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特開2024-117200画像形成システム、画像形成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117200
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/01 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023147
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川原 稔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056EB40
2C056EB58
2C056EC26
2C056EC67
2C056EC79
2C056FA13
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】印画媒体に形成される画像に異常が発生した場合に、異常ノズルを検知することが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成システム1は、画像データに従ってヘッドのノズルからインクを吐出し、用紙に画像を形成する画像形成部240と、用紙の画像から読取画像を生成する読取画像生成部26と、検査対象の画像の読取画像である検査画像26bから異常画像を検知する異常画像検知部63と、異常画像が検知された後に、画像形成部240により異常ノズル検知用画像が形成された用紙の読取画像に基づいて、異常が発生したノズルを異常ノズルとして検知する異常ノズル検知部64と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに従ってヘッドのノズルからインクを吐出し、印画媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記印画媒体の前記画像から読取画像を生成する読取画像生成部と、
検査対象の画像の前記読取画像である検査画像から異常画像を検知する異常画像検知部と、
前記異常画像が検知された後に、前記画像形成部により異常ノズル検知用画像が形成された前記印画媒体の前記読取画像に基づいて、異常が発生した前記ノズルを異常ノズルとして検知する異常ノズル検知部と、を備える
画像形成システム。
【請求項2】
前記異常ノズル検知部によって検知された前記異常ノズルを補完する処理を行う異常ノズル補完処理部を備える
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記異常ノズルを補完する処理が行われた後、前記画像形成部が前記印画媒体に画像を形成する画像形成処理を再開する
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記異常画像検知部は、前記読取画像のうち、比較の基準となる前記読取画像を基準画像とし、前記基準画像と、前記検査画像とを比較して差分を抽出することで前記異常画像を検知する
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記基準画像は、前記画像形成部で実行されるジョブにより最初に前記印画媒体に形成された前記画像が前記読取画像生成部によって読み取られた前記読取画像である
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成部は、前記基準画像として用いられる前記画像を前記印画媒体に形成した後、前記画像を前記印画媒体に形成する画像形成処理を一時停止する
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成処理を一時停止した後、前記読取画像が表示部に表示される
請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記基準画像として、前記画像形成部に転送される画像データが用いられる
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記基準画像として用いられる前記画像データに対して画像処理が行われる
請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像処理は、解像度変換及び色変換の少なくとも一つである
請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記異常ノズル補完処理部は、前記異常ノズルとして検知された前記ノズルが前記画像データに基づいて吐出する前記インクを、前記異常ノズルに隣接する前記ノズルに振り分ける
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記異常画像検知部は、前記異常ノズルを補完する処理が行われた後に、前記画像形成部が前記印画媒体に画像を形成する画像形成処理が再開されることにより前記印画媒体に形成された前記画像から前記読取画像生成部が生成した前記読取画像を前記検査画像として前記異常画像を検知する検品処理を再び行う
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記異常画像検知部により再び前記検品処理が行われ、前記異常画像が検知された回数が所定回数を超えたことを判定する判定部を備え、
前記判定部は、前記異常画像が検知された回数が所定回数を超えたと判定した場合に、前記画像形成処理を一時停止させる
請求項12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記所定回数は、ユーザーが設定可能である
請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記画像形成処理が一時停止した後、再び前記画像形成処理を行うか、又は前記画像形成処理を中断するかをユーザーが選択するための選択部が表示部に表示される
請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項16】
画像データに従ってヘッドのノズルからインクを吐出する画像形成部により、画像が形成された印画媒体から読取画像を生成するステップと、
検査対象の画像の前記読取画像である検査画像から異常画像を検知するステップと、
前記異常画像が検知された後に、前記画像形成部により異常ノズル検知用画像が形成された前記印画媒体の前記読取画像に基づいて、異常が発生した前記ノズルを異常ノズルとして検知するステップと、を含む
画像形成方法。
【請求項17】
画像データに従ってヘッドのノズルからインクを吐出する画像形成部により、画像が形成された印画媒体から読取画像を生成する手順と、
検査対象の画像の前記読取画像である検査画像から異常画像を検知するステップと、
前記異常画像が検知された後に、前記画像形成部により異常ノズル検知用画像が形成された前記印画媒体の前記読取画像に基づいて、異常が発生した前記ノズルを異常ノズルとして検知する手順と、を
