Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属端子に接着するようにして、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、
図6、7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。金属端子と包装フィルムの熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、一般に、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。このため、金属端子と、包装フィルムの熱融着性樹脂層との間には、接着性フィルムが配置されることが一般的であるが、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えているため、このような接着性フィルムを用いることなく、金属端子に接着しながら蓄電デバイス素子を密封することができる。また、比較例1~5は外側包装体20として好適に利用することができる。
【0631】
<電池の連続生産性>
また、実施例1A~13A及び比較例1A~5Aで得られた蓄電デバイス用包装フィルムについて、金型を用いた冷間成形を行ったところ、樹脂層及び/又は熱融着性樹脂層の滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種類を用いた実施例2A~7A、10A及び比較例1A、4Aの蓄電デバイス用包装フィルムは、樹脂層及び/又は熱融着性樹脂層の滑剤としてエルカ酸アミドのみを用いた実施例1A、8A、11A~13A及び比較例2A、3A、5Aと比較して、金型への滑剤の付着が抑制されることで、金型の清掃頻度が低減され、蓄電デバイス用包装フィルムの連続生産性に優れていた。表1Aにおいて、電池の連続生産性により優れている実施例及び比較例を評価Aとし、評価Aよりも劣る場合を評価Bとした。
【0632】
<第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造>
実施例1B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、同じ接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例1Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0633】
実施例2B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ9μm)を用いたこと以外は、実施例1Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例2Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0634】
実施例3B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例3Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0635】
実施例4B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ25μm)を用いたこと以外は、実施例1Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例4BのB樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0636】
実施例5B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例5Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0637】
実施例6B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして、樹脂層(遮蔽層)/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例6Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0638】
実施例7B
実施例7Bは、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、実施例3Bと同じである。
【0639】
実施例8B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。カーボンブラック(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を含む2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、接着剤層を介して接着させた。樹脂層と基材との間の黒色の接着剤層を遮蔽層とした。以上の手順により、樹脂層/接着剤層(遮蔽層)/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例8Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0640】
実施例9B
樹脂層として、カーボンブラック(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を含むポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして、樹脂層(遮蔽層)/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例9Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0641】
実施例10B
樹脂層として、カーボンブラック(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を含む無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(PEa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例9Bと同様にして、樹脂層(遮蔽層)/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例10Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaとPEaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0642】
実施例11B
カーボンブラック(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を含む無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ100μm)を、熱融着性樹脂層のみからなる蓄電デバイス用包装フィルムとした。実施例11Bの熱融着性樹脂層のPPaには、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0643】
実施例12B
基材としての未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ60μm)の一方面に、カーボンブラック(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を含むポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出し、CPPフィルムの他方面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出しして、樹脂層(遮蔽層)/基材/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例12Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0644】
比較例1B
樹脂層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚み50μm)を用意した。樹脂層と熱融着性樹脂層とを、カーボンブラックを含む2液型ウレタン接着剤(カーボンブラックの平均粒子径は、0.161~0.221μmの範囲内)を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と熱融着性樹脂層とを黒色の接着剤層を介して接着させた。黒色の接着剤層を遮蔽層とした。以上の手順により、樹脂層/接着剤層(遮蔽層)/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例1Bの熱融着性樹脂層のPPには、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0645】
比較例2B
