IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナホーム株式会社の特許一覧

特開2024-117164集合住宅の換気システム及び集合住宅
<>
  • 特開-集合住宅の換気システム及び集合住宅 図1
  • 特開-集合住宅の換気システム及び集合住宅 図2
  • 特開-集合住宅の換気システム及び集合住宅 図3
  • 特開-集合住宅の換気システム及び集合住宅 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117164
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】集合住宅の換気システム及び集合住宅
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240822BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 1/0035 20190101ALI20240822BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
F24F7/06 L
F24F7/10 Z
F24F7/007 B
F24F13/28
F24F1/0035
F24F11/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023098
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】辻 正雄
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩
(72)【発明者】
【氏名】奥田 弘之
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L058BE08
3L058BG03
3L260AB15
3L260BA13
3L260CA14
3L260CA28
3L260FC02
(57)【要約】
【課題】 屋内共用部の空気の汚染を改善することができる集合住宅の換気システムを提供する。
【解決手段】 複数の住戸3と、複数の住戸3に面し、かつ、外気から区画された共用空間である屋内共用部4とを含む集合住宅2の換気システム1である。この換気システム1は、屋内共用部4に、外気A1を供給して屋内共用部4を換気するための第1給気ファン31を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸と、前記複数の住戸に面し、かつ、外気から区画された共用空間である屋内共用部とを含む集合住宅の換気システムであって、
前記屋内共用部に、外気を供給して前記屋内共用部を換気するための第1給気ファンを含む、
集合住宅の換気システム。
【請求項2】
前記複数の住戸のうち少なくとも1つの住戸と、前記屋内共用部とを連通する空気流路を含む、請求項1に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項3】
前記屋内共用部の空気を前記空気流路に供給するための第2給気ファンを含む、請求項2に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項4】
前記第1給気ファンと前記第2給気ファンとを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記屋内共用部が正圧となるように、前記第1給気ファンによる外気供給量を前記第2給気ファンによる空気供給量よりも大きくなるように制御する、請求項3に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記屋内共用部の換気回数が2.5回/Hr以上となるように、前記外気供給量を調節する、請求項4に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項6】
前記第1給気ファンは、前記外気を清浄化するための第1フィルタを含み、
前記第1フィルタは、前記屋内共用部からアクセス可能に設けられている、請求項1に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項7】
前記空気流路は、前記屋内共用部の空気を清浄化するための第2フィルタを含み、
