(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117129
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】作業管理システム、作業管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240822BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023036
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】片桐 麻友
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体試料に関する作業を的確に管理する作業管理システム、作業管理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】入力装置および表示装置が接続された作業管理装置と、端末装置と、端末装置とが、有線通信または無線通信を介して、ネットワークに接続されている作業管理システムにおいて、作業管理装置66は、所定の作業が行われるべき生体試料の数の情報である試料数情報を取得する情報取得部110と、試料数情報と、所定の作業に要する所要時間とに基づいて、所定の作業に必要とされる必要作業員数と、所定の作業を行う作業員の作業時間数とを判定する判定部112と、必要作業員数および作業時間数に基づいて、所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案部114と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料に関する所定の作業を管理する作業管理システムであって、
前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定部と、
前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案部と、
を備える、作業管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業管理システムであって、
前記作業計画は、前記作業員の作業開始時刻および作業終了時刻に関する情報を含む、作業管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業管理システムであって、
前記作業計画は、優先して前記所定の作業が行われるべき前記生体試料に関する情報を含む、作業管理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業管理システムであって、
前記所定の作業は、前記生体試料が採取される作業を含む第1作業と、前記第1作業によって採取された前記生体試料に対して行われる第2作業とを含み、
前記判定部は、前記第1作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報と、前記第1作業に要する所要時間とに基づいて、前記第1作業に必要とされる前記作業員の数である必要作業員数と、前記第1作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定し、且つ、前記第2作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報と、前記第2作業に要する所要時間とに基づいて、前記第2作業に必要とされる前記作業員の数である必要作業員数と、前記第2作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定し、
前記作業計画提案部は、前記第1作業を行う第1部門で用いられる前記作業計画である第1作業計画と、前記第2作業を行う第2部門で用いられる前記作業計画である第2作業計画とを提案する、作業管理システム。
【請求項5】
生体試料に関する所定の作業を管理する作業管理方法であって、
前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定ステップと、
前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案ステップと、
を備える、作業管理方法。
【請求項6】
生体試料に関する所定の作業を管理することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定ステップと、
前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システム、作業管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポーチ内の血小板液体が、透明なチャンバへ流れ、ボトルに吸引されることにより、当該血小板液体が無菌サンプリングされる作業が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0152707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体試料に関する作業を的確に管理することが待望されている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の第1の態様は、生体試料に関する所定の作業を管理する作業管理システムであって、前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定部と、前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案部と、を備える。
【0007】
上記項目(1)記載の作業管理システムにより、生体試料に関する作業を的確に管理することができる。
【0008】
