(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117096
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】回生電力保護回路及び駆動回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240822BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022977
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋田 大助
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA22
5H770GA19
5H770HA03W
5H770HA07Z
5H770HA09Z
5H770JA15W
5H770LA01W
5H770LA08W
(57)【要約】
【課題】従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能な回生電力保護回路を提供する。
【解決手段】回生電力保護回路10は、回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路1に接続される回生電力保護回路であって、駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを推定する推定部22と、駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、駆動回路1の電圧を監視する監視部11と、回生電力が消費される可変抵抗部であって、監視部11により監視される電圧が予め定められた電圧閾値V
ref2に達した際、推定部22により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路に接続される回生電力保護回路であって、
前記駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを推定する推定部と、
前記駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、前記駆動回路の電圧を監視する監視部と、
前記回生電力が消費される可変抵抗部であって、前記監視部により監視される電圧が予め定められた電圧閾値に達した際、前記推定部により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、
を備えた回生電力保護回路。
【請求項2】
前記可変抵抗部は、
複数の抵抗と、
前記複数の抵抗のそれぞれの前記駆動回路に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子と、
前記推定部により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じて、前記駆動回路に対する前記複数の抵抗のそれぞれの接続状態を特定する特定部と、
前記監視部により監視される電圧が前記電圧閾値に達した際、前記駆動回路に対する前記複数の抵抗のそれぞれの接続状態が、前記特定部により特定された接続状態となるように、前記スイッチング素子を制御する切換制御部と、
を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の回生電力保護回路。
【請求項3】
前記特定部は、
前記推定部により推定された回生電力が、前記推定部により推定された駆動電力を上回る場合、当該駆動電力を上回る分の回生電力と、当該回生電力が発生したときに前記監視部により監視される電圧の推定値とに基づいて、回生抵抗の値を算出し、
前記複数の抵抗のうちの1つ以上の抵抗によりなされる抵抗値が、前記算出した回生抵抗の値に相当する値となるよう、前記駆動回路に対する前記複数の抵抗のそれぞれの接続状態を特定する
ことを特徴とする請求項2記載の回生電力保護回路。
【請求項4】
前記特定部は、
前記駆動電力を上回る分の回生電力が小さいほど、前記回生抵抗の値を大きく算出し、前記駆動電力を上回る分の回生電力が大きいほど、前記回生抵抗の値を小さく算出する
ことを特徴とする請求項3記載の回生電力保護回路。
【請求項5】
前記駆動部はモータであり、
前記推定部は、前記モータについて予め定められた駆動パターンに基づく当該モータの回転速度及びトルクを用いて、前記駆動電力及び前記回生電力を推定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の回生電力保護回路。
【請求項6】
前記駆動回路は、前記駆動部を複数含み、
前記推定部は、前記複数の駆動部のそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて、当該複数の駆動部の力行時における駆動電力の総和と、当該複数の駆動部から発生する回生電力の総和とを推定し、
前記可変抵抗部は、前記監視部により監視される電圧が前記電圧閾値に達した際、前記推定部により推定された駆動電力の総和と回生電力の総和との差分に応じた値に抵抗値が変化する
ことを特徴とする請求項1記載の回生電力保護回路。
【請求項7】
回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路に接続される回生電力保護回路であって、
前記駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて推定された、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを取得する取得部と、
前記駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、前記駆動回路の電圧を監視する監視部と、
前記回生電力が消費される可変抵抗部であって、前記監視部により監視される電圧が予め定められた電圧閾値に達した際、前記取得部により取得された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、
を備えた回生電力保護回路。
【請求項8】
回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路であって、
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の回生電力保護回路を備えたことを特徴とする駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回生電力保護回路及び駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータなどの駆動部で発生する回生電力(回生エネルギー)を消費する回路が知られている。以下の説明では、この回路を「回生電力保護回路」という。回生電力保護回路は、例えばスマートロボットで用いられている。
【0003】
スマートロボットでは、例えばモータの減速時に回生電力が発生するが、この回生電力は、モータを駆動するモータ駆動回路の電圧上昇を引き起こす。そのため、この回生電力を放置すると、モータ駆動回路を構成する部品の耐圧をオーバして、当該部品を破損させる可能性がある。そこで、スマートロボットでは、モータ駆動回路に回生電力保護回路を接続し、モータの減速時に発生する回生電力のほとんどを、この回生電力保護回路に設けられた抵抗(回生抵抗)で熱エネルギーとして消費する。これにより、スマートロボットでは、回生電力によるモータ駆動回路の電圧上昇を抑制し、当該モータ駆動回路を構成する部品が破損しないよう保護している。
【0004】
このような回生電力保護回路を備えた、一般的なモータ駆動回路の構成例を