前記第2フィルタは、前記屋内共用部からアクセス可能に設けられている、請求項2に記載の集合住宅の換気システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載された換気システムを具える、集合住宅。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の換気システムと、前記屋内共用部を空調するための空気調和機とを含む、集合住宅の換気空調システム。
【請求項10】
前記請求項9に記載の換気空調システムを具える、集合住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の換気システム及び集合住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の住戸を含む集合住宅が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-217921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、集合住宅において、各住戸に面する廊下や階段室等の共用部を、外気から区画されるように設けて屋内共用部とすることがある。このような屋内共用部は、防犯等の観点では優れるが、24時間換気の対象とされていないことから、空気の汚染等について改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、屋内共用部の空気の汚染を改善することができる集合住宅の換気システムを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の住戸と、前記複数の住戸に面し、かつ、外気から区画された共用空間である屋内共用部とを含む集合住宅の換気システムであって、前記屋内共用部に、外気を供給して前記屋内共用部を換気するための第1給気ファンを含む、集合住宅の換気システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の集合住宅の換気システムは、上記の構成を採用することで、屋内共用部の空気の汚染を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の集合住宅の換気システムを具えた集合住宅を示す概念図である。
図2】集合住宅の換気システムの作用を説明する概念図である。
図3】本実施形態の制御装置の構成を示す概念図である。
図4】本実施形態の換気空調システムを具えた集合住宅を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[集合住宅]
図1は、本実施形態の集合住宅の換気システム(以下、単に「換気システム」ということがある。)1を具えた集合住宅2を示す概念図である。集合住宅2は、例えば、アパートやマンションとして構成される。本実施形態では、2階建ての集合住宅2である場合が例示されるが、例えば、1階建ての集合住宅であってもよいし、3階建て以上の集合住宅であってもよい。
【0011】
集合住宅2は、複数の住戸3と、屋内共用部4とを含んで構成されている。これらの複数の住戸3及び屋内共用部4は、例えば、従来の集合住宅2と同様に、基礎5、外壁6、内壁7、床8、天井9及び屋根10等を含んで構成されている。
【0012】
基礎5は、例えば、鉄筋コンクリートで形成されている。基礎5で区画される領域には、例えば、土間(土間コンクリート)11が設けられている。
【0013】
外壁6は、集合住宅2の内部の空間(本例では、複数の住戸3及び屋内共用部4を含む)を区画するためのものである。一方、内壁7は、複数の住戸3と屋内共用部4とを区画するためのものである。これらの外壁6及び内壁7は、基礎5の上に配されている。
【0014】
本実施形態の床8は、1階の床8Aと、2階の床8Bとを含んで構成されている。1階の床8Aは、集合住宅2の1階において、複数の住戸3及び屋内共用部4の床を構成している。
【0015】
本実施形態において、複数の住戸3の1階の床8Aは、例えば、基礎5の上に配されている。これにより、本実施形態の集合住宅2には、1階の床8Aと、基礎5と、土間11とで区画された床下空間12が設けられる。一方、屋内共用部4の1階の床8Aは、土間床として構成されている。なお、これらの1階の床8Aは、このような態様に限定されるわけではない。
【0016】
本実施形態の天井9は、1階の天井9Aと、2階の天井9Bとを含んで構成されている。本実施形態では、1階の天井9Aと2階の床8Bとの間に、階間13が形成されている。また、2階の天井9Bと屋根10との間に、小屋裏14が形成されている。
【0017】
[住戸]
