(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117198
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 324F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023143
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088BA79
2C088CA28
2C333AA11
2C333CA49
2C333DA04
(57)【要約】
【課題】遊技機内に封入された遊技球に対する球抜き操作を行う作業者に対して、球抜き操作の手順や注意点を正しく理解して球抜き操作を行わせることを可能にした遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ遊技を行う遊技機において、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要が生じた場合に、遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を案内するガイダンスを出力するように構成する。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が転動する遊技領域と、
遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、
前記発射装置により発射された遊技球が前記遊技領域において入球可能な入球口と、
前記入球口に入球した遊技球を前記発射装置に搬送することで前記遊技球を遊技機内で循環させる循環機構と、
所定の条件を満たした場合に前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を案内するガイダンス出力手段と、を有することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては例えば、遊技球(パチンコ球)を用いて遊技を行うパチンコ遊技機が知られている。このパチンコ遊技機は、機内部に配置されている遊技盤の前面側に遊技領域が形成されており、遊技領域には複数種類の入球口が点在している。またパチンコ遊技機は、遊技球が入球口に入球した場合に、その入球口の種類に応じた賞球を付与するように構成されている。
【0003】
一方で近年では、遊技媒体である遊技球を外部に払い出すことなく内部で循環させるパチンコ遊技機も知られている(例えば、特開2022-081774号公報参照)。このようなパチンコ遊技機では、遊技者に対して遊技球を実際に払い出さないので、パチンコ遊技機の内部で遊技者が現在有する遊技球の数(以下、持ち球数という)を記憶し、更に消費或いは獲得した遊技球の数に基づいて持ち球数を更新する持ち球の管理手段(例えば枠制御部)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、上記パチンコ遊技機では、内部を循環するパチンコ球は封入され、基本的に遊技機の外に出てくることはないが、例えば台のメンテナンスを行う場合、台の入れ替えを行う場合等の特殊な状況下では内部に封入された遊技球を外に取り出す必要が生じる。
【0006】
ここで、内部に封入された遊技球を外に取り出す為には特殊な操作(以下、球抜き操作という)が必要となるが、この球抜き操作は特殊な状況下でのみ行われるので頻繁に行われる操作ではなく、操作手順も複雑で注意点が多くある為、操作手順や注意点を作業者(基本的にはメンテナンス業者や遊技店の従業員等が行う)が正しく理解して行うことは難しい。また、紙のマニュアルでは理解が十分できない虞がある。
【0007】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要がある場合に、球抜き操作を行う作業者に対して球抜き操作の手順や注意点を正しく理解して行わせることを可能にした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技球が転動する遊技領域と、遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、前記発射装置により発射された遊技球が前記遊技領域において入球可能な入球口と、前記入球口に入球した遊技球を前記発射装置に搬送することで前記遊技球を遊技機内で循環させる循環機構と、所定の条件を満たした場合に前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を案内するガイダンス出力手段と、を有することを特徴とする。
尚、「球抜き操作の方法」とは、球抜き操作をどのように行うのかの手順であっても良いし、球抜き操作を行うに際しての注意点であっても良い。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要がある場合に、球抜き操作を行う作業者に対して球抜き操作の手順や注意点を正しく理解して行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】
図1に示すパチンコ遊技機の操作台を上方から示した図である。
【
図3】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類を拡大して示す説明図である。
【
図4】パチンコ遊技機の内枠について示した図である。
【
図5】球循環機構において循環する遊技球の流れを示した図である。
【
図6】発射装置の内、特に球送り部の外観図である。
【
図10】
図9の線X-Xで循環球受け皿を切断した断面図である。
【
図11】循環球受け皿に球が収容された状態を示した上面図である。
【
図12】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板、枠制御基板150および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図13】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図14】遊技制御用マイコンが実行するメイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図15】遊技制御用マイコンが
図14に示すメイン側主制御処理において実行するメイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図16】遊技制御用マイコンが
図15に示すメイン側タイマ割込処理において実行する始動口センサ検出処理のフローチャートである。
【
図17】遊技制御用マイコンが
図15に示すメイン側タイマ割込処理において実行するV入賞検出処理のフローチャートである。
【
図18】遊技制御用マイコンが
図15に示すメイン側タイマ割込処理において実行する特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図19】遊技制御用マイコンが
図18に示す特別図柄待機処理において実行する第2特図大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図20】遊技制御用マイコンが
図18に示す特別図柄待機処理において実行する第2特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図21】
図20のフローチャートの続きのフローチャートである。
【
図22】遊技制御用マイコンが
図15に示すメイン側タイマ割込処理において実行する特別図柄変動処理のフローチャートである。
【
図23】遊技制御用マイコンが
図15に示すメイン側タイマ割込処理において実行する差玉関連処理のフローチャートである。
【
図24】枠制御用マイコンが実行する制御処理のフローチャートである。
【
図25】枠制御用マイコンが
図24に示す制御処理において実行する球抜きモード移行処理のフローチャートである。
【
図26】球抜きモードに移行した際に出力される球抜きの操作方法を説明したガイダンスを示した図である。
【
図27】枠制御用マイコンが
図24に示す制御処理において実行する割込処理のフローチャートである。
【
図28】枠制御用マイコンが
図27に示す割込処理において実行する持ち球数管理処理のフローチャートである。
【
図29】持ち球数のカードユニットへの移動が制限される場合について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の実施形態に係る遊技機としてパチンコ遊技機について説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0012】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠(扉枠)18、内枠27(内枠については
図4参照)、外枠(図示せず)によって構成される。また、パチンコ遊技機1の左側方には記憶媒体であるプリペイドカードや会員カード(以下、2つを合わせて単に遊技カードという)等のICカードが挿入されるとともに、挿入された遊技カードに記憶された情報の読み出し及び書き込みを行うとともにパチンコ遊技機1や遊技店に設置されたホールコンピュータ(図示せず)との間で通信可能な外部ユニットであるカードユニット28が配置されている。
【0013】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1は、機内部に封入された所定個数(例えば45個とする)の遊技球を内部の球循環機構(
図4参照)により循環させて使用する、所謂「管理遊技機」である(「スマートパチンコ」とも言う)。このタイプの遊技機では、遊技者による「持ち球数(遊技者が有する遊技媒体の数)」等を電磁的に記憶・管理するようになっており、遊技球の物理的な払い出しを行わない。例えばパチンコ遊技機1では、遊技者による球貸し操作や再プレイ操作が行われると、その遊技者に所定数分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、更新する。具体的に球貸し操作や再プレイ操作は、カードユニット28に挿入された遊技カードに残高或いは持ち球がある状態でカードユニット28にある球貸ボタン281或いは再プレイボタン284が押下される操作である。また、パチンコ遊技機1において現在の持ち球数は後述の枠制御基板150の備える記憶領域に対して記憶される。
【0014】
一方、パチンコ遊技機1は遊技球が遊技に使われる(発射される)と、その分の遊技球数を記憶領域に記憶された持ち球数から減算し、更新する。また、遊技者による遊技に伴って賞球が付与される場合も同様に、その賞球分の遊技球数を記憶領域に記憶された持ち球数に加算し、更新する。この持ち球数のカウント値(記憶値)が0個の場合は、遊技者が遊技に用いる遊技球を所有していない状態であり、遊技者は遊技を行うことができない。このようにパチンコ遊技機1は、遊技者が直接的に遊技球を取り扱う必要がないため、後述のように遊技球を出し入れ可能に貯留する球受け皿を備えておらず、その代わりに、操作台25(
図1)が前面枠18の下部に位置するように配置されている。
【0015】
ここで、操作台25は、前面枠18の下部から前方に張り出した形状で、つまり遊技者側に接近するように設けられている。この操作台25には、ハンドル4と、演出ボタン9と、演出レバー6と、計数ボタン251と、十字キー252と、遊技球数表示器26と、が設けられている。
【0016】
ハンドル4は、操作台25の右側部(前面枠18のうち右下)、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図12)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、後述の発射装置90(
図5参照)による遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0017】
演出ボタン9は、操作台25の上面に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、遊技者が右手または左手で押下操作可能な位置であり、かつ、ハンドル4を右手で操作している遊技者が左手を使って押下操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(
図13)と、演出ボタン振動モータ9b(
図13)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0018】
演出レバー6は、操作台25の左下部、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りに設けられている。換言すると、演出レバー6は、ハンドル4または演出ボタン9を右手で操作している遊技者が左手を使って押下操作可能な位置に設けられている。
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6d(
図13)が設けられている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0019】
また、十字キー252は、前面枠18のうち操作台25の上面左側に設けられている。十字キー252では上下左右の各方向を指定する操作が可能であり、例えば遊技中に加えて非遊技中に各種設定を行う為のメニュー画面などが演出表示装置7に表示された状態でも操作される。更に、遊技者だけではなく後述の球抜き操作或いは台のメンテナンス等を行う場合においては演出ボタン9とともに遊技店の従業員によっても操作される場合がある。
【0020】
一方、計数ボタン251は、前面枠18のうち操作台25の上面右側に設けられている。この計数ボタン251は、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球(データ)を、遊技カード等の記憶媒体に記憶させて持ち出す際、遊技者によって操作される。尚、現時点でパチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶する具体的な遊技者の持ち球の数については遊技球数表示器26に表示される。また、遊技カードは、カードユニット28の内部に保持されている。パチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、この計数ボタン251が操作されると、その時点で記憶している持ち球(データ)から、操作態様に応じた分を減算する。この場合に、持ち球の減算分がカードユニット28によってカウント(計数)され、計数された分の持ち球が遊技カードに記憶(加算)される。このように、計数ボタン251を操作することにより、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)からカードユニット28の遊技カードへと遊技者の持ち球(データ)が移動する。但し、持ち球数については遊技カードに直接記憶するのではなく、遊技カードの識別情報と紐づけて管理会社の外部のサーバに記憶しても良い。
【0021】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、計数ボタン251の短押し操作(例えば1000ms未満の押下操作)が検出されたことに応じて、1個の持ち球(データ)を記憶媒体に向けて移動させる。一方、計数ボタン251の長押し(例えば1000msの押下操作)が検出された場合には、250個の持ち球(データ)を記憶媒体に向けて移動させる。
【0022】
但し、特に本実施形態では特定条件下に限って、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球数が予め定められた下限値(例えば250個)未満とならないことを条件に上記移動が行われる。従って特定条件下ではパチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶する持ち球数が250個以下である場合には、仮に計数ボタン251を押しても持ち球はカードユニット28側へ移動しない。また、持ち球数が250個以上であったとしても、持ち球が250個になるまでしか持ち球をカードユニット28側へ移動できないこととなる。
更に、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球数が予め定められた閾値以上となった場合については、計数ボタン251が押されない場合においても自動で閾値を超えた分の遊技球をカードユニット28側へ移動するようにしても良い。それによって、遊技者が遊技を中断する場合や遊技をやめる際にパチンコ遊技機1に記憶された持ち球数のカードユニット28への移動を短時間で終わらせることが可能になる。
【0023】
ここで、前述したように遊技店において、パチンコ遊技機1の側方(左側)には縦長のカードユニット28が配置されており、このカードユニット28はパチンコ遊技機1と電気的に接続されている。具体的な構造については図示省略するが、紙幣を投入する投入口や、遊技カードを挿脱する挿脱口283を備えていると共に、遊技者が操作可能な球貸ボタン281、返却ボタン282及び再プレイボタン284を備えている(
図1参照)。このカードユニット28の内部には、貸出基板(SC基板、貸出制御基板、図示せず)が配置されている。貸出基板は、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)と電気的に接続されており、遊技者の金額情報を管理して、パチンコ遊技機1への貸球信号の出力(遊技者への遊技球の貸出)を行ったり、上述したように計数ボタン251の操作に応じてパチンコ遊技機1から通知された持ち球(データ)を遊技カードに記憶(持ち球の計数)したり、遊技状況に関する各種の情報をパチンコ遊技機1から取得して遊技店の管理装置(ホールコンピュータ)に出力したりする制御を実行する。
【0024】
また、カードユニット28は、投入口に投入された紙幣に相当する金額情報を遊技カードに記憶し、その記憶される金額情報(または記憶媒体に記憶される金額情報)に応じた個数まで遊技球の貸し出しを受け付ける。例えば、金額情報が1000円である場合、その1000円に対応する遊技球数(例えば250個)の範囲で遊技球の貸し出しが許容される。この場合、遊技者が球貸ボタン281を操作(球貸し操作)して500円分の遊技球の貸し出しを要求すると、その500円分に相当する数の遊技球(例えば125個)を貸球情報(データ)としてパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に送信することで、当該パチンコ遊技機1で記憶される遊技者の持ち球数を、貸球分だけ増加させる。一方で、持ち球が遊技カードに記憶された状態で遊技者が再プレイボタン284を操作すると、所定数の遊技球(例えば125個)を再プレイ情報(データ)としてパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に送信することで、当該パチンコ遊技機1で記憶される遊技者の持ち球数を、上記所定数分だけ増加させる。また、遊技者が返却ボタン282を操作すると、その操作の際に遊技カードが持ち球(データ)や金額情報を記憶していれば、その持ち球(データ)や金額情報を記憶している遊技カードの一部が、挿脱口から持ち出し可能に露出される。そして、排出された遊技カードを他のパチンコ遊技機のカードユニットに挿入することで持ち球を複数の遊技機間で移動して遊技を行うことも可能となる(但し台移動が許可された店舗に限る)。
【0025】
一方、遊技球数表示器26は、操作台25の上面(演出ボタン9の右方)に、表示面が水平またはやや前下がりの角度となるように設けられている。つまり、遊技球数表示器26の表示面は、遊技者の顔が位置する側を向いており、遊技者が視線を下げた際に見易くなっている。この遊技球数表示器26には、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)に記憶されている遊技者が所有する遊技球数に相当する前述した『持ち球数』が表示される。一方で、パチンコ遊技機1での遊技による獲得球数および消費球数の差分の遊技球数に相当する『差玉数』についても計数され、更に当日の『差玉数』の推移において最低値と最高値の差分である『最大差玉数』についても計数される。また、『最大差玉数』に基づいて後述の遊技不能状態への移行が行われる。尚、『差玉数』や『最大差玉数』についても遊技球数表示器26に表示するようにしても良い。
【0026】
ここで、『持ち球数』は、球貸し操作或いは再プレイ操作に応じて貸し出された遊技球数である貸球数と、遊技に応じた賞球として付与された遊技球数である獲得球数と、消費球数との関係で、「貸球数+獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。この持ち球数は前述したように、遊技者が遊技を終える際、すなわち計数ボタン251が操作されたことに応じて持ち球数のデータはカードユニット28へと出力されて最終的に記憶媒体である遊技カードに移行する。現在の『持ち球数』は例えば枠制御基板150のRAM(RWM)に記憶される。
一方で、『差玉数』は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技による獲得球数の総数および消費球数の総数の関係で、「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。現時点の『差玉数』を含む現在までの『差玉数』の推移(履歴)は例えば主制御基板60のRAM(RWM)に記憶される。この差玉数の推移は、前述した持ち球数と異なり、遊技者が遊技を終える際にはリセットされず、遊技店の従業員が行う予め定められた操作に基づいてリセットされる。カードユニット28への出力(記憶媒体への移行)も行われない。即ち『差玉数』の推移は、遊技者単位で計数されて記憶されるものではなく、所定の計数開始タイミング(具体的には前回のリセット時)から同じ遊技台で遊技した複数の遊技者の遊技結果に基づく差玉数の推移が計数されて記憶される。本実施形態では、例えばパチンコ遊技機1の電源をオンすることにより、差玉数の推移をリセットするように構成する。但し、電源がオフされた場合、或いは電源のオンに加えて特殊な操作が行われた場合にのみ差玉数の推移をリセットするようにしても良い。