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例8Bと同様にして、樹脂層/接着剤層(遮蔽層)/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例2Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0646】
比較例3B
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材の表面に、熱融着性樹脂層を溶融押し出しして、樹脂層/接着剤層/基材/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例3Bの樹脂層及び熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0647】
比較例4B
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ35μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、得られた積層体のバリア層側と熱融着性樹脂層とを接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例4Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0648】
比較例5B
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例5Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0649】
比較例6B
比較例6は、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、比較例5Bと同じである。
【0650】
<全光線透過率>
蓄電デバイス用包装フィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に規定された測定方法に準拠し、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計V-670を用い、可視光領域(400~700nm)における透過率測定を行い、平均値を全光線透過率とした。測定条件は、光源としてハロゲンランプを使用し、UV/Visバンド幅:5.0nm、走査速度:1000nm/min、レスポンス:Medium、データ取り込み間隔:1.0nmとした。結果を表1Bに示す。
【0651】
<遮蔽性評価>
フォントはArial、フォントサイズは36、線の太さは約1mmのアルファベット「A」の文字を、レーザープリンタで黒色にて印刷した紙を用意した。室内の照明(300~500ルクス)の環境下において、蓄電デバイス用包装フィルムの下に「A」の文字が記載された紙を置いた。蓄電デバイス用包装フィルムの正面30cmの距離から、蓄電デバイス用包装フィルムを通して「A」の文字を目視観察した。文字の見えやすさについて、以下のレベル1~5の基準で遮蔽性を評価した。結果を表1Bに示す。
レベル1:見えやすい。
レベル2:少し見えにくいが文字を認識できる。
レベル3:見えにくいが文字を認識できる。
レベル4:非常に見えにくいがうっすら文字を認識できる。
レベル5:文字が見えない。
【0652】
【0653】
表1Bに記載された「≦1μm」は、1μm以下を示している。また、表1Bに示された積層構成の「/」は層の区切りを示している。また、( )内の数値(μm)は、層の厚みを示している。
【0654】
実施例1B~12Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有しない。実施例1B~12Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えていることから、例えば、金属端子に対して好適に接着させることができる。すなわち、実施例1B~12Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属端子に接着するようにして、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、
図7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。金属端子と包装フィルムの熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、一般に、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。このため、金属端子と、包装フィルムの熱融着性樹脂層との間には、接着性フィルムが配置されることが一般的であるが、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えているため、このような接着性フィルムを用いることなく、金属端子に接着しながら蓄電デバイス素子を密封することができる。また、比較例4B~6Bは外側包装体20として好適に利用することができる。
【0655】
また、実施例8B~12Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しないが、遮蔽層を備えるため、Aという非常に単純な文字でも遮蔽され、見えにくくする効果があった。従って、遮蔽層を備えることで複雑な形状の蓄電デバイス素子を見えにくくし、偽造を抑制できると考えられる。
【0656】
<電池の連続生産性>
また、実施例1B~12B及び比較例1B~6Bで得られた蓄電デバイス用包装フィルムについて、金型を用いた冷間成形を行ったところ、樹脂層及び/又は熱融着性樹脂層の滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種類を用いた実施例1B~6B、9B及び比較例2B~5Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、樹脂層及び/又は熱融着性樹脂層の滑剤としてエルカ酸アミドのみを用いた実施例7B~8B、10B~12B及び比較例1B、6Bと比較して、金型への滑剤の付着が抑制されることで、金型の清掃頻度が低減され、蓄電デバイス用包装フィルムの連続生産性に優れていた。表1Bにおいて、電池の連続生産性により優れている実施例及び比較例を評価Aとし、評価Aよりも劣る場合を評価Bとした。
【0657】
<第2の態様の蓄電デバイス用包装フィルムの製造>
実施例13B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、基材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(厚さ12μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層と基材とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、同じ接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例13Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0658】
実施例14B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ9μm)を用いたこと以外は、実施例13Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例14Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0659】
実施例15B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例14Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例15Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0660】
実施例16B
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ25μm)を用いたこと以外は、実施例14Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例16Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0661】
実施例17B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ30μm)を用いたこと以外は、実施例15Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例17Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0662】
実施例18B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例15Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例18Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0663】
実施例19B