各住戸3は、集合住宅2の一戸一戸であり、居住者の専有部である。各住戸3は、住居として必要な機能を具えており、例えば、居室16、トイレ17及び浴室(図示省略)等を含んで構成される。
【0018】
本実施形態の複数の住戸3は、1階の住戸3Aと、2階の住戸3Bとを含んで構成されている。1階の住戸3A及び2階の住戸3Bのそれぞれは、1戸のみであっても良いし、複数戸が含まれていてもよい。なお、1階の住戸3A及び2階の住戸3Bのそれぞれに、複数戸が含まれる場合には、それらの住戸3は、界壁(図示省略)によって区画される。
【0019】
本実施形態の1階の住戸3Aは、1階の床8A、1階の天井9A、外壁6及び内壁7によって区画されている。1階の住戸3Aにおいて、居室16と、トイレ17及び浴室(図示省略)とが、間仕切り壁19及び建具(扉)20で区画されている。本実施形態の建具20には、居室16と、トイレ17及び浴室との間で、空気の行き来が可能とされている。
【0020】
本実施形態の2階の住戸3Bは、2階の床8B、2階の天井9B、外壁6及び内壁7によって区画されている。2階の住戸3Bにおいて、居室16と、トイレ17及び浴室(図示省略)とが、間仕切り壁19及び建具(扉)20で区画されている。本実施形態の建具20には、居室16と、トイレ17及び浴室との間で、空気の行き来が可能とされている。
【0021】
[屋内共用部]
屋内共用部4は、複数の住戸3に面し、かつ、外気から区画された共用空間である。この屋内共用部4は、例えば、各住戸3に面する廊下や階段室等として構成される。このような屋内共用部4は、集合住宅2の外部(屋外22)と隔てられるため、防犯性が向上する。
【0022】
本実施形態の屋内共用部4は、1階の屋内共用部4Aと、2階の屋内共用部4Bとを含んで構成されている。これらの1階の屋内共用部4A及び2階の屋内共用部4Bは、廊下である場合が例示される。
【0023】
1階の屋内共用部4Aは、1階の住戸3Aに面している。本実施形態の1階の屋内共用部4Aは、1階の床8A、1階の天井9A、外壁6及び内壁7によって区分される。内壁7には、例えば、1階の屋内共用部4Aと1階の住戸3Aとの間で開閉可能な建具(例えば、扉や窓など)21が設けられている。
【0024】
2階の屋内共用部4Bは、2階の住戸3Bに面している。本実施形態の2階の屋内共用部4Bは、2階の床8B、2階の天井9B、外壁6及び内壁7によって区分される。内壁7には、例えば、2階の屋内共用部4Bと2階の住戸3Bとの間で開閉可能な建具(例えば、扉や窓など)21が設けられている。
【0025】
本実施形態の屋内共用部4は、1階の屋内共用部4Aと、2階の屋内共用部4Bとの間で昇降可能な階段を有する階段室4Cが設けられている。この階段室4Cを介して、1階の屋内共用部4Aと、2階の屋内共用部4Bとの間で、空気の行き来が可能とされている。
【0026】
[集合住宅の換気システム(第1実施形態)]
本実施形態の換気システム1は、集合住宅2を換気するためのものである。本実施形態の換気システム1には、第1給気ファン31が含まれる。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。したがって、ファンは、空気を圧送可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0027】
[第1給気ファン]
第1給気ファン31は、屋内共用部4に外気を供給して、屋内共用部4を換気するためのものである。本実施形態では、屋内共用部4を区画する外壁6に、屋内共用部4と屋外22とを連通可能な通気孔23が設けられており、この通気孔23に第1給気ファン31が設置されている。本実施形態の通気孔23及び第1給気ファン31は、1階の屋内共用部4Aに設けられているが、特に限定されない。通気孔23及び第1給気ファン31は、例えば、2階の屋内共用部4Bに設けられてもよいし、1階の屋内共用部4A及び2階の屋内共用部4Bの双方に設けられてもよい。
【0028】
図2は、集合住宅の換気システム1の作用を説明する概念図である。本実施形態の換気システム1は、第1給気ファン31の運転により、屋外22から屋内共用部4に外気A1が供給される。本実施形態の第1給気ファン31は、1階の屋内共用部4Aに設けられているため、1階の屋内共用部4Aに、外気A1が供給される。1階の屋内共用部4Aに供給された外気A1は、階段室4Cを介して、2階の屋内共用部4Bに供給される。これにより、屋内共用部4の全体に、外気A1が供給されうる。
【0029】
屋内共用部4に供給された外気A1は、例えば、屋内共用部4に形成された隙間(図示省略)や、屋内共用部4に面する複数の住戸3等を介して、屋外22に排気されうる。