【0027】
更に、本実施形態のパチンコ遊技機1は、獲得球数の増加により最大差玉数(計数開始タイミングからの差玉数の推移において最低値と最高値の差分)が予め定めた「基準値」に達した場合に、遊技者が遊技を行うことが不可能な遊技不能状態(その日の遊技を終了した状態)に移行するように構成されている。例えば9万5千を基準値とするが、基準値については適宜変更可能である。また、「基準値に到達」は、基本的に差玉数が増加することによって最大差玉数が基準値に到達すること(最高値=現在の差玉数)を前提とするが、差玉数が減少することによって最大差玉数が基準値に到達する場合(最低値=現在の差玉数)を含めても良い。その場合には、消費球数の増加により最大差玉数が予め定めた「基準数」に達した場合に遊技不能状態に移行することとなる。尚、パチンコ遊技機1が遊技不能状態に移行した後は、遊技を行っていた遊技者だけではなくその台では新たな遊技者も遊技を行うことができず、遊技店の従業員による特別な操作、例えば枠制御基板150が備えるRAMクリアスイッチ185が押下された状態で起動する(ラムクリする)ことにより、遊技不能状態が解除されるように構成する。但し、遊技不能状態へ移行させる目的(射幸性の抑制)を考慮すれば、遊技不能状態へと移行した当日は営業時間が終了するまで遊技不能状態を解除するのは避けるのが望ましい。基本的には営業時間の終了後であって次の営業時間が開始されるまでの間に遊技不能状態を解除するようにする。
【0028】
尚、最大差玉数の計数は基本的に営業日単位で行うこととし、日付を跨いだ最大差玉数の計数は行わない(但しオールナイト営業等の特殊な営業形態で営業を行う際については例外とする)。即ち、遊技店の営業日毎(稼働毎)での差玉数の推移の結果に応じてパチンコ遊技機1で行われるその日の遊技を終了させる。従って、その為には、遊技店の従業員が過去の差玉数の推移をリセットする場合、その操作は通常、営業日毎に営業時間(パチンコ遊技機1の稼働時間)の終了後であって次の営業時間が開始されるまでの間に行う必要がある。
【0029】
また、前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0030】
また、前面枠18の右側部には、内枠27および前面枠18を施錠する施錠装置(不図示)を操作するための鍵挿入部29が設けられている。この鍵挿入部29に所定の鍵を挿入して所定方向、例えば、右方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて前面枠18のみが開く。一方、鍵挿入部29に鍵を挿入して所定方向に対して反対側方向、例えば、左方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて内枠27および前面枠18が一体的に開くようになっている。尚、後述の発射装置や揚上装置の球抜き作業を行う場合については前面枠18のみを開閉して行い、球抜きモードへ移行するための球抜きスイッチや持ち球をクリアするための計数クリアスイッチや電源スイッチ等の操作を行う場合については内枠27および前面枠18を一体的に開いて行う。
【0031】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置(画像表示装置)7についても備える。遊技盤2は、遊技盤2の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。遊技盤2は、固定入賞装置10と、第1大入賞装置30と、第2大入賞装置(Vアタッカー)33と、ゲート12と、普通可変入賞装置(普通電動役物、電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備える。
【0032】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、
図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(
図13において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0033】
固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3bに配置されており、右遊技領域3bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材(電動チューリップ)21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。
尚、
図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右側に配置されているが、遊技領域3の下側に配置しても良い。
【0034】
第1大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されており、第2大入賞装置33は、第1大入賞装置30の上側に配置されている。第1大入賞装置30は、第1大入賞口32を開閉する第1開閉部材31を備えており、第2大入賞装置33は、第2大入賞口35を開閉する第2開閉部材34を備える。第1大入賞口32および第2大入賞口35は、それぞれ同時に複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。本実施形態では、第1開閉部材31および第2開閉部材34は、それぞれ左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。以下、第1大入賞口32および第2大入賞口35に共通の事項を説明する場合は、単に大入賞口という。
第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球が通過可能な領域である特定領域(V入賞領域ともいう、図示せず)および非特定領域(図示せず)が形成されている。また、第2大入賞装置33の内部には、第2大入賞口35に入賞した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける振分部材(図示せず)と、この振分部材を駆動する振分部材ソレノイド35d(
図4)とが設けられている。
【0035】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって第1大入賞装置30の下方に設けられている。
図3に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0036】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ8個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0037】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。また、後述のように小当たりに当選した場合には第2大入賞装置33が作動して第2開閉部材34が開閉し、第2大入賞口35が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。
【0038】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、第1大入賞装置30が作動して第1開閉部材31が開閉し、第1大入賞口32が開閉する。また、後述のように小当たりに当選した場合には第2大入賞装置33が作動して第2開閉部材34が開閉し、第2大入賞口35が開閉する。更に、第2大入賞口35が開放されるのに合わせて振分部材ソレノイド35dが作動し、所定期間のみ特定領域(V入賞領域)に遊技球が通過可能な状態とする。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数および第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0039】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。また、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。更に、パチンコ遊技機1には大当たり以外に小当たりと呼ばれる当たりも存在する。小当たりに当選した場合には、大当たり遊技は行われないが大入賞口が所定期間のみ開放される。特に本実施形態では、大当たり遊技では第1大入賞口32が開放され、小当たりに当選した場合には第2大入賞口35が開放される。
【0040】
また、本実施形態のパチンコ遊技機1では、通常の大当たり判定において大当たりと判定された場合に加えて、遊技中に第2大入賞口35に入賞した遊技球が、前述した特定領域を通過(V入賞)した場合にも大当たり遊技が開始される。本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる1種2種混合機と呼ばれる機種である。また、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)は基本的に固定であり、大当たり確率が通常よりも高い状態となる高確率状態は本機種では存在しない。
【0041】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、後述の発射装置90(
図5)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備える。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0042】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像および静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~9の算用数字を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域および右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0043】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式などを用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などの動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像などである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
【0044】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄を大当たり演出図柄といい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄をハズレ演出図柄という。本実施形態では、大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄を演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0045】
演出図柄変動パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。尚、第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数、及び第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、保留画像によって演出表示装置7に表示される。従って、遊技者は、演出表示装置7に表示される保留画像の数を数えることにより、第1特図保留数や第2特図保留数を知ることができるとともに、第1特図保留数や第2特図保留数に起因する演出表示装置7の作動保留数を知ることができる。尚、演出表示装置7の作動保留数については演出表示装置7に表示せずに演出表示装置7の周辺にあるランプ等を用いて遊技者に報知しても良い。
【0046】
また、パチンコ遊技機1では、上記演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2aの点灯、役物の動作等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0047】
更に、本実施形態のパチンコ遊技機1では、演出表示装置7に対して現時点での最大差玉数の基準値への到達状況が表示される。前述したようにパチンコ遊技機1は最大差玉数が設定された基準値に到達したことを契機として遊技機での遊技を行うことができない遊技不能状態に移行するので、遊技者は演出表示装置7に表示された最大差玉数の基準値への到達状況を視認することにより、事前に遊技不能状態への移行が行われることを予測することが可能となる。尚、最大差玉数の基準値への到達状況については遊技者の遊技中において常に演出表示装置7に表示するようにしても良いし、特定のタイミングでのみ表示するようにしても良い。
【0048】
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、移行可能なモードとして通常の遊技を行うことが可能な遊技モード以外に機内部に封入された遊技球を取り出す為の専用のモードである球抜きモードが存在する。そして、後述のように球抜きモードに移行した場合については、演出表示装置7に対して機内部に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を説明する画像又は動画について表示される。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8からも球抜き操作の方法を説明する音声を出力するようにしても良い。
【0049】
(球循環機構)
次に、内枠27の内、特に遊技盤2を保持する範囲よりも下側範囲に備えられる球循環機構130の概略構成について、
図4及び
図5を参照しつつ説明する。ここで、
図4は遊技盤2や演出表示装置7を取り外した状態の内枠27の正面図である。
図5は球循環機構130において循環する遊技球の流れを示した図である。
【0050】
球循環機構130は、パチンコ遊技機1の内部で所定個数(例えば45個)の遊技球(循環球)を循環させるための機構であり、
図5に示すように、集合部131と、回収部132と、揚上装置134と、発射装置90と、返戻部138と、循環球受け皿139とを備えている。また、回収部132には回収センサ132a、発射装置90から打ち出される通路には実射センサ143b、返戻部138にはファール球センサ138aが配置されている。
【0051】
ここで、集合部131は、上方(遊技盤2の後面)から落下してくる遊技球を受け入れるよう、上方に開口する凹溝状に形成されている。集合部131の底面は、左右方向の両端側から中央側に向けて下方傾斜しており、その下流端となる中央側が下方に向けて開口している。集合部131は、遊技領域3に設けられる複数の入賞口(前述)の何れかに入球して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球と、アウト口19を介して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球とを底面上で集合させ、その底面の開口から落下させることで、回収部132へと導く。
【0052】
回収部132は、遊技球が一列で流下可能な回収通路R1を内部に形成しており、この回収通路R1の上流端部は前述した集合部131の底面の開口に接続している。回収通路R1の途中には回収センサ132aが配置されており、回収通路R1を通過する遊技球が回収センサ132aによって1個ずつ検出されるようになっている。すなわち、遊技領域3を流下する遊技球は、入賞口(前述)に入球するかアウト口19から排出されるかに関わらず、集合部131で集合し、回収部132の回収通路R1に流入して一列となり、回収センサ132aによって1個ずつ検出される。なお、球循環機構130で遊技球が正常に循環されている場合、遊技者によるハンドル4の操作に伴う遊技球の発射回数(実射回数、後述する実射センサ143bによる検出数)が、その後に回収センサ132aで検出される遊技球数と一致することになる。この回収部132の下流端部は、縦長箱状の揚上装置134の下部に接続している。これにより、回収通路R1を通過した遊技球は、揚上装置134の下部に流入する。
【0053】
揚上装置134は、上下方向に延在する揚送通路R2を内部に形成しており、この揚送通路R2の下端部は前述した回収部132の回収通路R1に接続している。また、揚上装置134には、揚送通路R2に沿うように、上下に延在する円柱状の揚送軸134aが回転可能に収容されている。揚送軸134aは、外周面に螺旋状の球保持片134bが形成され、揚送モータ134cの正逆回転に応じて正逆回転する。ここで、揚送モータ134cの正回転に伴い、揚送軸134aの下端側で球保持片134bに保持された遊技球が揚送通路R2を上昇移動するように構成されている。この揚上装置134は、上記揚送軸134aに沿って上昇移動した遊技球を発射装置90の遊技球の入口へと導くため、右端部から左端部に向けて下方傾斜する発射待機通路R3を内側に形成しており、揚送通路R2の上端部が発射待機通路R3に連通している。つまり、揚送軸134aの正回転によって揚送通路R2内を上昇移動した遊技球は、発射待機通路R3の内部に導かれる。一方、後述の球循環機構130からの球抜きを行う場合には、遊技店員等が後述する所定の操作を行って揚送モータ134cを逆回転させることで、揚送通路R2内の遊技球が下降移動し、排球口134dから後述する循環球受け皿139に排出される。
【0054】
また、発射待機通路R3の下流側は前方に向けて開口しており、この開口に、後述する発射装置90の内部通路R4の上流端部が更に接続している。
【0055】
ここで発射装置90は、正面側(遊技者側)に位置する球送り部136と、後面側に位置するとともに球送り部により発射位置に送られた遊技球に発射槌90aを衝突させる発射部137と、が前後方向に組み合わされて固定されることからなる箱状のユニットである。先ず球送り部136について説明すると、球送り部136は、その内部に内部通路R4が形成されていると共に、球送り部材136c及び球送りソレノイド136bが取り付けられている。内部通路R4は、遊技球が一列で通過する通路幅で形成されており、その上流端部(右端部)が前述した発射待機通路R3に連通していると共に、下流端部(左端部)に対向して球送り部材136cが配置されている。また、この内部通路R4の下流端部の下方に、前後方向に貫通する(球送り部136からの遊技球の)出口136aが形成されている。球送り部材136cは、
図5に示すように、正面視での左端部を軸として、遊技球を1個保持可能な右端側(コ字状の部分)が上下に揺動可能に構成されている。この球送り部材136cは、揺動上端位置にある時に、内部通路R4の下流端部からの遊技球を受け取ることが可能であり、その受け取った遊技球を、揺動下端位置への移動によって球送り部136の出口136aに送り出すことが可能である。
【0056】
また、内部通路R4には、発射装置90内に貯留されている遊技球を発射装置90の外部に排出するための排出口140に導くための落下口136dを備えている。落下口136dは通常時においては開閉部材136eによって閉鎖されているが、パチンコ遊技機1内を循環する遊技球をパチンコ遊技機1から抜く為の球抜き操作を行う際に、作業者(メンテナンス業者や遊技店の従業員などが該当する、以下同じ)の操作によって開閉部材136eを開動作させて落下口136dを開口状態とすることが可能である。また、落下口136dと排出口140とは排出通路140aによってつながっている。ここで、
図6は発射装置90の内、特に球送り部136の外観図を示す。また、
図7は球送り部136の内部構造を示した図である。
【0057】
図6に示すように球送り部136の前面側の壁面には球抜きレバー141が配置されている。この球抜きレバー141は前面枠18が開放されて発射装置90が露出することによって初めて操作可能となる。即ち前面枠18が閉鎖した状態では操作困難である一方、前面枠18が開放されることによって操作可能となり、基本的に球抜き操作を行う作業者のみが操作可能な操作手段となる。また、
図7に示すように球抜きレバー141はバネ142によって左側(開閉部材136eが閉鎖する方向)に常に付勢されている。そして、内部通路(遊技球通路)R4に遊技球が貯留されている状態でレバー141が右方向に操作されると、開閉部材136eが開動作して落下口136dが開口状態となり、排出通路140aを通って発射装置90内に貯留されている遊技球を排出口140から外へ排出することが可能となる。尚、発射装置90の排出口140から排出された遊技球は揚上装置134の排球口134dから排出された遊技球と同じく後述する循環球受け皿139に排出される。
【0058】
ここで、循環球受け皿139は、パチンコ遊技機1の内部における揚上装置134及び発射装置90の下方にある空間に配置され、球抜き操作によって揚上装置134の排球口134d及び発射装置90の排出口140から排出される各遊技球(循環球)を全て収容可能に構成されている。この循環球受け皿139は、前面枠18を開いた状態で球循環機構130に対して容易に着脱可能となっているので、球抜きされた遊技球を一度に持ち運ぶのに便利である。なお、球循環機構130内に遊技球を戻す場合は、必要数の遊技球を収容した循環球受け皿139の先細り状の端部(注ぎ口)を遊技領域3下端部のアウト口19に近づけて遊技球を流し込むようにする。
【0059】
以下に、循環球受け皿139について図を用いてより詳細に説明する。
図8は循環球受け皿139を示した斜視図、
図9は循環球受け皿139を示した上面図である。
図8及び
図9に示すように循環球受け皿139は、先細り形状を有しており、先細り形状の端部に注ぎ口144を備える。尚、注ぎ口144は、前述したように球循環機構130から抜き出した遊技球を再度同じ遊技機内或いは異なる遊技機内に戻す際に遊技球を当該遊技機内に注ぐための注ぎ口である。特に本実施形態では、アウト口19から注ぐので注ぎ口144の断面はアウト口19よりも小さくするのが望ましい。但し、必ずしもアウト口19から注ぐ必要はなく、例えば一般入賞口13や第1大入賞口32等の入賞口から注ぐことで遊技機内に遊技球を戻すことも可能である。