図8に示す。
図8において、符号50はモータ駆動回路であり、符号60は、モータ駆動回路50に接続された回生電力保護回路である。
【0005】
モータ駆動回路50は、例えば
図8に示すように、直流電源52、電源線路L1及びL2、アーム制御線路L3、ダイオード53、出力コンデンサ54、アーム部55、回生電力保護回路60、及びシステム制御部63を備えている。このうち、アーム部55は、i個のモータM1~Miを含んでいる。
【0006】
直流電源52は、プラス端子が電源線路L1に接続され、マイナス端子が電源線路L2に接続されている。直流電源52は、所定の電圧値を有する直流電圧を発生させる。これにより、直流電源52は、電源線路L1を介して、アーム部55に搭載されたモータM1~Miを駆動するための直流電流(以下、単に「電流」ともいう。)をアーム部55に供給する。なお、以下の説明では、直流電源52が上記直流電圧を発生させたときの電源線路L1の電圧を「入力電圧」ともいう。
【0007】
ダイオード53は、電源線路L1に配置される。ダイオード53は、アノードが直流電源52のプラス端子に接続され、カソードが出力コンデンサ54の一端、回生電力保護回路60の入力端子60in、及び、アーム部55の入力端子55inに接続されている。ダイオード53は、モータM1~Miの回生時に、モータM1~Mi(アーム部55)から直流電源52に向かう方向に流れる電流が直流電源52に流れ込むのを阻止する。以下の説明では、この電流を「回生電流」ともいう。
【0008】
出力コンデンサ54は、一端が電源線路L1に接続され、他端が電源線路L2に接続されている。出力コンデンサ54は、直流電源52からアーム部55に供給される電流に従う電荷を充放電することにより、直流電源52からアーム部55に供給される電流を安定化させる。
【0009】
アーム部55は、スマートロボットのアームに相当する部位である。アーム部55は、入力端子55in及び出力端子55outを備えている。アーム部55は、入力端子55inが電源線路L1に接続され、出力端子55outが電源線路L2に接続されている。
【0010】
例えば、スマートロボットが6軸の垂直多関節ロボットである場合、アーム部55は、6つの軸(6つの関節)を有している。また、この場合、アーム部55は、6つの軸(6つの関節)を動かすためのi個のモータM1~Miと、これらモータM1~Miのそれぞれに対応して設けられる切換部K1~Kiと、を含んで構成される。この場合、iは例えば6以上の整数である。
【0011】
切換部K1は、例えばモータM1の電源線路L1及びL2に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子S11、S12を含んで構成される。また、切換部Kiは、モータMiの電源線路L1及びL2に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子Si1、Si2を含んで構成される。
【0012】
例えば、モータ駆動回路50では、力行時、スイッチング素子S11、S12により、モータM1が電源線路L1及びL2に接続されると、直流電源52からの電流が電源線路L1を介してモータM1に供給され、モータM1が駆動する。一方、スイッチング素子S11、S12により、モータM1が電源線路L1及びL2から切り離されると、モータM1に対する直流電源52からの電流の供給が止まり、モータM1が停止する。
【0013】
同様に、モータ駆動回路50では、力行時、スイッチング素子Si1、Si2により、モータMiが電源線路L1及びL2に接続されると、直流電源52からの電流が電源線路L1を介してモータMiに供給され、モータMiが駆動する。一方、スイッチング素子Si1、Si2により、モータMiが電源線路L1及びL2から切り離されると、モータMiに対する直流電源52からの電流の供給が止まり、モータMiが停止する。
【0014】
なお、上述した各スイッチング素子は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などで構成される。また、
図8では、各切換部にスイッチング素子が2つ含まれる例を示しているが、各切換部に含まれるスイッチング素子の数はこれに限らず、任意の数でよい。
【0015】
一方、モータ駆動回路50では、回生時には、モータM1~Mi(アーム部55)は回生電力を発生させる。このとき、電源線路L1には、モータM1~Mi(アーム部55)から直流電源52に向かう方向に回生電流が流れる。なお、以下の説明では、モータM1~Mi(アーム部55)が上記回生電力を発生させたときの電源線路L1の電圧を「出力電圧」ともいう。
【0016】
システム制御部63は、モータM1~Miについて予め定められた駆動パターンに基づいて、アーム制御線路L3を介してモータM1~Miを駆動することにより、アーム部55の動作を制御する。なお、モータM1~Miの駆動パターンは、例えばオペレータにより予め生成され、システム制御部63が備える不図示の記憶部に記憶されている。
【0017】
回生電力保護回路60は、モータ駆動回路50に接続される回路であり、モータM1~Miで発生する回生電力(回生エネルギー)を消費するための回路である。
【0018】
回生電力保護回路60は、入力端子60in及び出力端子60outを備えている。回生電力保護回路60は、入力端子60inが電源線路L1に接続され、出力端子60outが電源線路L2に接続されている。
【0019】
回生電力保護回路60は、回生抵抗R0と、スイッチング素子SW0と、電圧監視部61とを含んで構成される。スイッチング素子SW0は、例えばMOSFETで構成される。
【0020】
回生抵抗R0は、一端が入力端子60inを介して電源線路L1に接続され、他端がスイッチング素子SW0のドレイン端子に接続されている。
【0021】
スイッチング素子SW0は、ドレイン端子が回生抵抗R0の他端に接続され、ソース端子が出力端子60outを介して電源線路L2に接続され、ゲート端子が電圧監視部61の出力端子と接続されている。
【0022】
電圧監視部61は、入力端子が電源線路L1に接続され、出力端子がスイッチング素子SW0のゲート端子と接続されている。電圧監視部61は、回生電力保護回路60の入力端子60in側の電圧であって、電源線路L1におけるダイオード53とアーム部55の入力端子55inとの間の電圧を監視している。電圧監視部61は、監視している電源線路L1の電圧に応じて、スイッチング素子SW0のゲート端子に印加する電圧を制御することにより、スイッチング素子SW0の導通状態を切り換える。
【0023】
次に、
図8に示すモータ駆動回路50の動作例を説明する。モータ駆動回路50では、力行時には、直流電源52が所定の電圧値を有する直流電圧を発生させる。これにより、直流電源52は、電源線路L1を介して、アーム部55に搭載されたモータM1~Miを駆動するための電流をアーム部55に供給する。
【0024】
アーム部55では、モータM1~Miが予め定められた駆動パターンに従って駆動するよう、切換部K1~Kiがスイッチング素子の導通状態を切り換える。これにより、モータM1~Miには電流が適宜供給され、モータM1~Miは上記駆動パターンに従って駆動する。なお、このとき、回生電力保護回路60では、スイッチング素子SW0がオフ(非導通状態)となっており、回生抵抗R0はモータ駆動回路50から切り離されている。
【0025】
一方、モータ駆動回路50では、回生時には、モータM1~Miのいずれかの減速時に発生する回生電力により、電圧監視部61が監視している電源線路L1の電圧(出力電圧)が上昇し、やがて、予め設定された第1の電圧閾値Vref1を上回る。その間、電圧監視部61は、電源線路L1の電圧Vを所定の間隔で検出し、当該検出した電源線路L1の電圧Vと、予め設定された第2の電圧閾値Vref2とを比較する。そして、電圧監視部61は、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達したか否かを判定する。なお、第2の電圧閾値Vref2は、第1の電圧閾値Vref1よりも大きい値に設定されている。