実施例19Bは、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、実施例15Bと同じである。
【0664】
実施例20B
樹脂層として、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例15Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例20Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0665】
実施例21B
樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層として、無水マレイン酸変性ポリエチレン(PEa)フィルム(厚さ20μm)を用いたこと以外は、実施例19Bと同様にして、樹脂層/接着剤層/基材/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例21Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPaとPEaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0666】
実施例22B
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ100μm)を、熱融着性樹脂層のみからなる蓄電デバイス用包装フィルムとした。実施例22Bの熱融着性樹脂層のPPaには、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0667】
実施例23B
基材としての未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ60μm)の一方面に、ポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出し、CPPフィルムの他方面に、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を溶融押し出しして、樹脂層/基材/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。実施例23Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPとPPaには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれている。
【0668】
比較例7B
基材層として、延伸ナイロン(ONy)フィルム(厚さ25μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ40μm)を準備した。また、接着層として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが3μmとなるようにして、ドライラミネート法により、基材層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体のバリア層の表面に、接着層(厚さ23μm)及び熱融着性樹脂層(厚さ23μm)を溶融押し出しして、基材層/接着剤層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用外装材を得た。比較例7の熱融着性樹脂層のPPには、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。比較例7Bの蓄電デバイス用外装材は、外側包装体として好適に使用できる。
【0669】
比較例8B
樹脂層として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPa)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ35μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層を形成する樹脂として無水マレイン酸変性ポリプロピレを準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体のバリア層の表面に、熱融着性樹脂層(厚さ20μm)を溶融押し出しして、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0670】
比較例9B
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。また、バリア層として、アルミニウム(ALM)箔(厚さ35μm)を準備した。また、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ20μm)を準備した。2液型ウレタン接着剤を用い、接着剤層の硬化後の厚みが1μm以下となるようにして、ドライラミネート法により、樹脂層とバリア層とを接着剤層を介して接着させた。さらに、得られた積層体の基材と熱融着性樹脂層とを、同じ接着剤層を介して接着させた。以上の手順により、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。
【0671】
比較例10B
樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと、及び、熱融着性樹脂層としてポリプロピレン(PP)フィルム(厚さ10μm)を用いたこと以外は、比較例3Bと同様にして、外側包装体の一例として、樹脂層/接着剤層/バリア層/接着剤層/熱融着性樹脂層がこの順に積層された蓄電デバイス用包装フィルムを得た。比較例10Bの樹脂層と熱融着性樹脂層のPPには、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドとベヘン酸アミドの2種が含まれている。
【0672】
比較例11B
比較例11Bは、樹脂層と熱融着性樹脂層のPPに、それぞれ、滑剤としてエルカ酸アミドのみが含まれていること以外は、比較例10Bと同じである。
【0673】
<CO2透過量の測定>
蓄電デバイス用包装フィルムの温度30℃環境におけるCO2透過量(cc・100μm/m2/24hr/atm)を以下の方法により測定し、得られたCO2透過量に応じて以下の基準でCO2透過性を評価した。JIS K7126-1(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第1部:差圧法)に準拠し、30℃雰囲気下にて、蓄電デバイス用包装フィルム10のφ60mmを透過したCO2をガスクロマトグラフィーで定量分析することによって、透過量を測定した。結果を表2Bに示す。なお、比較例7~11の蓄電デバイス用包装フィルムにはALM層が積層されているため、温度30℃環境におけるCO2透過量は0cc・100μm/m2/24hr/atmであった。
A+:温度30℃環境におけるCO2透過量が2000cc・100μm/m2/24hr/atm以上である。
A:温度30℃環境におけるCO2透過量が400cc・100μm/m2/24hr/atm以上2000cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
B:温度30℃環境におけるCO2透過量が200cc・100μm/m2/24hr/atm以上400cc・100cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
C:温度30℃環境におけるCO2透過量が100cc・100μm/m2/24hr/atm以上200cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
D:温度30℃環境におけるCO2透過量が0cc・100μm/m2/24hr/atm以上100cc・100μm/m2/24hr/atm未満である。
【0674】
【0675】
表2Bに記載された「≦1μm」は、1μm以下を示している。また、表2Bに示された積層構成の「/」は層の区切りを示している。また、( )内の数値(μm)は、層の厚みを示している。
【0676】
実施例13B~23Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、温度30℃環境におけるCO
2透過量が、100cc・100μm/m
2/24hr/atm以上であることから、蓄電デバイス用包装フィルムから構成された包装体を用いて蓄電デバイス素子を封止した場合、蓄電デバイスから発生するガス(特にCO
2)を好適に外部に放出することができる。また、実施例13B~23Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、
図7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。例えば、本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を内側包装体10aとし、外側包装体20中に収容する前に、内側包装体10a中に蓄電デバイス素子を封止し、初回充放電工程、エージング工程を行うことで、蓄電デバイス素子から発生するガス(特にCO