【0060】
また、循環球受け皿139の底面145は、注ぎ口144側に移動するに従って徐々に高さが低くなるように緩やかに傾斜している。ここで、
図10は
図9の線X-Xで循環球受け皿139を切断した断面図である。
図10に示すように循環球受け皿139の底面145は、注ぎ口144側に移動するに従って徐々に高さが低くなるように緩やかに傾斜している。従って、揚上装置134や発射装置90から排出される遊技球を受けた場合に、受けた遊技球は傾斜に沿って注ぎ口144側に転動することとなる。その結果、遊技球をアウト口19から注ぐ際に作業がしやすくなっている。また、循環球受け皿139内では遊技球が固まって位置することとなるので、循環球受け皿139内にある遊技球の数のカウントもしやすい利点がある。
【0061】
その一方で、注ぎ口144には循環球受け皿139の外へと移動する遊技球の移動を妨げる為の段差146を備えている。段差146は
図10に示すように注ぎ口144方向に上り勾配となっている段差であり、底面145の勾配に比べてその角度はより急勾配となっている。この段差146を備えることによって、上記底面145の傾斜に沿って遊技球が注ぎ口144方向に転動したとしても意図しないタイミングで注ぎ口144から循環球受け皿139の外へと遊技球がこぼれることを防止できる。尚、段差は必ずしも
図10に示す形状である必要はなく、循環球受け皿139の外へと移動する遊技球の移動を妨げることができるのであれば他の形状であても良い。例えば階段形状としても良い。
【0062】
また、循環球受け皿139の底面145は、球循環機構130により遊技機内を循環する遊技球の数に対応した広さを有する。例えば、
図11に示すように遊技機内を循環する遊技球の数が45個であるとすれば、45個の遊技球を並べて収容できる広さの底面とする。例えば遊技球の直径が11mmであるとすれば、少なくとも11mm×11mm×45個分の面積を有する底面とする。但し、必ずしも45個丁度の広さとする必要はなく、1~5個分余裕を持った広さとしても良い。このような構成とすることによって、作業者が遊技機内を循環する遊技球の球抜き作業を行う場合に、循環する遊技球の全てを抜くことができたか否かを容易に把握することが可能となる。また、抜いた遊技球を遊技機内に戻す場合においても予め指定された数(例えば45個)の遊技球のみを確実に戻すことが可能となる。
【0063】
一方、
図5に戻って球送り部136とともに発射装置90を構成するもう一方の部材である発射部137について説明すると、発射部137には、発射槌90aや発射レール143が設けられている。発射槌90aは、発射モータ91の駆動に伴う発射動作により、球送り部136の球送り部材136cが打球位置143aに1個ずつ供給する遊技球を遊技領域3に向けて発射するように構成されている。なお、打球位置143aは、発射槌90aによる打撃対象となる遊技球の停止位置であり、左上がりに設けられた発射レール143上の右下端部(下流端部)に設けられている。打球位置143aの遊技球は、発射槌90aによる打撃を受けて発射レール143上を摺動し、その延長方向(左上方)へと飛翔して遊技盤2の発射球誘導通路17aへと進入し、その先で遊技領域3へと流入する。
【0064】
上記構成により、揚上装置134の発射待機通路R3を流れた遊技球は一列で発射装置内の内部通路R4に流入し、球送りソレノイド136bの駆動に伴う球送り部材136cの動作により、球送り部136の出口136aから1個ずつ打球位置143aに供給され、発射モータ91の駆動に伴う発射槌90aの動作により、発射レール143から発射球誘導通路17aを介して遊技領域3へと移動する。
【0065】
また、発射レール143からの遊技球の移動先側(本実施形態では、発射球誘導通路17aの入口近傍)に、実射センサ143bが配置されている。この実射センサ143bは、打球位置から遊技領域3に向けて移動する遊技球(すなわち、実際に発射された遊技球)を検出するように設けられている。ここで、パチンコ遊技機1では、実射センサ143bによる1回の検出を1個の消費球数の発生に相当するものとして判断するように制御を行う。つまり、実射センサ143bによる1回の検出が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分減算される。
【0066】
また、
図5に示すように、発射レール143と遊技盤2(発射球誘導通路17a)とは離間しており、そのスペースの下側に返戻部138が設けられている。この返戻部138は、発射槌90aに発射され飛翔したものの遊技領域3まで到達できなかった遊技球を揚上装置134に誘導するためのファール球通路R5を形成している。ファール球通路R5は、発射レール143及び遊技盤2(発射球誘導通路17a)の間から下方に向けて延び、そこから僅かに後方へ延びて、更に右下方に向けて延びた先で、揚送通路R2に接続している。このファール球通路R5の途中位置には、ファール球通路R5を通過する遊技球(ファール球)を検出するファール球センサ138aが設けられている。なお、ファール球(ファール球センサ138aによる検出)が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分加算される(持ち球が1個戻される)。
【0067】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について
図12および
図13を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図12)と、枠制御基板150(
図12)と、サブ制御基板100(
図13)と、画像制御基板200(
図13)と、ランプ制御基板79(
図13)と、音声制御基板78(
図13)とを備えている。
【0068】
図12に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブルTa1、大当たり種別判定テーブルTa2、リーチ判定テーブルTa3、特図変動パターン選択テーブルTa4などの各種のテーブル(以上、各テーブルについては図示せず)が記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0069】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。第1特図保留記憶部64aは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口11(
図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(
図3)が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(
図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0070】
一方、第2特図保留記憶部64bは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口22(
図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第2特別図柄表示器52(
図3)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22(
図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0071】
大当たり乱数などは作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、大当たり乱数などが第1ないし第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数などは、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。たとえば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数などは第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などに基づく判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0072】
普図保留記憶部64c(
図12)は、遊技球がゲート12(
図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0073】
差玉数記憶部64d(
図12)は、現時点の差玉数を含む現在までの差玉数の推移(履歴)を記憶する記憶部である。差玉数は、前述したように「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数であり、実射センサ143bによる検出(消費球数の発生)に応じて、差玉数記憶部64dに記憶されている差玉数を減算する。また、特定の入賞口に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口に対応する賞球数だけ差玉数を加算する。例えば、第1始動口11に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、差玉数が「3」増加する。また、一般入賞口13に遊技球が入賞すると5球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、差玉数が「5」増加する。また、第2始動口22に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、差玉数が「3」増加する。また第1大入賞口32に遊技球が入賞すると15球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、差玉数が「15」増加する。また第2大入賞口35に遊技球が入賞すると1球の遊技球(賞球)が与えられることになり、その結果、差玉数が「1」増加する。なお、ここで説明した球数は、あくまで一例であり、適宜変更可能である。また、更新後の差玉数に基づく最大差玉数が予め定めた基準値に到達すると、遊技者が遊技を行うことが不可能な遊技不能状態に移行する。尚、差玉数記憶部64dは主制御基板60でなく後述の枠制御基板150に記憶するようにしても良い。
【0074】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、第1大入賞口センサ32aと、第2大入賞口センサ35aと、特定領域センサ35bと、非特定領域センサ35cと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、第1大入賞口ソレノイド30aと、第2大入賞口ソレノイド33aと、振分部材ソレノイド35dと、が電気的に接続されている。
【0075】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(
図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ32aは、第1大入賞口32(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第1大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第2大入賞口35に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。特定領域センサ35bは、第2大入賞口35(
図1)の内部の特定領域内に設けられており、遊技球が特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。非特定領域センサ35cは、第2大入賞口35(
図1)の内部の非特定領域に設けられており、遊技球が非特定領域を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(
図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0076】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(
図1)を開閉駆動する。第1大入賞口ソレノイド30aは、第1大入賞装置30の第1開閉部材31(
図1)を開閉駆動する。第2大入賞口ソレノイド33aは、第2大入賞装置33の第2開閉部材34(
図1)を開閉駆動する。振分部材ソレノイド35dは、第2大入賞装置33の内部に設けられた振分部材を駆動する。特に小当たりに当選した場合において第2大入賞装置33が開放状態になるのに合わせて振分部材ソレノイド35dが作動し、所定期間のみ特定領域(V入賞領域)に遊技球が通過可能な状態となる。所定期間が経過すると特定領域に遊技球が通過不可な状態へと戻る。
【0077】
更に、主制御基板60には、発射制御回路75(
図12参照)が枠制御基板150を介して電気的に接続されている。主制御基板60は、遊技を行うことが可能な遊技可能状態である場合に、枠制御基板150を介して発射制御回路75に発射許可信号を出力する。なお、発射制御回路75には、前述の発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、遊技球を打撃して発射する発射槌90a(
図5)を駆動する発射モータ91と、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するタッチスイッチ92と、発射レバー4aの回転に伴う変位量に応じて発射槌90aが遊技球を打撃する強度を調節する発射ボリューム93と、
図5に示すように内部通路R4にある遊技球を打球位置143aに送る球送り部材136cを揺動させる為の球送りソレノイド136bと、を備えている。発射制御回路75は、発射許可信号と、遊技者のハンドル4への接触を示すタッチスイッチ92からの信号とを入力する状態で、球送りソレノイド136bを駆動させて内部通路R4にある遊技球を1球ずつ打球位置143aに送り、更に発射ボリューム93の変位量に応じた打撃強度で発射槌90aを駆動するように発射モータ91を制御して、定期的に(例えば0.6秒間隔で)遊技球を発射させる。一方で、発射制御回路75は、発射許可信号を入力していない状態(後述する遊技不能状態)では発射モータ91の駆動を停止する。
【0078】
一方、
図12に示すように、枠制御基板150には、前述した発射制御回路75の他、カードユニット28、計数ボタン251、十字キー252、遊技球数表示器26、揚送モータ134c、回収センサ132a、実射センサ143b、ファール球センサ138a等が電気的に接続されている。枠制御基板150には、枠制御用ワンチップマイコン(以下、枠制御用マイコンという)151が実装されている。
【0079】
枠制御用マイコン151は、CPU152と、ROM153と、RAM154と、入出力回路155とを備えている。枠制御用マイコン151のCPU152は、カードユニット28との間での情報の送受信(信号の入出力)、遊技球数表示器26の表示制御等を実行する。ROM153には、CPU152が実行するコンピュータプログラムが記憶されている。RAM154は、CPU152がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。また、RAM154には、持ち球数を記憶するための持ち球数記憶部154aが設けられている。
【0080】
本実施形態のパチンコ遊技機1では、枠制御基板150とサブ制御基板100とが接続され、枠制御基板150は、サブ制御基板100に対し持ち球数に関する情報や、球循環機構の異常状態に関する情報等を出力可能に構成されている。一方で、サブ制御基板100に実装されている後述するRTC(リアルタイムクロック)124からの時刻情報について枠制御基板150へと入力可能となっている。但し、RTC124については枠制御基板150が備えるようにしても良い。また、枠制御基板150とサブ制御基板100との間の情報の入出力は、主制御基板60を経由して行うようにしてもよい。
【0081】
この他、枠制御基板150には、前面枠18の開放状態を検出する扉開放センサ18c、球循環機構130を構成する電気部品(揚送モータ134c、回収センサ132a、実射センサ143b、ファール球センサ138a)等が電気的に接続されていると共に、接続端子盤等を介してカードユニット28の貸出基板が電気的に接続されている。
【0082】
カードユニット28は、投入口に投入された紙幣を識別し、あるいは挿入口に挿入された遊技カードなどの記憶媒体を読み込むことで、金額(残高)を特定し、その金額情報をパチンコ遊技機1に向けて出力する。この金額情報は、枠制御基板150の枠制御用マイコン151に入力される。枠制御用マイコン151は、カードユニット28からの金額情報から金額(残高)を特定し、その金額に対応する遊技球数の範囲で、遊技者による球貸ボタン281(
図1)の操作に応じた貸球の付与(遊技球の貸し出し)を制御する。この貸球付与の場合に、枠制御用マイコン151は、持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数に貸球数を加算することで、遊技者に対して遊技球を貸し出すようにする。また、持ち球が遊技カードに記憶された状態で遊技者による再プレイボタン284(
図1)の操作に応じた持ち球の遊技機への移動(持ち球遊技)についても制御する。この持ち球の移動の場合に、枠制御用マイコン151は、持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数に所定数の遊技球(例えば125個)を加算することで、遊技者に対して持ち球による再プレイを可能にする。この他、枠制御用マイコン151は、遊技者による計数ボタン251の操作に応じて、持ち球数記憶部154aに記憶している持ち球(データ)から、操作態様に応じた分を減算する。また、枠制御用マイコン151は、持ち球数を減算する一方で、減算した持ち球数(データ)についてカードユニット28に出力する。そして、持ち球の減算分がカードユニット28によってカウント(計数)され、計数された分の持ち球が遊技カードに記憶(加算)される。このように、計数ボタン251を操作することにより、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)からカードユニット28の遊技カードへと遊技者の持ち球(データ)が移動する。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、計数ボタン251の短押し操作(例えば1000ms未満の押下操作)が検出されたことに応じて、1個の持ち球(データ)を記憶媒体に向けて移動させる。一方、計数ボタン251の長押し(例えば1000msの押下操作)が検出された場合には、250個の持ち球(データ)を記憶媒体に向けて移動させる。
【0083】
但し、本実施形態では計数ボタン251を操作しても枠制御基板150からカードユニット28へと持ち球数を移動できない場合があり、一方で計数ボタン251の操作を伴わずに自動で枠制御基板150からカードユニット28へと持ち球数が移動される場合もある。詳細については後述する。
【0084】
更に、本実施形態の枠制御基板150上には、計数クリアスイッチ183、球抜きスイッチ184、RAMクリアスイッチ185等が配置されている。
【0085】
計数クリアスイッチ183は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、計数クリアスイッチ183が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して計数クリア信号を出力し、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数をクリアして初期値「0」に戻すようにする。
【0086】
球抜きスイッチ184は、同じく枠制御基板150上に操作可能に設けられている。枠制御用マイコン151は、球抜きスイッチ184が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して球抜きモード移行信号を出力し、前述の球循環機構130(
図5)の駆動制御モードを通常モードから球抜きモードに移行させる。この球抜きモードでは、球循環機構130の揚送モータ134cが逆回転を行うことで、揚送軸134aが循環球を排球口134dへと移動させて循環球受け皿139へと排出(球抜き)することが可能となる。
【0087】
但し、上記球抜きモードへの移行は基本的に持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数が初期値(即ち0)である場合にのみ移行する。即ち、持ち球数記憶部154aに1以上の持ち球数が記憶された状態では、仮に球抜きスイッチ184が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)したとしても球抜きモードへは移行しない。但し、例外として持ち球数記憶部154aに1以上の持ち球数が記憶された状態であっても、計数クリアスイッチ183と球抜きスイッチ184の両方が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)した場合については、持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数をクリアするとともに球抜きモードへと移行することとなる。
【0088】
RAMクリアスイッチ185は、同じく枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ185が押下された状態で起動すると、主制御基板60のRAM64およびサブ制御基板100のRAM120(
図13)を初期化する。また、最大差玉数が基準値に到達して遊技不能状態に移行した状態では、RAMクリアスイッチ185が押下された状態で起動すると遊技不能状態を解除することも可能である。尚、RAMクリアスイッチ185は主制御基板60に設けても良い。