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドを用いて、高速に印刷を行う技術として、複数のインクジェットノズルを記録用紙幅方向に並べたラインヘッドを構成し、ラインヘッドの下を記録用紙が移動することで印刷速度を向上させた、ワンパスインクジェット印刷という技術が知られ、利用されている。しかし、インクを吐出するノズルに異常がある場合、印刷物にスジや欠けの不良が発生する。このため、インクジェットプリンタやLED(Light Emitting Diode)プリンタなどの画像形成装置では、印刷物をラインセンサ等で読み取って得られる読取画像を解析していた。しかし、印刷物を読み取って得られる読取画像を解析する方法では、画像不良は検知できても、画像不良の原因となる異常ノズルを特定することはできなかった。
【0003】
特許文献1には、定期的に全ノズルの検査チャートを印画媒体に印刷し、その検査チャートにより異常ノズルを検知し、異常ノズルを検知した際は、ヘッドクリーニング動作を行い、その後リカバリ印刷を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-177583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたように、定期的に異常ノズルを検知する方式では、ノズルに異常が発生して以降も異常ノズルを検知する次のタイミングまでは印刷動作を継続してしまい、異常のある印刷物を量産してしまっていた。また、異常ノズルは発生していない状況でも検査チャートを印刷するためにインクと印画媒体を消費してしまうという無駄があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、印画媒体に形成される画像に異常が発生した場合に異常ノズルを検知することで、少ない頻度の異常ノズル検知で、異常ノズルに起因する異常印刷物の発生を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した画像形成システムは、画像データに従ってヘッドのノズルからインクを吐出し、印画媒体に画像を形成する画像形成部と、印画媒体の画像から読取画像を生成する読取画像生成部と、検査対象の画像の読取画像である検査画像から異常画像を検知する異常画像検知部と、異常画像が検知された後に、画像形成部により異常ノズル検知用画像が形成された印画媒体の読取画像に基づいて、異常が発生したノズルを異常ノズルとして検知する異常ノズル検知部と、を備える。
なお、上記の画像形成システムは本発明の一態様であり、本発明の一側面を反映した画像形成方法及びプログラムについても、上記の画像形成システムと同様に構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない頻度の異常ノズル検知で、異常ノズルに起因する異常印刷物の発生を少なくすることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る用紙側から見た状態におけるヘッドユニットを示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るインラインセンサの構成例を示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの機能構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るプリンタコントローラーの制御系の構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る検査装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る異常画像が検知された後のリカバリ印刷時に一時停止を行わない処理の例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態に係る異常画像が検知された後のリカバリ印刷時に一時停止を行う処理の例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施形態に係る選択ダイアログの表示例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
<画像形成システムの構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの全体構成について、図1を参照して説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す概略図である。なお、図1には、本発明の説明に必要とされる要素又はその関連要素を記載しており、本発明の画像形成システムは図1に示す例に限定されない。
【0012】
画像形成システム1は、給紙装置10、画像形成装置20、排紙装置30、プリンタコントローラー40、制御装置50、及び検査装置60を備える。画像形成システム1を構成するこれらの装置は、それぞれ、LAN(Local Area Network)等よりなるネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0013】
給紙装置10は、様々な紙種、用紙サイズの用紙(印画媒体の一例)が収容される複数の給紙トレイ11を有し、給紙トレイ11に収容された用紙を給紙搬送部12を介して画像形成装置20の給紙胴21に給紙する。給紙胴21は、用紙を画像形成装置20の画像形成ドラム22に搬送する。その後、排紙胴27は、画像形成ドラム22に搬送され、画像が形成された用紙を受け取り、排紙搬送部28を介して排紙装置30の排紙トレイ31に用紙を搬送する。
【0014】
画像形成装置20は、インクジェット方式で用紙に画像を形成する画像形成装置であり、ワンパスUV(Ultra Violet)インクジェットプリンタの一例である。画像形成装置20は、プリンタコントローラー40から投入される印刷ジョブに基づいて、用紙の表面に画像を形成(以下、印刷とも呼ぶ)する。画像形成装置20は、プリンタコントローラー40から異常ノズル検知用チャート用データが送信された場合には、用紙の表面に異常ノズル検知用チャートの画像を形成する。この画像形成装置20は、用紙を搬送する給紙胴21、排紙胴27、用紙を担持する画像形成ドラム22、画像形成ドラム22の外周を搬送される用紙を加熱する加熱部23、4つのヘッドユニット24、画像を用紙に定着させる定着部25、及び用紙に定着した画像を読み取って取得する読取画像生成部26等を含む。
【0015】
プリンタコントローラー40は、不図示の端末装置から送信された印刷ジョブに含まれる描画データに対してRIP(Raster Image Processor)処理を行って、画像データを生成する。描画データが異常ノズル検知用チャート用データであれば、プリンタコントローラー40は、異常ノズル検知用チャート用データに対応する画像データを生成する。そして、プリンタコントローラー40は、生成した画像データを画像形成装置20に送信する。
【0016】