【0030】
このように、本実施形態の換気システム1(集合住宅2)では、外気(屋外22)から区画された屋内共用部4に、新鮮な外気A1が供給されることで、屋内共用部4の空気が入れ替えられうる。これにより、屋内共用部4に生じやすい空気の汚染が改善されうる。
【0031】
[第1フィルタ]
第1給気ファン31には、外気A1を清浄化するための第1フィルタ41が設けられるのが好ましい。このような第1フィルタ41により、外気A1に含まれる粉塵やウイルス等が効率よく除去されうる。したがって、屋内共用部4の空気の汚染を改善しつつ、屋内共用部4の空気質の向上が図られる。
【0032】
第1フィルタ41には、公知のフィルタ部材が適宜選択されうる。本実施形態のフィルタ部材には、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ、光触媒フィルタ、活性炭脱臭フィルタ、又は、電気集塵フィルタ等が採用されうる。また、これらを組み合わせて、第1フィルタ41が構成されてもよい。
【0033】
第1フィルタ41は、屋内共用部4からアクセス可能に設けられるのが好ましい。これにより、第1フィルタ41のメンテナンス(例えば、洗浄や交換など)が容易となり、長期間に亘って、屋内共用部4の空気の汚染が改善されうる。第1フィルタ41は、屋内共用部4からアクセス可能であれば、適宜設置される。本実施形態の第1フィルタ41は、図1に示した1階の屋内共用部4を区画する外壁6側に固定されている。
【0034】
[空気流路]
本実施形態では、複数の住戸のうち少なくとも1つの住戸3と、屋内共用部4とを連通する空気流路33が含まれている。このような空気流路33により、屋内共用部4の空気A2(外気A1)が、住戸3に供給される。これにより、住戸3が換気されうる。さらに、屋内共用部4の空気A2によって住戸3の換気が可能となるため、例えば、各住戸3を区画する外壁6(図1において、左側の外壁6)に、外気A1を供給するための給気口(図示省略)を設置する必要がない。このため、外壁6への給気口の設置を最小限に抑えることができ、集合住宅2の外観の悪化が抑制されうる。
【0035】
本実施形態の空気流路33は、全ての住戸3に設けられるのが好ましい。これにより、屋内共用部4の空気A2を用いて、全ての住戸3の換気が可能となるため、図1に示した住戸3を区画する外壁6に、給気口(図示省略)が設置されるのが抑制される。したがって、集合住宅2の外観の悪化が抑制されうる。
【0036】
空気流路33は、各住戸3において、居室16に連通しているのが好ましい。これにより、新鮮な外気A1(屋内共用部4の空気A2)が、居室16に優先的に供給されうる。
【0037】
本実施形態の空気流路33は、1階の空気流路33Aと、2階の空気流路33Bとを含んで構成されている。これらの1階の空気流路33A及び2階の空気流路33Bは、住戸3と屋内共用部4とを連通することができれば、適宜形成することができ、例えば、ダクト34で形成されうる。
【0038】
図1に示されるように、1階の空気流路33Aは、少なくとも1つの1階の住戸3Aと、1階の屋内共用部4Aとを連通するためのものである。本実施形態において、1階の空気流路33Aの一端は、1階の屋内共用部4Aに設けられた1階の天井9Aに接続されている。1階の空気流路33Aの他端は、1階の住戸3Aに設けられた1階の天井9Aに接続されている。このような1階の空気流路33Aにより、1階の住戸3Aと1階の屋内共用部4Aとが連通され、図2に示されるように、屋内共用部4の空気A2(外気A1)が、1階の住戸3Aに供給されうる。また、図1に示されるように、1階の空気流路33Aは、集合住宅2の階間13に設置されている。このため、1階の住戸3Aや1階の屋内共用部4Aに、1階の空気流路33Aが露出するのが抑制されうる。
【0039】
2階の空気流路33Bは、少なくとも1つの2階の住戸3Bと、2階の屋内共用部4Bとを連通するためのものである。本実施形態において、2階の空気流路33Bの一端は、2階の屋内共用部4Bに設けられた2階の天井9Bに接続されている。2階の空気流路33Bの他端は、2階の住戸3Bに設けられた2階の天井9Bに接続されている。このような2階の空気流路33Bにより、2階の住戸3Bと2階の屋内共用部4Bとが連通され、図2に示されるように、屋内共用部4の空気A2(外気A1)が、2階の住戸3Bに供給されうる。また、図1に示されるように、2階の空気流路33Bは、集合住宅2の小屋裏14に設置されている。このため、2階の住戸3Bや2階の屋内共用部4Bに、2階の空気流路33Bが露出するが抑制されうる。