【0089】
なお、枠制御基板150は、サブ制御基板100への情報出力を、主制御基板60を経由して実行可能に構成されている。例えば、枠制御基板150は、遊技球数に関する情報(持ち球数)や、RAMクリアスイッチ185の操作情報、球循環機構130の球抜きモードへの移行、球循環機構130の異常状態に関する情報等をサブ制御基板100に出力可能である。この他、枠制御基板150とサブ制御基板100とを直接的に配線接続し、枠制御基板150からサブ制御基板100に直接情報を出力してもよい。
【0090】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および枠制御基板150に電力を供給する。また、電源基板70は、枠制御基板150に電気的に接続された各装置に対して、枠制御基板150を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0091】
主制御基板60は、サブ制御基板100(
図13)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0092】
図13に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、演出選択テーブルTa5(図示せず)、などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123と、が設けられている。なお、演出制御用マイコン101が、本発明の制御手段の一例である。
【0093】
また、第1特図保留演出記憶部121は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドを記憶する。
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0094】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、レバー演出画像および予告画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。CGROM205が本発明の演出記憶手段の一例である。
【0095】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。なお、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、盤ランプ2a、演出ボタンランプおよびランプ制御基板79が、本発明の演出手段の一例である。
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0096】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0097】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6gと、演出レバー回転検出スイッチ6hと、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6dとが電気的に接続されている。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6gは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6gから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6hは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6hから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0098】
演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6dの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6dを駆動制御する。
【0099】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときにはその電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。
【0100】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1の普通図柄表示器53には、確率変動機能は無く、変動時間短縮機能のみ備わっている。一方、特別図柄表示器についても、確率変動機能は無く、変動時間短縮機能のみ備わっている。
また、特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始から確定表示までに要する時間)が、非時短状態よりも短くなっている。
【0101】
普通図柄表示器53の変動時間短縮機能は、特別図柄表示器の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。つまり、普通図柄表示器53の変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。たとえば、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である。
【0102】
また、時短状態では、普通図柄の抽選において当たりと判定される確率は非時短状態と変わらないが、当たりと判定された場合に時短状態と非時短状態とでは前述したように普通可変入賞装置20の可動部材21の動作パターンが大きく異なっている。非時短状態では第2始動口22への遊技球の入球が実質不可能なごく短い時間のみ可動部材21が第2始動口22を開口する開口状態となり、一方で時短状態では普通可変入賞装置20の可動部材21が開口状態となるのが非時短状態に比べて長くなっており、第2始動口22への遊技球の入球が非常に容易な状態となっている。つまり、時短状態では普通可変入賞装置20の開放時間延長機能が作動している。
【0103】
普通図柄表示器53の変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能とが作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、普通可変入賞装置20が頻繁に開放され、第2始動口22へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、このように、普通図柄表示器53の変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能とが作動している状況下で、普通可変入賞装置20により第2始動口22への入賞をサポートする制御を電サポ制御という。
【0104】
本実施形態のパチンコ遊技機1では、第1特別図柄及び第2特別図柄による抽選で大当たりした場合(V入賞による大当たりも含む)において大当たり遊技終了後に、一定割合で電サポ制御が行われるとともに時短状態(以下、この状態を時短遊技状態という)へと移行する。この時短遊技状態(a時短ともいう)は、大当たりの種別に基づいて設定された時短回数(例えば40回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、或いは、時短回数以内に大当たりに当選(V入賞による大当たりも含む)してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1は1種2種混合機なので確変状態は存在しないが、第2特別図柄の抽選は第1特別図柄の抽選に比べて小当たりの確率が高く設定されており、且つ時短遊技状態中の小当たりの当選はその後に遊技者が操作を間違わなければ実質的に100%大当たりとなる。即ち、本実施形態では時短遊技状態が、遊技者が大当たりを獲得することが通常遊技状態より容易な状態であるラッシュ状態に相当する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、電サポ制御は行わないとともに非時短状態である。
【0105】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61(
図12)が実行する主な処理について図を参照しつつ説明する。
(メイン側主制御処理)
最初に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側主制御処理の内容についてそれを示す
図14を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM63(
図12)から
図14に示すメイン側主制御処理のコンピュータプログラムを読み出して実行する。遊技制御用マイコン61は、最初に初期設定を行う。但し、RAMクリアスイッチ185が押下された状態で電源がオンされた場合(S1:YES)については、RAM(RWM)64の初期化(記憶内容の消去)についても行われる。更にサブ制御基板100に対してもコマンドが送信され、サブ制御基板100のRAM(RWM)120についても初期化される。一方、RAMクリアスイッチ185が押下されていない状態で遊技機の電源がオンされた場合(S1:NO)については、RAM64やRAM120の初期化はされない(即ち、RAM64に記憶されている保留情報、時短や確変などの遊技状態、変動回数のカウントは電源がオフされる前の状態が維持される)。但し、RAM64の差玉数記憶部64dに記憶される現在までの差玉数の推移(履歴)については、RAMクリアスイッチ185の操作の有無にかかわらず電源がオンされた場合にリセット(初期化)する。尚、差玉数の推移がリセットされることによって差玉数の推移において最低値と最高値の差分である最大差玉数についてもリセットされることとなる。但し、電源のオンに加えて特殊な操作が行われた場合にのみ差玉数の推移をリセットするようにしても良い。尚、差玉数記憶部64dを主制御基板60でなく枠制御基板150のRAM154に記憶させることも可能であり、その場合には電源がオンされたタイミングで枠制御用マイコン151に対して現在までの差玉数の推移のリセットを要求するための差玉数リセットコマンドを送信するようにする。
【0106】
ここで差玉数の推移は、前述したように所定の計数開始タイミング(具体的には前回のリセット時)から現時点までに遊技により獲得した遊技球の合計である獲得球数と遊技に消費した遊技球の合計である消費球数との差分の推移を示したものであり、後述の差玉関連処理(S20)において各種センサの検出結果を用いてリアルタイムで更新される。また、差玉数の推移は遊技者単位で計数されるものではなく、計数開始タイミングから同じ遊技台で遊技した複数の遊技者の遊技結果に基づく差玉数の推移が記録計数される。
【0107】
この初期設定(S2、S3)では、上記RAM64やRAM120の初期化以外に例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU62の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定などを行う。
【0108】
更に、RAMクリアスイッチ185が押下された状態で電源がオンされた場合(S1:YES)であって、後述の差玉関連処理(
図23)において遊技不能状態へと移行していた場合については、遊技不能状態から遊技可能状態へと復帰する(S4)ように構成されている。具体的には、複数の入賞検出センサの検出を全て有効とし、第1大入賞口ソレノイド30aや電チューソレノイド20a等の駆動手段が駆動可能となり、発射装置90(発射槌90a)による遊技球の発射動作を可能とする。また、表示器類50の全てのLED(特別図柄表示器51,52や普通図柄表示器53等)が点灯状態に復帰する。そして、特図の変動表示および実行中の普図の変動表示が可能な状態に復帰する。また、遊技制御用マイコン61は、サブ制御基板100に対して遊技可能状態へ復帰したことを示す遊技可能報知コマンドについても送信する。
【0109】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S5)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S6)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタICなどから成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S6)は必要ない。
【0110】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S7)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S8)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S8)は、たとえば、4msec周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理(S8)が終了してから、次にメイン側タイマ割込処理(S8)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S6)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S8)は直ぐには開始されず、割込許可(S7)が実行されてから開始される。
【0111】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側タイマ割込処理(
図14のS8)の内容についてそれを示す
図15を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S10)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64(
図12)に設けられた出力バッファにセットされたコマンドなどをサブ制御基板100(
図13)や枠制御基板150(
図12)などに出力する。特に本実施形態では普通図柄が変動を開始した場合に普通図柄が変動を開始したことを示す普図変動開始コマンド、及び特別図柄が変動を開始した場合に特別図柄が変動を開始したことを示す特図変動開始コマンドについても出力する。続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S11)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ22a、第1大入賞口センサ32a、第2大入賞口センサ35a、ゲートセンサ12aなど(
図12))が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S12)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S13)。この賞球制御処理では、入力処理(S11)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。払出コマンドは、枠制御基板150に対して出力されるコマンドである。但し、本実施形態のパチンコ遊技機1は、所謂「管理遊技機」であるので、遊技球の物理的な払い出しを行わずに賞球分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、記憶することにより払い出しを行う。続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S14)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図14のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S6)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S8)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理(S8)の終了後、次のメイン側タイマ割込処理(S8)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0112】
続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する始動口センサ検出処理(S15)、V入賞検出処理(S16)、普通動作処理(S17)、特別図柄待機処理(S18)、特別図柄変動処理(S19)、差玉関連処理(S20)、その他の処理(S21)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S8)を終了する。その他の処理(S21)は、不正入賞を検知して報知するセキュリティ制御処理、磁気を利用した不正行為を検知して報知する磁気検出処理、前面枠18(
図1)や内枠の開放を検知して報知する扉開放処理、電波を利用した不正行為を検知して報知する不正電波検出処理、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知して報知する衝撃検出処理などである。そして、次にCPU62に割込パルスが入力されるまではメイン側主制御処理のS5~S7の処理が繰り返し実行され(
図14)、割込パルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S8)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S8)の出力処理(S10)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S8)にてRAM64(
図12)の出力バッファにセットされたコマンドなどが所定の基板へ出力される。
【0113】
(始動口センサ検出処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する始動口センサ検出処理(
図15のS15)の内容についてそれを示す
図16を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート12(
図1)を通過したか否かを判定し(S30)、通過したと判定した場合は(S30:Yes)、ゲート通過処理を実行する(S31)。このゲート通過処理では、普図保留数が4以上であるか否か判定し、普図保留数が4以上でなければ、普図保留数に「1」を加算し、普通図柄の抽選を行うための当たり乱数を取得して記憶する処理を行う。
【0114】
また、S30において、遊技球がゲート12を通過していないと判定した場合は(S30:No)、遊技球が第2始動口22(
図1)に入賞したか否かを判定する(S32)。ここで、遊技球が第2始動口22に入賞したと判定した場合は(S32:Yes)、第2特図保留数U2が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S33)。ここで、第2特図保留数U2が「4」に達していると判定した場合は(S33:Yes)、S38に進むが、第2特図保留数U2が「4」に達していないと判定した場合は(S33:No)、第2特図保留数U2に1を加算する(S34)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S35)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数カウンタがカウントする大当たり乱数と、大当たり種別乱数カウンタがカウントする大当たり種別乱数と、リーチ乱数カウンタがカウントするリーチ乱数と、変動パターン乱数カウンタがカウントする変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64b(
図12)のうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に記憶する。たとえば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0115】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S36)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S35において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口に入賞したことを示すデータ、S35において第2特図保留記憶部64bに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S36において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S37)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(
図15のS10)においてサブ制御基板100(
図13)に出力され、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0116】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口11(
