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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117139
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】通報システム、及び通報設備
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240822BHJP
   G08B 29/06 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023056
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 滋良
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 出
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA11
5C087AA31
5C087BB02
5C087BB74
5C087CC05
5C087CC06
5C087DD04
5C087DD28
5C087EE05
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG83
5G405AA02
5G405AA06
5G405CA15
5G405CA21
5G405CA23
(57)【要約】
【課題】通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる通報システム、及び通報設備を提供すること。
【解決手段】防災に関する通報を行う消火栓装置100と、消火栓装置100を管理する防災受信盤3と、を備える防災システム901であって、消火栓装置100は、常開スイッチ装置21と、並列抵抗22と、第1接続端子側内部配線23と、第2接続端子側内部配線24とを備え、防災受信盤3は、信号線L11及びコモン線L12に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、消火栓装置100側で消費される第1消費電流に基づいて、第1接続端子側内部配線23、第2接続端子側内部配線24、信号線L11、又はコモン線L12の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災に関する通報を行う通報設備と、
前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムであって、
前記通報設備は、
常開側第1スイッチ接触部と、
常開側第2スイッチ接触部と、
所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、
前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、
前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、
を備える操作装置と、
一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、
第1内部配線と、
第2内部配線と、を備え、
前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、
前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、
前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、
前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、
前記上位装置は、
前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える、
通報システム。
【請求項2】
前記上位装置は、
第1感度で電流を測定する第1電流測定手段と、
前記第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する第2電流測定手段と、を備え、
前記判定手段は、前記第2電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記異常発生判定処理を行う、
請求項1に記載の通報システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第1消費電流に基づいて、前記所定操作が行われたか否かを判定する処理である操作判定処理、を更に行い、
前記判定手段は、前記第1電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記操作判定処理を行う、
請求項2に記載の通報システム。
【請求項4】
前記操作装置は、
常閉側第1スイッチ接触部と、
常閉側第2スイッチ接触部と、
所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、
前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、
前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、
前記通報設備は、
前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、
第3内部配線と、を更に備え、
前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、
前記第3内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第3外部配線に接続されており、
前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、
前記上位装置は、
前記第2外部配線及び前記第3外部配線に供給される第2供給電圧に基づく第2消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第2消費電流と、前記第3外部配線及び前記第1外部配線に供給される第3供給電圧に基づく第3消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第3消費電流との内の何れか一方又は両方の消費電流に基づいて、前記第1内部配線又は前記第1外部配線、あるいは、前記第2内部配線又は前記第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定する処理である異常箇所特定処理を行う特定手段、を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の通報システム。
【請求項5】
防災に関する通報を行う通報設備と、前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムの前記通報設備であって、
前記通報設備は、
常開側第1スイッチ接触部と、
常開側第2スイッチ接触部と、
所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、
前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、
前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、
を備える操作装置と、
一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、
第1内部配線と、
第2内部配線と、を備え、
前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、
前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、
前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、
前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、
前記上位装置は、
前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える、
通報設備。
【請求項6】
防災に関する通報を行う通報設備であって、
前記通報設備は、
常開側第1スイッチ接触部と、
常開側第2スイッチ接触部と、
所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、
前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、
前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、
を備える操作装置と、
一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、
第1内部配線と、
第2内部配線と、を備え、
前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、
前記第1内部配線の他端側は、外部へと接続される第1外部配線に接続されており、
前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、
前記第2内部配線の他端側は、前記第1外部配線とは異なる外部へと接続される第2外部配線に接続されており、
前記第1内部配線、前記第2内部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第2内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる、
通報設備。
【請求項7】
前記操作装置は、
常閉側第1スイッチ接触部と、
常閉側第2スイッチ接触部と、
所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、
前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、
前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、
前記通報設備は、
前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、
第3内部配線と、を更に備え、
前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、
前記第3内部配線の他端側は、前記第1外部配線および前記第2外部配線とは異なる外部へと接続される第3外部配線に接続されており、
前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、
前記第1内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせ、
前記第2内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第2内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる、