【0026】
その結果、電圧監視部61は、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達していないと判定した場合には、何も処理を行わないが、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達したと判定した場合には、スイッチング素子SW0をオン(導通状態)とする。これにより、回生電力保護回路60では、回生抵抗R0がモータ駆動回路50に接続され、回生電力が当該接続された回生抵抗R0により熱エネルギーとして消費される。その結果、モータ駆動回路50では、電源線路L1の電圧が下降に転じ、モータ駆動回路50の電圧上昇が抑制される。
【0027】
電源線路L1の電圧が下降に転じた後も、電圧監視部61は、電源線路L1の電圧を所定の間隔で検出し、当該検出した電源線路L1の電圧が、第1の電圧閾値Vref1まで下降したか否かを判定する。
【0028】
その結果、電圧監視部61は、電源線路L1の電圧が第1の電圧閾値Vref1まで下降していないと判定した場合には、何も処理を行わないが、電源線路L1の電圧が第1の電圧閾値Vref1まで下降したと判定した場合には、回生抵抗R0がモータ駆動回路50から切り離されるよう、スイッチング素子SW0をオフ(非導通状態)とする。これにより、モータ駆動回路50では、電源線路L1の電圧が再び上昇に転じる。
【0029】
上記動作例における電源線路L1の電圧の推移の例を
図9に示す。
図9のグラフにおいて、縦軸は電源線路L1の電圧を示し、横軸は時間を示している。
図9に示すように、アーム部55が動作を開始すると、モータM1~Miのいずれかの減速時にアーム部55から回生電力が発生する。これにより、モータ駆動回路50では、電源線路L1の電圧が上昇し始め、やがて、予め設定された第1の電圧閾値V
ref1を上回る。
【0030】
そして、電源線路L1の電圧が第2の電圧閾値Vref2に達すると、電圧監視部61はスイッチング素子SW0をオンとする。これにより、電源線路L1の電圧は下降に転じる。そして、電源線路L1の電圧が第1の電圧閾値Vref1まで下降すると、電圧監視部61はスイッチング素子SW0をオフとする。これにより、電源線路L1の電圧は再び上昇に転じる。以下、モータ駆動回路50では、電源線路L1の電圧に応じて、スイッチング素子SW0の導通状態が適宜切り替えられる。
【0031】
また、上記で示した回生電力保護回路60に関連して、例えば特許文献1には、少なくとも2つの抵抗放電手段を有するモータ制御装置が開示されている。
【0032】
このモータ制御装置は、整流器と、逆変換器と、少なくとも2つの抵抗放電手段と、を備えている。整流器は、交流入力側から供給された交流電力を整流して直流電力を出力する。逆変換器は、整流器の直流出力側である直流リンクに接続され、直流リンクの直流電力とモータの駆動電力もしくは回生電力である交流電力とを相互電力変換する。
【0033】
少なくとも2つの抵抗放電手段は、直流リンクにそれぞれ接続され、直流リンクの直流電力をそれぞれが分担して抵抗放電するものであって、直流リンクにおける直流電圧値が第1の閾値より大きいとき直流リンクの直流電力を抵抗放電する抵抗放電動作をそれぞれ開始し、直流リンクにおける直流電圧値が第1の閾値より小さい第2の閾値より小さいとき抵抗放電動作をそれぞれ停止する。これにより、モータ制御装置では、抵抗放電手段のモデル種類を増やすことなく、システムに必要な放電容量を抑えることができ、保守効率を改善することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
上記特許文献1に記載された少なくとも2つの抵抗放電手段、及び上記回生電力保護回路60をはじめとする、従来の回生電力保護回路(以下、「従来回路」ともいう。)では、通常、回生電力を熱エネルギーとして確実に消費すべく、想定される回生電力の最大値に基づいて、回生抵抗の値が設定される。したがって、従来回路では、ほぼすべての回生電力を熱エネルギーとして速やかに消費することができる。しかしながら、その一方で従来回路は、回生電力を何らかの用途に利用するという観点では十分な構成を備えておらず、必ずしも回生電力の利用効率が良いものとはいえなかった。
【0036】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能な回生電力保護回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本開示に係る回生電力保護回路は、回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路に接続される回生電力保護回路であって、駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを推定する推定部と、駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、駆動回路の電圧を監視する監視部と、回生電力が消費される可変抵抗部であって、監視部により監視される電圧が予め定められた電圧閾値に達した際、推定部により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本開示によれば、上記のように構成したので、従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施の形態1に係る回生電力保護回路を備えた駆動回路の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1における制御部の構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る回生電力保護回路の動作例のうち、接続状態特定フェーズを示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る回生電力保護回路の動作例のうち、抵抗切換フェーズを示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1における電源線路L1の電圧の推移の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る回生電力保護回路を備えた駆動回路の他の構成例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る回生電力保護回路を備えた駆動回路の他の構成例を示す図である。
【
図8】従来の回生電力保護回路を備えたモータ駆動回路の構成例を示す図である。
【
図9】従来のモータ駆動回路における電源線路L1の電圧の推移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る回生電力保護回路を備えた駆動回路の構成例を示す図である。
図1に示すように、駆動回路1は、回生電力保護回路10を備えている。
【0041】
駆動回路1は、駆動部を駆動するための回路である。駆動部は、例えばモータである。なお、以下の説明では、駆動部がモータである場合を例に挙げ、駆動回路1を特にモータ駆動回路1と称して説明する。なお、以下の説明では、駆動部がモータである場合を例に挙げて説明するが、駆動部はモータに限らず、回生時に回生電力を発生するものであればモータ以外であってもよい。
【0042】