図1)に入賞したか否かを判定する(S38)。ここで、遊技球が第1始動口11に入賞したと判定した場合は(S38:Yes)、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S39)。ここで、第1特図保留数U1が「4」に達していると判定した場合は(S39:Yes)、この始動口センサ検出処理を終了するが、第1特図保留数U1が「4」に達していないと判定した場合は(S39:No)、第1特図保留数U1に1を加算する(S40)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S41)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64aのうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。たとえば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0117】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S42)。この第1始動入賞コマンド特定処理では、S41において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示すデータ、S41において第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータなどにより構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S42において作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S43)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(
図15のS10)においてサブ制御基板100(
図13)に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0118】
(V入賞検出処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行するV入賞検出処理(
図15のS16)の内容についてそれを示す
図17を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2大入賞口35内に設けられた特定領域を通過したか否かを判定し(S50)、通過したと判定した場合は(S50:Yes)、S51へと移行する。尚、遊技球が第2大入賞口35内に設けられた特定領域を通過したことは特定領域センサ35bによって検出される。遊技球が第2大入賞口35内に設けられた特定領域を通過していないと判定された場合は(S50:No)は、V入賞検出処理を終了する。
【0119】
遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2大入賞口35内に設けられた特定領域を通過したと判定した場合、即ち大当たりと判定した場合には、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、大当たりの種類が設定された大当たり種別判定テーブルTa2を参照し、大当たりの種類を判定する(S51)。大当たりの種類によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数および大当たり演出図柄などが異なる。また、大当たりの種類によって大当たり遊技終了後のa時短の有無や時短回数についても決定される。ここで、振分率とは、大当たり種別判定テーブルに設定されている複数種類の大当たりのうち、所定の大当たりが選択される確率のことである。また、最大ラウンド数とは、大当たり遊技における実行可能な最大ラウンド数のことである。但し、大当たり種別の判定については第2大入賞口35を開放する契機となった直前の小当たりの当選時(即ち特別図柄の当選時)に行っても良い。
【0120】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定において、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONし(S52)、このV入賞検出処理を終える。
【0121】
(普通動作処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する普通動作処理(
図15のS17)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は、普図保留数の加算、普通図柄表示器53による普通図柄の変動表示、普通図柄が当たりか否かの当たり判定、当たり判定の結果が当たりであった場合の普通可変入賞装置20の開閉動作などの処理を行う。
【0122】
(特別図柄待機処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する特別図柄待機処理(
図15のS18)の内容についてそれを示す
図18を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が「0」であるか否かを判定し(S60)、「0」ではないと判定した場合は(S60:No)、後述する第2特図大当たり判定処理(
図19)を実行する(S61)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図変動パターン選択処理(
図20,
図21)を実行する(S62)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2から「1」を減算し(S63)、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S64)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理を実行する(S65)。つまり、第2特別図柄表示器52は、遊技制御用マイコン61が第2特図保留記憶部64bに記憶されている大当たり乱数に基づいて当否判定を実行する順に第2特別図柄の変動表示を行う。また、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄の変動表示を行う毎に、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に記憶されている各データは、記憶の順番が古い方の記憶領域にシフトされる。
この第2特図変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする変動開始コマンドには、後述する第2特図大当たり判定処理(
図19)においてセットされた特図停止図柄のデータや第2特図変動パターン選択処理(
図20,
図21)においてセットされた特図変動パターンのデータが含まれている。
【0123】
また、遊技制御用マイコン61は、S40において、第2特図保留数U2が「0」であると判定した場合は(S60:Yes)、第1特図保留数U1が「0」であるか否かを判定し(S66)、「0」ではないと判定した場合は(S66:No)、後述する第1特図大当たり判定処理(
図19)を実行する(S67)。続いて、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図変動パターン選択処理(
図20,
図21)を実行する(S68)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1から「1」を減算し(S69)、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S70)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S71)。つまり、第1特別図柄表示器51は、遊技制御用マイコン61が第1特図保留記憶部64aに記憶されている大当たり乱数に基づいて当否判定を実行する順に第1特別図柄の変動表示を行う。また、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄の変動表示を行う毎に、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に記憶されている各データは、記憶の順番が古い方の記憶領域にシフトされる。
この第1特図変動開始処理では、変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。RAM64の出力バッファにセットする変動開始コマンドには、後述する第1特図大当たり判定処理(
図19)においてセットされた特図停止図柄のデータや第1特図変動パターン選択処理(
図20,
図21)においてセットされた変動パターンのデータが含まれている。
【0124】
また、遊技制御用マイコン61は、S46において、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合は(S66:Yes)、演出表示装置7が待機画面(客待ち用のデモ画面)を表示しているか否かを判定する(S72)。ここで、待機画面を表示していると判定した場合(S72:Yes)は、この特別図柄待機処理を終了し、待機画面を表示していないと判定した場合は(S72:No)、待機画面設定処理を実行する(S73)。この待機画面設定処理では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。
また、本実施形態では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留数U2が「0」の場合(S60:Yesの場合)に限って行われる。つまり、第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
但し、いずれかの特図が変動中である場合にはS60以降の処理は行わずに、特別図柄待機処理を終了する。
【0125】
(第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理))
次に、遊技制御用マイコン61が実行する第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理):
図18のS61)の内容についてそれを示す
図19を参照しつつ説明する。なお、第2特図大当たり判定処理(
図18のS61)と第1特図大当たり判定処理(
図18のS67)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。また、第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bに共通の事項を説明する場合は、単に特図保留記憶部という。
【0126】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数を読出し(S80)、大当たり判定テーブルTa1を参照する(S81)。続いて、大当たり判定テーブルTa1の大当たり乱数を参照し、S80において読出した大当たり乱数と同じ乱数が存在するか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S82)。たとえば、第2特図の大当たり判定処理でS80において読出した大当たり乱数が「7」であった場合は、大当たり判定テーブルTa1のうち、大当たり乱数0~204の中に「7」が存在するため、大当たりと判定する(S82:Yes)。
【0127】
遊技制御用マイコン61は、S82において大当たりと判定した場合は(S82:Yes)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、複数の大当たりの種類が設定された大当たり種別判定テーブルTa2を参照し、大当たりの種類を判定する(S83)。大当たりの種類によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数および大当たり演出図柄などが異なる。また、大当たりの種類によって大当たり遊技終了後のa時短の変動回数についても決定される。ここで、振分率とは、大当たり種別判定テーブルに設定されている複数種類の大当たりのうち、所定の大当たりが選択される確率のことである。また、最大ラウンド数とは、大当たり遊技における実行可能な最大ラウンド数のことである。
【0128】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり判定において、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONし(S84)、S83において判定した大当たりの種類に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64(
図12)に設けた特図バッファにセットし(S85)、この第2特図大当たり判定処理を終える。また、S82において、大当たりではない、つまり、ハズレと判定した場合は(S82:No)、更に大当たり判定テーブルTa1の小当たりに対応する乱数値の範囲を参照し、S80において読出した大当たり乱数と同じ乱数が存在するか否か、つまり、小当たりか否かの当否判定を行う(S86)。たとえば、第2特図の大当たり判定処理でS60において読出した大当たり乱数が「1234」であった場合は、大当たり判定テーブルTa1のうち、小当たりに対応する乱数範囲205~2216の中に「1234」が存在するため、小当たりと判定する(S86:Yes)。
【0129】
遊技制御用マイコン61は、S86において小当たりと判定した場合は(S86:Yes)、小当たりと判定したことを示す小当たりフラグをON(S87)する。また、1種2種混合機では小当たりの場合も実質的に大当たりとなるので、小当たりと判定された時点において大当たりと同様に大当たりの種別の判定するようにしても良い。
【0130】
一方、S86において小当たりでもないと判定した場合は(S86:No)、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図柄データを特図バッファにセットし(S85)、この第2特図大当たり判定処理を終える。
【0131】
(第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理))
次に、遊技制御用マイコン61が実行する第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理):
図18のS62,S68)の内容についてそれを示す
図20および
図21を参照しつつ説明する。なお、第2特図変動パターン選択処理(
図18のS62)と第1特図変動パターン選択処理(
図18のS68)とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。また、第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bに共通の事項を説明する場合は、単に特図保留記憶部という。
【0132】
遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態中であるか否かを判定し(S90)、時短状態中ではないと判定した場合は(S90:No)、大当たりフラグがONしているか否かを判定する(S91)。ここで、大当たりフラグがONしていると判定した場合は(S91:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S92)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTa4のうち、非時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。
続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0133】
また、遊技制御用マイコン61は、S91において大当たりフラグがONしていない、つまり、ハズレと判定した場合は(S91:No)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S93)。つまり、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルTa3のうち、非時短状態に設定されているリーチ乱数であるか否かを判定する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が「20」であった場合は、リーチ乱数「20」は、非時短状態に設定されているリーチ乱数0~27に存在するため、リーチ成立乱数であると判定する(S93:Yes)。ここで、遊技制御用マイコン61は、リーチ乱数がリーチ成立乱数であると判定した場合は(S93:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S94)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTa4のうち、非時短状態でリーチ有りハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0134】
また、遊技制御用マイコン61は、S93においてリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合は(S93:No)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S95)。
続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(S96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0135】
また、遊技制御用マイコン61は、S70において時短状態中であると判定した場合は(S90:Yes)、大当たりフラグがONしているか否かを判定する(
図21のS97)。ここで、大当たりフラグがONしていると判定した場合は(S97:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S98)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTa4のうち、時短状態で大当たりの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(
図20のS96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0136】
また、遊技制御用マイコン61は、S97において大当たりフラグがONしていない、つまり、ハズレと判定した場合は(S97:No)、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数を取得し、その取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S99)。つまり、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルTa3のうち、時短状態に設定されているリーチ乱数であるか否かを判定する。たとえば、特図保留記憶部の第1記憶領域から取得したリーチ乱数が「8」であった場合は、リーチ乱数「8」は、時短状態に設定されているリーチ乱数0~11に存在するため、リーチ成立乱数であると判定する(S99:Yes)。ここで、遊技制御用マイコン61は、リーチ乱数がリーチ成立乱数であると判定した場合は(S99:Yes)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S100)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTa4のうち、時短状態でリーチ有りハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(
図20のS96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0137】
また、遊技制御用マイコン61は、S99においてリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合は(S99:No)、特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して特図変動パターンを選択する(S101)。詳しくは、特図変動パターン選択テーブルTa4のうち、時短状態でリーチ無しハズレの場合の変動パターン乱数を参照する。そして、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている変動パターン乱数を取得し、その取得した変動パターン乱数と同じ変動パターン乱数と対応付けられている特図変動パターンを選択する。続いて、遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64(
図12)に設けた特図変動パターンバッファにセットし(
図20のS96)、この第2特図変動パターン選択処理を終える。
【0138】
S96において特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS65(
図18)においてセットされる変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図15のS10)により、サブ制御基板100(
図5)へ出力される。また、第1特図変動パターン選択処理も第2特図変動パターン選択処理と同じ流れで実行され、S96において特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS71(
図18)においてセットされる変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図15のS10)により、サブ制御基板100(
図13)へ出力される。
【0139】
尚、説明は省略するが小当たりの場合においても特図変動パターン選択テーブルTa4を参照して小当たりに対応した特図変動パターンの選択が行われる。特に1種2種混合機では第2特別図柄で小当たりに当選した場合も実質的に大当たりとなるので、大当たりした場合と同様の演出が選択されることとなる。
【0140】
(特別図柄変動処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する特別図柄変動処理(
図15のS19)の内容についてそれを示す
図22を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間(
図18のS62またはS68において選択された特図変動パターンに応じて決まる変動時間)が終了したか否かを判定する(S110)。ここで、終了していないと判定した場合は(S110:No)、この特別図柄変動処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。一方、終了したと判定した場合は(S110:Yes)、特別図柄の変動表示を停止させるための変動停止コマンドをRAM64(