請求項6記載の通報設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報システム、及び通報設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、トンネル等の防災に関する通報を行う通報設備(例えば、特許文献1参照)が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-055073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通報設備については、通報設備を動作させるために当該通報設備に関する配線が設けられており、この配線で異常(例えば、断線等)が発生したことを判定する技術が要望されていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる通報システム、及び通報設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の通報システムは、防災に関する通報を行う通報設備と、前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムであって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子とを備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、前記上位装置は、前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の通報システムは、請求項1に記載の通報システムにおいて、前記上位装置は、第1感度で電流を測定する第1電流測定手段と、前記第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する第2電流測定手段と、を備え、前記判定手段は、前記第2電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記異常発生判定処理を行う。
【0008】
また、請求項3に記載の通報システムは、請求項2に記載の通報システムにおいて、前記判定手段は、前記第1消費電流に基づいて、前記所定操作が行われたか否かを判定する処理である操作判定処理、を更に行い、前記判定手段は、前記第1電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記操作判定処理を行う。
【0009】
また、請求項4に記載の通報システムは、請求項1から3の何れか一項に記載の通報システムにおいて、前記操作装置は、常閉側第1スイッチ接触部と、常閉側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、前記通報設備は、前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、第3内部配線と、を更に備え、前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、前記第3内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第3外部配線に接続されており、前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、前記上位装置は、前記第2外部配線及び前記第3外部配線に供給される第2供給電圧に基づく第2消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第2消費電流と、前記第3外部配線及び前記第1外部配線に供給される第3供給電圧に基づく第3消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第3消費電流との内の何れか一方又は両方の消費電流に基づいて、前記第1内部配線又は前記第1外部配線、あるいは、前記第2内部配線又は前記第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定する処理である異常箇所特定処理を行う特定手段、を更に備える。
【0010】
また、請求項5に記載の通報設備は、防災に関する通報を行う通報設備と、前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムの前記通報設備であって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、を備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、前記上位装置は、前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える。
【0011】
また、請求項6に記載の通報設備は、防災に関する通報を行う通報設備であって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、を備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、外部へと接続される第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記第1外部配線とは異なる外部へと接続される第2外部配線に接続されており、前記第1内部配線、前記第2内部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第2内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる。
【0012】
また、請求項7に記載の通報設備は、請求項6に記載の通報設備において、前記操作装置は、常閉側第1スイッチ接触部と、常閉側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、前記通報設備は、前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、第3内部配線と、を更に備え、前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、前記第3内部配線の他端側は、前記第1外部配線および前記第2外部配線とは異なる外部へと接続される第3外部配線に接続されており、前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、前記第1内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせ、前記第2内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第2内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の通報システム、及び請求項5に記載の通報設備によれば、通報設備側で消費される第1消費電流に基づいて、第1内部配線、第2内部配線、第1外部配線、又は第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行うことにより、例えば、通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の通報システムによれば、第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する第2電流測定手段による第1消費電流の測定値に基づいて異常発生判定処理を行うことにより、例えば、第1消費電流の測定精度を向上させることができるので、通報設備に関する配線で異常が発生したことをより正確に判定することが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の通報システムによれば、第1感度で電流を測定する第1電流測定手段による第1消費電流の測定値に基づいて操作判定処理を行うことにより、例えば、適切な感度で測定された第1消費電流に基づいて操作判定処理を行うことができるので、所定操作が行われたか否かを適切に判定することが可能となる。また、例えば、一般的に、第2電流測定手段を用いるよりも、第1電流測定手段を用いた方が、低コストであることが想定されるので、操作判定処理を低コストで行わせることが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の通報システムによれば、第2消費電流又は第3消費電流の一方又は両方に基づいて異常箇所特定処理を行うことにより、例えば、第1内部配線又は第1外部配線、あるいは、第2内部配線又は第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の通報設備によれば、第1内部配線、第2内部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第1内部配線の他端側と第2内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせることにより、例えば、通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の通報設備によれば、第1内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第1内部配線の他端側と第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせ、第2内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第2内部配線の他端側と第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせることにより、例えば、第1内部配線又は第2内部配線の何れで異常が発生したかを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】防災システムを示すブロック図である。
図2】消火栓装置の正面図である。
図3】防災システムの回路図である。
図4】防災システムの一部の回路図の詳細である。
図5】防災システムの回路図の説明図である。
図6】防災受信盤の機能を示すブロック図である。
図7】防災システムの説明図である。
図8】防災システムの説明図である。
図9】防災システムの説明図である。
図10】防災システムの説明図である。
図11】防災システムの説明図である。
図12】防災処理のフローチャートである。
図13】防災システムを示すブロック図である。
図14】防災システムの回路図である。
図15】防災システムの一部の回路図の詳細である。
図16】防災システムの回路図の説明図である。
図17】防災システムの回路図の説明図である。
図18】防災システムの回路図の説明図である。
図19】防災受信盤の機能を示すブロック図である。
図20】防災システムの説明図である。
図21】防災システムの説明図である。
図22】防災システムの説明図である。
図23】防災システムの説明図である。
図24】防災システムの説明図である。
図25】防災処理のフローチャートである。
図26】断線を判定する処理例の説明図である。
図27】常開スイッチ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る通報システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、各実施の形態の基本的概念について説明する。各実施の形態は、概略的に、通報システムに関するものである。
【0022】
「通報システム」とは、防災のために用いられるシステムであり、例えば、監視領域での異常(火災、ガス漏れ等)を通報するためのシステムであり、また、当該通報システムに関する配線の異常を判定するシステムである。「通報システム」は、例えば、通報設備と、上位装置とを備える。
【0023】
「監視領域」とは、通報システムによって監視されている領域であり、例えば、トンネル、又は、トンネル以外の任意の領域(一例としては、建物等)等を含む概念である。
【0024】
「通報システムに関する配線の異常」とは、通報システムで用いられている配線が正常でないことを示す概念であり、例えば、断線、短絡、断線の予兆、及び短絡の予兆等を含む概念である。
【0025】