実施の形態1において、モータは、力行時には後述する直流電源2から供給される電流により駆動する。また、モータは、回生時には回生電力を発生させ、これにより、モータから直流電源に向かう方向に電流(回生電流)が流れる。
【0043】
モータ駆動回路1は、
図1に示すように、直流電源2、電源線路L1及びL2、アーム制御線路L3、ダイオード3、出力コンデンサ4、アーム部5、回生電力保護回路10、及びシステム制御部13を備えている。このうち、アーム部5は、i個のモータM1~Miを含んでいる。なお、
図1に示すモータ駆動回路1は、基本的には上述した
図8に示すモータ駆動回路50と同様の構成を備えているが、回生電力保護回路10の構成が上述した回生電力保護回路60と異なっている。回生電力保護回路10の構成例については後述する。
【0044】
直流電源2は、プラス端子が電源線路L1に接続され、マイナス端子が電源線路L2に接続されている。直流電源2は、所定の電圧値を有する直流電圧を発生させる。これにより、直流電源2は、電源線路L1を介して、アーム部5に搭載されたモータM1~Miを駆動するための直流電流(以下、単に「電流」ともいう。)をアーム部5に供給する。
【0045】
なお、以下の説明では、直流電源2が上記直流電圧を発生させたときの電源線路L1の電圧を「入力電圧」ともいう。
【0046】
ダイオード3は、電源線路L1に配置される。ダイオード3は、アノードが直流電源2のプラス端子に接続され、カソードが出力コンデンサ4の一端、回生電力保護回路10の入力端子10in、及び、アーム部5の入力端子5inに接続されている。ダイオード3は、モータM1~Miの回生時に、モータM1~Mi(アーム部5)から直流電源2に向かう方向に流れる回生電流が直流電源2に流れ込むのを阻止する。
【0047】
出力コンデンサ4は、一端が電源線路L1に接続され、他端が電源線路L2に接続されている。出力コンデンサ4は、直流電源2からアーム部5に供給される電流に従う電荷を充放電することにより、直流電源2からアーム部5に供給される電流を安定化させる。
【0048】
アーム部5は、スマートロボットのアームに相当する部位である。アーム部5は、入力端子5in及び出力端子5outを備えている。アーム部5は、入力端子5inが電源線路L1に接続され、出力端子5outが電源線路L2に接続されている。
【0049】
例えば、スマートロボットが6軸の垂直多関節ロボットである場合、アーム部5は、6つの軸(6つの関節)を有している。また、この場合、アーム部5は、6つの軸(6つの関節)を動かすためのi個のモータM1~Miと、これらモータM1~Miのそれぞれに対応して設けられる切換部K1~Kiと、を含んで構成される。この場合、iは例えば6以上の整数である。
【0050】
切換部K1は、例えばモータM1の電源線路L1及びL2に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子S11、S12を含んで構成される。また、切換部Kiは、モータMiの電源線路L1及びL2に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子Si1、Si2を含んで構成される。
【0051】
例えば、モータ駆動回路1では、力行時、スイッチング素子S11、S12により、モータM1が電源線路L1及びL2に接続されると、直流電源2からの電流が電源線路L1を介してモータM1に供給され、モータM1が駆動する。一方、スイッチング素子S11、S12により、モータM1が電源線路L1及びL2から切り離されると、モータM1に対する直流電源2からの電流の供給が止まり、モータM1が停止する。
【0052】
同様に、モータ駆動回路1では、力行時、スイッチング素子Si1、Si2により、モータMiが電源線路L1及びL2に接続されると、直流電源2からの電流が電源線路L1を介してモータMiに供給され、モータMiが駆動する。一方、スイッチング素子Si1、Si2により、モータMiが電源線路L1及びL2から切り離されると、モータMiに対する直流電源2からの電流の供給が止まり、モータMiが停止する。
【0053】
なお、上述した各スイッチング素子は、例えばMOSFETなどで構成される。また、
図1では、各切換部にスイッチング素子が2つ含まれる例を示しているが、各切換部に含まれるスイッチング素子の数はこれに限らず、任意の数でよい。
【0054】
一方、モータ駆動回路1では、回生時には、モータM1~Mi(アーム部5)は回生電力を発生させる。このとき、電源線路L1には、モータM1~Mi(アーム部5)から直流電源2に向かう方向に回生電流が流れる。なお、以下の説明では、モータM1~Mi(アーム部5)が上記回生電力を発生させたときの電源線路L1の電圧を「出力電圧」ともいう。
【0055】
システム制御部13は、モータM1~Miについて予め定められた駆動パターンに基づいて、アーム制御線路L3を介してモータM1~Miを駆動することにより、アーム部5の動作を制御する。なお、モータM1~Miの駆動パターンは、例えばオペレータにより予め生成され、システム制御部13が備える不図示の記憶部に記憶されている。
【0056】
<回生電力保護回路10>
回生電力保護回路10は、モータ駆動回路1に接続される回路であり、モータM1~Miで発生する回生電力(回生エネルギー)を消費するための回路である。
【0057】
回生電力保護回路10は、入力端子10in及び出力端子10outを備えている。回生電力保護回路10は、入力端子10inが電源線路L1に接続され、出力端子10outが電源線路L2に接続されている。
【0058】
回生電力保護回路10は、例えばn個(nは2以上の整数)の回生抵抗R1~Rnと、n個のスイッチング素子SW1~SWnと、電圧監視部11と、回路制御部12と、を含んで構成される。なお、n個の回生抵抗R1~Rnと、n個のスイッチング素子SW1~SWnとは、1対1に対応している。
【0059】
回生抵抗R1~Rnは、それぞれ、一端が電源線路L1に接続され、他端が、対応するスイッチング素子SW1~SWnのドレイン端子に接続されている。ここでは、回生抵抗R1~Rnは、
図1に示すように並列に接続されている。
【0060】
スイッチング素子SW1~SWnは、例えばMOSFETで構成される。スイッチング素子SW1~SWnは、それぞれ、ドレイン端子が、対応する回生抵抗R1~Rnの他端に接続され、ソース端子が出力端子10outを介して電源線路L2に接続されている。また、スイッチング素子SW1~SWnは、それぞれ、ゲート端子が回路制御部12の後述する回生抵抗側出力端子12out1と接続されている。スイッチング素子SW1~SWnは、後述する切換制御部23からの制御を受けて、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態を切り換える。
【0061】
電圧監視部11は、入力端子11in及び出力端子11outを備えている。電圧監視部11は、入力端子11inが電源線路L1に接続され、出力端子11outが回路制御部12の入力端子12inと接続されている。電圧監視部11は、回生電力保護回路10の入力端子10in側の電圧であって、電源線路L1におけるダイオード3とアーム部5の入力端子5inとの間の電圧を監視している。電圧監視部11は、監視している当該電圧を回路制御部12の後述する切換制御部23に出力する。
【0062】
回路制御部12は、入力端子12
in、回生抵抗側出力端子12
out1、及びアーム部側出力端子12
out2を備えている。また、回路制御部12は、例えば
図2に示すように、推定部21、特定部22、及び切換制御部23を含んで構成されている。
【0063】