制御装置50は、画像形成装置20、排紙装置30、プリンタコントローラー40、及び検査装置60の動作を制御する。各装置の動作の詳細は後述する。
【0017】
排紙装置30は、排紙トレイ31及びパージトレイ32を備える。排紙トレイ31には、正常に画像が形成された用紙が排紙される。パージトレイ32には、画像が正常に形成されず、異常画像と判定された用紙、又は異常ノズル検知用チャートが印刷された用紙が排紙される。
【0018】
<画像形成装置の画像形成部の構成>
次に、本実施形態に係る画像形成装置20の画像形成部240の構成例について説明する。
【0019】
画像形成装置20の画像形成部240は、画像データに従ってヘッドユニット24の記録ヘッド242(図2参照)に設けられた複数のノズルからインク液滴を吐出(射出)し、用紙に画像を形成する。画像形成部240は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のインクを重ね合わせることにより、用紙に画像を形成する。なお、画像形成部240が使用する色の種類は、Y,M,C,Kの4種類に限定されず、他の色が使用されてもよい。また、本実施形態に係るノズルから吐出されるインクは、紫外線光を照射することで硬化するUVインクであるとする。
【0020】
画像形成ドラム22は円筒状に形成され、不図示の駆動モータによって回転駆動されることより、反時計回りに回転する。画像形成ドラム22の外周面には、給紙装置10から供給された用紙が担持される。そして、画像形成ドラム22は、用紙を担持した状態で回転することにより用紙を搬送する。加熱部23、ヘッドユニット24、定着部25及び読取画像生成部26は、それぞれ、画像形成ドラム22の外周面に対向して配置される。
【0021】
加熱部23は、例えば電熱線等を有し、通電されることによって発熱する。加熱部23は、制御部200(図5参照)の制御により、画像形成ドラム22に担持されて加熱部23の近傍を通過する用紙が所定の温度となるように加熱を行う。
【0022】
加熱部23における用紙の搬送方向の下流側には、ヘッドユニット24が設けられる。ヘッドユニット24は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して4つ設けられる。4つのヘッドユニット24は、用紙の搬送方向に対して上流側から、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順に配置されている。
【0023】
ヘッドユニット24は、複数の記録ヘッド242(図2参照)の各複数のノズルからインク液滴を吐出して用紙に画像形成を行う記録部である。ヘッドユニット24の長さは、用紙の搬送方向と直交する方向(用紙の幅方向)において用紙の全体を覆う長さ(ページ幅)に設定される。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置20は、ヘッドユニット24に用紙を一度だけ走査させることによって画像を形成するシングルパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。4つのヘッドユニット24は、それぞれ吐出するインクの色が異なるだけで、互いに同一の構成を有する。ヘッドユニット24の詳細については、図2を参照して後述する。
【0024】
定着部25は、用紙の搬送方向における4つのヘッドユニット24の下流側に配置される。定着部25としては、例えば、UVランプ、低圧水銀ランプ等の紫外線光を照射する蛍光管等が適用される。そして、定着部25は、画像形成ドラム22により搬送された用紙に向けて紫外線光を照射し、用紙上に吐出されたインク液滴を硬化させる。これにより、定着部25は、用紙に形成された画像を定着させる。
【0025】
読取画像生成部26は、用紙の画像から読取画像を生成する。このため、読取画像生成部26は、画像が形成された用紙のページ全面を光学的に読み取る。読取画像生成部26は、読取画像生成部26が読み取って得た読取画像を、検査装置60に送信する。
【0026】
[ヘッドユニットの構成例]
次に、図2を参照して、画像形成装置20のヘッドユニット24の構成例について説明する。
図2は、用紙側から見た状態におけるヘッドユニット24を示す平面図である。
【0027】
ヘッドユニット24は、複数の記録ヘッド242a~242fを備える。なお、以下の説明において、記録ヘッド242a~242fを個々に区別する必要がない場合には、これらを記録ヘッド242と総称する。
【0028】
図2には、記録ヘッド242のノズルの位置を模式的に示している。ノズルは、用紙の搬送方向(用紙搬送方向:図中に下向きの矢印で示す方向)と交差する方向(本実施形態では、主走査方向:図中に右向きの矢印で示す方向)に配列される。このノズルの配列方向をノズル列方向と呼ぶ。6つの記録ヘッド242a~242fは、それぞれ、ノズル列方向についての配置範囲が互いに一部重複するように千鳥状に配置される。そして、ノズル列方向に沿って奇数番目に配置された記録ヘッド242a,242c,242eのノズルがノズル列方向において同一直線上に位置するとともに、偶数番目に配置された記録ヘッド242b,242d,242fのノズルがノズル列方向において同一線上に位置する。
【0029】
また、6つの記録ヘッド242a~242fは、互いに隣接する一対の記録ヘッド242において、各々に設けられた複数のノズル(ノズル群)のうち、一の記録ヘッド242の一方側の端部近傍のノズルと、他の一の記録ヘッド242の他方側の端部近傍のノズルとのノズル列方向についての配置範囲が重なる位置関係で、ノズル列方向に互いにずれた状態で配置されている。
【0030】
言い換えると、6つの記録ヘッド242a~242fは、各々に設けられたノズル群のノズル列方向についての配置範囲が互いに異なる範囲を含み、ノズル列方向にインクを吐出可能な範囲が連続的に繋がるような位置関係で配置されている。記録ヘッド242a~242fのノズル群同士が重複して配置されるノズル列方向の各範囲内には、重複範囲R(繋ぎ目)が設定されている。各重複範囲Rでは、重複範囲Rにノズルが設けられている一対の記録ヘッド242の各々のノズルから相補的にインクが吐出される。本実施形態では、一対の記録ヘッド242のノズル群同士が重複して配置されるノズル列方向の範囲全体が重複範囲Rとされる。
【0031】
なお、記録ヘッド242の数及び配置は、上述した例に限定されるものではなく、5つ以下、あるいは、7つ以上の記録ヘッド242を配置する構成であってもよい。
【0032】
また、記録ヘッド242は、インク液滴を用紙に向けて吐出するノズルを含む複数の記録素子を有するインクジェットヘッドである。記録素子は、ノズルに加えて、インクを貯留する圧力室、及び、当該圧力室の側壁に設けられた圧電素子(図示略)を備えており、圧力室にノズルが連通している。記録ヘッド242にはヘッド駆動部241(図5参照)から、画像データの画素値に応じて、圧電素子を変形動作させる駆動電圧が駆動条件として供給される。
【0033】
