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特開2024-117103きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法
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  • 特開-きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法 図1
  • 特開-きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117103
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20240822BHJP
   C05F 11/00 20060101ALI20240822BHJP
   C05F 17/00 20200101ALI20240822BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240822BHJP
   A01G 24/23 20180101ALI20240822BHJP
   A01G 24/42 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
C05F11/00
C05F17/00
B09B5/00 Z
A01G24/23
A01G24/42
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022989
(22)【出願日】2023-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】508005738
【氏名又は名称】株式会社森羊土
(71)【出願人】
【識別番号】523281342
【氏名又は名称】農事組合法人丸宮ファーム
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 久和
【テーマコード(参考)】
2B022
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
2B022BA12
2B022BA14
2B022BA18
2B022BB01
4D004AA04
4D004BA10
4D004CA19
4D004CC08
4H061AA02
4H061EE66
4H061EE70
4H061GG19
4H061GG48
(57)【要約】
【課題】きのこの廃培地を発酵乾燥することで得られる資材は、飼料、敷料や発酵剤などとして用いることができるが、その合理的な使用方法が提案されていなかった。
【解決手段】きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、家畜舎に散布する。また、きのこ廃培地発酵乾燥資材を、発酵種菌として、該きのこ廃培地発酵乾燥資材に比して大容量のきのこ廃培地に分散するように混合し、水はけの良い場所の地面に野積み状態に堆積して前記大容量のきのこ廃培地を発酵乾燥させて野積み堆肥を生産する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、家畜舎に散布することを特徴とするきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法。
【請求項2】
きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、発酵種菌として、該きのこ廃培地発酵乾燥資材に比して大容量のきのこ廃培地に分散するように混合し、水はけの良い場所の地面に野積み状態に堆積して前記大容量のきのこ廃培地を発酵乾燥させて野積み堆肥を生産することを特徴とするきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法。
【請求項3】
前記野積み堆肥を、家畜の糞尿の堆肥化に係る発酵種菌として用いることを特徴とする請求項2記載のきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
きのこ廃培地発酵乾燥資材を得る有機物の乾燥方法として、図1に示すように、有機廃棄物(キノコ廃培地5)を、腐敗発酵を起させないためのアンモニアを発生しない種菌を添加して、発酵槽(ビニールハウス1)内で発酵させて乾燥させる方法であって、腐敗発酵による堆肥化を起させないと共に短時間で発酵させて乾燥させる環境条件とするように、前記発酵槽の床部を、木質板、表面を炭化した木質板の一又は組合せによる床材(床板部2)で設け、該床材と床材の隙間を接着剤で埋めないで空気の通路を作り、該床材による床下を中空4とし、ロータリー型回転刃を備える装置や、スクープ式発酵機の有機物の撹拌移動装置(ロータリー型のかき混ぜ装置3)で前記床部上の前記有機物の切り返しと移動(閉ループ状の軌跡3a)を同時に行い、該有機物を発酵させて乾燥処理する(特許文献1参照)ものが、本願発明者によって提案されている。
【0003】