(2)上記項目(1)記載の作業管理システムであって、前記作業計画は、前記作業員の作業開始時刻および作業終了時刻に関する情報を含んでもよい。
【0009】
上記項目(2)記載の作業管理システムにより、作業員毎の作業管理を容易に行うことができる。
【0010】
(3)上記項目(1)または(2)記載の作業管理システムであって、前記作業計画は、優先して前記所定の作業が行われるべき前記生体試料に関する情報を含んでもよい。
【0011】
例えば生体試料が血液製剤から採取された試料である場合、上記項目(3)記載の作業管理システムにより、必要な種別の血液製剤が優先して出荷可能となる。
【0012】
(4)上記項目(1)~(3)のいずれか1項に記載の作業管理システムであって、前記所定の作業は、前記生体試料が採取される作業を含む第1作業と、前記第1作業によって採取された前記生体試料に対して行われる第2作業とを含み、前記判定部は、前記第1作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報と、前記第1作業に要する所要時間とに基づいて、前記第1作業に必要とされる前記作業員の数である必要作業員数と、前記第1作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定し、且つ、前記第2作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報と、前記第2作業に要する所要時間とに基づいて、前記第2作業に必要とされる前記作業員の数である必要作業員数と、前記第2作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定し、前記作業計画提案部は、前記第1作業を行う第1部門で用いられる前記作業計画である第1作業計画と、前記第2作業を行う第2部門で用いられる前記作業計画である第2作業計画とを提案してもよい。
【0013】
上記項目(4)記載の作業管理システムにより、生体試料に関する作業を容易に管理することができる。
【0014】
(5)本発明の第2の態様は、生体試料に関する所定の作業を管理する作業管理方法であって、前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定ステップと、前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案ステップと、を備える。
【0015】
上記項目(5)記載の作業管理方法により、生体試料に関する作業を的確に管理することができる。
【0016】
(6)本発明の第3の態様は、生体試料に関する所定の作業を管理することをコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記所定の作業が行われるべき前記生体試料の数に関する情報である試料数情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得された前記試料数情報と、前記所定の作業に要する所要時間とに基づいて、前記所定の作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数と、前記所定の作業を行う前記作業員の作業時間数とを判定する判定ステップと、前記必要作業員数および前記作業時間数に基づいて、前記所定の作業の作業計画を提案する作業計画提案ステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【0017】
上記項目(6)記載のプログラムを実行するコンピュータにより、生体試料に関する作業を的確に管理することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生体試料に関する作業を的確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1Aは、生体試料に関する所定の作業を説明するための図である。
図1Bは、サンプリングキットへ生体試料が移送される作業を説明するための図である。
図1Cは、所定の容器へ生体試料が移送される作業を説明するための図である。
図1Dは、生体試料が移送された2つの所定の容器を例示する図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による作業管理システムの構成を例示する図である。
【
図3】
図3は、作業管理装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、一実施形態による作業管理方法に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例による作業管理システムにおける情報の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1作業計画の表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例による作業管理方法に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一実施形態による作業管理システムおよび作業管理方法について図面を用いて説明する。ドナーから提供された血液製剤に対しては、重量検査および不純物検査等の受け入れ検査が行われる。この受け入れ検査に合格した血液製剤は、受け入れ済みの血液製剤が保管される貯蔵庫に移される。
【0021】
受け入れ済みの血液製剤の安全性を担保するため、血液製剤に対して細菌の培養検査が行われる場合がある。細胞の培養検査のため、作業員は生体試料に関する所定の作業を行う。所定の作業は、作業員が血液製剤から試料(生体試料)を採取する作業を含む第1作業と、第1作業によって採取された生体試料に対して行われる第2作業とを含む。本実施形態による作業管理システムは、こうした所定の作業を管理する。
【0022】