「通報設備」とは、監視領域での異常を通報するための設備であり、例えば、トンネル内に設けられる通報機能付きの消火栓装置等を含む概念である。「上位装置」とは、通報設備を管理する装置であり、例えば、通報設備に電気的に接続されている装置であり、一例としては、複数の消火栓装置が接続されている防災受信盤等を含む概念である。
【0026】
そして、各実施の形態においては、「通報システム」がトンネルでの火災等の異常を通報するシステムであり、「配線の異常」が主に断線である場合について説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この実施の形態は、通報システムに関する配線の異常を判定する形態である。
【0028】
(構成)
まず、本実施の形態の防災システムの構成について説明する。図1は、防災システムを示すブロック図である。なお、防災受信盤3に接続される消火栓装置の個数は任意であるが、図1に図示されているものに着目して説明する。
【0029】
図1の防災システム901は、通報システムであり、例えば、トンネル内での火災等の異常を通報するためのシステムである。防災システム901は、例えば、防災受信盤3、及び消火栓装置101~103を備える。なお、消火栓装置101~103については、相互に区別して説明する場合以外は、消火栓装置100と適宜総称する。
【0030】
(構成-消火栓装置)
次に、図1の消火栓装置100の構成について説明する。図2は、消火栓装置の正面図であり、図3は、防災システムの回路図であり、図4は、防災システムの一部の回路図の詳細であり、図5は、防災システムの回路図の説明図である。
【0031】
なお、図3においては、消火栓装置101~103の構成要素である発信設備2の回路図が図示されている。また、消火栓装置101~103の発信設備の構成は共通であるので、消火栓装置101に関してのみ各構成要素に符号が付されている。また、図3の発信設備2の構成要素である常開スイッチ装置21については簡略化して図示されており、詳細には、図4に図示されているように構成されていることとする。また、図5においては、図3の防災システム901の回路図と等価となる回路が示されている。
【0032】
図1の消火栓装置100は、通報設備であり、具体的には、防災受信盤3によって管理される装置であり、例えば、概略的にはわたり配線によって防災受信盤3に接続されている装置であり、また、トンネル内に設置されている装置である。
【0033】
消火栓装置100は、例えば、図2の筐体11、保守扉12、消火栓扉13、消火器扉14、発信機15、及び図3の発信設備2を備える。
【0034】
(構成-消火栓装置-筐体、保守扉、消火栓扉、消火器扉、発信機)
図2の筐体11は、消火栓装置100の構成要素を収容する中空部を有するケースである。保守扉12及び消火栓扉13は、放水ホース及び放水に関する各種バルブ等が収容されている空間を開閉する扉である。消火器扉14は、消火器が収容されている空間を開閉する扉である。発信機15は、火災等の監視領域の異常を通報する際に通報者等によって押下(押圧)されるボタン等を含む構成要素である。
【0035】
(構成-消火栓装置-発信設備)
図3の発信設備2は、火災等の監視領域の異常を通報するための設備であり、例えば、常開スイッチ装置21(操作装置)、並列抵抗22(バイパス抵抗)、第1接続端子側内部配線23(第1内部配線)、第2接続端子側内部配線24(第2内部配線)、及び端子台25を備える。
【0036】
(構成-消火栓装置-発信設備-常開スイッチ装置)
図3の常開スイッチ装置21は、所定操作が行われた場合に発信設備2の電気回路の一部を短絡する装置であり、例えば、A接点に対応する装置である。
【0037】
「所定操作」とは、スイッチ装置を動作させるための任意の操作であり、例えば、発信機15(図2)のボタンを押下する操作、消火栓装置100における放水のためのポンプ起動押し釦(不図示)を押下する操作等を含む概念であるが、本実施の形態では、所定操作が発信機15(図2)のボタンを押下する操作を示すこととして説明する。
【0038】
常開スイッチ装置21の具体的な構成は任意であり、公知の構成を適用することができるが、図4に示すように例えば、第1接触部211(常開側第1スイッチ接触部)、第2接触部212(常開側第2スイッチ接触部)、スイッチ部213(常開スイッチ)、第1端子214(常開側第1端子)、及び第2端子215(常開側第2端子)を備える。
【0039】
スイッチ部213は、常時は第1接触部211と第2接触部212との間を開放しており、所定操作が行われた場合に第1接触部211と第2接触部212との間を短絡する常開スイッチであり、例えば、導電性の部品である。
【0040】
第1接触部211及び第2接触部212は、所定操作が行われた場合にスイッチ部213に接触して電気的に接続される部分であり、例えば、導電性の部分である。なお、以下の説明では、「電気的に接続される」ことを単に「接続される」とも称する。
【0041】
第1端子214及び第2端子215は、常開スイッチ装置21の所定位置に設けられている端子である。第1端子214及び第2端子215各々は、例えば、導電線等の配線を介して第1接触部211及び第2接触部212に接続されて導通している端子である。
【0042】
なお、第1接触部211、第2接触部212、第1端子214、及び第2端子215の具体的な構成は任意であり、例えば、前述のように配線を介して接続されるように構成してもよいし、以下の構成を適用してもよい。具体的には、一体的に形成された金属板の一部(例えば、一方の端部)を第1接触部211として用い、当該金属板の他の一部(例えば、他方の端部)を第1端子214として用いる構成を適用してもよい。なお、第2接触部212及び第2端子215についても、同様にして一体的に形成された金属板を用いる構成を適用してもよい。
【0043】
(構成-消火栓装置-発信設備-並列抵抗)
図4の並列抵抗22は、常開スイッチ装置21のスイッチ部213に対して並列に接続されるバイパス抵抗である。並列抵抗22は、例えば、常開スイッチ装置21の外部に設けられており、一端側は常開スイッチ装置21の第1端子214に接続されており、また、他端側は常開スイッチ装置21の第2端子215に接続されている。
【0044】
なお、バリエーションとしては、並列抵抗22を常開スイッチ装置21の内部に設けてもよい。この場合、並列抵抗22の一端側については、第1端子214に接続して、当該第1端子214に直接接続してもよいし、あるいは、第1接触部211に接続して、第1端子214に間接的に接続してもよい。なお、並列抵抗22の一端側についても同様であり、第2端子215に接続して、当該第2端子215に直接接続してもよいし、あるいは、第2接触部212に接続して、第2端子215に間接的に接続してもよい。
【0045】
(構成-消火栓装置-発信設備-内部配線)
図4の第1接続端子側内部配線23及び第2接続端子側内部配線24は、消火栓装置100の内部に設けられている内部配線である。
【0046】
第1接続端子側内部配線23の一端側は、常開スイッチ装置21の第1端子214に接続されており、また、第1接続端子側内部配線23の他端側は、端子台25の第1接続端子251を介して、信号線L11(第1外部配線)に接続されている。
【0047】
第2接続端子側内部配線24の一端側は、常開スイッチ装置21の第2端子215に接続されており、また、第2接続端子側内部配線24の他端側は、端子台25の第2接続端子252を介して、コモン線L12(第2外部配線)に接続されている。
【0048】
なお、信号線L11及びコモン線L12は、図3に示すように例えば、防災受信盤3と消火栓装置100(詳細には消火栓装置100の発信設備2)とを相互に接続するために防災受信盤3から導出された外部配線である。これらの外部配線の一端側は、防災受信盤3に接続されており、これらの外部配線の他端側は、消火栓装置103に接続されている。また、これらの外部配線は、消火栓装置101、102に対してわたり配線にて接続されている。
【0049】
(構成-消火栓装置-発信設備-端子台)
図4の端子台25は、第1接続端子251及び第2接続端子252を備える端子台である。第1接続端子251には、第1接続端子側内部配線23及び信号線L11が接続され、また、第2接続端子252には、第2接続端子側内部配線24及びコモン線L12が接続される。
【0050】
なお、バリエーションとしては、端子台25を省略して、第1接続端子側内部配線23及び信号線L11を相互に直接接続したり、第2接続端子側内部配線24及びコモン線L12を相互に直接接続したりしてもよい。
【0051】
そして、消火栓装置100の発信設備2が上述のように構成されていることにより、防災システム901の回路は、概略的には、図5に示す回路となる。
【0052】
(構成-防災受信盤)
次に、図1の防災受信盤3の構成について説明する。図6は、防災受信盤の機能を示すブロック図である。なお、防災受信盤3には、信号線L11及びコモン線L12のセットが複数個接続されており、また、当該セットの個数に対応する個数分だけ受信回路部32が設けられているが、ここでは、例えば、図6の最上段に図示されているものに着目して説明する。
【0053】
図1の防災受信盤3は、消火栓装置100を管理する上位装置であり、信号線L11及びコモン線L12を介して消火栓装置100に電圧(第1供給電圧)及び電流を供給する装置である。防災受信盤3の具体的な構成は任意であり、公知の防災受信盤又は防災受信機の構成を適用することができるので、本願における特徴的な構成についてのみ説明する。
【0054】
防災受信盤3は、例えば、図1の制御部31、図6の受信回路部32、電流監視部33、及び測定切替部34を備える。
【0055】
(構成-防災受信盤-制御部)
図1の制御部31は、防災受信盤3を制御する制御手段であり、例えば、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0056】
この制御部31は、例えば、判定部として機能する。「判定部」とは、例えば、第1外部配線及び第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、通報設備側で消費される第1消費電流に基づいて、第1内部配線、第2内部配線、第1外部配線、又は第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段である。なお、「配線で異常が発生したことを判定する処理」とは、前述の「配線の異常」が発生したことを判定する処理を示す概念である。また、「判定部」は、例えば、所定操作が行われたか否かを判定する処理である操作判定処理も行う。
【0057】
(構成-防災受信盤-受信回路部)
図6の受信回路部32は、信号線L11及びコモン線L12に対して電圧を供給することにより、消火栓装置100の発信設備2に対して電圧を供給して、発信設備2の抵抗値に応じた値の電流を出力する機能を有する。また、受信回路部32は、自己が出力した電流の値(つまり、消火栓装置100で消費される電流(第1消費電流)の値)を測定する機能(第1電流測定手段)も有する。
【0058】
ここでは、例えば、図6の最上段の受信回路部32が、当該図6の最上段の信号線L11及びコモン線L12に対して電圧を供給するように構成されており、また、当該信号線L11及びコモン線L12に対して、図3の各消火栓装置100の発信設備2が接続されていることとして、これらの構成要素に着目して説明する。
【0059】
(構成-防災受信盤-電流監視部)
図6の電流監視部33は、受信回路部32が出力した電流の値(つまり、消火栓装置100で消費される電流の値)を測定する構成要素(第2電流測定手段)である。この電流監視部33の個数は任意であるが、例えば、比較的高価な構成要素であるので、コスト低減の観点からは個数を減少させることが好ましく、本実施の形態では、1個の防災受信盤3に対して1個のみ設けられている場合について説明する。