【0040】
[第2フィルタ]
空気流路33には、屋内共用部4の空気A2を清浄化するための第2フィルタ42が含まれるのが好ましい。このような第2フィルタ42により、図2に示した屋内共用部4の空気A2に含まれる粉塵や、ウイルス等が効率よく除去されるため、住戸3の空気質が向上する。
【0041】
第2フィルタ42には、公知のフィルタ部材が適宜選択されうる。本実施形態の第2フィルタ42は、第1フィルタ41と同様に、上記のフィルタ部材が採用されうる。
【0042】
第2フィルタ42は、屋内共用部4からアクセス可能に設けられているのが好ましい。これにより、居住者以外の管理人やメンテナンス業者等によって、第2フィルタ42のメンテナンス(例えば、洗浄や交換など)が容易となる。さらに、長期間に亘って、住戸3の空気質が向上する。第2フィルタ42は、屋内共用部4からアクセス可能であれば、適宜設置される。本実施形態の第2フィルタ42は、1階の天井9A及び2階の天井9Bに設けられている。
【0043】
[第2給気ファン]
換気システム1では、屋内共用部4の空気A2を、空気流路33に供給するための第2給気ファン32が含まれるのが好ましい。このような第2給気ファン32により、屋内共用部4の空気A2(外気A1)が、空気流路33を介して、各住戸3に積極的に供給される。これにより、住戸3の換気効率が向上する。
【0044】
本実施形態の第2給気ファン32は、1階の第2給気ファン32Aと、2階の第2給気ファン32Bとを含んで構成されている。1階の第2給気ファン32Aは、1階の屋内共用部4Aの空気A2を1階の空気流路33Aに供給するためのものである。2階の第2給気ファン32Bは、2階の屋内共用部4Bの空気A2を2階の空気流路33Bに供給するためのものである。これらの1階の第2給気ファン32A及び2階の第2給気ファン32Bにより、集合住宅2の各階において、屋内共用部4(1階の屋内共用部4A及び2階の屋内共用部4B)の空気A2が、住戸3(1階の住戸3A及び2階の住戸3B)に積極的に供給されうる。
【0045】
第2給気ファン32は、屋内共用部4の空気A2を、空気流路33に供給することができれば、適宜設置されうる。図1に示されるように、本実施形態では、1階の第2給気ファン32Aが、集合住宅2の階間13に設置され、2階の第2給気ファン32Bが、集合住宅2の小屋裏14に設置されている。これにより、第2給気ファン32が、住戸3や屋内共用部4に露出するのが抑制される。
【0046】
[制御装置]
換気システム1には、第1給気ファン31と第2給気ファン32とを制御するための制御装置45が設けられるのが好ましい。本実施形態の制御装置45は、コンピュータで構成されている。制御装置45は、例えば、集合住宅2の管理人室(図示省略)や、屋内共用部4等に設置されるが、このような態様に限定されない。図3は、本実施形態の制御装置45の構成を示す概念図である。
【0047】
本実施形態の制御装置45は、CPU(中央演算装置)からなる演算部46と、処理手順(プログラム)が記憶されている記憶部47と、記憶部47に記憶された処理手順等を読み込むための作業用メモリ48とを含んで構成されている。
【0048】
演算部46には、入力装置49が接続されている。本実施形態の入力装置49は、例えば、制御装置45の筐体(図1に示す)に設けられた操作ボタンやタッチパネル等によって構成されている。このような入力装置49により、例えば、集合住宅2の管理人や居住者等によって入力されたデータが、演算部46に伝達されうる。
【0049】
演算部46には、出力装置50が接続されている。本実施形態の出力装置50は、制御装置45の筐体(図1に示す)に設けられたディスプレイとして構成されている。このような出力装置50により、換気システム1の運転状況等が表示されうる。
【0050】
本実施形態の演算部46には、第1給気ファン31及び第2給気ファン32が接続されている。これにより、演算部46は、第1給気ファン31及び第2給気ファン32の運転(空気の供給量)等の制御や、運転状況の把握が可能となる。
【0051】
制御装置45は、図2に示した屋内共用部4が正圧となるように、第1給気ファン31による外気供給量を、第2給気ファン32による空気供給量よりも大きくなるように制御するのが好ましい。
【0052】
ここで、第1給気ファン31が複数台設置されている場合には、これらの第1給気ファン31の風量(外気A1の供給量)の合計が、「第1給気ファン31による外気供給量」として特定される。また、第2給気ファン32が複数台設置されている場合には、これらの第2給気ファン32の風量(屋内共用部4の空気の供給量)の合計が、「第2給気ファン32による空気供給量」として特定される。