また、含水有機物の乾燥方法として、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階での含水有機物であるキノコ廃菌床に、好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程と、前記キノコ廃菌床を前記好気性菌によって発酵乾燥させるため、上下又は上側に開放された方形状の外枠ボディによって外形が構成された発酵乾燥用コンテナ装置であって、前記外枠ボディ内に前記キノコ廃菌床が投入される空間を分割するように所要の間隔を置いて起立されて平行に配された複数の仕切壁を備え、該仕切壁は両面の仕切面材を有して内部が上下方向に通気できる中空に設けられると共に、前記仕切面材が線状部と交差する線状部とによって形成される通気性の良好な格子状や網目状に設けられている発酵乾燥用コンテナ装置を用いて、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する含水有機物の乾燥方法であって、前記好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程では、前記キノコ廃菌床の掻き出し装置から順次排出されてコンベアに乗って順次貯留場所へ移送される間に前記好気性の種菌を投入する(特許文献2参照)ものが、本願発明者によって提案されている。
【0004】
また、含水有機物の乾燥方法として、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階での含水有機物であるキノコ廃菌床に、好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程と、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有し、バイオマス粉末燃料や微生物資材として使用できる乾燥物を製造するための含水有機物の乾燥方法であって、前記好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程では、前記キノコ廃菌床の掻き出し装置から順次排出されてコンベアに乗って順次貯留場所へ移送される間に、前記好気性菌の種菌を連続的に投入する(特許文献3参照)ものが、本願発明者によって提案されている。
【0005】
さらに、上記の有機物の乾燥方法などによって得られる有機物発酵乾燥資材(発酵資材)を利用する物として、きのこの人工栽培における使用済の菌床であるきのこ廃培地を、栽培瓶より掻き出した直後で少なくも雑菌の増殖が始まる前に、該きのこ廃培地にアンモニア臭を発生させないでアミノ酸を生成する発酵を行う有用菌を投入することによって急速に発酵・乾燥させて得られる発酵資材が、きのこ培地の栄養資材の一部として配合されていることを特徴とするきのこ栽培用培地(特許文献4参照)が、本願発明者によって提案されている。
【0006】
また、含水有機物の乾燥固形化方法として、粉状や粒状又はそれらの集合物の雑菌に汚染されていない含水有機物に、好気性菌を接種する菌付け工程と、前記含水有機物を、前記好気性菌の繁殖による乾燥作用によって、該好気性菌の生長が鈍化する含水率まで乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥工程によって水分調整がなされた前記含水有機物を、加圧による成形機によって固形状に成形する成形工程とを有する含水有機物の乾燥固形化方法であって、前記含水有機物がキノコ廃菌床であって、前記菌付け工程が、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることによって、菌糸が切断されてキノコの生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階で、好気性菌の種菌を投入することで行われることを特徴とする(特許文献5参照)ものが、本願発明者によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5144884号公報(請求項1)
【特許文献2】特許第5295754号公報(請求項1)
【特許文献3】特許第5730945号公報(請求項1)
【特許文献4】特許第5507235号公報(請求項1)
【特許文献5】特許第5405774号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法に関して解決しようとする問題点は、きのこの廃培地を発酵乾燥することで得られる資材は、飼料、敷料や発酵剤などとして用いることができるが、微量の使用で優れた効果を得ることができる合理的な使用方法が提案されていなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、微量のきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用で優れた効果を得ることができる合理的なきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の一形態によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、家畜舎に散布することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の一形態によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、発酵種菌として、該きのこ廃培地発酵乾燥資材に比して大容量のきのこ廃培地に分散するように混合し、水はけの良い場所の地面に野積み状態に堆積して前記大容量のきのこ廃培地を発酵乾燥させて野積み堆肥を生産することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の一形態によれば、前記野積み堆肥を、家畜の糞尿の堆肥化に係る発酵種菌として用いることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、微量のきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用で優れた効果を得ることができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材を生産する製造装置の形態例を示す斜視図である。