2)をこれらの工程中において好適に外部に放出することができる。このため、従来のバリア層を備える蓄電デバイス用外装材を用いる場合のように、仮封止された蓄電デバイス用包装フィルムの内側にガスを保持するためのスペースを設けること、さらには、ガスが保持されたスペースごと除去してガスを外部に放出するために、最終的に製品となる蓄電デバイスに必要な大きさ以上(例えば蓄電デバイス素子の封止に必要な大きさの2倍以上)の蓄電デバイス用包装フィルムを用いることが不要となる。
【0677】
実施例13B~23Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、かつ、金属により形成された金属層を有しない。実施例13B~23Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えていることから、例えば、金属端子に対して好適に接着させることができる。すなわち、実施例13B~23Bの蓄電デバイス用包装フィルムは、金属端子に接着するようにして、蓄電デバイス素子を直接包装する包装フィルムとして、好適に利用することができる。例えば、
図6、7に示すような、内側包装体10aと外側包装体20を備える二重構造の包装体に蓄電デバイス素子32が収容された蓄電デバイス30において、内側包装体10aの形成に本開示の蓄電デバイス用包装フィルム10を好適に利用することができる。金属端子と包装フィルムの熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、一般に、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。このため、金属端子と、包装フィルムの熱融着性樹脂層との間には、接着性フィルムが配置されることが一般的であるが、本開示の蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を備えているため、このような接着性フィルムを用いることなく、金属端子に接着しながら蓄電デバイス素子を密封することができる。また、比較例7B~11Bは外側包装体20として好適に利用することができる。
【0678】
以上の通り、本開示の第1の態様は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1A. 少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、
温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である、蓄電デバイス用包装フィルム。
項2A. 外側から順に、少なくとも、樹脂層及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項1Aに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項3A. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、基材及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項2Aに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項4A. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、接着剤層、前記基材及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項3Aに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項5A. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記接着剤層、前記基材、接着剤層及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項4Aに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項6A. 前記樹脂層の外側表面が、金属に対する接着性を有する、項2A~5Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項7A. 前記熱融着性樹脂層の内側表面が、金属に対する接着性を有する、項1A~6Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項8A. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1A~7Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項9A. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1A~7Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された内側包装体中に収容されており、
前記内側包装体が、さらに外側包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項10A. 前記外側包装体が、金属により形成された金属層を有する、項9Aに記載の蓄電デバイス。
項11A. 項前記蓄電デバイス用包装フィルムが、前記正極又は前記負極に電気的に接続された金属端子と接している、項8A~10Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項12A. 少なくとも、熱融着性樹脂層を設ける工程を備える蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法であって、
温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である、蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法。
【0679】
以上の通り、本開示の第2の態様は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1B. 少なくとも、熱融着性樹脂層を備える蓄電デバイス用包装フィルムであって、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しない、蓄電デバイス用包装フィルム。
項2B. 外側から順に、少なくとも、樹脂層及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項1Bに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項3B. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、基材及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項2Bに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項4B. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、接着剤層、前記基材及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項3Bに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項5B. 外側から順に、少なくとも、前記樹脂層、前記接着剤層、前記基材、接着剤層及び前記熱融着性樹脂層を備える積層体から構成されている、項4Bに記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項6B. 前記樹脂層の外側表面が、金属に対する接着性を有する、項2B~5Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項7B. 前記熱融着性樹脂層の内側表面が、金属に対する接着性を有する、項1B~6Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項8B. 温度30℃環境におけるCO2透過量が、100cc・100μm/m2/24hr/atm以上である、項1B~7Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルム。
項9B. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1B~8Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項10B. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1B~8Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用包装フィルムにより形成された内側包装体中に収容されており、
前記内側包装体が、さらに外側包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項11B. 前記外側包装体が、金属により形成された金属層を有する、項10Bに記載の蓄電デバイス。
項12B. 前記蓄電デバイス用包装フィルムが、前記正極又は前記負極に電気的に接続された金属端子と接している、項9B~10Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