【0060】
電流監視部33の電流の測定感度(第2感度)は、受信回路部32の電流の測定感度(第1感度)よりも高い感度となっている。「電流監視部33の電流の測定感度」とは、電流監視部33が電流を測定する能力を示す概念であり、具体的には、分解能(どれだけ細かく測定できるかの能力)を示す概念である。また、「受信回路部32の電流の測定感度」についても同様であり、受信回路部32が電流を測定する能力を示す概念であり、具体的には、分解能(どれだけ細かく測定できるかの能力)を示す概念である。
【0061】
すなわち、受信回路部32に比べて電流監視部33の方が、より細かく電流を測定することが可能となっており、一例としては、測定値で2桁分程度細かく電流を測定することが可能となっている。
【0062】
(構成-防災受信盤-測定切替部)
図6の測定切替部34は、電流監視部33によって電流が測定される対象を切り替える構成要素であり、例えば、複数の受信回路部32の内の1個の受信回路部32が出力する電流を電流監視部33が測定可能となるように切り替える構成要素である。なお、測定切替部34による切替動作は、受信回路部32と信号線L11及びコモン線L12との間の接続状態には影響を及ぼさないものとする。
【0063】
防災受信盤3においては、この測定切替部34を動作させることにより、例えば、電流監視部33に対して図6の最上段の受信回路部32から出力された電流を測定させたり、また、図6の2段目の受信回路部32から出力された電流を測定させたりすることが可能となる。
【0064】
(合成抵抗及び消費電流)
次に、防災受信盤3に接続されている複数の消火栓装置100の発信設備2における合成抵抗及び消費電流について説明する。図7図11は、防災システムの説明図である。
【0065】
なお、図7においては、防災システム901の各状態における、発信設備2の合成抵抗の増減(「合成抵抗」の欄)及び発信設備2の消費電流の増減(「消費電流」の欄)が図示されている。なお、各増減については、「番号」=「1」における、断線(配線での異常)が生じておらず、且つ、発信機15(図2)のボタンが押下されていない状態の合成抵抗及び消費電流を基準とした増減を示している。
【0066】
(合成抵抗及び消費電流-所定操作が行われた場合)
発信機15(図2)のボタンが押下された場合(所定操作が行われた場合)、図4のスイッチ部213によって、第1接触部211と第2接触部212との間が短絡されて、複数の発信設備2の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図8の消火栓装置101の発信機15(図2)のボタンが押下された場合、図9に示すように、消火栓装置101の発信設備2における、第1接触部211と第2接触部212とがスイッチ部213を介して短絡されるので、図7の「番号」=「4」に示すように、合成抵抗が減少することにより、消費電流が増加する。
【0067】
(合成抵抗及び消費電流-内部配線で断線が発生した場合)
第1接続端子側内部配線23又は第2接続端子側内部配線24で断線(異常)が発生した場合(内部配線で断線が発生した場合)、当該断線した内部配線に接続されている並列抵抗22を電流が流れなくなり、複数の発信設備2の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図8の消火栓装置101の第1接続端子側内部配線23の点P1の位置で断線が発生した場合、図10に示すように、信号線L11と並列抵抗22との間が電気的に遮断(以下、単に「遮断」とも称する)されるので、図7の「番号」=「3」に示すように、合成抵抗が増加することにより、消費電流が減少する。
【0068】
(合成抵抗及び消費電流-外部配線で断線が発生した場合)
信号線L11又はコモン線L12で断線(異常)が発生した場合(外部配線で断線が発生した場合)、断線箇所よりも下流側(防災受信盤3の反対側)の並列抵抗22を電流が流れなくなり、複数の発信設備2の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図8のコモン線L12における消火栓装置101、102の相互間の点P2の位置で断線が発生した場合、図11に示すように、当該P2の下流側の消火栓装置102、103の並列抵抗22を電流が流れなくなるので、図7の「番号」=「2」に示すように、合成抵抗が増加することにより、消費電流が減少する。
【0069】
(処理)
次に、防災受信盤3によって実行される防災処理について説明する。図12は、防災処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「防災処理」とは、防災に関する処理であり、例えば、監視領域での異常発生を報知したり、また、防災システム901に関する配線の異常を報知したりする処理である。この防災処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、防災受信盤3の電源をオンした後に繰り返し実行を開始することとし、防災処理が起動されたところから説明する(実施の形態2の防災処理も同様とする)。
【0070】
===SA1===
図12のSA1において制御部31は、図6の受信回路部32から信号線L11及びコモン線L12に対して電圧を供給させる。この場合、受信回路部32は、消火栓装置100の発信設備2における合成抵抗の値に応じた値の電流を出力して、信号線L11に供給する。この電流は、図5の発信設備2の回路に供給された後、コモン線L11を介して防災受信盤3に供給されることになる。
【0071】
===SA2===
図12のSA2において制御部31は、押下判定処理を行う。「押下判定処理」とは、前述の操作判定処理であり、例えば、発信機15(図2)のボタンが押下されたことを判定する処理である。具体的には任意であるが、例えば、前述の「(合成抵抗及び消費電流)」で説明したように(図7の「番号」=「4」参照)、発信機15(図2)のボタンが押下された場合(所定操作が行われた場合)、消費電流が増加することに着目して、処理を行う。なお、本実施の形態では、図7の「番号」=「4」の場合に消費電流の値が大きくなりすぎることを防止する観点から、受信回路部32が出力可能な電流の値の上限値が設定されていることとする。
【0072】
処理について具体的には、例えば、制御部31は、受信回路部32の電流を測定する機能によって測定された電流値を示す受信回路側電流値情報を受信回路部32から取得し、取得した受信回路側電流値情報が示す電流値と、押下判定用閾値(発信機15(図2)のボタンが押下されたか否かを判定するために、測定された電流値と比較される閾値であり、例えば、図7の「番号」=「1」の際の消費電流の値よりも大きく、且つ、前述の上限値より小さい値の閾値)との比較結果に基づいて判定する。
【0073】
そして、受信回路側電流値情報が示す電流値が押下判定用閾値未満の場合、発信機15(図2)のボタンは押下されていないものと判定し、一方、受信回路側電流値情報が示す電流値が押下判定用閾値以上の場合、発信機15(図2)のボタンは押下されたものと判定する。
【0074】
なお、押下されていないものと判定された場合は、何らの処理も行わずに、SA3に移行し、一方、押下されたものと判定した場合、監視領域で異常である火災が発生したことを報知する処理(例えば、防災センターに火災発生を通知する通知信号を出力する処理、火災発生を示す警報を出力する処理等)を行った後に、処理を終了する。なお、押下されたものと判定した場合の後の処理のバリエーションとしては、例えば、処理を終了せずに、SA3に移行してもよい。
【0075】
また、ここでの処理のバリエーションとしては、押下判定用閾値との比較は行わず、受信回路側電流値情報が示す電流値の増減に基づいて判定してもよく、例えば、過去の電流値に比べて現在の電流値が一定量以上増加した場合に、押下されたものと判定し、これ以外の場合に、押下されていないものと判定するように構成してもよい。
【0076】
===SA3===
図12のSA3において制御部31は、防災システム901に関する配線の異常を監視するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、監視を行う時間である監視時間が予め定められており、現在の時間が監視時間ではない場合、監視を行わないものと判定し(SA3のNO)、SA2に移行する。一方で、現在の時間が監視時間である場合、監視を行うものと判定し(SA3のYES)、SA4に移行する。
【0077】
ここでは、例えば、監視時間として、午前2時00分、及び午後3時00分が定められており、現在の時間が午前2時00分である場合、防災システム901に関する配線の異常の監視を行うものと判定する。
【0078】
===SA4===
図12のSA4において制御部31は、図6の電流監視部33を用いて消費電流を監視する。具体的には任意であるが、例えば、現在の監視時間に監視対象となっている消火栓装置100に電流を供給している受信回路部32から出力された当該電流(つまり、消火栓装置100の消費電流)を、電流監視部33を用いて測定できるように、測定切替部34を用いて切り替えた上で、電流監視部33によって測定された電流値を示す電流監視部側電流値情報を電流監視部33から取得することにより、消費電流を監視する。
【0079】
===SA5===
図12のSA5において制御部31は、SA4で監視した消費電流に基づいて、防災システム901に関する配線で異常が発生したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、前述の「(合成抵抗及び消費電流)」で説明したように(図7の「番号」=「2」及び「3」参照)、内部配線又は外部配線で断線(異常)が発生した場合、消費電流が減少することに着目して、処理を行う。
【0080】
処理について具体的には、例えば、制御部31は、SA4で取得した電流監視部側電流値情報が示す電流値と、異常判定用閾値(内部配線又は外部配線で異常が発生したか否かを判定するために、測定された電流値と比較される閾値であり、例えば、図7の「番号」=「1」の際の消費電流の値よりも小さく、且つ、図7の「番号」=「2」及び「3」の際の消費電流の値よりも大きい値の閾値)との比較結果に基づいて判定する。
【0081】
そして、電流監視部側電流値情報が示す電流値が異常判定用閾値以上の場合、内部配線及び外部配線で異常が発生していないものと判定し(SA5のNO)、SA2に移行する。一方、電流監視部側電流値情報が示す電流値が異常判定用閾値未満の場合、内部配線(第1接続端子側内部配線23又は第2接続端子側内部配線24)又は外部配線(信号線L11又はコモン線L12)で異常が発生したものと判定し(SA5のYES)、SA6に移行する。
【0082】
ここでは、例えば、図8の消火栓装置101の第1接続端子側内部配線23の点P1の位置で断線が発生した場合、電流監視部側電流値情報が示す電流値が異常判定用閾値未満となり、内部配線又は外部配線で異常が発生したものと判定することになる。
【0083】
また、例えば、図8のコモン線L12における消火栓装置101、102の相互間の点P2の位置で断線が発生した場合も、同様にして、内部配線又は外部配線で異常が発生したものと判定することになる。
【0084】
なお、ここでの処理のバリエーションとしては、異常判定用閾値との比較は行わず、電流監視部側電流値情報が示す電流値の増減に基づいて判定してもよく、例えば、過去の電流値に比べて現在の電流値が一定量以上減少した場合に、異常が発生したものと判定し、これ以外の場合に、異常が発生していないものと判定するように構成してもよい。
【0085】
===SA6===
図12のSA6において制御部31は、防災システム901に関する配線で異常が発生したことを報知する処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、配線で異常が発生したことを示す情報を防災センターに送信したり、あるいは、配線で異常が発生したことを示す警報(光又は音等)を出力したりする。これにて、防災処理の説明を終了する。