図2】本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の実施例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の形態例を以下に詳細に説明する。
【0016】
本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、家畜舎に散布することを特徴とする。なお、この有用菌とは、後述するように複合菌であり、好気性の発酵環境で増殖して機能できるものである。
【0017】
例えば、養豚場の実施例では、そのきのこ廃培地発酵乾燥資材の散布量が、日量で豚1頭当たり3~10gであると良い。さらに具体例としては、豚1頭当たりに、1日に平均で約5gの粉粒状のきのこ廃培地発酵乾燥資材を豚舎内に撒いて散布したところ、豚の死亡率を従来の1%からほぼゼロにすることができ、豚の下痢症状を止めることができた。また、豚の糞を調査したところ、きのこ廃培地発酵乾燥資材を使用することで、病原菌が消滅していた。すなわち、本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、従来のように飼料として用いるのではなく、環境浄化材として散布するだけで、養鶏(鶏舎)を含め、家畜の健康増進効果があり、微量の使用で優れた薬剤的効果を得ることができる。また、本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、環境を浄化することで、極めて高い消臭効果も得ることができ、畜舎の悪臭の問題を解決できる。
【0018】
本発明に係る他のきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、発酵種菌として、該きのこ廃培地発酵乾燥資材に比して大容量のきのこ廃培地に分散するように混合し、水はけの良い場所の地面に野積み状態に堆積して前記大容量のきのこ廃培地を発酵乾燥させて野積み堆肥を生産することを特徴とする。なお、水はけの良い場所とするために、きのこ廃培地発酵乾燥資材を混ぜた大容量のきのこ廃培地30を野積みする場所は、図2に示すように、土10を盛って周囲よりも若干高くなるようにしておくとよい。また、その大容量のきのこ廃培地30を野積みする場所の周囲に、図2に示すように、排水用の溝20を掘ることで、水はけを良くしてもよい。さらに、その大容量のきのこ廃培地30を野積みする場所としては、水はけのよい傾斜地でもよい。
【0019】
ところで、きのこ廃培地をビニール等で直接的に覆って通気性を悪くすると腐敗発酵になる。このため、本発明では、あくまで雨水がきのこ廃培地に直接当たる野積み状態で、ビニール等で覆うことなく、大容量のきのこ廃培地(きのこ廃培地から成るバイオマス)の堆肥化を行う。また、地面もコンクリートで覆うと、通水性が悪くなって腐敗発酵になるため、あくまで土の地面に大容量のきのこ廃培地を野積み状態とするとよい。このように、大容量のきのこ廃培地を腐敗発酵しないで堆肥化できるのは、きのこ廃培地発酵乾燥資材によって発酵の後段において白い糸状菌(放線菌)が繁殖し、菌層を形成して雨水をはじくと共に、菌の増殖による発酵熱や代謝によって乾燥が進行することにある。
【0020】
また、例えば、きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用量は、微量でよく、きのこ廃培地発酵乾燥資材の前記大容量のきのこ廃培地に対する混合割合を、例えば0.1%以上で3%以下とすることができる。さらに具体例としては、1トンの大容量のきのこ廃培地に、約5kgのきのこ廃培地発酵乾燥資材を混合したところ、野天でも、きのこ廃培地を腐敗発酵させることなく、1~3ヵ月程度放置するだけで、その大容量のきのこ廃培地を極めて質の良い土壌改良剤又は堆肥にすることができた。すなわち、本発明による方法で野積み堆肥を生産した場合、腐敗による悪臭の発生や腐敗による黒水の発生を防止することで、地下水汚染や土壌汚染を防止しつつ、優れた堆肥を容易に生産できる。なお、切り返しは、雑菌が入ることを防止するため、基本的には不要であるが、均質性を向上させるため、例えば1回から数回程度の最低限の回数を行ってもよい。
【0021】
これに対して、従来から、きのこ廃培地を野天(野積み状態)で堆肥化した場合、腐敗発酵したアンモニア臭を伴う悪臭、腐敗で生じる黒水による水質汚染や亜硝酸窒素による土壌汚染が発生してしまう。すなわち、野天で野積み状態で堆肥化する場合には、雨水を吸い込み、特に切り返しや農地の散布時に極めて強い悪臭が発生し、周辺環境を悪化させている。なお、野積み状態のきのこ廃培地は、長期間放置することで減量化するが、悪臭だけでなく、土壌に亜硝酸窒素(発がん物質)による汚染が浸透して地下水汚染となることが指摘されている。
【0022】
また、本発明によれば、前記きのこ廃培地発酵乾燥資材や前記野積み堆肥を、家畜の糞尿などの有機物のより優良な堆肥化のための発酵種菌とすることができ、前記野積み堆肥の堆肥化の方法と同様に用いることができる。きのこ廃培地は、有用菌によって好気性の発酵環境で発酵乾燥を行うと、たんぱく質が分解されてアンモニアを発生させる腐敗菌による発酵を防止し、極めて効率よく、発酵種菌又はボカシ種菌と称される発酵資材(きのこ廃培地発酵乾燥資材)となる。そして、この発酵資材(きのこ廃培地発酵乾燥資材)を利用する本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法によれば、好気性の発酵環境となるため、水分を含有する生ゴミ状の有機廃棄物の一例である家畜の糞尿を、乾燥が進むように発酵を促進させることができ、アンモニア臭を含む不快な悪臭を発生させることがなく、極めて優れた家畜の糞尿由来の堆肥を生産できる。これに限らず、他の有機廃棄物も、適切に分解して堆肥化ができ、さらに既に堆肥化されているものを熟成させてより優良な土壌改良材や肥料とすることができるのは勿論である。