項13B. 少なくとも、熱融着性樹脂層を設ける工程を備える蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法であって、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属に対する接着性を有し、
前記蓄電デバイス用包装フィルムは、金属により形成された金属層を有しない、蓄電デバイス用包装フィルムの製造方法。
【0680】
以上の通り、本開示の第3の態様は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1C. 蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓄電デバイスは、
蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、
前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、
前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、を含む
蓄電デバイスの製造方法。
項2C. 前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有し、
前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程をさらに備える
項1Cに記載の蓄電デバイスの製造方法。
項3C. 前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む
項2Cに記載の蓄電デバイスの製造方法。
項4C. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、透明性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される
蓄電デバイス。
項5C. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、
前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項4Cに記載の蓄電デバイス。
項6C. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項4Cに記載の蓄電デバイス。
項7C. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項4Cに記載の蓄電デバイス。
項8C. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項4Cに記載の蓄電デバイス。
項9C. 前記蓄電デバイス用包装フィルムは、ガス透過性をさらに有する
項3C~8Cのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【0681】
以上の通り、本開示の第4の態様は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1D. 蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓄電デバイスは、
蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成されており、
前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む内側包装工程と、
前記内側包装工程の後に実施され、前記蓄電デバイス用包装フィルムによって前記蓄電デバイス素子が密封されるように、前記蓄電デバイス用包装フィルムをシールする内側シール工程と、
前記内側シール工程の後に実施され、前記蓄電デバイス素子から発生したガスを前記蓄電デバイス用包装フィルムを介して放出するガス抜き工程と、を含む
蓄電デバイスの製造方法。
項2D. 前記内側包装工程では、完成品の蓄電デバイスが備える前記内側包装体と実質的に同じ大きさの前記蓄電デバイス用包装フィルムによって、前記蓄電デバイス素子を包む
項1Dに記載の蓄電デバイスの製造方法。
項3D. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、
前記内側包装体は、ガス透過性を有する蓄電デバイス用包装フィルムによって構成される
蓄電デバイス。
項4D. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、
前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項3Dに記載の蓄電デバイス。
項5D. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項3Dに記載の蓄電デバイス。
項6D. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項3Dに記載の蓄電デバイス。
項7D. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項3Dに記載の蓄電デバイス。
項8D. 前記蓄電デバイス用包装フィルムは、透明性をさらに有する
項3D~7Dのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【0682】
以上の通り、本開示の第5の態様は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1E. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、
前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、
前記機能性物体は、衝撃吸収性を有する
蓄電デバイス。
項2E. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、
前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、
前記機能性物体は、難燃性を有する
蓄電デバイス。
項3E. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、
前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、
前記機能性物体は、冷却性を有する
蓄電デバイス。
項4E. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、
前記内側包装体と前記外側包装体との間に配置される機能性物体と、を備え、
前記機能性物体は、消火性を有する
蓄電デバイス。
項5E. 蓄電デバイス素子と、
前記蓄電デバイス素子を収容する内側包装体と、
前記蓄電デバイス素子が収容された状態の前記内側包装体を収容する外側包装体と、を備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体の少なくとも一方は、衝撃吸収性、難燃性、冷却性、及び、消火性の少なくとも1つを有する
蓄電デバイス。
項6E. 前記内側包装体は、透明性及びガス透過性の少なくとも一方を有する
項1E~5Eのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
項7E. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記外側包装体は、前記内側包装体と接合され、
前記内側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項1E~6Eのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
項8E. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子と、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子との間に配置されるタブフィルムと、をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とは、前記タブフィルムを介して接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項1E~6Eのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
項9E. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の外縁の少なくとも一部は、前記外側包装体から露出している
項1E~6Eのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
項10E. 前記蓄電デバイス素子と電気的に接続される金属端子をさらに備え、
前記内側包装体及び前記外側包装体と前記金属端子とが接合され、
前記内側包装体の全体が前記外側包装体によって覆われている
項1E~6Eのいずれか一項に記載の蓄電デバイス。