図1Aは、生体試料に関する所定の作業を説明するための図である。本実施形態では、後述する生体試料が血液製剤から採取される試料である場合を例に説明するが、生体試料はこれに限定されない。作業員は、チューブ14を介して血液製剤収容バッグ10に生体試料収容バッグ12を無菌接合する。作業員は、血液製剤から採取される試料(生体試料)を、チューブ14内を流通させて生体試料収容バッグ12に移送する。こうして採取される生体試料の数である試料数(生体試料数)は、血液製剤の数に対応する。
【0023】
図1Bは、サンプリングキット16へ生体試料が移送される作業を説明するための図である。作業員は、チューブ18を介して生体試料収容バッグ12にサンプリングキット16を無菌接合する。作業員は、生体試料を、チューブ18内を流通させてサンプリングキット16に移送する。上述した第1作業は、
図1Aに示す作業と、
図1Bに示す作業とを含む。すなわち、第1作業は、生体試料が採取される作業と、サンプリングキット16へ生体試料が移送される作業とを含む。
【0024】
図1Cは、所定の容器20へ生体試料が移送される作業を説明するための図である。作業員は、サンプリングキット16のコネクタ16cに所定の容器20を接続する。作業員は、所定の容器20に付与される陰圧により、サンプリングキット16内の生体試料を所定の容器20へ移送することができる。上述した第2作業は、
図1Cに示す作業を含む。すなわち、第2作業は、第1作業によって採取され、且つサンプリングキット16に移送された生体試料に対して行われる。
【0025】
図1Dは、生体試料が移送された2つの所定の容器20A、20Bを例示する図である。
図1Cを用いて説明した第2作業により、サンプリングキット16内の生体試料は、2つの所定の容器20A、20Bへ移送される。第2作業では、まず、サンプリングキット16内の生体試料のうちの所定量の生体試料が、1つ目の所定の容器20Aに移送される。この後、サンプリングキット16内に残った生体試料のうちの所定量の生体試料が、2つ目の所定の容器20Bに移送される。
【0026】
生体試料の移送から所定時間が経過した後、所定の容器20Aにおいて好気性菌が培養されたか否かが検査されるとともに、所定の容器20Bにおいて嫌気性菌が培養されたか否かが検査される。細菌培養検査が終了すると、その検査に合格した生体試料が採取された血液製剤は、出荷可能な血液製剤である検査済み血液製剤が保管される貯蔵庫に移される。輸血等の目的で血液製剤が必要になった場合、貯蔵庫内に保管された検査済み血液製剤が出荷される。
【0027】
本実施形態においては、第1作業を行う作業員は第1部門に所属し、第2作業を行う作業員は第2部門に所属する。第1作業を行う作業員と第2作業を行う作業員とは異なるが、これに限定されない。
【0028】
図2は、一実施形態による作業管理システム50の構成を例示する図である。作業管理システム50は、端末装置62と、端末装置64と、作業管理装置66と、入力装置68と、表示装置70と、端末装置72とを有する。端末装置62と、端末装置64と、作業管理装置66と、端末装置72とが、有線通信または無線通信を介して、ネットワーク80に接続されている。入力装置68および表示装置70は、作業管理装置66に接続されている。
【0029】
作業管理装置66は、生体試料に関する上述した所定の作業を管理する。後述するように、所定の作業の作業計画が作業管理装置66によって提案されるため、ユーザは、所定の作業を的確に管理することができる。作業管理装置66が行う作業管理について、
図2を用いて、以下に説明する。
【0030】
貯蔵庫R1には、受け入れ済みの血液製剤を収容する血液製剤収容バッグ10が保管される。端末装置62には、所定の作業の開始前に、受け入れ済み血液製剤の数Npを示す情報(受け入れ済み血液製剤数情報)が入力される。作業管理装置66は、受け入れ済み血液製剤の数Npを示す情報を端末装置62から取得する。
【0031】
第1部門の作業員は、貯蔵庫R1に保管されていた血液製剤から生体試料を採取する第1作業を行う。第1作業は、作業エリアZ1において行われる。第2部門の作業員は、第1作業によって採取された生体試料に対して、上述した第2作業を行う。第2作業は、作業エリアZ2において行われる。第2作業が完了した生体試料に対しては、上述したように細菌培養検査が行われる。細菌培養検査に合格した生体試料が採取された血液製剤が収容されている血液製剤収容バッグ10は、貯蔵庫R2に保管される。貯蔵庫R2に保管された検査済みの血液製剤は、出荷可能である。
【0032】
端末装置64には、所定の作業が開始される前に、出荷可能な状態の検査済み血液製剤の数Nsを示す情報が入力される。作業管理装置66は、出荷可能な検査済み血液製剤の数Nsを示す情報を端末装置64から取得する。
【0033】
ユーザは、所定の作業の間に出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncを示す情報を、入力装置68を用いて作業管理装置66に入力する。出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncには、予め決定されたデフォルト値が用いられてもよい。
【0034】
出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncを超える数の血液製剤の出荷が必要となることもあり得る。このような事態に備えるため、Nc個の出荷予定である検査済み血液製剤に加えて、余剰分の検査済み血液製剤が貯蔵庫R2に保管されることが好ましい。そこで、ユーザは、検査済み血液製剤の余剰目標数Nrを、入力装置68を用いて作業管理装置66に入力する。検査済み血液製剤の余剰目標数Nrには、予め設定されたデフォルト値が用いられてもよい。
【0035】
作業管理装置66は、受け入れ済み血液製剤の数Npと、出荷可能な検査済み血液製剤の数Nsと、出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncと、検査済み血液製剤の余剰目標数Nrとに基づいて、所定の作業が行われるべき作業対象血液製剤の数Ntを取得する。例えば、式(1)を用いた演算により、作業対象血液製剤の数Ntが得られる。