【0053】
本実施形態では、各住戸3に対して、屋内共用部4が正圧に維持されることで、各住戸3からの屋内共用部4への空気A3の流入が抑制される。これにより、屋内共用部4の空気の汚染が改善されうる。さらに、屋内共用部4の空気A2(外気A1)が、各住戸3に円滑に供給されるため、各住戸3が効率よく換気されうる。このような作用を効果的に発揮させるために、第1給気ファン31による外気供給量は、第2給気ファン32による空気供給量の5倍以上に設定されるのが好ましい。
【0054】
制御装置45は、各住戸3の換気回数が0.5回/Hr以上となるように、各第2給気ファン32による空気の供給量がそれぞれ調節されるのが好ましい。これにより、各住戸3に必要な換気回数が確保されうる。
【0055】
制御装置45は、屋内共用部4の換気回数が2.5回/Hr以上となるように、第1給気ファン31による外気供給量が調節されるのが好ましい。これにより、各住戸3に対して、屋内共用部4が正圧に維持されるため、屋内共用部4の空気の汚染を改善しつつ、住戸3が効率よく換気されうる。
【0056】
制御装置45は、屋内共用部4の空気質に応じて、第1給気ファン31による外気供給量が調節されてもよい。空気質の測定には、例えば、公知の空気質センサー(図示省略)等が用いられる。このような空気質センサーが制御装置45に接続されることで、空気質に応じた第1給気ファン31の制御が可能となる。
【0057】
空気質の良否は、例えば、予め定められた基準に基づいて判断される。基準は、集合住宅2に求められる空気質に応じて、適宜設定される。本実施形態では、制御装置45が、屋内共用部4の空気質が予め定められた基準を満たすと判断した場合、屋内共用部4の空気質が良好に維持されているため、上記の外気供給量に基づいて、第1給気ファン31の運転が制御される。
【0058】
一方、制御装置45が、屋内共用部4の空気質が予め定められた基準を満たしていないと判断した場合、屋内共用部4の空気質が悪化しているため、上記の外気供給量よりも大きな供給量で、第1給気ファン31の運転が制御される。
【0059】
このように、制御装置45は、時々刻々と変化する屋内共用部4の空気質に応じて、第1給気ファン31による外気供給量が調節されるため、屋内共用部4の空気の汚染が改善されうる。さらに、屋内共用部4の空気が供給される各住戸3において、空気質が良好に維持されうる。
【0060】
[排気ファン]
本実施形態の換気システム1には、各住戸3の空気A3を屋外22に排気するための排気ファン39が設けられるのが好ましい。このような排気ファン39により、各住戸3の空気A3が積極的に排気されるため、各住戸3が効率よく換気されうる。
【0061】
排気ファン39は、各住戸3の空気A3を屋外22に排気できれば、適宜設置されうる。本実施形態の排気ファン39は、排気流路40に設置されている。排気流路40の一端は、トイレ17及び浴室(図示省略)に接続されている。排気流路40の他端は、屋外22に接続されている。このような排気流路40に排気ファン39が接続されることで、トイレ17及び浴室が負圧とされ、居室16の空気A3(屋内共用部4の空気A2)が、トイレ17及び浴室に円滑に案内されうる。さらに、トイレ17及び浴室に案内された空気A3が、屋外22に排気されうる。これにより、居室16の空気A3の汚染を改善しつつ、各住戸3が効率よく換気されうる。
【0062】
排気ファン39の排気量は、適宜設定されうる。例えば、各住戸3の換気回数が0.5回/Hr以上となるように、排気量が調節されてもよい。これにより、各住戸3に必要な換気回数が確保されうる。また、排気ファン39は、制御装置45に接続されてもよい。これにより、制御装置45によって、排気ファン39の運転が制御されうる。
【0063】
[集合住宅の換気システム(第2実施形態)]
これまでの実施形態の換気システム1では、屋内共用部4の空気A2を空気流路33に供給するための第2給気ファン32が設けられたが、このような態様に限定されない。第1給気ファン31による外気A1の供給によって、屋内共用部4が正圧に維持されると、第2給気ファン32を運転させなくても、屋内共用部4の空気A2が空気流路33を介して、住戸3に供給されうる。このため、第2給気ファン32が省略されてもよい。これにより、換気システム1のイニシャルコスト、及び、ランニングコストが削減されうる。
【0064】
[集合住宅の換気空調システム]