図12)に設けたコマンドバッファにセットする(S111)。続いて、遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示を、第2特図大当たり判定処理(第1特図大当たり判定処理)のS85(
図19)においてセットした特図停止図柄データに応じた図柄(特図の大当たり図柄または特図のハズレ図柄)で停止させる特別図柄停止処理を実行する(S112)。それによって、特別図柄が確定する。尚、特図変動パターン選択テーブルTa4にて選択された変動パターンに対応する停止時間(例えば500ms)だけ特別図柄は停止した状態を継続(特別図柄の確定状態を継続)し、その後に次回の特別図柄の変動が開始される。
【0141】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技状態管理処理を実行する。この遊技状態管理処理では、例えば時短フラグがONになっているか否か判定し、ONになっている、即ち時短状態にあると判定した場合は、時短状態中における特別図柄の変動回数を減算方式でカウントする時短カウンタの値を1減算する。尚、時短カウンタは特定の大当たり遊技の終了時に予め決められた値(本実施形態では大当たり遊技の終了時は“0(時短なし)”又は“40”)がセットされる。尚、時短フラグがONで且つ時短カウンタの値が“0”となった場合には、大当たり遊技終了後の大当たりの種別によって決められた時短回数の変動(即ち、時短遊技状態の最終変動)が終了したことを示すので、今回の変動の終了とともに時短フラグをOFFにする。
【0142】
遊技制御用マイコン61は、各フラグの情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、遊技状態管理処理を終える。RAM64の出力バッファにセットされた遊技状態指定コマンドは、メイン側タイマ割込処理の出力処理(
図15のS10)においてサブ制御基板100に出力される。
【0143】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONになっているか否かを判定し(S114)、ONになっていると判定した場合は(S114:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する(S115)。この遊技状態リセット処理では、時短フラグがONになっているか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。つまり、大当たり遊技の実行中は、通常確率状態かつ非時短状態に制御される。
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技を開始するために、大当たりオープニング設定を行い(S116)、大当たりオープニングを実行させるためのオープニングコマンドをセットする(S117)。大当たりオープニングとは、大当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、大当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。オープニング設定では、大当たり遊技のオープニングの実行時間を所定のタイマにセットする。
続いて、遊技制御用マイコン61は、特別電役作動有効カウンタの値をセットし(S118)、この特別図柄変動処理を終える。特別電役作動有効カウンタは、大当たり遊技におけるラウンド数の残回数をカウントするカウンタである。また、S114において大当たりフラグがONになっていないと判定した場合は(S114:No)、この特別図柄変動処理を終える。
【0144】
上記の本実施形態のパチンコ機では通常状態から第1特別図柄の抽選で時短ありの大当たりに当選し、大当たり遊技が終了した後には時短状態(a時短)へと移行する。a時短状態は電サポ制御が行われるので、第2始動口22へ入球し易くなり、遊技者は第2始動口22を狙って遊技を行うこととなる。a時短の回数は大当たりの種類によって異なっており、例えば0回(時短なし)、40回の内から抽選により選択される。例えば40回が選択された場合には最大で特別図柄が40回変動するまで時短状態(ラッシュ状態)は継続する。その40回の変動において大当たりに当選(V入賞による大当たりも含む)すれば、大当たり遊技後に再度時短状態となる(但し、第1特別図柄による抽選で当選した場合については必ずしも時短状態に移行するとは限らない)。
【0145】
一方、40回の内に大当たりに当選しなかった場合については、一旦時短状態は終了し、第2特別図柄の残保留による抽選が行われる。そして、第2特別図柄の残保留の変動において大当たりに当選(V入賞による大当たりも含む)すれば、大当たり遊技後に再度時短状態となる。
【0146】
(差玉関連処理)
次に、遊技制御用マイコン61が実行する差玉関連処理(
図15のS20)の内容についてそれを示す
図23を参照しつつ説明する。
遊技制御用マイコン61は、差玉関連処理において先ず、発射レール143に設けられた実射センサ143b(
図5)又は遊技領域3に設けられた各入賞口に対応するセンサ(例えば、第1始動口センサ11a、一般入賞口センサ13a、第2始動口センサ22a、第1大入賞口センサ32a、第2大入賞口センサ35a)において遊技球を検出したか否かを判定する。尚、実射センサ143bは、発射レール143を通過して遊技領域3へと発射された遊技球、即ち遊技に消費した遊技球を検出する。一方、遊技領域3に設けられた各入賞口に対応するセンサは各入賞口に遊技球が入賞したことを検出する。
【0147】
そして、発射レール143に設けられた実射センサ143b又は遊技領域3に設けられた各入賞口に対応するセンサにおいて遊技球を検出したと判定された場合(S120:Yes)にはS121へと移行し、RAM64の差玉数記憶部64dに記憶された差玉数の推移(履歴)を更新する。より具体的には、入賞口への入賞によって遊技者が獲得した遊技球の数と、遊技者が遊技により消費した遊技球の数を夫々カウントし、カウント結果に基づいて現在の差玉数を更新する。例えば、実射センサ143bにより検出した遊技球の数に応じて、差玉数を減算する。また、第1始動口11に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられるので、第1始動口センサ11aにおいて検出した1の遊技球当たり差玉数を「3」増加する。また、一般入賞口13に遊技球が入賞すると5球の遊技球(賞球)が与えられるので、一般入賞口センサ13aにおいて検出した1の遊技球当たり差玉数を「5」増加する。また、第2始動口22に遊技球が入賞すると3球の遊技球(賞球)が与えられるので、第2始動口センサ22aにおいて検出した1の遊技球当たり差玉数を「3」増加する。また、第1大入賞口32に遊技球が入賞すると15球の遊技球(賞球)が与えられるので、第1大入賞口センサ32aにおいて検出した1の遊技球当たり差玉数を「15」増加する。また、第2大入賞口35に遊技球が入賞すると1球の遊技球(賞球)が与えられるので、第2大入賞口センサ35aにおいて検出した1の遊技球当たり差玉数を「1」増加する。
【0148】
その後、遊技制御用マイコン61は、RAM64の差玉数記憶部64dに記憶された差玉数の推移(履歴)を読み出し、その最低値と最高値との差分である最大差玉数が「基準値」に達したか否かを判定する(S122)。基準値は例えば9万5千とするが、基準値については適宜変更可能である。また、「基準値に到達」は、基本的に差玉数が増加することによって最大差玉数が基準値に到達することを前提とするが、差玉数が減少することによって最大差玉数が基準値に到達する場合を含めても良い。
【0149】
遊技制御用マイコン61は、S122において最大差玉数が「基準値」に達したと判定された場合(S122:YES)には、更に現時点においてパチンコ遊技機1で大当たり遊技が実行中であるか否かを判定する(S123)。そして、S122において最大差玉数が「基準値」に達していないと判定された場合(S122:No)及び基準値に到達していても大当たり遊技中であると判定された場合(S123:YES)については、遊技不能状態へと移行することなく処理を終了する。尚、基準値に到達していても大当たり遊技中であると判定された場合(S123:YES)については、その後に大当たり遊技が終了したタイミングでS124へと移行することとなる。即ち、最大差玉数が基準値に到達する前に開始した大当たり遊技については仮に大当たり遊技中に最大差玉数が基準値に到達したとしても大当たり遊技中に強制的に遊技を終わらせることなく、少なくとも大当たり遊技が終了するまでは遊技を継続して実行可能とする。
【0150】
一方、最大差玉数が「基準値」に達し且つ大当たり遊技中でないと判定された場合(S123:No)については、遊技可能状態から遊技不能状態へと移行させるための処理を実行する。具体的には先ず、遊技停止処理を実行する(S124)。この遊技停止処理では、遊技盤2の各入賞口への入賞を検出する全ての入賞検出センサの検出を無効にすると共に、前述したメイン側タイマ割込処理(
図15)におけるS15~S19等の処理の実行を停止させる。これにより、各入賞口の入賞検出が不可能な状態となり、大入賞口や第2始動口22が閉鎖を維持する状態となり、表示器類50のLED(特別図柄表示器51,52や普通図柄表示器53等)が消灯状態(特図や普図の変動表示が非表示)となり、実行中であった特図や普図の変動表示については変動時間の計測が中止(または中断)される。この遊技停止処理(S124)が終了すると、遊技制御用マイコン61は次に、発射停止処理を実行する(S125)。この発射停止処理では、平常状態(遊技可能状態)において常に出力している発射許可信号を停止させる。これにより、発射制御回路75による発射装置90の駆動制御が停止され、遊技球の発射動作が不可能な状態になる。このように、遊技制御用マイコン61による遊技停止処理(S124)および発射停止処理(S125)が実行されることで、遊技可能状態から遊技不能状態に移行する。なお、遊技不能状態への移行は、遊技停止処理および発射停止処理の一方のみにより実行されてもよい。
【0151】
尚、遊技可能状態から一旦遊技不能状態に移行すると、その後に単に電源をオンしただけでは最大差玉数はリセットされても遊技不能状態は継続する。遊技不能状態はその後にRAMクリアスイッチ185が押下された状態で電源がオンされる(ラムクリ)まで継続する(S4)。
【0152】
S125を終了すると、遊技制御用マイコン61は、遊技不能状態に関する報知を演出制御用マイコン101の制御により実行させるための遊技不能報知コマンドをセットする(S126)。この遊技不能報知コマンドは、前述したメイン側タイマ割込処理(
図15)の出力処理(S10)においてサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)や枠制御基板150に送信される。
【0153】
そして、上記遊技不能報知コマンドを受信したサブ制御基板100では、当該遊技機が遊技不能状態にあることを案内する画像を表示する。尚、枠制御基板150は遊技不能状態に移行した場合に、RAM154に記憶された持ち球数の計数(カードユニット28への移動)を自動で行うようにしても良い。
【0154】
(枠制御基板の制御処理)
次に、枠制御用マイコン151(
図12)が実行する制御処理についてそれを示す
図24を参照しつつ説明する。
【0155】
パチンコ遊技機1の電源がオンされ、枠制御用マイコン151に電力が供給されると、各種の初期設定処理(S150)を行う。例えば枠制御用マイコン151は先ずRAM154へのアクセスを許可し、RAM154に対する情報の書き込みや読み出しを可能とする。
【0156】
その後、計数クリアスイッチ183がONの状態で電源投入が行われたか否かを判定する(S151)。そして、計数クリアスイッチ183がONの状態で電源投入が行われたと判定した場合(S151:Yes)は、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数をクリアする(S152)。即ち、持ち球数は初期値である「0」となる。
【0157】
続いて枠制御用マイコン151は、S1535において、球抜きスイッチ184がONの状態で電源投入が行われたか否かを判定する(S153)。そして、球抜きスイッチ184がONの状態で電源投入が行われたと判定した場合(S153:Yes)は、更にRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数を読み出し、持ち球数が初期値である「0」か否か判定する(S154)。
【0158】
そして、持ち球数が初期値である「0」であると判定された場合(S154:Yes)には、パチンコ遊技機1のモードを遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き動作が行われる球抜きモードへと移行する(S155)。尚、球抜きモードは例えば球循環機構130のメンテナンスを行う場合や遊技台の入れ替えを行う場合、即ち遊技機内に封入された遊技球を取り出す必要がある状況において利用される。球抜きモードへと移行すると、後述のように遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法や注意点を案内するガイダンスが演出表示装置7やスピーカから出力され、基本的にはガイダンスに従って作業者が球抜きの作業を行うこととなる。詳細については後述する。
【0159】
前記S155において球抜きモードへの移行する場合には、球抜きモードへ移行することを示すコマンドを、遊技制御用マイコン61や演出制御用マイコン101に向けて送信する。尚、球抜きモード中にある間はこれまで説明したパチンコに係る遊技は行われず(例えば特図や普図の抽選、図柄の変動、賞球の払い出し等を行わない)、球抜きモードに移行してから所定時間経過した場合、或いは作業者の操作によって終了する。球抜きモードが終了した後はパチンコに係る遊技を行うことが可能な遊技モードへと移行する。
【0160】
一方で球抜きスイッチ184がONの状態で電源投入が行われた場合であっても、持ち球数が初期値である「0」でない場合(S154:No)については、球抜きモードへ移行することなく通常の遊技モードに制御される。従って、基本的には持ち球数が初期値である「0」でない場合に球抜きモードへと移行するためには、先ず計数クリアスイッチ183がONの状態で電源投入を行うことで持ち球数をクリアし、電源をオフしたうえで球抜きスイッチ184がONの状態で再度電源投入を行う必要がある。
【0161】
但し、本実施形態では例外的に持ち球数が初期値である「0」でない場合であっても、球抜きスイッチ184に加えて計数クリアスイッチ183についてもONの状態で電源投入が行われた場合については、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数をクリア(S152)した上で、球抜きモードへと移行するように制御する(S155)。それによって、持ち球数が初期値である「0」でない場合について2回の電源操作を行う必要がなく、1回の電源操作で球抜きモードへ移行することが可能となる。
【0162】
枠制御用マイコン151は、前記S150~S155の処理の終了後、ループし、一定の間隔毎(例えば、300ms毎)に発生する割込み処理(枠制御側割込処理)を実行する(S156)状態へと移行する。
【0163】
(球抜きモード移行処理)
次に、枠制御用マイコン151が実行する球抜きモード移行処理(
図24のS155)について
図25を用いて説明する。
枠制御用マイコン151は、球抜きモード移行処理において先ず、球抜きモードへ移行することを示すコマンドを、遊技制御用マイコン61や演出制御用マイコン101に向けて送信する。その上でパチンコ遊技機1のモードを遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き動作が行われる球抜きモードへと移行する(S160)。尚、球抜きモード中にある間はこれまで説明したパチンコに係る遊技は行われない。例えば特図や普図の抽選、図柄の変動、賞球の払い出し等について行わないように制御する(但し、発射装置90による遊技球の発射などは可能にしても良い)。
【0164】
次に枠制御用マイコン151は、S161において演出制御用マイコン101に対して遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法や注意点を案内するガイダンスを出力するように指示する。尚、ガイダンスの出力は演出表示装置7やスピーカ8を用いて行う。例えば、演出表示装置7に対して球抜き操作の方法や注意点を説明する画像又は動画を表示する。或いは、球抜き操作の方法や注意点を説明する音声をスピーカ8から出力する。球抜きモード中は上述したように通常の遊技は行われないので演出表示装置7やスピーカ8をガイダンスのために用いても支障が生じない。また、球抜きの作業は前面枠18を開けた状態で行われるが、演出表示装置7は前面枠18ではなく発射装置90や揚上装置134と同じ内枠27に対して取り付けられているので、前面枠18を開けた状態でも演出表示装置7を視認しながら球抜き作業を行うことが可能となる。特に、発射装置90や揚上装置134の上方に位置するので、演出表示装置7を視認しながらの作業が容易となる。
【0165】
また、上記球抜き操作の方法は、複数のステップを作業することからなる。
例えば主なステップとしては、
(1)揚上装置134から遊技球を抜く。
(2)発射装置90から遊技球を抜く。
(3)揚上装置134及び発射装置90から夫々落下した遊技球を受ける循環球受け皿139を遊技機内から取り出す。
(4)取り出した循環球受け皿139の注ぎ口144をアウト口19に寄せて傾斜させることで抜き出した遊技球を遊技機内に戻す。
の4つのステップがある。但し、(4)については台のメンテナンス作業を行う場合のみ必要な作業であり、台の入れ替えを行う場合については(3)で循環球受け皿139を取り出し、皿中の遊技球を回収したところで終了となる(遊技球を遊技機内には戻さない)。また、上記ステップの作業順序や作業内容については適宜変更が可能である。例えば球循環機構130の内、揚上装置134のメンテナンスのみを行う場合には(2)の作業は省略しても良く、発射装置90のメンテナンスのみを行う場合には(1)の作業は省略しても良い。更に、(1)→(3)→(4)→(2)→(3)→(4)の順に作業することも可能である。但し以下では、(1)→(2)→(3)→(4)の順に作業を行うと仮定してガイダンスを行う場合を例に挙げて説明する。
【0166】
枠制御用マイコン151は、前記S161で開始された球抜き操作の方法を案内するガイダンスについて、予め設定された停止ポイントに到達したか否かを判定し(S162)、停止ポイントに到達したと判定された時点でガイダンスを一旦停止する(S163)。尚、停止されたガイダンスについては例えば演出ボタン9や十字キー252を用いた特定の操作を受け付けた場合に停止を解除して再開することが可能となっている(S164、S165)。或いは、停止してから所定時間後に自動的に停止を解除しても良い。
【0167】
ここで、前記S163でガイダンスを停止する停止ポイントは、球抜き操作の方法を説明する場合において特に重要なポイントとなっており、具体的には上記(1)~(4)の各作業を案内するポイントとする。例えば
図26に示すように演出表示装置7に表示されるガイダンス255について(1)の作業を案内する第1のポイントに到達したと判定された時点でまず停止する。そして、球抜き作業を行う作業者は、停止状態にあるガイダンスを参照して(1)の作業を行い、作業が完了した後に演出ボタン9や十字キー252を用いた操作によって停止を解除する。例えば
図26に示す例では十字キー252の右方向を押すことで停止が解除される。
【0168】
その後、
図26に示すように演出表示装置7に表示されるガイダンス255について(2)の作業を案内する第2のポイントに到達したと判定された時点で再度停止する。そして、球抜き作業を行う作業者は、停止状態にあるガイダンスを参照して(2)の作業を行い、作業が完了した後に演出ボタン9や十字キー252を用いた操作によって停止を解除する。以降同様にして(3)の作業を案内する第3のポイント及び(4)の作業を案内する第4のポイントに到達したと判定された時点でも停止する。そして、全ての作業の案内が終了したタイミング(最後の作業を案内するタイミング)においても再びガイダンス255は停止し、球抜き作業を行う作業者は、球抜き作業が全て完了したことを確認したうえで演出ボタン9や十字キー252を用いた操作によってガイダンスを終了する操作を行う。その場合にガイダンスは再開されずに終了することとなる。
【0169】
枠制御用マイコン151は作業者により案内を終了する指示を受け付けた場合(S166:Yes)に、球抜きモードを終了することを示すコマンドを、遊技制御用マイコン61や演出制御用マイコン101に向けて送信する(S167)。それに伴いパチンコ遊技機1のモードを球抜きモードからパチンコに係る遊技を行うことが可能な遊技モードへと移行する(S168)。尚、上記球抜きモードの終了に伴い演出表示装置7に表示されていたガイダンス255も非表示となり、演出表示装置7には演出図柄を含む遊技画面が表示されることとなる。
【0170】
また、
図26に示す例では演出表示装置7に球抜き操作の方法を説明するガイダンス255を表示することとしているが、ガイダンス255の表示に合わせて内容を説明する音声についても出力するようにしても良い。更に、演出表示装置7の表示は行わずに音声のみでガイダンスを行うことも可能である。また、
図26に示す例では(1)~(4)の作業を1作業ずつ順に案内しているが、複数の作業を同時に案内しても良い。例えば(1)と(2)の作業についてはまとめて案内するガイダンスであっても良いし、或いは(1)~(4)の全ての作業を一度にまとめて案内するガイダンスを表示しても良い。尚、その場合には前記S163でガイダンスが停止される停止ポイントは全ての作業を案内した状態の一カ所のみとなる。そして、案内が一旦停止された状態で球抜き操作を行う作業者により案内を終了する指示を受け付けた場合に、停止を解除して案内を終了することとなる。