推定部21は、モータM1~Miのそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて、当該モータM1~Miの力行時における駆動電力の総和と、回生時における回生電力の総和とを推定する。例えば、推定部21は、モータM1~Miのそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて得られる、モータM1~Miの回転速度及びトルクを用いて、当該モータM1~Miの力行時における駆動電力の総和と、回生時における回生電力の総和とを推定する。そして、推定部21は、当該推定結果を特定部22に出力する。なお、以下の説明では、モータM1~Miの力行時における駆動電力を「力行電力」ともいい、当該モータM1~Miの力行時における駆動電力の総和を「力行電力の総和」ともいう。なお、モータM1~Miの駆動パターンは、回路制御部12が備える不図示の記憶部に記憶されていてもよく、その場合、推定部21は、当該回路制御部12の記憶部に記憶されているモータM1~Miの駆動パターンを参照して、上記推定を行ってもよい。または、推定部21は、前述のシステム制御部13が備える不図示の記憶部に記憶されている駆動パターンを参照して、上記推定を行ってもよい。また、推定部21は、システム制御部13で制御されるアーム動作情報から発生する回生電力を推定してもよい。
【0064】
特定部22は、推定部21による推定結果、すなわち推定部21により推定された力行電力の総和と回生電力の総和とを取得する。そして、特定部22は、これらの総和の差分を算出し、当該算出した差分に応じて、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態を特定する。
【0065】
具体的には、特定部22は、推定部21により推定された回生電力の総和が、推定部21により推定された力行電力の総和を上回る場合、当該力行電力の総和を上回る分の回生電力と、当該回生電力が発生したときに電圧監視部11により監視される電圧(出力電圧)の推定値とに基づいて、回生抵抗の値Rを算出する。このとき、特定部22は、力行電力の総和を上回る分の回生電力が小さいほど、回生抵抗の値Rを大きく算出し、力行電力の総和を上回る分の回生電力が大きいほど、回生抵抗の値Rを小さく算出する。
【0066】
なお、特定部22は、回生電力が発生したときに電圧監視部11により監視される電圧(出力電圧)の推定値については、例えば力行電力の総和を上回る分の回生電力の大きさ等に基づいて推定する。
【0067】
そして、特定部22は、n個の回生抵抗R1~Rnのうちの1つ以上の回生抵抗によりなされる抵抗値が、上記算出した回生抵抗の値Rに相当する値となるよう、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態を特定する。
【0068】
切換制御部23は、電圧監視部11から出力された電圧(上述した出力電圧)を参照し、当該電圧が、予め定められた電圧閾値に達したか否かを判定する。そして、切換制御部23は、当該電圧が電圧閾値に達したと判定すると、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態が、特定部22により特定された接続状態となるように、n個のスイッチング素子SW1~SWnをそれぞれ制御する。
【0069】
なお、実施の形態1では、n個の回生抵抗R1~Rnと、n個のスイッチング素子SW1~SWnと、特定部22と、切換制御部23とを含んで、可変抵抗部が構成されている。可変抵抗部は、特定部22及び切換制御部23が上記のように動作することにより、n個の回生抵抗R1~Rnのうちの1つ以上の回生抵抗によりなされる抵抗値を可変とする。
【0070】
なお、上記で説明した可変抵抗部の構成はあくまで一例であり、推定された力行電力の総和と、推定された回生電力の総和との差分に応じて抵抗値が変化するものであれば、可変抵抗部は上記以外の構成で実現されていてもよい。ただし、可変抵抗部は、上記のように構成されることにより、簡易な構成で実現される。
【0071】
また、上記の説明では、回生電力保護回路10が推定部21を備え、当該推定部21が、モータM1~Miのそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて、当該モータM1~Miの力行電力の総和と回生電力の総和とを推定する例を説明した。しかしながら、回生電力保護回路10は、上記駆動パターンに基づいて推定された当該モータM1~Miの力行電力の総和と回生電力の総和とを、外部から取得してもよい。
【0072】
この場合、回生電力保護回路10は、例えば取得部(不図示)を備え、当該取得部は、例えばスマートロボットのオペレータが予めPC(Personal Computer)を用いて上記駆動パターンに基づいて推定した、力行電力の総和と回生電力の総和とを取得すればよい。なお、この場合でも、オペレータは、例えばモータM1~Miのそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて得られる、モータM1~Miの回転速度及びトルクを用いて、上記力行電力の総和と回生電力の総和とを推定すればよい。
【0073】
また、このように、取得部が力行電力の総和と回生電力の総和とを取得した場合、特定部22は、当該取得部により取得された力行電力の総和と回生電力の総和との差分を算出し、当該算出した差分に応じて、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態を特定すればよい。
【0074】
次に、実施の形態1に係る回生電力保護回路10の動作例について、
図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
なお、以下の説明では、説明を分かり易くするため、回生電力保護回路10は上記推定部21を備えているものとして説明する。また、以下の説明では、説明を分かり易くするため、回生電力保護回路10の動作例を「A.接続状態特定フェーズ」と「B.抵抗切換フェーズ」とに分けて説明する。
【0076】
また、以下の説明では、例えばスマートロボットのオペレータにより、アーム部5の動作パターン(モータM1~Miの動作パターン)が予め生成され、回路制御部12の記憶部(不図示)に記憶されているものとする。
【0077】
また、以下の説明では、スマートロボットが最初に起動された時点では、すべてのスイッチング素子SW1~SWnがオフ(非導通状態)とされ、すべての回生抵抗R1~Rnがモータ駆動回路1から切り離された状態となっている。以下の説明では、この状態を特に「初期状態」という。
【0078】
<A.接続状態特定フェーズ>
まず、推定部21は、アーム部5の動作パターンに基づいて、アーム部5の軌道を算出する(ステップST1)。例えば、推定部21は、アーム部5が上方に振り上げられてから下方に振り降ろされる、という軌道を算出する。
【0079】
次に、推定部21は、上記算出したアーム部5の軌道に基づいて、モータM1~Miのうちのいずれかから回生電力が発生するタイミング(以下、「回生電力発生タイミング」ともいう。)を特定し、当該特定したタイミングにおいて、モータM1~Miの回転速度及びトルクをそれぞれ算出する(ステップST2)。なお、推定部21は、回生電力発生タイミングを複数特定した場合、当該特定した複数のタイミング毎に、モータM1~Miの回転速度及びトルクを算出する。
【0080】
次に、推定部21は、上記算出したモータM1~Miの回転速度及びトルクを用いて、モータM1~Miの力行電力及び回生電力をモータ毎に算出する(ステップST3)。例えば、推定部21は、モータM1~Miの回転速度をNとし、モータM1~MiのトルクをTとしたとき、力行電力及び回生電力を以下の式(1)により算出する。
Pn=N×T (1)
【0081】