Nt=min(Nc+Nr-(Ns-Nc),Np) ・・・(1)
【0036】
ユーザは、第1作業に要する所要時間Twと、第2作業に要する所要時間Txとを、入力装置68を用いて作業管理装置66に入力する。第1作業に要する所要時間Twは、1人の作業員が第1作業を行うのに要すると見込まれる時間である。第2作業に要する所要時間Txは、1人の作業員が第2作業を行うのに要すると見込まれる時間である。
【0037】
作業管理装置66は、作業対象血液製剤の数Ntと、第1作業に要する所要時間Twと、第2作業に要する所要時間Txとに基づいて、第1作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmと、第2作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとを判定する。具体的な判定処理を以下に説明する。
【0038】
第1作業の総所要時間Tgは、第1作業が行われるべき生体試料の数N1と、第1作業に要する所要時間Twとの積として得られる。第1作業が行われるべき生体試料の数N1には、作業対象血液製剤の数Ntが用いられる。第1作業を行う作業員全体の総作業時間数Taは、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとの積として得られる。総作業時間数Taが総所要時間Tg以上になるように、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとが判定される。
【0039】
例えば、第1作業が行われるべき生体試料の数N1が120個、第1作業に要する所要時間Twが0.3時間であるとする。各作業員の作業時間数Tmが4時間に設定された場合、第1作業の必要作業員数Pdは9人と判定される。第1作業の必要作業員数Pdが6人に設定された場合、各作業員の作業時間数Tmは6時間と判定される。
【0040】
第2作業の総所要時間Thは、第2作業が行われるべき生体試料の数N2と、第2作業に要する所要時間Txとの積として得られる。第2作業が行われるべき生体試料の数N2には、第1作業が行われるべき生体試料の数N1が用いられる。すなわち、第2作業が行われるべき生体試料の数N2には、作業対象血液製剤の数Ntが用いられる。第2作業を行う作業員全体の総作業時間数Tbは、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとの積として得られる。総作業時間数Tbが総所要時間Th以上になるように、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとが判定される。
【0041】
例えば、第2作業が行われるべき生体試料の数N2が120個、第2作業に要する所要時間Txが0.2時間であるとする。各作業員の作業時間数Tnが4時間に設定された場合、第2作業の必要作業員数Peは6人と判定される。第2作業の必要作業員数Peが8人に設定された場合、各作業員の作業時間数Tnは3時間と判定される。
【0042】
作業管理装置66は、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとに基づいて、第1作業の作業計画である第1作業計画を、ユーザに提案する。第1作業計画は、主に第1作業を行う第1部門で用いられる。作業管理装置66は、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとに基づいて、第2作業の作業計画である第2作業計画を、ユーザに提案する。第2作業計画は、主に第2作業を行う第2部門で用いられる。
【0043】
作業管理装置66は、表示装置70に第1作業計画を表示させることにより、当該第1作業計画をユーザに提案する。また、作業管理装置66は、表示装置70に第2作業計画を表示させることにより、当該第2作業計画をユーザに提案する。作業管理装置66は、ユーザが所持する端末装置72に第1作業計画を表示させてもよい。また、作業管理装置66は、ユーザが所持する端末装置72に第2作業計画を表示させてもよい。
【0044】
図3は、作業管理装置66の構成を模式的に示すブロック図である。作業管理装置66は、例えばコンピュータであり、演算部100と、記憶部102とを有する。演算部100は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを含む。すなわち、演算部100は、処理回路(processing circuitry)を含む。
【0045】
記憶部102は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)またはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを含む。揮発性メモリは、プロセッサのワーキングメモリとして用いられる。不揮発性メモリは、プロセッサが実行するプログラムと、その他必要なデータとを記憶する。記憶部102には、第1作業を行う作業員および第2作業を行う作業員の各々の始業予定時刻および終業予定時刻も保存されている。
【0046】
演算部100は、情報取得部110と、判定部112と、作業計画提案部114とを有する。演算部100が記憶部102に保存されたプログラムを実行することにより、情報取得部110と、判定部112と、作業計画提案部114とが実現される。そのプログラムは、例えば、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に保存されたプログラムが読み取られることにより、記憶部102に保存される。情報取得部110と、判定部112と、作業計画提案部114とのうちの少なくとも一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、或いはディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0047】