そして、圧電素子が変形動作することにより、ヘッド駆動部241からの駆動電圧に応じて圧力室が変形して当該圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインク液滴を吐出する動作が行われる。これにより、記録ヘッド242の各々において、画像データの画素値に応じた液量のインク液滴が、複数のノズルから用紙に向けて吐出され、画像形成ドラム22に担持された用紙に画像が形成される。
【0034】
<インラインセンサの構成>
次に、図3を参照して、読取画像生成部26の一例として用いられるインラインセンサ261の構成について説明する。
図3は、インラインセンサ261の構成例を示す斜視図である。
【0035】
図3には、インラインセンサ261の画像読取面262がZ方向における上側に配置された状態における、インラインセンサ261の構成を示す。図中に示す“X”は用紙幅方向(主走査方向)を示し、“Y”は用紙搬送方向(副走査方向)を示し、“Z”は鉛直方向を示す。インラインセンサ261の画像読取面262の表面はガラスで覆われており、ガラスのZ方向における下側に、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等よりなるラインカメラ(インラインセンサ)が設けられる。
【0036】
インラインセンサ261は、例えば、複数の検出素子が用紙の幅方向(主走査方向)に配列されてなるラインセンサである。インラインセンサ261は、用紙に形成された画像を複数の波長成分ごと、例えば、赤(R),緑(G),青(B)の3波長で取得することができる。画像読取面262のX方向における長さは、用紙幅として想定される最大幅よりも長く設定される。これにより、インラインセンサ261は、用紙の主走査方向における情報を、主走査方向への走査を行うことなく一度に読み取ることができる。インラインセンサ261は、異常ノズル検知用チャート等の画像が形成された用紙の1ページ全面を読み取ると、読み取った画像を検査装置60に出力する。
【0037】
<画像形成システムの機能構成>
次に、図4を参照して、画像形成システム1の機能構成について説明する。
図4は、画像形成システム1の機能構成例を示すブロック図である。
【0038】
(制御装置の構成)
制御装置50は、ジョブ制御部51、異常ノズル補完処理部52、リカバリ印刷処理部53、排紙処理部54、及び判定部55を備える。
【0039】
ジョブ制御部51は、画像形成装置20に印刷を行わせるジョブの実行順、用紙の種類等の各種設定を含むジョブの制御を行う。画像形成装置20に印刷させる画像としては、上述したような通常の画像の他、印刷された画像に異常が検知された時に印刷させる異常ノズル検知用チャートの画像がある。
【0040】
異常ノズル補完処理部52は、検査装置60が備える異常ノズル検知部64によって検知された異常ノズルを補完する処理を行う。そこで、異常ノズル補完処理部52は、異常ノズルとして検知されたノズルが画像データに基づいて吐出するインクを、異常ノズルに隣接するノズルに振り分ける。例えば、異常ノズル補完処理部52は、異常ノズルとして検知されたノズルが画像データに基づいて吐出するインクを、異常ノズルに隣接するノズルに振り分ける制御データを画像形成部240に出力することで、画像形成部240に異常ノズルを補完する。画像形成装置20が用紙に形成する画像に発生するスジは、ヘッドの吐出不良によるものであり、通常、ヘッドの周辺に対して色が抜けた状態の欠スジとなる。異常ノズル補完処理は、例えば、記録ヘッド242(図2参照)における、異常ノズルの周囲のノズルがスジを無くすようにインクの吐出量を増やす処理である。あるいは、異常ノズル補完処理は、ヘッドの傾き調整、ノズルの重なり調整、インクの吐き出し量を調整するための電圧調整等が含まれる。
【0041】
リカバリ印刷処理部53は、異常ノズル補完処理が行われた画像形成装置20に対して、画像のリカバリ印刷を行わせる。このため、異常ノズルを補完する処理が行われた後、画像形成部240が用紙に画像を形成する画像形成処理が再開する。従来は、リカバリ印刷の前にノズルのヘッドクリーニングが必要であったが、本実施の形態では、リカバリ印刷の前にノズルのヘッドクリーニングを行わない。このため、画像形成装置20は、ヘッドクリーニングをすることなく、直ちにリカバリ印刷を行える。
【0042】
排紙処理部54は、画像が形成された用紙の排紙を指示する。用紙に形成された画像が正常画像であれば、排紙処理部54は、排紙装置30の排紙トレイ31に用紙を排紙させる指示を行う。一方、用紙に形成された画像が異常画像、又は異常ノズル補完処理が行われた後にリカバリ印刷された異常ノズル検知用チャートの画像であれば、排紙処理部54は、排紙装置30のパージトレイ32に用紙を排紙させる指示を行う。このため、オペレーターは、パージトレイ32に排紙された用紙を取り出して、異常画像が形成された用紙、異常ノズル検知用チャートが形成された用紙を確認しやすくなる。
【0043】
判定部55は、異常画像検知部63から検品処理が行われたことを示す情報と、異常画像が検知された回数を取得する。そして、判定部55は、異常画像検知部63により再び検品処理が行われ、異常画像が検知された回数が所定回数を超えたか否かを判定する。ここで、異常画像が検知された回数は、後述する図10に示すように、N回としてカウントされる。そして、判定部55は、カウントしたN回(Nは0以上の整数)が所定回数未満であるかを判定する。判定部55は、異常画像が検知された回数が所定回数を超えたと判定した場合に、画像形成装置2に対して画像形成処理を一時停止させる。なお、所定回数は、ユーザーが設定可能である。このため、文字のみの画像であれば所定回数を多く設定し(例えば、5回)、写真等を含む画像であれば所定回数を少なく設定する(例えば、2回)ことが可能である。
【0044】
そして、判定部55は、画像形成処理が一時停止した後、再び画像形成処理を行うか、又は画像形成処理を中断するかをユーザーが選択するための選択部を表示部530(後述する図7を参照)に表示する。この選択部は、例えば、後述する図11に選択ダイアログとして表示される。
【0045】
(プリンタコントローラーの構成)
プリンタコントローラー40は、RIP処理部41及び色補正部42を備える。
【0046】
RIP処理部41は、不図示の端末装置から送信された印刷ジョブに含まれる描画データに対してRIP処理を行って、ラスター形式の印刷用データ等の画像データを生成する。
【0047】
色補正部42は、RIP処理部41によってラスター形式に変換された画像データの色補正を行う。そして、色補正部42により色補正が行われた画像データが画像形成装置20に送られ、画像形成に用いられる。
【0048】
(画像形成装置の構成)
画像形成装置20は、画像形成部240、読取画像生成部26等を備える。
画像形成部240の処理の概要は上述したとおりである。
【0049】
読取画像生成部26は、画像形成装置20が用紙に最初に印刷した画像を読み取ると、最初の読取画像を基準画像26aとする。このように、基準画像26aは、画像形成部240で実行されるジョブにより最初に用紙に形成された画像が読取画像生成部26によって読み取られた読取画像である。基準画像26aは、画像形成部240に転送される画像データが用いられてもよい。