なお、式(1)において、n=1~iである。また、モータM1~Miにおいて、例えば力行時のトルクを正の値としたとき、回生時のトルクは負の値となる。したがって、Pn≧0のとき、Pnは力行電力を表し、Pn<0のとき、Pnは回生電力を表す。
【0082】
次に、特定部22は、推定部21によりモータ毎に推定された力行電力の全モータ分の総和を算出する。また、特定部22は、推定部21によりモータ毎に推定された回生電力の全モータ分の総和を算出する(ステップST4)。
【0083】
次に、特定部22は、推定部21により算出された回生電力の総和が、推定部21により算出された力行電力の総和を上回るか否かを判定する(ステップST5)。ここでは、特定部22は、例えばステップST4で算出された力行電力の総和と、回生電力の総和を加算し、その結果が0未満である場合に、回生電力の総和が、力行電力の総和を上回ると判定する。一方、特定部22は、上記結果が0以上である場合に、回生電力の総和が、力行電力の総和を上回らないと判定する。
【0084】
その結果、回生電力の総和が、力行電力の総和を上回らないと判定した場合(ステップST5;No)、特定部22は、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのすべての接続状態を、モータ駆動回路1から切り離された状態(すなわち初期状態)と特定する(ステップST6)。
【0085】
一方、回生電力の総和が、力行電力の総和を上回ると判定した場合(ステップST5;Yes)、特定部22は、力行電力の総和を上回る分の回生電力と、当該回生電力の総和が算出された回生電力発生タイミングにおいて電圧監視部11により監視される電圧(出力電圧)の推定値とに基づいて、回生抵抗の値Rを算出する(ステップST7)。
【0086】
例えば、特定部22は、力行電力の総和を上回る分の回生電力をPtとし、当該回生電力の総和が算出された回生電力発生タイミングにおいて電圧監視部11により監視される電圧(出力電圧)の推定値をVsとしたとき、回生抵抗の値Rを以下の式(2)により算出する。
R=Vs2/Pt (2)
【0087】
なお、特定部22は、上記電圧の推定値Vsについては、例えば力行電力の総和を上回る分の回生電力の大きさ等に基づいて推定する。
【0088】
そして、特定部22は、n個の回生抵抗R1~Rnのうちの1つ以上の回生抵抗によりなされる抵抗値が、上記式(2)により算出した回生抵抗の値Rに相当する値となるよう、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態を特定する(ステップST8)。
【0089】
なお、ここでは、上記「相当する値」とは、同一の値のみならず、略同一の値をも含む。また、この特定は、上述した回生電力発生タイミングが複数ある場合、当該回生電力発生タイミング毎に行われる。
【0090】
このとき、特定部22は、上記式(2)を用いることにより、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが小さいほど、回生抵抗の値Rを大きく算出し、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが大きいほど、回生抵抗の値Rを小さく算出する。
【0091】
以上のステップからなる接続状態特定フェーズは、例えば実際にスマートロボットが起動してアーム部5が動作を開始するよりも前の段階で実行される。そして、接続状態特定フェーズが完了すると、実際にアーム部5が動作を開始する。その後、回生電力保護回路10は、次の抵抗切換フェーズを実行する。
【0092】
<B.抵抗切換フェーズ>
抵抗切換フェーズでは、まず、電圧監視部11は、回生電力保護回路10の入力端子10in側の電圧であって、電源線路L1におけるダイオード3とアーム部5の入力端子5inとの間の電圧Vの監視を開始する。
【0093】
その後、上述の回生電力発生タイミングにおいて、アーム部5から回生電力が発生する。なお、上述の回生電力発生タイミングが複数ある場合、回生電力は、それぞれの回生電力発生タイミング毎にアーム部5から発生する。これにより、モータ駆動回路1では、電圧監視部11が監視している電源線路L1の電圧(出力電圧)が上昇し、やがて、予め設定された第1の電圧閾値Vref1を上回る。
【0094】
その間、電圧監視部11は、電源線路L1の電圧Vを所定の間隔で検出し、当該検出した電圧Vを切換制御部23に出力する(ステップST11)。
【0095】
切換制御部23は、電圧監視部11から電源線路L1の電圧Vを取得する(ステップST12)。そして、切換制御部23は、当該取得した電源線路L1の電圧Vと、予め設定された第2の電圧閾値Vref2とを比較し、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達したか否かを判定する(ステップST13)。なお、第2の電圧閾値Vref2は、第1の電圧閾値Vref1よりも大きい値に設定されている。
【0096】
その結果、切換制御部23は、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達していないと判定した場合(ステップST13;No)、処理はステップST18に遷移し、切換制御部23は、すべての回生抵抗R1~Rnがモータ駆動回路1から切り離されるよう、すべてのスイッチング素子SW1~SWnをオフ(非導通状態)とする。つまり、切換制御部23は、モータ駆動回路1に対する回生抵抗R1~Rnの接続状態を初期状態に切り替える(ステップST18)。
【0097】
一方、ステップST13において、切換制御部23は、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達したと判定した場合(ステップST13;Yes)、モータ駆動回路1に対するn個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態が、上述した接続状態特定フェーズのステップST8において特定部22により特定された接続状態となるように、n個のスイッチング素子SW1~SWnをそれぞれ制御する(ステップST14)。
【0098】
なお、上述の回生電力発生タイミングが複数ある場合、切換制御部23は、n個の回生抵抗R1~Rnのそれぞれの接続状態が、対応する回生電力発生タイミングについて特定された接続状態となるように、スイッチング素子SW1~SWnを制御する。
【0099】
これにより、回生電力保護回路10では、n個の回生抵抗R1~Rnのうちの1つ以上の回生抵抗がモータ駆動回路1に接続され、回生電流が当該接続された回生抵抗へ流れる。これにより、回生電力保護回路10では、回生電力が当該接続された抵抗により熱エネルギーとして消費される。その結果、モータ駆動回路1では、電源線路L1の電圧Vが下降に転じる。こうして、実施の形態1では、電源線路L1の電圧Vの上昇、すなわちモータ駆動回路1の電圧上昇が抑制される。
【0100】
電源線路L1の電圧Vが下降に転じた後も、電圧監視部11は、電源線路L1の電圧Vを所定の間隔で検出し、当該検出した電圧Vを切換制御部23に出力する(ステップST15)。
【0101】
切換制御部23は、電圧監視部11から電源線路L1の電圧Vを取得する(ステップST16)。そして、切換制御部23は、当該取得した電源線路L1の電圧Vと、第1の電圧閾値Vref1とを比較し、電源線路L1の電圧Vが第1の電圧閾値Vref1まで下降したか否かを判定する(ステップST17)。
【0102】
その結果、切換制御部23は、電源線路L1の電圧Vが第1の電圧閾値Vref1まで下降していないと判定した場合(ステップST17;No)、処理はステップST15に戻る。一方、切換制御部23は、電源線路L1の電圧Vが第1の電圧閾値Vref1まで下降したと判定した場合(ステップST17;Yes)、すべての回生抵抗R1~Rnがモータ駆動回路1から切り離されるよう、すべてのスイッチング素子SW1~SWnをオフ(非導通状態)とする。つまり、切換制御部23は、モータ駆動回路1に対する回生抵抗R1~Rnの接続状態を初期状態に切り替える(ステップST18)。以下、回生電力保護回路10は、上述したステップST11~ST18までの処理を繰り返す。