情報取得部110は、受け入れ済み血液製剤の数Npを示す情報を端末装置62から取得する。情報取得部110は、出荷可能な検査済み血液製剤の数Nsを示す情報を端末装置64から取得する。情報取得部110は、ユーザによる入力に基づいて、出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncを示す情報と、検査済み血液製剤の余剰目標数Nrを示す情報とを取得する。
【0048】
情報取得部110は、受け入れ済み血液製剤の数Npと、出荷可能な検査済み血液製剤の数Nsと、出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncと、検査済み血液製剤の余剰目標数Nrとに基づいて、作業対象血液製剤の数Ntを示す情報を取得する。作業対象血液製剤の数Ntは、第1作業が行われるべき生体試料の数N1に対応するとともに、第2作業が行われるべき生体試料の数N2に対応する。すなわち、情報取得部110は、所定の作業が行われるべき生体試料の数(N1、N2)に関する情報である試料数情報を取得する。
【0049】
情報取得部110は、ユーザによる入力に基づいて、第1作業に要する所要時間Twの所要時間情報と、第2作業に要する所要時間Txの所要時間情報とを取得する。情報取得部110は、取得したこれらの情報を、表示装置70に表示させ得る。
【0050】
判定部112は、第1作業が行われるべき生体試料の数N1と、第1作業に要する所要時間Twとに基づいて、第1作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとを判定する。判定部112は、第2作業が行われるべき生体試料の数N2と、第2作業に要する所要時間Txとに基づいて、第2作業に必要とされる作業員の数である必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとを判定する。判定部112は、こうして判定した情報を、表示装置70に表示させ得る。
【0051】
作業計画提案部114は、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとに基づいて、第1作業計画を提案する。作業管理装置66は、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとに基づいて、第2作業計画を提案する。作業計画提案部114は、提案する作業計画を、表示装置70に表示させ得る。作業計画提案部114は、提案する作業計画を、端末装置72に表示させてもよい。
【0052】
なお、作業計画提案部114により提案される作業計画は、必要作業員数と、各作業員の作業時間数とに加え、各作業員の作業開始予定時刻および作業終了予定時刻を含んでもよい。その場合、作業計画提案部114は、各作業員の作業時間数と、記憶部102に保存された各作業員の始業予定時刻および終業予定時刻とに基づいて、各作業員の作業開始予定時刻および作業終了予定時刻を決定する。
【0053】
上述したように、情報取得部110により取得された情報と、判定部112により判定された情報とが、表示装置70に表示され得る。
図4は、情報の表示例を示す図である。ユーザは、表示装置70に表示された情報(値)を、入力装置68を用いて変更してもよい。判定部112は、ユーザによって変更された値に基づいて、判定処理を再度行ってもよい。再度の判定処理により更新された情報が、表示装置70に表示されてもよい。
【0054】
図5Aおよび
図5Bは、作業計画の表示例を示す図である。
図5Aおよび
図5Bに示す例では、作業計画が表示装置70に表示されている。具体的には、作業員数と、各作業員の作業時間数と、各作業員の作業開始予定時刻と、各作業員の作業終了予定時刻とが、作業計画として表示されている。このような作業計画が表示されることにより、生体試料に対して行われる作業を的確に管理することができる。
【0055】
図5Aは、第1作業計画の表示例を示す。第1作業計画は、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員A1、A2、・・・、A9の各々の作業時間数Tmと、作業開始予定時刻と、作業終了予定時刻と、第1作業が行われるべき生体試料の数N1とを含む。上述したように、第1作業は、第1部門に所属する作業員によって行われる。第1作業の必要作業員数Pdが9人である場合の例が
図5Aには示されている。各作業員の作業時間帯が、色分け等により識別可能に表示される。
図5Aに示す例においては、各作業員の作業時間数Tmは、一律に4[h]と表示されているが、これに限定されない。作業員毎に作業時間数が異なってもよい。
【0056】
図5Bは、第2作業計画の表示例を示す。第2作業計画は、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員B1、B2、・・・、B6の各々の作業時間数Tnと、作業開始予定時刻と、作業終了予定時刻と、第2作業が行われるべき生体試料の数N2とを含む。上述したように、第2作業は、第2部門に所属する作業員によって行われる。第2作業の必要作業員数Peが6人である場合の例が
図5Bには示されている。各作業員の作業時間帯が、色分け等により識別可能に表示される。
図5Bに示す例において、各作業員の作業時間数Tnは、一律に4[h]と表示されているが、これに限定されない。作業員毎に作業時間数が異なってもよい。
【0057】
このような作業計画が提案されるため、生体試料に対して行われる作業を、容易に管理することができる。
【0058】
なお、第2作業は、第1作業によって採取された生体試料に対して行われる。第1作業によって少なくとも1個以上の生体試料が採取されるまで、第2作業は開始されない。そこで、