【0050】
画像形成部240は、基準画像26aとして用いられる画像を用紙に形成した後、画像を用紙に形成する画像形成処理を一時停止する。画像形成処理が一時停止されることで、ユーザーは、基準画像26aとして用いられる画像が形成された用紙を目視確認することができる。なお、基準画像26aとして用いられる画像を用紙に形成した後、画像形成処理を一時停止した後、読取画像が表示部530(図7参照)に表示されてもよい。この場合、ユーザーは、画像形成装置20から離れた場所にある制御装置50にて、基準画像26aとして用いられる画像を目視確認することもできる。
【0051】
また、読取画像生成部26は、画像形成部240が次ページ以降の用紙に印刷した画像を読み取ると、この読取画像を検査画像26bとする。基準画像26a、検査画像26bは、共に検査装置60に送られ、検査装置60により検品が行われる。
【0052】
(検査装置の構成)
検査装置60は、前処理部61、位置合わせ部62、異常画像検知部63、及び異常ノズル検知部64を備える。
【0053】
前処理部61は、画像形成装置20から受信した検査画像26bに対する前処理を行う。前処理とは、例えば、検査画像26bの解像度変換、サイズ変換がある。解像度変換の処理は、検査画像26bの解像度を下げることにより、検査画像26bと基準画像26aとの比較速度を高めるために行われる。サイズ変換の処理は、例えば、用紙の表面と裏面とで用紙に形成された画像のサイズが変わる場合に、画像のサイズを拡大又は縮小することにより行われる。
【0054】
ところで、画像形成部240に転送される画像データが基準画像26aとして用いられる場合、前処理部61は、この画像データに対して画像処理を行う。画像処理は、解像度変換及び色変換の少なくとも一つである。解像度変換は、例えば、インラインセンサ261の解像度で読み取られた560dpiの画像データを200dpiに変換する処理である。また、色変換は、色合わせのために行われる処理であり、例えば、RIP処理後のYMCKの画像データを、検査画像26bと比較可能なRGBの画像データに変換する処理である。
【0055】
位置合わせ部62は、基準画像26aと、前処理後の検査画像26bとの位置合わせを行う。
【0056】
異常画像検知部63は、検査対象の画像の読取画像である検査画像26bから異常画像を検知する。例えば、異常画像検知部63は、読取画像のうち、比較の基準となる読取画像を基準画像26aとし、位置合わせが行われた状態の基準画像26aと、検査画像26bとを比較して差分を抽出することで異常画像を検知する。異常画像検知部63は、基準画像26aに対して検査画像26bが異なると判定した場合に、その検査画像26bを異常画像として検知する。異常画像として、例えば、検査画像26b内にスジや欠けといった形成不良が生じた画像が想定される。
【0057】
また、異常画像検知部63は、異常画像が検知されたことを示す情報を制御装置50に出力する。制御装置50のジョブ制御部51は、異常画像が検知されたことを示す情報を受信すると、異常ノズル検知用チャートの画像を用紙に印刷するためのジョブをプリンタコントローラー40に出力する。プリンタコントローラー40は、上述したRIP処理、色補正を行った画像データを画像形成装置20に出力し、画像形成装置20が異常ノズル検知用チャートの画像を用紙に印刷する。異常ノズル検知用チャートの画像が読取画像生成部26によって読み取られると、異常ノズル検知部64に異常ノズル検知用チャートの読取画像が送られる。
【0058】
なお、異常ノズル検知用チャートの画像を画像形成装置20が予め保持していれば、異常画像検知部63により異常画像が検知されると、直ちに、画像形成装置20が異常ノズル検知用チャートの画像を用紙に印刷してもよい。この場合、プリンタコントローラー40の処理を介さないので、異常ノズル検知用チャートの画像が用紙に印刷されるまでの時間を短縮することができる。
【0059】
異常ノズル検知部64は、異常画像検知部63により、異常画像が検知された後に、画像形成部240により異常ノズル検知用チャート(異常ノズル検知用画像の一例)が形成された用紙の読取画像に基づいて、異常が発生したノズルを異常ノズルとして検知する。異常画像として、例えばスジが生じた検査画像26bである場合、本来インクが吐出されるべきノズルからインクの吐出を確認できないので、ヘッドに吐出不良が発生している。このため、異常ノズル検知部64は、異常ノズル検知用チャートの読取画像に基づいて、スジが生じた位置にインクを吐出すべきノズルを、吐出不良が発生した異常ノズルとして検知する。異常ノズル検知部64が検知した異常ノズルの情報は、制御装置50に出力される。制御装置50は、上述した異常ノズル補完処理部52が異常ノズルの情報に基づいて異常ノズル補完処理を行う。
【0060】
<画像形成装置の制御系の構成>
次に、図5を参照して、画像形成装置20の制御系の構成について説明する。図5は、画像形成装置20の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0061】
図5に示すように、画像形成装置20は、制御部200を備える。制御部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、CPU201の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)202、及び、CPU201が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)203等を含む。
【0062】
制御部200のCPU201は、画像形成装置20を構成する各部とシステムバスB1を介して接続されており、これらの各部の動作を制御する。
【0063】
また、制御部200は、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等よりなる大容量記憶装置としての記憶部204を備える。記憶部204には、プリンタコントローラー40から受け取った画像データや、複数の記録ヘッド242におけるノズル群からのインク液滴の吐出量に関するデータ(インク吐出量データ)などが記憶される。
【0064】
さらに、画像形成装置20は、用紙搬送部210、操作表示部220、通信I/F(Interface)部230及び画像形成部240等を備える。
【0065】
用紙搬送部210は、用紙を画像形成ドラム22に用紙を受け渡すための給紙胴21、排紙胴27などの搬送系の機構を駆動することにより、用紙を搬送させる。
【0066】
操作表示部220は、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のパネル式表示装置(報知部の一例)と、タッチパッド等の位置入力装置とを組み合わせたタッチパネルとによって構成される。この操作表示部220は、ユーザーに対する指示メニューや、取得した画像データに関する情報等を表示する。操作表示部220の表示装置には、例えば、制御装置50が、読取画像生成部26が取得した読取画像からノズル異常の発生を検出した場合における、異常の報知(通知)等が表示される。