【0086】
(消費電流を測定する構成要素)
図7の「番号」=「4」の場合の消費電流は比較的大きく増加(例えば、2mA程度から12mA程度まで増加等)することが想定されるので、図12のSA2の処理では、測定感度が比較的低い受信回路部32の電流測定機能を用いても確実に処理を行うことが可能となっている。一方で、図7の「番号」=「2」及び「3」の場合の消費電流は比較的小幅に減少する可能性(例えば、2mA程度から1.7mA程度まで下減少等)があるので、図12のSA4及びSA5の処理では、測定感度が受信回路部32よりも高い電流監視部33を用いて確実に処理を行うことが可能となっている。
【0087】
なお、バリエーションとしては、消火栓装置100の発信設備2等の回路を任意に変更して、消費電流の変動幅を調整した上で、SA4及びSA5でも、受信回路部32の電流測定機能を用いて処理するように構成してもよい。
【0088】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、消火栓装置100側で消費される第1消費電流に基づいて、第1接続端子側内部配線23、第2接続端子側内部配線24、信号線L11、又はコモン線L12の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行うことにより、例えば、消火栓装置100に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる。
また、第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する電流監視部33による第1消費電流の測定値に基づいて異常発生判定処理を行うことにより、例えば、第1消費電流の測定精度を向上させることができるので、消火栓装置100に関する配線で異常が発生したことをより正確に判定することが可能となる。
また、第1感度で電流を測定する受信回路部32における自己が出力した電流(つまり、消火栓装置100で消費される電流(第1消費電流))を測定する機能による第1消費電流の測定値に基づいて操作判定処理を行うことにより、例えば、適切な感度で測定された第1消費電流に基づいて操作判定処理を行うことができるので、所定操作が行われたか否かを適切に判定することが可能となる。また、例えば、一般的に、電流監視部33を用いるよりも、受信回路部32の電流測定機能を用いた方が、低コストであることが想定されるので、操作判定処理を低コストで行わせることが可能となる。
【0089】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態は、通報システムに関する配線の異常を判定した上で、異常個所を特定する形態である。なお、実施の形態2の構成要素の内の実施の形態1の構成要素と同様なものについては、同一の符号を付し、あるいは、同一名称として記載し、その内容の詳細の説明は省略する。
【0090】
(構成)
まず、本実施の形態の防災システムの構成について説明する。図13は、防災システムを示すブロック図である。なお、防災受信盤3に接続される消火栓装置の個数は任意であるが、図1に図示されているものに着目して説明する。
【0091】
図13の防災システム902は、通報システムであり、例えば、防災受信盤6、及び消火栓装置401~403を備える。なお、消火栓装置401~403については、相互に区別して説明する場合以外は、消火栓装置400と適宜総称する。
【0092】
(構成-消火栓装置)
次に、図13の消火栓装置400の構成について説明する。図14は、防災システムの回路図であり、図15は、防災システムの一部の回路図の詳細であり、図16図18は、防災システムの回路図の説明図である。
【0093】
なお、図14の発信設備5の構成要素である常開スイッチ装置51及び常閉スイッチ装置52については簡略化して図示されており、詳細には、図4及び図15に図示されているように構成されていることとする。また、図16図18においては、図14の防災システム902における2個の外部配線に着目した場合の回路図と等価となる回路が示されている。
【0094】
図13の消火栓装置400は、通報設備であり、具体的には、防災受信盤6によって管理される装置であり、例えば、図2の筐体11、保守扉12、消火栓扉13、消火器扉14、発信機15、及び図14の発信設備5を備える。
【0095】
(構成-消火栓装置-発信設備)
図14の発信設備5は、例えば、常開スイッチ装置51(操作装置)、常閉スイッチ装置52(操作装置)、並列抵抗53、直列抵抗54、第1接続端子側内部配線55(第1内部配線)、第2接続端子側内部配線56(第2内部配線)、第3接続端子側内部配線57(第3内部配線)、及び端子台58を備える。
【0096】
(構成-消火栓装置-発信設備-常開スイッチ装置)
図14の常開スイッチ装置51は、所定操作が行われた場合に発信設備5の電気回路の一部を短絡する装置であり、例えば、A接点に対応する装置である。
【0097】
常開スイッチ装置51の具体的な構成は実施の形態1の常開スイッチ装置21と同様であり、図4に示すように例えば、第1接触部211、第2接触部212、スイッチ部213、第1端子214、及び第2端子215を備える。
【0098】
(構成-消火栓装置-発信設備-常閉スイッチ装置)
図14の常閉スイッチ装置52は、所定操作が行われた場合に発信設備5の電気回路の一部を開放(つまり、電気的に遮断)する装置であり、例えば、B接点に対応する装置である。
【0099】
つまり、本実施の形態の発信設備5においては、所定操作が行われた場合に、前述の常開スイッチ装置51が発信設備5の電気回路の一部を短絡し、且つ、常閉スイッチ装置52が発信設備5の電気回路の一部を開放するように構成されている。
【0100】
常閉スイッチ装置52の具体的な構成は任意であり、公知の構成を適用することができるが、図15に示すように例えば、第1接触部521(常閉側第1スイッチ接触部)、第2接触部522(常閉側第2スイッチ接触部)、スイッチ部523(常開スイッチ)、第1端子524(常閉側第1端子)、及び第2端子525(常閉側第2端子)を備える。
【0101】
スイッチ部523は、常時は第1接触部521と第2接触部522との間を短絡して閉じており、所定操作が行われた場合に第1接触部521と第2接触部522との間を開放する常閉スイッチであり、例えば、導電性の部品である。
【0102】
第1接触部521及び第2接触部522は、所定操作が行われた場合にスイッチ部523から離れて電気的に遮断される部分であり、例えば、導電性の部分である。
【0103】
第1端子524及び第2端子525は、常閉スイッチ装置52の所定位置に設けられている端子である。第1端子524及び第2端子525各々は、例えば、導電線等の配線を介して第1接触部521及び第2接触部522に接続されて導通している端子である。
【0104】
なお、第1接触部521、第2接触部522、第1端子524、及び第2端子525の具体的な構成は任意であり、例えば、前述のように配線を介して接続されるように構成してもよいし、常開スイッチ装置51のバリエーションと同様に、金属板を用いる構成を適用してもよい。
【0105】
(構成-消火栓装置-発信設備-並列抵抗)
図14の並列抵抗53は、常開スイッチ装置51のスイッチ部213に対して並列に接続されるバイパス抵抗である。並列抵抗53は、例えば、常開スイッチ装置51の外部に設けられており、一端側は常開スイッチ装置51の第1端子214に接続されており、また、他端側は常開スイッチ装置51の第2端子215に接続されている。
【0106】
なお、バリエーションとしては、実施の形態1のバリエーションと同様に、並列抵抗53を常開スイッチ装置51の内部に設けてもよい。
【0107】
(構成-消火栓装置-発信設備-直列抵抗)
図14の直列抵抗54は、常閉スイッチ装置52のスイッチ部523に対して直列に接続された抵抗であり、すなわち、常閉スイッチ装置52の第1端子524(図15)及び第2端子525に直列に接続された抵抗である。直列抵抗54は、図15に示すように例えば、常閉スイッチ装置52の外部に設けられており、一端側は常閉スイッチ装置52の第2端子525に接続されており、また、他端側は端子台58の第3接続端子583に接続されている。
【0108】
(構成-消火栓装置-発信設備-内部配線)
図14の第1接続端子側内部配線55、第2接続端子側内部配線56、第3接続端子側内部配線57は、消火栓装置400の内部に設けられている内部配線である。
【0109】
第1接続端子側内部配線55の一端側は、常開スイッチ装置51の第1端子214に接続されており、且つ、常閉スイッチ装置52の第1端子524に接続されている。また、第1接続端子側内部配線55の他端側は、端子台58の第1接続端子581を介して、信号線L21(第1外部配線)に接続されている。
【0110】
第2接続端子側内部配線56の一端側は、常開スイッチ装置51の第2端子215に接続されており、また、第2接続端子側内部配線56の他端側は、端子台58の第2接続端子582を介して、コモン線L22(第2外部配線)に接続されている。
【0111】
第3接続端子側内部配線57の一端側は、直列抵抗54を介して常閉スイッチ装置52の第2端子525に接続されており、また、第3接続端子側内部配線57の他端側は、端子台58の第3接続端子583を介して、予備線L23(第3外部配線)に接続されている。
【0112】
なお、信号線L21、コモン線L22、及び予備線L23は、図14に示すように例えば、防災受信盤6と消火栓装置400(詳細には消火栓装置400の発信設備5)とを相互に接続するために防災受信盤6から導出された外部配線である。これらの外部配線の一端側は、防災受信盤6に接続されており、これらの外部配線の他端側は、消火栓装置403に接続されている。また、これらの外部配線は、消火栓装置401、402に対してわたり配線にて接続されている。
【0113】
なお、本実施の形態では、これらの3本の外部配線(信号線L21、コモン線L22、及び予備線L23)については、後述するように、2本のセット単位で適宜切り替えつつ用いられる。
【0114】
(構成-消火栓装置-発信設備-端子台)
図14の端子台58は、第1接続端子581、第2接続端子582、及び第3接続端子583を備える端子台である。第1接続端子581には、第1接続端子側内部配線55及び信号線L21が接続され、また、第2接続端子582には、第2接続端子側内部配線56及びコモン線L22が接続され、また、第3接続端子583には、第3接続端子側内部配線57及び予備線L23が接続される。
【0115】
なお、バリエーションとしては、端子台58を省略して、第1接続端子側内部配線55及び信号線L21を相互に直接接続したり、第2接続端子側内部配線56及びコモン線L22を相互に直接接続したり、第3接続端子側内部配線57及び予備線L23を相互に直接接続してもよい。
【0116】
そして、消火栓装置400の発信設備5が上述のように構成されていることにより、防災システム902の回路は、概略的には、信号線L21及びコモン線L22が用いられる場合は図16に示す回路となり、また、信号線L21及び予備線L23が用いられる場合は図17に示す回路となり、また、コモン線L22及び予備線L23が用いられる場合は図18に示す回路となる。
【0117】
(構成-防災受信盤)
次に、図13の防災受信盤6の構成について説明する。図19は、防災受信盤の機能を示すブロック図である。なお、防災受信盤6には、信号線L21、コモン線L22、及び予備線L23のセットが複数個接続されており、また、当該セットの個数に対応する個数分だけ受信回路部62が設けられているが、ここでは、例えば、図19の最上段に図示されているものに着目して説明する。
【0118】
図13の防災受信盤6は、消火栓装置400を管理する上位装置であり、信号線L21、コモン線L22、及び予備線L23を介して消火栓装置400に電圧及び電流を供給する装置である。