図5Aおよび
図5Bに示す例では、第2作業を行う作業員の作業開始時刻が、第1作業を行う作業員の作業開始時刻よりも比較的遅くなるように、第1作業計画および第2作業計画が提案されている。
【0059】
また、第2作業を行う作業員の作業終了時刻が、第1作業を行う作業員の作業終了時刻よりも比較的遅くなるように、第1作業計画および第2作業計画が提案されている。作業計画には、各作業員の作業開始時刻および作業終了時刻が含まれるので、作業員毎の作業管理を容易に行うことができる。例えば、各作業員の始業予定時刻または終業予定時刻が一律でない場合であっても、利便性の高い作業計画が得られる。
【0060】
図6は、本実施形態による作業管理方法に係る処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば作業管理装置66が有する演算部100により行われる。本処理手順が開始されると、ステップS1で、情報取得部110は、受け入れ済み血液製剤の数Npを示す情報を取得する。ステップS2で、情報取得部110は、出荷可能な検査済み血液製剤の数Nsを示す情報を取得する。
【0061】
ステップS3で、情報取得部110は、出荷予定である検査済み血液製剤の数Ncを示す情報を取得する。ステップS4で、情報取得部110は、検査済み血液製剤の余剰目標数Nrを示す情報を取得する。ステップS5で、情報取得部110は、作業対象血液製剤の数Ntを示す情報を取得する。
【0062】
ステップS6で、情報取得部110は、第1作業に要する所要時間Twを示す所要時間情報を取得する。ステップS7で、情報取得部110は、第2作業に要する所要時間Txを示す所要時間情報を取得する。
【0063】
ステップS8で、判定部112は、第1作業の必要作業員数Pdと、第1作業を行う作業員の作業時間数Tmとを判定する。ステップS9で、判定部112は、第2作業の必要作業員数Peと、第2作業を行う作業員の作業時間数Tnとを判定する。
【0064】
ステップS10で、作業計画提案部114は、第1作業計画を提案する。ステップS11で、作業計画提案部114は、第2作業計画を提案する。ステップS11の処理が完了すると、本処理手順は終了する。
【0065】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変形されてもよい。
【0066】
出荷可能な検査済み血液製剤のうち、特定の血液型に対応する血液製剤が不足する場合がある。その場合、受け入れ済み血液製剤のうち、不足している特定の血液型に対応する血液製剤に由来する生体試料に関する所定の作業が、優先して行われてもよい。そのため、本変形例による作業管理システム50で提案される作業計画は、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報を含む。
【0067】
ユーザは、優先して所定の作業が行われるべき血液製剤に関する情報を、入力装置68を用いて作業管理装置66に入力する。その血液製剤から採取される生体試料に対して、優先して所定の作業が行われる。情報取得部110は、ユーザによる入力に基づいて、優先して所定の作業が行われるべき血液製剤に関する情報を取得する。換言すれば、情報取得部110は、ユーザによる入力に基づいて、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報を取得する。
【0068】
優先して所定の作業が行われるべき血液製剤に関する情報は、例えば特定の血液型を示す種別情報を含む。その場合、Nt個の作業対象血液製剤に、特定の血液型に対応する血液製剤が優先して含まれる。これにより、不足している特定の血液型に対応する検査済み血液製剤を補充することができる。なお、優先して所定の作業が行われるべき血液製剤に関する情報は、さらに当該血液製剤の数を示す情報を含んでもよい。換言すれば、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報は、優先して所定の作業が行われるべき生体試料の数を示す情報を含んでもよい。
【0069】
図7は、変形例による作業管理システム50における情報の表示例を示す図である。
図7に示す例では、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報として、当該生体試料が採取された血液製剤の種別を示すAB型という情報と、当該生体試料の数Nyを示す情報とが表示されている。
【0070】
図8は、第1作業計画の表示例を示す図である。
図8に示す例では、第1作業計画が表示装置70に表示されている。AB型のNy個の生体試料に対して、優先して所定の作業が行われるべきであることが、表示装置70に表示されている。第2作業計画の表示においても、同様にして、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報が表示され得る。こうした作業計画が提案されることにより、必要な種別の血液製剤が優先して出荷可能となる。
【0071】
図9は、変形例による作業管理方法に係る処理手順を示すフローチャートである。本処理手順は、例えば作業管理装置66が有する演算部100により行われる。ステップS5の処理が完了すると、ステップS101で、情報取得部110は、優先して所定の作業が行われるべき生体試料に関する情報を取得する。ステップS101の処理が完了すると、本処理手順はステップS6へ進む。
【0072】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0073】
10…血液製剤収容バッグ 12…生体試料収容バッグ
14、18…チューブ 16…サンプリングキット
20…所定の容器 50…作業管理システム
62、64、72…端末装置 66…作業管理装置
68…入力装置 70…表示装置
100…演算部 102…記憶部
110…情報取得部 112…判定部
114…作業計画提案部