図4は、本実施形態の換気空調システム(以下、単に「換気空調システム」ということがある。)51を具えた集合住宅2を示す概念図である。本実施形態の換気空調システム51は、これまでの実施形態の換気システム1と、屋内共用部4を空調するための空気調和機52とを含んでいる。
【0065】
本実施形態の空気調和機52は、室内機53と、集合住宅2の外部(屋外22)に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。空気調和機52は、図3に示した制御装置45に接続されてもよい。これにより、制御装置45によって、空気調和機52の運転が制御されうる。
【0066】
本実施形態の室内機53は、小屋裏14に設置されており、2階の天井9Bに吹出グリル53a及び吸込グリル(図示省略)が設けられている。このような室内機53により、空調された空気A4が、2階の屋内共用部4Bに供給され、さらに、階段室4Cを介して、1階の屋内共用部4Aに供給される。これにより、屋内共用部4の全体が空調されうる。
【0067】
このように、本実施形態の換気空調システム51(集合住宅2)では、これまでの実施形態の換気システム1によって屋内共用部4を換気しつつ、空気調和機によって屋内共用部4を空調することができる。これにより、屋内共用部4の空気の汚染を改善しながら、屋内共用部4の快適性が向上する。
【0068】
さらに、換気及び空調された屋内共用部4の空気A2は、空気流路33を介して、各住戸3に供給されるため、各住戸3が間接的に空調される。これにより、各住戸3の快適性が向上する。さらに、各住戸3が間接的に空調されるため、各住戸3に設けられた空気調和機(図示省略)の空調効率が向上する。
【0069】
本実施形態の集合住宅2では、太陽光発電システム(図示省略)が設置され、さらに、太陽光発電システムを利用して、空気調和機52等が運転されるのが好ましい。これにより、集合住宅2の自家消費率が向上する。
【0070】
本実施形態では、小屋裏14に設けられた空気調和機52により、空調された空気A4が、2階の屋内共用部4Bに供給されたが、このような態様に限定されない。空気調和機52は、例えば、外壁6に設けられてもよいし、1階の床8Aに設けられてもよい。
【0071】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0072】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0073】
[本発明1]
複数の住戸と、前記複数の住戸に面し、かつ、外気から区画された共用空間である屋内共用部とを含む集合住宅の換気システムであって、
前記屋内共用部に、外気を供給して前記屋内共用部を換気するための第1給気ファンを含む、
集合住宅の換気システム。
[本発明2]
前記複数の住戸のうち少なくとも1つの住戸と、前記屋内共用部とを連通する空気流路を含む、本発明1に記載の集合住宅の換気システム。
[本発明3]
前記屋内共用部の空気を前記空気流路に供給するための第2給気ファンを含む、本発明2に記載の集合住宅の換気システム。
[本発明4]
前記第1給気ファンと前記第2給気ファンとを制御するための制御装置をさらに含み、
前記制御装置は、前記屋内共用部が正圧となるように、前記第1給気ファンによる外気供給量を前記第2給気ファンによる空気供給量よりも大きくなるように制御する、本発明3に記載の集合住宅の換気システム。
[本発明5]
前記制御装置は、前記屋内共用部の換気回数が2.5回/Hr以上となるように、前記外気供給量を調節する、本発明4に記載の集合住宅の換気システム。
[本発明6]
前記第1給気ファンは、前記外気を清浄化するための第1フィルタを含み、
前記第1フィルタは、前記屋内共用部からアクセス可能に設けられている、本発明1ないし5のいずれかに記載の集合住宅の換気システム。
[本発明7]
前記空気流路は、前記屋内共用部の空気を清浄化するための第2フィルタを含み、
前記第2フィルタは、前記屋内共用部からアクセス可能に設けられている、本発明2ないし6のいずれかに記載の集合住宅の換気システム。
[本発明8]
本発明1ないし7のいずれかに記載された換気システムを具える、集合住宅。
[本発明9]
本発明1ないし7のいずれかに記載の換気システムと、前記屋内共用部を空調するための空気調和機とを含む、集合住宅の換気空調システム。
[本発明10]
前記本発明9に記載の換気空調システムを具える、集合住宅。
【符号の説明】
【0074】
1 換気システム
2 集合住宅
3 住戸
4 屋内共用部
31 第1給気ファン
図1
図2
図3
図4