【0171】
また、上記例では停止ポイントで一旦停止したガイダンスは球抜き操作を行う作業者により次の案内に進む指示を受け付けた場合に停止を解除しているが、枠制御用マイコン151が球抜き操作の進捗状況を判断して停止の解除を自動で行うようにしても良い。具体的には、発射装置90や揚上装置134において遊技球の球抜き状況を検出するセンサ(例えば排出口の球の通過を検出するセンサ)を配置する。同じく、遊技機内部の循環球受け皿139を収納する空間に循環球受け皿139を検出するセンサを設ける。また、アウト口19において遊技球の通過を検出するセンサを設ける。それによって、上記(1)~(4)の各作業が完了したことを枠制御用マイコン151において検出可能とする。そして、枠制御用マイコン151は、ガイダンスが一旦停止された状態で現在案内されている一又は複数のステップに対応する作業が完了したことを検出した場合に、停止を解除して次の案内に進むように制御する。
【0172】
また、上記(1)~(4)の各作業の内、(2)~(4)については基本的に球抜き操作を行う作業者による手作業で行われる。一方、(1)については球抜きモードの移行に伴って自動で行うようにしても良い。例えば、球抜きモードに移行すると同時或いは所定時間後に通常モード時とは逆方向へと揚送モータ134cを回転駆動させる。これにより、揚送軸134aが逆回転を行い、遊技球を下方へと誘導し、排球口134dから循環球受け皿139へ向けて順に排出する。但し、例えば球抜き操作を行う作業者が所定のボタン操作を行うことを契機にして上記逆方向への揚送モータ134cの回転駆動を行うようにしても良い。
【0173】
(枠制御側割込処理)
次に、枠制御用マイコン151が実行する枠制御側割込処理(
図24のS156)について
図27を用いて説明する。
枠制御用マイコン151は、枠制御側割込処理において先ず、遊技情報取得処理を実行する(S170)。この遊技情報取得処理において枠制御用マイコン151は、遊技制御用マイコン61からのコマンドに基づいて、各種の遊技情報を取得する。この場合に取得可能な遊技情報としては例えば、付与された賞球数に関する情報や、遊技制御が停止されたことに関する情報や、現在の遊技状態に関する情報や、特図変動表示または普図変動表示が行われたことに関する情報や、大当たり遊技状態または小当たり状態の発生回数に関する情報や、遊技制御用マイコン61が判定した異常状態に関する情報等がある。枠制御用マイコン151は、取得した遊技情報をRAM154に記憶して、この遊技情報取得処理(S170)を終了する。
【0174】
続いて、枠制御用マイコン151は、後述の持ち球数管理処理(S171)を行い、更に球循環駆動処理(S172)、遊技球数表示器26の制御(S173)、その他の処理(S174)、の順に実行する。そして、枠制御側割込処理を終了する。
【0175】
尚、球循環駆動処理(S172)では、枠制御用マイコン151は揚送モータ134cの駆動制御(正回転)を行う。また、発射許可信号と、遊技者のハンドル4への接触を示すタッチスイッチ92からの信号とを入力する状態で、球送りソレノイド136bを駆動させて内部通路R4にある遊技球を1球ずつ打球位置143aに送り、更に発射ボリューム93の変位量に応じた打撃強度で発射槌90aを駆動するように発射モータ91を制御して、定期的に(例えば0.6秒間隔で)遊技球を発射させる。それによって球循環機構130における遊技球の循環が行われる。但し、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数が0の場合については、仮にハンドルが操作されていたとしても上記球送りソレノイド136b及び発射モータ91の駆動は行わない(遊技球の発射を行わない)ように制御される。尚、球循環機構130の詳細については
図5を用いて既に説明したので省略する。
【0176】
また、揚送モータ134cについては前面枠18が開いた状態で駆動させると不具合が発生する虞があるので、前面枠18が開いた状態では揚送モータ134cの駆動を行わないように制御される。即ち、前面枠18が開いた状態では揚上装置134のところで遊技球の流れが止まり、球循環機構130の遊技球の循環は行われない。但し、上述した球抜きモード中では例外的に前面枠18が開いた状態であっても揚送モータ134cが逆回転方向に駆動制御される場合はある。尚、前面枠18の開閉状態については扉開放センサ18cによって検出可能である。また、この仕様に伴って前面枠18が開いた状態及び閉鎖されてから一定期間については遊技球の循環に関するエラー報知は行わないようにする。その他の処理(174)では例えばこのような遊技球の循環に関するエラー報知などを行う。
【0177】
(持ち球数管理処理)
次に、枠制御用マイコン151が実行する持ち球数管理処理(
図27のS171)について
図28を用いて説明する。
枠制御用マイコン151は、遊技球数管理処理において先ず、遊技者による球貸し操作(球貸ボタン281の操作)或いは再プレイ操作(再プレイボタン284の操作)に応じたカードユニット28(貸出基板)からの貸出信号又は再プレイ信号を入力しているか否かを判定する(S180)。そして、貸出信号又は再プレイ信号を入力していると判定した場合は(S180:Yes)、その貸出信号又は再プレイ信号に応じた貸球数(例えば125個)を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数に加算して(S181)、S182に進む。一方、S180において貸出信号及び再プレイ信号を入力していないと判定した場合には(S181:No)、そのままS182に移行する。
【0178】
S182において、枠制御用マイコン151は、遊技者による計数操作(計数ボタン251の操作)に応じた計数信号を入力しているか否かを判定する。そして、計数信号を入力していると判定した場合は(S182:Yes)、更に現在のパチンコ遊技機1の遊技状態が持ち球の移動を制限する状況にあるか否かを判定する(S183)。ここで、持ち球の移動を制限する状況は、一定数の持ち球を遊技機側に残すべき状況であり、より具体的には特定領域(V領域)への入賞を要求される可能性のある状況とする。前述したように本機は1種2種混合機であり、小当たりに当選するすると一定期間のみ第2大入賞口35内にある特定領域が入球可能な開口状態となり、その特定領域に遊技球が通過することを条件に大当たりが付与される。この特定領域が開口状態となる時間はそれほど長い時間ではないため、仮に計数ボタン251の操作で全ての持ち球をカードユニット28側へ転送し、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)に残された持ち球数が0の状態で特定領域が開口状態となると、開口状態にある間に遊技球の打ち出しが間に合わない(大当たりが獲得できなくなる)可能性がある。
【0179】
そこで本実施形態では、持ち球の移動を制限する状況として小当たりに当選したタイミング或いは特定領域が開口されたタイミングを始点とした所定期間内(例えば1分間)を設定し、その期間内ではRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数が下限値(例えば250個)未満の場合(S184:No)については、遊技者による計数操作を受け付けた場合についてもカードユニット28への持ち球の移動(持ち球数の計数)を行わないようにする。尚、持ち球の移動を制限する状況としては、小当たりに当選するタイミング或いは特定領域が開口されるタイミングよりも所定時間前(例えば10秒前)を始点とした所定期間内(例えば1分間)を設定しても良い。更に、持ち球の移動を制限する状況については、より広く遊技機において遊技が行われている状態としても良い。例えば、特図或いは普図の変動が行われている状態、遊技者がハンドル4にタッチしている状態、発射装置90により遊技球の打ち出しが行われている状態を持ち球の移動を制限する状況としても良い。
【0180】
また、他の例としては大当たり遊技が開始された時点でパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に残された持ち球数が0の状態であると、大入賞口に予め決められた数(例えば10c)の遊技球が入賞する前に大入賞口が閉鎖されてしまう(大当たりに対する賞球が少なくなる)問題があるので、大当たりに当選するタイミング或いは大入賞口が開口されるタイミングよりも所定時間前(例えば10秒前)を始点とした所定期間内(例えば1分間)を持ち球の移動を制限する状況に設定しても良い。更に、大入賞口以外に電チュー等の可変始動口が開放するタイミングに基づいて設定された所定期間内について持ち球の移動を制限する状況に設定しても良い。
【0181】
また、例えば本機が1種2種混合機以外の機種である場合について、本機がV確機であれば特定の大当たりラウンド中に特定領域(V領域)が開口する場合があるが、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)に残された持ち球数が0の状態で特定領域が開口状態となると、開口状態にある間に遊技球の打ち出しが間に合わない(高確率状態に移行できない)可能性がある。そこで、持ち球の移動を制限する状況として大当たりラウンドが開始されるタイミング或いは特定領域が開口されるタイミングよりも所定時間前(例えば10秒前)を始点とした所定期間内(例えば1分間)を持ち球の移動を制限する状況に設定しても良い。
【0182】
一方、計数信号を入力していると判定した場合であって(S182:Yes)、現在のパチンコ遊技機1の遊技状態が持ち球の移動を制限する状況にないと判定された場合(S183:No)、或いは現在のパチンコ遊技機1の遊技状態が持ち球の移動を制限する状況であってもRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数が下限値(例えば250個)以上の場合(S184:Yes)については、その計数信号に応じた球数を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数から減算する(S185)。尚、遊技者による計数操作は、計数ボタン251の短押し操作の場合は1個の持ち球を計数し、長押し操作では250個の持ち球をまとめて計数する。この場合に、計数分の持ち球数が持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数から減算され、更にその減算分の持ち球数データがカードユニット28に向けて出力される(S186)。それによって、持ち球の減算分がカードユニット28によってカウント(計数)され、計数された分の持ち球が遊技カードに記憶(加算)される。その結果、計数ボタン251を操作することにより、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)からカードユニット28の遊技カードへと遊技者の持ち球(データ)が移動することとなる。但し、持ち球数については遊技カードに直接記憶するのではなく、遊技カードの識別情報と紐づけて管理会社の外部のサーバに記憶しても良い。
【0183】
また、特に計数ボタン251の長押し操作で250個の持ち球をまとめて計数する場合において、持ち球の移動を制限する状況下で持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数からまとめて移動する遊技球の数(即ち250個)を減算した場合に下限値未満となる場合については、持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数が下限値となる数だけ減算するようにする。例えば
図29に示すように持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数が400個である場合に、持ち球の移動を制限する状況下で計数ボタン251の長押し操作を行ったとしても250個ではなく150個のみ減算することとなる。即ち、持ち球数が下限値になるまでしか持ち球をカードユニット28側へ移動できないこととなる。一方、持ち球の移動を制限する状況下でなければ規定通り250個減算することとなる。
【0184】
続いてS187において、枠制御用マイコン151は、賞球が発生したか否か(遊技制御用マイコン61からの賞球コマンドを受信したか否か)を判定する。そして、賞球が発生したと判定した場合は(S187:Yes)、その賞球数を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数に加算する(S188)。
【0185】
S189において、枠制御用マイコン151は、遊技者による発射操作(ハンドル4の操作)に応じて発射した遊技球を実射センサ143bが検出したか否かを判定する。そして、実射センサ143bによる検出があったと判定した場合は(S189:Yes)、その実射センサ143bによる検出分の球数(1個)を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数から減算する(S190)。
【0186】
続いてS190において、枠制御用マイコン151は、遊技者による発射操作(ハンドル4の操作)に応じて発射した遊技球をファール球センサ138aが検出したか否かを判定する。そして、ファール球センサ138aによる検出があったと判定した場合は(S191:Yes)、そのファール球センサ138aによる検出分の球数(1個)を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数に加算する(S192)。
【0187】
続いて、S193において枠制御用マイコン151は、前記S180~S192による持ち球数の減算或いは加算を行った結果、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数が閾値以上となったか否か(即ち遊技媒体計数条件を満たしたか否か)を判定する。尚、閾値は例えば1500個とするが、その値は適宜変更可能である。例えば500個や1000個としても良い。また、閾値を遊技者や店舗側の操作で任意の数に変更できるようにしても良い。
【0188】
そして、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数が閾値以上となる遊技媒体計数条件を満たしたと判定された場合(S193:Yes)には、閾値を超える分の球数を、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数から減算する(S194)。尚、減算については一定時間間隔で予め決められた数(例えば1個や100個)ずつ持ち球数が閾値となるまで繰り返し減算しても良いし、閾値を超える分を一度にまとめて減算しても良い。この場合に、段階的或いは一度に閾値を超える分の持ち球数が持ち球数記憶部154aに記憶された持ち球数から減算され、更にその減算分の持ち球数データがカードユニット28に向けて出力される(S195)。それによって、持ち球の減算分がカードユニット28によってカウント(計数)され、計数された分の持ち球が遊技カードに記憶(加算)される。その結果、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球数が予め定められた閾値以上となった場合については、計数ボタン251が押されない場合においても自動で閾値を超えた分の持ち球がカードユニット28へと移動することとなる。それによって、遊技者が遊技を中断する場合や遊技をやめる際にパチンコ遊技機1に記憶された持ち球数のカードユニット28への移動を短時間で終わらせることが可能になる。
【0189】
また、上記S193~S195による持ち球数の自動転送については、予め遊技者或いは遊技店側で実施するか否かを設定する手段を備えるようにし、枠制御用マイコン151は自動転送を実施することが設定された状態に限りS193~S195による持ち球数の自動転送を行うようにしても良い。例えば、パチンコ遊技機1の待機状態で演出表示装置7に表示させることが可能なカスタム設定画面において遊技者が十字キー252や演出ボタン9を操作することで持ち球数の自動転送を実施するか否かを設定可能とする。或いは、ラムクリ時のみ移行可能な設定画面において作業者が十字キー252や演出ボタン9を操作することで持ち球数の自動転送を実施するか否かを設定可能としても良い。尚、仮に持ち球数の自動転送を実施しないことが設定されていたとしても、遊技者が計数ボタン251を操作した場合については計数ボタン251の操作に伴う持ち球数の移動は当然に可能である(S182~S186)。従って、自動転送が行われなくとも手動操作でRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数を閾値前後となるように調整することは可能である。
【0190】
尚、
図28に示す持ち球数管理処理は、300ms毎に繰り返し実行される割込処理で実行される。即ち、RAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている持ち球数が閾値以上の状態を満たす限り、ごく短い間隔で閾値を超える範囲の一定数の持ち球が順次減算されるので、通常通りの遊技を行っていれば仮に大当たり遊技中であってもRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている遊技者の持ち球数が閾値を大きく超えることは考えられない。従って、仮にRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている遊技者の持ち球数が閾値を大きく超えた場合には例えば持ち球数のデータ改ざんなどの不正を行っていることが予想される。従って、S196のその他の処理で枠制御用マイコン151は、例えばRAM154の持ち球数記憶部154aに記憶されている遊技者の持ち球数が閾値を大きく超えた(例えば閾値+1000)か否かを判定し、閾値を大きく超えた場合にはエラー報知などを行うようにする。
【0191】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、遊技者が有する遊技媒体の数を記憶する記憶領域を備えるとともに、遊技において遊技者が消費或いは獲得した遊技媒体の数に基づいて前記記憶領域に記憶された情報を更新する枠制御部を有し、前記枠制御部は、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が閾値以上となる遊技媒体計数条件を満たした場合に、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数から所定数の遊技媒体を減算する一方で、前記枠制御部と通信可能に接続された外部ユニットと通信を行うことにより減算した数と同数の遊技媒体を前記外部ユニットに計数させる遊技媒体計数処理を実行する。その結果、遊技機本体に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が閾値以上となった時点で事前に外部ユニットに計数させておくことによって、遊技者が遊技を中断する場合や遊技をやめる際に遊技機本体に記憶された遊技媒体の外部ユニットによる計数を短時間で終わらせることを可能にする。
(2)また、前記枠制御部は、前記遊技媒体計数条件を満たす状態において、前記遊技媒体計数処理を所定時間間隔で繰り返し実行する。その結果、遊技者の持ち球数が閾値を大きく超えた場合については、データ改ざんなどの不正を検出することが可能となる。
(3)また、遊技媒体を減算する数を1とした場合には、外部ユニットに細かく計数させることで常に閾値前後の遊技媒体を遊技機本体にキープできる。
(4)また、遊技媒体を減算する数を2以上で予め設定された数(例えば100個、或いは閾値との差分)とした場合には、外部ユニットが計数を行う間隔を広げることが可能となり、遊技機本体と外部ユニットとの間の通信にかかる負担を軽減することが可能となる。
(5)また、前記遊技媒体計数条件を満した場合に前記枠制御部による前記遊技媒体計数処理を行うか否かを設定する設定手段を有し、前記枠制御部は、前記設定手段により前記遊技媒体計数処理を行うことが設定された状態に限り、前記遊技媒体計数処理を実行することを特徴とする。その結果、遊技媒体の外部ユニットへの自動転送を行うことを希望しない遊技店や遊技客については、機能をオフすることが可能となる。
(6)また、遊技者の操作を受け付ける操作手段を有し、前記枠制御部は、前記設定手段により前記遊技媒体計数処理を行わないことが設定された状態であっても、前記操作手段が操作された場合については前記遊技媒体計数処理を実行する。その結果、遊技媒体の外部ユニットへの自動転送の機能をオフした場合であっても、遊技者の手動操作によって遊技媒体を外部ユニットへ移動させることは可能である。
(7)また、遊技者が有する遊技媒体の数を記憶する記憶領域を備えるとともに、遊技において遊技者が消費或いは獲得した遊技媒体の数に基づいて前記記憶領域に記憶された情報を更新する枠制御部を有し、前記枠制御部は、遊技媒体の計数指示を受け付けた場合に、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値未満とならないことを条件として、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数から所定数の遊技媒体を減算する一方で、前記枠制御部と通信可能に接続された外部ユニットと通信を行うことにより減算した数と同数の遊技媒体を前記外部ユニットに計数させる遊技媒体計数処理を実行する。その結果、遊技機側に一定数の遊技媒体を残すようにすることで、遊技者の予想に反して遊技球の打ち出しが必要となるタイミングが突如生じた場合であっても、打ち出しができずに遊技者に大きな不利益を与える事態が生じることを防止できる。
(8)また、前記枠制御部は、遊技媒体の計数指示を受け付けた際に遊技機において遊技が行われている場合については、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が前記下限値未満とならないことを条件として前記遊技媒体計数処理を実行する一方、遊技媒体の計数指示を受け付けた際に遊技機において遊技が行われていない場合については、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数を条件とせずに前記遊技媒体計数処理を実行する。その結果、特に遊技機で遊技が行われている状態にある間において遊技機側に常に一定数の持ち球を残すようにするので、例えば遊技中に大当たりの当選、特定領域の開放、電チューの開放などの遊技球を打ち出しが必要となるタイミングが突如生じた場合に打ち出しができずに遊技者に大きな不利益を与える事態を防止できる。尚、遊技終了後については全ての遊技媒体を外部ユニットへと移すことも可能である。