【0067】
通信I/F部230は、プリンタコントローラー40に接続される。そして、通信I/F部230は、プリンタコントローラー40から画像データを受信して、受信した画像データを、システムバスB1を介して制御部200に供給する。
【0068】
画像形成部240は、プリンタコントローラー40から送信された画像データに基づいて、用紙の表面に画像を形成する。プリンタコントローラー40から異常ノズル検知用チャート用データが送信された場合には、用紙の表面に異常ノズル検知用チャートを形成する。ヘッドユニット24内のヘッド駆動部241は、記録ヘッド242を駆動する。画像形成部240を構成するその他各部については、図2を参照して説明済みであるため、ここではこれらについての説明は省略する。
【0069】
<プリンタコントローラーの制御系の構成>
次に、図6を参照して、プリンタコントローラー40の制御系の構成について説明する。図6は、プリンタコントローラー40の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0070】
図6に示すように、プリンタコントローラー40は、制御部400を備える。制御部400は、例えば、CPU401、CPU401の作業領域として使用されるRAM402、及び、CPU401が実行するプログラム等を記憶するためのROM403等を含む。
【0071】
制御部400のCPU401は、プリンタコントローラー40を構成する各部とシステムバスB2を介して接続されており、これらの各部の動作を制御する。
【0072】
また、制御部400は、HDDやSSD等よりなる大容量記憶装置としての記憶部404を含む。記憶部404には、画像形成装置20に送信した画像データ等が記憶される。図4に示したプリンタコントローラー40の各機能部の機能は、制御部400におけるCPU401、RAM402、ROM403及び記憶部404により実現される。
【0073】
また、プリンタコントローラー40は、通信I/F部410、操作入力部420及び表示部430等を含む。
【0074】
通信I/F部410は、画像形成装置20と接続されており、図4に示したRIP処理部41で生成されたラスター形式の画像データ等を画像形成装置20に送信する。また、通信I/F部410は、制御装置50とも接続されており、制御装置50から、印刷用の画像データ、異常ノズル検知用チャートの画像データの他、各種の印刷指示のデータなどを受信する。
【0075】
操作入力部420は、例えば、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
表示部430は、液晶表示装置や有機EL表示装置等のパネル式表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや、取得した画像データに関する情報等を表示する。
【0076】
<制御装置の制御系の構成>
次に、図7を参照して、制御装置50の制御系の構成について説明する。図7は、制御装置50の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0077】
図7に示すように、制御装置50は、制御部500を備える。制御部500は、例えば、CPU501、CPU501の作業領域として使用されるRAM502、及び、CPU501が実行するプログラム等を記憶するためのROM503等を含む。
【0078】
制御部500のCPU501は、制御装置50を構成する各部とシステムバスB3を介して接続されており、これらの各部の動作を制御する。
【0079】
(1)プリンタコントローラー40に印刷ジョブに含まれる描画データに対してRIP処理を行わせる制御。
(2)画像形成装置20の読取画像生成部26に用紙の画像を取得させる制御。
(3)検査装置60に読取画像生成部26が取得した画像を検査させる制御。
(4)画像形成装置20の異常ノズルを補完してリカバリ印刷をさせる制御。
【0080】
CPU501は、図4を参照して説明した、異常ノズル補完処理、リカバリ印刷処理等を行う。異常ノズル補完処理は、検査画像26bにスジが検出された場合に、画像形成装置20に対して、スジを補完するように、異常ノズルの周囲のノズルの吐出量を増やす処理である。また、リカバリ印刷処理は、異常ノズル補完処理が行われた状態で、スジが検出された画像のリカバリ印刷を画像形成装置20に行わせる処理である。また、CPU501は、検査画像26bに異常が発生したため、異常ノズル補完処理を行ったこと、リカバリ印刷処理を行ったことを操作表示部220の表示装置に表示し、異常画像の発生をユーザーに報知する制御も行う。
【0081】
また、制御部500は、HDDやSSD等よりなる大容量記憶装置としての記憶部504を含む。記憶部504には、印刷用の画像データ、異常ノズル検知用チャートの画像データの他、画像形成装置20の処理結果、プリンタコントローラー40の処理結果、検査装置60から受信した検査結果、等が記憶される。図4に示した制御装置50の各機能部の機能は、制御部500におけるCPU501、RAM502、ROM503及び記憶部504により実現される。
【0082】
さらに、制御装置50は、通信I/F部510、操作入力部520、及び表示部530を備える。
【0083】
通信I/F部510は、画像形成装置20と接続されており、画像形成装置20から送信された用紙の読取画像を受信する。また、通信I/F部510は、プリンタコントローラー40と接続されており、ジョブと共に、印刷用の画像データ、異常ノズル検知用チャートの画像データ等を、プリンタコントローラー40に送信する。また、通信I/F部510は、検査装置60と接続されており、検査装置60による検査結果を受信する。
【0084】
操作入力部520は、例えば、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。表示部530は、液晶表示装置や有機EL表示装置等のパネル式表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや、取得した画像データに関する情報等を表示する。
【0085】
<検査装置の制御系の構成>
次に、図8を参照して、検査装置60の制御系の構成について説明する。図8は、検査装置60の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0086】
図8に示すように、検査装置60は、制御部600を備える。制御部600は、例えば、CPU601、CPU601の作業領域として使用されるRAM602、及び、CPU601が実行するプログラム等を記憶するためのROM603等を含む。
【0087】
制御部600のCPU601は、検査装置60を構成する各部とシステムバスB4を介して接続されており、これらの各部の動作を制御する。
【0088】
また、制御部600は、HDDやSSD等よりなる大容量記憶装置としての記憶部604を含む。記憶部604には、画像形成装置20に送信した画像データ等が記憶される。図4に示した検査装置60の各機能部の機能は、制御部600におけるCPU601、RAM602、ROM603及び記憶部604により実現される。