【0023】
また、本形態例によれば、前記有用菌が、放線菌と、食用菌である麹菌、納豆菌、酵母菌、乳酸菌のうちの少なくとも一種を含むことで、アンモニアを発生させない発酵乾燥を好適に促進させることができる。すなわち、本発明では、たんぱく質を分解してアンモニアと水を発生させるような腐敗発酵をすることなく、有用菌の複合菌によって発酵乾燥がなされ、不快な悪臭が発生することを防止できるなどの前述の効果を奏する。
【0024】
本発明に係るきのこ廃培地発酵乾燥資材(有用菌によってきのこ廃培地が発酵乾燥された発酵資材)としては、例えば、株式会社森羊土(長野県中野市大字新保877-2)において製造されているキノコーソ(登録商標)を用いることができる。なお、前述の特許文献5に記載されたようなきのこ廃培地発酵乾燥資材をペレット状に成型したものを、発酵乾燥促進材として用いてもよい。そのペレット状に成型したものは、微細な粉塵状の粒子が少なくなるため、扱い易い利点があり、水分を吸収するなど使用によってほぐれることによって、粉粒状のものと同様に発酵乾燥を促進できる。
【0025】
なお、この有用菌は低温菌に属すると言えるが、増殖・発酵時には、65℃程度まで発熱する。このように、有用菌によって発酵熱が生じるため、被発酵資材は、その有用菌の発酵自体とそれに伴う発酵熱を利用して自然乾燥によって乾燥される。また、65℃程度に発熱することで、虫の発生を防止することができる。
【0026】
また、本発明の有用菌を用いた発酵乾燥によれば、生ゴミ状の有機物に係る発酵乾燥の乾燥度は、最終的に放線菌の作用によって、大気中での乾燥度の限界に近づくまで高まることになる。これによれば、例えば、水分量が多い有機物の代表例である家庭の食品廃棄物(生ゴミ)も処理することができ、優良な有機物資源に再生できる。
【0027】
次に、本発明に係る発酵資材(きのこ廃培地発酵乾燥資材)の特性について説明する。
本発明者(池田久和)は、きのこ廃培地を適切に発酵させることで栄養分が生成される特性を見出した。すなわち、この特性は、きのこ廃培地の成分である米糠などの栄養資材の残渣及び死滅したきのこ菌糸などが、適切な発酵乾燥処理によって、アンモニアと水を発生する腐敗分解がなされず、複合菌の有用菌が作用して最終的にアミノ酸が生成されることにある。
【0028】
すなわち、例えば、麹菌、納豆菌、酵母や乳酸菌を含む有用菌群は、糖、アミノ酸、たんぱく質や酵素を生成し、例えばきのこの培地として再利用できるように、きのこの生長のための栄養分を作り出すことができる(特許文献4参照)。栄養分析の結果では、発酵資材がきのこ栽培に使用前の培地と同程度のアミノ酸を有することが明らかになっている。
【0029】
この発酵資材の製造方法については、前述の特許文献1~3、5などに記載された内容が、本発明者(池田久和)によって既に提案されている。これらの発酵資材の製造方法は、有用菌によって急速に発酵・乾燥することで、雑菌を寄せ付けない発酵方法になっている。つまり、きのこ廃培地を、きのこ栽培瓶から掻き出した直後で少なくも雑菌の増殖が始まる前に、有用菌を投入することで良好な発酵をさせることができる。また、この製造方法は、発酵熱を利用した乾燥であり、加温しない大気中での自然乾燥を基本としている。従って、冬でも好適に発酵できる。発酵自体の生分解作用と発酵熱を利用する乾燥方法となっているため、その乾燥処理コストを低減でき、発酵資材を安価に提供できる。但し、加温することで、発酵を促進させることができるのは勿論である。
【0030】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0031】
1 ビニールハウス
2 床板部
3 ロータリー型のかき混ぜ装置
3a 閉ループ状の軌跡
4 中空
5 キノコ廃培地
10 土
20 排水用の溝
30 きのこ廃培地発酵乾燥資材を混ぜた大容量のきのこ廃培地
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、養豚場の家畜舎に日量で豚1頭当たり3~10gを散布することを特徴とするきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の一形態によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、養豚場の家畜舎に日量で豚1頭当たり3~10gを散布することを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、養豚場の家畜舎に日量で豚1頭当たり3~10gを散布するもので、前記有用菌が、放線菌と、食用菌である麹菌、納豆菌、酵母菌、乳酸菌のうちの少なくとも一種を含む複合菌であることを特徴とするきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるきのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法の一形態によれば、きのこ廃培地を、アンモニアを発生させることなくアミノ酸の含有量を高めるように発酵させると共に乾燥させる有用菌によって発酵乾燥させることで得られるきのこ廃培地発酵乾燥資材を、環境浄化材として、養豚場の家畜舎に日量で豚1頭当たり3~10gを散布するもので、前記有用菌が、放線菌と、食用菌である麹菌、納豆菌、酵母菌、乳酸菌のうちの少なくとも一種を含む複合菌であることを特徴とする。