(9)また、特別図柄に対応した特別図柄用入球口と、前記特別図柄用入球口への入球に基づく抽選に当選することによって開口された特定領域に遊技球が通過することを条件に特典を付与する特典付与手段と、を有し、前記枠制御部は、遊技媒体の計数指示を受け付けたのが前記抽選に当選又は前記特定領域が開口されるタイミングから所定期間内、或いは前記タイミングの所定時間前を始点とした所定期間内である場合については、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が前記下限値未満とならないことを条件として前記遊技媒体計数処理を実行する一方、遊技媒体の計数指示を受け付けたのが前記所定期間以外である場合については、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数を条件とせずに前記遊技媒体計数処理を実行する。その結果、特にV領域等の特定領域に遊技球を通過させる必要が突如生じた場合に、打ち出しができずに遊技者に大きな不利益を与える事態を防止できる。尚、特定領域への遊技球の通過が必要なくなった後については全ての遊技媒体を外部ユニットへと移すことも可能である。
(10)また、前記枠制御部は、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値より多い状態で遊技媒体の計数指示を受け付けた場合については前記遊技媒体計数処理を実行する一方で、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値以下で遊技媒体の計数指示を受け付けた場合については前記遊技媒体計数処理を実行しない場合があることを特徴とする。その結果、記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値より多い状態でのみ外部ユニットへの遊技媒体の移動を行うことで、遊技機側に常に一定数の遊技媒体を残すことが可能となる。
(11)また、前記所定数は2以上で予め設定された数であって、前記枠制御部は、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値より多い状態で遊技媒体の計数指示を受け付けた場合であって、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数から所定数の遊技媒体を減算した場合に前記下限値未満となる場合には、前記記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が前記下限値となる数だけ減算する。その結果、記憶領域に記憶された遊技者が有する遊技媒体の数が下限値より多い場合については下限値を超えた分のみを対象にして外部ユニットへの遊技媒体の移動を行うことで、遊技機側に常に一定数の遊技媒体を残すことが可能となる。
(12)また、遊技球が転動する遊技領域と、遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、所定の条件を満たした場合に前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を案内するガイダンス出力手段と、を有する。その結果、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要がある場合に、球抜き操作を行う作業者に対して球抜き操作の手順や注意点を正しく理解して行わせることを可能にした遊技機を提供することを目的とする。
(13)また、画像を表示する為の画像表示装置を有し、前記ガイダンス出力手段は、前記画像表示装置に対して前記球抜き操作の方法を説明する画像又は動画を表示することで前記球抜き操作の方法を案内する。その結果、遊技機が備える画像表示装置を用いてわかりやすく球抜き操作の手順や注意点を案内することが可能となる。
(14)また、音声を出力する為の音声出力手段を有し、前記ガイダンス出力手段は、前記音声出力手段により前記球抜き操作の方法を説明する音声を出力することで前記球抜き操作の方法を案内する。その結果、遊技機が備える音声出力手段を用いてわかりやすく球抜き操作の手順や注意点を案内することが可能となる。
(15)また、遊技機が移行可能なモードとして遊技を行うことが可能な遊技モード以外に、前記球抜き操作を行う為の専用の球抜きモードがあって、前記球抜き操作を行う作業者が操作可能な操作手段と、前記操作手段の操作に基づいて前記球抜きモードへと移行するモード移行手段と、を有し、前記ガイダンス出力手段は、遊技機が前記球抜きモードにある間において前記球抜き操作の方法を案内する。その結果、球抜き操作を行う為の専用のモードに遊技機を移行させて球抜き操作を行わせることで、球抜き操作が遊技機で行われる遊技に影響を与えることなく、通常ではあり得ない挙動を示すことでエラーや警告が発せられることもなく、より容易に球抜き操作を行わせることが可能となる。
(16)また、前記球抜き操作の方法は、複数のステップを作業することからなり、前記ガイダンス出力手段は、前記複数のステップに含まれるいずれか一又は複数のステップを案内した状態で案内を一旦停止することを特徴とする。その結果、案内を必要に応じて停止させることで作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
(17)また、前記ガイダンス出力手段は、案内が一旦停止された状態で前記球抜き操作を行う作業者により次の案内に進む指示を受け付けた場合に、停止を解除して次の案内に進む。その結果、作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
(18)また、前記ガイダンス出力手段は、案内が一旦停止された状態で前記球抜き操作を行う作業者により案内を終了する指示を受け付けた場合に、停止を解除して案内を終了する。その結果、作業者の球抜き操作が終了するのに合わせて球抜き操作の案内も終了させることが可能となる。
(19)また、現在行われている球抜き操作において各ステップに対応する作業が完了したことを検出する作業検出手段を有し、前記ガイダンス出力手段は、案内が一旦停止された状態で現在案内されている一又は複数のステップに対応する作業が完了したことを検出した場合に、停止を解除して次の案内に進む或いは案内を終了する。その結果、作業者が別途追加の操作を行う必要なく、自動で作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
(20)また、遊技球が転動する遊技領域と、遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、遊技者が有する遊技媒体の数を記憶する記憶領域を備えるとともに、遊技において遊技者が消費或いは獲得した遊技媒体の数に基づいて前記記憶領域に記憶された情報を更新する枠制御部と、前記記憶領域に記憶された遊技媒体の数が0である状態で、前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き動作が行われる球抜きモードへと移行する第1モード移行手段と、を有することを特徴とする。その結果、枠制御部に記憶された遊技球の数が0である状態、即ち遊技ができない状態でのみ遊技機内に封入された遊技球を取り出すことが可能となる。その結果、遊技球が取り出されて遊技領域に遊技球が発射することができない状態にもかかわらず持ち球があるような矛盾が生じることを防止できる。
(21)また、前記第1モード移行手段は、前記記憶領域に記憶された遊技球の数が0である状態で、且つ所定の操作が行われた状態で遊技機の電源をオンすることによって前記球抜きモードへと移行することを特徴とする。その結果、メンテナンス業者や遊技店の従業員などの特定の作業者の操作によって球抜きモードへと移行させることが可能となり、一般の遊技者の操作によって球抜きモードへ移行してしまうことを防止できる。
(22)また、前記記憶領域に記憶された遊技球の数が0以外である状態で、且つ前記所定の操作と異なる操作が行われた状態で遊技機の電源をオンすることによって前記球抜きモードへと移行する第2モード移行手段と、を有することを特徴とする。その結果、枠制御部に記憶された遊技球の数が0でなかったとしても、複数回の電源操作を行うことなく球抜きモードへと移行させることが可能となる。
(23)また、球抜きの作業を行う作業者が操作可能な第1操作手段及び第2操作手段と、前記第1操作手段が操作された状態で遊技機の電源をオンすることによって前記記憶領域に記憶された遊技球の数を0に初期化する計数初期化手段と、を有し、前記所定の操作は、前記第2操作手段の操作であり、前記所定の操作と異なる操作は、前記第1操作手段と前記第2操作手段の両方を同時に操作することである。その結果、枠制御部に記憶された遊技球の数が0でなかったとしても、複数回の電源操作を行うことなく球抜きモードへと移行させることが可能となる。
(24)また、遊技球が転動する遊技領域と、遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、球抜き操作を行う作業者が操作可能な操作手段と、を有し、前記発射装置は、前記発射装置内に貯留されている遊技球を前記発射装置の外部に排出するための排出口を備え、前記操作手段が操作されたことを契機に前記発射装置内に貯留されている遊技球を前記排出口から排出することを特徴とする。その結果、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要がある場合に、発射装置内に貯留されている遊技球の取り出しを容易に行わせることを可能にする。
(25)また、前記発射装置は、発射位置にある遊技球と接触することで遊技球を前記遊技領域に向けて発射する発射槌と、前記発射位置に遊技球を供給するための遊技球通路と、を備え、前記操作手段が操作されたことを契機に前記遊技球通路に貯留されている遊技球を前記排出口から排出することを特徴とする。その結果、球抜き操作を行う作業者は、操作手段の操作によって発射装置内で発射位置に送られるために遊技球通路にとどめ置かれている遊技球について容易に排出することが可能となる。
(26)また、前記発射装置は、前記遊技球通路の床面にあって前記操作手段の操作に基づいて開閉可能な落下口と、前記落下口と前記排出口をつなぐ排出通路と、を備え、前記遊技球通路に貯留されている遊技球を、前記操作手段が操作されることによって開口状態となった前記落下口及び前記排出通路を介して前記排出口から排出することを特徴とする。その結果、操作手段の操作によって遊技球通路の床面に開口された穴から遊技球を簡単に排出することが可能となる。
(27)また、前記遊技領域を備えた遊技盤と、前記遊技盤の前面に配置され、前記遊技領域を遊技者側から視認可能とする透過領域を備えた前枠と、を有し、前記操作手段は、前記前枠が開放されることによって露出する前記発射装置に配置され、前記前枠が閉鎖した状態では操作困難である一方、前記前枠が開放されることによって操作可能となることを特徴とする。その結果、前枠を開けた状態での作業によって発射装置の球抜き操作が可能となるので、メンテナンス業者や遊技店の従業員などの特定の作業者による球抜き操作を可能とする一方、一般の遊技者によって球抜き操作が行われることを防止する。
(28)また、前記発射装置の下方には、前記排出口から前記発射装置の外部に排出された遊技球を受ける為の循環球受け皿が配置されることを特徴とする。その結果、発射装置から排出された遊技球が散らばることなく受け皿にて受けることが可能となる。
(29)また、遊技球が転動する遊技領域と、遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置と、前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き手段と、前記球抜き手段によって取り出された遊技球を受ける為の循環球受け皿と、を有し、前記循環球受け皿は、受けた遊技球を再度同じ遊技機内或いは異なる遊技機内に戻す際に遊技球を当該遊技機内に注ぐための注ぎ口を備えることを特徴とする。その結果、循環球受け皿に注ぎ口を設けることで、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出した後に、再び遊技機内に遊技球を戻す場合に、循環球受け皿を使って容易に戻し作業を行わせることが可能となる。
(30)また、前記循環球受け皿は、前記所定数の遊技球に対応した広さの底面を有することを特徴とする。その結果、球抜き操作を行う作業者が遊技機内を循環する遊技球の球抜き作業を行う場合に、循環する遊技球の全てを抜くことができたか否かを容易に把握することが可能となる。また、抜いた遊技球を遊技機内に戻す場合においても予め指定された数(例えば45個)の遊技球のみを確実に戻すことが可能となる。
(31)また、前記循環球受け皿の底面は、前記注ぎ口側に移動するに従って徐々に高さが低くなるように傾斜し、前記注ぎ口には前記循環球受け皿の外へと移動する遊技球の移動を妨げる為の段差を備えることを特徴とする。その結果、傾斜によって遊技球を注ぎやすくする一方で、段差によって注ぐとき以外は遊技球が外にこぼれることを防止できる。
(32)また、前記遊技領域を転動した遊技球が入賞口に入球することなく前記遊技領域から排出される為のアウト口を有し、前記注ぎ口の断面は前記アウト口よりも小さくすることを特徴とする。その結果、特にアウト口から遊技球を注ぐ場合に、遊技球が外にこぼれることを防止できる。
(33)また、前記循環球受け皿は、前記遊技機の内部の前記発射装置の下方に配置され、前記発射装置の内部から前記発射装置の外部に取り出された遊技球を受けることを特徴とする。その結果、発射装置から排出された遊技球が散らばることなく受け皿にて受けることが可能となる。
(34)また、循環する過程で前記遊技領域から排出された遊技球を前記発射装置の遊技球の入り口に搬送する揚上装置を有し、前記循環球受け皿は、前記遊技機の内部の前記揚上装置の下方に配置され、前記揚上装置の内部から前記揚上装置の外部に取り出された遊技球を受けることを特徴とする。その結果、揚上装置から排出された遊技球が散らばることなく受け皿にて受けることが可能となる。
【0192】
〈他の実施形態〉
(1)前述した実施形態では、球循環機構130で循環する遊技球を抜く場合に、発射装置90と揚上装置134から遊技球を抜いているが、球循環機構130内であれば発射装置90と揚上装置134以外の箇所から球を抜くことを可能にしても良い。或いは、発射装置90と揚上装置134のいずれか一方のみから遊技球を抜くことが可能な構成としても良い。
(2)また、本実施形態では計数クリアスイッチ183と球抜きスイッチ184の両方が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)した場合については、持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数をクリアするとともに球抜きモードへと移行するが、RAMクリアスイッチ185についても同時に操作可能にしても良い。例えば、計数クリアスイッチ183とRAMクリアスイッチ185の両方が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)した場合については、持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数をクリアするとともにラムクリを行うようにする。また、球抜きスイッチ184とRAMクリアスイッチ185の両方が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)した場合については、ラムクリするとともに球抜きモードへと移行するようにする。更に、計数クリアスイッチ183と球抜きスイッチ184とRAMクリアスイッチ185の全てが押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)した場合については、持ち球数記憶部154aに記憶される持ち球数をクリアする一方でラムクリも行い、更に球抜きモードへと移行するようにする。
(3)また、本実施形態では球抜きスイッチ18が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)したことを球抜きモードの移行の条件とするが、球抜きモードへの移行は起動時以外に行っても良い。例えば、遊技機の電源がオンされた状態で特殊な操作が行われたことを条件に球抜きモードに移行しても良い。
(4)また、前述した実施形態では、1種2種混合機に本願発明を適用した例について説明したが、1種2種混合機以外にも適用することが可能である。例えば、確変機やST機であっても良い。
(5)本発明は、パチンコ遊技機以外の遊技機、たとえば、回胴式遊技機(スロットマシンまたはパチスロともいう)にも適用することができる。本発明を回胴式遊技機に適用した場合には、枠制御基板150に記憶される遊技媒体は遊技球ではなく遊技メダルとなる。
【0193】
[本明細書に開示されている発明]
前述した実施形態には、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。ただし、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
【0194】
(発明A)
遊技球が転動する遊技領域(3)と、
遊技機内に封入された所定数の遊技球を遊技機内で循環させつつ前記遊技領域に向けて発射する発射装置(90)と、
所定の条件を満たした場合に前記遊技機内に封入された遊技球を取り出す為の球抜き操作の方法を案内するガイダンス出力手段(151)と、を有することを特徴とする遊技機。
【0195】
これによれば、例えばメンテナンスや台の入れ替えの目的で遊技機内を循環する遊技球を取り出す必要がある場合に、球抜き操作を行う作業者に対して球抜き操作の手順や注意点を正しく理解して行わせることを可能にした遊技機を提供することを目的とする。
【0196】
(発明B)
画像を表示する為の画像表示装置(7)を有し、
前記ガイダンス出力手段(151)は、前記画像表示装置に対して前記球抜き操作の方法を説明する画像又は動画を表示することで前記球抜き操作の方法を案内することを特徴とする発明Aに記載の遊技機。
【0197】
これによれば、遊技機が備える画像表示装置を用いてわかりやすく球抜き操作の手順や注意点を案内することが可能となる。
【0198】
(発明C)
音声を出力する為の音声出力手段(8)を有し、
前記ガイダンス出力手段(151)は、前記音声出力手段により前記球抜き操作の方法を説明する音声を出力することで前記球抜き操作の方法を案内することを特徴とする発明Aに記載の遊技機。
【0199】
これによれば、遊技機が備える音声出力手段を用いてわかりやすく球抜き操作の手順や注意点を案内することが可能となる。
【0200】
(発明D)
遊技機が移行可能なモードとして遊技を行うことが可能な遊技モード以外に、前記球抜き操作を行う為の専用の球抜きモードがあって、
前記球抜き操作を行う作業者が操作可能な操作手段(184)と、
前記操作手段の操作に基づいて前記球抜きモードへと移行するモード移行手段(151)と、を有し、
前記ガイダンス出力手段(151)は、遊技機が前記球抜きモードにある間において前記球抜き操作の方法を案内することを特徴とする発明Aに記載の遊技機。
【0201】
これによれば、球抜き操作を行う為の専用のモードに遊技機を移行させて球抜き操作を行わせることで、球抜き操作が遊技機で行われる遊技に影響を与えることなく、通常ではあり得ない挙動を示すことでエラーや警告が発せられることもなく、より容易に球抜き操作を行わせることが可能となる。
【0202】
(発明E)
前記球抜き操作の方法は、複数のステップを作業することからなり、
前記ガイダンス出力手段(151)は、
前記複数のステップに含まれるいずれか一又は複数のステップを案内した状態で案内を一旦停止することを特徴とする発明A乃至発明Dのいずれかに記載の遊技機。
【0203】
これによれば、案内を必要に応じて停止させることで作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
【0204】
(発明F)
前記ガイダンス出力手段(151)は、案内が一旦停止された状態で前記球抜き操作を行う作業者により次の案内に進む指示を受け付けた場合に、停止を解除して次の案内に進む発明Eに記載の遊技機。
【0205】
これによれば、作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
【0206】
(発明G)
前記ガイダンス出力手段(151)は、案内が一旦停止された状態で前記球抜き操作を行う作業者により案内を終了する指示を受け付けた場合に、停止を解除して案内を終了する発明Eに記載の遊技機。
【0207】
これによれば、作業者の球抜き操作が終了するのに合わせて球抜き操作の案内も終了させることが可能となる。
【0208】
(発明H)
現在行われている球抜き操作において各ステップに対応する作業が完了したことを検出する作業検出手段(151)を有し、前記ガイダンス出力手段は、案内が一旦停止された状態で現在案内されている一又は複数のステップに対応する作業が完了したことを検出した場合に、停止を解除して次の案内に進む或いは案内を終了する発明Eに記載の遊技機。
【0209】
これによれば、作業者が別途追加の操作を行う必要なく、自動で作業者の球抜き操作の進捗状況に合わせた案内が可能となる。
【符号の説明】
【0210】
1 パチンコ遊技機
7 演出表示装置
8 スピーカ
25 操作台
26 遊技球数表示器
28 カードユニット
90 発射装置
130 球循環機構
134 揚上装置
136d 落下口
136e 開閉部材
139 循環球受け皿
140 排出口
141 球抜きレバー
150 枠制御基板
151 枠制御用マイコン
154 RAM
183 計数クリアスイッチ
184 球抜きスイッチ
251 計数ボタン