【0089】
また、検査装置60は、通信I/F部610、操作入力部620及び表示部630等を含む。
【0090】
通信I/F部610は、画像形成装置20と接続されており、画像形成装置20から基準画像26a及び検査画像26bを受信する。また、通信I/F部610は、制御装置50とも接続されており、制御装置50に対して検査結果などを受信する。
【0091】
操作入力部620は、例えば、キーボードやマウスなどで構成され、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
表示部630は、液晶表示装置や有機EL表示装置等のパネル式表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや、取得した画像データに関する情報等を表示する。
【0092】
<画像形成システムの処理の例>
次に、画像形成システム1の処理の例について、図9図11を参照して説明する。
【0093】
(リカバリ印刷時に一時停止を行わない処理)
図9は、異常画像が検知された後のリカバリ印刷時に一時停止を行わない処理の例を示すフローチャートである。
【0094】
始めに、制御装置50のジョブ制御部51が基準画像となる1枚目の画像データをプリンタコントローラー40に出力し、プリンタコントローラー40がRIP処理及び色補正を行ったラスター形式の画像データを画像形成装置20に出力する。そして、画像形成装置20の画像形成部240がラスター形式の画像データに基づいて、1枚目の画像を基準画像として用紙に印刷する(S1)。1枚目の用紙に印刷された画像は、読取画像生成部26によって読み取られ、基準画像26aとして生成される。そして、読取画像生成部26は、基準画像26aを検査装置60に出力する。
【0095】
検査装置60の異常画像検知部63は、基準画像26aから異常を検知しない領域を設定する(S2)。例えば、バリアブル印刷における宛名欄のように、印刷されるページ毎に内容が変化する領域が設定される。また、異常画像検知部63は、文字だけが印刷される領域における異常画像検知のレベルを低くしたり、写真が印刷される領域における異常画像検知のレベルを高くしたりすることもある。
【0096】
次に、画像形成装置20の画像形成部240は、ラスター形式の画像データに基づいて、2枚目以降の画像を、検品される画像として用紙に印刷する(S3)。2枚目以降の画像は、読取画像生成部26によって検査画像26bとして生成される。そして、読取画像生成部26は、検査画像26bを検査装置60に出力する。
【0097】
次に、異常画像検知部63は、用紙から読み取られた検査画像26bを検品する(S4)。ステップS3からS4の間で、検査装置60の前処理部61は、検査画像26bの前処理を行い、位置合わせ部62は、検査画像26bの位置を基準画像26aの位置に合わせる。そして、異常画像検知部63は、検査画像26bと基準画像26aを比較し、差分が生じた場合に、検査画像26bを異常画像として検知する。そこで、異常画像検知部63は、異常画像を検知したか否かを判定する(S5)。
【0098】
異常画像検知部63は、異常画像を検知していない場合(S5のNO)、検知結果を画像形成装置20及び制御装置50に出力する。画像形成装置20の画像形成部240は、全ページの印刷を完了したか否かを判定する(S11)。全ページの印刷を完了していなければ(S11のNO)、ステップS3に戻って、検査画像の印刷と検品を続ける。一方、全ページの印刷を完了していれば(S11のYES)、本処理を終了する。
【0099】
ステップS5にて、異常画像検知部63は、異常画像を検知した場合(S5のYES)、検知結果を画像形成装置20、排紙装置30及び制御装置50に出力する。排紙装置30は、異常画像が検知された用紙をパージトレイ32に排紙する排紙処理を行う(S6)。
【0100】
次に、制御装置50のジョブ制御部51は、異常画像検知部63から異常画像を検知したことを示す情報を取得すると、異常ノズル検知用チャートの画像を用紙に印刷する指示をプリンタコントローラー40に出力する。プリンタコントローラー40は、予め保存している異常ノズル検知用チャートの画像を画像形成部240に出力する。そして、画像形成部240は、異常ノズル検知用チャートの画像を用紙に印刷する(S7)。そして、読取画像生成部26は、用紙に印刷された異常ノズル検知用チャートの画像を読み取って、検査画像26bとして検査装置60に出力する。
【0101】
次に、検査装置60の異常ノズル検知部64は、異常ノズル検知用チャートの検査画像26bに基づいて、異常ノズルを検知する(S8)。そして、異常ノズル検知部64は、検知した異常ノズルの情報を制御装置50に送信する。
【0102】
制御装置50の異常ノズル補完処理部52は、異常ノズルの情報に基づいて、異常ノズル補完処理を行う(S9)。そして、リカバリ印刷処理部53は、異常ノズル補完処理を行った制御データを画像形成装置20に送信する。
【0103】
画像形成装置20の画像形成部240は、画像形成装置20から受信した制御データに基づいて異常ノズル補完処理を行った補完処理後の画像を用紙にリカバリ印刷する(S10)。用紙にリカバリ印刷された画像は、再びステップS4にて検査が行われる。すなわち、異常画像検知部63は、異常ノズル補完処理部52により異常ノズルを補完する処理が行われた後に再開される画像形成処理により、用紙に形成された画像から読取画像生成部26が生成した読取画像を検査画像26bとして異常画像を検知する検品処理を再び行う。
【0104】
(リカバリ印刷時に一時停止を行う処理)
ところで、図9に示した処理では、リカバリ印刷が自動的に行われるが、異常ノズル補完処理では補完しきれない異常が発生している場合、リカバリ印刷を何回行ってもステップS5の検品で異常画像が検知されてしまう。例えば、隣接する複数のノズルが異常ノズルとして検知された場合、これらの異常ノズルで生じる広い範囲のスジを埋めようにも、他のノズルで補完しきれないことがある。そこで、次の図10に示すように、リカバリ印刷を一時停止し、ユーザーに印刷の継続又は中断を促す処理を行ってもよい。
【0105】
図10は、異常画像が検知された後のリカバリ印刷時に一時停止を行う処理の例を示すフローチャートである。図9と同じ処理については、詳細な説明を省略する。
【0106】
始めに、画像形成装置20の画像形成部240がラスター形式の画像データに基づいて、1枚目の画像を基準画像として用紙に印刷する(S1A)。なお、ステップS1Aでは、後述するステップS21でカウントされるリカバリ印刷の繰り返し回数(N)を「0」にクリアする。
【0107】
その後、ステップS5で異常画像が検知されると(ステップS5のYES)、繰り返し回数(N)が「1」だけ増加する。そして、ステップS6で排紙処理が行われた後、画像形成部240は、リカバリ印刷の繰り返し回数(N)が所定回数未満であるか否かを判定する(S21)。リカバリ印刷の繰り返し回数(N)が所定回数未満であれば(S21のYES)、図9と同様にステップS7~S10の処理が行われる。