【0119】
防災受信盤6は、例えば、図13の制御部61、図19の受信回路部62、電流監視部63、測定切替部64、及び接続切替部65を備える。
【0120】
(構成-防災受信盤-制御部)
図13の制御部61は、防災受信盤3を制御する制御手段であり、例えば、前述の判定部、及び特定部として機能する。「特定部」とは、第2外部配線及び第3外部配線に供給される第2供給電圧に基づく第2消費電流であって、通報設備側で消費される第2消費電流と、第3外部配線及び第1外部配線に供給される第3供給電圧に基づく第3消費電流であって、通報設備側で消費される第3消費電流との内の何れか一方又は両方の消費電流に基づいて、第1内部配線又は第1外部配線、あるいは、第2内部配線又は第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定する処理である異常箇所特定処理を行う特定手段である。
【0121】
(構成-防災受信盤-受信回路部)
図19の受信回路部62は、信号線L21、コモン線L22、又は予備線L23の内の2つに対して電圧を供給することにより、消火栓装置400の発信設備5に対して電圧を供給して、発信設備5の抵抗値に応じた値の電流を出力する機能を有する。また、受信回路部62は、自己が出力した電流の値(つまり、消火栓装置400で消費される電流(消費電流)の値)を測定する機能(第1電流測定手段)も有する。
【0122】
ここでは、例えば、図19の最上段の受信回路部62が、当該図19の最上段の信号線L21、コモン線L22、又は予備線L23の内の2つに対して電圧を供給するように構成されており、また、当該信号線L21、コモン線L22、又は予備線L23に対して、図14の各消火栓装置400の発信設備5が接続されていることとして、これらの構成要素に着目して説明する。
【0123】
(構成-防災受信盤-電流監視部)
図19の電流監視部63は、受信回路部62が出力した電流の値(つまり、消火栓装置400で消費される電流の値)を測定する構成要素(第2電流測定手段)である。なお、この電流監視部63の電流の測定感度(第2感度)は、受信回路部62の電流の測定感度(第1感度)よりも高い感度となっている。
【0124】
(構成-防災受信盤-測定切替部)
図19の測定切替部64は、電流監視部63によって電流が測定される対象を切り替える構成要素であり、例えば、複数の受信回路部62の内の1個の受信回路部62が出力する電流を電流監視部63が測定可能となるように切り替える構成要素である。
【0125】
(構成-防災受信盤-接続切替部)
図19の接続切替部65は、防災システム902で行われる動作又は処理に用いられる外部配線を選択して切り替える構成要素であり、例えば、受信回路部62から出力される電流の出力先となる外部配線と、及び、当該電流を防災受信盤6側に戻す外部配線との組み合わせを切り替える構成要素である。
【0126】
接続切替部65は、例えば、受信回路部62(図19の最上段に図示)と、当該受信回路部62に接続可能な外部配線(図19の最上段に図示の信号線L21、コモン線L22、予備線L23)とに関して、信号線L21及びコモン線L22の組み合わせに通電するように切り替えたり(図16参照)、信号線L21及び予備線L23の組み合わせに通電するように切り替えたり(図17参照)、コモン線L22及び予備線L23の組み合わせに通電するように切り替えたりする(図18参照)。
【0127】
(合成抵抗及び消費電流)
次に、防災受信盤6に接続されている複数の消火栓装置400の発信設備5における合成抵抗及び消費電流について説明する。図20図24は、防災システムの説明図である。
【0128】
なお、図20においては、防災システム902の各状態における、発信設備5の合成抵抗の増減(「合成抵抗」の欄)及び発信設備5の消費電流の増減(「消費電流」の欄)が図示されている。なお、各増減については、「番号」=「1」~「3」における、断線(配線での異常)が生じておらず、且つ、発信機15(図2)のボタンが押下されていない状態の合成抵抗及び消費電流を基準とした増減を示している。
【0129】
また、図20の「切替状態」の欄には、図16に示すように信号線L21及びコモン線L22の組み合わせに通電するように切り替えられた状態を示す「信号及びコモン」、図17に示すように信号線L21及び予備線L23の組み合わせに通電するように切り替えられた状態を示す「信号及び予備」、図18に示すようにコモン線L22及び予備線L23の組み合わせに通電するように切り替えられた状態を示す「コモン及び予備」が記載されている。
【0130】
(合成抵抗及び消費電流-所定操作が行われた場合)
図16の「信号及びコモン」の切替状態の場合において、発信機15(図2)のボタンが押下された場合(所定操作が行われた場合)、実施の形態1で説明した通り、複数の発信設備5の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図20の「番号」=「10」に示すように、合成抵抗が減少することにより、消費電流が増加する。
【0131】
また、図17の「信号及び予備」及び図18の「コモン及び予備」の切替状態の場合において、発信機15(図2)のボタンが押下された場合(所定操作が行われた場合)、図15のスイッチ部523が、第1接触部521と第2接触部522から離れて当該各接触部の間が遮断されて、複数の発信設備5の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図17及び図18の消火栓装置401の発信機15(図2)のボタンが押下された場合、第1接触部521及び第2接触部522の間が遮断されるので、図20の「番号」=「11」及び「12」に示すように、合成抵抗が増加することにより、消費電流が減少する。
【0132】
(合成抵抗及び消費電流-信号線側で断線が発生した場合)
図16の「信号及びコモン」の切替状態の場合において、信号線L21側(信号線L21、当該信号線L21に接続されている第1接続端子側内部配線55)で断線(異常)が発生した場合、実施の形態1で説明した通り、複数の発信設備5の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図21の消火栓装置401の第1接続端子側内部配線55の点P3の位置で断線が発生した場合、図22に示すように、信号線L21と並列抵抗53との間が遮断されるので、図20の「番号」=「4」に示すように、合成抵抗が増加することにより、消費電流が減少する。
【0133】
また、図17の「信号及び予備」の切替状態の場合において、信号線L21側で断線(異常)が発生した場合、複数の発信設備5の合成抵抗の値が変化する。ここでは、例えば、図21の消火栓装置401の第1接続端子側内部配線55の点P3の位置で断線が発生した場合、図23に示すように、信号線L21と常閉スイッチ装置52との間が遮断されるので、図20の「番号」=「5」に示すように、合成抵抗が増加することにより、消費電流が減少する。
【0134】
一方、図18の「コモン及び予備」の切替状態の場合において、信号線L21側で断線(異常)が発生した場合、回路に断線の影響がないので、複数の発信設備5の合成抵抗の値は変化しない。ここでは、例えば、図21の消火栓装置401の第1接続端子側内部配線55の点P3の位置で断線が発生した場合、図24に示すように、第1接続端子側内部配線55は回路には含まれず断線の影響がないので、図20の「番号」=「6」に示すように、合成抵抗及び消費電流は変化しないことになる。
【0135】
(合成抵抗及び消費電流-コモン線側で断線が発生した場合)
コモン線L22側(コモン線L22、当該コモン線L22に接続されている第2接続端子側内部配線56)で断線(異常)が発生した場合、各切替状態に応じて、合成抵抗及び消費電流は、図20の「番号」=「7」~「9」に示す通りとなる。
【0136】
なお、各切替状態の場合の消費電流が「第1消費電流」、「第2消費電流」、及び「第3消費電流」に対応するものと解釈してもよい。
【0137】
(処理)
次に、防災受信盤6によって実行される防災処理について説明する。図25は、防災処理のフローチャートである。
【0138】
===SB1===
図25のSB1において制御部61は、図19の接続切替部65を制御して図16の「信号及びコモン」の切替状態にした上で、図19の受信回路部62から信号線L21及びコモン線L22に対して電圧を供給させる。この場合、受信回路部62は、消火栓装置400の発信設備5における合成抵抗の値に応じた値の電流を出力して、信号線L21に供給する。この電流は、図16の発信設備5の回路に供給された後、コモン線L22を介して防災受信盤6に供給されることになる。
【0139】
===SB2===
図25のSB2において制御部61は、押下判定処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、前述の「(合成抵抗及び消費電流)」で説明したように(図20の「番号」=「10」参照)、発信機15(図2)のボタンが押下された場合(所定操作が行われた場合)、消費電流が増加することに着目して、処理を行う。詳細には、実施の形態1の図12のSA2と同様な処理を行う。
【0140】
===SB3~SB5===
図25のSB3~SB5において制御部61は、実施の形態1の図12のSA3~SA
5と同様な処理を行う。
【0141】
ここでは、例えば、図21の消火栓装置401の第1接続端子側内部配線55の点P3の位置で断線が発生した場合、図25のSB5において、内部配線(第1接続端子側内部配線55又は第2接続端子側内部配線56)又は外部配線(信号線L21又はコモン線L22)で異常が発生したものと判定し(SB5のYES)、SB6に移行する。
【0142】
===SB6===
図25のSB6において制御部61は、異常個所特定処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、図19の接続切替部65を制御して切替状態を変更することが可能である点、図20の番号「5」~「6」に示す通り、信号線L21側(つまり、信号線L21又は第1接続端子側内部配線55)で断線が発生した場合には、「切替状態」=「信号及び予備」の場合に消費電流が減少し、一方、「切替状態」=「コモン及び予備」の場合に消費電流が変化しない点(以下、「信号線L21側の断線に関する観点」)、及び、図20の番号「8」~「9」に示す通り、コモン線L22側(つまり、コモン線L22又は第2接続端子側内部配線56)で断線が発生した場合には、「切替状態」=「信号及び予備」の場合に消費電流が変化せず、一方、「切替状態」=「コモン及び予備」の場合に消費電流が減少する点(以下、「コモン線L22側の断線に関する観点」)に着目して、処理を行う。
【0143】
==具体的な処理==
処理について具体的には、以下の第1処理~第7処理を行う。
【0144】
<第1処理>
第1処理において、制御部61は、図19の接続切替部65を制御して、図23の「信号及び予備」の切替状態に切り替える。
【0145】
<第2処理>
第2処理において、制御部61は、実施の形態1の図12のSA4と同様にして、図19の受信回路部62から出力された電流(つまり、消火栓装置400の消費電流)を、電流監視部63を用いて測定できるように、測定切替部64を用いて切り替えた上で、図23の「信号及び予備」の切替状態において、電流監視部63によって測定された電流値を示す第1電流監視部側電流値情報を電流監視部63から取得する。
【0146】
<第3処理>
第3処理において、制御部61は、図19の接続切替部65を制御して、図24の「コモン及び予備」の切替状態に切り替える。
【0147】
<第4処理>
第4処理において、制御部61は、上述の「第2処理」と同様な処理を行って、図24の「コモン及び予備」の切替状態において、電流監視部63によって測定された電流値を示す第2電流監視部側電流値情報を電流監視部63から取得する。