【0103】
ここで、上記動作例における電源線路L1の電圧Vの推移の例を
図5に示す。
図5のグラフにおいて、縦軸は電源線路L1の電圧Vを示し、横軸は時間を示している。
【0104】
図5に示すように、アーム部5が動作を開始すると、回生電力発生タイミングにおいてアーム部5から回生電力が発生する。これにより、モータ駆動回路1では、電源線路L1の電圧Vが上昇し始め、やがて、予め設定された第1の電圧閾値V
ref1を上回る。
【0105】
そして、電源線路L1の電圧Vが第2の電圧閾値Vref2に達すると、切換制御部23は、上記のようにスイッチング素子SW1~SWnを制御する。これにより、電源線路L1の電圧Vは下降に転じる。このとき、単位時間あたりの電圧Vの下降の割合、すなわちグラフの立ち下がりの傾きは、回生抵抗の値Rと出力コンデンサ4による時定数回路で決定される。
【0106】
例えば、上述のように、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが大きいほど、回生抵抗の値Rは小さくなるが、回生抵抗の値Rが小さいほど、単位時間あたりの電圧Vの下降の割合(グラフの立ち下がりの傾き)は、
図5の符号501に示すように大きくなる。この場合、上記回生電力Ptは短時間で消費される。
【0107】
一方、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが小さいほど、回生抵抗の値Rは大きくなるが、回生抵抗の値Rが大きいほど、単位時間あたりの電圧Vの下降の割合(グラフの立ち下がりの傾き)は、
図5の符号502に示すように小さくなる。この場合、上記回生電力Ptは、符号501に示す場合よりもゆっくり消費される。
【0108】
言い換えれば、回生電力Ptは、単位時間あたりの電圧Vの下降の割合が小さいほど消費が抑制され、モータ駆動回路1にとどまる時間が長くなる。そして、上記回生電力Ptは、モータ駆動回路1にとどまる時間が長いほど、モータ駆動回路1の内部(例えばアーム部5)で再利用される可能性が高まることになる。
【0109】
このように、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが大きい場合は、回生電力Ptを短時間で速やかに消費することにより、電圧上昇による部品の破損を確実に抑制する一方、力行電力の総和を上回る分の回生電力Ptが小さい場合は、回生電力Ptの消費を抑制することにより、回生電力Ptのモータ駆動回路1での再利用を促進する。つまり、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、力行電力の総和と回生電力の総和との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部を備え、当該差分に応じて回生抵抗の値を最適化することにより、電圧上昇によるモータ駆動回路1の部品の破損を抑制するだけでなく、回生電力Ptの利用効率の向上も実現することができる。
【0110】
なお、上記の例において、第1の電圧閾値Vref1は、直流電源2から発生する電力を回生抵抗R1~Rnで消費してしまわないように、直流電源2から発生する電力の電圧以上とするのが望ましい。また、第2の電圧閾値Vref2は、過電圧でモータ駆動回路1の部品が故障しないように、モータ駆動回路1の耐圧以下とするのが望ましい。
【0111】
また、
図5の例では、電源線路L1の電圧Vが下降に転じて第1の電圧閾値V
ref1に達し、すべてのスイッチング素子SW1~SWnをオフ(非導通状態)となった後、電源線路L1の電圧Vがさらに下降する例を示している。しかしながら、電源線路L1の電圧Vは、すべてのスイッチング素子SW1~SWnをオフ(非導通状態)となった後、上昇に転じてもよい。
【0112】
また、上記の説明では、スマートロボットが6軸の垂直多関節ロボットであり、アーム部5が6つの軸、当該6つの軸を動かすためのi個のモータM1~Mi、及び、モータM1~Miのそれぞれに対応して設けられる切換部K1~Kiと、を含んで構成される例を説明した。しかしながら、スマートロボットはこれに限らず、2以上の軸を有するロボットであり、アーム部5は、モータ及び切換部を当該軸数以上含んで構成されていてもよい。
【0113】
(他の構成例)
なお、上記の説明では、回生電力保護回路10において、n個の回生抵抗R1~Rnが並列に接続された例について説明したが、n個の回生抵抗R1~Rnはこれに限らず、直列に接続されていてもよい。
【0114】
図6は、n個の回生抵抗R1~Rnが直列に接続された回生電力保護回路10bを備えたモータ駆動回路1bの構成例を示す図である。
図6に示すモータ駆動回路1bは、
図1に示すモータ駆動回路1に対し、n個の回生抵抗R1~Rn及びn個のスイッチング素子SW1~SWnの接続態様が変更されているのみであり、その他の構成については、
図1に示すモータ駆動回路1と同一である。
【0115】
図6において、n個の回生抵抗R1~Rnは、互いに直列に接続されている。また、このとき、一方の端部側(
図6の上方の端部側)の回生抵抗R1は、一端が入力端子10
inを介して電源線路L1に接続され、他端が隣接する回生抵抗R2(不図示)の一端に接続されている。また、他方の端部側(
図6の下方の端部側)の回生抵抗Rnは、一端が隣接する回生抵抗Rn-1(不図示)の他端に接続され、他端が出力端子10
outを介して電源線路L2に接続されている。
【0116】
n個のスイッチング素子SW1~SWnは、それぞれ、ドレイン端子が回生抵抗R1~Rnの一端に接続され、ソース端子が回生抵抗R1~Rnの他端に接続されている。また、n個のスイッチング素子SW1~SWnは、それぞれ、ゲート端子が回路制御部12の回生抵抗側出力端子12out1と接続されている。
【0117】
なお、
図6に示す回生電力保護回路10bは、基本的には
図1に示す回生電力保護回路10と同様に動作する。すなわち、
図6に示す回生電力保護回路10bも、上述の「A.接続状態特定フェーズ」と「B.抵抗切換フェーズ」とを実行する。
【0118】
ただし、
図6に示す回生電力保護回路10bでは、上述した「初期状態」が
図1に示す回生電力保護回路10とは異なる。つまり、
図1に示す回生電力保護回路10では、スイッチング素子SW1~SWnをオフ(非導通状態)とすることにより、回生抵抗R1~Rnがモータ駆動回路1から切り離される。一方、
図6に示す回生電力保護回路10bでは、スイッチング素子SW1~SWnのオン抵抗は、回生抵抗R1~Rnの抵抗値よりも小さく設定されており、スイッチング素子SW1~SWnをオン(導通状態)とすることにより、回生抵抗R1~Rnをバイパスする経路が形成され、回生抵抗R1~Rnが実質的にモータ駆動回路1bから切り離される。
【0119】
ここで、
図6に示す回生電力保護回路10bにおいて、すべてのスイッチング素子SW1~SWnをオン(導通状態)とし、すべての回生抵抗R1~Rnをモータ駆動回路1bから切り離した状態を初期状態とすると、スイッチング素子SW1~SWnにより形成されたバイパス経路を介して、電源線路L1と電源線路L2とが短絡し、電源線路L1から回生電力保護回路10bに大電流が流れてしまうおそれがある。そこで、このような不具合を回避するため、
図6に示す回生電力保護回路10bでは、例えば以下の状態を初期状態とする。
【0120】