【0108】
一方、リカバリ印刷の繰り返し回数(N)が所定回数以上であれば(S21のNO)、画像形成部240は、印刷を一時停止する(S22)。印刷を一時停止する理由は、異常ノズル補完処理を行ってリカバリ印刷を繰り返しても異常画像が検知され続けているので、異常ノズル補完処理だけでは正常画像を得られないためである。そこで、ユーザーは、ヘッドクリーニング又はヘッドの修理等を検討することとなる。
【0109】
このため、判定部55は、図11に示す選択ダイアログを表示部530(図7を参照)に表示する(S23)。そして、判定部55は、ユーザーにより操作入力部520を通じて、継続ボタン、又は中断ボタンのいずれが選択されたか判定する(S24)。ここで、選択ダイアログの表示例について説明する。
【0110】
図11は、選択ダイアログの表示例を示す図である。
選択ダイアログには、異常ノズルが検知されたことにより実行されるリカバリ印刷処理が所定回数(リカバリ印刷の繰り返し回数(N))を超えたことが表示される。そして、選択ダイアログには、リカバリ印刷処理の継続を指示する継続ボタン、リカバリ印刷処理の中断を指示する中断ボタンが表示される。オペレーターは、継続ボタン、又は中断ボタンを押して画像形成部240に処理を指示することが可能である。
【0111】
再び、図10に戻って説明を続ける。
オペレーターが選択ダイアログから継続ボタンを選択した場合(S24の継続)、リカバリ印刷の繰り返し回数(N)が「0」で上書きされた後、ステップS7に移行し、リカバリ印刷処理のための処理が行われる。
【0112】
一方、オペレーターが選択ダイアログから中断ボタンを選択した場合(S24の中断)、本処理は一旦中断する。その後、オペレーターは、ヘッドクリーニング又はヘッドの修理等を行うこととなる。その後、再び、ステップS1Aから処理が開始される。
【0113】
なお、ユーザーは、図9に示したリカバリ印刷時に一時停止を行わない処理と、図10に示したリカバリ印刷時に一時停止を行う処理のいずれかをジョブの開始時に選択することが可能である。また、選択ダイアログは、画像形成装置20の操作表示部220、又は検査装置60の表示部630に表示されてもよい。
【0114】
以上説明した第1の実施形態に係る画像形成システム1では、基準画像26aと検査画像26bとを比較して異常画像を検知した場合には、異常ノズル検知用チャートが印刷される。そして、検査装置60は、異常ノズル検知用チャートの読取画像に基づいて、異常ノズルを検知すると、制御装置50は、検知された異常ノズルを補完するように異常ノズル補完処理を行う。このため、少ない頻度の異常ノズル検知で、異常ノズルに起因する異常印刷物の発生を少なくすることができる。また、画像形成システム1は、従来のような異常ノズルが発生していない状況で検査チャートを定期的に印刷する処理を行わないので、インクと印画媒体を無駄に消費しなくてすむ。また、画像形成システム1では、異常ノズル補完処理を経てリカバリ印刷が行われる。そして、画像形成システム1では、異常画像の検知から異常ノズル補完処理までの一連の処理中にヘッドクリーニングは行われない。このため、ヘッドクリーニングで使用されるインクの廃棄量を低減すると共に、リカバリ印刷に要する処理時間を低減することができる。
【0115】
また、画像形成システム1では、異常ノズル補完処理により、スジに限らず、印刷された画像に生じる他の異常についても、リカバリ印刷時に補完される。このため、スジ以外の画像異常が生じた場合であってもリカバリ印刷に要する処理時間を低減することができる。また、画像形成システム1では、異常ノズルが検知されると直ちに異常ノズル補完処理が行われるので、従来のように異常のある印刷物を量産することがない。
【0116】
また、異常ノズル補完処理とリカバリ印刷が複数回行われても、異常画像が検知される場合には、オペレーターに対して、異常ノズル補完処理とリカバリ印刷を継続するか否かを指示させるための選択ダイアログが表示される。オペレーターは、選択ダイアログの継続ボタン又は中断ボタンを押すことで、異常ノズル補完処理とリカバリ印刷を継続又は中断を指示することが可能となる。オペレーターが中断を指示した場合には、ヘッドクリーニング、ヘッドの交換等が行われることで、次回以降の印刷処理では、異常画像が生じなくなることが期待される。
【0117】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。
図12は、第2の実施形態に係る画像形成システム1Aの全体構成を示す概略図である。
【0118】
画像形成システム1Aは、給紙装置10、画像形成装置20A、排紙装置30、及びプリンタコントローラー40を備える。
画像形成装置20Aは、第1の実施形態に係る画像形成装置20が備える各機能部に加えて、制御部50A、検査部60Aを備える。制御部50Aが有する機能は、図1図4に示した制御装置50と同様である。また、検査部60Aが有する機能は、図1図4に示した検査装置60と同様である。そして、図5に示した画像形成装置20と同じ構成とした画像形成装置20Aの制御部200によって、制御部50A及び検査部60Aが有する機能が実現される。
【0119】
第2の実施形態に係る画像形成システム1Aにおいて、プリンタコントローラー40には、不図示の端末装置から印刷ジョブが送信される。そして、プリンタコントローラー40は、RIP処理と色補正を行った画像データを画像形成装置20Aに送信する。
【0120】
以降の画像形成、画像の読み取り、基準画像26aと検査画像26bの検査、異常ノズル検知用チャート印刷、異常ノズル検知、異常ノズル補完、画像のリカバリ印刷の処理は、第1の実施形態に係る画像形成システム1の各機能部で行われた処理と同様である。
【0121】
以上説明した第2の実施形態に係る画像形成システム1Aでは、画像形成装置20Aが制御部50A及び検査部60Aを備える構成とした。このため、第1の実施形態に係る画像形成システム1と比べて、第2の実施形態に係る画像形成システム1Aのシステム構成を簡略化することができる。
【0122】
なお、上述した各実施形態に係る画像形成装置は、ワンパスUVインクジェットプリンタの一例としたものであるが、UVインク以外のインクを使うインクジェットプリンタ、LEDプリンタ等のプリンタに対しても本発明を適用し、リカバリ処理に要する時間を低減することができる。
【0123】
また、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…画像形成システム、20…画像形成装置、24…ヘッドユニット、26…読取画像生成部、26a…基準画像、26b…検査画像、50…制御装置、51…ジョブ制御部、52…異常ノズル補完処理部、53…リカバリ印刷処理部、54…排紙処理部、55…判定部、60…検査装置、61…前処理部、62…位置合わせ部、63…異常画像検知部、64…異常ノズル検知部、240…画像形成部、241…ヘッド駆動部、242…記録ヘッド、261…インラインセンサ、262…画像読取面
図1
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図12