【0148】
<第5処理>
第5処理において、制御部61は、第2処理で取得した第1電流監視部側電流値情報が示す電流値(つまり、図23の「信号及び予備」の切替状態での消費電流の値)と、第1増減判定基準値とを比較し、比較結果に基づいて、「信号及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したか否かを判定する。
【0149】
なお、「第1増減判定基準値」とは、「信号及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したか否かを判定する基準となる電流値であり、例えば、図20の「番号」=「2」の際の消費電流の値よりも僅かに小さく、且つ、図20の「番号」=「5」の際の消費電流の値よりも大きい値に設定されている。
【0150】
そして、第1電流監視部側電流値情報が示す電流値が第1増減判定基準値以上の場合、「信号及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少しているわけではないものと判定し(つまり、消費電流が変化していないものと判定し)(NO)、一方、第1電流監視部側電流値情報が示す電流値が第1増減判定基準値未満の場合、「信号及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したものと判定する(YES)。
【0151】
<第6処理>
第6処理において、制御部61は、第4処理で取得した第2電流監視部側電流値情報が示す電流値(つまり、図24の「コモン及び予備」の切替状態での消費電流の値)と、第2増減判定基準値とを比較し、比較結果に基づいて、「コモン及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したか否かを判定する。
【0152】
なお、「第2増減判定基準値」とは、「コモン及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したか否かを判定する基準となる電流値であり、例えば、図20の「番号」=「3」の際の消費電流の値よりも僅かに小さく、且つ、図20の「番号」=「6」の際の消費電流の値よりも大きい値に設定されている。
【0153】
そして、第2電流監視部側電流値情報が示す電流値が第2増減判定基準値以上の場合、「コモン及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少しているわけではないものと判定し(つまり、消費電流が変化していないものと判定し)(NO)、一方、第2電流監視部側電流値情報が示す電流値が第2増減判定基準値未満の場合、「コモン及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したものと判定する(YES)。
【0154】
<第7処理>
図26は、断線を判定する処理例の説明図である。第7処理において、制御部61は、第5処理~第6処理の処理結果に基づいて、断線した配線を特定する。具体的には任意であるが、例えば、前述の「信号線L21側の断線に関する観点」及び「コモン線L22側の断線に関する観点」を考慮して、図26の「番号」=「1」~「2」に示す通り特定する。
【0155】
例えば、図26の「番号」=「1」に示すように、第5処理で「信号及び予備」の切替状態の消費電流が減少したものと判定し、第6処理で「コモン及び予備」の切替状態の消費電流が変化していないものと判定した場合、信号線L21側で断線が発生したことを特定する。
【0156】
例えば、図26の「番号」=「2」に示すように、第5処理で「信号及び予備」の切替状態の消費電流が変化していないものと判定し、第6処理で「コモン及び予備」の切替状態の消費電流が減少したものと判定した場合、コモン線L22側で断線が発生したことを特定する。
【0157】
ここでは、例えば、図21の消火栓装置401の第1接続端子側内部配線55の点P3の位置で断線が発生した場合、第5処理では、図23の通り断線の影響が有るので、「信号及び予備」の切替状態において断線に起因して消費電流が減少したか否かを判定し、第6処理では、図24の通り断線の影響が無いので、「コモン及び予備」の切替状態において変化していないものと判定する。そして、第7処理において、図26の「番号」=「1」に該当するので、信号線L21側で断線が発生したことを特定する。
【0158】
==バリエーション==
図26に示すように、前述の第5処理又は第6処理の内の一方のみの処理結果に基づいて、断線した配線を特定可能である点に着目して、第5処理又は第6処理の一方の処理を省略し、省略されていない他方の処理の処理結果に基づいて断線した配線を特定するように構成してもよい。なお、この場合、省略された一方の処理に関連する他の処理(例えば、第6処理が省略された場合の第3処理及び第4処理等)も省略してもよい。
【0159】
===SB7===
図25のSB7において制御部61は、SB5で特定した断線した配線に関する情報を報知する処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、断線した配線を示す情報を防災センターに送信したり、あるいは、断線した配線を示す情報を表示出力又は音声出力したりする。
【0160】
===SB8===
図25のSB8において制御部61は、図19の接続切替部65を制御して、断線の影響が無い切替状態に切り替える。具体的には任意であるが、例えば、SB6で信号線L21側で断線が発生したことを特定した場合、図18の「コモン及び予備」の切替状態に切り替え、また、SB6でコモン線L22側で断線が発生したことを特定した場合、図17の「信号及び予備」の切替状態に切り替える。
【0161】
===SB9===
図25のSB9において制御部61は、SB8で切り替えられた切替状態で、操作判定処理を行う。具体的には任意であり、概略的には、実施の形態1の図12のSA2の処理と同様な処理を行う。ただし、図20の「番号」=「11」及び「12」に示す通り、発信機15(図2)のボタンが押下された場合、実施の形態1の図12のSA2の場合とは異なり、減少することになるので、この点を考慮して、以下の処理を行う。また、この場合の消費電流の減少幅は比較的小さくなるので、より高い感度で電流を測定することが好ましい点を考慮して、以下の処理を行う。
【0162】
処理について具体的には、例えば、制御部61はSB8で切替状態が切り替えられた受信回路部62(例えば、図19の最上段の受信回路部62)からの電流を電流監視部63で測定できるように測定切替部64を制御した上で、電流監視部63によって測定された電流値を示す電流監視部側電流値情報を当該電流監視部63から取得し、取得した電流監視部側電流値情報が示す電流値と、切替後押下判定用閾値(発信機15(図2)のボタンが押下されたか否かを判定するために、測定された電流値と比較される閾値であり、例えば、図20の「番号」=「2」(又は「3」)の際の消費電流の値よりも小さく、且つ、図20の「番号」=「11」(又は「12」)の際の消費電流の値よりも大きい値の閾値)との比較結果に基づいて判定する。
【0163】
そして、電流監視部側電流値情報が示す電流値が切替後押下判定用閾値以上の場合、発信機15(図2)のボタンは押下されていないものと判定し、一方、電流監視部側電流値情報が示す電流値が押下判定用閾値未満の場合、発信機15(図2)のボタンは押下されたものと判定する。
【0164】
なお、ここでの処理のバリエーションとしては、切替後押下判定用閾値との比較は行わず、電流監視部側電流値情報が示す電流値の増減に基づいて判定してもよく、例えば、過去の電流値に比べて現在の電流値が一定量以上減少した場合に、押下されたものと判定し、これ以外の場合に、押下されていないものと判定するように構成してもよい。これにて、防災処理の説明を終了する。
【0165】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、第2消費電流又は第3消費電流の一方又は両方に基づいて異常箇所特定処理を行うことにより、例えば、信号線L21側(つまり、信号線L21又は第1接続端子側内部配線55)、あるいは、コモン線L22側(つまり、コモン線L22又は第2接続端子側内部配線56)の何れで異常が発生したかを特定することが可能となる。
【0166】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0167】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0168】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0169】
(抵抗値について)
また、実施の形態1の消火栓装置100各々の並列抵抗22については、相互に同じ抵抗値とすることを前提として説明したが、これに限らず、一部のみ同じ抵抗値としたり、全て異なる抵抗値としたりしてもよい。また、消火栓装置100各々の並列抵抗22の抵抗値を適切に設定することにより、異常発生位置に対応する消費電流となるように構成し、消費電流の値に応じて異常発生位置を、より詳細に特定するように構成してもよい。なお、実施の形態2の消火栓装置400各々の並列抵抗53又は直列抵抗54についても、相互に同じ抵抗値とすることを前提として説明したが、これに限らず、前述の場合と同様に構成してもよい。
【0170】
(異常について)
また、上記実施の形態は、主に「異常」が断線である場合について説明したが、配線において断線以外の異常(例えば、短絡、断線の予兆、又は短絡の予兆)が発生した場合、配線の抵抗値が変化することにより、消費電流が変化するので、この消費電流の変化に基づいて当該異常を判定するように構成することにより、断線以外の異常も判定することが可能となる。
【0171】
(スイッチ装置について)
また、上記実施の形態の図4の常開スイッチ装置21の代わりに、別な構成の常開スイッチ装置を適用してもよい。図27は、常開スイッチ装置を示す図である。例えば、常開スイッチ装置21の代わり、図27の常開スイッチ装置71を適用してもよい。
【0172】
常開スイッチ装置71は、接触部711、スイッチ部712、第1端子713、及び第2端子714を備える。接触部711は、常時はスイッチ部712から離れており所定操作が行われた場合にスイッチ部712の先端が接続される部分である。スイッチ部712は、所定操作が行われた場合に接触部111と接触して導通する常開スイッチである。第1端子713及び第2端子714各々は、導電線等の配線を介して接触部711及びスイッチ部712に接続されている。
【0173】
また、この常開スイッチ装置71のスイッチ部712を、常時は接触部711に接続されており、所定操作が行われた場合に接触部711から離れて開放する常閉スイッチとして構成した上で、当該常開スイッチ装置71を、図15の常閉スイッチ装置52の代わりに適用してもよい。
【0174】
なお、図27の常開スイッチ装置71を用いる場合、スイッチ部712における接触部711と接触する一部(図27の図面左側の先端部分)又は接触部711又が、「常開側第1スイッチ接触部」、「常開側第2スイッチ接触部」、「常開側第1スイッチ接触部」、又は「常開側第2スイッチ接触部」に対応するものと解釈してもよい。また、スイッチ部712が「常開スイッチ」又は「常閉スイッチ」に対応するものと解釈してもよい。また、第1端子713及び第2端子714が「常開側第1端子」、「常開側第2端子」、「常閉側第1端子」、又は「常閉側第2端子」に対応するものと解釈してもよい。
に適用してもよい。
【0175】
(配線異常監視について)
現在の時間が監視時間である場合に、配線の異常の監視を行うものとしているが、これに限らない。
例えば、配線の異常の監視を行う対象の配線を順次切り替えることで、常時周期的に各配線の異常の監視を行うようにしてもよい。
【0176】
(用語の解釈について)