例えば、回生抵抗R1~Rnのうちの少なくとも1つ(例えば回生抵抗R1)を、電源線路L1からの電流の流入を阻止することが可能な程度に十分な大きさの抵抗値をもつ抵抗で構成する。そして、この抵抗の両端に接続されたスイッチング素子をオフ(非導通状態)とし、この抵抗が少なくともモータ駆動回路1bに接続された状態とする。そして、この状態を初期状態とする。
【0121】
あるいは、例えば
図7に示すように、回生抵抗R1の一端と電源線路L1との間に、もう一つ別のスイッチング素子SWpを接続する。スイッチング素子SWpは、ドレイン端子が電源線路L1に接続され、ソース端子が入力端子10
inを介して回生抵抗R1の一端に接続され、ゲート端子が回路制御部12の回生抵抗側出力端子12
out1と接続されている。そして、このスイッチング素子SWpをオフ(非導通状態)とし、このスイッチング素子SWpのソース端子側に接続されている回生抵抗R1~Rnをすべてモータ駆動回路1bから切り離した状態とする。そして、この状態を初期状態とする。
【0122】
以上のように構成された回生電力保護回路10bは、
図1に示した回生電力保護回路10と同様に、
図3に示した接続状態特定フェーズと、
図4に示した抵抗切換フェーズとを実行する。そして、これにより、モータ駆動回路1bにおいても、上述したモータ駆動回路1と同様に、電源線路L1の電圧Vが
図5に示したグラフのように推移する。したがって、回生電力保護回路10bによっても、電圧上昇によるモータ駆動回路1bの部品の破損を抑制するだけでなく、回生電力Ptの利用効率の向上も実現することができる。
【0123】
以上のように、この実施の形態1によれば、回生電力保護回路10は、回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路1に接続される回生電力保護回路であって、駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを推定する推定部21と、駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、駆動回路1の電圧を監視する監視部11と、回生電力が消費される可変抵抗部であって、監視部11により監視される電圧が予め定められた電圧閾値Vref2に達した際、推定部21により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、を備えた。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能となる。
【0124】
また、可変抵抗部は、複数の抵抗と、複数の抵抗のそれぞれの駆動回路1に対する接続状態を切り換えるスイッチング素子と、推定部21により推定された駆動電力と回生電力との差分に応じて、駆動回路1に対する複数の抵抗のそれぞれの接続状態を特定する特定部22と、監視部11により監視される電圧が電圧閾値Vref2に達した際、駆動回路1に対する複数の抵抗のそれぞれの接続状態が、特定部22により特定された接続状態となるように、スイッチング素子を制御する切換制御部23と、を含んで構成される。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、簡易な構成で可変抵抗部を実現することができる。
【0125】
また、特定部22は、推定部21により推定された回生電力が、推定部21により推定された駆動電力を上回る場合、当該駆動電力を上回る分の回生電力と、当該回生電力が発生したときに監視部11により監視される電圧の推定値とに基づいて、回生抵抗の値を算出し、複数の抵抗のうちの1つ以上の抵抗によりなされる抵抗値が、算出した回生抵抗の値に相当する値となるよう、駆動回路1に対する複数の抵抗のそれぞれの接続状態を特定する。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、駆動回路1に対する複数の抵抗のそれぞれの接続状態を精度よく特定することができる。
【0126】
また、特定部22は、駆動電力を上回る分の回生電力が小さいほど、回生抵抗の値を大きく算出し、駆動電力を上回る分の回生電力が大きいほど、回生抵抗の値を小さく算出する。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、駆動電力を上回る分の回生電力の大きさに応じて、回生電力の消費速度を柔軟に変更することができる。
【0127】
また、駆動部はモータであり、推定部21は、モータについて予め定められた駆動パターンに基づく当該モータの回転速度及びトルクを用いて、駆動電力及び回生電力を推定する。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、モータの駆動電力及び回生電力を精度よく推定することができる。
【0128】
また、駆動回路1は、駆動部を複数含み、推定部21は、複数の駆動部のそれぞれについて予め定められた駆動パターンに基づいて、当該複数の駆動部の力行時における駆動電力の総和と、当該複数の駆動部から発生する回生電力の総和とを推定し、可変抵抗部は、監視部11により監視される電圧が電圧閾値Vref2に達した際、推定部21により推定された駆動電力の総和と回生電力の総和との差分に応じた値に抵抗値が変化する。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、駆動回路1が駆動部を複数含む場合においても、従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能となる。
【0129】
また、この実施の形態1によれば、回生電力保護回路10は、回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路1に接続される回生電力保護回路であって、駆動部について予め定められた駆動パターンに基づいて推定された、当該駆動部の力行時における駆動電力と、当該駆動部から発生する回生電力とを取得する取得部と、駆動部から発生する回生電力の電圧を含む、駆動回路1の電圧を監視する監視部11と、回生電力が消費される可変抵抗部であって、監視部11により監視される電圧が予め定められた電圧閾値Vref2に達した際、取得部により取得された駆動電力と回生電力との差分に応じた値に抵抗値が変化する可変抵抗部と、を備えた。これにより、実施の形態1に係る回生電力保護回路10は、従来回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能となる。
【0130】
また、この実施の形態1によれば、駆動回路1は、回生電力を発生させる駆動部を含んで構成される駆動回路であって、上記いずれかの回生電力保護回路10を備えた。これにより、実施の形態1に係る駆動回路1は、従来回路を備える駆動回路に対し、回生電力の利用効率を改善可能となる。
【0131】
なお、本開示はその開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0132】
1、1b、50 モータ駆動回路(駆動回路)
2、52 直流電源
3、53 ダイオード
4、54 出力コンデンサ
5、55 アーム部
5in、55in 入力端子
5out、55out 出力端子
10、10b、60 回生電力保護回路
10in、60in 入力端子
10out、60out 出力端子
11、61 電圧監視部(監視部)
11in 入力端子
11out 出力端子
12 回路制御部
12in 入力端子
12out1 回生抵抗側出力端子
12out2 アーム部側出力端子
13、63 システム制御部
21 推定部
22 特定部
23 切換制御部
K1、Ki 切換部
L1、L2 電源線路
L3 アーム制御線路
M1、Mi モータ(駆動部)
R0、R1、Rn 回生抵抗
S11、S12、Si1、Si2 スイッチング素子
SW0、SW1、SWp スイッチング素子