また、防災受信盤3、6自体又は防災受信盤3、6における各線(例えば、信号線L22、L21、コモン線L12、L22、予備線L23)が接続される部分については、消火栓装置100、400(通報設備)の「外部」に該当するものと解釈してもよい。また、図7及び図20で説明した内部配線での異常(例えば断線)発生時の合成抵抗及び消費電流の変化については、消火栓装置100、400が、消火栓装置100、400に設けられている構成要素により、異常が発生していないときと比較して、各内部配線における各外部配線と接続される側の端部側の間における電気的特性を異ならせることにより、発生するものと解釈することもできる。
【0177】
(特徴について)
また、上記実施の形態の構成、及び変形例の特徴を、任意に組み合わせてもよい。
【0178】
(付記)
付記1の通報システムは、防災に関する通報を行う通報設備と、前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムであって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子とを備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、前記上位装置は、前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える。
【0179】
付記2の通報システムは、付記1に記載の通報システムにおいて、前記上位装置は、第1感度で電流を測定する第1電流測定手段と、前記第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する第2電流測定手段と、を備え、前記判定手段は、前記第2電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記異常発生判定処理を行う。
【0180】
付記3の通報システムは、付記2に記載の通報システムにおいて、前記判定手段は、前記第1消費電流に基づいて、前記所定操作が行われたか否かを判定する処理である操作判定処理、を更に行い、前記判定手段は、前記第1電流測定手段による前記第1消費電流の測定値に基づいて、前記操作判定処理を行う。
【0181】
付記4の通報システムは、付記1から3の何れか一項に記載の通報システムにおいて、前記操作装置は、常閉側第1スイッチ接触部と、常閉側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、前記通報設備は、前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、第3内部配線と、を更に備え、前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、前記第3内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第3外部配線に接続されており、前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、前記上位装置は、前記第2外部配線及び前記第3外部配線に供給される第2供給電圧に基づく第2消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第2消費電流と、前記第3外部配線及び前記第1外部配線に供給される第3供給電圧に基づく第3消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第3消費電流との内の何れか一方又は両方の消費電流に基づいて、前記第1内部配線又は前記第1外部配線、あるいは、前記第2内部配線又は前記第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定する処理である異常箇所特定処理を行う特定手段、を更に備える。
【0182】
付記5の通報設備は、防災に関する通報を行う通報設備と、前記通報設備を管理する上位装置と、を備える通報システムの前記通報設備であって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、を備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記上位装置から導出された第2外部配線に接続されており、前記上位装置は、前記第1外部配線及び前記第2外部配線に供給される第1供給電圧に基づく第1消費電流であって、前記通報設備側で消費される前記第1消費電流に基づいて、前記第1内部配線、前記第2内部配線、前記第1外部配線、又は前記第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行う判定手段、を備える。
【0183】
付記6の通報設備は、防災に関する通報を行う通報設備であって、前記通報設備は、常開側第1スイッチ接触部と、常開側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常開側第1スイッチ接触部と前記常開側第2スイッチ接触部との間を短絡する常開スイッチと、前記常開側第1スイッチ接触部と導通する常開側第1端子と、前記常開側第2スイッチ接触部と導通する常開側第2端子と、を備える操作装置と、一端側が前記常開側第1端子に接続されており、他端側が前記常開側第2端子に接続されているバイパス抵抗と、第1内部配線と、第2内部配線と、を備え、前記第1内部配線の一端側は、前記常開側第1端子に接続されており、前記第1内部配線の他端側は、外部へと接続される第1外部配線に接続されており、前記第2内部配線の一端側は、前記常開側第2端子に接続されており、前記第2内部配線の他端側は、前記第1外部配線とは異なる外部へと接続される第2外部配線に接続されており、前記第1内部配線、前記第2内部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第2内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる。
【0184】
付記7の通報設備は、付記6に記載の通報設備において、前記操作装置は、常閉側第1スイッチ接触部と、常閉側第2スイッチ接触部と、所定操作が行われた場合に前記常閉側第1スイッチ接触部と前記常閉側第2スイッチ接触部との間を開放する常閉スイッチと、前記常閉側第1スイッチ接触部と導通する常閉側第1端子と、前記常閉側第2スイッチ接触部と導通する常閉側第2端子と、を更に備え、前記通報設備は、前記常閉側第1端子及び前記常閉側第2端子に直列に接続された直列抵抗と、第3内部配線と、を更に備え、前記第3内部配線の一端側は、前記常閉側第2端子に接続されており、前記第3内部配線の他端側は、前記第1外部配線および前記第2外部配線とは異なる外部へと接続される第3外部配線に接続されており、前記第1内部配線の一端側は、前記常閉側第1端子にも接続されており、前記第1内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第1内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせ、前記第2内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、前記第2内部配線の他端側と前記第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせる。
【0185】
(付記の効果)
付記1に記載の通報システム、及び付記5に記載の通報設備によれば、通報設備側で消費される第1消費電流に基づいて、第1内部配線、第2内部配線、第1外部配線、又は第2外部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したことを判定する処理である異常発生判定処理を行うことにより、例えば、通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる。
【0186】
付記2に記載の通報システムによれば、第1感度よりも高い第2感度で電流を測定する第2電流測定手段による第1消費電流の測定値に基づいて異常発生判定処理を行うことにより、例えば、第1消費電流の測定精度を向上させることができるので、通報設備に関する配線で異常が発生したことをより正確に判定することが可能となる。
【0187】
付記3に記載の通報システムによれば、第1感度で電流を測定する第1電流測定手段による第1消費電流の測定値に基づいて操作判定処理を行うことにより、例えば、適切な感度で測定された第1消費電流に基づいて操作判定処理を行うことができるので、所定操作が行われたか否かを適切に判定することが可能となる。また、例えば、一般的に、第2電流測定手段を用いるよりも、第1電流測定手段を用いた方が、低コストであることが想定されるので、操作判定処理を低コストで行わせることが可能となる。
【0188】
付記4に記載の通報システムによれば、第2消費電流又は第3消費電流の一方又は両方に基づいて異常箇所特定処理を行うことにより、例えば、第1内部配線又は第1外部配線、あるいは、第2内部配線又は第2外部配線の何れで異常が発生したかを特定することが可能となる。
【0189】
付記6に記載の通報設備によれば、第1内部配線、第2内部配線の内の何れか一個の配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第1内部配線の他端側と第2内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせることにより、例えば、通報設備に関する配線で異常が発生したことを判定することが可能となる。
【0190】
付記7に記載の通報設備によれば、第1内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第1内部配線の他端側と第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせ、第2内部配線で異常が発生したときに、異常が発生していないときと比較して、第2内部配線の他端側と第3内部配線の他端側との間における電気的特性を異ならせることにより、例えば、第1内部配線又は第2内部配線の何れで異常が発生したかを特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0191】
2 発信設備
3 防災受信盤
5 発信設備
6 防災受信盤
11 筐体
12 保守扉
13 消火栓扉
14 消火器扉
15 発信機
21 常開スイッチ装置
22 並列抵抗
23 第1接続端子側内部配線
24 第2接続端子側内部配線
25 端子台
31 制御部
32 受信回路部
33 電流監視部
34 測定切替部
51 常開スイッチ装置
52 常閉スイッチ装置
53 並列抵抗
54 直列抵抗
55 第1接続端子側内部配線
56 第2接続端子側内部配線
57 第3接続端子側内部配線
58 端子台
61 制御部
62 受信回路部
63 電流監視部
64 測定切替部
65 接続切替部
100 消火栓装置
101 消火栓装置
102 消火栓装置
103 消火栓装置
211 第1接触部
212 第2接触部
213 スイッチ部
214 第1端子
215 第2端子
251 第1接続端子
252 第2接続端子
400 消火栓装置
401 消火栓装置
402 消火栓装置
403 消火栓装置
521 第1接触部
522 第2接触部
523 スイッチ部
524 第1端子
525 第2端子
581 第1接続端子
582 第2接続端子
583 第3接続端子
901 防災システム
902 防災システム
L11 信号線
L12 コモン線
L21 信号線
L22 コモン線
L23 予備線
P1 点
P2 点
P3 点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27